以下に添付図面を参照して、本発明に係る制御棒クラスタ案内管の回収方法及び装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
図12は、原子力発電プラントの概略構成図、図13は、加圧水型原子炉を表す縦断面図、図14は、制御棒クラスタ案内管を表す概略図である。
本実施例の原子炉は、軽水を原子炉冷却材及び中性子減速材として使用し、炉心全体にわたって沸騰しない高温高圧水とし、この高温高圧水を蒸気発生器に送って熱交換により蒸気を発生させ、この蒸気をタービン発電機へ送って発電する加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)である。
本実施例の加圧水型原子炉を有する原子力発電プラントにおいて、図12に示すように、原子炉格納容器11は、内部に加圧水型原子炉12及び蒸気発生器13が格納されており、この加圧水型原子炉12と蒸気発生器13とは高温側送給配管14と低温側送給配管15を介して連結されており、高温側送給配管14に加圧器16が設けられ、低温側送給配管15に一次冷却水ポンプ17が設けられている。この場合、減速材及び一次冷却水(冷却材)として軽水を用い、炉心部における一次冷却水の沸騰を抑制するために、一次冷却系統は加圧器16により150〜160気圧程度の高圧状態を維持するように制御している。
従って、加圧水型原子炉12にて、燃料(原子燃料)として低濃縮ウランまたはMOXにより一次冷却水として軽水が加熱され、高温の一次冷却水が加圧器16により所定の高圧に維持された状態で、高温側送給配管14を通して蒸気発生器13に送られる。この蒸気発生器13では、高温高圧の一次冷却水と二次冷却水との間で熱交換が行われ、冷やされた一次冷却水は低温側送給配管15を通して加圧水型原子炉12に戻される。
蒸気発生器13は、加熱された二次冷却水、つまり、蒸気を送給する配管31を介して蒸気タービン32と連結されており、この配管31に主蒸気隔離弁33が設けられている。蒸気タービン32は、高圧タービン34と低圧タービン35を有すると共に、発電機(発電装置)36が接続されている。また、高圧タービン34と低圧タービン35は、その間に湿分分離加熱器37が設けられており、配管31から分岐した冷却水分岐配管38が湿分分離加熱器37に連結される一方、高圧タービン34と湿分分離加熱器37は低温再熱管39により連結され、湿分分離加熱器37と低圧タービン35は高温再熱管40により連結されている。
更に、蒸気タービン32の低圧タービン35は、復水器41を有しており、この復水器41は、配管31からバイパス弁42を有するタービンバイパス配管43が接続されると共に、冷却水(例えば、海水)を給排する取水管44及び排水管45が連結されている。この取水管44は、循環水ポンプ46を有し、排水管45と共に他端部が海中に配置されている。
そして、この復水器41は、配管47が接続されており、復水ポンプ48、グランドコンデンサ49、復水脱塩装置50、復水ブースタポンプ51、低圧給水加熱器52が接続されている。また、配管47は、脱気器53が連結されると共に、主給水ポンプ54、高圧給水加熱器55、主給水制御弁56が設けられている。
従って、蒸気発生器13にて、高温高圧の一次冷却水と熱交換を行って生成された蒸気は、配管31を通して蒸気タービン32(高圧タービン34から低圧タービン35)に送られ、この蒸気により蒸気タービン32を駆動して発電機36により発電を行う。このとき、蒸気発生器13からの蒸気は、高圧タービン34を駆動した後、湿分分離加熱器37で蒸気に含まれる湿分が除去されると共に加熱されてから低圧タービン35を駆動する。そして、蒸気タービン32を駆動した蒸気は、復水器41で海水を用いて冷却されて復水となり、グランドコンデンサ49、復水脱塩装置50、低圧給水加熱器52、脱気器53、高圧給水加熱器55などを通して蒸気発生器13に戻される。
このように構成された原子力発電プラントの加圧水型原子炉12において、図13に示すように、原子炉容器61は、その内部に炉内構造物が挿入できるように、原子炉容器本体62とその上部に装着される原子炉容器蓋(上鏡)63により構成されており、この原子炉容器本体62に対して原子炉容器蓋63が複数のスタッドボルト64及びナット65により開閉可能に固定されている。
この原子炉容器本体62は、原子炉容器蓋63を取り外すことで上部が開口可能であり、下部が半球形状をなす下鏡66により閉塞された円筒形状をなしている。そして、原子炉容器本体62は、上部に一次冷却水としての軽水(冷却材)を供給する入口ノズル(入口管台)67と、軽水を排出する出口ノズル(出口管台)68が形成されている。また、原子炉容器本体62は、この入口ノズル67及び出口ノズル68とは別に、図示しない注水ノズル(注水管台)が形成されている。
原子炉容器本体62は、内部にて、入口ノズル67及び出口ノズル68より上方に上部炉心支持板69が固定される一方、下方の下鏡66の近傍に位置して下部炉心支持板70が固定されている。この上部炉心支持板69及び下部炉心支持板70は、円板形状をなして図示しない多数の連通孔が形成されている。そして、上部炉心支持板69は、複数の炉心支持ロッド71を介して下方に図示しない多数の連通孔が形成された上部炉心板72が連結されている。
原子炉容器本体62は、内部に円筒形状をなす炉心槽73が内壁面と所定の隙間をもって配置されており、この炉心槽73は、上部が上部炉心板72に連結され、下部に円板形状をなして図示しない多数の連通孔が形成された下部炉心板74が連結されている。そして、この下部炉心板74は、下部炉心支持板70に支持されている。即ち、炉心槽73は、原子炉容器本体62の下部炉心支持板70に吊り下げ支持されることとなる。
炉心75は、上部炉心板72と炉心槽73と下部炉心板74により形成されており、この炉心75は、内部に多数の燃料集合体76が配置されている。この燃料集合体76は、図示しないが、多数の燃料棒が支持格子により格子状に束ねられて構成され、上端部に上部ノズルが固定される一方、下端部に下部ノズルが固定されている。また、炉心75は、内部に多数の制御棒77が配置されている。この多数の制御棒77は、上端部がまとめられて制御棒クラスタ78となり、燃料集合体76内に挿入可能となっている。上部炉心支持板69は、この上部炉心支持板69を貫通して多数の制御棒クラスタ案内管79が固定されており、各制御棒クラスタ案内管79は、下端部が燃料集合体76内の制御棒クラスタ78まで延出されている。
原子炉容器61を構成する原子炉容器蓋63は、上部が半球形状をなして磁気式ジャッキの制御棒駆動装置80が設けられており、原子炉容器蓋63と一体をなすハウジング81内に収容されている。多数の制御棒クラスタ案内管79は、上端部が制御棒駆動装置80まで延出され、この制御棒駆動装置80から延出されて制御棒クラスタ駆動軸82が、制御棒クラスタ案内管79内を通って燃料集合体76まで延出され、制御棒クラスタ78を把持可能となっている。
この制御棒駆動装置80は、上下方向に延設されて制御棒クラスタ78に連結されると共に、その表面に複数の周溝を長手方向に等ピッチで配設してなる制御棒クラスタ駆動軸82を磁気式ジャッキで上下動させることで、原子炉の出力を制御している。
また、原子炉容器本体62は、下鏡66を貫通する多数の計装管台83が設けられ、この各計装管台83は、炉内側の上端部に炉内計装案内管84が連結される一方、炉外側の下端部にコンジットチューブ85が連結されている。各炉内計装案内管84は、上端部が下部炉心支持板70に連結されており、振動を抑制するための上下の連接板86,87が取付けられている。シンブルチューブ88は、中性子束を計測可能な中性子束検出器(図示略)が装着されており、コンジットチューブ85から計装管台83及び炉内計装案内管84を通り、下部炉心板74を貫通して燃料集合体76まで挿入可能となっている。
従って、制御棒駆動装置80により制御棒クラスタ駆動軸82を移動して燃料集合体76から制御棒77を所定量引き抜くことで、炉心75内での核分裂を制御し、発生した熱エネルギにより原子炉容器61内に充填された軽水が加熱され、高温の軽水が出口ノズル68から排出され、上述したように、蒸気発生器13に送られる。即ち、燃料集合体76を構成する原子燃料が核分裂することで中性子を放出し、減速材及び一次冷却水としての軽水が、放出された高速中性子の運動エネルギを低下させて熱中性子とし、新たな核分裂を起こしやすくすると共に、発生した熱を奪って冷却する。一方、制御棒77を燃料集合体76に挿入することで、炉心75内で生成される中性子数を調整し、また、制御棒77を燃料集合体76に全て挿入することで、原子炉を緊急に停止することができる。
また、原子炉容器61は、炉心75に対して、その上方に出口ノズル68に連通する上部プレナム89が形成されると共に、下方に下部プレナム90が形成されている。そして、原子炉容器61と炉心槽73との間に入口ノズル67及び下部プレナム90に連通するダウンカマー部91が形成されている。従って、軽水は、入口ノズル67から原子炉容器本体62内に流入し、ダウンカマー部91を下向きに流れ落ちて下部プレナム90に至り、この下部プレナム90の球面状の内面により上向きに案内されて上昇し、下部炉心支持板70及び下部炉心板74を通過した後、炉心75に流入する。この炉心75に流入した軽水は、炉心75を構成する燃料集合体76から発生する熱エネルギを吸収することで、この燃料集合体76を冷却する一方、高温となって上部炉心板72を通過して上部プレナム89まで上昇し、出口ノズル68を通って排出される。
このように構成された加圧水型原子炉12にて、制御棒クラスタ78は、制御棒クラスタ駆動軸82が把持可能な連結部(クラスタ部)に複数の制御棒77がスパイダ状に取付けられて構成されている。制御棒クラスタ案内管79は、制御棒クラスタ78(制御棒77)の燃料集合体76への円滑な出し入れを行うために設けられているものであり、燃料集合体76の健全性を損なうことのないように制御棒77を適切に位置決めすると共に、燃料集合体76を適切に冷却するための流路を確保する。
この制御棒クラスタ案内管79は、図14に示すように、ステンレス鋼製であり、上部の第1案内部材201と中間部の第2案内部材202と下部の第3案内部材203とから構成されている。第1案内部材201は、円筒部201aの下部に下フランジ部201bが設けられている。第2案内部材202は、角筒部202aの上部に上フランジ部202bが設けられると共に、角筒部202aの下部に下フランジ部202cが設けられている。第3案内部材203は、枠部203aの上部に上フランジ部203bが設けられると共に、枠部203aの下部に下フランジ部203cが設けられている。
そして、第1案内部材201の下フランジ部201bと第2案内部材202の上フランジ部202bが複数(例えば、2個)のボルト204により連結されると共に、第2案内部材202の下フランジ部202cと第3案内部材203の上フランジ部203bが複数(例えば、8個)のボルト205により連結されて構成されている。なお、図示しないが、第1案内部材201の下フランジ部201bと第2案内部材202の上フランジ部202bと上部支持板69とが複数(例えば、4個)のボルトにより連結されている。また、制御棒クラスタ案内管79は、第3案内部材203の下フランジ部203cに複数(本実施例では、2個)の支持ピン206が取付けられている。なお、制御棒クラスタ案内管79は、第1、第2案内部材201,202が筒形状をなしており、内部に各制御棒77を案内する所定数の孔を有する複数の案内板(図示略)が上下方向に沿って所定間隔で設けられている。
この制御棒クラスタ案内管79は、上部炉心支持板69の貫通孔69aを貫通して上部炉心板72に位置決めされている。即ち、制御棒クラスタ案内管79は、下部の各支持ピン206が上部炉心板72に形成された位置決め孔(図示略)に嵌入することで位置決めされて固定されている。そして、この制御棒クラスタ案内管79は、内部に制御棒クラスタ78が上下移動に昇降自在に支持され、各案内板に対して各制御棒77が上下移動自在となっている。この場合、制御棒クラスタ78は、上部炉心板72の貫通孔72aを通して燃料集合体76にアクセス可能となっている。そのため、制御棒クラスタ案内管79は、特に、制御棒77と案内板との間で頻繁に摺動動作が発生することから、長期の使用により案内板の案内孔が摩耗してしまう。
そこで、本実施例では、この摩耗が進行した制御棒クラスタ案内管79を交換可能としている。即ち、本実施例の制御棒クラスタ案内管の回収方法及び装置は、既設の制御棒クラスタ案内管79を適正に回収するものである。なお、本実施例の制御棒クラスタ案内管の回収装置は、新しい制御棒クラスタ案内管を装着する機能も有しており、制御棒クラスタ案内管の交換装置としても機能する。
図1は、制御棒クラスタ案内管の回収方法及び装置を表す原子炉キャビティを表す概略図、図2は、制御棒クラスタ案内管の回収装置を構成する交換用架台を表す斜視図、図3−1は、制御棒クラスタ案内管上部の保管容器を表す概略図、図3−2は、制御棒クラスタ案内管中間部の保管容器を表す概略図、図3−3は、制御棒クラスタ案内管下部の保管容器を表す概略図である。
原子力発電プラントにおいて、図1に示すように、原子炉建屋(図示略)は、冷却水を貯留可能なキャビティ101が設けられており、このキャビティ101は、床面102に上部炉内構造物仮置スタンド103と、下部炉内構造物仮置スタンド104が設置されている。また、キャビティ101は、冷却水の上面より上方に位置して作業フロア105が設けられており、上部炉内構造物仮置スタンド103の上方に位置する作業フロア105に移動式クレーン106が設けられている。また、キャビティ101は、作業フロア105に移動式クレーン106に隣接して揚重クレーン110が設けられると共に、揚重クレーン110に隣接して回収用架台111が設置されている。この回収用架台111は、下部がキャビティ101の冷却水に浸漬され、上部が冷却水から上方に露出している。
本実施例の制御棒クラスタ案内管の回収装置(交換装置)は、冷却水が貯留されるキャビティ101に配置される回収用架台111と、原子炉容器61の制御棒クラスタ案内管79を回収用架台111まで移動する移動装置としての移動式クレーン106及び揚重クレーン110と、回収用架台111に支持された制御棒クラスタ案内管79を複数に分割する分割装置としてのボルト回転工具(レンチ)112(図2参照)と、制御棒クラスタ案内管79の各分割体としての各案内部材201,202,203を個別に収納する保管容器113,114,115とを有している。この場合、ボルト回転工具(レンチ)112は、ボルト204,205に対応して2種類以上用意されている。
回収用架台111において、図2に示すように、上部に設けられる作業デッキ121は、キャビティ101の冷却水の上方に配置され、周囲に手摺122が設けられると共にチェーン123が設けられ、作業者が各種の作業を行うことが可能となっている。作業デッキ121は、下部に支持枠124が連結されており、この支持枠124は途中から下部がキャビティ101の冷却水に浸漬されている。支持枠124は、上下に所定間隔で3個の第1、第2、第3支持台125,126,127が固定されている。
作業デッキ121と第1、第2支持台125,126は、制御棒クラスタ案内管79を挿通可能な挿通孔128,129,130が形成されている。この挿通孔128,129,130は、側方から制御棒クラスタ案内管79を挿通可能なゲート(切欠部)128a,129a,130aが設けられると共に、この各ゲート128a,129a,130aを開閉するゲートカバー(開閉体)131,132,133が設けられている。そして、作業デッキ121は、カバー操作ハンドル134が設けられ、このカバー操作ハンドル134は、連結軸135を介してゲートカバー131,132,133の回転軸に連結されている。従って、作業者がカバー操作ハンドル134を回転することで、連結軸135を介して各ゲートカバー131,132,133を水平に回動し、各挿通孔128,129,130の各ゲート128a,129a,130aにより開閉することができる。
また、第1支持台125は、挿通孔129の上部にターンテーブル136が回転自在に設けられている。そして、作業デッキ121は、テーブル操作ハンドル137が設けられ、このテーブル操作ハンドル137は、連結軸138を介して駆動歯車139が連結され、駆動歯車139は連結歯車140に噛合い、連結歯車140はターンテーブル136の従動歯車141に噛合っている。従って、作業者がテーブル操作ハンドル137を回転することで、連結軸138を介して駆動歯車139が回転し、この回転力が連結歯車140を介して従動歯車141に伝達され、ターンテーブル136を回転することができる。
制御棒クラスタ案内管79は、第1、第2支持台125,126の挿通孔129,130に挿通され、各ゲート129a,130aにより各ゲート129a,130aが閉止した状態で、上方側のフランジ部201b,202bがターンテーブル136に吊下げ支持されることとなり、下端部が第3支持台127から所定高さだけ上方に位置している。そのため、ターンテーブル136を回転することで、制御棒クラスタ案内管79を回転することができる。この場合、作業デッキ121の作業者は、ボルト回転工具112により制御棒クラスタ案内管79における各案内部材201,202,203を連結するボルト204,205を弛緩し、制御棒クラスタ案内管79を分割する必要がある。このとき、ターンテーブル136により制御棒クラスタ案内管79を回転し、ボルト204,205をボルト回転工具112により作業の位置に移動するようにしている。
保管容器113,114,115は、ほぼ同様の構成をなしている。保管容器113は、図3−1に示すように、制御棒クラスタ案内管79を分割した第1案内部材201を収納するものである。この保管容器113は、円筒状の容器本体113aと上部蓋113bと下部蓋113cとから構成されている。そして、容器本体113aは、下部開口が制御棒クラスタ案内管79における第1案内部材201の断面積より大きく、この第1案内部材201を挿通可能となっている。そして、容器本体113aは、上部に上部蓋113bが複数のボルト113dにより固定され、下部に下部蓋113cが複数のボルト113eにより固定されている。
保管容器114は、図3−2に示すように、制御棒クラスタ案内管79を分割した第2案内部材202を収納するものである。この保管容器114は、円筒状の容器本体114aと上部蓋114bと下部蓋114cとから構成されている。そして、容器本体114aは、下部開口が制御棒クラスタ案内管79における第2案内部材202の断面積より大きく、この第2案内部材202を挿通可能となっている。そして、容器本体114aは、上部に上部蓋114bが複数のボルト114dにより固定され、下部に下部蓋114cが複数のボルト114eにより固定されている。
保管容器115は、図3−3に示すように、制御棒クラスタ案内管79を分割した第3案内部材203を収納するものである。この保管容器115は、円筒状の容器本体115aと上部蓋115bと下部蓋115cとから構成されている。そして、容器本体115aは、下部開口が制御棒クラスタ案内管79における第3案内部材203の断面積より大きくもこの第3案内部材203を挿通可能となっている。そして、容器本体115aは、上部に上部蓋115bが複数のボルト115dにより固定され、下部に下部蓋115cが複数のボルト115eにより固定されている。
ここで、上述した制御棒クラスタ案内管の回収装置(交換装置)による制御棒クラスタ案内管の回収方法及び交換方法について説明する。
図4は、保管容器を吊上げる工程を表す概略図、図5は、保管容器を吊上げて支持する工程を表す概略図、図6は、制御棒クラスタ案内管下部を吊上げる工程を表す概略図、図7は、制御棒クラスタ案内管下部を保管容器まで吊上げて支持する工程を表す概略図、図8は、制御棒クラスタ案内管下部を収納した保管容器を移動する工程を表す概略図、図9は、制御棒クラスタ案内管下部を収納した保管容器を下部蓋に載置する工程を表す概略図、図10は、制御棒クラスタ案内管下部を収納した保管容器を下部蓋に固定する工程を表す概略図、図11は、制御棒クラスタ案内管下部を収納した保管容器に上部蓋を固定する工程を表す概略図である。
本実施例の制御棒クラスタ案内管の回収方法は、原子炉容器61から制御棒クラスタ案内管79を取出す工程と、制御棒クラスタ案内管79を複数に分割する工程と、制御棒クラスタ案内管79の各分割体(各案内部材201,202,203)を個別の保管容器113,114,115に収納する工程とを有している。
即ち、本実施例の制御棒クラスタ案内管の回収装置(交換装置)による制御棒クラスタ案内管79の回収方法及び交換方法において、図1に示すように、加圧水型原子炉12に対する定期検査を行うとき、原子炉容器本体62から原子炉容器蓋63を取外し、上部炉内構造物を構成する制御棒クラスタ案内管79などを搬出する。この場合、制御棒クラスタ案内管79などの上部炉心構造物は、移動式クレーン106により上部炉心構造物仮置スタンド103に仮置きする。
交換する全て制御棒クラスタ案内管79が上部炉心構造物仮置スタンド103に仮置きされると、揚重クレーン110により上部炉心構造物仮置スタンド103にある1つの制御棒クラスタ案内管79を回収用架台111まで移動する。このとき、図2に示すように、作業者がカバー操作ハンドル134を操作することで、各ゲートカバー131,132,133により各挿通孔128,129,130の各ゲート128a,129a,130aにより開放しておき、キャビティ101で制御棒クラスタ案内管79を水平に移動して各挿通孔128,129,130内に挿通する。そして、作業者がカバー操作ハンドル134を操作することで、各ゲートカバー131,132,133により各ゲート128a,129a,130aを閉止し、第1、第2支持台125,126により制御棒クラスタ案内管79が直立した状態で支持される。このとき、制御棒クラスタ案内管79は、フランジ202c,203cに設けられた図示しないガイドピンが各支持台125,126に形成された図示しないガイド孔に嵌合することで、位置決めされると共に、吊下げ状態で支持される。
ここで、作業デッキ121の作業者は、まず、ボルト締結工具112により制御棒クラスタ案内管79における第1、第2案内部材201,202を連結するボルト204を弛緩し、第1案内部材201を第2案内部材202から分割する。このとき、作業者は、テーブル操作ハンドル137を回転することで、ターンテーブル136を所定角度(本実施例では、90度)回転し、ボルト締結工具112がボルト204をアクセスしやすい位置に移動する。そして、第2案内部材202から第1案内部材201が分割されると、図1に示すように、揚重クレーン110により第1案内部材201を作業デッキ121の挿通孔128を通して吊上げ、作業フロア105上に設置された保管容器113内に回収する。
制御棒クラスタ案内管79における第1案内部材201が回収されたら、次に、図2に示すように、ボルト締結工具112により制御棒クラスタ案内管79における第2、第3案内部材202,203を連結するボルト205を弛緩し、第2案内部材202を第3案内部材203から分割する。そして、第3案内部材203から第2案内部材202が分割されると、図1に示すように、揚重クレーン110により第2案内部材202を作業デッキ121の挿通孔128を通して吊上げ、作業フロア105上に設置された保管容器114内に回収する。
制御棒クラスタ案内管79における第2案内部材202が回収されたら、最後に、揚重クレーン110により第3案内部材203を作業デッキ121の挿通孔128を通して吊上げ、作業フロア105上に設置された保管容器115内に回収する。
ここで、制御棒クラスタ案内管79における各案内部材201,202,203の保管容器113,114,115への収納方法について具体的に説明するが、各案内部材201,202,203の保管容器113,114,115への収納方法は、ほぼ同様であることから、第3案内部材203の保管容器115への収納方法について説明する。
回収用架台111に支持された制御棒クラスタ案内管79にて、第1、第2案内部材201,202が回収されると、第3案内部材203だけが残っている。まず、図4に示すように、揚重クレーン110のフック110aにより吊り天秤251及び吊りワイヤ252を介して容器本体115aのトラニオン115fを係止して吊上げる。そして、図5に示すように、揚重クレーン110により容器本体115aを移動し、回収用架台111の作業デッキ121の上方で支持する。
次に、図6に示すように、吊り天秤251に吊上げ工具253を装着し、吊りワイヤ254を容器本体115aの内部を通してキャビティ101の冷却水内に下降し、第3案内部材203に係止する。このとき、吊りワイヤ254は、下端部に係止機構(図示略)が設けられており、この係止機構のフックを第3案内部材203に形成された係止穴に係止させる。そして、図7に示すように、吊上げ工具253により吊りワイヤ254を巻き取り、第3案内部材203を容器本体115a内まで上昇させる。このとき、第3案内部材203は、各挿通孔128,129,130を通して上昇する。
吊上げ工具253により第3案内部材203を所定の位置まで上昇させると、図8に示すように、第3案内部材203は、容器本体115a内に配置された状態となり、キャビティ101の冷却水から上昇しても、放射線の漏洩が抑制される。そして、揚重クレーン110により第3案内部材203が収容された容器本体115aを移動し、図9に示すように、作業フロア105上に配置された下部蓋115c上に載置する。このとき、下部蓋115cに設けられた位置決めピン115gが容器本体115aに形成された位置決め孔(図示略)に嵌合することで位置決めされ、図10に示すように、ボルト115eにより固定される。
続いて、図10及び図11に示すように、揚重クレーン110により吊りワイヤ255を介して上部蓋115bを吊上げ、容器本体115a上に載置する。このとき、容器本体115aに設けられた位置決めピン115hが上部蓋115bに形成された位置決め孔(図示略)に嵌合することで位置決めされ、ボルト115dにより固定される。
上部炉心構造物仮置スタンド103から回収用架台111まで移動した制御棒クラスタ案内管59の回収作業が完了したら、上部炉心構造物仮置スタンド103に仮置きされた次の制御棒クラスタ案内管79を回収用架台111に移動し、前述と同様に、回収作業を行う。
制御棒クラスタ案内管79の回収作業が完了したら、新しい制御棒クラスタ案内管79を原子炉容器61内に装着する。この場合、外部から必要数の新しい制御棒クラスタ案内管59が作業フロア105から上部炉心構造物仮置スタンド103に仮置きされ、移動式クレーン106や揚重クレーン110を用いて新しい制御棒クラスタ案内管79を原子炉容器61内に装着する。その後、原子炉容器本体62に原子炉容器蓋63を固定して終了する。
このように本実施例の制御棒クラスタ案内管の回収方法にあっては、原子炉容器61から制御棒クラスタ案内管79を取出す工程と、制御棒クラスタ案内管79を複数に分割する工程と、制御棒クラスタ案内管79の各分割体(各案内部材201,202,203)を個別の保管容器113,114,115に収納する工程とを有している。
従って、原子炉容器61から取出した制御棒クラスタ案内管79を複数に分割した後、各案内部材201,202,203を個別の保管容器113,114,115に収納するため、放射線量の高い制御棒クラスタ案内管79の回収時における取扱が容易となり、この制御棒クラスタ案内管79を小型に分割して安全に回収することができる。
本実施例の制御棒クラスタ案内管の回収方法では、キャビティ101に貯留される冷却水に回収用架台111を浸漬して配置し、制御棒クラスタ案内管79を回収用架台111に支持して複数に分割している。従って、制御棒クラスタ案内管79を回収用架台111により支持して冷却水に浸漬した状態で複数に分割するため、分割作業を容易に行うことができると共に、作業者への放射線被爆の影響を大幅に軽減することができる。
本実施例の制御棒クラスタ案内管の回収方法では、キャビティ101に貯留される冷却水に上部炉心構造物仮置スタンド103を浸漬して配置し、原子炉容器61内の各制御棒クラスタ案内管79を上部炉心構造物仮置スタンド103に一時的に支持し、上部炉心構造物仮置スタンド103に支持された制御棒クラスタ案内管79を回収用架台111に順次移動して複数に分割している。従って、制御棒クラスタ案内管79の分割作業を効率的に行うことができ、作業性を向上することができる。
本実施例の制御棒クラスタ案内管の回収方法では、制御棒クラスタ案内管79を回収用架台111に支持した状態で長手方向に複数に分割し、分割された案内部材201,202,203のうちの上側に位置するものから順に保管容器113,114,115に収納している。従って、制御棒クラスタ案内管79の回収作業を効率的に行うことができ、作業性を向上することができる。
本実施例の制御棒クラスタ案内管の回収方法では、保管容器113,114,115は、筒状の容器本体113a,114a,115aと上部蓋113b,114b,115bと下部蓋113c,114c,115cとを有し、回収用架台11の上部に容器本体113a,114a,115aを支持し、回収用架台111の下部にある案内部材201,202,203を上方に移動して容器本体113a,114a,115a内に配置し、内部に案内部材201,202,203を配置した容器本体113a,114a,115aを作業フロア105に配置された下部蓋113c,114c,115c上に載置して固定し、容器本体113a,114a,115aの上部に上部蓋113b,114b,115bを載置して固定している。従って、制御棒クラスタ案内管79は、下部ほど高放射線量であることから、冷却水に浸漬された状態で、案内部材201,202,203を容器本体113a,114a,115a内に移動し、内部に案内部材201,202,203を配置した容器本体113a,114a,115aを作業フロア105に移動し、下部蓋113c,114c,115cと上部蓋113b,114b,115bを固定することで、作業者への放射線被爆の影響を大幅に軽減することができる。
また、本実施例の制御棒クラスタ案内管の回収装置にあっては、冷却水が貯留されるキャビティ101に配置される回収用架台111と、原子炉容器61の制御棒クラスタ案内管79を回収用架台111まで移動する移動装置としての移動式クレーン106及び揚重クレーン110と、回収用架台111に支持された制御棒クラスタ案内管79を複数に分割する分割装置としてのボルト回転工具(レンチ)112(図2参照)と、制御棒クラスタ案内管79の各分割体としての各案内部材201,202,203を個別に収納する保管容器113,114,115とを有している。
従って、原子炉容器61の制御棒クラスタ案内管79を移動式クレーン106及び揚重クレーン110により回収用架台111まで移動し、この制御棒クラスタ案内管79を回収用架台111に支持された状態でボルト回転工具112により複数に分割し、各案内部材201,202,203を各保管容器113,114,115に個別に収納するため、放射線量の高い制御棒クラスタ案内管79の取扱が容易となり、この制御棒クラスタ案内管79を小型化して安全に回収することができる。
本実施例の制御棒クラスタ案内管の回収装置では、回収用架台111として、キャビティ101の冷却水の上方に配置されて制御棒クラスタ案内管79を挿通可能な挿通孔128を有する作業デッキ121と、作業デッキ121の下部に設けられてキャビティ101の冷却水に浸漬される支持枠124と、支持枠124に設けられて制御棒クラスタ案内管79を挿通可能な挿通孔129,130を有する共に制御棒クラスタ案内管79を支持する第1、第2各支持台125,126と、第1支持台125に設けられて制御棒クラスタ案内管79を回転可能なターンテーブル136を設けている。従って、制御棒クラスタ案内管79が支持台125,126の挿通孔129,130内で支持されるため、制御棒クラスタ案内管79を冷却水に浸漬した状態で安定して支持することができ、このとき、ターンテーブル136により制御棒クラスタ案内管79を回転することで、ボルト204,205に対するボルト回転工具112のアクセスが容易となり、制御棒クラスタ案内管79の分割作業を効率的に行うことができ、その後、保管容器113,114,115を作業デッキ121の挿通孔128を通して上方に取出すことで、この制御棒クラスタ案内管79を容易に保管容器113,114,115に収納することができる。
また、本実施例の制御棒クラスタ案内管の回収装置では、作業デッキ121及び支持台125,126は、各挿通孔128,129,130に制御棒クラスタ案内管79を側方から挿通可能なゲート128a,129a,130aが設けられると共に、このゲート128a,129a,130aを開閉するゲートカバー131,132,133が設けられ、作業デッキ121に設けられたカバー操作ハンドル134によりゲートカバー131,132,133を操作可能としている。従って、制御棒クラスタ案内管79を冷却水に浸漬したままゲート128a,129a,130aを通して挿通孔128,129,130に入れ、ゲートカバー131,132,133によりゲート128a,129a,130aを閉止して制御棒クラスタ案内管79を支持することができ、また、この作業を作業デッキ121からカバー操作ハンドル134により行うことが可能となり、作業性を向上することができると共に、作業の安全性を向上することができる。
なお、上述した実施例では、制御棒クラスタ案内管79を3つの案内部材201,202,203がボルト204,205により連結された構造としたが、2分割または4分割以上からなる制御棒クラスタ案内管としてもよい。保管容器数については、収納量、放射線量などを考慮して複数となる。また、制御棒クラスタ案内管79に対してボルト204,205を弛緩することで各案内部材201,202,203に分割したが、分割装置としての切断装置により所定の長さで切断することで分割してもよい。
また、上述した実施例にて、各案内部材201,202,203をほぼ同様をなす保管容器113,114,115に同様の方法で収納するように構成したが、この方法に限定されるものではない。例えば、上部に位置する案内部材201,202は、下部に位置する案内部材203ほど放射線量が高くないことから、冷却水に浸漬されている案内部材201,202を吊上げて作業フロア105上に載置された保管容器に直接移動するようにしてもよい。
また、上述した実施例では、原子炉を加圧水型原子炉としたが、沸騰水型原子炉であってもよい。