JP6205326B2 - 熱電変換素子、熱電変換材料 - Google Patents

熱電変換素子、熱電変換材料 Download PDF

Info

Publication number
JP6205326B2
JP6205326B2 JP2014170451A JP2014170451A JP6205326B2 JP 6205326 B2 JP6205326 B2 JP 6205326B2 JP 2014170451 A JP2014170451 A JP 2014170451A JP 2014170451 A JP2014170451 A JP 2014170451A JP 6205326 B2 JP6205326 B2 JP 6205326B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermoelectric conversion
group
general formula
conversion element
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2014170451A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015092540A (ja
Inventor
裕三 永田
裕三 永田
加納 丈嘉
丈嘉 加納
寛記 杉浦
寛記 杉浦
林 直之
直之 林
野村 公篤
公篤 野村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2014170451A priority Critical patent/JP6205326B2/ja
Publication of JP2015092540A publication Critical patent/JP2015092540A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6205326B2 publication Critical patent/JP6205326B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N10/00Thermoelectric devices comprising a junction of dissimilar materials, i.e. devices exhibiting Seebeck or Peltier effects
    • H10N10/80Constructional details
    • H10N10/85Thermoelectric active materials
    • H10N10/856Thermoelectric active materials comprising organic compositions
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y30/00Nanotechnology for materials or surface science, e.g. nanocomposites
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F290/00Macromolecular compounds obtained by polymerising monomers on to polymers modified by introduction of aliphatic unsaturated end or side groups
    • C08F290/02Macromolecular compounds obtained by polymerising monomers on to polymers modified by introduction of aliphatic unsaturated end or side groups on to polymers modified by introduction of unsaturated end groups
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L55/00Compositions of homopolymers or copolymers, obtained by polymerisation reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds, not provided for in groups C08L23/00 - C08L53/00
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N10/00Thermoelectric devices comprising a junction of dissimilar materials, i.e. devices exhibiting Seebeck or Peltier effects
    • H10N10/80Constructional details
    • H10N10/85Thermoelectric active materials
    • H10N10/851Thermoelectric active materials comprising inorganic compositions
    • H10N10/855Thermoelectric active materials comprising inorganic compositions comprising compounds containing boron, carbon, oxygen or nitrogen
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/10Process efficiency
    • Y02P20/129Energy recovery, e.g. by cogeneration, H2recovery or pressure recovery turbines

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Nanotechnology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Composite Materials (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、熱電変換素子、及び、熱電変換材料に関する。
熱エネルギーと電気エネルギーを相互に変換することができる熱電変換材料は、熱電発電素子やペルチェ素子のような熱電変換素子に用いられている。熱電変換材料や熱電変換素子を応用した熱電発電は、熱エネルギーを直接電力に変換することができ、可動部を必要とせず、体温で作動する腕時計や僻地用電源、宇宙用電源等に用いられている。
熱電変換素子の熱電変換性能を評価する指標の1つとして、無次元性能指数ZT(以下、単に性能指数ZTということがある)がある。この性能指数ZTは、下記式(A)で示され、熱電変換性能の向上には、絶対温度1K当りの熱起電力(以下、熱起電力ということがある)S及び導電率σの向上、熱伝導率κの低減が重要である。
性能指数ZT=S・σ・T/κ (A)
式(A)において、 S(V/K):絶対温度1K当りの熱起電力(ゼーベック係数)
σ(S/m):導電率
κ(W/mK):熱伝導率
T(K):絶対温度
熱電変換材料には良好な熱電変換性能が要求され、現在主に実用化されているのは無機材料である。しかし、無機材料は、熱電変換素子への加工工程が複雑であり、高価で、有害物質を含む場合がある。
一方、有機熱電変換素子は、比較的廉価に製造でき、成膜等の加工も容易であること等から、近年、盛んに研究が進められ、有機熱電変換材料やそれを用いた熱電変換素子が報告されるに至っている。熱電変換の性能指数ZTを高めるためには、ゼーベック係数及び導電率が高く、熱伝導率が低い有機素材が求められる。
導電性に優れた有機材料として、カーボンナノチューブが知られている。しかし、カーボンナノチューブは凝集しやすく、分散性が低い。そのため、カーボンナノチューブの分散性を高めることが試みられている。例えば、特許文献1には、カーボンナノチューブの分散性に優れる組成物として、カーボンナノチューブとともに導電性高分子等を含有した組成物が提案され、この組成物を熱電変換材料として用いることが提案されている。
特開2013−95821号公報
カーボンナノチューブの分散性の低い材料を熱電変換材料として用いた場合、導電率などの各種特性が必ずしも十分でなく、昨今要求されるレベルの熱電変換性能を示す熱電変換素子を形成することができない。
従来技術においては、カーボンナノチューブの分散性が良好である旨の記載はあるが、必ずしも昨今要求されるより高いレベルを満たしておらず、更なる改良が必要であった。
本発明は、カーボンナノチューブとカーボンナノチューブの分散剤とを含有し、カーボンナノチューブの分散性が良好で、且つ導電率及び熱起電力に優れた熱電変換材料を用いた熱電変換素子を提供することを課題とする。
本発明者等は上記課題に鑑み、カーボンナノチューブとともに用いることで、カーボンナノチューブの分散性を向上させる化合物について検討した。その結果、分子内に、カーボンナノチューブへの吸着基と、立体反発基とを有する特定の高分子化合物が、溶媒中でカーボンナノチューブを良好に分散しうることを見出した。さらに、この化合物とカーボンナノチューブとを含有する組成物が、優れた導電性を発揮し、熱電変換材料として有用であることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成された。
すなわち、上記の課題は以下の手段により達成された。
<1> 基材上に、第1の電極、熱電変換層及び第2の電極を有する熱電変換素子であって、熱電変換層が、(a)カーボンナノチューブと(b)下記一般式(1A)で表される繰り返し単位及び下記一般式(1B)で表される繰り返し単位を含む分散剤とを含有する熱電変換材料を用いて形成される、熱電変換素子。
(一般式(1A)において、Raは芳香族性基、脂環基、アルキル基、水酸基、チオール基、アミノ基、アンモニウム基、又はカルボキシ基を表す。Laは単結合又は2価の連結基を表す。Rは水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。Xは酸素原子又は−NH−を表す。
一般式(1B)において、Rbはポリアルキレンオキシド化合物、ポリ(メタ)アクリレート化合物、ポリシロキサン化合物、ポリアクリロニトリル化合物、若しくはポリスチレン化合物から誘導される1価の基又はこれらを組み合わせた1価の基、又は炭素原子数5以上のアルキル基を表す。Lbは単結合又は2価の連結基を表す。Rは一般式(1A)と同義である。Xは酸素原子又は−NH−を表す。)
<2> 一般式(1A)において、Xが−NH−である、<1>に記載の熱電変換素子。
<3> 一般式(1A)において、Xが−NH−であり、Raが芳香族性基である、<1>又は<2>に記載の熱電変換素子。
<4> 一般式(1A)において、Xが酸素原子であり、Raが水酸基である、<1>に記載の熱電変換素子。
<5> 一般式(1B)において、Rbがポリ(メタ)アクリレート化合物から誘導される1価の基である、<1>〜<4>のいずれかに記載の熱電変換素子。
<6> 熱電変換層が溶媒を含有する、<1>〜<5>のいずれかに記載の熱電変換素子。
<7> 熱電変換材料が、さらに分散媒を含有する、<1>〜<6>のいずれかに記載の熱電変換素子。
<8> 分散媒が、ClogP値が3以下であるアルコール系溶媒である、<7>に記載の熱電変換素子。
<9> (a)カーボンナノチューブと、(b)上記一般式(1A)で表される繰り返し単位及び上記一般式(1B)で表される繰り返し単位を含む分散剤とを含有する熱電変換材料。
<10> 熱電変換材料が、さらに分散媒を含有する、<9>に記載の熱電変換材料。
<11> 分散媒が、ClogP値が3.0以下であるアルコール系溶媒である、<10>に記載の熱電変換材料。
本発明において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本発明において、置換基に関してxxx基というときには、そのxxx基に任意の置換基を有していてもよい。また、同一の符号で示された基が複数ある場合は、互いに同じであっても異なっていてもよい。
各式で示される繰り返し構造は、まったく同じ繰り返し構造でなくとも、式に示される範囲であれば、異なった繰り返し構造をも含む。例えば、繰り返し構造がアルキル基を有する場合、各式で示される繰り返し構造は、メチル基を有する繰り返し構造のみでもよく、メチル基を有する繰り返し構造に加えて、他のアルキル基、例えばエチル基を有する繰り返し構造を含んでいてもよい。
本発明の熱電変換素子は、カーボンナノチューブの分散性がよく、導電性に優れた熱電変換材料により形成され、優れた熱電変換性能を発揮する。
本発明の熱電変換素子の一例の断面を模式的に示す図である。図1中の矢印は素子の使用時に付与される温度差の方向を示す。 本発明の熱電変換素子の別の一例の断面を模式的に示す図である。図2中の矢印は素子の使用時に付与される温度差の方向を示す。
本発明の熱電変換材料は、(a)カーボンナノチューブと、(b)カーボンナノチューブの分散剤とを必須成分とし、必要に応じて他の成分を含有してなる。
[(a)カーボンナノチューブ]
本発明で用いるカーボンナノチューブ(以下、CNTともいう)は、1枚の炭素膜(グラフェンシート)が円筒状に巻かれた単層CNT、2枚のグラフェンシートが同心円状に巻かれた2層CNT、及び複数のグラフェンシートが同心円状に巻かれた多層CNTがある。本発明においては、単層CNT、2層CNT、多層CNTを各々単独で用いてもよく、2種以上を併せて用いてもよい。特に、導電性及び半導体特性において優れた性質を持つ単層CNT及び2層CNTを用いることが好ましく、単層CNTを用いることがより好ましい。
単層CNTの場合、グラフェンシートのグラフェンの六角形の向きに基づく螺旋構造の対称性を軸性カイラルといい、グラフェン上にある6員環の基準点からの2次元格子ベクトルのことをカイラルベクトルという。このカイラルベクトルを指数化した(n,m)をカイラル指数といい、このカイラル指数によって金属性と半導体性に分かれる。具体的には、n−mが3の倍数であるものが金属性を示し、3の倍数でないものが半導体性を示す。
本発明で用いる単層CNTは、半導体性のものであっても、金属性のものであってもよく、両者を併せて用いてもよい。また、CNTには金属等が内包されていてもよく、フラーレン等の分子が内包されたもの(特にフラーレンを内包したものをピーポッドという)を用いてもよい。
CNTはアーク放電法、化学気相成長法(以下、CVD法という)、レーザー・アブレーション法等によって製造することができる。本発明に用いられるCNTは、いずれの方法によって得られたものであってもよいが、好ましくはアーク放電法及びCVD法により得られたものである。
CNTを製造する際には、同時にフラーレンやグラファイト、非晶性炭素が副生成物として生じることがある。これら副生成物を除去するために精製してもよい。CNTの精製方法は特に限定されないが、洗浄、遠心分離、ろ過、酸化、クロマトグラフ等の方法が挙げられる。その他に、硝酸、硫酸等による酸処理、超音波処理も不純物の除去には有効である。併せて、フィルターによる分離除去を行うことも、純度を向上させる観点からより好ましい。
精製の後、得られたCNTをそのまま用いることもできる。また、CNTは一般に紐状で生成されるため、用途に応じて所望の長さにカットして用いてもよい。CNTは、硝酸、硫酸等による酸処理、超音波処理、凍結粉砕法等により短繊維状にカットすることができる。また、併せてフィルターによる分離を行うことも、純度を向上させる観点から好ましい。
本発明においては、カットしたCNTだけではなく、あらかじめ短繊維状に作製したCNTも同様に使用できる。このような短繊維状CNTは、例えば、基板上に鉄、コバルト等の触媒金属を形成し、その表面にCVD法により700〜900℃で炭素化合物を熱分解してCNTを気相成長させることによって、基板表面に垂直方向に配向した形状で得られる。このようにして作製された短繊維状CNTは基板から剥ぎ取る等の方法で取り出すことができる。また、短繊維状CNTはポーラスシリコンのようなポーラスな支持体や、アルミナの陽極酸化膜上に触媒金属を担持させ、その表面にCNTをCVD法にて成長させることもできる。触媒金属を分子内に含む鉄フタロシアニンのような分子を原料とし、アルゴン/水素のガス流中でCVDを行うことによって基板上にCNTを作製する方法でも配向した短繊維状のCNTを作製することもできる。さらには、エピタキシャル成長法によってSiC単結晶表面に配向した短繊維状CNTを得ることもできる。
CNTの平均長さは特に限定されないが、製造容易性、成膜性、導電性等の観点から、0.01〜1000μmであることが好ましく、0.1〜100μmであることがより好ましい。また、CNTの平均直径は特に限定されないが、耐久性、透明性、成膜性、導電性等の観点から、0.4nm以上100nm以下(より好ましくは50nm以下、さらに好ましくは15nm以下)であることが好ましい。
熱電変換材料中のカーボンナノチューブの含有量は、熱電変換性能の点で、熱電変換材料の全固形分中、すなわち熱電変換層中、5〜80質量%であることが好ましく、5〜70質量%であることがより好ましく、5〜50質量%であることが特に好ましい。
カーボンナノチューブは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
[(b)カーボンナノチューブの分散剤]
本発明で用いる分散剤は、下記一般式(1A)で表される繰り返し単位及び下記一般式(1B)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物である。この分散剤は、カーボンナノチューブの吸着基と、立体反発基とを有する。
これらの構造によって、この分散剤は、熱電変換材料中でのカーボンナノチューブの分散性を高め、さらには、熱電変換材料により形成された熱電変換層を備えた熱電変換素子に優れた熱電変換性能を発現させる。そのメカニズムは明らかではないが、下記のように推測される。
すなわち、カーボンナノチューブと本発明の分散剤を溶媒や樹脂に配すると、分散剤が吸着基の作用によりカーボンナノチューブへ吸着する。分散剤の吸着したカーボンナノチューブ同士は、分散剤の立体反発基の作用により互いに反発して、凝集しにくくなる。その結果、カーボンナノチューブの分散性が良好となる。熱電変換材料にカーボンナノチューブとともにこの分散剤を用いることで、カーボンナノチューブの分散性に優れた熱電変換材料が得られる。このような熱電変換材料は、塗布方法によって熱電変換層を成膜するのに、非常に適している。
また、熱電変換性能向上には、熱電変換層において、カーボンナノチューブ間の電荷移動・拡散がスムーズに行われることが望ましい。熱電変換層を塗布後、溶媒等を除去して熱電変換層を乾燥させると、分散剤の立体反発基が収縮して、カーボンナノチューブ同士が接触しやすくなり、カーボンナノチューブ間にキャリアパスが構築されやすくなる。キャリアパスは、カーボンナノチューブ間の電荷移動・拡散を促進するため、導電性及び熱起電力が向上する。その結果、熱電変換性能が向上する。
本発明の分散剤は、下記一般式(1A)で表される繰り返し単位、及び下記一般式(1B)で表される繰り返し単位を含む共重合体である。
一般式(1A)において、Raは芳香族性基、脂環基、アルキル基、水酸基、チオール基、アミノ基、アンモニウム基、又はカルボキシ基を表す。Laは単結合又は2価の連結基を表す。Rは水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。Xは酸素原子又は−NH−を表す。
一般式(1B)において、Rbはポリアルキレンオキシド化合物、ポリ(メタ)アクリレート化合物、ポリシロキサン化合物、ポリアクリロニトリル化合物、若しくはポリスチレン化合物から誘導される1価の基又はこれらを組み合わせた1価の基、又は炭素原子数5以上のアルキル基を表す。Lbは単結合又は2価の連結基を表す。Rは一般式(1A)と同義である。Xは酸素原子又は−NH−を表す。
一般式(1A)のRaは、カーボンナノチューブへの吸着基に相当する。Raとして好ましくは芳香族性基、水酸基である。
Raの芳香族性基を構成する環は、芳香族炭化水素環であっても芳香族ヘテロ環であってもよく、ヘテロ環のヘテロ原子としては、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子が挙げられる。また、単環であっても縮合環であってもよく、5員環、6員環、又はそれらの縮合環が好ましく、6員環又はその縮合環がより好ましい。具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、クリセン環、テトラセン環、テトラフェン環、トリフェニレン環、インドール環、イソキノリン環、キノリン環、クロメン環、アクリジン環、キサンテン環、カルバゾール環、ポルフィリン環、クロリン環、コリン環が挙げられる。Raの芳香族性基を構成する環として好ましくは、芳香族炭化水素環であり、より好ましくはベンゼン環又はベンゼン環の縮合環であり、さらに好ましくは、ベンゼン環又はベンゼン環が2〜4個縮合した縮合環である。
Raの脂環基を構成する脂環式化合物は、ヘテロ原子を含んでいてもよく、ヘテロ原子としては、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子が挙げられる。また、単環であっても縮合環であってもよく、5員環、6員環、又はそれらの縮合環が好ましく、6員環又はその縮合環がより好ましい。また、飽和環であっても不飽和環であってもよい。具体的には、シクロヘキサン環、シクロプロパン環、アダマンチル環、テトラヒドロナフタレン環が挙げられる。好ましくは炭化水素環であり、6員環の炭化水素環又はその縮合環である。
Raのアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖アルキル基が好ましい。アルキル基の炭素原子数は1〜30が好ましく、5〜20がより好ましい。
Raのアミノ基は、アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含み、具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ブチルアミノ基、プロピルアミノ基、アミノ基が挙げられる。なかでも、アルキルアミノ基が好ましい。アルキルアミノ基のアルキル基の炭素原子数は各々、1〜7が好ましく、1〜4がより好ましい。
Raのアンモニウム基は、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基を含み、具体的には、トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、トリプロピルアンモニウム基、トリブチルアンモニウム基が挙げられる。なかでも、アルキルアンモニウム基が好ましい。アルキルアンモニウム基のアルキル基の炭素原子数は各々、1〜7が好ましく、1〜4がより好ましい。
Raのチオール基としては、チオアルキル基が挙げられる。
Raの各基は、さらに置換基を有していてもよい。
一般式(1A)において、Laの2価の連結基は、アルキレン基、−O−、−CO−、−COO−、−CONH−、−NR11−、−N1112−、−S−、−S(=O)−、又はこれらを組み合わせた2価の基が挙げられる。ここで、R11及びR12はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表し、アルキル基の炭素原子数は、それぞれ1〜2であることが好ましい。アルキレン基は、置換基を有してもよく、置換基としては水酸基、チオール基、エーテル基、エステル基、アミド基が挙げられる。アルキレン基の炭素原子数として好ましくは1〜4であり、より好ましくは1〜3である。
Laは好ましくは、アルキレン基、アルキレン基及び−O−、−CO−を組み合わせた2価の基、アルキレン基、−N1112−、及び−CO−を組み合わせた2価の基である。複数の基を組み合わせる場合、アルキレン基を介してXと結合し、−CO−を介してRbと結合することがより好ましい。
Rのアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、好ましくは、直鎖アルキル基である。アルキル基は置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、酸素原子、又は硫黄原子が好ましい。アルキル基の炭素原子数は1〜3が好ましく、1〜2がより好ましい。
Rとして好ましくは、炭素原子数1〜2のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。
Xは−NH−が好ましい。一般式(1A)においてXが−NH−であると、分散剤の極性が高くなる。その結果、カーボンナノチューブと分散剤との相互作用性が高まり、カーボンナノチューブの分散性がより向上し、導電性も向上する。
一般式(1A)において、Xが−NH−の場合、Raは芳香族性基であることが好ましい。分散剤においてX及びRaがこれらの組み合わせであるとき、CNTの分散性がより向上する。
また、一般式(1A)において、Xが酸素原子の場合、Raは水酸基であることが好ましい。分散剤においてX及びRaがこれらの組み合わせであるとき、熱電変換層の膜強度が向上する。熱電変換素子では熱電変換層に接して電極を形成するため、熱電変換層の膜強度が高い方が耐傷性に優れることとなり、好ましい。X及びRaが上記組み合わせのときに膜強度が向上するのは、Raの水酸基によって膜中で水素結合が生じ、膜の強度が上がるため、と推測される。
一般式(1A)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位(1A)ともいう)の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
一般式(1B)のRbは立体反発基として機能する。
Rbのアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖アルキル基が好ましい。アルキル基の炭素原子数は5以上であり、5〜20が好ましく、6〜20がより好ましい。アルキル基は、置換基を有していてもよい。
Rbが、ポリアルキレンオキシド化合物、ポリ(メタ)アクリレート化合物、ポリシロキサン化合物、ポリアクリロニトリル化合物、若しくはポリスチレン化合物から誘導される1価の基の場合、それぞれのポリマー主鎖の末端基でLbと結合することが好ましい。
ポリアルキレンオキシド化合物、ポリ(メタ)アクリレート化合物、ポリシロキサン化合物、ポリアクリロニトリル化合物、ポリスチレン化合物を構成する各モノマーの繰り返し数は、30〜5000が好ましく、30〜1000がより好ましい。
ポリアルキレンオキシド化合物、ポリ(メタ)アクリレート化合物、ポリシロキサン化合物、ポリアクリロニトリル化合物、若しくはポリスチレン化合物は、置換基を有していてもよい。
ポリアルキレンオキシド化合物として具体的には、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシドが挙げられ、ポリエチレンオキシドが好ましい。
ポリ(メタ)アクリレート化合物として具体的には、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸イソブチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸プロピル、ポリメタクリル酸イソプロピル、ポリメタクリル酸イソボルニル、ポリメタクリル酸2−エチルヘキシル、ポリメタクリル酸シクロヘキシル、ポリメタクリル酸ステアリル、ポリメタクリル酸テトラヒドロフルフリル、ポリメタクリル酸トリデシル、ポリメタクリル酸ベンジル、ポリメタクリル酸ラウリルが挙げられ、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸イソブチルが好ましい。
ポリシロキサン化合物として具体的には、ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサンが挙げられ、ジメチルポリシロキサンが好ましい。
ポリアクリロニトリル化合物として具体的には、ポリアクリロニトリルが挙げられる。
ポリスチレン化合物として具体的には、ポリスチレン、ポリ(4−メトキシスチレン)が挙げられ、ポリスチレンが好ましい。
Rbとして好ましくは、ポリ(メタ)アクリレート化合物又はポリスチレン化合物から誘導される1価の基であり、より好ましくはポリ(メタ)アクリレート化合物から誘導される1価の基である。
なお、上記の「誘導される1価の基」とは、上記化合物由来の1価の基を意図し、後述する例示化合物に示すように、化合物の主鎖部分でLbと連結することが好ましい。
Lbの2価の連結基として、アルキレン基、−O−、−CO−、−COO−、−CONH−、−NR11−、−N1112−、−S−、−S(=O)−、又はこれらを組み合わせた2価の基が挙げられる。ここで、R11及びR12はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表し、アルキル基の炭素原子数は、それぞれ1〜2であることが好ましい。アルキレン基は置換基を有してもよく、置換基としては水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アンモニウム基、エステル基が挙げられる。アルキレン基の炭素原子数は1〜7が好ましい。また、Lbの炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましい。
Lbとして好ましくは、アルキレン基、−O−、−CO−、及び−S−を組み合わせた2価の基である。この場合、アルキレン基を介してXと結合し、−S−を介してRbと結合することがより好ましい。
一般式(1B)のRは一般式(1A)と同義で、好ましい範囲も同様である。
一般式(1B)のXは酸素原子又は−NH−を表し、好ましくは酸素原子である。
一般式(1B)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位(1B)ともいう)の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の具体例において、n、mはそれぞれ1以上の整数を表す。
一般式(1A)で表される繰り返し単位、及び一般式(1B)で表される繰り返し単位の組み合わせの具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の具体例において、n、mはそれぞれ1以上の整数を表す。
本発明の分散剤は、繰り返し単位(1A)及び(1B)以外の繰り返し単位を含んでもよいが、繰り返し単位(1A)及び(1B)からなる共重合体が好ましい。
繰り返し単位(1A)及び(1B)を含む共重合体は、グラフト共重合体、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体のいずれであってもよい。分散物の表面に立体反発基を均一且つ高密度に配置しやすいこと、及び合成のしやすさから、グラフト共重合体であることが好ましい。繰り返し単位(1A)が主鎖、繰り返し単位(1B)が側鎖となるグラフト共重合体がより好ましい。
このような共重合体は、モノマーとマクロモノマーを共重合してグラフト共重合体を得る方法、モノマーと重合開始部位を有するモノマーとを共重合してポリマー鎖から重合をする方法、反応性基を有するポリマーに、もう1つのポリマーを高分子反応させグラフト共重合体を合成する方法、等により合成できる。中でも、グラフト鎖の導入率、及びグラフト鎖長等を制御しやすいという点から、モノマーとマクロモノマーを共重合してグラフト共重合体を得る方法が好ましい。
グラフト共重合体は、主鎖が繰り返し単位(1A)と繰り返し単位(1B)の共重合により形成され、繰り返し単位(1B)の立体反発基が側鎖となるものが好ましい。この場合、共重合体中の繰り返し単位(1B)部分はマクロモノマーから形成されることが好ましい。すなわち、繰り返し単位(1B)を形成しうるマクロモノマーと、繰り返し単位(1A)を形成しうるモノマーとを共重合してグラフト共重合体を合成することが好ましい。
繰り返し単位(1A)及び(1B)を含む共重合体において、繰り返し単位(1A)と(1B)との組成比は、モル基準で、繰り返し単位(1A):繰り返し単位(1B)が20〜90:80〜10が好ましく、40〜80:60〜20がより好ましい。
また、分散剤(好ましくは、上記共重合体)の重量平均分子量は、1,000〜80万が好ましく、1万〜30万がより好ましい。なお、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定できる。例えば、分散剤をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、高速GPC装置(例えば、HLC−8220GPC(東ソー株式会社製))を用いて、ポリスチレン換算で算出する事ができる。なお、GPC測定の条件は以下の通りである。
カラム:東ソー社製 TSK−GEL SuperH
カラム温度:40℃
流速:1mL/min
溶離液:THF
熱電変換材料中の分散剤の含有率は、熱電変換性能の点から、カーボンナノチューブ100質量部に対して、5〜100質量部が好ましく、10〜80質量部がより好ましい。
本発明の熱電変換材料には、分散剤を1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
[(c)分散媒]
本発明の熱電変換材料は、分散媒(溶媒)を含有することが好ましい。
分散媒は、カーボンナノチューブを分散できればよく、水、有機溶媒及びこれらの混合溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、例えば、アルコール、クロロホルム等の脂肪族ハロゲン系溶媒、DMF、NMP、DMSO等の非プロトン性の極性溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、テトラメチルベンゼン、ピリジン等の芳香族系溶媒、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、ジエチルエーテル、THF、t−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム等のエーテル系溶媒が挙げられる。
本発明の熱電変換材料には分散媒を1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
また、分散媒は、あらかじめ脱気しておくことが好ましい。分散媒中における溶存酸素濃度を、10ppm以下とすることが好ましい。脱気の方法としては、減圧下超音波を照射する方法、アルゴン等の不活性ガスをバブリングする方法等が挙げられる。
さらに、分散媒は、あらかじめ脱水しておくことが好ましい。分散媒中における水分量を、1000ppm以下とすることが好ましく、100ppm以下とすることがより好ましい。分散媒の脱水方法としては、モレキュラーシーブを用いる方法、蒸留等、公知の方法を用いることができる。
熱電変換材料中の分散媒量は、熱電変換材料の全量に対して、25〜99.99質量%であることが好ましく、30〜99.95質量%であることがより好ましく、30〜99.9質量%であることがさらに好ましい。
なかでも、分散媒としては、カーボンナノチューブの分散性がより優れ、熱電変換素子の特性(導電率及び熱起電力)がより向上する点で、ClogP値が3.0以下のアルコール系溶媒が好適に挙げられる。ClogP値に関する説明は、後段で詳述する。
アルコール系溶媒とは、−OH基(ヒドロキシ基)を含む溶媒を意図する。
上記アルコール系溶媒はClogP値が3.0以下を示すが、カーボンナノチューブの分散性がより優れ、熱電変換素子の特性がより向上する点で、1.0以下が好ましく、0以下がより好ましい。下限は特に制限されないが、上記効果の点で、−3.0以上が好ましく、−2.0以上がより好ましく、−1.0以上がさらに好ましい。
上記ClogP値のアルコール系溶媒としては、例えば、1−ノナノール(ClogP値:2.94)、1−オクタノール(ClogP値:2.41)、1−ヘキサノール(ClogP値:1.88)、1−ペンタノール(ClogP値:1.35)、1−ブタノール(ClogP値:0.82)、1−プロパノール(ClogP値:0.29)、エタノール(ClogP値:−0.24)、メタノール(ClogP値:−0.76)、ジエチレングリコール(ClogP値:−1.30)、メチルカルビトール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)(ClogP値:−0.74)、ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)(ClogP値:0.71)、トリエチレングリコール(ClogP値:−1.44)、テトラエチレングリコール(ClogP値:−1.57)、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル(ClogP値:−1.01)、プロピレングリコール(ClogP値:−1.06)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(ClogP値:−1.01)などが挙げられる。
まず、logP値とは、分配係数P(Partition Coefficient)の常用対数を意味し、ある化合物が油(ここではn−オクタノール)と水の2相系の平衡でどのように分配されるかを定量的な数値として表す物性値であり、数字が大きいほど疎水性の化合物であることを示し、数字が小さいほど親水性の化合物であることを示すため、化合物の親疎水性を表す指標として用いることができる。
logP=log(Coil/Cwater)
Coil=油相中のモル濃度
Cwater=水相中のモル濃度
一般に、logP値は、n−オクタノールと水を用いて実測により求めることもできるが、本発明においては、logP値推算プログラムを使用して求められる分配係数(ClogP値)(計算値)を使用する。具体的には、本明細書においては、“ChemBioDraw ultra ver.12”から求められるClogP値を使用する。
[他の成分]
本発明の熱電変換材料は、カーボンナノチューブ、分散剤、分散媒に加えて、他の成分を含有していてもよい。
他の成分としては、上述の分散剤以外の高分子化合物(以下、他の高分子化合物)、酸化防止剤、耐光安定剤、耐熱安定剤、可塑剤等が挙げられる。
他の高分子化合物としては、共役高分子及び非共役高分子が挙げられる。
酸化防止剤としては、イルガノックス1010(日本チバガイギー製)、スミライザーGA−80(住友化学工業(株)製)、スミライザーGS(住友化学工業(株)製)、スミライザーGM(住友化学工業(株)製)等が挙げられる。
耐光安定剤としては、TINUVIN 234(BASF製)、CHIMASSORB 81(BASF製)、サイアソーブUV−3853(サンケミカル製)等が挙げられる。
耐熱安定剤としては、IRGANOX 1726(BASF製)が挙げられる。可塑剤としては、アデカサイザーRS(アデカ製)等が挙げられる。
他の成分の含有率は、熱電変換材料の全固形分中、5質量%以下が好ましく、0〜2質量%がより好ましい。
[熱電変換材料の調製]
本発明の熱電変換材料は、上記の各成分を混合して調製することができる。好ましくは、分散媒にカーボンナノチューブ、分散剤、所望により他の成分を混合して、カーボンナノチューブを分散させて調製する。
熱電変換材料の調製方法に特に制限はなく、通常の混合装置等を用いて常温常圧下で行うことができる。例えば、各成分を溶媒中で撹拌、振とう、混練して溶解又は分散させて調製すればよい。溶解や分散を促進するため超音波処理を行ってもよい。
また、上記分散工程において溶媒を室温以上沸点以下の温度まで加熱する、分散時間を延ばす、又は撹拌、浸とう、混練、超音波等の印加強度を上げる等によって、カーボンナノチューブの分散性を高めることができる。
[熱電変換素子]
本発明の熱電変換素子は、基材上に、第1の電極、熱電変換層、及び、第2の電極を有し、熱電変換層は本発明の熱電変換材料によって形成される。
熱電変換素子は、熱電変換層の厚さ方向又は面方向に温度差を維持することで機能するため、熱電変換層にはある程度の厚みが必要である。そのため、熱電変換層を塗布方法により成膜する場合、塗布する熱電変換材料に良好な塗布性や成膜性が要求される。本発明の熱電変換材料は、カーボンナノチューブの分散性が良好で塗布性や成膜性においても優れ、熱電変換層への成形・加工に適する。
本発明の熱電変換素子は、基材上に、第1の電極、熱電変換層及び第2の電極を有し、熱電変換層の少なくとも一方の面が第1の電極及び第2の電極に接するように配置されていればよく、第1の電極及び第2の電極と熱電変換層との位置関係等、その他の構成については特に限定されない。例えば、熱電変換層が第1の電極及び第2の電極で挟まれる態様、すなわち、基材上に第1の電極、熱電変換層及び第2の電極をこの順に有している態様であってもよい。また、第1の電極及び第2の電極が熱電変換層の一方の面に接するように配置される態様、すなわち、第1の電極及び第2の電極が同一基材上に互いに離間して形成され、両電極上に熱電変換層が積層された態様であってもよい。
本発明の熱電変換素子の構造の一例として、図1及び図2に示す素子の構造が挙げられる。図1及び図2中、矢印は、熱電変換素子の使用時における温度差の向きを示す。
図1に示す熱電変換素子1は、第1の基材12上に、第1の電極13及び第2の電極15を含む一対の電極と、第1の電極13及び第2の電極15間に本発明の熱電変換材料で形成された熱電変換層14を備えている。第2の電極15の他方の表面には第2の基材16が配設されており、第1の基材12及び第2の基材16の外側には互いに対向して金属板11及び17が配設されている。
図2に示す熱電変換素子2は、第1の基材22上に、第1の電極23及び第2の電極25が配設され、その上に本発明の熱電変換材料で形成された熱電変換層24が設けられている。
熱電変換層保護の観点から、熱電変換層の表面は電極又は基材により覆われることが好ましい。例えば、図1に示すように、熱電変換層14の一方の表面が第1の電極13を介して第1の基材12で覆われ、他方の表面が第2の電極15を介して第2の基材16で覆われていることが好ましい。この場合、第2の電極15の外側に第2の基材16を設けることなく第2の電極15が最表面として空気に晒されていてもよい。また、図2に示すように、熱電変換層24の一方の表面が第1の電極23及び第2の電極25並びに第1の基材22で覆われ、他方の表面も第2の基材26により覆われることが好ましい。
また、熱電変換素子に使用される基材の表面(熱電変換層との圧着面)には、予め電極が形成されていることが好ましい。基材又は電極と熱電変換層との圧着は、密着性向上の観点から100℃〜200℃程度に加熱して行うことが好ましい。
本発明の熱電変換素子の基材(熱電変換素子1における第1の基材12、第2の基材16)は、ガラス、透明セラミックス、金属、プラスチックフィルム等の基材を用いることができる。本発明の熱電変換素子において、基材はフレキシビリティーを有しているのが好ましく、具体的には、ASTM D2176に規定の測定法による耐屈曲回数MITが1万サイクル以上であるフレキシビリティーを有しているのが好ましい。このようなフレキシビリティーを有する基材は、プラスチックフィルムが好ましく、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−フタレンジカルボキシレート、ビスフェノールAとイソ及びテレフタル酸のポリエステルフィルム等のポリエステルフィルム、ゼオノアフィルム(商品名、日本ゼオン社製)、アートンフィルム(商品名、JSR社製)、スミライトFS1700(商品名、住友ベークライト社製)等のポリシクロオレフィンフィルム、カプトン(商品名、東レ・デュポン社製)、アピカル(商品名、カネカ社製)、ユーピレックス(商品名、宇部興産社製)、ポミラン(商品名、荒川化学社製)等のポリイミドフィルム、ピュアエース(商品名、帝人化成社製)、エルメック(商品名、カネカ社製)等のポリカーボネートフィルム、スミライトFS1100(商品名、住友ベークライト社製)等のポリエーテルエーテルケトンフィルム、トレリナ(商品名、東レ社製)等のポリフェニルスルフィドフィルム等が挙げられる。入手の容易性、耐熱性(好ましくは100℃以上)、経済性及び効果の観点から、市販のポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、各種ポリイミドやポリカーボネートフィルム等が好ましい。
基材は、熱電変換層との圧着面に電極を設けて用いることが好ましい。基材上に設ける第1の電極及び第2の電極を形成する電極材料としては、ITO、ZnO等の透明電極材料、銀、銅、金、アルミニウム等の金属電極材料、CNT、グラフェン等の炭素材料、PEDOT/PSS等の有機材料、銀、カーボン等の導電性微粒子を分散した導電性ペースト、銀、銅、アルミニウム等の金属ナノワイヤーを含有する導電性ペースト等が使用できる。これらの中でも、アルミニウム、金、銀又は銅の金属電極材料、又はこれらの金属を含有する導電性ペーストが好ましい。
基材の厚さは、取り扱い性、耐久性等の点から、好ましくは30〜3000μm、より好ましくは50〜1000μm、さらに好ましくは100〜1000μm、特に好ましくは200〜800μmである。基材の厚みをこの範囲にすることで、熱伝導率が低下せず、外部衝撃による熱電変換層の損傷も起こりにくい。
熱電変換層の層厚は、0.1〜1000μmが好ましく、0.5〜100μmがより好ましい。膜厚をこの範囲にすることで、温度差を付与しやすく、膜内の抵抗の増大を防ぐことができる。
一般に、熱電変換素子では、有機薄膜太陽電池用素子等の光電変換素子と比べて、簡便に素子を製造できる。特に、本発明の熱電変換材料を用いると有機薄膜太陽電池用素子と比較して光吸収効率を考慮する必要がないため100〜1000倍程度の厚膜化が可能であり、空気中の酸素や水分に対する化学的な安定性が向上する。
熱電変換層の成膜方法は、特に限定されず、例えば、スピンコート、エクストルージョンダイコート、ブレードコート、バーコート、スクリーン印刷、ステンシル印刷、ロールコート、カーテンコート、スプレーコート、ディップコート等、公知の塗布方法を用いることができる。この中でも特に、スクリーン印刷が熱電変換層の電極への密着性に優れる観点で特に好ましい。
成膜後は、必要に応じて乾燥工程を行い、溶媒を除去することが好ましい。例えば、加熱乾燥、熱風を吹き付けることにより、溶媒を揮発、乾燥させることができる。
なお、形成される熱電変換層には、溶媒が残存していてもよい。つまり、熱電変換層には、溶媒が含まれていてもよい。
本発明の熱電変換素子は、優れた熱電変換性能を示し、熱電発電用物品の発電素子として好適に用いることができる。このような発電素子として、具体的には、温泉熱発電機、太陽熱発電機、廃熱発電機等の発電機、腕時計用電源、半導体駆動電源、(小型)センサー用電源等が挙げられる。
以下、実施例によって本発明をより詳しく説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例に用いた分散剤を下記に示す。これらの分散剤の分子量は下記の通りである。重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した。
分散剤1:重量平均分子量=32,000
分散剤2:重量平均分子量=25,000
分散剤3:重量平均分子量=19,000
分散剤4:重量平均分子量=25,000
分散剤5:重量平均分子量=52,000
分散剤6:重量平均分子量=22,000
分散剤7:重量平均分子量=85,000
また、比較用分散剤c1として、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA、重量平均分子量:28,000)を用いた。

ポリメチルメタクリレート(PMMA)のマクロモノマー合成
250mLの3つ口フラスコに、メチルメタクリレート100g、3−メルカプトプロピオン酸0.35gを投入し、80℃に加熱した。加熱後にAIBN(アゾビスイソブチロニトリル、和光純薬製)を17mg投入し40分反応させ、その後繰り返して2回AIBN(和光純薬製)を17mg投入し40分反応させた。その後、テトラヒドロフランを10g投入して反応を終了させた。反応液を再沈殿させ、中間体Aを60g得た。
250mLの3つ口フラスコに、得られた中間体Aを15g、キシレン30g、グリシジルメタクリレート0.28g、ハイドロキノン0.01g、ジメチルラウリルアミン0.01gを投入し、リフラックス条件下で5時間反応させた。その後、反応液を再沈殿させ、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のマクロモノマーを10g得た。
ポリスチレンのマクロモノマー合成
250mLの3つ口フラスコ中に、スチレン110g、3−メルカプトプロピオン酸0.35gを投入し、80℃に加熱した。加熱後にAIBN(和光純薬製)を17mg投入し40分反応させ、その後繰り返して2回AIBN(和光純薬製)を17mg投入し40分反応させた。その後、テトラヒドロフランを10g投入して反応を終了させた。その後、反応液を再沈殿し、中間体Bを65g得た。
250mLの3つ口フラスコ中に、得られた中間体B 15g、キシレン30g、グリシジルメタクリレート0.28g、ハイドロキノン0.01g、ジメチルラウリルアミン0.01gを投入し、リフラックス条件下で5時間反応させた。その後、反応液を再沈殿し、ポリスチレンのマクロモノマーを13g得た。
ポリイソブチルメタクリレートのマクロモノマー合成
250mLの3つ口フラスコ中に、イソブチルメタクリレート115g、3−メルカプトプロピオン酸0.35gを投入し、80℃に加熱した。加熱後にAIBN(和光純薬製)を17mg投入し40分反応させ、その後繰り返して2回AIBN(和光純薬製)を17mg投入し40分反応させた。その後、テトラヒドロフランを10g投入して反応を終了させた。その後、反応液を再沈殿し、中間体Cを70g得た。
250mLの3つ口フラスコ中に、得られた中間体C 15g、キシレン30g、グリシジルメタクリレート0.28g、ハイドロキノン0.01g、ジメチルラウリルアミン0.01gを投入し、リフラックス条件下で5時間反応させた。その後、反応液を再沈殿し、ポリイソブチルメタクリレートのマクロモノマーを15g得た。
合成例1:分散剤1の合成
300mLの3つ口フラスコ中に、1−ブロモアセチルピレンを5g、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドを2.7g、テトラヒドロフランを50mL投入し、室温で3時間反応させた。反応後、反応液の析出物をろ過し、目的とするモノマー1を6g得た。
300mLの3つ口フラスコ中に、上記で得られたモノマー1を1g、上記で合成したPMMAのマクロモノマーを4g、ジメチルアセトアミドを8g投入し、80℃に加熱した。その後、重合開始剤V−601(和光純薬製)を0.0127g投入し、2時間反応させた。さらにV−601(和光純薬製)を0.0127g投入して2時間反応させる工程を2度繰り返した。得られた反応液を再沈殿させて目的のポリマー1(分散剤1)を3g得た。
合成例2:分散剤2の合成
300mLの3つ口フラスコ中に、合成例1で合成したモノマー1を1g、上記で合成したポリスチレンのマクロモノマーを4g、ジメチルアセトアミドを8g投入し、80℃に加熱した。その後、重合開始剤V−601(和光純薬製)を0.0127g投入し、2時間反応させた。さらにV−601(和光純薬製)を0.0127g投入して2時間反応させる工程を2度繰り返した。得られた反応液を再沈殿させて目的のポリマー2(分散剤2)を3g得た。
合成例3:分散剤3の合成
300mLの3つ口フラスコ中に、合成例1で合成したモノマー1を1g、上記で合成したポリイソブチルメタクリレートのマクロモノマーを4g、ジメチルアセトアミドを8g投入し、80℃に加熱した。その後、重合開始剤V−601(和光純薬製)を0.0127g投入し、2時間反応させた。さらにV−601(和光純薬製)を0.0127g投入して2時間反応させる工程を2度繰り返した。得られた反応液を再沈殿させて目的のポリマー3(分散剤3)を3g得た。
合成例4:分散剤4の合成
300mLの3つ口フラスコ中に、ナフチルメタクリレートを0.5g、上記で合成したPMMAのマクロモノマーを4g、ジメチルアセトアミドを8g投入し、80℃に加熱した。その後、重合開始剤V−601(和光純薬製)を0.0127g投入し、2時間反応させた。さらにV−601(和光純薬製)を0.0127g投入して2時間反応させる工程を2度繰り返した。得られた反応液を再沈殿させて目的のポリマー4(分散剤4)を3g得た。
合成例5:分散剤5の合成
300mLの3つ口フラスコ中に、3−(トリメチルアンモニウムブロミド)プロピルアクリルアミドを0.6g、上記で合成したPMMAのマクロモノマーを4g、ジメチルアセトアミドを8g投入し、80℃に加熱した。その後、重合開始剤V−601(和光純薬製)を0.0127g投入し、2時間反応させた。さらにV−601(和光純薬製)を0.0127g投入して2時間反応させる工程を2度繰り返した。得られた反応液を再沈殿させて目的のポリマー5(分散剤5)を3g得た。
合成例6:分散剤6の合成
300mLの3つ口フラスコ中に、1−ブロモアセチルピレンを5g、ジメチルアミノプロピルメタクリレートを2.7g、テトラヒドロフランを50mLを投入し、室温で3時間反応させた。反応後、反応液の析出物をろ過し、目的とするモノマー6を5g得た。
300mLの3つ口フラスコ中に、上記で得られたモノマー6を1g、上記で合成したPMMAのマクロモノマーを4g、ジメチルアセトアミドを8g投入し、80℃に加熱した。その後、重合開始剤V−601(和光純薬製)を0.0127g投入し、2時間反応させた。さらにV−601(和光純薬製)を0.0127g投入して2時間反応させる工程を2度繰り返した。得られた反応液を再沈殿させて目的のポリマー6(分散剤6)を3g得た。
合成例7:分散剤7の合成
300mLの3つ口フラスコ中に、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを0.27g、上記で合成したPMMAのマクロモノマーを4g、ジメチルアセトアミドを8g投入し、80℃に加熱した。その後、重合開始剤V−601(和光純薬製)を0.0127g投入し、2時間反応させた。さらにV−601(和光純薬製)を0.0127g投入して2時間反応させる工程を2度繰り返した。得られた反応液を再沈殿させて目的のポリマー7(分散剤7)を3g得た。
<実施例1>
熱電変換素子101
分散剤1 5mg、単層CNT(KH-chemical社製)5mgを、オルトジクロロベンゼン10ml中に添加し、超音波ホモジナイザーにて20分間分散させ分散液101を調製した。
基材として厚さ1.1mm、大きさ40mm×50mmのガラス基板を用いた。この基材をアセトン中で超音波洗浄した後、10分間UV−オゾン処理を行った。その後、この基材上の両端部側それぞれに、大きさ30mm×5mm、厚さ10nmの金を第1の電極及び第2の電極として形成した。
調製した分散液101を、電極が形成された基材上にテフロン製の枠を貼り付け、その枠内に溶液を流し込み、60℃のホットプレート上で1時間乾燥させ、乾燥後に枠を取り外し、厚さ約1.1μmの熱電変換層を形成し、図2に示す構成の熱電変換素子101を作製した。
分散剤1のかわりに表1に示す分散剤を用いた以外は分散液101及び熱電変換素子101と同様にして、分散液102〜106、c101、及び熱電変換素子102〜106、c101を作製した。
分散液のCNT分散性の経時変化、並びに、熱電変換素子の導電率及び熱起電力を下記の方法で評価した。
[分散性の経時変化(その1)]
分散液を2日保存して、CNTの沈降性を下記の基準により評価した。
A:500rpmで5分間の遠心分離を行った後、目視でCNTの沈降が確認されなかった。
B:目視でCNTの沈降が確認されなかった。
C:目視でCNTの沈降が確認された。
[熱起電力、導電率]
各熱電変換素子の第1の電極を一定温度に保ったホットプレート上に設置し、第2の電極上に温度制御用のペルチェ素子を設置した。つまり、図2中の第1の電極23が位置する第1の基材22の下部にホットプレートを設置し、第2の電極25が位置する第1の基材22の下部にペルチェ素子を配置した。
ホットプレートの温度を一定(100℃)に保ちつつ、ペルチェ素子の温度を低下させることにより両電極間に温度差(0Kを超え4K以下の範囲)を付与した。
この時、両電極間に発生した熱起電力(μV)を両電極間に生じた特定の温度差(K)で除することにより、単位温度差当たりの熱起電力S(μV/K)を算出した。また同時に、両電極間に発生した電流を測定する事で導電率(S/cm)を算出した。
表1から明らかなように、本発明の分散剤を用いた熱電変換材料は、経時でのCNTの分散性が良好であった。また、当該熱電変換材料を用いた熱電変換素子は、高い導電率と熱起電力を示し、熱電変換性能に優れた。
特に、繰り返し単位(1A)においてXが窒素原子(−NH−)で、Raが芳香族縮合環基、かつ繰り返し単位(1B)のRbがポリ(メタ)アクリレート化合物由来の構造の分散剤1,3が、特に優れた分散性と導電率を示した。
<実施例2>
分散剤1のかわりに表2に示す分散剤を用いた以外は分散液101及び熱電変換素子101と同様にして、分散液107及び熱電変換素子107を作製し、分散性の経時変化、導電率、熱起電力を同様に評価した。
さらに、熱電変換層の膜強度を下記の方法で評価した。
[膜強度]
成膜した熱電変換層に対して、鉛筆硬度試験を行ない下記の基準により評価した。
A:4B鉛筆で試験を行ない、膜に傷がついたことを目視で観察できなかった。
B:4B鉛筆で試験を行ない、膜に傷がついたことを目視で観察できた。
表2から明らかなように、分散剤7を用いた熱電変換材料は分散性が良好であり、この熱電変換材料を用いた熱電変換素子は、高い導電率と熱起電力を示し、熱電変換性能に優れた。さらに、熱電変換層の膜強度に優れた。
<実施例3>
分散液107で使用したオルトジクロロベンゼンの代わりに、表3に記載の溶媒を用いた以外は、実施例2と同様の手順に従って、各分散液108〜111及び熱電変換素子108〜111を作製し、分散性の経時変化、導電率、熱起電力を同様に評価した。
ただし、分散性の経時変化は、以下の方法[分散液の経時変化(その2)]によって評価した。
[分散液の経時変化(その2)]
分散液を4日保存して、CNTの沈降性を下記の基準より評価した。
AAA:1000rpmで10分間の遠心分離を行った後、目視でCNTの沈降が確認されなかった。
AA:1000rpmで5分間の遠心分離を行った後、目視でCNTの沈降が確認されなかった。
A:500rpmで5分間の遠心分離を行った後、目視でCNTの沈降が確認されなかった。
B:目視でCNTの沈降が確認されなかった。
C:目視でCNTの沈降が確認されなかった。
以下、表3中の「溶媒」欄の数値は、それぞれ以下の溶媒を示す。
「a」:オルトジクロロベンゼン(ClogP値:3.45)
「b」:1−ノナノール(ClogP値:2.94)
「c」:1−ブタノール(ClogP値:0.82)
「d」:ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)(ClogP値:0.71)
「e」:メチルカルビトール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)(ClogP値:−0.74)
上記表3に示すように、ClogP値が3.0以下である溶媒「b」〜「e」を使用した場合、カーボンナノチューブの分散性がより優れ、かつ、熱電変換特性も優れることが確認された。
なお、ClogP値が1.0以下の場合に効果がより優れ、ClogP値が0以下の場合に効果がさらに優れることも確認された。
1、2 熱電変換素子
11、17 金属板
12、22 第1の基材
13、23 第1の電極
14、24 熱電変換層
15、25 第2の電極
16、26 第2の基材

Claims (11)

  1. 基材上に、第1の電極、熱電変換層及び第2の電極を有する熱電変換素子であって、前記熱電変換層が、(a)カーボンナノチューブと(b)下記一般式(1A)で表される繰り返し単位及び下記一般式(1B)で表される繰り返し単位を含む分散剤とを含有する熱電変換材料を用いて形成される、熱電変換素子。
    一般式(1A)において、Raは芳香族性基、脂環基、アルキル基、水酸基、チオール基、アミノ基、アンモニウム基、又はカルボキシ基を表す。Laは単結合又は2価の連結基を表す。Rは水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。Xは酸素原子又は−NH−を表す。
    一般式(1B)において、Rbは、ポリ(メタ)アクリレート化合物又はポリスチレン化合物から誘導される1価の基を表す。Lbは単結合又は2価の連結基を表す。Rは一般式(1A)と同義である。Xは酸素原子又は−NH−を表す。
  2. 前記一般式(1A)において、Xが−NH−である、請求項1に記載の熱電変換素子。
  3. 前記一般式(1A)において、Xが−NH−であり、Raが芳香族性基である、請求項1又は2に記載の熱電変換素子。
  4. 前記一般式(1A)において、Xが酸素原子であり、Raが水酸基である、請求項1に記載の熱電変換素子。
  5. 前記一般式(1B)において、Rbがポリ(メタ)アクリレート化合物から誘導される1価の基である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱電変換素子。
  6. 前記熱電変換層が溶媒を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱電変換素子。
  7. 前記熱電変換材料が、さらに分散媒を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱電変換素子。
  8. 前記分散媒が、ClogP値が3以下であるアルコール系溶媒である、請求項7に記載の熱電変換素子。
  9. (a)カーボンナノチューブと、(b)下記一般式(1A)で表される繰り返し単位及び下記一般式(1B)で表される繰り返し単位を含む分散剤とを含有する熱電変換材料。
    一般式(1A)において、Raは芳香族性基、脂環基、アルキル基、水酸基、チオール基、アミノ基、アンモニウム基、又はカルボキシ基を表す。Laは単結合又は2価の連結基を表す。Rは水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。Xは酸素原子又は−NH−を表す。
    一般式(1B)において、Rbは、ポリ(メタ)アクリレート化合物又はポリスチレン化合物から誘導される1価の基を表す。Lbは単結合又は2価の連結基を表す。Rは一般式(1A)と同義である。Xは酸素原子又は−NH−を表す。
  10. 前記熱電変換材料が、さらに分散媒を含有する、請求項9に記載の熱電変換材料。
  11. 前記分散媒が、ClogP値が3.0以下であるアルコール系溶媒である、請求項10に記載の熱電変換材料。
JP2014170451A 2013-10-01 2014-08-25 熱電変換素子、熱電変換材料 Expired - Fee Related JP6205326B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014170451A JP6205326B2 (ja) 2013-10-01 2014-08-25 熱電変換素子、熱電変換材料

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013206362 2013-10-01
JP2013206362 2013-10-01
JP2014170451A JP6205326B2 (ja) 2013-10-01 2014-08-25 熱電変換素子、熱電変換材料

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015092540A JP2015092540A (ja) 2015-05-14
JP6205326B2 true JP6205326B2 (ja) 2017-09-27

Family

ID=52778703

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014170451A Expired - Fee Related JP6205326B2 (ja) 2013-10-01 2014-08-25 熱電変換素子、熱電変換材料

Country Status (3)

Country Link
US (1) US20160211432A1 (ja)
JP (1) JP6205326B2 (ja)
WO (1) WO2015050115A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6470836B2 (ja) * 2015-06-05 2019-02-13 富士フイルム株式会社 熱電変換素子
JP6626708B2 (ja) * 2015-12-18 2019-12-25 富士フイルム株式会社 分散組成物の製造方法および熱電変換層の製造方法
JP7426057B2 (ja) * 2019-03-28 2024-02-01 国立研究開発法人産業技術総合研究所 カーボンナノチューブ分散液

Family Cites Families (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004143440A (ja) * 2002-09-27 2004-05-20 Fuji Photo Film Co Ltd インクジェットプリンタ用油性インク組成物及びそれを用いた画像形成方法
JP4734943B2 (ja) * 2004-02-02 2011-07-27 東レ株式会社 光学測定用基材
JP5385530B2 (ja) * 2005-03-31 2014-01-08 積水化学工業株式会社 無機微粒子分散ペースト組成物
JP2009289783A (ja) * 2008-05-27 2009-12-10 Toray Ind Inc 有機半導体積層膜および有機電界効果型トランジスタ
JP5463674B2 (ja) * 2009-01-28 2014-04-09 株式会社豊田中央研究所 カーボンナノ複合体、それを含む分散液および樹脂組成物、ならびにカーボンナノ複合体の製造方法
JP5701576B2 (ja) * 2009-11-20 2015-04-15 富士フイルム株式会社 分散組成物及び感光性樹脂組成物、並びに固体撮像素子
JP2012082120A (ja) * 2010-10-15 2012-04-26 Fukuoka Prefecture 新規ナノカーボン分散剤、ナノカーボン分散液、ならびにそれらを用いるナノカーボン薄膜の製造方法およびナノカーボン薄膜
EP2630670B1 (en) * 2010-10-18 2015-07-01 Wake Forest University Thermoelectric apparatus and applications thereof
JP5764960B2 (ja) * 2011-02-15 2015-08-19 日油株式会社 炭素材料用分散剤、炭素材料分散液および炭素材料組成物
TWI448422B (zh) * 2011-09-14 2014-08-11 Ind Tech Res Inst 奈米碳管粉體與其形成方法、複合材料之形成方法
US20140251407A1 (en) * 2011-09-28 2014-09-11 Fujifilm Corporation Thermoelectric conversion material and a thermoelectric conversion element
US8748504B2 (en) * 2011-10-11 2014-06-10 Yale University Polymeric composites having oriented nanomaterials and methods of making the same
JP5789580B2 (ja) * 2011-10-31 2015-10-07 富士フイルム株式会社 熱電変換材料及び熱電変換素子
JP2013098299A (ja) * 2011-10-31 2013-05-20 Fujifilm Corp 熱電変換材料及び熱電変換素子
JP2013095821A (ja) * 2011-10-31 2013-05-20 Fujifilm Corp 導電性組成物、並びにこれを用いた導電性膜及び導電性積層体
EP2824069B1 (en) * 2012-03-05 2021-09-22 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Surface-treated carbon nanotube and resin composition
US9595654B2 (en) * 2013-05-21 2017-03-14 Baker Hughes Incorporated Thermoelectric polymer composite, method of making and use of same

Also Published As

Publication number Publication date
WO2015050115A1 (ja) 2015-04-09
US20160211432A1 (en) 2016-07-21
JP2015092540A (ja) 2015-05-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6009423B2 (ja) 熱電変換材料及び熱電変換素子
Lian et al. Vertically aligned and interconnected graphene networks for high thermal conductivity of epoxy composites with ultralow loading
US20160211434A1 (en) Thermoelectric conversion material, thermoelectric conversion element and method for manufacturing thermoelectric conversion element
JP5789580B2 (ja) 熱電変換材料及び熱電変換素子
JP6110818B2 (ja) 熱電変換材料、熱電変換素子ならびにこれを用いた熱電発電用物品およびセンサー用電源
WO2014010454A1 (ja) 熱電変換素子及びこれを用いた熱電変換材料
JP5931807B2 (ja) 熱電変換材料、これを用いた熱電変換素子及び熱電発電用物品、並びに熱電変換素子の製造方法
US20200066958A1 (en) THERMOELECTRIC CONVERSION ELEMENT, n-TYPE THERMOELECTRIC CONVERSION LAYER, AND COMPOSITION FOR FORMING n-TYPE THERMOELECTRIC CONVERSION LAYER
JP6205326B2 (ja) 熱電変換素子、熱電変換材料
Iqbal et al. Enhanced dielectric constant, ultralow dielectric loss, and high-strength imide-functionalized graphene oxide/hyperbranched polyimide nanocomposites
WO2014119468A1 (ja) 熱電変換材料、熱電変換素子並びにこれを用いた熱電発電用物品及びセンサー用電源
JP5931763B2 (ja) 熱電変換材料、熱電変換素子並びにこれを用いた熱電発電用物品及びセンサー用電源
WO2017104757A1 (ja) 熱電変換層、熱電変換素子および熱電変換層形成用組成物
TW201733174A (zh) 熱電轉換元件
WO2018012370A1 (ja) n型半導体層、熱電変換層、熱電変換素子、熱電変換モジュール、及びn型半導体層形成用組成物
WO2018159685A1 (ja) 熱電変換層、熱電変換層形成用組成物、熱電変換素子、熱電変換モジュール
JP6220984B2 (ja) 熱電変換素子、熱電変換層、熱電変換層形成用組成物
JP6220983B2 (ja) 熱電変換素子、熱電変換層、熱電変換層形成用組成物
WO2018012372A1 (ja) p型半導体層、熱電変換層、熱電変換素子、熱電変換モジュール、及びp型半導体層形成用組成物
WO2017154416A1 (ja) 熱電変換素子

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160304

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161216

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170117

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170317

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170829

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170904

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6205326

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees