次に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るダンパ装置10を含む発進装置1を示す部分断面図である。同図に示す発進装置1は、原動機としてのエンジン(内燃機関)を備えた車両に搭載されるものであり、ダンパ装置10に加えて、エンジンのクランクシャフトに連結される入力部材としてのフロントカバー3や、フロントカバー3に固定されるポンプインペラ(入力側流体伝動要素)4、ポンプインペラ4と同軸に回転可能なタービンランナ(出力側流体伝動要素)5、ダンパ装置10に連結されると共に自動変速機(AT)あるいは無段変速機(CVT)である変速機の入力軸IS(図3参照)に固定される出力部材としてのダンパハブ7、多板油圧式クラッチであるロックアップクラッチ8、それぞれダンパ装置10に連結される遠心振子式吸振装置20およびダイナミックダンパ30等を含む。
ポンプインペラ4は、フロントカバー3に密に固定されるポンプシェル40と、ポンプシェル40の内面に配設された複数のポンプブレード41とを有する。タービンランナ5は、タービンシェル50と、タービンシェル50の内面に配設された複数のタービンブレード51とを有する。タービンシェル50の内周部は、複数のリベットを介してタービンハブ52に固定される。タービンハブ52は、ダンパハブ7により回転自在に支持され、当該タービンハブ52の発進装置1の軸方向における移動は、ダンパハブ7と、当該ダンパハブ7に装着されるスナップリングにより規制される。
ポンプインペラ4とタービンランナ5とは、互いに対向し合い、両者の間には、タービンランナ5からポンプインペラ4への作動油(作動流体)の流れを整流するステータ6が同軸に配置される。ステータ6は、複数のステータブレード60を有し、ステータ6の回転方向は、ワンウェイクラッチ61により一方向のみに設定される。これらのポンプインペラ4、タービンランナ5およびステータ6は、作動油を循環させるトーラス(環状流路)を形成し、トルク増幅機能をもったトルクコンバータ(流体伝動装置)として機能する。ただし、発進装置1において、ステータ6やワンウェイクラッチ61を省略し、ポンプインペラ4およびタービンランナ5を流体継手として機能させてもよい。
ロックアップクラッチ8は、ダンパ装置10を介してフロントカバー3とダンパハブ7すなわち変速機の入力軸ISとを連結するロックアップを実行すると共に当該ロックアップを解除するものである。ロックアップクラッチ8は、フロントカバー3に固定されたセンターピース3sにより軸方向に移動自在に支持されるロックアップピストン80と、クラッチドラム81と、ロックアップピストン80と対向するようにフロントカバー3の内面に固定される環状のクラッチハブ82と、クラッチドラム81の内周面に形成されたスプラインに嵌合される複数の第1摩擦係合プレート(両面に摩擦材を有する摩擦板)83と、クラッチハブ82の外周面に形成されたスプラインに嵌合される複数の第2摩擦係合プレート84(セパレータプレート)とを含む。
更に、ロックアップクラッチ8は、ロックアップピストン80を基準としてフロントカバー3とは反対側に位置するように、すなわちロックアップピストン80よりもダンパハブ7およびダンパ装置10側に位置するようにフロントカバー3のセンターピース3sに取り付けられる環状のフランジ部材(油室画成部材)85と、フロントカバー3とロックアップピストン80との間に配置される複数のリターンスプリング86とを含む。図示するように、ロックアップピストン80とフランジ部材85とは、係合油室87を画成し、当該係合油室87には、図示しない油圧制御装置から作動油(係合油圧)が供給される。そして、係合油室87への係合油圧を高めることにより、第1および第2摩擦係合プレート83,84をフロントカバー3に向けて押圧するようにロックアップピストン80を軸方向に移動させ、それによりロックアップクラッチ8を係合(完全係合あるいはスリップ係合)させることができる。
ダンパ装置10は、図1に示すように、ロックアップクラッチ8のクラッチドラム81を入力要素(ドライブ部材)として利用するものであり、クラッチドラム81以外の回転要素として、中間部材(中間要素)12とドリブン部材(出力要素)15とを含む。更に、ダンパ装置10は、動力伝達要素として、ダンパ装置10の外周に近接するように同心円上に等間隔に配置される複数(本実施形態では、4個)の外側スプリング(第1弾性体)SP1と、外側スプリングSP1よりも内側かつ同心円上に等間隔に配置される複数(本実施形態では、2個)の内側スプリング(第2弾性体)SP2とを含む。
本実施形態において、外側スプリングSP1は、荷重が加えられてないときに円弧状に延びる軸心を有するように巻かれた金属材からなるアークコイルスプリングである。これにより、外側スプリングSP1をより低剛性化し(バネ定数を小さくし)、ダンパ装置10をより低剛性化(ロングストローク化)することができる。同様に、本実施形態において、内側スプリングSP2は、荷重が加えられてないときに円弧状に延びる軸心(中心線)を有するように巻かれた金属材からなるアークコイルスプリングである。ただし、外側スプリングSP1や内側スプリングSP2として、荷重が加えられてないときに真っ直ぐに延びる軸心(中心線)を有するように螺旋状に巻かれた金属材からなる直線型コイルスプリングが採用されてもよい。
ダンパ装置10の入力要素としても機能するクラッチドラム81は、第1摩擦係合プレート83の外周部が嵌合されるスプラインを有するドラム部81aと、ドラム部81aの外周部から径方向外側に延出された複数(本実施形態では、4個)のスプリング当接部(入力側当接部)81bとを有する。ダンパ装置10の取付状態において、各スプリング当接部81bは、互いに隣り合う外側スプリングSP1の間で両者と当接する。
中間部材12は、フロントカバー3(ロックアップピストン80)側に配置される環状の第1中間プレート部材13と、ポンプインペラ4およびタービンランナ5側に配置されると共に複数のリベットを介して第1中間プレート部材13に連結(固定)される環状の第2中間プレート部材14とを含む。中間部材12を構成する第1中間プレート部材13は、図1に示すように、それぞれ対応する外側スプリングSP1の内周部を支持(ガイド)する複数のスプリング支持部13aと、径方向外側に延びる複数(本実施形態では、4個)のスプリング当接部13bとを有する。ダンパ装置10の取付状態において、各スプリング当接部13bは、互いに隣り合う外側スプリングSP1の間で両者と当接する。
中間部材12を構成する第2中間プレート部材14は、図1に示すように、複数の外側スプリングSP1の外周部やタービンランナ5側(変速機側)の側部(図1における左側の側部)、フロントカバー3側(エンジン側)の側部の外周側を支持(ガイド)するスプリング支持部14aを有する。複数の外側スプリングSP1は、上述の第1中間プレート部材13のスプリング支持部13aと、第2中間プレート部材14のスプリング支持部14aとにより支持されることにより、ロックアップクラッチ8を囲むように当該ロックアップクラッチの外側、すなわち流体伝動室9内の外周側領域に配置される。
また、第2中間プレート部材14は、スプリング支持部14aのタービンランナ5側の側部からフロントカバー3に向けて軸方向に延出された複数(本実施形態では、4個)の外側スプリング当接部14bと、スプリング支持部14aよりもタービンランナ5側(図1における左側)に位置するように軸方向にオフセットされると共に、ダンパ装置10の径方向に延在する平坦な環状の内周部14cとを有する。ダンパ装置10の取付状態において、各外側スプリング当接部14bは、第1中間プレート部材13のスプリング当接部13bと同様に、互いに隣り合う外側スプリングSP1の間で両者と当接する。
第2中間プレート部材14の内周部14cには、内側スプリングSP2が配置される例えば円弧状の切り欠き(開口)である複数(本実施形態では、2個)のスプリング収容部が等間隔(本実施形態では、180°間隔)に形成されると共に、各スプリング収容部の両側に複数(本実施形態では、4個)の図示しない内側スプリング当接部が形成されている。ダンパ装置10の取付状態において、スプリング収容部を介して向かい合う2個の内側スプリング当接部は、両者の間の内側スプリングSP2の端部と当接(内側スプリングSP2の両端を支持)する。更に、内周部14cには、互いに隣り合うスプリング収容部の端部(内側スプリング当接部)同士の間に位置するように複数(本実施形態では、2個)の切り欠き部(開口)が形成されている。
ドリブン部材15は、フロントカバー3(ロックアップピストン80)側に配置されると共に複数のリベットを介してダンパハブ7に連結(固定)される環状の第1出力プレート部材16と、ポンプインペラ4およびタービンランナ5側に配置される環状の第2出力プレート部材18とを含む。第1出力プレート部材16と第2出力プレート部材18とは、第2中間プレート部材14の内周部14cを挟み込むように図示しない複数のリベットを介して互いに連結(固定)される。
ドリブン部材15を構成する第1出力プレート部材16は、図1に示すように、第2中間プレート部材14の内周部14cの外周縁部から軸方向に延出された円筒部の内周面を回転自在にしており、これにより、中間部材12が第1出力プレート部材16によりによって調心されると共に回転自在に支持される。また、第1出力プレート部材16は、内側スプリングSP2のフロントカバー3側の側部(図1における右側の側部)を支持(ガイド)する複数のスプリング支持部16aと、それぞれ対応する内側スプリングSP2の端部と当接可能な複数(本実施形態では、4個)のスプリング当接部(出力側当接部)16bとを有する。ダンパ装置10の取付状態において、互いに向かい合う2個のスプリング当接部16bは、両者の間の内側スプリングSP2の端部と当接(内側スプリングSP2の両端を支持)する。
ドリブン部材15を構成する第2出力プレート部材18は、図1に示すように、第1出力プレート部材16のスプリング支持部16aと対向して内側スプリングSP2のポンプインペラ4およびタービンランナ5側の側部(図1における左側の側部)を支持(ガイド)する複数のスプリング支持部18aと、それぞれ対応する内側スプリングSP2の端部と当接可能な複数(本実施形態では、4個)のスプリング当接部(出力側当接部)18bとを有する。ダンパ装置10の取付状態において、互いに向かい合う2個のスプリング当接部18bは、両者の間の内側スプリングSP2の端部と当接(内側スプリングSP2の両端を支持)する。複数の内側スプリングSP2は、上述の第1出力プレート部材16のスプリング支持部16aおよび第2出力プレート部材18のスプリング支持部18a等により支持されることにより、複数の外側スプリングSP1からポンプインペラ4およびタービンランナ5の軸方向に離間すると共に入力軸ISに近接するように複数の外側スプリングSP1よりも内側に配置され、ロックアップクラッチ8と当該軸方向に並ぶ。
更に、ドリブン部材15を構成する第2出力プレート部材18は、スプリング支持部18a付近から径方向外側に延出された質量体支持部18cを有する。そして、第2出力プレート部材18の質量体支持部18cは、複数(例えば、3〜4個)の振子質量体21を周方向に隣り合うように揺動自在に支持する。これにより、支持部材としての第2出力プレート部材18と、第2出力プレート部材18に揺動自在に連結される複数の振子質量体21とにより、遠心振子式吸振装置20が構成される。遠心振子式吸振装置20は、各振子質量体21を支持する支持部材としての第2出力プレート部材18(ドリブン部材15)の回転に伴って複数の振子質量体21が当該第2出力プレート部材18に対して同方向に揺動することで、ダンパ装置10のドリブン部材15に対して当該ドリブン部材15の振動とは逆方向の位相を有する振動を付与する。
図1に示すように、遠心振子式吸振装置20の複数の振子質量体21は、内側スプリングSP2を囲むように当該内側スプリングSP2の外側に配置されると共に、外側スプリングSP1と軸方向に並ぶ。また、各振子質量体21は、質量体支持部18cに所定の間隔をおいて複数形成された例えば略円弧状の長穴であるガイド穴に転動自在に挿通される支軸(ころ)22と、当該支軸の両端に固定される2枚の金属板(錘)21aとから構成される。ただし、遠心振子式吸振装置20の構成は、このようなものに限られない。また、遠心振子式吸振装置20は、各振子質量体21を支持する支持部材としてドリブン部材15(第2出力プレート部材18)を共用することにより、ダンパ装置10のドリブン部材15に連結されるが、専用の支持部材を用いてダンパ装置10の中間部材12やドリブン部材15と一体に回転するように構成されてもよい。
ダイナミックダンパ30は、直線型コイルスプリングまたはアークコイルスプリングである複数(本実施形態では、2個の直線型コイルスプリング)の吸振用スプリング(吸振用(第3)弾性体)SP3と、吸振用スプリングSP3に連結されると共に上述のタービンランナ5やタービンハブ52と共に質量体を構成する連結部材31とを含むものである。なお、「ダイナミックダンパ」は、振動体の共振周波数に一致する周波数(エンジン回転数)で当該振動体に逆位相の振動を付加して振動を減衰する機構であり、振動体に対してトルクの伝達経路に含まれないようにスプリングと質量体とを連結することにより構成される。そして、スプリングの剛性と質量体の重さを調整することで、ダイナミックダンパを所望の周波数で作用させることができる。
ダイナミックダンパ30の連結部材31は、図2に示すように、タービンランナ5を構成するタービンシェル50に固定される環状の固定部32と、吸振用スプリングSP3の両端と当接するように固定部32から延出された複数(本実施形態では、4個)のスプリング当接部(弾性体当接部)33とを有する。連結部材31の固定部32は、タービンハブ52と共にタービンシェル50の内周部に複数のリベットを介して固定され、ドリブン部材15の第2出力プレート部材18により包囲される。更に、固定部32は、第2出力プレート部材18の最もタービンランナ5側に位置する部分であるスプリング支持部18aよりも第1出力プレート部材16に近接するように配置される。
複数のスプリング当接部33は、2個(一対)ずつ近接するようにダンパ装置10(発進装置1)の軸心に関して対称に形成され、互いに対をなす2個のスプリング当接部33は、例えば吸振用スプリングSP3の自然長に応じた間隔をおいて対向する。また、各スプリング当接部33は、図1に示すように、固定部32から連結部材31の軸方向に離間すると共に径方向外側に延びるように当該固定部32から曲げ部34を介して延出される。そして、各スプリング当接部33は、第2中間プレート部材14の内周部14cに形成された切り欠き部内に配置され、内周部14cと共に第1出力プレート部材16と第2出力プレート部材18との間に位置する。これにより、当該内周部14cと連結部材31のスプリング当接部33とがダンパ装置10の軸方向に並ばないようにすることができるので、ダンパ装置10の軸長の増加を抑制して装置全体をコンパクト化することが可能となる。
ダンパ装置10の取付状態において、各吸振用スプリングSP3は、一対のスプリング当接部33により支持され(図2における二点鎖線参照)、内側スプリングSP2と周方向に並ぶように互いに隣り合う2個の内側スプリングSP2の間に1個ずつ配置される。これにより、各吸振用スプリングSP3は、発進装置1やダンパ装置10の軸方向および周方向の双方において内側スプリングSP2とオーバーラップする。このように、ダイナミックダンパ30を構成する吸振用スプリングSP3を内側スプリングSP2と周方向に並ぶように配置すれば、吸振用スプリングSP3を外側スプリングSP1や内側スプリングSP2の径方向における外側または内側、あるいは径方向における外側スプリングSP1と内側スプリングSP2との間に配置する場合に比べて、ダンパ装置10の外径の増加を抑制して装置全体をコンパクト化することができる。
また、ダンパ装置10の取付状態において、各吸振用スプリングSP3の両端は、ドリブン部材15を構成する第1出力プレート部材16のスプリング当接部16bおよび第2出力プレート部材18のスプリング当接部18bと当接する。これにより、各吸振用スプリングSP3、すなわちダイナミックダンパ30は、ダンパ装置10の出力要素であるドリブン部材15に連結されることになる。
図2に示すように、連結部材31の固定部32には、当該固定部32の外周面32sからそれぞれ径方向外側に突出する複数(本実施形態では、6個)のストッパ部(第2ストッパ部)35が形成されている。本実施形態において、複数のストッパ部35は、連結部材31の軸方向からみて複数のスプリング当接部33と重なり合わないように、連結部材31の中心(ダンパ装置10(発進装置1)の軸心)を通る互いに対をなす2個のスプリング当接部33の中心線(図2おける一点鎖線参照)に関して図中左右対称に所定の間隔をおいて配設される。また、各ストッパ部35は、基端側から遊端側に向かうにつれて先細となる等脚台形状の断面形状を有し、連結部材31(固定部32)の径方向に対して互いに反対方向に傾斜した2つの平坦な当接面35sを有する。本実施形態において、各ストッパ部35の2つの当接面35sは、互いに同一の傾斜角度で(ストッパ部35の)基端側から遊端側に向かうにつれて互いに接近するように傾斜している。
更に、連結部材31の固定部32には、連結部材31をタービンシェル50に固定するためのリベットが挿通される貫通孔36が間隔をおいて複数形成されている。複数の貫通孔36は、互いに隣り合うストッパ部35同士の間、すなわち各ストッパ部35の基端(根元)付近以外の部分で固定部32を貫通するように形成される。このように、各ストッパ部35の径方向内側、すなわち各ストッパ部35の基端付近にリベットが挿通される貫通孔36を配置しないことで、各ストッパ部35の基端付近の応力を低下させて連結部材31の耐久性をより向上させることが可能となる。
また、連結部材31の固定部32を包囲する第2出力プレート部材18には、当該第2出力プレート部材18の内周面18sからそれぞれ径方向内側に突出する複数(本実施形態では、8個、すなわちストッパ部35の個数よりも2個多い数)のストッパ部(第1ストッパ部)180が間隔をおいて形成されている。本実施形態において、複数のストッパ部180は、第2出力プレート部材18の中心(ダンパ装置10(発進装置1)の軸心)を通る径方向に延びる直線(図2おける一点鎖線参照)に関して図中左右対称に所定の間隔をおいて配設される。また、各ストッパ部180は、基端側から遊端側に向かうにつれて先細となる等脚台形状の断面形状を有し、第2出力プレート部材18の径方向に対して互いに反対方向に傾斜した2つの平坦な当接面180sを有する。本実施形態において、各ストッパ部180の2つの当接面180sは、連結部材31のストッパ部35の当接面35sと同一の傾斜角度で(ストッパ部180の)基端側から遊端側に向かうにつれて互いに接近するように傾斜している。
吸振用スプリングSP3が概ね自然長に保たれるダンパ装置10の取付状態において、連結部材31の各ストッパ部35は、図2に示すように、第2出力プレート部材18の互いに隣り合うストッパ部180の間(概ね中央)に位置し、各ストッパ部35の各当接面35sは、連結部材31の周方向に略一定の間隔、すなわち吸振用スプリングSP3の最大収縮量よりも短い間隔をおいて隣り合うストッパ部180の当接面180sと対向する。また、本実施形態において、連結部材31の各ストッパ部35および第2出力プレート部材18の各ストッパ部180は、図1に示すように、ダンパ装置10の各内側スプリングSP2および遠心振子式吸振装置20の各振子質量体21よりも内側に位置することになる。
次に、上述のように構成される発進装置1の動作について説明する。
発進装置1のロックアップクラッチ8によりロックアップが実行される際には、図3からわかるように、原動機としてのエンジンからのトルク(動力)が、フロントカバー3、ロックアップクラッチ8、クラッチドラム(ドライブ部材)81、外側スプリングSP1、中間部材12、内側スプリングSP2、ドリブン部材15、ダンパハブ7という経路を介して変速機の入力軸ISへと伝達される。この際、フロントカバー3に伝達されるエンジンからのトルクの変動は、主にダンパ装置10の外側スプリングSP1および内側スプリングSP2により減衰(吸収)される。ここで、発進装置1では、上述のように、ダンパ装置10の外周に近接して配置される外側スプリングSP1をより低剛性化(バネ定数を小さく)することができるので、ロックアップクラッチ8によりロックアップが実行されている際に、フロントカバー3に伝達されるエンジンからのトルクの変動をダンパ装置10により良好に減衰(吸収)することができる。
また、発進装置1では、ロックアップに伴ってロックアップクラッチ8によりフロントカバー3に連結されたダンパ装置10がフロントカバー3と共に回転すると、ダンパ装置10のドリブン部材15も発進装置1の軸心周りにフロントカバー3と同方向に回転し、ドリブン部材15の回転に伴って遠心振子式吸振装置20を構成する各振子質量体21がドリブン部材15に対して同方向に揺動することになる。これにより、遠心振子式吸振装置20からドリブン部材15に対して当該ドリブン部材15の振動(共振)とは逆方向の位相を有する振動を付与し、それによりフロントカバー3とダンパハブ7との間で遠心振子式吸振装置20によっても振動を減衰(吸収)することが可能となる。
更に、ロックアップの実行時に、ポンプインペラ4やタービンランナ5(流体伝動装置)は、フロントカバー3と変速機の入力軸ISとの間におけるトルクの伝達に関与せず、エンジンの回転に伴って当該エンジンからのトルクによりドリブン部材15が回転すると、ドリブン部材15のスプリング当接部16bおよび18bの何れか(何れか2組)が対応する吸振用スプリングSP3の一端を押圧し、各吸振用スプリングSP3の他端が連結部材31の対応する一対のスプリング当接部33の一方を押圧する。
この結果、タービンランナ5が動力(トルク)の伝達に関与していない際には、複数の吸振用スプリングSP3や質量体としてのタービンランナ5および連結部材31を含むダイナミックダンパ30がダンパ装置10のドリブン部材15に連結されることになる。これにより、発進装置1では、ダイナミックダンパ30によっても、エンジンからの振動を減衰(吸収)することが可能となる。そして、ダイナミックダンパ30の連結部材31の固定部32をタービンシェル50の内周部に固定してタービンランナ5をダイナミックダンパ30の質量体として用いれば、ダイナミックダンパ30の質量体を別途設ける必要が無くなるので、発進装置1の大型化を抑制することができる。
一方、発進装置1のロックアップクラッチ8によりロックアップが解除されている際には、図3からわかるように、原動機としてのエンジンからフロントカバー3に伝達されたトルク(動力)が、ポンプインペラ4、タービンランナ5、連結部材31、吸振用スプリングSP3、ドリブン部材15、ダンパハブ7という経路を介して変速機の入力軸ISへと伝達される。このようにポンプインペラ4およびタービンランナ5を介してエンジンから変速機の入力軸ISへとトルクが伝達される際、ドリブン部材15はタービンランナ5と同一方向に回転する(しようとする)が、タービンランナ5に固定された連結部材31とドリブン部材15とが相対回転することで各吸振用スプリングSP3が収縮する。そして、エンジンからフロントカバー3に伝達されるトルクが比較的小さい際には、連結部材31を介してタービンランナ5により押圧されて収縮した各吸振用スプリングSP3(のみ)を介してタービンランナ5(連結部材31)からドリブン部材15にトルクが伝達される。
また、ロックアップクラッチ8によりロックアップが解除された状態でエンジンから比較的大きいトルクがフロントカバー3に伝達される際には、各吸振用スプリングSP3の収縮量が大きくなるが、発進装置1では、各吸振用スプリングSP3がある程度収縮すると、互いに対応した連結部材31のストッパ部35とドリブン部材15を構成する第2出力プレート部材18のストッパ部180とが当接する。すなわち、ロックアップが解除されている際に連結部材31およびドリブン部材15が図2における矢印方向に回転する場合、ストッパ部35の回転方向下流側の当接面35sがストッパ部180の回転方向上流側の当接面180sと密に当接する。これにより、連結部材31とドリブン部材15とが一体となって回転すると共に各吸振用スプリングSP3がそれ以上収縮しなくなり、タービンランナ5からのトルクは、収縮した各吸振用スプリングSP3のみならず、互いに当接した複数組のストッパ部35,180をも介してドリブン部材15に伝達されることになる。
そして、本実施形態では、上述のように、ダンパ装置10の取付状態における各ストッパ部35の各当接面35sと隣り合うストッパ部180の当接面180sとの間隔が吸振用スプリングSP3の最大収縮量よりも短くなっていることから、連結部材31がドリブン部材15に対して回転すると、各吸振用スプリングSP3が完全に収縮する前に互いに対応したストッパ部35の当接面35sとストッパ部180の当接面180sとが当接する。これにより、ロックアップの解除時にエンジンからフロントカバー3に比較的大きなトルクが伝達されたとしても、各吸振用スプリングSP3が完全に収縮した状態でタービンランナ5からドリブン部材15にトルクが伝達されるのを抑制して、各吸振用スプリングSP3の耐久性をより向上させることができる。
また、発進装置1のダンパ装置10では、上述のように、連結部材31の各ストッパ部35の当接面35sおよび第2出力プレート部材18の各ストッパ部180の当接面180sが連結部材31や第2出力プレート部材18の径方向に対して傾斜させられている。すなわち、ストッパ部(第1ストッパ部)180と当接するストッパ部(第2ストッパ部)35の回転方向下流側の当接面35sは、図2に示すように、基端側が遊端側よりも連結部材31および第2出力プレート部材18の回転方向下流側に位置するように当該連結部材31等の径方向に対して傾斜している。また、ストッパ部(第2ストッパ部)35と当接するストッパ部(第1ストッパ部)180の回転方向上流側の当接面180sは、図2に示すように、遊端側が基端側よりも連結部材31および第2出力プレート部材18の回転方向下流側に位置するように当該第2出力プレート部材18等の径方向に対して傾斜している。
これにより、連結部材31や第2出力プレート部材18の厚みを大きくすることなくストッパ部35とストッパ部180との接触面積をより大きくすることが可能となり、更に連結部材31や第2出力プレート部材18にストッパ部35,180をそれぞれ複数設けることで、連結部材31と第2出力プレート部材18との接触面積をより一層大きくすることが可能となる。更に、ストッパ部35および180間の面圧を低下させると共に、ストッパ部35および180の基端(根元)の周方向における幅を大きくして両者の基端(根元)付近における応力集中を緩和することができる。従って、ダンパ装置10全体、特に軸長の増加を抑制しつつ、複数組のストッパ部35および180により構成されるストッパ機構の性能を向上させると共に、ストッパ部35および180の耐久性をより向上させることが可能となる。この結果、発進装置1では、ダンパ装置10のコンパクト化を図りつつ、ダイナミックダンパを構成する吸振用スプリングSP3の耐久性を確保するためのストッパ機構の性能や耐久性をより向上させることができる。
また、連結部材31のスプリング当接部33は、当該連結部材31の固定部32を包囲するドリブン部材15の第2出力プレート部材18と軸方向に並ぶように固定部32から曲げ部34を介して延出される。これにより、ダンパ装置10の軸長の増加を抑制して装置全体をコンパクト化することが可能となる。更に、本実施形態において、各ストッパ部35の径方向内側すなわち各ストッパ部35の基端(根元)付近には、リベットを挿通させる貫通孔36が配置されず、連結部材31の固定部32を質量体としてのタービンランナ5に固定するためのリベットは、互いに隣り合うストッパ部35同士の間で固定部32(貫通孔36)を貫通する。このように、ストッパ部35の径方向内側、すなわち基端(根元)付近でリベットが連結部材31の固定部32を貫通しないようにすることにより、各ストッパ部35の基端付近の応力を低下させて連結部材31の耐久性をより向上させることが可能となる。
そして、ダンパ装置10において、連結部材31のストッパ部35および第2出力プレート部材18のストッパ部180は、ダンパ装置10の内側スプリングSP2よりも内側(入力軸IS側)に位置すると共に、遠心振子式吸振装置20の振子質量体21よりも内側(入力軸IS側)に位置する。これにより、ストッパ部35,180の当接面35s、180sの半径(いわゆる、トルク半径)をより小さくすることができるので、ストッパ部35とストッパ部180とが当接して連結部材31とドリブン部材15とが一体となって回転する際に、連結部材31とドリブン部材15との間で伝達されるトルクをより小さくすることができる。この結果、複数組のストッパ部35およびストッパ部180により構成されるストッパ機構の性能をより一層向上させると共に、ストッパ部35,180の耐久性をより一層向上させることが可能となる。
図4は、変形態様に係るダンパ装置10Bを含む発進装置1Bを示す部分断面図である。なお、発進装置1Bの構成要素のうち、上述の発進装置1と同一の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。同図に示すダンパ装置10Bでの中間部材12Bは、第1中間プレート部材13および第2中間プレート部材14Bに加えて、図示しないリベットを介して第2中間プレート部材14Bに連結(固定)される環状の第3中間プレート部材19を含む。中間部材12Bを構成する第3中間プレート部材19は、図4に示すように、遠心振子式吸振装置20Bを構成する複数(例えば、3〜4個)の振子質量体21を周方向に隣り合うように揺動自在に支持する。これにより、ダンパ装置10Bでは、中間部材12Bに遠心振子式吸振装置20Bが連結される。
また、中間部材12Bを構成する第2中間プレート部材14Bは、スプリング支持部14aに加えて、内側スプリングSP2のフロントカバー3側の側部(図4における右側の側部)を支持(ガイド)する複数のスプリング支持部14dや、複数の内側スプリング当接部14eを有する。更に、第3中間プレート部材19は、第2中間プレート部材14Bのスプリング支持部14dと対向して内側スプリングSP2のポンプインペラ4およびタービンランナ5側の側部(図4における左側の側部)を支持(ガイド)する複数のスプリング支持部19aと、複数のスプリング当接部19bとを有する。ダイナミックダンパ30Bを構成する各吸振用スプリングSP3の両端は、ダンパ装置10Bの取付状態において、第2中間プレート部材14Bの内側スプリング当接部14eおよび第3中間プレート部材19のスプリング当接部19bと当接する。これにより、各吸振用スプリングSP3、すなわちダイナミックダンパ30Bは、ダンパ装置10の中間部材12Bに連結される。また、図示するように、第3中間プレート部材19は、連結部材31の固定部32を包囲する。
そして、中間部材12Bを構成する第3中間プレート部材19には、当該第3中間プレート部材19の内周面からそれぞれ径方向内側に突出する複数(連結部材31のストッパ部35の個数よりも2個多い数)のストッパ部(第1ストッパ部)190が間隔をおいて形成されている。複数のストッパ部190は、上述のストッパ部180と同様に、第3中間プレート部材19の中心(ダンパ装置10(発進装置1)の軸心)を通る径方向に延びる直線に関して対称に所定の間隔をおいて配設される。また、各ストッパ部190も、基端側から遊端側に向かうにつれて先細となる等脚台形状の断面形状を有し、第3中間プレート部材19の径方向に対して互いに反対方向に傾斜した2つの平坦な当接面を有する。更に、ダンパ装置10Bでは、連結部材31の各スプリング当接部33が、ドリブン部材15Bに形成された切り欠き部(開口)内に配置され、ドリブン部材15Bと共に第2中間プレート部材14Bと第3中間プレート部材19との間に位置する。このように構成されるダンパ装置10Bを含む発進装置1Bにおいても、上述のダンパ装置10を含む発進装置1において得られるものと同様の作用効果を得ることができる。
なお、上述のダンパ装置10,10Bにおいて、ダイナミックダンパ30,30Bは、タービンランナ5とは異なる専用の質量体を有するものとして構成されてもよいことはいうまでもない。また、ダンパ装置10,10Bでは、ダイナミックダンパ30,30Bの連結部材31が第2出力プレート部材18または第3中間プレート部材19により包囲されるが、ダンパ装置10,10Bは、連結部材31がドリブン部材15や中間部材12Bといったダイナミックダンパ30,30Bの連結対象回転要素(その構成部材)を包囲するように構成されてもよい。更に、ストッパ部35,180,190の2つの当接面35s,180s等は、必ずしも同一の傾斜角度を有するものである必要はなく、連結部材31およびダイナミックダンパ30,30Bの連結対象回転要素の回転方向に応じて、一方のみを上述のように傾斜させてもよい。また、遠心振子式吸振装置およびダイナミックダンパの一方がダンパ装置の中間要素に連結されると共に、他方が出力要素に連結されてもよい。更に、ダンパ装置10,10Bから遠心振子式吸振装置20,20Bが省略されてもよい。
以上説明したように、本発明によるダンパ装置は、入力要素と、出力要素と、前記入力要素と前記出力要素との間でトルクを伝達する弾性体とを含むダンパ装置において、質量体と、前記ダンパ装置を構成する何れかの回転要素と当接可能な吸振用弾性体と、前記質量体に固定される固定部および前記吸振用弾性体の両端と当接するように設けられた複数の弾性体当接部を有する連結部材とを含み、前記回転要素に対して逆位相の振動を付与して振動を減衰するダイナミックダンパを備え、前記回転要素および前記連結部材の一方は、他方の一部を包囲するように構成されると共に、内周面から径方向内側に突出する複数の第1ストッパ部を有し、前記回転要素および前記連結部材の他方は、前記一部の外周面から径方向外側に突出すると共に、前記回転要素と前記連結部材との相対回転を規制するように前記第1ストッパ部にそれぞれ当接する複数の第2ストッパ部を有し、前記第1ストッパ部の前記第2ストッパ部との当接面および前記第2ストッパ部の前記第1ストッパ部との当接面は、前記回転要素および前記連結部材の径方向に対して傾斜していることを特徴とする。
すなわち、本発明によるダンパ装置は、当該ダンパ装置を構成する何れかの回転要素に対して逆位相の振動を付与して振動を減衰するダイナミックダンパを備えており、ダイナミックダンパは、質量体と、上記回転要素と当接可能な吸振用弾性体と、質量体に固定される固定部および吸振用弾性体の両端と当接するように設けられた複数の弾性体当接部を有する連結部材とを含む。また、回転要素および連結部材の一方は、他方の一部を包囲するように構成されると共に、内周面から径方向内側に突出する複数の第1ストッパ部を有する。更に、回転要素および連結部材の他方は、上記一部の外周面から径方向外側に突出すると共に、回転要素と連結部材との相対回転を規制するように第1ストッパ部にそれぞれ当接する複数の第2ストッパ部を有する。そして、第1ストッパ部の第2ストッパ部との当接面および第2ストッパ部の第1ストッパ部との当接面は、回転要素および連結部材の径方向に対して傾斜している。
このように構成されるダンパ装置では、回転要素と連結部材との相対回転により吸振用弾性体が収縮するが、回転要素と連結部材とが相対回転するのに伴って互いに対応した第1ストッパ部と第2ストッパ部とが当接すると、回転要素と連結部材とが一体となって回転すると共に吸振用弾性体がそれ以上収縮しなくなる。こうして互いに対応した第1ストッパ部と第2ストッパ部とが当接した状態では、吸振用弾性体のみならず、互いに当接した複数組の第1および第2ストッパ部をも介して連結部材と回転要素との間でトルクが伝達されることになる。従って、回転要素と連結部材との相対回転に伴って吸振用弾性体が完全に収縮する前に互いに対応した第1ストッパ部と第2ストッパ部とを当接させることで、吸振用弾性体の耐久性をより向上させることができる。そして、第1ストッパ部の第2ストッパ部との当接面および第2ストッパ部の第1ストッパ部との当接面を回転要素および連結部材の径方向に対して傾斜させることで、回転要素および連結部材の厚みを大きくすることなく第1ストッパ部と第2ストッパ部との接触面積をより大きくすることが可能となり、更に第1および第2ストッパ部をそれぞれ複数設けることで、回転要素と連結部材との接触面積をより一層大きくすることができる。これにより、ダンパ装置全体、特に軸長の増加を抑制しつつ、複数組の第1および第2ストッパ部により構成されるストッパ機構の性能をより向上させると共に、第1および第2ストッパ部間の面圧を低下させて第1および第2ストッパ部の耐久性をより向上させることが可能となる。この結果、このダンパ装置では,装置全体のコンパクト化を図りつつ、ダイナミックダンパを構成する吸振用弾性体の耐久性を確保するためのストッパ機構の性能や耐久性をより向上させることができる。
また、前記第1ストッパ部の前記第2ストッパ部との当接面は、遊端側が基端側よりも前記回転要素および前記連結部材の回転方向下流側に位置するように前記径方向に対して傾斜してもよく、前記第2ストッパ部の前記第1ストッパ部との当接面は、基端側が遊端側よりも前記回転要素および前記連結部材の回転方向下流側に位置するように前記径方向に対して傾斜してもよい。これにより、第1および第2ストッパ部の基端(根元)の周方向における幅を大きくすることができるので、第1および第2ストッパ部の基端付近における応力集中を緩和して第1および第2ストッパ部の耐久性をより一層向上させることが可能となる。
更に、前記回転要素は、前記連結部材の前記固定部を包囲するように構成されてもよく、前記連結部材の前記弾性体当接部は、前記回転要素と軸方向に並ぶように前記固定部から曲げ部を介して延出されてもよく、前記複数の第1ストッパ部は、前記回転要素の内周面から径方向内側に突出するように周方向に間隔をおいて配設されてもよく、前記複数の第2ストッパ部は、前記連結部材の前記固定部の外周面から径方向内側に突出するように周方向に間隔をおいて配設されてもよい。これにより、ダンパ装置の軸長の増加を抑制して装置全体をコンパクト化することが可能となる。
また、前記連結部材の前記固定部は、複数の締結部材を介して前記質量体に固定されてもよく、前記複数の締結部材の各々は、互いに隣り合う前記第2ストッパ部同士の間で前記固定部を貫通してもよい。このように、第2ストッパ部の径方向内側、すなわち第2ストッパ部の基端(根元)付近で締結部材が連結部材の固定部を貫通しないようにすることにより、第2ストッパ部の基端付近の応力を低下させて連結部材の耐久性をより向上させることが可能となる。
更に、前記弾性体は、第1弾性体と、前記第1弾性体よりも内側に配置される第2弾性体とを含んでもよく、前記第1および第2ストッパ部は、前記第2弾性体よりも内側に位置してもよい。これにより、第1および第2ストッパ部の当接面の半径(いわゆる、トルク半径)をより小さくすることができるので、第1ストッパ部と第2ストッパ部とが当接して回転要素と連結部材とが一体となって回転する際に、回転要素と連結部材との間で伝達されるトルクをより小さくすることができる。従って、かかる構成を採用すれば、複数組の第1および第2ストッパ部により構成されるストッパ機構の性能をより一層向上させると共に、第1および第2ストッパ部の耐久性をより一層向上させることが可能となる。
また、前記ダンパ装置は、当該ダンパ装置を構成する何れかの回転要素と一体に回転する支持部材と、前記支持部材により揺動自在に支持される複数の振子質量体とを有する遠心振子式吸振装置を備えてもよく、前記第1および第2ストッパ部は、前記振子質量体よりも内側に位置してもよい。これにより、このダンパ装置では、ダイナミックダンパおよび遠心振子式吸振装置によりダンパ装置全体の振動を良好に減衰(吸収)することが可能となる。そして、第1および第2ストッパ部を遠心振子式吸振装置の振子質量体よりも内側に配置することで、第1および第2ストッパ部の当接面の半径(いわゆる、トルク半径)をより小さくすることができるので、第1ストッパ部と第2ストッパ部とが当接して回転要素と連結部材とが一体となって回転する際に、回転要素と連結部材との間で伝達されるトルクをより小さくすることができる。従って、このダンパ装置においても、複数組の第1および第2ストッパ部により構成されるストッパ機構の性能をより一層向上させると共に、第1および第2ストッパ部の耐久性をより一層向上させることが可能となる。
本発明による発進装置は、上記何れかのダンパ装置と、入力部材に連結されるポンプインペラと、前記ポンプインペラと共に流体伝動装置を構成するタービンランナと、前記入力部材と変速機の入力軸とを連結するロックアップと該ロックアップの解除を実行可能なロックアップクラッチとを備えた発進装置において、前記連結部材の前記固定部が、前記タービンランナに固定されることを特徴とする。
この発進装置では、ダイナミックダンパの連結部材の固定部がタービンランナに固定され、当該タービンランナがダイナミックダンパの質量体として用いられる。これにより、ダイナミックダンパの質量体を別途設ける必要が無くなるので、発進装置の大型化を抑制することが可能となる。また、この発進装置では、ロックアップクラッチによりロックアップが解除されている際、入力部材からのトルクがポンプインペラおよびタービンランナを介して上記回転要素に伝達されることになるが、上述のように、この発進装置に含まれるダンパ装置によれば、複数組の第1および第2ストッパ部により構成されるストッパ機構の性能をより向上させると共に、第1および第2ストッパ部の耐久性をより向上させることができる。従って、この発進装置では、ロックアップの解除時に入力部材に比較的大きなトルクが伝達されたとしても、ダイナミックダンパの吸振用弾性体の耐久性をより良好に確保することが可能となる。
そして、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記発明を実施するための形態は、あくまで課題を解決するための手段の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、課題を解決するための手段の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。