以下に添付図面を参照して、本発明に係る放射線遮蔽装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
図1は、本発明の一実施例に係る放射線遮蔽装置を表す原子炉プラントの要部正面図、図2は、本実施例の放射線遮蔽装置を表す原子炉プラントの要部平面図、図3は、本実施例の第1放射線遮蔽装置を表す正面図、図4は、本実施例の第1放射線遮蔽装置を表す縦断面図、図5は、本実施例の第1放射線遮蔽装置を表す図3のV−V断面図、図6は、本実施例の第1放射線遮蔽装置を表す水平断面図、図7は、本実施例の第1放射線遮蔽装置における水及び遮蔽材の供給系及び排出系を表す概略図、図8は、原子炉容器の下方に配置される第2放射線遮蔽装置を表す断面図、図9は、図8のIX−IX断面図、図10は、図8のX−X断面図、図11は、原子力発電プラントの概略構成図、図12は、加圧水型原子炉を表す縦断面図、図13は、加圧水型原子炉の下部に設けられる炉内計装管台を表す断面図である。
本実施例の原子炉は、軽水を原子炉冷却材及び中性子減速材として使用し、炉心全体にわたって沸騰しない高温高圧水とし、この高温高圧水を蒸気発生器に送って熱交換により蒸気を発生させ、この蒸気をタービン発電機へ送って発電する加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)である。
本実施例の加圧水型原子炉を有する原子力発電プラントにおいて、図11に示すように、原子炉格納容器11内には、加圧水型原子炉12及び蒸気発生器13が格納されており、この加圧水型原子炉12と蒸気発生器13とは冷却水配管14,15を介して連結されており、冷却水配管14に加圧器16が設けられ、冷却水配管15に冷却水ポンプ15aが設けられている。この場合、減速材及び一次冷却水(冷却材)として軽水を用い、炉心部における一次冷却水の沸騰を抑制するために、一次冷却系統は加圧器16により150〜160気圧程度の高圧状態を維持するように制御している。従って、加圧水型原子炉12にて、燃料(原子燃料)として低濃縮ウランまたはMOXにより一次冷却水として軽水が加熱され、高温の一次冷却水が加圧器16により所定の高圧に維持した状態で冷却水配管14を通して蒸気発生器13に送られる。この蒸気発生器13では、高圧高温の一次冷却水と二次冷却水との間で熱交換が行われ、冷やされた一次冷却水は冷却水配管15を通して加圧水型原子炉12に戻される。
蒸気発生器13は、蒸気タービン17と冷却水配管18を介して連結されており、この蒸気タービン17は高圧タービン19及び低圧タービン20を有すると共に、発電機21が接続されている。また、高圧タービン19と低圧タービン20との間には、湿分分離加熱器22が設けられており、冷却水配管18から分岐した冷却水分岐配管23が湿分分離加熱器22に連結される一方、高圧タービン19と湿分分離加熱器22は低温再熱管24により連結され、湿分分離加熱器22と低圧タービン20は高温再熱管25により連結されている。
更に、蒸気タービン17の低圧タービン20は、復水器26を有しており、この復水器26には冷却水(例えば、海水)を給排する取水管27及び排水管28が連結されている。この取水管27は、循環水ポンプ29を有し、排水管28と共に他端部が海中に配置されている。そして、この復水器26は、冷却水配管30を介して脱気器31に連結されており、この冷却水配管30に復水ポンプ32及び低圧給水加熱器33が設けられている。また、脱気器31は、冷却水配管34を介して蒸気発生器13に連結されており、この冷却水配管34には給水ポンプ35及び高圧給水加熱器36が設けられている。
従って、蒸気発生器13にて、高圧高温の一次冷却水と熱交換を行って生成された蒸気は、冷却水配管18を通して蒸気タービン17(高圧タービン19から低圧タービン20)に送られ、この蒸気により蒸気タービン17を駆動して発電機21により発電を行う。このとき、蒸気発生器13からの蒸気は、高圧タービン19を駆動した後、湿分分離加熱器22で蒸気に含まれる湿分が除去されると共に加熱されてから低圧タービン20を駆動する。そして、蒸気タービン17を駆動した蒸気は、復水器26で海水を用いて冷却されて復水となり、低圧給水加熱器33で、例えば、低圧タービン20から抽気した低圧蒸気により加熱され、脱気器31で溶存酸素や不凝結ガス(アンモニアガス)などの不純物が除去された後、高圧給水加熱器36で、例えば、高圧タービン19から抽気した高圧蒸気により加熱された後、蒸気発生器13に戻される。
このように構成された原子力発電プラントに適用された加圧水型原子炉12において、図12に示すように、原子炉容器41は、その内部に炉内構造物が挿入できるように、原子炉容器本体42とその上部に装着される原子炉容器蓋(上鏡)43により構成されており、この原子炉容器本体42に対して原子炉容器蓋43が複数のスタッドボルト44及びナット45により開閉可能に固定されている。
この原子炉容器本体42は、原子炉容器蓋43を取り外すことで上部が開口可能であり、下部が球面状をなす下鏡46により閉塞された円筒形状をなしている。そして、原子炉容器本体42は、上部に一次冷却水としての軽水(冷却材)を供給する入口ノズル(入口管台)47と、軽水を排出する出口ノズル(出口管台)48が形成されている。また、原子炉容器本体42は、この入口ノズル47及び出口ノズル48とは別に、図示しない注水ノズル(注水管台)が形成されている。
原子炉容器本体42は、内部にて、入口ノズル47及び出口ノズル48より上方に上部炉心支持板49が固定される一方、下方の下鏡46の近傍に位置して下部炉心支持板50が固定されている。この上部炉心支持板49及び下部炉心支持板50は、円板形状をなして図示しない多数の連通孔が形成されている。そして、上部炉心支持板49は、複数の炉心支持ロッド51を介して下方に図示しない多数の連通孔が形成された上部炉心板52が連結されている。
原子炉容器本体42は、内部に円筒形状をなす炉心槽53が内壁面と所定の隙間をもって配置されており、この炉心槽53は、上部が上部炉心板52に連結され、下部に円板形状をなして図示しない多数の連通孔が形成された下部炉心板54が連結されている。そして、この下部炉心板54は、下部炉心支持板50に支持されている。即ち、炉心槽53は、原子炉容器本体42の下部炉心支持板50に吊り下げ支持されることとなる。
炉心55は、上部炉心板52と炉心槽53と下部炉心板54により形成されており、この炉心55は、内部に多数の燃料集合体56が配置されている。この燃料集合体56は、図示しないが、多数の燃料棒が支持格子により格子状に束ねられて構成され、上端部に上部ノズルが固定される一方、下端部に下部ノズルが固定されている。また、炉心55は、内部に多数の制御棒57が配置されている。この多数の制御棒57は、上端部がまとめられて制御棒クラスタ58となり、燃料集合体57内に挿入可能となっている。上部炉心支持板49は、この上部炉心支持板49を貫通して多数の制御棒クラスタ案内管59が固定されており、各制御棒クラスタ案内管59は、下端部が燃料集合体56内の制御棒クラスタ58まで延出されている。
原子炉容器41を構成する原子炉容器蓋43は、上部に磁気式ジャッキの制御棒駆動装置60が設けられており、原子炉容器蓋43と一体をなすハウジング61内に収容されている。多数の制御棒クラスタ案内管59は、上端部が制御棒駆動装置60まで延出され、この制御棒駆動装置60から延出されて制御棒クラスタ駆動軸62が、制御棒クラスタ案内管59内を通って燃料集合体56まで延出され、制御棒クラスタ58を把持可能となっている。
この制御棒駆動装置60は、上下方向に延設されて制御棒クラスタ58に連結されると共に、その表面に複数の周溝を長手方向に等ピッチで配設してなる制御棒クラスタ駆動軸62を磁気式ジャッキで上下動させることで、原子炉の出力を制御している。
また、図13に詳細に示すように、原子炉容器本体42は、下鏡46を貫通する多数の計装管台63が設けられ、この各計装管台63は、炉内側の上端部に炉内計装案内管64が固定される一方、炉外側の下端部にコンジットチューブ65が連結されている。各炉内計装案内管64は、上端部が下部炉心支持板50に連結されており、振動を抑制するための上下の連接板66,67が取り付けられている。シンブルチューブ68は、中性子束を計測可能な中性子束検出器(図示略)が装着されており、コンジットチューブ65から計装管台63及び炉内計装案内管64を通り、下部炉心板54を貫通して燃料集合体56まで挿入可能となっている。
従って、制御棒駆動装置60により制御棒クラスタ駆動軸62を移動して燃料集合体56に制御棒57を挿入することで、炉心55内での核分裂を制御し、発生した熱エネルギにより原子炉容器41内に充填された軽水が加熱され、高温の軽水が出口ノズル48から排出され、上述したように、蒸気発生器13に送られる。即ち、燃料集合体56を構成する原子燃料が核分裂することで中性子を放出し、減速材及び一次冷却水としての軽水が、放出された高速中性子の運動エネルギを低下させて熱中性子とし、新たな核分裂を起こしやすくすると共に、発生した熱を奪って冷却する。また、制御棒57を燃料集合体56に挿入することで、炉心55内で生成される中性子数を調整し、また、原子炉を緊急に停止するときに炉心55に急速に挿入される。
また、原子炉容器41は、炉心55に対して、その上方に出口ノズル48に連通する上部プレナム69が形成されると共に、下方に下部プレナム70が形成されている。そして、原子炉容器41と炉心槽53との間に入口ノズル47及び下部プレナム70に連通するダウンカマー部71が形成されている。従って、軽水は、入口ノズル47から原子炉容器本体42内に流入し、ダウンカマー部71を下向きに流れ落ちて下部プレナム70に至り、この下部プレナム70の球面状の内面により上向きに案内されて上昇し、下部炉心支持板50及び下部炉心板54を通過した後、炉心55に流入する。この炉心55に流入した軽水は、炉心55を構成する燃料集合体56から発生する熱エネルギを吸収することで、この燃料集合体56を冷却する一方、高温となって上部炉心板52を通過して上部プレナム69まで上昇し、出口ノズル48を通って排出される。
このように構成された原子炉容器41にて、計装管台63は、原子炉容器本体42の下鏡46に貫通し、上部と下部が溶接(インコネル肉盛)75,76により固定されている。そのため、この溶接部75,76に対して、定期的な検査や補修が必要となる。この場合、計装管台63は、内部にシンブルチューブ68が挿通していることから、事前にこのシンブルチューブ68を除去する必要がある。しかし、シンブルチューブ68は、先端部に中性子束検出器77が装着されており、シンブルチューブ68の先端部や中性子束検出器77は、高い放射線量を有することからその取り扱いが難しい。
そこで、本実施例の放射線遮蔽方法は、図1及び図2に示すように、構造体としての原子炉容器41(原子炉容器本体42)の内部に配置された被遮蔽体としての中性子束検出器77及びシンブルチューブ68の先端部を遮蔽する方法であって、原子炉容器41の外部に放射線遮蔽領域A1を設ける工程と、原子炉容器41から中性子束検出器77を放射線遮蔽領域A1内に移動する工程とを有している。
この場合、原子炉容器41と放射線遮蔽領域A1は、湾曲した配管としてのコンジットチューブ65により連結されており、原子炉容器41からコンジットチューブ65を通して中性子束検出器77を放射線遮蔽領域A1内に移動する。
そして、本実施例の原子炉容器(構造体)41の処理方法は、原子炉容器本体42の下鏡46に溶接(インコネル肉盛)75,76により固定された計装管台63の検査作業や補修作業を行う方法であって、原子炉容器41の外部に放射線遮蔽領域A1を設ける工程と、原子炉容器41から中性子束検出器77を放射線遮蔽領域A1内に移動する工程と、原子炉容器41から中性子束検出器77が取り出された後に計装管台63(図12参照)の検査作業や補修作業を行う工程とを有している。
即ち、原子炉容器41は、岩盤等の堅固な地盤上に設置されたコンクリート構造物81により支持されている。原子炉容器41は、このコンクリート構造物81に形成された円筒部82に配置され、吊り下げ支持されている。そして、コンクリート構造物81は、原子炉容器41の下方に位置してキャビティ83が形成されている。多数のコンジットチューブ65は、一端部が原子炉容器41の下部に連結され、キャビティ83内を湾曲して配設されており、他端部が上方に延出されている。そして、この多数のコンジットチューブ65は、複数の支持部材84によりキャビティ83の床面及び壁面に支持されている。
そして、中性子束検出器77は、シンブルチューブ68(図13参照)の先端部に装着されており、コンジットチューブ65の他端部側から挿入され、原子炉の稼動時には、原子炉容器41内に配置されており、中性子束検出器77を含むシンブルチューブ68の先端部は、所定長さにわたって放射性物質が付着し、放射線量が高くなっている。本実施例にて、第1放射線遮蔽装置100は、原子炉容器41から取り出された中性子束検出器77を含むシンブルチューブ68の先端部を遮蔽するものであって、原子炉容器41の外部におけるキャビティ83の床面に放射線遮蔽領域A1を構成するように設置される。また、第2放射線遮蔽装置200は、原子炉容器41の下方に作業エリアを確保するために、原子炉容器41の内部にある放射線遮蔽領域A2を遮蔽するように配置される。
第1放射線遮蔽装置100は、図3乃至図6に示すように、周囲を取り囲むことで所定の大きさの放射線遮蔽領域A1を形成する中空の第1容器101及び第2容器102,103と、粒状をなす多数の遮蔽材104が収容されて第1容器101内に充填される複数の遮蔽材充填ジャケット105と、第2容器102,103内に充填される粒状をなす多数の遮蔽材104とから構成されている。
この場合、2つの第1容器101は、コンジットチューブ65に直交する側の一対の縦壁を構成し、2つの第2容器102は、コンジットチューブ65に沿う側の一対の縦壁を構成し、7つの第2容器103は、屋根を構成している。そして、第1容器101は、多数のコンジットチューブ65が貫通している。
第1容器101は、2枚の縦板111が所定間隔をあけて立設され、4つの支持枠112により固定されて形成されて中空形状となっており、各縦板111は、上下方向に沿って上方に開口する貫通溝113が複数左右方向に並んで形成されている。この各貫通溝113は、複数のコンジットチューブ65が貫通可能となっており、この各コンジットチューブ65を避けてコンジットチューブ65の長手方向に直交する方向に縦板111を立設させるためのものである。なお、2枚の縦板111の間隔は、遮蔽するもの(中性子束検出装置77及びシンブルチューブ68の先端部)の放射線量に応じて、更に、遮蔽材104の材質や質量などに応じて設定される。
この2つの第1容器101は、同様の構成をなし、コンジットチューブ65の長手方向に直交するように所定間隔をあけて配置されている。2つの第1容器101が離間する距離は、射線遮蔽領域A1を構成する長さ、つまり、原子炉容器41内に配置される中性子束検出器77を含むシンブルチューブ68の長さより若干長い長さとなっている。
第2容器102は、中空に形成されており、例えば、ステンレスなどの剛性体、プラスチック、ウレタンゴムなどの可撓性及び伸縮性を有する材料により構成されている。第2容器102は、ステンレスやプラスチックで構成されることで、高い剛性を確保することができる。一方、第2容器102は、ウレタンゴムで構成されることで、可撓性により小さく畳めるので運搬に適し、且つ、伸縮性により所定の位置に密着させることができる。なお、本実施例では、第2容器102を第1容器101に隣接するように床面に配置するものであるから、ステンレスやプラスチックにより構成することで、その形状を安定させることが望ましい。
この2つの第2容器102は、同様の構成をなし、コンジットチューブ65の長手方向に平行となるようにコンジットチューブ65の両側に所定間隔をあけて配置されている。2つの第1容器101は、水平方向における各端部が各第1容器101の端部と密着するように配置することが望ましい。
2つの第1容器101と2つの第2容器102とにより四方の縦壁が構成されており、各容器101,102の上方には複数の屋根板121が載置されており、この各屋根板121は、複数の縦板111や複数の支柱122により支持されている。この各屋根板121は、コンジットチューブ65の湾曲形状に応じて端部の屋根板121が傾斜状態となっている。そして、各屋根板121は、必要に応じて縦板111や支柱122と図示しないボルトや溶接などにより連結することが望ましい。
第2容器103は、第2容器102と同様に、中空に形成されており、例えば、ステンレスなどの剛性体、またはプラスチック、ウレタンゴムなどの可撓性及び伸縮性を有する材料により構成されている。この6つの第2容器103は、同様の構成をなし、各屋根板121の上部に互いに密着するように載置されている。なお、本実施例では、第2容器103を屋根板121の上部に配置するものであるから、ウレタンゴムにより構成することで、軽量化させることが望ましい。
そして、第1容器101は、内部に複数の遮蔽材充填ジャケット105が充填され、第2容器102,103は、内部に多数の遮蔽材104が充填される。この遮蔽材104は、タングステン粉を樹脂材で粒状に固めたタングステン含有ペレット、ステンレスを粒状に加工したステンレス粒、鉛を粒状に加工した鉛粒、劣化ウランを粒状にした劣化ウラン粒などを適用することが望ましい。そして、この遮蔽材104は、第2容器102,103内での堆積を一様にするために粒形や粒の大きさを同じに形成するとよい。
また、遮蔽材充填ジャケット105は、袋形状をなす容器であり、一定の強度を有すると共に、可撓性及び伸縮性を有する材料により構成されている。例えば、アラミド繊維(芳香族ポリアミド系樹脂)により形成することが望ましく、その他、プラスチックやゴムなどにより形成してもよい。そして、遮蔽材充填ジャケット105は、内部に遮蔽材104が充填されている。そのため、遮蔽材充填ジャケット105は、その形状が自由に変更可能であり、第1容器101内に充填されると、その周囲の形状や隣接する遮蔽材充填ジャケット105同士の形状に合わせて変形し、隙間なく第1容器101の空間に隙間なく充填されることとなる。この場合、第1容器101は、貫通溝113を有する複数の縦板111により構成されていることから、遮蔽材充填ジャケット105は、貫通溝113から外部に出ない大きさに設定することが望ましい。
ここで、第1放射線遮蔽装置100の第2容器102,103に対する水及び遮蔽材の供給系及び排出系について説明する。図7に示すように、第2容器102,103に対する遮蔽材の供給系は、タンクユニット151と、第1供給配管152と、ポンプ153と、第2供給配管154と、遮蔽材供給ホッパ155と、第1排出配管156と、第2排出配管157とから構成されている。一方、第2容器102,103に対する遮蔽材の排出系は、タンクユニット151と、第1供給配管152と、ポンプ153と、第3供給配管158と、第3排出配管159とから構成されている。そして、第2供給配管154と第3供給配管158とを切り替える切替弁160,161が設けられると共に、第1排出配管156と第3排出配管159とを切り替える切替弁162,163が設けられている。
タンクユニット151は、第2容器102,103に供給すると共に第2容器102,103から排出された水を貯留する水貯留部151aと、第2容器102,103から戻された遮蔽材を分離する分離部151bを有している。この場合、水は、流体でよく、水以外に、純水、ホウ酸水、ポリビニルアルコール、シリコンオイル、空気などが適用される。
遮蔽材供給ホッパ155は、遮蔽材(104,203)を貯蔵し、底開式の漏斗型の底口から遮蔽材を定量だけ落下させるものである。この遮蔽材供給ホッパ155は、遮蔽材を第2供給配管154におけるポンプ153より下流側に接続されており、この接続部に開閉弁164が設けられている。
なお、第2容器102,103と第1排出配管156との接続部には、水だけが排出されて遮蔽材が排出されないようなフィルタが設けられている。また、第2容器102,103と第3排出配管159との接続部には、水だけでなく遮蔽材も排出されるようになっている。
また、第2放射線遮蔽装置200は、図8乃至図10に示すように、放射線遮蔽領域A2としての原子炉容器41の下方を取り囲むものであり、原子炉容器41の下部外周を被覆する中空の第3容器201と、原子炉容器41の下部を被覆する中空の第4容器202と、各容器201,202内に充填される粒状をなす多数の遮蔽材203とから構成されている。
第3容器201は、中空に形成されており、例えば、ステンレスなどの剛性体、または、プラスチック、ウレタンゴムなどの可撓性及び伸縮性を有する材料により構成されている。この第3容器201は、コンクリート構造物81の円筒部82と原子炉容器41との間の隙間を塞ぐように、下部の厚さが徐々に厚くなるような形状をなし、原子炉容器41の外側に周方向に沿って複数並んで密着するように配置されている。また、第4容器202は、中空に形成されており、例えば、ステンレス、プラスチック、ウレタンゴムなどの可撓性及び伸縮性を有する材料により構成されている。この第4容器202は、原子炉容器41とコンクリート構造物81に支持された支持台84との間の隙間を塞ぐような棒状をなし、原子炉容器41の下側に複数並んで密着するように配置されている。この場合、複数の第4容器202は、複数のコンジットチューブ65を避けるような形状をなし、互いに密着することで、円形を成している。なお、本実施例では、第3、第4容器201,202を支持台84の上部に配置するものであるから、ウレタンゴムにより構成することで、軽量化させると共に、可撓性及び伸縮性を有するものとすることが望ましい。
そして、各容器201,202は、内部に多数の遮蔽材203が充填される。この遮蔽材203は、遮蔽材104と同様に、タングステン粉を樹脂材で粒状に固めたタングステン含有ペレット、ステンレスを粒状に加工したステンレス粒、鉛を粒状に加工した鉛粒、劣化ウランを粒状にした劣化ウラン粒などを適用することが望ましい。そして、この遮蔽材104は、第2容器102,103内での堆積を一様にするために粒形や粒の大きさを同じに形成するとよい。
なお、第2放射線遮蔽装置200の第3、第4容器201,202に対する水及び遮蔽材の供給系及び排出系は、第1放射線遮蔽装置100の第2容器102,103に対する水及び遮蔽材の供給系及び排出系と同様であることから詳細な説明は省略する。
以下、第1、第2放射線遮蔽装置100,200による放射線遮蔽方法及び原子炉容器41の処理方法について説明する。
まず、図1及び図2に示すように、原子炉容器41の下方に第2放射線遮蔽装置200を設置することで、その下方の作業エリアを放射線遮蔽領域A2から遮蔽する。この場合、所定の位置に第3、第4容器201,202を配置し、内部に水と遮蔽材を供給する一方、内部から水だけを排出することで、第3、第4容器201,202の内部に遮蔽材を充填する。従って、原子炉容器41の下方に第2放射線遮蔽装置200が設置され、その下方の作業エリアが放射線遮蔽領域A2から遮蔽される。
次に、コンクリート構造物81のキャビティ83に、原子炉容器41から取り出す中性子束検出器77及びシンブルチューブ68を遮蔽する第1放射線遮蔽装置100を設置する。即ち、図3乃至図6に示すように、作業者は、キャビティ83に入り、複数のコンジットチューブ65が貫通溝113に入り込むように4枚の縦板111を所定の位置に立設し、各支持枠112により固定する。この作業により、複数のコンジットチューブ65の長手方向に直交する2つの縦壁となる2つの第1容器101が形成される。続いて、複数のコンジットチューブ65の両側に2つの第2容器102を、各第1容器101と密着するように配置する。
そして、この各第1容器101内に複数の遮蔽材充填ジャケット105を充填する。この場合、多数の遮蔽材充填ジャケット105は、変形可能であることから、第1容器101内に充填されたとき、第1容器101の内壁面や複数のコンジットチューブ65、また、遮蔽材充填ジャケット105同士の形状に合わせて変形し、第1容器101内に隙間なく充填される。また、遮蔽材充填ジャケット105は、所定の大きさに設定されていることから、縦板111の貫通溝113から外部に出ないように、この貫通溝113を閉塞することとなる。なお、図4乃至図6では、遮蔽材充填ジャケット105を円形に記載しているが、実際には、変形して第1容器101内に隙間なく充填される。
2つの第1容器101と2つの第2容器102により四方の縦壁が形成されると、各容器101,102の上方に複数の屋根板121を載置する。続いて、この各屋根板121の上部に互いに密着するように6つの第2容器103を配置する。そして、図7に示すように、第2容器102,103に対して、水及び遮蔽材の供給系及び排出系として、各供給配管154,158と各排出配管156,159を接続し、切替弁160,162を開放する。
この状態で、ポンプ153を作動することで、タンクユニット151の水を第1、第2供給配管152,154を通して第2容器102,103に供給し、この第2容器102,103内を水で満たす。続いて、開閉弁164を開放することで、遮蔽材供給ホッパ155から第2供給配管154に遮蔽材を供給する。これにより、第2容器102,103内に水と共に遮蔽材が送られることとなり、遮蔽材が底部に漸次堆積される。一方、第2容器102,103に供給された水は、第1、第2排出配管156,157を通してタンクユニット151に戻されて循環する。
そして、第2容器102,103内に遮蔽材が十分に充填されると、ポンプ153の作動を停止すると共に、切替弁160,162を閉止する。従って、第2容器102,103内への水と遮蔽材の供給が停止する。その結果、第2容器102,103は、水と遮蔽材が適正量だけ充填される。
このように第1容器101内に複数の遮蔽材充填ジャケット105が充填されると共に、第2容器102,103内に多数の遮蔽材が充填されることで、第1放射線遮蔽装置100により放射線遮蔽領域A1が構成される。
キャビティ83に第1放射線遮蔽装置100により放射線遮蔽領域A1が構成されると、作業者は、キャビティ83から退避する。そして、図5及び図6に示すように、各シンブルチューブ68を各コンジットチューブ35に沿って移動することで、放射線量が高い中性子束検出器77及びシンブルチューブ68を原子炉容器41から取り出し、第1放射線遮蔽装置100で遮蔽された放射線遮蔽領域A1内に移動する。この場合、放射線量が高い中性子束検出器77及びシンブルチューブ68は、長さがLであり、放射線遮蔽領域A1内に十分に収めることができる。
このように放射線量が高い中性子束検出器77及びシンブルチューブ68は、原子炉容器41から取り出されて放射線遮蔽領域A1に収容される。このとき、第1放射線遮蔽装置100は、遮蔽材104により構成されていることから、中性子束検出器77及びシンブルチューブ68の先端部から放射線が漏洩することはない。また、中性子束検出器77及びシンブルチューブ68の先端部が案内されるコンジットチューブ65は、前後の各第1容器101側が湾曲していることから、このコンジットチューブ65を通して放射線が漏洩することはない。
そして、中性子束検出器77及びシンブルチューブ68が取り出された原子炉容器41に対して、上方から作業者がアクセスすることで、原子炉容器41の計装管台63(図13参照)に対する検査作業や補修作業を行う。この場合、原子炉容器41の計装管台63に対する各種作業は、第2放射線遮蔽装置200における第4容器202が障害になることから、邪魔になる第4容器202に対して遮蔽材203を所定量または全量除去してしぼむように変形させるとよい。
その後、原子炉容器41の計装管台63に対する検査作業や補修作業が完了したら、中性子束検出器77及びシンブルチューブ68を原子炉容器41に戻し、各放射線遮蔽装置100,200を撤去する。
即ち、まず、各シンブルチューブ68を各コンジットチューブ65に沿って前述とは逆に移動することで、放射線遮蔽領域A1内の中性子束検出器77及びシンブルチューブ68を原子炉容器41内に移動する。そして、図7に示すように、切替弁161,163を開放し、ポンプ153を作動することで、タンクユニット151の水を第1、第3供給配管152,158を通して第2容器102,103に供給し、第2容器102,103内に充填されている水と遮蔽材を第3、第2排出配管159,157を通してタンクユニット151に戻す。
そして、第2容器102,103内の遮蔽材が全て排出されると、ポンプ153の作動を停止すると共に、切替弁161,163を閉止する。従って、第2容器102,103内への水の供給が停止する。その結果、第2容器102,103は、遮蔽材が全て排出される。
第2容器102,103内の遮蔽材が排出されると、この第2容器102,103を解体する。そして、第1容器101内から複数の遮蔽材充填ジャケット105を取り出した後、この第1容器101を解体する。これにより、第1放射線遮蔽装置100が撤去される。同様に、第2放射線遮蔽装置200も撤去する。ここで、全ての作業が完了する。
このように本実施例の放射線遮蔽方法にあっては、原子炉容器41の内部に配置された中性子束検出器77を遮蔽するために、原子炉容器41の外部に第1放射線遮蔽領域A1を設ける工程と、原子炉容器41から中性子束検出器77を放射線遮蔽領域A1内に移動する工程とを設けている。
従って、原子炉容器41の外部に予め放射線遮蔽領域A1を設けておき、原子炉容器41からシンブルチューブ68により中性子束検出器77をこの放射線遮蔽領域A1内に移動して遮蔽することとなり、作業者が中性子束検出器77に近づく必要がなく、容易に中性子束検出器77を遮蔽することができ、作業者に照射される放射線量を十分に低減することができ、作業の安全性を向上することができる。そして、中性子束検出器77とシンブルチューブ68とを切断する必要がなく、再利用が可能となり、コスト低減に寄与することができる。
また、本実施例の放射線遮蔽方法では、原子炉容器41と放射線遮蔽領域A1とが湾曲したコンジットチューブ65により連結し、原子炉容器41からコンジットチューブ65を通して中性子束検出器77を放射線遮蔽領域A1内に移動している。従って、原子炉容器41内の中性子束検出器77を湾曲したコンジットチューブ65により放射線遮蔽領域A1内に移動することで、放射線遮蔽領域A1にある中性子束検出器77からの放射線は、湾曲したコンジットチューブ65により適正に遮蔽することができる。
また、本実施例の放射線遮蔽方法では、周囲を中空の容器102,102,103により取り囲み、容器101内に粒状をなす多数の遮蔽材104が収容された遮蔽材充填ジャケット105を複数充填することで、放射線遮蔽領域A1を構成している。従って、容器101内に遮蔽材充填ジャケット105を複数充填するだけで、中性子束検出器77を遮蔽可能な放射線遮蔽領域A1を容易に、且つ、短時間で設置することができる。この場合、多数の遮蔽材104が収容された遮蔽材充填ジャケット105を用いることで、粒状の遮蔽材104の取り扱いが容易となり、遮蔽材104の供給装置などを不要として作業の簡素化を可能とすることができる。
また、本実施例の放射線遮蔽方法では、周囲を中空の容器102,102,103により取り囲み、容器102,103内に水と共に粒状をなす多数の遮蔽材104を供給することで、放射線遮蔽領域A1を構成している。従って、容器内102,103に水と共に粒状をなす遮蔽材104を供給するだけで、中性子束検出器77を遮蔽可能な放射線遮蔽領域A1を容易に設置することができる。この場合、容器内102,103を設置してから遮蔽材104を供給すればよく、作業者に照射される放射線量を十分に低減することができる。また、補修作業の終了後、容器102,103に水を供給して粒状をなす多数の遮蔽材104を回収することができ、後処理工程が容易となり、遮蔽材104の再利用を可能とすることで、処理コストを低減することができる。
また、本実施例の放射線遮蔽装置にあっては、周囲を取り囲むことで所定の大きさの放射線遮蔽領域A1を形成する中空の容器102,102,103と、粒状をなす多数の遮蔽材104が収容されて容器101内に充填される複数の遮蔽材充填ジャケット105とを設けている。
従って、中空の容器101内に粒状をなす多数の遮蔽材104が収容された複数の遮蔽材充填ジャケット105を充填するだけで、放射線遮蔽領域A1を容易に設置することができ、作業者に照射される放射線量を十分に低減することができる。そして、遮蔽材104や遮蔽材充填ジャケット105を回収して再利用可能であることから、作業コストを低減することができる。
また、本実施例の放射線遮蔽装置では、放射線遮蔽領域A1の縦壁を構成する第1容器101と、放射線遮蔽領域A1の縦壁を構成する第2容器102と、放射線遮蔽領域A1の屋根を構成する第2容器103とを設け、複数の縦板111を所定間隔をあけて立設して第1容器101を形成し、この複数の縦板111の間に遮蔽材充填ジャケット105を充填している。従って、複数の縦板111により第1容器101を構成することで、構造の簡素化を可能とすることができ、また、この縦板111の間に遮蔽材充填ジャケット105を充填することで、放射線遮蔽領域A1の縦壁を容易に構成することができる。
また、本実施例の放射線遮蔽装置では、放射線遮蔽領域A1を貫通して中性子束検出器77及びシンブルチューブ68を案内するコンジットチューブ65を設け、縦板111にコンジットチューブ65が貫通する貫通溝113を形成している。従って、放射線遮蔽領域A1を貫通するコンジットチューブ65を設けることで、中性子束検出器77を放射線遮蔽領域A1に容易に案内することが可能となり、また、縦板111に貫通溝113を形成することで、コンジットチューブ65を容易に放射線遮蔽領域A1内に導くことが可能となる。
また、本実施例の放射線遮蔽装置では、第2容器102,103内に粒状をなす複数の遮蔽材104を充填している。従って、第2容器102,103内に粒状をなす遮蔽材104を充填するだけで、容易に放射線遮蔽領域A1の縦壁と屋根を形成することができる。また、補修作業の終了後、容器102,103に水を供給して粒状をなす多数の遮蔽材104を回収することができ、後処理工程が容易となり、遮蔽材104の再利用を可能とすることで、処理コストを低減することができる。
また、本実施例の構造体の処理方向にあっては、原子炉容器41の内部に配置された中性子束検出器77を遮蔽するために、原子炉容器41の外部に第1放射線遮蔽領域A1を設ける工程と、原子炉容器41から中性子束検出器77を放射線遮蔽領域A1内に移動する工程と、原子炉容器41から中性子束検出器77が取り出された後に原子炉容器41の計装管台63を点検・補修する工程とを設けている。
従って、原子炉容器41の外部に予め放射線遮蔽領域A1を設けておき、原子炉容器41から中性子束検出器77をこの放射線遮蔽領域A1内に移動して遮蔽した後、計装管台63を点検・補修することとなり、作業者が中性子束検出器77に近づく必要がなく、容易に中性子束検出器77を遮蔽することができ、作業者は、中性子束検出器77が取り出された原子炉容器41に対して安全に作業を行うことが可能となり、作業者に照射される放射線量を十分に低減することができる。
なお、上述した実施例では、容器101,102,103により第1放射線遮蔽装置100を構成することで、放射線遮蔽領域A1を区画したが、その形状は、適宜変更可能である。即ち、複数のコンジットチューブ65が配置されたキャビティ83の側方がコンクリートの壁面であるときには、第2容器102を省略してもよい。また、第1放射線遮蔽装置100をキャビティ83の床面に設置したが、床面と縦壁の隅部や縦壁などに設置することもできる。
また、上述した実施例では、複数の貫通溝113が形成された2枚の縦板111を所定間隔をあけて立設し、4つの支持枠112により固定することで、中空形状をなす第1容器101を構成したが、第1容器101は、この構成に限定されるものではない。例えば、複数の貫通溝113は、下方に開口したり、水平方向に沿って形成して側方に開口するように形成してもよい。また、第1容器を上下に分割し、下部に第2容器102と同様な容器を配置し、その上部に貫通溝が形成された2枚の縦板からなる容器を載置して構成してもよい。即ち、第1容器は、複数のコンジットチューブ65が貫通する開口部があって、内部に複数の遮蔽材充填ジャケットを充填することができれば、どのような形状であってもよい。
また、上述した実施例では、被遮蔽体として中性子束検出器77やシンブルチューブ68を適用したが、これに限定されるものではない。また、被処理部を計装管台63としたが、これに限らず、原子炉容器41のいずれの箇所を処理することもできる。
また、上述した実施例では、構造体を原子炉容器41に適用して説明したが、蒸気発生器13に適用してもよい。更に、原子炉を加圧水型原子炉としたが、沸騰水型原子炉であってもよい。