以下に添付図面を参照して、本発明に係るボルトの清掃装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
図5は、原子力発電プラントの概略構成図、図6は、加圧水型原子炉を表す縦断面図、図7は、原子炉容器に対する原子炉容器蓋の取付構造を表す断面図である。
本実施例の原子炉は、軽水を原子炉冷却材及び中性子減速材として使用し、炉心全体にわたって沸騰しない高温高圧水とし、この高温高圧水を蒸気発生器に送って熱交換により蒸気を発生させ、この蒸気をタービン発電機へ送って発電する加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)である。
本実施例の加圧水型原子炉を有する原子力発電プラントにおいて、図5に示すように、原子炉格納容器11は、内部に加圧水型原子炉12及び蒸気発生器13が格納されており、この加圧水型原子炉12と蒸気発生器13とは高温側送給配管14と低温側送給配管15を介して連結されており、高温側送給配管14に加圧器16が設けられ、低温側送給配管15に一次冷却水ポンプ17が設けられている。この場合、減速材及び一次冷却水(冷却材)として軽水を用い、炉心部における一次冷却水の沸騰を抑制するために、一次冷却系統は加圧器16により150〜160気圧程度の高圧状態を維持するように制御している。
従って、加圧水型原子炉12にて、燃料(原子燃料)として低濃縮ウランまたはMOXにより一次冷却水として軽水が加熱され、高温の一次冷却水が加圧器16により所定の高圧に維持された状態で、高温側送給配管14を通して蒸気発生器13に送られる。この蒸気発生器13では、高温高圧の一次冷却水と二次冷却水との間で熱交換が行われ、冷やされた一次冷却水は低温側送給配管15を通して加圧水型原子炉12に戻される。
蒸気発生器13は、加熱された二次冷却水、つまり、蒸気を送給する配管31を介して蒸気タービン32と連結されており、この配管31に主蒸気隔離弁33が設けられている。蒸気タービン32は、高圧タービン34と低圧タービン35を有すると共に、発電機(発電装置)36が接続されている。また、高圧タービン34と低圧タービン35は、その間に湿分分離加熱器37が設けられており、配管31から分岐した冷却水分岐配管38が湿分分離加熱器37に連結される一方、高圧タービン34と湿分分離加熱器37は低温再熱管39により連結され、湿分分離加熱器37と低圧タービン35は高温再熱管40により連結されている。
更に、蒸気タービン32の低圧タービン35は、復水器41を有しており、この復水器41は、配管31からバイパス弁42を有するタービンバイパス配管43が接続されると共に、冷却水(例えば、海水)を給排する取水管44及び排水管45が連結されている。この取水管44は、循環水ポンプ46を有し、排水管45と共に他端部が海中に配置されている。
そして、この復水器41は、配管47が接続されており、復水ポンプ48、グランドコンデンサ49、復水脱塩装置50、復水ブースタポンプ51、低圧給水加熱器52が接続されている。また、配管47は、脱気器53が連結されると共に、主給水ポンプ54、高圧給水加熱器55、主給水制御弁56が設けられている。
従って、蒸気発生器13にて、高温高圧の一次冷却水と熱交換を行って生成された蒸気は、配管31を通して蒸気タービン32(高圧タービン34から低圧タービン35)に送られ、この蒸気により蒸気タービン32を駆動して発電機36により発電を行う。このとき、蒸気発生器13からの蒸気は、高圧タービン34を駆動した後、湿分分離加熱器37で蒸気に含まれる湿分が除去されると共に加熱されてから低圧タービン35を駆動する。そして、蒸気タービン32を駆動した蒸気は、復水器41で海水を用いて冷却されて復水となり、グランドコンデンサ49、復水脱塩装置50、低圧給水加熱器52、脱気器53、高圧給水加熱器55などを通して蒸気発生器13に戻される。
このように構成された原子力発電プラントの加圧水型原子炉12において、図6に示すように、原子炉容器61は、その内部に炉内構造物が挿入できるように、原子炉容器本体62とその上部に装着される原子炉容器蓋(上鏡)63により構成されており、この原子炉容器本体62に対して原子炉容器蓋63が複数のスタッドボルト64及びナット65により開閉可能に固定されている。
この原子炉容器本体62は、原子炉容器蓋63を取り外すことで上部が開口可能であり、下部が半球形状をなす下鏡66により閉塞された円筒形状をなしている。そして、原子炉容器本体62は、上部に一次冷却水としての軽水(冷却材)を供給する入口ノズル(入口管台)67と、軽水を排出する出口ノズル(出口管台)68が形成されている。また、原子炉容器本体62は、2ループのプラントの場合、入口ノズル67及び出口ノズル68とは別に、図示しない注水ノズル(注水管台)が形成されている。
原子炉容器本体62は、内部にて、入口ノズル67及び出口ノズル68より上方に上部炉心支持板69が固定される一方、下方の下鏡66の近傍に位置して下部炉心支持板70が固定されている。この上部炉心支持板69及び下部炉心支持板70は、円板形状をなして図示しない多数の連通孔が形成されている。そして、上部炉心支持板69は、複数の炉心支持ロッド71を介して下方に図示しない多数の連通孔が形成された上部炉心板72が連結されている。
原子炉容器本体62は、内部に円筒形状をなす炉心槽73が内壁面と所定の隙間をもって配置されており、この炉心槽73は、上部が上部炉心板72に連結され、下部に円板形状をなして図示しない多数の連通孔が形成された下部炉心板74が連結されている。そして、この下部炉心板74は、下部炉心支持板70に支持されている。即ち、炉心槽73は、原子炉容器本体62の下部炉心支持板70に吊り下げ支持されることとなる。
炉心75は、上部炉心板72と炉心槽73と下部炉心板74により形成されており、この炉心75は、内部に多数の燃料集合体76が配置されている。この燃料集合体76は、図示しないが、多数の燃料棒が支持格子により格子状に束ねられて構成され、上端部に上部ノズルが固定される一方、下端部に下部ノズルが固定されている。また、炉心75は、内部に多数の制御棒77が配置されている。この多数の制御棒77は、上端部がまとめられて制御棒クラスタ78となり、燃料集合体77内に挿入可能となっている。上部炉心支持板69は、この上部炉心支持板69を貫通して多数の制御棒クラスタ案内管79が固定されており、各制御棒クラスタ案内管79は、下端部が燃料集合体76内の制御棒クラスタ78まで延出されている。
原子炉容器61を構成する原子炉容器蓋63は、上部が半球形状をなして磁気式ジャッキの制御棒駆動装置80が設けられており、原子炉容器蓋63と一体をなすハウジング81内に収容されている。多数の制御棒クラスタ案内管79は、上端部が制御棒駆動装置80まで延出され、この制御棒駆動装置80から延出されて制御棒クラスタ駆動軸82が、制御棒クラスタ案内管79内を通って燃料集合体76まで延出され、制御棒クラスタ78を把持可能となっている。
この制御棒駆動装置80は、上下方向に延設されて制御棒クラスタ78に連結されると共に、その表面に複数の周溝を長手方向に等ピッチで配設してなる制御棒クラスタ駆動軸82を磁気式ジャッキで上下動させることで、原子炉の出力を制御している。
また、原子炉容器本体62は、下鏡66を貫通する多数の計装管台83が設けられ、この各計装管台83は、炉内側の上端部に炉内計装案内管84が連結される一方、炉外側の下端部にコンジットチューブ85が連結されている。各炉内計装案内管84は、上端部が下部炉心支持板70に連結されており、振動を抑制するための上下の連接板86,87が取付けられている。シンブルチューブ88は、中性子束を計測可能な中性子束検出器(図示略)が装着されており、コンジットチューブ85から計装管台83及び炉内計装案内管84を通り、下部炉心板74を貫通して燃料集合体76まで挿入可能となっている。
従って、制御棒駆動装置80により制御棒クラスタ駆動軸82を移動して燃料集合体76から制御棒77を所定量引き抜くことで、炉心75内での核分裂を制御し、発生した熱エネルギにより原子炉容器61内に充填された軽水が加熱され、高温の軽水が出口ノズル68から排出され、上述したように、蒸気発生器13に送られる。即ち、燃料集合体76を構成する原子燃料が核分裂することで中性子を放出し、減速材及び一次冷却水としての軽水が、放出された高速中性子の運動エネルギを低下させて熱中性子とし、新たな核分裂を起こしやすくすると共に、発生した熱を奪って冷却する。一方、制御棒77を燃料集合体76に挿入することで、炉心75内で生成される中性子数を調整し、また、制御棒77を燃料集合体76に全て挿入することで、原子炉を緊急に停止することができる。
また、原子炉容器61は、炉心75に対して、その上方に出口ノズル68に連通する上部プレナム89が形成されると共に、下方に下部プレナム90が形成されている。そして、原子炉容器61と炉心槽73との間に入口ノズル67及び下部プレナム90に連通するダウンカマー部91が形成されている。従って、軽水は、入口ノズル67から原子炉容器本体62内に流入し、ダウンカマー部91を下向きに流れ落ちて下部プレナム90に至り、この下部プレナム90の球面状の内面により上向きに案内されて上昇し、下部炉心支持板70及び下部炉心板74を通過した後、炉心75に流入する。この炉心75に流入した軽水は、炉心75を構成する燃料集合体76から発生する熱エネルギを吸収することで、この燃料集合体76を冷却する一方、高温となって上部炉心板72を通過して上部プレナム89まで上昇し、出口ノズル68を通って排出される。
このように構成された加圧水型原子炉12にて、原子炉容器61は、原子炉容器本体62の上部に原子炉容器蓋63が装着され、複数のスタッドボルト64及びナット65により締結されている。即ち、図7に示すように、原子炉容器本体62は、上部フランジ62aの上面部に周方向に等間隔で複数の雌ねじ孔62bが形成され、この各ねじ孔62bにスタッドボルト64の下ねじ部64aが螺合している。一方、原子炉容器蓋63は、外周フランジ部63aに周方向に等間隔で複数の貫通孔63bが形成されている。そして、原子炉容器蓋63は、各貫通孔63bに各スタッドボルト64が貫通するように原子炉容器本体62の上部フランジ62aに載置され、各スタッドボルト64の上ねじ部64bにナット65を螺合することで、原子炉容器本体62の上部に原子炉容器蓋63が締結されている。スタッドボルト64は、円柱形状をなす本体64cの下部に下ねじ部64aが形成され、上部に上ねじ部64bが形成されて構成されている。
ところで、加圧水型原子炉12は、十分な安全性や信頼性を確保するために各種の構造物などを定期的に検査する。この場合、原子炉容器本体62から原子炉容器蓋63を取外す必要があり、複数のスタッドボルト64からナット65を取外してスタッドボルト64を抜き取る。そして、取外されたスタッドボルト64とナット65を清掃する必要がある。
以下、本実施例のボルトの清掃装置について詳細に説明する。
図1は、実施例1のボルトの清掃装置を表す概略正面図、図2は、図1のII−II断面図、図3は、図1のIII−III断面図、図4は、ボルト支持ユニットを表す概略図である。
実施例1において、図1から図3に示すように、ボルトの清掃装置101は、清掃ハウジング111と、ボルト支持ユニット112と、ボルト駆動ユニット(駆動装置)113と、ブラスト装置114とを有している。なお、図1にて、右側のボルト支持ユニット112と、左側のブラスト装置114は、省略している。
清掃ハウジング111は、上部枠体121と側部枠体122と下部枠体123とからなると共に、周囲を透明板(図示略)により囲繞されて構成された中空形状をなしている。そして、この清掃ハウジング111は、複数の脚部124により所定の位置に設置され、上部に開口部125が形成され、開閉蓋126が回動自在に支持されることで、この開閉蓋126により開口部125を開閉可能となっている。また、清掃ハウジング111は、下部にホッパー127が取付けられると共に、ホッパー127の下部に排出管128が連結されている。
ボルト支持ユニット112は、清掃ハウジング111の内部で、その下部に着脱自在に設けられており、複数のスタッドボルト64を直立状態で支持可能となっている。また、ボルト駆動ユニット113は、このボルト支持ユニット112に支持された複数のスタッドボルト64を回転可能となっている。
清掃ハウジング111の下部枠体123は、矩形の枠体123aに対して1個の第1水平梁123bと、2個の第2水平梁123cとが水平方向に交差して構成されている。ボルト駆動ユニット113にて、駆動軸(出力軸)131は、下部枠体123の中心部に軸心が鉛直方向に沿って配置され、第1水平梁123bに設けられた軸受132により回転自在に支持されている。この駆動軸131は、下部枠体123の下方に突出し、下端部に従動スプロケット133が固定されている。一方、駆動モータ134は、下部枠体123の外周部に配置されており、出力軸に駆動スプロケット135が固定されている。そして、従動スプロケット133と駆動スプロケット135との間に無端のスプロケットチェーン136が掛け回されている。
ボルト支持ユニット112にて、従動軸(入力軸)141は、リング形状をなし、駆動軸131に対してスプライン嵌合可能となっている。即ち、駆動軸131が軸部で、従動軸141がボス部として機能する。この従動軸141は、外周部に円板形状をなす支持台142が相対回転自在に嵌合している。この支持台142は、複数(本実施例では、4個)の位置決めピン(位置決め部材)143により清掃ハウジング111の第2水平梁123cに位置決め支持されている。この各位置決めピン143は、各第2水平梁123cの上面に固定されており、支持台142を下降することで、この支持台142に形成された位置決め穴に嵌入することで、支持台142を位置決めすることができる。
また、支持台142は、上部にスタッドボルト64の下部を支持可能な複数(本実施例では、8個)の回転台144が周方向に所定の間隔(等間隔)で自転可能に支持されている。即ち、支持台142は、外周部に8個の開口142aが周方向に等間隔で形成されており、8個の回転台144がこの各開口142aに回転自在に嵌合している。この回転台144は、支持台142の円形をなす開口142aに嵌合して回転自在な円形をなす受け部144aと、受け部144aの周囲に形成された縁部144bと、受け部144aの底面に形成された位置決め孔144cとを有している。
そして、従動軸141は、支持台142の下部に第1歯車145が固定、例えば、キー連結されている。一方、各回転台144は、受け部144aが支持台142の下方に突出しており、その下部に第3歯車147が固定されている。また、支持台142は、下部に第2歯車146が周方向に等間隔で複数(本実施例では、8個)固定されている。1個の第1歯車145と、8個の第2歯車146と、8個の第3歯車147は、従動軸141の中心から放射方向(支持台142の径方向)に沿って配置されると共に、各歯車145,146,147が順にかみ合っている。
この場合、各回転台144を回転させる駆動力を伝達する駆動力伝達機構は、従動軸141と第1歯車145と第2歯車146と第3歯車147などにより構成されており、この駆動力伝達機構は、支持台142の下方に配置されている。
従って、駆動モータ134を駆動すると、出力軸により駆動スプロケット135が駆動回転し、この駆動回転力がスプロケットチェーン136を介して従動スプロケット133に伝達され、この従動スプロケット133が回転することで、駆動軸131が回転する。この駆動軸131が回転すると、スプライン嵌合する従動軸141が回転し、この回転力が第1歯車145、第2歯車146、第3歯車147を介して伝達され、各回転台144を回転することができる。このとき、従動軸141と支持台142は、相対回転可能であり、各位置決めピン143により清掃ハウジング111に支持されていることから、回転することはない。即ち、支持台142に支持された各回転台144が自転することとなる。
また、ボルト支持ユニット112にて、支持台142は、中心部に支持筒151が固定され、この支持筒151の上端部に4個の吊り部152が設けられている。即ち、図4に示すように、ボルト支持ユニット112は、従動軸141、支持台142、回転台144、第1歯車145、第2歯車146、第3歯車147、そして、支持筒151及び吊り部152により構成されており、清掃ハウジング111に対して着脱自在となっている。図示しないクレーンは、支持筒151の吊り部152を係止し、8個のスタッドボルト64が支持されたボルト支持ユニット112を吊上げ、清掃ハウジング111内に搬入することができると共に、清掃ハウジング111内から搬出することができる。
また、支持筒151は、外周部にスタッドボルト64の本体部64cを拘束する拘束アーム153が設けられている。そのため、支持台142上のスタッドボルト64は、下端部の位置決めピン64dが回転台144の位置決め孔144cに係止され、中間部の本体部64cが拘束アーム153に拘束されることとなる。
ブラスト装置114にて、図1及び図2に示すように、2つの第1ブラスト装置161が清掃ハウジング111内の左右両側に設けられており、両者はほぼ同様の構成となっている。2個の昇降台162は、スタッドボルト64の長さに対応した長さを有すると共に、支持台142の直径に対応した幅を有する板形状をなしている。清掃ハウジング111は、側部枠体122の対向する側部にそれぞれ鉛直方向に沿う一対のガイドレール163が固定されており、各昇降台162は、支持部材164を介して一対のガイドレール163に鉛直方向に沿って移動自在に支持されている。
また、清掃ハウジング111は、側部枠体122の対向する側部に一対のガイドレール163の間に位置して鉛直方向に沿うボールねじ軸165が支持部材166により回転自在に支持されている。昇降台162は、支持部材164の間にボールねじナット167が固定されており、このボールねじナット167は、ボールねじ軸165に螺合している。そして、ボールねじ軸165は、上端部に従動歯車168が固定されている。一方、駆動モータ169は、側部枠体122の外周部に配置されており、出力軸に駆動歯車170が固定されており、駆動歯車170と従動歯車168とは中間歯車171を介して噛みあっている。
各昇降台162は、左右一対第1噴射ノズル181a,181bが上端部と下端部に設けられている。上部第1噴射ノズル181aは、スタッドボルト64の上ねじ部64bに対応するものであり、下部第1噴射ノズル181bは、スタッドボルト64の下ねじ部64aに対応するものである。各第1噴射ノズル181a,181bは、所定の角度で広角した2個のノズル本体182a,182bを有し、それぞれが8個のスタッドボルト64の中心軸を指向している。
各第1噴射ノズル181a,181bは、図示しない供給ホースを介して研掃材供給源に連結されており、ノズル本体182a,182bからスタッドボルト64のねじ部64a,64bに向けて研掃材を噴射可能となっている。この場合、研掃材としては、ドライアイス粒子(ペレット)が最適であるが、他の研掃材であってもよい。
清掃ハウジング111は、平面視が矩形形状をなし、支持台142は円板形状をなしており、各第1噴射ノズル181a,181bは、清掃ハウジング111の角部で、且つ、支持台142の外周側に複数配置されている。そして、各第1噴射ノズル181a,181b(ノズル本体182a,182b)は、8個のスタッドボルト64に対応して複数設けられている。
従って、駆動モータ169を駆動すると、出力軸により駆動歯車170が駆動回転し、この駆動回転力が中間歯車171を介して従動歯車168に伝達され、この従動歯車168が回転することで、ボールねじ軸165が回転する。このボールねじ軸165が回転すると、螺合するボールねじナット167がボールねじ軸165の長手方向に沿って移動し、昇降台162が鉛直方向に移動し、各第1噴射ノズル181a,181bを昇降することができる。このとき、各第1噴射ノズル181a,181bは、ノズル本体182a,182bから研掃材を噴射することで、スタッドボルト64のねじ部64a,64bを清掃することができる。
なお、清掃ハウジング111は、上部に複数の照明191が配置されている。また、清掃ハウジング111は、側部にブラスト装置114によりスタッドボルト64のねじ部64a,64bから除去された異物を回収する回収装置192が設けられている。なお、193は、ボルト駆動ユニット113やブラスト装置114などの制御部である。
ここで、実施例1のボルトの清掃装置101を用いたスタッドボルト64の清掃作業について説明する。
図4に示すように、ボルト支持ユニット112を清掃ハウジング111から搬出した状態で、8個のスタッドボルト64を各回転台144上に載置し、位置決めピン64dを回転台144の位置決め孔144cに係止すると共に、拘束アーム153により本体部64cを拘束することで支持する。この状態で、クレーンを作動し、ボルト支持ユニット112における支持筒151の吊り部152にフック(図示略)を係止し、上昇させることで8個のスタッドボルト64が支持されたボルト支持ユニット112を吊上げる。
そして、クレーンによりボルト支持ユニット112を所定の位置まで移動し、図1に示すように、清掃ハウジング111の開閉蓋126を開放した後、吊上げたボルト支持ユニット112を下降し、清掃ハウジング111内に搬入する。このとき、ボルト支持ユニット112の従動軸141にボルト駆動ユニット113の駆動軸131を嵌合させることで、ボルト駆動ユニット113にボルト支持ユニット112を駆動連結させる。また、ボルト支持ユニット112の支持台142に形成された位置決め各穴を下部枠体123に固定された位置決めピン143にそれぞれ嵌入することで、支持台142を清掃ハウジング111に位置決めする。そして、清掃ハウジング111の開閉蓋126を閉止する。
ボルト支持ユニット112と共に8個のスタッドボルト64が清掃ハウジング111内に搬入されると、8個のスタッドボルト64に対する清掃作業を開始する。まず、駆動モータ134を駆動し、駆動スプロケット135、スプロケットチェーン136、従動スプロケット133を介して駆動軸131を回転する。この駆動軸131が回転すると、従動軸141が回転し、第1歯車145、第2歯車146、第3歯車147を介して各回転台144が回転する。すると、各回転台144に支持された各スタッドボルト64が回転する。
次に、駆動モータ169を駆動し、駆動歯車170、中間歯車171、従動歯車168を介してボールねじ軸165を回転する。ボールねじ軸165が回転すると、ボールねじナット167と共に昇降台162が鉛直方向に移動し、各第1噴射ノズル181a,181bが昇降する。この場合、各第1噴射ノズル181a,181bは、スタッドボルト64における各ねじ部64a,64bの長さ分だけ昇降(下降または上昇または上下動)する。このとき、研掃材供給源から各第1噴射ノズル181a,181bに研掃材を供給すると、各第1噴射ノズル181a,181bは、ノズル本体182a,182bからスタッドボルト64のねじ部64a,64bに研掃材を噴射する。
8個のスタッドボルト64は、清掃ハウジング111内で自転する間、回転する各上ねじ部64bに対して、対応する上部第1噴射ノズル181aの各ノズル本体182aから研掃材が噴射される。また、8個のスタッドボルト64は、清掃ハウジング111内で自転する間、回転する各下ねじ部64aに対して、対応する下部第1噴射ノズル181bの各ノズル本体182bから研掃材が噴射される。そのため、各スタッドボルト64は、各第1噴射ノズル181a,181bから噴射される研掃材により、各ねじ部64a,64bに付着している異物が除去される。
8個のスタッドボルト64に対する清掃作業が完了したら、各第1噴射ノズル181a,181bからの研掃材の噴射を停止し、駆動モータ169を停止することで、各第1噴射ノズル181a,181bの昇降を停止し、駆動モータ134を停止し、各回転台144に支持された各スタッドボルト64の回転を停止する。
そして、清掃ハウジング111の開閉蓋126を開放した後、クレーンを作動し、ボルト支持ユニット112における支持筒151の吊り部152にフックを係止し、上昇させることで8個のスタッドボルト64が支持されたボルト支持ユニット112を吊上げ、清掃ハウジング111から搬出する。その後、クレーンによりボルト支持ユニット112を所定の位置まで移動し、所定の位置に載置して保管する。
このように実施例1のボルトの清掃装置にあっては、開閉蓋126を有する中空の清掃ハウジング111と、清掃ハウジング111の下部に着脱自在に設けられて複数のスタッドボルト64を直立状態で支持可能なボルト支持ユニット112と、ボルト支持ユニット112に支持された複数のスタッドボルト64のねじ部64a,64bに対して研掃材を噴射可能なブラスト装置114とを設けている。
従って、ボルト支持ユニット112の支持台142は、複数のスタッドボルト64を直立状態で支持可能であり、この状態で清掃ハウジング111の下部に着脱自在であることから、複数のスタッドボルト64を清掃ハウジング111に容易に搬入及び搬出することができる。また、複数のスタッドボルト64を清掃ハウジング111に支持し、ブラスト装置114の各第1噴射ノズル181a,181bにより1度に全てのスタッドボルト64のねじ部64a,64bに対して研掃材を噴射することができ、スタッドボルト64のボルト清掃作業の作業性を向上することができる。
この場合、ボルト支持ユニット112の支持台142は、複数のスタッドボルト64を支持可能であることから、このボルト支持ユニット112を原子炉容器61の近傍まで移動し、取外したスタッドボルト64を直接支持することができる。また、清掃後のスタッドボルトを1時保管せずに、直接ボルト支持ユニット112により原子炉容器61の近傍まで移動し、スタッドボルト64を直接装着することができる。
実施例1のボルトの清掃装置では、支持台142上にスタッドボルト64の下部を支持可能な回転台144を周方向に所定の間隔で複数自転可能に支持し、各第1噴射ノズル181a,181b(ノズル本体182a,182b)を各スタッドボルト64に対応して複数設けている。従って、各スタッドボルト64は、回転台144と共に回転した状態で、各第1噴射ノズル181a,181bから噴射される研掃材により各ねじ部64a,64bが清掃されることとなり、スタッドボルト64を効率良く、且つ、適正に清掃することができる。
実施例1のボルトの清掃装置では、支持台142の下方に各回転台144を回転させる駆動力を伝達する駆動力伝達機構(第1歯車145と第2歯車146と第3歯車147)を配置している。従って、スタッドボルト64を回転台144に支持するとき、スタッドボルト64に水平方向の位置ずれがあっても、このスタッドボルト64が駆動力伝達機構に誤って接触することはなく、駆動力伝達機構の損傷を防止することができる。
実施例1のボルトの清掃装置では、清掃ハウジング111にボルト駆動ユニット113を設け、ボルト駆動ユニット113の駆動軸131とボルト支持ユニット112の従動軸141とをスプライン嵌合している。従って、ボルト駆動ユニット113に対するボルト支持ユニット112の着脱や清掃ハウジング111に対するボルト支持ユニット112の着脱を容易に行うことができる。
実施例1のボルトの清掃装置では、支持台144を複数の位置決めピン143により清掃ハウジング111の下部に位置決め支持している。従って、支持台144は、複数の位置決めピン143により清掃ハウジング111に位置決め支持されることで、支持台142により各回転台144を介して複数のスタッドボルト64をがたつくことなく適正に支持することができる。
実施例1のボルトの清掃装置では、清掃ハウジング111を矩形形状とし、支持台142を円板形状とし、各第1噴射ノズル181a,181bを清掃ハウジング111の角部で、且つ、支持台142の外周側に配置している。従って、各第1噴射ノズル181a,181bを空所に配置することで、清掃ハウジング111を大型化せずに第1噴射ノズル181a,181bを効果的に配置することができる。
実施例1のボルトの清掃装置では、清掃ハウジング111の上部に開口部125を形成し、開閉蓋126により開閉可能とし、ボルト支持ユニット112の中央部に吊り部152を設けている。従って、複数のスタッドボルト64が支持されたボルト支持ユニット112を吊上げ、清掃ハウジング111の上部の開口部125から搬入と搬出を行うことで、スタッドボルト64の移送作業の作業性を向上することができる。
図10は、実施例3のボルトの清掃装置を表す概略正面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例3において、図10に示すように、ボルトの清掃装置301は、清掃ハウジング111と、ボルト支持ユニット312と、ボルト駆動ユニット113と、ブラスト装置314とを有している。ここで、清掃ハウジング111とボルト駆動ユニット113は、前述した実施例1と同様の構成であることから、詳細な説明は省略する。
ボルト支持ユニット312にて、支持台142は、上部にナット65の下部を支持可能な8個の回転台321が周方向に所定の間隔(等間隔)で自転可能に支持されている。即ち、支持台142は、外周部に8個の開口142aが周方向に等間隔で形成されており、8個の回転台321がこの各開口142aに回転自在に嵌合している。この回転台321は、支持台142の円形をなす開口142aに嵌合して回転自在な円形をなす受け部321aと、受け部321aの周囲に形成された縁部321bとを有している。そして、この回転台321は、実施例1と同様に、下部に第3歯車147が固定されている。
なお、ボルト支持ユニット312は、実施例1のように、支持台142が上部にスタッドボルト64の下部を支持可能な8個の回転台144も自転可能に支持可能であり、支持台142に対して回転台144と回転台321を交換可能となっている。
従って、駆動モータ134を駆動すると、出力軸により駆動スプロケット135が駆動回転し、この駆動回転力がスプロケットチェーン136を介して従動スプロケット133に伝達され、この従動スプロケット133が回転することで、駆動軸131が回転する。この駆動軸131が回転すると、スプライン嵌合する従動軸141が回転し、この回転力が第1歯車145、第2歯車146、第3歯車147を介して伝達され、各回転台321を回転することができる。
ブラスト装置314は、第1ブラスト装置161と第2ブラスト装置331を有し、清掃ハウジング111内の左右両側に設けられている。昇降台162は、実施例1と同様に、昇降可能に支持されている。そして、この昇降台162は、上部に第1ブラスト装置161(第1噴射ノズル181a)が設けられ、下部に第2ブラスト装置331が設けられている。なお、第1噴射ノズル181aは、実施例1と同様である。
第2ブラスト装置331は、複数のナット65のねじ部に研掃材を噴射して清掃するものである。昇降台162は、下部に支持台332が取付けられ、この支持台332から下方へ垂下する支持軸333が連結され、下端部に第2噴射ノズル334が設けられている。第2噴射ノズル334は、ナット65のねじ部に向けて研掃材を噴射可能な2つのノズル本体335を有し、それぞれがナット65の内面を指向している。第2噴射ノズル334は、図示しない供給ホースを介して研掃材供給源に連結されており、ノズル本体335からナット65のねじ部に向けて研掃材を噴射可能となっている。
なお、ブラスト装置314は、実施例1のように、昇降台162に第1噴射ノズル181bも装着可能であり、昇降台162に対して下部第1噴射ノズル181bと第2ブラスト装置331(第2噴射ノズル334)を交換可能となっている。
ここで、実施例3のボルトの清掃装置301を用いたナット65の清掃作業について説明する。
まず、ボルト支持ユニット312を清掃ハウジング111から搬出した状態で、8個のナット65を各回転台321上に載置する。この状態で、クレーンを作動し、ボルト支持ユニット312における支持筒151の吊り部152にフックを係止し、上昇させることで8個のナット65が支持されたボルト支持ユニット312を吊上げる。そして、クレーンによりボルト支持ユニット312を所定の位置まで移動し、下降して清掃ハウジング111内に搬入する。
ボルト支持ユニット312と共に8個のナット65が清掃ハウジング111内に搬入されると、各回転台321と共に各ナット65を回転すると同時に、昇降台162と共に各第2噴射ノズル334を昇降し、この第2噴射ノズル334からナット65のねじ部に研掃材を噴射する。8個のナット65は、清掃ハウジング111内で自転する間、回転する各ねじ部に対して、各第2噴射ノズル334から研掃材が噴射されることで、各ねじ部に付着している異物が除去される。
なお、ここでは、第2ブラスト装置331によるナット65に対する清掃作業について説明したが、第1ブラスト装置161によるスタッドボルト64に対する清掃作業も行うことができ、スタッドボルト64の清掃作業とナット65の清掃作業を連続して実施することができる。
このように実施例3のボルトの清掃装置にあっては、複数のスタッドボルト64またはナット65を直立状態で支持可能なボルト支持ユニット312と、ボルト支持ユニット312に支持された複数のスタッドボルト64のねじ部64a,64bに対して研掃材を噴射可能な第1ブラスト装置161と、ボルト支持ユニット312に支持された複数のナット65のねじ部に対して研掃材を噴射可能な第2ブラスト装置331とを設けている。
従って、第1ブラスト装置161の第1噴射ノズル181a,181bにより複数のスタッドボルト64のねじ部64a,64bに対して研掃材を噴射することができ、また、第2ブラスト装置331の第2噴射ノズル334により複数のナット65のねじ部に対して研掃材を噴射することができ、スタッドボルト64及びナット65の清掃作業の作業性を向上することができる。
この場合、1個の回転台144、321を交換するだけで、1個のボルト支持ユニット312によりスタッドボルト64またはナット65を支持することができ、また、噴射ノズル181b,334を交換するだけでスタッドボルト64またはナット65を清掃することができ、1種類の装置でスタッドボルト64とナット65を清掃することが可能となり、作業性を向上することができる。