実施の形態の説明の前に、足の骨格名称について図1、図2及び図3を用いて説明する。なお、図3はハイヒールを履いた場合の足の骨格を示し、足の3アーチ88がしっかりと保たれている状態で示す。
足は図1、図2及び図3に示すように、前足部20と、中足部22と、後足部23とから構成されている。なお、実施の形態では、足の骨格は解剖学的な名称を用いないで、義肢装具等の製造業界で使用している名称で説明する。
前足部20は、図1、図2及び図3に示すように、第1末節骨27と第2末節骨28と第3末節骨29と第4末節骨30と第5末節骨31並びに中節骨35、36、37、38と、第1基節骨41と第2基節骨42と第3基節骨43と第4基節骨44と第5基節骨45とからなる範囲をいう。
中足部22は、第1中足骨51と第2中足骨52と第3中足骨53と第4中足骨54と第5中足骨55と第1楔状骨61と第2楔状骨62と第3楔状骨63と立方骨71と舟状骨73とからなる範囲をいう。
なお、前述の前足部20と中足部22との接続分を踏付部26と称する。踏付部26は、図1及び図2に示すように、第1基節骨41、第2基節骨42、第3基節骨43、第4基節骨44、第5基節骨45の各々の骨底付近と、第1中足骨51、第2中足骨52、第3中足骨53、第4中足骨54、第5中足骨55の各々の骨頭付近とからなる範囲である。
すなわち、図2に示すように、前足部20は、足の先端から踏付部26の中央付近までの範囲である。この踏付部26の中央付近を前足部20から視て、前足部後端とも称する。また、中足部22は、踏付部26の中央付近から後足部23の先端までの範囲である。この踏付部26の中央付近を中足部22から視て、中足部先端とも称する。
また、前足部20の第2末節骨28に接続されている中節骨35の骨頭付近を足指部中央付近47と称する。
後足部23は、図1、図2及び図3に示すように、距骨75と踵骨77とからなる範囲である。
そして、足というのは図1に示す横アーチ81と内側縦アーチ83と外側縦アーチ86とからなる足の3アーチ88をしっかりと保つことが重要である。
横アーチ81は、第1中足骨51、第2中足骨52、第3中足骨53、第4中足骨54、第5中足骨55を結ぶ盛り上がりラインである。
内側縦アーチ83は、第1中足骨51、第1楔状骨61、舟状骨73、距骨75、踵骨77を結ぶ盛り上がりラインである。
外側縦アーチ86は、第5中足骨55、立方骨71、踵骨77を結ぶ盛り上がりラインである。
なお、以下の実施の形態は、ハイヒールを一例にして説明する。
<実施の形態1>
実施の形態1は、軽くて、踏付部26に対する負荷を低減し、かつ横アーチ81を保つことができる中底である。以下にこの中底の一例を説明する。
図4は実施の形態1の楕円状穴付スポンジ貼付型中底100の斜視図である。図4に示すように、実施の形態1の楕円状穴付スポンジ貼付型中底100は、楕円状穴付靴中底本体部110に楕円状穴用スポンジ層120(例えば、ウレタン、EVA、ジェル等)を熱圧着成型して構成している。
図4に示す楕円状穴付スポンジ貼付型中底100を、図1〜図3に示す前足部20に対応する中底前足部対応領域131と、図1〜図3に示す中足部22に対応する中足部対応領域133と、図1〜図3に示す後足部23に対応する後足部対応領域135とに分けて説明する。
但し、楕円状穴付スポンジ貼付型中底100の中底前足部対応領域131は、楕円状穴付スポンジ貼付型中底100における中底爪先部137を含んでいる。
また、図4においては、図2に示す前足部20の領域を前足部対応領域139とし、図2に示す踏付部26に対応する領域を踏付部対応領域141として説明する。
また、前足部対応領域139の中底爪先部137側の先端を前足部対応領域先端139aと称し、後端を前足部対応領域後端139bと称する。
また、図2に示す足指部中央付近47に対応する位置を足指部中央付近対応位置140と称する。
また、踏付部対応領域141の先端を踏付部対応領域先端141aと称し、後端を踏付部対応領域後端141bと称し、さらに踏付部対応領域141の中央付近を踏付部対応領域中央付近141cと称する。
さらに、中足部対応領域133の先端を中足部対応領域先端133aと称し、後端を中足部対応領域後端133bと称し、さらに中足部対応領域133の中央付近を中足部対応領域中央付近133c(第2中足骨52の骨底付近に対応する)と称する。
つまり、中足部対応領域先端133aと前足部対応領域後端139bと踏付部対応領域中央付近141cとは対応している。
前述の楕円状穴付靴中底本体部110は、下側補助板2(例えば、ファイバー、プラスチック、不織布等)とシャンク3(例えば金属、ファイバー、プラスチック、木、カーボン、チタン等)と楕円状穴付中底本体板143(ファイバー、レザーボード、プラスチック、不織布、皮革等)と上側補助板145(例えばファイバー、プラスチック、レザーボード、不織布等)とで構成されている。
また、楕円状穴付中底本体板143には図4に示すように、中底前足部対応領域131及び踏付部対応領域141に渡る範囲に楕円状穴151が貫通形成されている。この楕円状穴151については、図を用いて後述する。
そして、楕円状穴用スポンジ層120は、図4に示すように前足部対応領域先端139aから中足部対応領域中央付近133cに渡って熱圧着成型されている。
なお、楕円状穴151を覆う部分は穴部スポンジ層120aと称し、楕円状穴151以外の部分は穴部外スポンジ層120bと称する。そして、穴部スポンジ層120aの後端は、後述する第2中足骨52の骨底付近(52a)に位置している。本実施の形態では、この穴部スポンジ層120aの後端を土踏まず部中央付近142と称する。
つまり、楕円状穴用スポンジ層120は、図4に示すように上側補助板145の前側領域145aに渡って熱圧着成型されている。
なお、楕円状穴用スポンジ層120の表裏には、材質がポリエステルの不織布121(表側不織布121a、裏側不織布121b)が貼り付けられているが図4においては図示しない。
次に、楕円状穴151と穴部スポンジ層120aと足骨格とを示して説明する。
図5は楕円状穴151と穴部スポンジ層120aと足骨格との関係を説明する下側から見た平面図である。但し、図5は左足用の楕円状穴付スポンジ貼付型中底100に足を置いた状態で、これを裏側から見た場合を示している。
また、図5においては、シャンク3、上側補助板145、穴部外スポンジ層120bについては図示しない。
図5に示すように、楕円状穴151の縁線は、第1中足骨51の骨頭、第1基節骨41、第1末節骨27の骨底、第2末節骨28の骨底、第3末節骨29の骨底、第4基節骨44の骨頭、第4中足骨54の骨頭、第3中足骨53の中央付近、第2中足骨52の中央付近を通って、前述の第1中足骨51の骨頭に至る。
また、下側補助板2の先端(以下下側補助板先端2aという)は、踏付部対応領域中央付近141cに至っている。
すなわち、下側補助板2の下側補助板先端2aは図5に示すように、踏付部26を構成する第1中足骨51、第2中足骨52、第3中足骨53、第4中足骨54、第5中足骨55の各々の骨頭付近まで出ている。
さらに、この楕円状穴151が穴部スポンジ層120aで覆われている。
穴部スポンジ層120aの縁線は、図5に示すように、楕円状穴151の縁線よりわずかに大きく、さらに楕円状穴151の後側に長くなっている。
つまり、第1中足骨51の骨頭、第1基節骨41、第1末節骨27の骨底、第2末節骨28の骨底、第3末節骨29の骨底、第4基節骨44の骨頭、第4中足骨54の骨頭、第3中足骨53の中央付近、第2中足骨52の骨底付近(52a)、第1中足骨51の中央付近を通って、前述の第1中足骨51の骨頭に至る。すなわち、図4においては、穴部スポンジ層120aの後端は、第2中足骨52の骨底付近(52a)に位置(土踏まず部中央付近142)していることになる。
このため、楕円状穴付中底本体板143に楕円状穴151が形成されていても、この下側補助板2によって踏付部対応領域141の両脇を接続することになるから強度を補うことになる。
従って、歩いたときに楕円状穴付中底本体板143が折れることはない。また、楕円状穴151を穴部スポンジ層120aで覆っているので、歩いたときにクッション効果がある。
次に、楕円状穴付スポンジ貼付型中底100を分解して説明する。図6は図4の楕円状穴付スポンジ貼付型中底100を分解した場合の斜視図である。図6に示すように、楕円状穴用スポンジ層120は、前足部対応領域先端139aから中足部対応領域中央付近133cまでの範囲に対応している。
また、足指部中央付近対応位置140から中足部対応領域中央付近133c(上側補助板145の前側領域145aの中央付近ともいう)までの範囲に、楕円状穴151を含んで覆った所定の厚みを有する楕円状穴151より後足部対応領域135側に長い穴部スポンジ層120aが形成されている。
この穴部スポンジ層120aは、3〜5mm厚程度にされ、かつ穴部スポンジ層120aの後側である凸形状のスポンジ層後端付近120aaは5mm厚程度の凸形状にされている。
また、楕円状穴151以外の領域である穴部外スポンジ層120bは0.5mm厚程度にされて前足部対応領域先端139aから中足部対応領域中央付近133cの範囲に熱圧着成型されている。
この前足部対応領域先端139aから中足部対応領域中央付近133cの範囲は図6に示すように接着剤が塗布されている。
すなわち、図6に示すように、表面が滑らかな上側補助板145における前側領域145aの上に楕円状穴用スポンジ層120の後端部分が熱圧着成型されている。なお、穴部スポンジ層120aの後端は、第2中足骨52の骨底付近(52a)に位置(土踏まず部中央付近142)する。
図7は楕円状穴付靴中底本体部110を分解した場合の斜視図である。楕円状穴付靴中底本体部110は、図7に示すように下側補助板2にハトメ(図示せず)を打ち込んでシャンク3を固定し、この下側補助板2を楕円状穴付中底本体板143に圧着し、さらに上側補助板145を圧着して構成されている。
図8は楕円状穴付スポンジ貼付型中底100の裏面図である。なお、楕円状穴151の穴部スポンジ層120aの裏側不織布121bは熱によって溶けてフイルム状になっている。図8に示すように、楕円状穴付スポンジ貼付型中底100の裏面は、下側補助板2が楕円状穴151の一部を覆っている。
図9は図4の楕円状穴付スポンジ貼付型中底100のa−a断面図である。図10は図4の楕円状穴付スポンジ貼付型中底100のb−b、c−c、d−d断面図である。
図9に示すように、楕円状穴付靴中底本体部110の表面には楕円状穴用スポンジ層120(表裏には不織布)が貼り付けられており、この楕円状穴用スポンジ層120における穴部スポンジ層120a側の後側であるスポンジ層後端付近120aaは足の横アーチ81に対して最大の厚みにされている。
次に楕円状穴付スポンジ貼付型中底100の断面を、図10を用いて説明する。
図10(a)に示すように、b−b断面においては下側補助板2と楕円状穴付中底本体板143と上側補助板145と楕円状穴用スポンジ層120とからなる構造にされている。また、この部分の上側補助板145の上の楕円状穴用スポンジ層120における穴部スポンジ層120a側のスポンジ層後端付近120aaは最大の厚み(例えば5mm厚程度)にされている。
また、図10(b)に示すように、c−c断面においては、下側補助板2及び上側補助板145は存在していないので薄くなっている。
また、図10(c)に示すように、d−d断面においては、穴部スポンジ層120aはほぼ平らになっている。但し、楕円状穴151を有する楕円状穴付中底本体板143に熱圧着成型されるから楕円状穴151に対応する領域は緩やかな凹部が形成される場合もある。
図11は実施の形態1の楕円状穴付スポンジ貼付型中底100でハイヒールを製作した場合において、足を入れた場合の斜視図である。但し、本底、ヒールは示さない。また、図11においては楕円状穴付スポンジ貼付型中底100については穴部スポンジ層120aのみを示す。図12は図11の側面図である。
図11に示すように、足をハイヒールに入れた場合は、穴部スポンジ層120aの縁線は、第1中足骨51の中央付近、第1基節骨41の中央付近、第1末節骨27の骨底付近、第2末節骨28に接続されている中節骨35の骨底付近、第3末節骨29に接続されている中節骨36の骨底付近、第4末節骨30に接続されている中節骨37の骨底付近、第4基節骨44の中央付近、第4中足骨54の中央付近、第3中足骨53の中央付近、第2中足骨52の骨底付近を通って前述の第1中足骨51の中央付近に至っている。
また、図12に示すように、楕円状穴付スポンジ貼付型中底100の穴部スポンジ層120aにおけるスポンジ層後端付近120aaは最大の厚みが形成されている。このスポンジ層後端付近120aaによって足裏が支えられるので、歩いたときには図11及び図12に示すように横アーチ81がしっかりと保たれると共にクッション効果がある。
<実施の形態2>
実施の形態2は、スポンジ層を2層構造にして、発泡合成ゴムGiと同様に、中足部22の足の3アーチ88を支える部分は硬度を柔らかくして他の部分は硬さを感じるようにした中底である。この一例を以下に説明する。
図13は実施の形態2のスポンジ2層一体成型中底200の斜視図である。図14は図13のスポンジ2層一体成型中底200を分解した場合の斜視図である。
図13に示すスポンジ2層一体成型中底200は、足裏に対応する形状の靴中底本体部205と第1スポンジ層210と足裏に対応する形状の第2スポンジ層212とを備えて構成している。
図13に示すスポンジ2層一体成型中底200は、図14に示すように、足裏に対応する形状の中底本体板214の裏側から下側補助板2を圧着した靴中底本体部205に、第1スポンジ層210(例えばウレタン、EVA、ジェル等)を介在させて第2スポンジ層212(例えばウレタン、EVA、ジェル等)を重ねて熱圧着成形している。また、第2スポンジ層212の表裏は不織布212a、212bで覆っている。なお、第2スポンジ層212の裏は必ずしも不織布212bで覆わなくてもよい。
つまり、発泡合成ゴムGiを用いてはいないので非常に軽い。なお、第1スポンジ層210と第2スポンジ層212とを総称して2層スポンジ層207と称する。
前述の第1スポンジ層210は、足の3アーチ88を保つための形状であり、靴中底本体部205における中足部対応領域133及び後足部対応領域135の前部に渡る範囲に貼り付けられている。
図15を用いて第1スポンジ層210の範囲について説明する。なお、図15においては、足骨と、第1スポンジ層210、第2スポンジ層212、中底本体板214を示して説明する。
図15に示すように、第1スポンジ層210の縁線は、第1中足骨51の骨頭の後端付近に対向する足内側端211から第2中足骨52の骨頭、第3中足骨53の骨頭の各々の後端付近を通り、第4中足骨54の骨頭の後端を斜めに通って、第5中足骨55の中央付近の縁を通って、第4中足骨54の骨底、立方骨71の角、舟状骨73の角を通って足後部内側端213に至る。
次に、図16を用いて靴中底本体部205の構成を説明する。図16に示すように、靴中底本体部205は、足裏の輪郭に対応する形状の中底本体板214(例えばファイバー、レザーボード、プラスチック、不織布、皮革等)と、シャンク3(例えば金属、ファイバー、プラスチック、木、カーボン、チタン等)と、下側補助板2(例えば、ファイバー、プラスチック、不織布等)とを備え、ハトメ(図示せず)を打ち込んでシャンク3を下側補助板2に固定して中底本体板214に圧着している。
図17は図13のe−e断面図である。図18は図13のA方向からの視野図である。図19は図13のB方向からの視野図である。
図17に示すようにe―e断面においては、下側補助板2の上にシャンク3が存在し、このシャンク3及び下側補助板2の上に中底本体板214が存在し、この上に第1スポンジ層210が存在し、さらに、この第1スポンジ層210及び中底本体板214の上に第2スポンジ層212が存在する多層構造になっている。
また、図17に示すe−e断面における第1スポンジ層210は、最大の厚(例えば6〜7mm厚程度)にされ、第2スポンジ層212の厚みは2.5〜3mm厚程度にされている。
さらに、図18に示すように、A方向(足の内側)から視た場合は、第1スポンジ層210が図17のe−e断面図より少し厚みが薄くなっている。
また、図19に示すように、B方向(足の外側)から視た場合は、縁は下側補助板2と中底本体板214と第2スポンジ層212とのみが視える。
なお、図19における第2スポンジ層212が盛り上がっているのは、この第2スポンジ層212の下に第1スポンジ層210が熱圧着成型されているためである。
図20は図13のf−f断面、g−g断面図である。
図20(a)に示すように、スポンジ2層一体成型中底200は、f−f断面から視ると、第1スポンジ層210の中央部が最も厚みがあるように形成されている。つまり、足の3アーチを支える部分は適度な硬度になっている。
また、足内側端が斜めに立ち上がったエッジ220がしっかりと形成されている。このエッジ220がしっかり形成されるのは、第2スポンジ層212の表裏は不織布(212a、212b)で覆われているので張力によって端が引っ張られるからである。
また、図20(a)に示すように中底本体板214の外側端222には第1スポンジ層210が熱圧着成型されていないが代わりに第2スポンジ層212の端が外側端222に熱圧着成型されている。このため、この外側端222は硬い。
また、図20(b)に示すように、スポンジ2層一体成型中底200は、g−g断面から視ると、中底本体板214に第2スポンジ層212のみが熱圧着成型されているから薄くなっている。
すなわち、実施の形態2のスポンジ2層一体成型中底200における第1スポンジ層210は、足の内側となる側は厚みがあって足の外側となる側は厚みが次第に少なくなるようにして足の3アーチ88を保つように形成され、内側端に立ち上がりエッジ220が形成されている。
従って、第1スポンジ層210の足の内側となるエッジ220の領域は、第2スポンジ層212(表裏が不織布)によってピーンと引っ張られているから、発泡合成ゴムGiによるエッジと比べると硬度があることになるので製靴工程で革を巻き付け易い。
また、厚みがある第1スポンジ層210の上に、不織布で覆われた第2スポンジ層212が熱圧着成型されているので、第1スポンジ層210の厚みによる反発力が第2スポンジ層212に均等に伝わる。
さらに、第2スポンジ層212の表面に不織布が貼り付けられているのは以下に説明する効果がある。
例えば、小指側に痛みがある。このような場合は、中敷を剥がしてパッドやクッション材を挿入することが多い。本実施の形態のスポンジ2層一体成型中底200は、不織布212aが貼られているので、中敷を中底表面から剥がしやすい。
図21は実施の形態2のスポンジ2層一体成型中底200でハイヒールを製作した場合の斜視図である。図22は図21の側面図である。但し、本底は示さない。
図21、図22に示すように、実施の形態2のスポンジ2層一体成型中底200を用いたハイヒールに足を入れた場合は、第1スポンジ層210によって足の3アーチ88がしっかりと保たれる。
すなわち、靴の踵ヒールが高くなると、主に内側縦アーチ83が高くなり、足裏の接触面積が減少する為単位面積当たりの体重負担量が増加してタコ、マメなどの痛みの原因になるが、第1スポンジ層210が中足部22を支えられる形状であるから接触面積が増大し、結果として単位面積当たりの体重負担率が軽減する。このため、タコ、マメなどの痛みを解消することができる。
<他の実施の形態>
実施の形態2では第1スポンジ層210と第2スポンジ層212とでスポンジ貼付型中底を構成した例を説明したが、スポンジ層の形状、厚みは任意である。以下のその応用例を他の実施の形態として説明する。
図23に他の実施の形態のスポンジ貼付型中底を説明するための斜視図である。図23(a)は、実施の形態2の靴中底本体部205における前足部対応領域と中足部対応領域とに渡ってスポンジ層(以下前足部中足部範囲用スポンジ層310)を熱圧着成型した前足部中足部スポンジ貼付型中底300を斜視図で示している。なお、この前足部中足部範囲用スポンジ層310の表裏には不織布が貼り付けるのが好ましい。
図23(b)は中足部22付近にスポンジ層(以下中足部範囲用スポンジ層410という)を靴中底本体部205に熱圧着成型した中足部用スポンジ貼付型中底400を斜視図で示している。なお、この中足部範囲用スポンジ層410の表裏には不織布を貼り付けるのが好ましい。
図23(c)は、靴中底本体部205の後足部対応領域135にスポンジ層(以下後足部範囲用スポンジ層510という)を熱圧着成型して形成した後足部用スポンジ貼付型中底500を斜視図で示している。なお、この後足部範囲用スポンジ層510の表裏には不織布が貼り付けるのが好ましい。
図23(d)は、靴中底本体部205の中底前足部対応領域131から後足部対応領域135に渡ってスポンジ層(以下前足部〜後足部範囲用スポンジ層610という)を熱圧着成型した前足部〜後足部範囲スポンジ貼付型中底600を斜視図で示している。なお、この前足部〜後足部範囲用スポンジ層610の表裏には不織布を貼り付けるのが好ましい。
すなわち、図23(d)の前足部〜後足部範囲スポンジ貼付型中底600は、前足部中足部範囲用スポンジ層310と中足部範囲用スポンジ層410と後足部範囲用スポンジ層510とを組み合わせて形成されている。
前述の前足部中足部範囲用スポンジ層310について図24を用いて説明する。なお、図24は右足用の形状である。
図24(a)は、前足部中足部範囲用スポンジ層310の平面図である。図24(b)は、図24(a)のh−h断面図を示し、図24(c)は図24(a)のj−j断面図を示している。
図24(a)に示すように、前足部中足部範囲用スポンジ層310は中央部から前側はやや狭くなり、後側は後足部に向かって細くなっている。
また、図24(b)に示すように、前足部中足部範囲用スポンジ層310の中央部(h−h断面)は、裏側は靴中底本体部205の表面形状に適合するようにやや膨らんでおり、表側は中央部が横アーチ81を保つように盛り上げられている。
さらに、j―j断面は図24(c)に示すように、中央部から前側は先端部に向かって薄くなり、後側は中央部から後端部に向かって盛り上がり、その後、後端部に向かって薄くなっている。
次に、図23(b)の中足部範囲用スポンジ層410について図25を用いて説明する。図25は右足用である。
図25(a)は、図23(b)の中足部範囲用スポンジ層410の平面図である。図25(b)は図25(a)の中足部範囲用スポンジ層410のk−k断面図である。図25(c)は図25(a)の中足部範囲用スポンジ層410のm−m断面図である。
図25(a)の平面図のように、中央から前側は、先端に向かって広くなり、かつ前端部は中央が前側に膨らんでいる。さらに、中央部から後側は、後端部に向かって細くなっている。
また、k−k断面は、図25(b)に示すように、裏面はやや膨らんでおり、表面は外側端から少し薄くなり、中央が盛り上がって、さらに内側端に向かって行くに従って厚くなって行って立ち上がりエッジを形成している。
さらに、m−m断面は図25(c)に示すように、中央から前側は先端部に向かって厚くなり、前端部の手前で一旦下がって、前端部に達する前に軽く表面側に反っている。また、後側は中央から後端部に向かって薄くなっている。
次に、後足部範囲用スポンジ層510について図26を用いて説明する。なお、図26は右足用の形状である。
図26(a)は、後足部範囲用スポンジ層510の平面図である。図26(b)は図26(a)のp−p断面図であり、図26(c)は図26(a)のq−q断面図である。
後足部範囲用スポンジ層510は、図26(a)に示すように前縁部は、後端部に向かって円弧を描くように形成され、後端部は後に向かって円弧を描くように形成されている。
また、p−p断面は、図26(b)に示すように、足の外側端、内側端に立ち上がりエッジが形成され、中央部が最も薄くなっている。
q―q断面は、図26(c)に示すように、後端部から急峻に下がって、その後、前端部に向かってほぼ平らな面が連続し、前端部に至る手前から薄くなっている。
従って、踵を包み込むようにサポートしているので、足の安定化を増進させ、かつ、踵と中底の接触面積が広くなることにより、局所的圧力集中を分散させ、角質化や痛みを防止することができる。
次に、前足部〜後足部範囲用スポンジ層610について図27を用いて説明する。なお、図27は右足用の形状である。
図27(a)は、前足部〜後足部範囲用スポンジ層610の平面図である。図27(b)は、図27(a)の前足部〜後足部範囲用スポンジ層610のr−r断面図を示し、図27(c)は図27(a)の前足部〜後足部範囲用スポンジ層610のs−s断面図を示し、図27(d)は図27(a)の前足部〜後足部範囲用スポンジ層610のt−t断面図を示し、図27(e)は図27(a)の前足部〜後足部範囲用スポンジ層610のu−u断面図を示す。
図27(a)に示すように、前足部〜後足部範囲用スポンジ層610は中底前足部対応領域131、中足部対応領域133、後足部対応領域135の全般にわたってスポンジが熱圧着成型されている。
また、図27(b)に示すように中底前足部対応領域131が薄く中足部対応領域133の中央付近が足の3アーチ88を保つために最大の厚みを有している。そして、後足部対応領域135の後端にエッジを形成している。
また、図27(c)に示すように、前足部〜後足部範囲用スポンジ層610のs−s断面においては裏面がやや膨らんでおり、表面は中央が盛り上げられている。
さらに、t―t断面は図27(d)に示すように、裏面はやや膨らんでおり、表面の中央が厚く形成され、足の外側端が薄くなって立ち上がったエッジを形成している。また、中央から足の内側端に向かって厚くなり、足の内側端が立ち上がったエッジを形成している。
さらに、u−u断面は図27(e)に示すように、足の外側端、内側端に立ち上がりエッジが形成され、中央部が最も薄くなっている。
従って、前後又は左右の不動を生じず、足裏との接触が密接で使用感がよい。
なお、図23に示す前足部中足部スポンジ貼付型中底300、中足部用スポンジ貼付型中底400、後足部用スポンジ貼付型中底500、前足部〜後足部範囲スポンジ貼付型中底600は、第2スポンジ層212(表裏は不織布)を熱圧着成型してもよい。
但し、第2スポンジ層212を熱圧着成型する場合は、前足部中足部範囲用スポンジ層310、中足部範囲用スポンジ層410、後足部範囲用スポンジ層510、前足部〜後足部範囲用スポンジ層610には不織布を貼り付けないのが好ましい。
さらに、前足部中足部スポンジ貼付型中底300、中足部用スポンジ貼付型中底400及び後足部用スポンジ貼付型中底500、前足部〜後足部範囲スポンジ貼付型中底600の各々の靴中底本体部205の上には上側補助板145、下側補助板2を圧着してあってもかまわない。
<製造方法>
上記のようなスポンジ貼付型中底は、図28のようにして製造するのが好ましい。この製造方法は、実施の形態2のスポンジ2層一体成型中底200の生成を説明する。
図28に示すように、下側補助板2に、ハトメ(図示せず)を打ち込んでシャンク3を固定して接着剤を塗布し、さらに中底本体板214の裏面に接着剤を塗布して圧着して形成した靴中底本体部205の上に、例えば厚さ15〜20mm程度の第1スポンジ層210(裏側に接着剤を塗布)を重ねる。
そして、この第1スポンジ層210及び靴中底本体部205の上に例えば厚さ8mm程度の第2スポンジ層212(裏側はホットメルト)を載せる。そして、上金型A1、下金型A2に熱(温度200℃前後)を加えながら圧着することによって、第1スポンジ層210が厚くて第2スポンジ層212が薄い上記のスポンジ2層一体成型中底200を得る。
すなわち、このように成型されたスポンジ2層一体成型中底200について、図20(a)を用いて説明すると、中底本体板214の外側端222に第1スポンジ層210が存在していないので硬い領域となり、外側端222から内側には厚みがある第1スポンジ層210の上に厚みが薄い第2スポンジ層212が存在することになる。
従って、上記のように発泡合成ゴムGiに変えて、スポンジを用いると、スポンジ層の厚みを変えたり、スポンジ層を多層にしたりするこが容易であるあるから、自由に硬度を変えることができる。
すなわち、スポンジで中底を形成すると、発泡合成ゴムGiよりも、スポンジ層の厚み変えることにより自由に硬度を得ることができる。また、熱加硫を施す必要がないので、スポンジ2層一体成型中底200を短時間で熱圧着成型できる(成型時間は3分/型程度である)。
なお、上記実施の形態1では楕円状穴151を有する楕円状穴付スポンジ貼付型中底100として説明したが、楕円状穴151を有しないものであってもかまわない。
また、上記実施の形態2のスポンジ2層一体成型中底200に上側補助板145を施してさらに強度を増してもよい。
また、本実施の形態のスポンジ貼付型中底と、除圧効果を持たせた本底とを組み合わせてさらに除圧効果を高めるようにしてもかまわない。
なお、上記実施の形態の楕円状穴付スポンジ貼付型中底100とスポンジ2層一体成型中底200とを総称してスポンジ貼付型中底と称する。