JP4734943B2 - 光学測定用基材 - Google Patents

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Description

本発明は、カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブの誘導体、フラーレン、フラーレンの誘導体、もしくはこれらの混合物を含有することを特徴とする光学測定用基材に関する。代表的には蛍光標識された物質が表面に存在するかどうかを検出するための光学測定用基材に関する。
化学反応や生体間相互作用などの分子間相互作用の定性・定量には、紫外可視吸収分光法、赤外分光法や蛍光分光法などの分光学的手法が、また、質量変化を検出する水晶発振子法や表面の膜厚変化を検出する表面プラズモン共鳴法などが主に用いられている。特に、遺伝子、蛋白質、糖鎖などの生体間相互作用の検出については、蛍光分光法はその感度や簡易性などで最も一般的に用いられている方法である。生体間相互作用の主なものとしては、核酸のハイブリダイゼーションのような、各種の核酸/核酸間の相補性を利用したものがある。この相互作用の有無から各種遺伝子とその生体機能発現との関係を調べることができる。また、蛋白質については、ウエスタンブロッティングに代表されるような、蛋白質/蛋白質間の反応を利用し蛋白質の機能および発現について調べることができる。また、抗原−抗体相互作用ではELISA法(Enzyme Linked Immuno Sorbent Assay)という、抗体と抗原及び酵素標識された抗原との結合により、標識酵素の活性を測定することで抗原を定性・定量分析する方法が主に用いられている。この手法においても標識体として蛍光物質が用いられ、この標識体からの蛍光を検出することで定性・定量が行われている。他には蛍光分子から他の分子へ励起エネルギーが移動する現象を利用した分析法、例えば、蛍光エネルギー移動法(FRET)や、分子ビーコン法などが挙げられるが、いずれも、検体に蛍光標識を施し、微弱な蛍光を高感度に検出することが必要不可欠になっている。
ところで、被検物質と選択的に結合する物質(本明細書において「選択結合性化合物」)の相互作用を分光学的手法で検出する際、基材からの自家蛍光が大きいと、これがノイズとなり、結果的にS/N比が下がり検出精度を低減させる。
この基材からの自家蛍光を抑えるため、カーボンブラックなどの黒色を有する化合物を基材に混入させて、基材を黒色にして、自家蛍光をも黒色を呈する化合物に吸収させて、自家蛍光を低減させる手法が提案されている(例えば特許文献1参照)。しかし、このように基材を黒色にすることにより基材からの蛍光は低減するが、検出のための光源として光量の強い単色レーザー光をレンズで絞り込んで基材上に照射した場合、光吸収による熱のため、表面が焼けたり溶けたりして、基材表面の粗さが増し、結果として散乱光によりノイズが増大したり、最悪の場合、基材が破壊されるといった問題点があった。
特開2003−130874号公報(特許請求の範囲および実施例)
本発明が解決しようとする課題は、上記のような基材からの自家蛍光を抑えてS/N比の悪化を防ぎ、かつ、集光された強いレーザー光を基材上に照射した場合でも、光吸収による熱によって基材が損傷することがない光学測定用基材を提供するものである。
(1)物質の存在有無を光で検出する方法に用いる基材であって、該基材がビニル系樹脂にカーボンナノチューブ、カーボンナノチューブの誘導体、フラーレン、およびフラーレンの誘導体からなる群より1種類以上選択される物質を分散した樹脂コンポジットであることを特徴とする光学測定用基材。
(2)共役系重合体で被覆されたカーボンナノチューブおよび/または共役系重合体で被覆されたカーボンナノチューブの誘導体が基材中に分散した(1)に記載の光学測定用基材。
(3)カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブの誘導体、フラーレンおよびフラーレンの誘導体の混合物の組成分率が0.01重量%以上、1重量%以下である(1)または(2)に記載の光学測定用基材。
(4) 下記一般式(1)の構造単位を有する樹脂を含むことを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の光学測定用基材。
(式中、R、RおよびRはそれぞれ炭素数1から20のアルキル基、炭素数6から18のアリール基、又は水素原子を表す。また、Xは、O、NRまたはCHを表す。)。
(5)選択結合性化合物が基材上に固定化されている(1)〜(4)のいずれか1項に記載の光学測定用基材。
(6)選択結合性化合物が核酸である(5)に記載の光学測定用基材。
本発明により、カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブの誘導体、フラーレン、フラーレンの誘導体、もしくはこれらの混合物を含有する光学測定用基材からの自家蛍光を低減させ、バックグラウンドノイズを低減させることが可能となり、検出精度の高い光学測定用基材を提供できる。
また、共役系重合体で被覆されたカーボンナノチューブおよび/または共役系重合体で被覆されたカーボンナノチューブの誘導体を用いることにより、基材中に分散することが容易になる。
さらに、カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブの誘導体、フラーレンおよびフラーレンの誘導体の混合物の組成分率が0.01重量%以上、1重量%以下にすることにより、自家蛍光を抑制しつつ、検出用の強度の強いレーザー光などを照射した場合でも、熱による基材表面のやけがない光学測定用基材を提供することが可能である。
本発明の光学測定用基材およびその製造方法を具体的に以下に述べる。
本発明者らは、鋭意実験を重ねた結果、カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブの誘導体、フラーレン、フラーレンの誘導体、もしくはこれらの混合物を、例えば、樹脂に分散させることにより、樹脂そのものよりも自家蛍光を低減できることを見いだした。広がったπ共役系を持つカーボンナノチューブ(以下CNTという)とその誘導体、フラーレンとその誘導体はブロードな吸収帯を示す。(このことは、Chemistry Letters. vol. 32, (2003) pp 456およびChemistry of Materials, vol. 14 (2002) pp 4281に詳しい。)従って、これらは似たような光学的性質を示し、基材からの蛍光を減少させる特性を示す。ここで『フラーレン』とは60個もしくはそれ以上の炭素原子が球状あるいはチューブ状に繋がった中空構造を有する巨大分子(C60、C70、C76、C78、ナノホーンなど)である。フラーレンの場合、比較的高い親油性を示すことがら、非水溶媒に容易に溶解し、ポリマー等への分散が比較的容易である。
本発明に用いるCNTは、単層および/または多層のCNTである。このようなCNTとしては、例えば短軸が10nm以下のCNTが挙げられる。すなわち、CNTとしては、現時点でもっとも一般的に用いられているCNTを用いることができる。その他、その誘導体でも良い。すなわち、種々の化学修飾が付加されたCNTや、CNTの炭素原子の一部がホウ素(B)や窒素(N)に置き換わったBCNナノチューブあってもよい。
化学修飾されたCNTに導入された官能基として、具体的にはカルボキシル基、水酸基、アミド基、エステル基、チオエステル基、ハロゲン基等の少なくとも1種が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記CNTはアーク放電法、化学気相成長法(CVD法)、レーザー・アブレーション法等によって作製されるが、本発明において使用されるCNTはいずれの方法によって得られたものであってもよい。また、CNTには1枚の炭素膜(グラフェン・シート)が円筒状に巻かれた単層CNTと、2枚のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた2層CNTと、複数のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた多層CNTとがあり、本発明においてそれぞれ単体で、もしくは複数を同時に使用できる。
このような、CNTを例えば樹脂に分散させて、これを光学測定用基材とすることにより、基材からの自家蛍光を低減することが可能である。本発明において、CNTを樹脂に分散させたものをCNT含有樹脂コンポジットという。本発明において、CNTを樹脂に分散させるとは、CNTが凝集せずに樹脂中に均一に存在している状態を意味する。これまでCNTを樹脂中に分散させた樹脂コンポジットの作製法としていくつかの例が報告されている。例えば、Chemical Physics Letters、Vol.330、2000、pp219ではPMMAのDMF溶液にCNTを混入して乾燥フィルムを作製し、この小片を金属板間に挟み180℃、3000lbでホットプレスすることにより、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を樹脂としてCNTを分散する製造方法が記載されている。また、Materials Science and Engneering, Vol.A271、1999、pp.359ではPMMAを重合する際に、反応液にCNTを混合させて重合させ、CNT含有樹脂を作製する方法が記載されており、これらの手法によりCNTの導入することが可能である。
CNTを樹脂に分散させ、CNT含有樹脂コンポジットを作製するためには、次のような処理を施すことがより好ましい。
すなわち、CNT含有樹脂コンポジットを構成するCNTは単層および/または多層のCNTであり、該CNTは共役系重合体で被覆することにより樹脂への分散性が向上するのでこのような処理を施すことが好ましい。本発明において、共役系重合体で被覆するとは、CNTの表面の少なくとも一部を共役系重合体で接触させ、CNT表面を共役系重合体で保護した状態のことを意味する。CNTを覆う共役系重合体は、CNTとの相互作用の強い重合体である共役系重合体で、且つマトリックス樹脂である側鎖構造を有する樹脂との相互作用の強いものであることが好ましい。CNTとの相互作用が強いものとして具体的には直鎖状共役系重合体が好ましい。直鎖状共役系重合体としては、ポリチオフェン系重合体、ポリピロール系重合体、ポリアニリン系重合体、ポリアセチレン系重合体、ポリフェニレン系重合体、ポリフェニレンビニレン系重合体等が挙げられる。ポリチオフェン系重合体、ポリピロール系重合体はそれぞれチオフェン環、ピロール環の2、5位でモノマーユニットがつながったもの、また、ポリフェニレン系重合体ではフェニレン基がパラ位で連なっているポリ−p−フェニレン系重合体、ポリフェニレンビニレン系重合体ではフェニレン基とビニレン基がパラ位で連なっているポリ−p−フェニレンビニレン系重合体であることが好ましい。
上記直鎖状共役系重合体の中でも、特に、ポリチオフェン系重合体が好ましい。ここでポリチオフェン系重合体とはポリチオフェン構造の骨格を持つ重合体に側鎖が付いた構造を有するものであり、この側鎖の効果により溶媒に可溶となることから、取り扱いが容易であり成形性や加工性に優れている。具体例としては、ポリ−3−メチルチオフェン、ポリ−3−ブチルチオフェン、ポリ−3−ヘキシルチオフェン、ポリ−3−オクチルチオフェン、ポリ−3−ドデシルチオフェン等のポリ−3−アルキルチオフェン(アルキル基の炭素数は特に制限はないが好ましくは1〜12)、ポリ−3−メトキシチオフェン、ポリ−3−エトキシチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシチオフェン等のポリ−3−アルコキシチオフェン(アルコキシ基の炭素数はとくに制限はないが好ましくは1〜12)、ポリ−3−メトキシ−4−メチルチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシ−4−メチルチオフェン等のポリ−3−アルコキシ−4−アルキルチオフェン(アルコキシ基およびアルキル基の炭素数は特に制限はないが好ましくは1〜12)、ポリ−3−チオヘキシルチオフェンやポリ−3−チオドデシルチオフェンなどのポリ−3−チオアルキルチオフェン(アルキル基の炭素数は特に制限はないが好ましくは1〜12)が好ましく挙げられ、1種もしくは2種以上を用いることができる。中でも、ポリ−3−アルキルチオフェン、ポリ−3−アルコキシチオフェンが好ましく、前者としては特にポリ−3−ヘキシルチオフェンが好ましい。好ましい分子量は重量平均分子量で800〜100000である。また、上記重合体は必ずしも高分子量である必要はなく、直鎖状共役系からなるオリゴマーであってもよい。
本発明のCNT含有樹脂コンポジットにおいて、上記CNTを分散させるマトリックス樹脂は、側鎖構造を有する樹脂であるビニル系樹脂が用いられる。具体的にはポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル等が挙げられるが、特に下記一般式(1)で表せられる構造を持つ樹脂が特に好ましい。
(式中、R、RおよびRはそれぞれ炭素数1から20のアルキル基、炭素数6から18のアリール基、又は水素原子を表す。また、Xは、O、NRまたはCHを表す。)。
本発明において、一般式(1)で表せられる樹脂の平均重合度の好ましい範囲は、100から1万である。特に好ましくは、200以上、5000以下である。なお、数平均重合度はGPC(ゲルパーメイションクロマトグラフ)を用い定法にて樹脂の分子量を測定することにより、容易に測定できる。
一般式(1)において、RおよびRはアルキル基、アリール基または水素原子を表し、それぞれ同一であっても異なっていても良い。前記アルキル基は直鎖状であってもまたは枝別れしていても良く、好ましくは1から20の炭素数を有する。前記アリール基は、好ましくは6から18、さらに好ましくは6から12の炭素数を有する。官能基XはO、NR、またはCHの中から任意に選ばれる。Rは前記RおよびRと同様に定義される官能基である。
前記各種のような官能基を含む樹脂で、好ましいものとしては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチルメタクリレート(PEMA)またはポリプロピルメタクリレートのポリメタクリル酸アルキル(PAMA)等がある。これらの中で特に好ましいものは、ポリメチルメタクリレートである。さらに、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸シクロヘキシルまたはポリメタクリル酸フェニル等も用いることができる。また、前記樹脂構成要素を組み合わせた、または前記樹脂の構成要素に他の一種または複数種の樹脂の構成要素を加えた構造の共重合体も用いることができる。前記他の樹脂としては、ポリスチレン、ポリアクリロニトリルまたはポリアミド等がある。
フラーレンの樹脂への分散手法として、Macromolecules, Vol.33, 2000, 2413ではPMMAを重合する際に、反応液にC60を混合させて重合させ、C60含有樹脂を作製する方法が記載されており、この手法によりC60の導入することが可能である。また、フラーレンと樹脂とを溶媒中に溶解あるいは分散した後、溶媒を除去する方法も用いることができる。溶解あるいは分散するには撹拌や混練、超音波照射することが好ましい。
次に本発明における光学測定用基材の製造方法の一例について説明する。本発明の光学測定用基材は、例えば、共役系重合体をCNTに被覆する工程、および前記工程で得られた共役系重合体で被覆されたCNTをビニル系樹脂または該樹脂溶液に混合分散させる工程を経て製造することができる。
共役系重合体をCNTに被覆する工程では、例えば次のような方法を用いることができる。すなわち、(A)溶融した共役系重合体の中にCNTを添加して混合させる方法、(B)共役系重合体を溶媒中に溶解させこの中にCNTを添加して混合させる方法、(C)CNTを溶媒中で予め超音波などで予備分散しておいた所に共役系重合体を添加し混合させる方法、(D)溶媒中に共役系重合体とCNTを入れ、この混合系に超音波を照射して混合させる方法等である。本発明では何れかの方法を単独で用いるか、あるいは何れかの方法を組み合わせても良い。中でも(D)の溶媒中に共役系重合体とCNTを入れ、この混合系に超音波を照射して混合させる方法が好ましい。
CNTは共役系重合体に覆われた状態において、CNT同士の間に働くファンデルワールス相互作用が緩和され溶媒中で高度に分散する。
次に、共役系重合体で被覆されたCNTをビニル系樹脂または該樹脂溶液に混合分散させる工程について説明する。共役系重合体で被覆されたCNTを混合分散させるに際し、(1)共役系重合体の中にCNTを添加し分散した共役系重合体とCNTの混合物をそのまま用いる方法と、(2)共役系重合体とCNTの混合物を孔径0.1μm程度のフィルターでCNTをろ別することにより余剰の共役系重合体を除去してから用いる方法等がある。後者(2)のろ別する方法を用いた場合においても、共役系重合体はCNTとの相互作用が強いためCNTの表面を被覆している。CNTの表面に共役系重合体が被覆していることは種々の元素分析、表面分析装置で確認することができる。
混合分散の方法としては、(i)溶媒中に共役系重合体で覆われたCNTを再分散させ、そこへビニル系樹脂を溶解させる方法、(ii)ビニル系樹脂溶液の中に共役系重合体で覆われたCNTを添加し分散させる方法、(iii)熱などによりビニル系樹脂を溶融させ、液状の樹脂に共役系重合体で覆われたCNTを直接添加し分散させる方法等がある。また混合分散の手段としては、撹拌、超音波処理、振動分散、混練等が挙げられ、濃度や粘度に応じて手段を選択する必要がある。例えば撹拌による分散方法としては、フラスコや蓋付きの容器を回転させたり、スクリュー型やブラシ型の撹拌羽根が高速に回転する装置を用いることができる。超音波処理による分散方法としては、超音波洗浄機の槽の中にビニル系樹脂と共役系重合体で覆われたCNTの入った容器を設置したり、あるいは超音波振動子を該容器の中に入れて処理するなどの方法がある。混練による分散方法としては、セラミックスの微粒子を用いたビーズミル装置やボールミル装置、三本ローラー等を用いることができる。本発明のCNT含有樹脂コンポジットの製造方法においては、撹拌混合をした後、超音波処理を施すことが好ましいが、これに限定されるものではない。こうして共役系重合体で覆われたCNTをマトリックス樹脂であるビニル系樹脂の中に分散させることで、CNTとマトリックス樹脂との間に共役系重合体の層を有するCNT含有樹脂コンポジットを得ることができる。
なお、上記本発明のCNT含有樹脂コンポジットの製造方法において用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、ブタノール、トルエン、キシレン、o−クロロフェノール、アセトン、酢酸エチル、エチレングリコール、クロロホルム、クロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−プロパノールなどが挙げられるがこれらに限定されるものではなく、必要に応じて溶媒を選ぶことができる。
本発明の基材は、CNTやCNT誘導体、フラーレン、フラーレン誘導体を含有させることで自家蛍光を抑制でき、含有量を多くするほど抑制効果を向上することができる。含有量については、レーザー光照射時の熱による基材特性低下が生じないようにしたり、基材の透明性を確保したりするなど、他の因子とのとバランスによって決めることができる。
また、本発明の基材において光学特性を考慮し着色性を配慮しなければならない場合は、CNTやフラーレンの割合は0.01〜0.5重量%であることが好ましい。この範囲ではCNTは目視で確認することは難しく、膜・フィルムなどの透過率をあまり下げることがないので、基材の自家蛍光を低減させ、かつ、検出用の光で、基材表面が焼けたり溶けたりすることを防ぐことができる。この範囲をはずれると、例えば、樹脂コンポジットに含有されるCNTの添加量が1重量%を越えると基材の黒色度が増大してしまうため、基材表面での光吸収が増大し、レーザー等の光量の強い光源を用いた場合、光吸収が熱に変換されて、表面が焼けたり、溶けたりして粗くなってしまうことがある。さらに、1重量%を超えると、CNTの均一な分散が困難となる傾向にある。一方、CNTの量が0.01重量%未満であるとCNT添加による自家蛍光の減少もほとんど観察されない。したがって、本発明におけるカーボンナノチューブ、カーボンナノチューブの誘導体、フラーレンおよびフラーレンの誘導体の混合物の組成分率は、0.01重量%以上、1重量%以下が好ましい。ここでいう「カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブの誘導体、フラーレンおよびフラーレンの誘導体の混合物」とは、「カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブの誘導体、フラーレンおよびフラーレン」から選択された1種以上の物質を含むものをいい、2種類以上の物質を含むことを必ずしも要しない。
このようにして得られたCNT含有樹脂コンポジットを加工することで、板に代表される本発明の物質の存在有無を光で検出する方法に用いる基材を作製することが可能である。本発明で物質の存在有無を光で検出する方法とは、分子の光吸収もしくは分子からの発光を検出することにより、その分子の有無および分子を定量的・定性的に分析する方法である。このような光学測定用基材の具体的な例としては、光学測定セル、DNAチップ、蛋白チップ、いわゆるマイクロフルーイディクスと呼ばれる分野に用いられているラボオン・ア・チップ、96穴、384穴等のウェルプレート、培養フラスコ、キュベット、エッペンドルフチューブ、8連チューブ等の代表的には検体自身の蛍光もしくは、検体に付与された蛍光体からの蛍光によって、試薬や、核酸、タンパクなどの存在有無を調べるための基材に加工が可能である。
なお、上記樹脂コンポジットの加工の方法としては、公知の方法を使用することができる。すなわち、押出成形、圧縮成形、射出成形等の製造法が使用できるが、好ましくは、生産性および形状の自由度の観点から射出成形が使用できる。その他の方法としては、溶剤に溶融している樹脂コンポジットをキャスト法などでフィルムにするなどの方法が挙げられる。
ついで、本発明の光学測定用基材の具体的な使用方法の好ましい形態についてのべる。本発明の光学測定用基材は、選択結合性化合物が多数固定化されている、マイクロアレイと呼ばれる基材に用いることが好ましい。ここで、「選択結合性化合物」とは、被検物質と直接的又は間接的に、選択的に結合し得る物質を意味し、代表的な例として、核酸、タンパク質、糖類及び他の抗原性化合物を挙げることができる。核酸は、DNAやRNAでもPNAでもよい。特定の塩基配列を有する一本鎖核酸は、該塩基配列又はその一部と相補的な塩基配列を有する一本鎖核酸と選択的にハイブリダイズして結合するので、本発明でいう「選択結合性化合物」に該当する。また、タンパク質としては、抗体及びFabフラグメントやF(ab')2フラグメントのような、抗体の抗原結合性断片、並びに種々の抗原を挙げることができる。抗体やその抗原結合性断片は、対応する抗原と選択的に結合し、抗原は対応する抗体と選択的に結合するので、「選択結合性化合物」に該当する。糖類としては、多糖類が好ましく、種々の抗原を挙げることができる。また、タンパク質や糖類以外の抗原性を有する物質を固定化することもできる。本発明に用いる選択結合性化合物は、市販のものでもよく、また、生細胞などから得られたものでもよい。「選択結合性化合物」として、特に好ましいものは、核酸である。この核酸の中でも、オリゴ核酸と呼ばれる、長さが10塩基から100塩基までの核酸は、合成機で容易に人工的に合成が可能であり、また、核酸末端のアミノ基修飾が容易であるため、担体表面への固定化が容易となることから好ましい。さらに、20塩基未満ではハイブリダイゼーションの安定性が低いという観点から20〜100塩基がより好ましい。ハイブリダイゼーションの安定性を保持するため、特に好ましくは40〜100塩基の範囲である。
また、本発明のマトリックス樹脂が特に下記一般式(1)で表せられる構造を持つ樹脂の場合は次のような方法にて選択結合性化合物を固定化することが可能である。
(式中、R、RおよびRはそれぞれ炭素数1から20のアルキル基、炭素数6から18のアリール基、又は水素原子を表す。また、Xは、O、NRまたはCHを表す。)。
一般式(1)で表される構造単位を少なくとも1つ有する樹脂を有する基材に選択結合性化合物を固定化するためには、これに前処理を施して、基材表面にカルボン酸を形成させることが好ましい。基材表面にカルボン酸を生成する手段としては、アルカリ、酸などで処理するほか、温水中での超音波処理、酸素プラズマ、アルゴンプラズマ、放射線に基材を晒す方法などが挙げられるが、基材の損傷が少なく、また、容易に実施できるという点からアルカリ、もしくは酸に基材を漬け込んで表面にカルボン酸を生成させることが好ましい。具体的な例としては、水酸化ナトリウムや硫酸の水溶液(好ましい濃度は、1N〜20N)に基材を漬け込み、好ましくは30℃から80℃の温度にして、1時間から100時間の間保持すればよい。
このようにカルボン酸を基材の表面に生成すれば、基材表面にアミノ基や水酸基を有する選択結合性化合物を共有結合により固定化することが可能となる。一般的には、これらの結合の反応を助長するため、ジシクロヘキシルカルボジイミド、N−エチル−5−フェニルイソオキサゾリウム−3'−スルホナートなどの様々な縮合剤が用いられている。これらの中でも、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)や4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロライド(DMT−MM)は、毒性が少ないことや、反応系からの除去が比較的容易なことから、選択結合性化合物と基材表面のカルボン酸との縮合反応にはもっとも有効な縮合剤の1つである。これらEDCなどの縮合剤は、選択結合性化合物の溶液と混ぜて使用しても良いし、カルボン酸が表面に生成された基材を予めEDCの溶液に浸漬しておき、表面のカルボン酸を活性化しておいても良い。
このような縮合剤を用い、基材表面のカルボン酸と選択結合性化合物のアミノ基とを反応させた場合は、アミド結合により基材表面と選択結合性化合物が固定化されることになり、基材表面のカルボン酸と選択結合性化合物の水酸基とを反応させた場合は、エステル結合により基材表面と選択結合性化合物とが固定化されることになる。選択結合性化合物を含む試料を基材に作用させる際の温度は、5℃〜95℃が好ましく、15℃〜65℃が更に好ましい。処理時間は通常5分〜24時間であり、1時間以上が好ましい。
前述した方法により、ポリマー表面に選択結合性化合物を固定化することにより、非特異的な検体の吸着を抑え、さらに、共有結合で強固に、かつ、高密度に選択結合性化合物を固定化でき、さらに、ガラスに比べ、固定化された選択結合性化合物の空間的な自由度が高いという推定理由のために、検体とのハイブリダイゼーション効率が高く、しかも、基材からの自家蛍光が少ない基材を得ることができる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
(CNT含有樹脂コンポジットの作製)
クロロホルム30mLに単層CNT(以下SWCNTと言う)(CNI社製、純度95%)3mgを加え、共役系重合体としてポリ−3−ヘキシルチオフェン(アルドリッチ社製、分子量:Mw20000)3mgを加えて氷冷しながら超音波ホモジナイザー(SONICS社製VCX−500)を用いて出力250Wで30分間超音波攪拌してSWCNTを分散した。次いで、分散したSWCNTを孔径0.1μmのPTFE製のメンブレンフィルターを用いて濾別し、10mLのクロロホルムで3回洗浄した。洗浄したSWCNTを30mLのクロロホルムの中に入れ、再び超音波ホモジナイザーで超音波撹拌することによってSWCNT分散液を得た。
得られたSWCNT分散液0.5mLにポリメチルメタクリレート(以下、PMMAと言う)(住友化学工業(株)製“スミペックス”、分子量:Mw500000)50mgをクロロホルム4.5mLに溶解したマトリックス樹脂溶液を加え、超音波洗浄機(井内盛栄堂(株)製US−2、出力120W、2.6L)を用いて30分間超音波攪拌することによりSWCNT含有PMMAペーストを得た。
次いで得られたペースト1mLを周縁部に厚み100μmの粘着テープを貼った50mm角のガラス基板に滴下し、ブレードコーター(英RK Print−Coat Instruments社製)を30mm/secの速さで移動させることにより均一な塗膜面を形成したのち、基板ごと50℃のオーブンに5分間入れ、最後に真空乾燥機で2時間溶媒を除去することで厚み20μmの塗膜を作製し、基板から剥がしてSWCNT0.1重量%含有PMMA膜を得た。
(CNT含有樹脂コンポジットの自家蛍光測定)
上記の方法で調整されたコンポジット重合体溶液をガラス基板に塗布して均一な膜厚のコンポジット薄膜を形成する。次に、蛍光分光光度計を用いて上記コンポジット薄膜をある一定の波長で励起して発光する蛍光スペクトルを測定することにより、定量的かつ定性的に評価できる。該SWCNT0.1重量%含有PMMA膜とSWCNTを含まないこと以外は上記方法と同様にして得られたPMMA膜の蛍光発光スペクトルを蛍光分光光度計(日立(株)製F−2500形 分光蛍光光度計)を用いて測定した。基板は入射光に対して45°の角度で設置し、励起波長は460nm、検出部のホトマル電圧を700ボルトとした。この結果を図1示す。PMMA膜の場合では広範囲にブロードな発光が観察された。一方、CNTを0.1重量%含有したPMMA膜では、この発光が減少することが確認された。
実施例2、比較例1、比較例2
(核酸ハイブリダイゼーション後のPMMA基板の蛍光測定)
(核酸固定化担体の作製)
上記該SWCNT0.1重量%含有PMMA膜および透明なポリメチルメタクリレート(PMMA)板((株)クラレ製;コモグラス押し出し板、厚さ1mm、平均分子量15万)を調整した。また、比較例1として透明なPMMA板(クラレ製;前述と同じ)、比較例2として1重量%のカーボンブラック(三菱化学製;製品番号#3050B)を含有した(PMMA)板(クラレ製;前述と同じ)を用意した。これら3種類の基板を10Nの水酸化ナトリウム水溶液に65℃で12時間浸漬した。次いで、純水、0.1N HCl水溶液、純水の順で洗浄した。このようにして、基板表面のPMMAの側鎖を加水分解して、カルボキシル基を生成した。
(プローブDNAの固定化)
配列番号1(60塩基、5’末端アミノ化)、のDNAを合成した
5'-ACATTTTGAGGCATTTCAGTCAGTTGCTCAATGTACCTATAACCAGACCGTTCATCTGGA-3’
の配列番号1のDNAは5’末端がアミノ化されている。
これらのDNAを、純水に0.27nmol/μlの濃度で溶かして、ストックソリューションとした。基板に点着する際は、PBS(NaClを8g、NaHPO・12HOを2.9g、KClを0.2g、KHPOを0.2g純水に溶かし1lにメスアップしたものにpH調整用の塩酸を加えたもの、pH5.5)でプローブの終濃度を0.027nmol/μlとし、かつ、担体表面のカルボン酸とプローブDNAの末端のアミノ基とを縮合させるため、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)を加え、この終濃度を50mg/mlとした。そして、これらの混合溶液をおよそ200nl取り出して、これを基板に点着した。次いで、基板を密閉したプラスチック容器入れて、37℃、湿度100%の条件で20時間程度インキュベートして、純水で洗浄した。この反応スキームを図2に示す。
(検体DNAの調整)
検体DNAとして、上記DNA固定化基板とハイブリダイズ可能な塩基配列を持つ配列番号5のDNA(968塩基)を用いた。調整方法を以下に示す。
検体DNAとして、上記DNA固定化基板とハイブリダイズ可能な塩基配列を持つDNA(968b.p.)を用いた。調整方法を以下に示す。
以下の配列の核酸を合成した。
5'-GGGCGAAGAAGTTGTCCATA-3' (配列番号2:20塩基)
5'-GCAGAGCGAGGTATGTAGGC-3' (配列番号3:20塩基)
これを純水にとかして濃度を100μMとした。次いで、pKF3 プラスミドDNA(タカラバイオ(株)製品番号;3100)(配列番号4:2264塩基)を用意して、これをテンプレートとし、配列番号2および配列番号3のDNAをプライマーとして、PCR反応(Polymerase Chain Reaction)により増幅を行った。
PCRの条件は以下の通りである。すなわち、ExTaq 2μl、10×ExBuffer 40μl、dNTP Mix 32μl(以上はタカラバイオ(株)製;製品番号RR001Aに付属)、配列番号2の溶液を2μl、配列番号3の溶液を2μl、テンプレート(配列番号4)を0.2μl加え、純水によりトータル400μlにメスアップした。これらの混合液を、4つのマイクロチューブに分け、サーマルサイクラーを用いてPCR反応を行った。これを、エタノール沈殿により精製し、40μlの純水に溶解した。
次いで、9塩基のランダムプライマー(タカラバイオ(株)製;製品番号3802)を6mg/mlの濃度に溶かし、上記のPCR反応後精製したDNA溶液に2μl加えた。この溶液を100℃に加熱した後、氷上で急冷した。これらにKlenow Fragment(タカラバイオ(株)製;製品番号2140AK)付属のバッファーを5μl、dNTP混合物(dATP、dTTP、dGTPの濃度はそれぞれ2.5mM、dCTPの濃度は400μM)を2.5μl加えた。さらに、Cy3−dCTP(アマシャムファルマシアバイオテク製;製品番号PA53021)を2μl加えた。この溶液に10UのKlenow Fragmentを加え、37℃で20時間インキュベートし、Cy3で標識された検体DNA(配列番号5:968塩基)を得た。さらにこれをエタノール沈殿により精製し、乾燥した。
この標識化された検体DNAを、1重量%BSA(ウシ血清アルブミン)、5×SSC(5×SSCとはNaClを43.8g、クエン酸3ナトリウム水和物を22.1gの純水にとかし、200mlにメスアップしたもの。またNaClを43.8g、クエン酸3ナトリウム水和物を22.1g純水にとかし、1lにメスアップしたものを1×SSCと表記し、これの10倍濃縮液を10×SSC、5倍希釈液を0.2×SSCと表記する。)、0.1重量%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、0.01重量%サケ精子DNAの溶液(各濃度はいずれも終濃度)、400μlに溶解し、ハイブリダイゼーション用の溶液とした。
(ハイブリダイゼーション)
上記で得られたプローブDNAを固定化した基板に上記検体DNAをハイブリダイゼーションさせた。具体的には、先に用意したプローブ核酸が固定化されている担体にハイブリダイゼーション用の溶液を10μl滴下し、その上にカバーガラスをかぶせた。また、カバーガラスの周りをペーパーボンドでシールし、ハイブリダイゼーションの溶液が乾燥しないようにした。これを、プラスチック容器の中に入れ、65℃、湿度100%の条件で10時間インキュベートした。インキュベート後、カバーガラスを剥離後に洗浄、乾燥した。
(測定)
DNAチップ用のスキャナー(Axon Instruments社のGenePix 4000A)に上記処理後の基材をセットし、レーザー出力33%、フォトマルチプライヤーの電圧を600Vに設定した状態で測定を行った。その結果を表1に示す。この結果より、PMMA基板と比較しCNTを含有させることによりS/N比が向上した。
実施例3
(核酸ハイブリダイゼーション後のPMMA膜の蛍光シグナル)
(フラーレン含有樹脂コンポジットの作製)
フラーレン(C60、東京化成工業(株)製、純度99.9%以上)1mgをトルエン1mL中に加え、超音波洗浄機を用いて30分間超音波照射することでフラーレン溶液を得た。得られたフラーレン溶液にPMMA(住友化学工業(株)製“スミペックス”、分子量:Mw500000)100mgを加え、さらに30分間超音波照射してフラーレン含有PMMAペーストを得た。
次いで得られたペースト1mLを周縁部に粘着テープを貼った50mm角のガラス基板に滴下し、ブレードコーターを30mm/secの速さで移動させることにより均一な塗膜面を形成したのち、基板ごと50℃のオーブンに5分間入れ、最後に真空乾燥機で2時間溶媒を除去することで厚み20μmの塗膜を作製し、基板から剥がしてフラーレン1重量%含有PMMA膜を得た。
(フラーレン含有樹脂コンポジットの自家蛍光測定)
上記の方法で調整されたコンポジット重合体溶液をガラス基板に塗布して均一な膜厚のコンポジット薄膜を形成する。次に、該コンポジット薄膜の蛍光発光スペクトルを蛍光分光光度計(日立(株)製F−2500形 分光蛍光光度計)を用いて測定した。入射光を基板に対して45°の角度で照射し、励起波長は532nm、検出部のホトマル電圧は700ボルトとした。この結果を図3、図4に示す。図3は蛍光スペクトル全体を示したもので、図4はピークの裾を拡大したものである。532nmにおける蛍光強度はPMMA膜では1500で、フラーレンを1重量%含有したPMMA膜では676と、PMMA膜の約2分の1の強度であった。一方、544nmでの蛍光強度はPMMA膜が0.206であるのに対し、フラーレンを1重量%含有したPMMA膜では、わずか0.003と、蛍光強度がおよそ70分の1にまで減少した。このように励起波長より少し長波長側での蛍光が大幅に抑制されることが確認された。
(核酸ハイブリダイゼーション後のPMMA基板の蛍光測定)
実施例2と同様の方法でフラーレン含有樹脂コンポジット表面を加水分解して核酸固定化担体の作製し、プローブDNAを固定化した。さらに実施例2と同様の検体DNAを用いハイブリダイゼーションを行い、同様の検出器、測定条件でハイブリダイゼーション後のPMMA膜の蛍光シグナルを測定した。その結果を表1に示す
PMMA膜およびCNT0.1重量%PMMA膜からの蛍光スペクトル(励起波長460nm)のグラフを示す図面である。 PMMA表面への選択結合性化合物(DNA)の固定化反応スキームを示す図面である。 PMMA膜およびフラーレン1重量%PMMA膜の蛍光スペクトル(励起波長532nm、縦軸スケール:1600)の全体を示す図面である。 PMMA膜およびフラーレン1重量%PMMA膜の蛍光スペクトル(励起波長532nm、縦軸スケール:5)のピークの裾を拡大した図面である。
1 PMMA膜
2 選択結合性化合物(DNA)

Claims (6)

  1. 物質の存在有無を光で検出する方法に用いる基材であって、該基材がビニル系樹脂にカーボンナノチューブ、カーボンナノチューブの誘導体、フラーレン、およびフラーレンの誘導体からなる群より1種類以上選択される物質を分散した樹脂コンポジットであることを特徴とする光学測定用基材。
  2. 共役系重合体で被覆されたカーボンナノチューブおよび/または共役系重合体で被覆されたカーボンナノチューブの誘導体が基材中に分散した請求項1に記載の光学測定用基材。
  3. カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブの誘導体、フラーレンおよびフラーレンの誘導体の混合物の組成分率が0.01重量%以上、1重量%以下である請求項1または2に記載の光学測定用基材。
  4. 下記一般式(1)の構造単位を有する樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学測定用基材。
    (式中、R、RおよびRはそれぞれ炭素数1から20のアルキル基、炭素数6から18のアリール基、又は水素原子を表す。また、Xは、O、NRまたはCHを表す。)
  5. 選択結合性化合物が基材上に固定化されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学測定用基材。
  6. 選択結合性化合物が核酸である請求項5に記載の光学測定用基材。
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