JP6205922B2 - 電子写真感光体および画像形成装置 - Google Patents
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Description
電子写真技術の中核となる電子写真感光体(以下適宜「感光体」という)については、無公害で、安価大量製造が可能である等の利点を有する、有機系の光導電物質を使用した感光体が広く使用されている。
上記以外に、帯電ローラや現像ローラのように、感光体と常時接触して用いられる部材に使用されている高分子材料には、可塑剤としてフタル酸ジエステル成分が用いられることがあり、そのような成分は、ローラからしみ出して感光体に移行し、その結果感光体の表面にクラックが入り、画像欠陥を引き起こす場合がある。ローラからのフタル酸ジエステル成分のしみ出し以外に、感光体表面に直接指で触れたり、あるいは現像剤のキャリアとして、炭化水素系有機溶剤を使用する、いわゆる液体現像系(湿式現像系)でも同様なクラックが入ることが有り、感光体の化学物質、中でもオイル、可塑剤、炭化水素系溶剤等に対する耐久性も、安定な画像を形成するためには重要な性能となっている。
精製が困難等の問題が有る。また、特殊な高分子樹脂を表面層のバインダー樹脂に使用した場合には、電子写真用途としては溶解性や相溶性、基体との接着性に劣ることが有った。
本発明の要旨は、下記<1>〜<4>に存する。
最表面層中に少なくとも、下記一般式(1)で表される繰返し単位からなるポリカーボネート樹脂と、式(2)で表される繰返し単位からなるポリカーボネート樹脂を共に含有し、
一般式(1)で表される繰返し単位を含むポリカーボネート樹脂と、式(2)で表される繰返し単位を含むポリカーボネート樹脂の比率が一般式(1):式(2)=95:5〜50:50であることを特徴とする電子写真感光体。
前記一般式(1)で表されるポリカーボネート樹脂が、下記式(3)、(4)および(5)から選ばれた少なくとも1種類からなることを特徴とする、<1>記載の電子写真感光体。
<1>または<2>に記載の電子写真感光体と、少なくとも帯電手段とクリーニング手段を備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
<1>または<2>に記載の電子写真感光体を用いて画像を形成する画像形成装置であって、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記電子写真感光体に対し露光を行ない静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーで現像する現像手段と、前記トナーを被転写体に転写する転写手段と、クリーニング手段を有することを特徴とする、画像形成装置。
まず、本発明の電子写真感光体に使用されるポリカーボネート樹脂について説明する。
本発明の電子写真感光体の最表面層中には、少なくとも、下記一般式(1)で表される繰返し単位からなるポリカーボネート樹脂と、下記式(2)で表される繰返し単位からなるポリカーボネート樹脂を共に含有する。
前記一般式(1)で表される繰返し単位をからなるポリカーボネート樹脂(以下、「ポリカーボネート樹脂(1)」ということがある)は耐クラック性が良好であるが、基体との接着性がやや劣る。一方、前記一般式(2)で表される繰返し単位をからなるポリカーボネート樹脂(以下、「ポリカーボネート樹脂(2)」ということがある)は耐クラック性がやや劣るものの、基体との接着性は良好である。両者を混合することにより、両者の利点を生かしつつ欠点を低減する相乗効果が生じ、バランス良く性能を改良することができる。
次に、本発明の電子写真感光体について、他の構成要素を含め説明する。
本発明の感光体は、上記特定のポリカーボネート樹脂を含有する最表面層を備えるものである。本発明の感光層は、通常は導電性支持体(「導電性基体」あるいは単に「基体」ともいう)上に設けられる。
導電性支持体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金等、特許文献5に開示されている公知の材料を使用することが出来る。また、導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、特許文献5に開示されているように、陽極酸化被膜を施してから用いてもよい。
導電性支持体と感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。下引き層としては、特許文献5に開示されている公知の例を使用することが出来る。
感光層は、上述の導電性支持体上に(前述の下引き層を設けた場合は下引き層上に)形成される。感光層の型式としては、電荷発生材料と電荷輸送材料とが同一層に存在し、それらがバインダー樹脂中に分散した単層構造のもの(以下適宜、「単層型感光層」という。)と、電荷発生材料がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層、及び電荷輸送材料がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層を含む、二層以上の層からなる積層構造の機能分離型のもの(以下適宜、「積層型感光層」という)が挙げられるが、何れの形態であってもよい。
積層して設ける順積層型感光層と、逆に導電性支持体側から電荷輸送層、電荷発生層の順に積層して設ける逆積層型感光層とがあり、いずれを採用することも可能であるが、最もバランスの取れた光導電性を発揮できる順積層型感光層が好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂は、 感光層の型式にかかわらず、導電性支持体とは反
対側となる 感光層の「最表面」となる層に含まれる。
電荷発生層と電荷輸送層を有する積層型感光体の電荷輸送層形成の際は、膜強度確保のためにバインダー樹脂が使用される。
積層型感光体の電荷輸送層の場合、電荷輸送物質とバインダー樹脂とを溶剤に溶解、あるいは分散して得られる塗布液、また、単層型感光体の場合、電荷発生物質と電荷輸送物質と前記バインダー樹脂を溶剤に溶解、あるいは分散して得られる塗布液を塗布、乾燥して得ることが出来る。
本発明の電子写真感光体が順積層型感光体の場合、電荷輸送層のバインダー樹脂として、上述した二種のポリカーボネート樹脂(1)および(2)を含有する。また、バインダー樹脂は本発明の効果を損なわない範囲であれば、その他の樹脂を混合してもよく、他の樹脂としては、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、適当な硬化剤を用いて熱、光等により架橋させて用いることもでき、ケイ素試薬などで修飾されていてもよい。その際、本発明のポリカーボネート樹脂(1)および(2)の合計の割合が、50重量%以上であることが好ましい。
本発明の電子写真感光体は、電荷輸送材料として、特許文献5に開示されているような公知の例を使用することが出来る。
本発明に含有される電荷輸送材料の使用量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、少な過ぎると電荷輸送に不利となり、電機特性が悪化するため、感光層中のバインダー樹脂100重量部に対して、通常30重量部以上、好ましくは40重量部以上であり、また、多過ぎるとガラス点移転点(Tg)が下がり過ぎて耐摩耗性が劣化する、耐クラック性が低下するおそれがあるため、通常200重量部以下、好ましくは150重量部以下である。
積層型感光層(機能分離型感光層)の電荷発生層は、電荷発生材料を含有すると共に、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷発生層は、例えば、電荷発生材料の微粒子及びバインダー樹脂を溶媒又は分散媒に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)、また、逆積層型感光層の場合には電荷輸送層上に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷発生材料の例としては、特許文献5に開示されている公知の材料を使用することが出来る。なお、これらの材料のうち、フタロシアニン環の中心に
金属を含有する含金属フタロシアニンが好ましく、含金属フタロシアニンの中でもA型(β型)、B型(α型)、D型(Y型)オキシチタニウムフタロシアニン、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等がより好ましく、A型(β型)、B型(α型)、D型(Y型)オキシチタニウムフタロシアニンが更に好ましい。
電荷発生材料としてアゾ顔料を使用する場合には、各種公知のビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料が好適に用いられる。
さらに、感光層内に分散される電荷発生材料の量は少なすぎると充分な感度が得られない可能性があり、多すぎると帯電性の低下、感度の低下、凝集による平滑性の低下などの弊害がある。よって、積層型感光層の電荷発生層内の電荷発生材料の量は、通常は20重量%以上、好ましくは40重量%以上、また、通常90重量%以下、好ましくは70重量%以下とする。
積層型感光層を構成する電荷発生層に用いるバインダー樹脂は特に制限されないが、例えば、特許文献5に開示されている公知の材料を使用することが出来る。
電荷発生層は、具体的に、上述のバインダー樹脂を有機溶剤に溶解した溶液に、電荷発生物質を分散させて塗布液を調整し、これを導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布することにより形成される。
単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質に加えて、機能分離型感光体の電荷輸送層と同様に、バインダー樹脂として上述した二種のポリカーボネート樹脂(1)および(2)を共に使用して形成する。また、バインダー樹脂は電荷輸送層と同様に、本発明の効果を損なわない範囲であれば、その他の樹脂を混合しても良い。単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質と前記バインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作成し、導電性支持体上(下引き層を設ける場合は下引き層上)に塗布、乾燥して得ることが出来る。
電荷発生物質は、積層型感光体の電荷発生層について説明したものと同様のものが使用できる。但し、単層型感光体の感光層の場合、電荷発生物質の粒子径を十分に小さくする必要がある。具体的には、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下の範囲とする。
また、単層型感光層におけるバインダー樹脂と電荷発生物質との使用比率は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が通常0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上、また、通常30質量部以下、好ましくは10質量部以下の範囲とする。
<その他の構成成分>
さらに、感光層は、各種の添加剤を含有していても良い。これらの添加剤は成膜性、可撓性、機械的強度等を改良するために用いられるもので、例えば、可塑剤、紫外線等の短波長光吸収剤、酸化防止剤、残留電位を抑制するための残留電位抑制剤、分散安定性向上のための分散補助剤、塗布性を改善するためのレベリング剤(例えば、シリコ−ンオイル、フッ素系オイル等)、界面活性剤などが挙げられる。なお、添加剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、本発明の感光体において感光層の膜厚に制限は無く本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、単層型感光体の場合は、通常10μm以上、好ましくは15μm以上、また、通常50μm以下、好ましくは45μm以下である。積層型感光体の場合は、電荷発生層は好ましくは0.1μm以上1μm以下、より好ましくは0.2μm以上0.8μm以下であり、電荷輸送層は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常40μm以下、好ましくは35μm以下である。当該電荷輸送層は、単一の層だけでなく、二層以上の異なる層から形成されていてもよい。
感光層の上に、保護層を最表面層として設けても良い。この場合は、保護層に前記ポリカーボネート樹脂(1)および(2)を少なくも含有する。また、当該保護層には、適宜添加剤を加えてもよい。例えばフッ素系樹脂、シリコン樹脂、架橋ポリスチレン樹脂等の樹脂粒子、アルミナ粒子、シリカ粒子等の無機粒子等が挙げられる。また、保護層の厚みが1μmより厚い場合は、その下層の影響よりも保護層の物性が表面機械物性をより強く支配するため、下層の感光層に用いられる材料には本発明で規定する範囲にとらわれず、任意の公知材料を使用してもよい。
下引き層、感光層、保護層などの各層の形成方法に制限は無い。例えば、形成する層に含有させる材料を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を、導電性支持体の上に、直
接又は他の層を介して順次塗布するなどの公知の方法が適用できる。塗布後、乾燥により溶剤を除去することにより、感光層を形成する。
本発明の感光体は、後述する画像形成装置に用いられることにより、画像形成の用途に使用されるものである。本発明の積層型感光体は負帯電で使用し、単層型感光体は正帯電で使用する。
[I−7.感光体の露光波長]
本発明の感光体は、画像形成の際には、露光手段から書き込み光によって露光を行なわれて静電潜像を形成されることになる。この際に用いられる書き込み光は静電潜像の形成が可能である限り任意であるが、露光波長が通常380nm以上、中でも400nm以上、また、通常850nm以下の単色光を用いる。中でも480nm以下の単色光を用いると感光体を、より小さなスポットサイズの光で露光することができ、高解像度で高階調性を有する高品質の画像を形成することができることから、高品質の画像を得たい際に480nm以下の単色光で露光することが好ましい。
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5及びクリーニングユニット6がそれぞれ配置されている。
なお、電子写真感光体1、帯電装置2、およびクリーニングユニット6は、多くの場合、カートリッジ(本発明の電子写真感光体を含むプロセスカートリッジ。以下適宜、「プロセスカートリッジ」という)として、画像形成装置の本体から取り外し、交換可能となるように設計されている。例えば電子写真感光体1、帯電装置2、およびクリーニングユニット6が劣化した場合に、このプロセスカートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しいプロセスカートリッジを画像形成装置本体に装着することができるようになっている。また、後述するトナーについても、多くの場合、トナーカートリッジ中に蓄えられて、画像形成装置本体から取り外し可能に設計され、使用しているトナーカートリッジ中のトナーが無くなった場合に、このトナーカートリッジを画像形成装置本体から取り
外し、別の新しいトナーカートリッジを装着することができるようになっている。更に、電子写真感光体1、帯電装置2、クリーニングユニット6、トナーが全て備えられたプロセスカートリッジを用いることもある。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。ただし、現像ローラ44と電子写真感光体1とは当接せず、近接していてもよい。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
一方、液体現像方式に関しては、使用される液体現像剤は、炭化水素系有機溶剤のように絶縁性の高い有機溶剤中に、荷電性を付与した顔料、樹脂からなるトナーを分散したものである。液中で荷電したトナーが、現像電界に応じ電気泳動していく機構であるため、粘性を有する有機溶剤中のトナーの移動度などが関係する。一例として、濃度の低い現像液で現像を行い、続いて感光体上で余剰な現像液溶剤を近接したスクイズローラで搾り取ることで、感光体上に薄く均一で密度の高いトナー像を形成することができる。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。
そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう(現像工程)。現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、正極性)に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、感光体1の表面に接触させる。現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。
除去される。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
ウベローデ粘度計を使用し、20℃、0.5w/v%ポリカーボネートジクロロメタン溶液、ハギンズ定数0.45で極限粘度[η]を測定し、以下の式より求めた。
[η]=1.23×10−4×(Mv)0.83
感光体シートにカッターで特定の間隔(本明細書ではクロスカット間隔とも表記する)で縦横に切込みを入れ、16個の碁盤目をつくった後、この感光体シートからを裏返した。感光体シートから剥がれた個数が3個以上生じた場合に×、2個以内の場合を○とした。
作製した感光体表面に円周方向に約2cm×円柱方向に約3cmの面に綿棒で市販のローション(ジョンソン&ジョンソン製 商品名:クリーン&クリアー ミルキーローション サラサラ乳液)と、人体由来の物質として人工指紋液(JIS K 2246)の2種を別々の所に塗布し、24時間放置した。放置後、塗布したローション、及び人工指紋液を不織布で完全に拭き取り、感光体上のクラックの有無をマイクロスコープで観察した。感光体状にひび割れが発生したものを「×」、ひび割れが発生しなかったものを「○」とした。
作製した感光体シートに消しゴム(トンボ製 PE−01A)を載せ、更に消しゴムの上に100g分銅を載せ、50℃24時間放置した。100g分銅と消しゴムを取り除いたのち、感光体シート表面のクラック有無をマイクロスコープで観察した。1cm3中直径50μm以上のクラックの個数を測定した。
<合成例1>
8重量%の水酸化ナトリウム水溶液34Lにビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル(本州化学製、以下「DHPE」と略称)2.00Kg(10mol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(三井化学株式会社製、以下「BPA」と略称)2.28Kg(10mol)、ハイドロサルファイト15gを溶解した。
これにメチレンクロライド23Lを加えて撹拌しつつ、20℃に保ちながら、ついでホスゲン2.70Kgを30分で吹き込んだ。
ホスゲン吹き込み終了後、p−t−ブチルフェノール(以下「PTBP」と略称)46gを加え激しく撹拌して、反応液を乳化させ、乳化後、15mlのトリエチルアミンを加え、20〜25℃にて約1時間撹拌し、重合させた。
重合終了後、反応液を水相と有機相に分離し、有機相をリン酸で中和し、先液(水相)の導電率が10μS/cm以下になるまで水洗を繰り返した。得られた重合体溶液を、50℃に保った温水に滴下し、溶媒を蒸発除去して白色粉末状沈殿物を得た。
得られた沈殿物を濾過し、120℃、24時間乾燥して、重合体粉末を得た。
得られた重合体の粘度平均分子量は48,200であり、赤外線吸収スペクトルにより分析した結果、1770cm−1付近の位置にカルボニル基による吸収、1240cm−1付近の位置にエーテル結合による吸収が認められ、カーボネート結合を有するポリカーボネート樹脂(以下PC1と省略)であることが確認された。
DHPE 2.00Kg(10mol)、BPA2.28Kg(10mol)とPTBP46gを、DHPE 2.80Kg(14mol)、BPA1.37Kg(6mol)とPTBP49gに変更した以外は、合成例1と同様に合成を行った。得られたポリカーボネート樹脂(以下PC−2と略称)の粘度平均分子量は50,800であった。ポリカーボネート脂であることの確認は、合成例1と同様にして行った。
DHPE 2.00Kg(10mol)、BPA2.28Kg(10mol)とPTBP46gを、DHPE 1.20Kg(6mol)、BPA 3.92Kg(14mol)とPTBP41gに変更した以外は、合成例1と同様に合成を行った。得られたポリカーボネート樹脂(以下PC−3と略称)の粘度平均分子量は49,200であった。ポリカーボネート脂であることの確認は、合成例1と同様にして行った。
DHPE 2.00Kg(10mol)、BPA 2.28Kg(10mol)とPTBP46gを、DHPE 2.00Kg(10mol)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(本州株式会社製、以下「BPZ」と略称)2.68Kg(10mol)とPTBP40gに変更した以外は、合成例1と同様に合成を行った。得られたポリカーボネート樹脂(以下PC−4と略称)の粘度平均分子量は50,300であった。ポリカーボネート脂であることの確認は、合成例1と同様にして行った。
DHPE 2.00Kg(10mol)、BPA 2.28Kg(10mol)とPTBP46gを、DHPE 2.00Kg(10mol)、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(本州株式会社製)2.56Kg(10mol)とPTBP46gに変更した以外は、合成例1と同様に合成を行った。得られたポリカーボネート樹脂(以下PC−5と略称)の粘度平均分子量は50,800であった。ポリカーボネート脂であることの確認は、合成例1と同様にして行った。
メタノール/1−ブタノールの重量比が7/3の混合溶媒中にポリアミド樹脂(東レ製「アラミンCM−8000」)を加熱しながら撹拌、混合し固形分濃度5%の下引き層形成用塗布液を作製した。
電荷発生物質としてY型オキシチタニウムフタロシアニン(SENSIENT TECNOLOGY製)10部とテトラヒドロフラン20部、水2部とを混合し、ローラーミルで撹拌溶解した。続いてこの微細化処理液に、アルキルアセタール化ポリビニルブチラール(積水化学製、商品名「デンカブチラール」BX−1)5部とテトラヒドロフラン300部とを混合して電荷発生層形成用塗布液を調製した。
[比較例1]
ポリカーボネート樹脂(1)(PC1)100部(電荷輸送材料として下記CT1で表される化合物(高砂香料工業株式会社製)を35部、酸化防止剤として、ジブチルヒドロキシトルエンを8部、及びレベリング剤としてシリコーンオイル(信越シリコーン社製:商品名KF96)0.05部を、テトラヒドロフラン混合溶媒750部に溶解させて電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
前記のようにして得られた下引き層形成用塗布液をアルミ板上に、乾燥後の膜厚が約0.5μmになるようにワイアバーで塗布、室温で乾燥して下引き層を設けた。
続いて、前記のようにして得られた電荷発生層形成用塗布液を、上記下引層上に、乾燥後の膜厚が約0.3μmになるようにワイアバーで塗布、室温で乾燥して電荷発生層を設けた。
乾燥して、比較感光体B1を作製した。
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1:100部に代えて、PC1:70部と下記構造単位をからなるポリカーボネート樹脂(2)(PZ1,粘度平均分子量は50,000)30部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体A1を作製し、後述の感光体評価を行なった。
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1:100部に代えて、PC1:50部と前記PZ1:50部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体A2を作製し、後述の感光体評価を行なった。
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC2:80部と前記PZ1:20部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体A3を作製し、後述の感光体評価を行なった。
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC2:60部と前記PZ1:40部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体A4を作製し、後述の感光体評価を行なった。
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC3:80部と前記PZ1:20部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体A5を作製し、後述の感光体評価を行なった。
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC3:60部と前記PZ1:40部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体A6を作製し、後述の感光体評価を行なった。
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC4:90部と前記PZ1:10部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体A7を作製し、後述の感光体評価を行なった。
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC4:80部と前記PZ1:20部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体A8を作製し、後述の感光体評価を行なった。
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC4:60部と前記PZ1:40部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体A9を作製し、後述の感光体評価を行なった。
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC5:60部と前記PZ1:40部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体A10を作製し、後述の感光体評価を行なった。
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、前記PZ1:100部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体B3を作製し、後述の感光体評価を行なった。
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC2:100部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体B4を作製し、後述の感光体評価を行なった。
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC3:100部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体B4を作製し、後述の感光体評価を行なった。
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC4:100部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体B5を作製し、後述の感光体評価を行なった。
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC5:100部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体B6を作製し、後述の感光体評価を行なった。
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、下記構造単位をからなるポリカーボネート樹脂(3)(PA1,粘度平均分子量は50,000)100部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体B7を作製し、後述の感光体評価を行なった。なお、塗布液を1週間室温で保管したところ、塗布液が濁ってきて、一部ゲル化し、塗布に適さなくなった。
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、下記構造単位を有するポリカーボネート樹脂(4)(PB1,粘度平均分子量は37,000)100部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体B8を作製し、後述の感光体評価を行なった。
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PB1:40部と前記PZ1:60部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体AB9を作製し、後述の感光体評価を行なった。
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PB1:60部と前記PZ1:40部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体B10を作製し、後述の感光体評価を行なった。
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC1:30部と前記PZ1:70部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体B11を作製し、後述の感光体評価を行なった。
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC1:10部と前記PZ1:90部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体B12を作製し、後述の感光体評価を行なった。
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC2:30部と前記PZ1:70部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体B13を作製し、後述の感光体評価を行なった。
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC3:30部と前記PZ1:70部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体B14を作製し、後述の感光体評価を行なった。
比較例1の電荷輸送層形成に使用した樹脂として、PC1 100部に代えて、PC4:30部と前記PZ1:70部を使用した以外は、比較例1と同様に感光体B15を作製し、後述の感光体評価を行なった
表1から分かるように、比較例1に比べ、PZ1を一部混合した実施例1は接着試験に顕著な効果が見られる。この効果は、PC1やPZ1の割合に比例することはなく、PC1の分量を70部(実施例1)まで低下させれば十分であり、PZ1の分量を増やしたからといって接着試験の結果が劇的に向上するわけではない。PZ1の分量が70部以上(比較例11)になると対可塑剤試験に悪影響が出て、PZ1のみ(比較例2)では耐クラック試験が×になることが分かる。
表2から分かるように、比較例3に比べ、PZ1を一部混合した実施例1は接着試験に顕著な効果が見られる。この効果は、PC2やPZ1の割合に比例することはなく、PC2の分量を80部(実施例3)まで低下させれば十分であり、PZ1の分量を増やしたからといって接着試験の結果が劇的に向上するわけではない。PZ1の分量が70部以上(比較例13)になると対可塑剤試験に悪影響が出て、PZ1のみ(比較例2)では耐クラック試験が×になることが分かる。
表3から分かるように、比較例4に比べ、PZ1を一部混合した実施例5は接着試験に顕著な効果が見られる。この効果は、PC3やPZ1の割合に比例することはなく、PC3の分量を80部(実施例5)まで低下させれば十分であり、PZ1の分量を増やしたからといって接着試験の結果が劇的に向上するわけではない。PZ1の分量が70部以上(比較例14)になると対可塑剤試験に悪影響が出て、PZ1のみ(比較例2)では耐クラック試験が×になることが分かる。
表4から分かるように、比較例5に比べ、PZ1を一部混合した実施例7は接着試験に顕著な効果が見られる。この効果は、PC4やPZ1の割合に比例することはなく、PC4の分量を90部(実施例7)まで低下させれば十分であり、PZ1の分量を増やしたからといって接着試験の結果が劇的に向上するわけではない。PZ1の分量が70部以上(比較例15)になると対可塑剤試験に悪影響が出て、PZ1のみ(比較例2)では耐クラック試験が×になることが分かる。
表5から分かるように、比較例6に比べ、PZ1を一部混合した実施例10は接着試験に顕著な効果が見られる。PZ1のみ(比較例2)では耐クラック試験が×になることが分かる。
いずれも耐可塑剤試験が不良であることが分かる。
いずれも接着試験が不良であることが分かる。
<感光体ドラムの製造>
表面が粗切削仕上げされ、清浄に洗浄された外径24mm、長さ252mm、肉厚0.75mmのアルミニウム製シリンダー上に、実施例8の感光体A8製造に使用した下引き層形成用塗布液、電荷発生層形成用塗布液、電荷輸送層形成用塗布液を浸漬塗布法により順次塗布、乾燥し、乾燥後の膜厚がそれぞれ、1.3μm、0.4μm、25μmとなるように、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を形成し、感光体ドラムDを得た。なお、電荷輸送層の乾燥は、125℃で20分間行なった。
画像試験は、乾式現像系電子写真方式で、樹脂製帯電ローラ使用のヒューレットパッカード社製レーザープリンターHP LaserJet 9050nを用いて行った。
作製した感光体ドラムDをカートリッジに装着し、35℃で48時間保管した。この条件でも、帯電ローラ圧接起因の感光体表面のクラックは観察されなかった。このカートリッジを上記プリンターに装着し、温度25℃、湿度50%環境下で、8000枚の画像形成を行った。その結果、ゴースト、かぶり、濃度低下、フィルミング、クリーニング不良、傷等による画像不良が発生せず、良好な画像が得られた。
前記実施例8の感光体A8で使用した電荷輸送層用塗布液に代えて、前記比較例2の感光体B2で使用した電荷輸送層用塗布液を使用した以外は、実施例8と同様に感光体ドラムDを作製し、画像試験を実施した。画像試験前にカートリッジ内で帯電ローラに当接していた感光体表面部分に、クラックが多数発生し、画像にスジ状欠陥として認識された。
2 帯電装置(帯電ローラ)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(加圧ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙(用紙、媒体)
Claims (10)
- 最表面層中に少なくとも、下記一般式(4)又は(5)で表される繰返し単位からなるポリカーボネート樹脂と、式(2)で表される繰返し単位からなるポリカーボネート樹脂を共に含有し、一般式(4)又は(5)で表される繰返し単位を含むポリカーボネート樹脂と、式(2)で表される繰返し単位を含むポリカーボネート樹脂の比率が一般式(4)又は(5):式(2)=95:5〜50:50であって、電荷輸送材料として下記CT1で表される化合物を含むことを特徴とする電子写真感光体。
- 前記一般式(4)又は(5)で表される繰返し単位からなるポリカーボネート樹脂と、前記式(2)で表される繰返し単位からなるポリカーボネート樹脂の混合比(重量比)が、80:20〜60:40である、請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記一般式(4)で表される繰返し単位からなるポリカーボネート樹脂と、前記式(2)で表される繰返し単位からなるポリカーボネート樹脂の混合比(重量比)が、60:40〜50:50である、請求項1又は2のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記一般式(5)で表される繰返し単位からなるポリカーボネート樹脂と、前記式(2)で表される繰返し単位からなるポリカーボネート樹脂の混合比(重量比)が、60:40である、請求項1又は2のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記一般式(4)中、m,nはモル共重合比率を表し、m:n=70:30〜50:50である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- 前記一般式(5)中、m,nはモル共重合比率を表し、m:n=50:50である、請求項1、2または4のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- 前記CT1で表される化合物を、前記ポリカーボネート樹脂100部中35部含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- さらに、前記ポリカーボネート樹脂100部中、酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエンを8部、及びレベンリング剤としてシリコーンオイル0.05部を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子写真感光体と、少なくとも帯電手段とクリーニング手段を備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子写真感光体を用いて画像を形成する画像形成装置であって、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記電子写真感光体に対し露光を行ない静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーで現像する現像手段と、前記トナーを被転写体に転写する転写手段と、クリーニング手段を有することを特徴とする、画像形成装置。
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