JP6204741B2 - 航空機用タイヤ - Google Patents
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Description
以上のことから、上記航空機用タイヤは、トレッドに偏摩耗が生じるのを抑制することができる。
以下、本発明の第1実施形態の航空機用タイヤについて説明する。
図1は、第1実施形態の航空機用タイヤ(以下、単に「タイヤ」と記載する。)10のトレッド12の展開図を示している。なお、図1中の矢印Sはタイヤ10の周方向(以下、適宜「タイヤ周方向」と記載する。)を示し、矢印Xはタイヤ10の軸と平行な方向(以下、適宜「タイヤ軸方向」と記載する。)を示している。なお、タイヤ軸方向についてはタイヤ幅方向と読み替えてもよい。
また、符号CLはタイヤ10のタイヤ軸方向の中心を通りタイヤ軸方向に直角な面である赤道面(以下、適宜「タイヤ赤道面」と記載する。)を示している。なお、本実施形態では、タイヤ軸方向に沿ってタイヤ赤道面CLに近い側を「タイヤ軸方向内側」、タイヤ軸方向に沿ってタイヤ赤道面CLから遠い側を「タイヤ軸方向外側」と記載する。
さらに、トレッド12には、周方向溝18のタイヤ軸方向外側にタイヤ周方向に連続するリブ状のショルダー陸部22が形成されている。
中間陸部20のタイヤ幅方向の長さW2は、タイヤ軸方向断面において、中間陸部20の表面(踏面)の延長線(図示省略)と中間陸部20のタイヤ赤道面CL側の側壁(周方向溝14のセンター陸部16側の溝壁と同じ)の延長線(図示省略)との交点と、中間陸部20の表面(踏面)Aの延長線(図示省略)と中間陸部20の接地端SE側の側壁(周方向溝18の中間陸部20側の溝壁と同じ)の延長線図示省略との交点との間をタイヤ軸方向に沿って測定した長さのタイヤ一周分の平均値である。
ショルダー陸部22のタイヤ幅方向の長さW3は、タイヤ軸方向断面において、ショルダー陸部22の表面(踏面)の延長線(図示省略)とショルダー陸部22の側壁(周方向溝18のショルダー陸部22側の溝壁と同じ)の延長線(図示省略)との交点と、接地端SEとの間をタイヤ軸方向に沿って測定した長さのタイヤ一周分の平均値である。
なお、本実施形態のセンター陸部16は、本発明の第1陸部の一例であり、中間陸部20は、本発明の第2陸部の一例である。
なお、本明細書中で記載する「硬度」は、JIS K6253(タイプAデュロメーター)で規定する硬度を指している。
なお、本実施形態の境界100SL〜104SLは、本発明のタイヤ周方向境界の一例である。
また、本実施形態では、センター陸部16の境界100SL、中間陸部20の境界102SL、及びショルダー陸部22の境界104SLのいずれもタイヤ周方向の位置が異なっている。なお、本発明は上記構成に限定されない。
また、周方向溝18を挟んでタイヤ軸方向内側に形成された中間陸部20を構成するゴム28及びゴム30と、タイヤ軸方向外側に形成されたショルダー陸部22を構成するゴム32及びゴム34との境界112XL(図1では二点鎖線で示している)が周方向溝18内、具体的には、溝底18Aのタイヤ軸方向の略中央(最深部)に位置している。なお、本実施形態のトレッド12の中間部とショルダー部との境界は境界112XLと同じ位置を指している。また、本実施形態では、境界112XLは、トレッド展開平面視でタイヤ周方向に沿って直線状に延びている。
また、本実施形態では、ショルダー陸部22を構成するゴム32及びゴム34と、トレッド12の端部を構成するゴム36との境界114XL(図1では二点鎖線で示している)は、接地端SEよりもタイヤ軸方向外側に位置している。また、本実施形態のトレッド12のショルダー部と端部12Eとの境界は境界112XLと同じ位置を指している。また、本実施形態では、境界114XLは、トレッド展開平面視でタイヤ周方向に沿って直線状に延びている。
一方、中間陸部20の間隔L2は、ショルダー陸部22のタイヤ周方向に隣接する境界104SL間の間隔L3(境界104SLの配置間隔と同義)よりも狭くなっている。すなわち、ショルダー陸部22よりもタイヤ幅方向の長さが広い中間陸部20では、間隔L2が間隔L3よりも狭くなっている。またさらに、境界102SLの長さX2に間隔L2を乗じた値は、境界104SLの長さX3に間隔L3を乗じた値と同じ、または小さいことが好ましい。なお、本実施形態では、境界102SLの長さに間隔L2を乗じた値は、境界104SLの長さに間隔L3を乗じた値よりも小さくなっている。
なお、本発明は上記構成に限定されず、例えば、トレッド12は、センター陸部16の平均硬度とショルダー陸部22の平均硬度が同じで、かつ、中間陸部20の平均硬度がショルダー陸部22の平均硬度よりも小さい構成であってもよく、センター陸部16の平均硬度がショルダー陸部22の平均硬度及び中間陸部20の平均硬度よりも大きい構成であってもよい。
なお、本実施形態では、中間陸部20の境界102SL及びショルダー陸部22の境界104SLも、トレッド12の接地領域内に少なくとも一つ存在している。
タイヤ周方向に連続して延びるリブ状の陸部は、例えば、ブロック状の陸部と比べて、タイヤ周方向の剛性が高く、地上走行時に陸部が路面に対して十分に変形(弾性変形)しない傾向がある。特に、航空機用タイヤは、高内圧且つ高荷重下で使用されることから、リブ状の陸部を耐摩耗性に優れる比較的硬度の高いゴムのみで陸部を構成するため、リブ状の陸部のタイヤ周方向の剛性が非常に高くなる傾向がある。
このため、タイヤ10では、硬度の異なるゴム24とゴム26をタイヤ周方向に交互に並べてリブ状のセンター陸部16を構成している。この構成により、センター陸部16がタイヤ周方向のせん断力を受けると、ゴム24とゴム26のうち硬度の低いゴム24が硬度の高いゴム26よりも弾性変形(タイヤ周方向及び幅方向に弾性変形)する。すなわち、センター陸部16は、硬度の高いゴム26で耐摩耗性を確保しつつ、硬度の低いゴム24でタイヤ周方向の柔軟性を向上(タイヤ周方向の剛性を低下)させている。
また、センター陸部16と同様に、タイヤ10では、硬度の異なるゴム28とゴム30をタイヤ周方向に交互に並べてリブ状の中間陸部20を構成していることから、中間陸部20がタイヤ周方向のせん断力を受けると、ゴム28とゴム30のうち硬度の低いゴム28が硬度の高いゴム30よりも弾性変形(タイヤ周方向及び幅方向に弾性変形)する。すなわち、中間陸部20は、硬度の高いゴム30で耐摩耗性を確保しつつ、硬度の低いゴム28でタイヤ周方向の柔軟性を向上(タイヤ周方向の剛性を低下)させている。
またさらに、中間陸部20と同様に、タイヤ10では、硬度の異なるゴム32とゴム34をタイヤ周方向に交互に並べてリブ状のショルダー陸部22を構成していることから、ショルダー陸部22がタイヤ周方向のせん断力を受けると、ゴム32とゴム34のうち硬度の低いゴム32が硬度の高いゴム34よりも弾性変形(タイヤ周方向及び幅方向に弾性変形)する。すなわち、ショルダー陸部22は、硬度の高いゴム34で耐摩耗性を確保しつつ、硬度の低いゴム32でタイヤ周方向の柔軟性を向上(タイヤ周方向の剛性を低下)させている。
ここで、トレッド12のセンター部に配置されるセンター陸部16をショルダー部に配置されるショルダー陸部22よりも弾性変形しやすく構成する(すなわち、タイヤ周方向の剛性が低くなるように構成(例えば、硬度の低いゴムの数または厚みを増やす等)する)ことで、地上走行時においてトレッド12のセンター部とショルダー部の摩耗バランスをとることができる。これにより、地上走行時にトレッド12のショルダー部がすべりによってセンター部よりも早期に摩耗するのが抑制される。
以上のことから、タイヤ10では、トレッド12に偏摩耗が生じるのを抑制することができる。
また、タイヤ10では、トレッド12において、ゴム28及びゴム30と、ゴム32及びゴム34との境界112XLを周方向溝18内に位置させていることから、境界112XLが路面に接触するのを防ぐことができる。特に、本実施形態では、境界112XLを周方向溝18の溝底18Aの略中央(最深部)に位置させていることから、トレッド12の摩耗末期においても、路面と境界112XLとの接触を防ぐことができる。
また同様に、ショルダー陸部22よりもタイヤ幅方向の長さが広い中間陸部20において、境界102SLの間隔L2を、ショルダー陸部22の境界104SLの間隔L3よりも狭くしていることから、中間陸部20のタイヤ周方向の柔軟性を効果的に向上させることができ、地上走行時のタイヤ周方向のせん断力に対する中間陸部20のすべりを効果的に抑制することができる。
また同様に、境界102SLの長さX2に間隔L2を乗じた値を、境界104SLの長さX3に間隔L3を乗じた値と同じ、または小さくしていることから、中間陸部20のタイヤ周方向の柔軟性をさらに効果的に向上させることができ、地上走行時のタイヤ周方向のせん断力に対する中間陸部20のすべりをさらに効果的に抑制することができる。
次に、本発明の第2実施形態の航空機用タイヤについて説明する。なお、第1実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図4に示すように、本実施形態のタイヤ40では、ゴム24〜36をそれぞれトレッド展開平面視で平行四辺形のタイル状とし、センター陸部16の境界100SL、中間陸部20の境界102SL、及びショルダー陸部22の境界104SLをそれぞれタイヤ軸方向に対して傾斜(直線状に傾斜、曲線状に傾斜を含む)させている点が第1実施形態のタイヤ10と異なる。なお、図4では、ショルダー陸部22の境界104SLを省略している。
タイヤ40では、センター陸部16の境界100SLをタイヤ軸方向に対して傾斜させていることから、タイヤ回転中に剛性段差部位である境界100SL上で生じる振動を小さくすることができる。同様に、中間陸部20の境界102SL、及びショルダー陸部22の境界104SLをそれぞれタイヤ軸方向に対して傾斜させていることから、タイヤ回転中に剛性段差部位である境界102SL及び境界104SLで生じる振動を小さくすることができる。このように、タイヤ40では、境界100SL、境界102SL、及び境界104SLで生じる振動が小さくなるため、乗り心地性が向上する。
なお、第2実施形態の構成は、本発明の他の実施形態すべてに適用してもよい。
次に、本発明の第3実施形態の航空機用タイヤについて説明する。なお、第1実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図5に示すように、本実施形態のタイヤ50では、センター陸部16の境界100SLにタイヤ軸方向に沿ってジグザグ状となるジグザグ部101を形成している。また、境界110XLをタイヤ周方向に沿ってジグザグ状に延ばしている。すなわち、ゴム24とゴム26の形状を境界100SLにジグザグ部101が形成される形状とすると共に、ゴム24及びゴム26の形状とゴム28及びゴム30の形状を境界110XLがタイヤ周方向にジグザグ状に延びる形状としている点が第1実施形態のタイヤ10と異なる。
タイヤ50では、センター陸部16の境界100SLにジグザグ部101を形成していることから、センター陸部16にタイヤ軸方向の入力(横力)があっても、ジグザグ部101において、ゴム24とゴム26のジグザグ部101に対応する部位が互いに噛み合って支え合うため、境界100SLに亀裂などが生じるのを防止することができる。
次に、本発明の第4実施形態の航空機用タイヤについて説明する。なお、第1実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図6に示すように、本実施形態のタイヤ60では、トレッド12のセンター部が複数のゴムをタイヤ軸方向及びタイヤ周方向に並べて構成されている。具体的には、センター陸部16は、2つのゴム24間にゴム26を配置した第1ゴム列と、2つのゴム26間にゴム24を配置した第2ゴム列とをタイヤ周方向に交互に並べて構成されている。なお、図6では、ゴム24とゴム26のタイヤ軸方向の境界(二点鎖線)を符号106SLで示している。
タイヤ60では、ゴム24及びゴム26をタイヤ周方向に交互に並べると共に、タイヤ軸方向にも交互に並べてセンター陸部16を構成していることから、センター陸部16に作用するタイヤ周方向の入力及びタイヤ軸方向の入力(横力)に対してゴム24がタイヤ周方向及びタイヤ幅方向に弾性変形できるため、センター陸部16のタイヤ周方向の柔軟性をより向上(タイヤ周方向の剛性をより低下)させられる。これにより、トレッド12の偏摩耗の発生をさらに効果的に抑制することができる。
また、複数のゴムをタイヤ周方向に交互に並べると共にタイヤ軸方向には一つずつ並べて陸部を構成してもよい。
次に、本発明の第5実施形態の航空機用タイヤについて説明する。なお、第4実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図7、図8に示すように、本実施形態のタイヤ70では、センター陸部16にタイヤ周方向に延びるサイプ72がタイヤ周方向に間隔をあけて形成されている点が第4実施形態のタイヤ60と異なる。なお、ここでいう「サイプ」とは、トレッド12の接地領域において両溝壁が接触して閉じる溝幅の細溝を指している。
タイヤ70では、センター陸部16にサイプ72を形成していることから、排水性能が向上する。
また、タイヤ70では、トレッド展開平面視でサイプ72を境界106SLと重なるように形成していることから、境界106SLが路面と接触するのを防ぐことができる。特に、本実施形態では、境界106SLをサイプ72の溝底72Aの略中央(最深部)に位置させていることから、トレッド12の摩耗末期においても、路面と境界106SLとの接触を防ぐことができる。
また、本実施形態では、サイプ72をタイヤ周方向に沿って延ばす構成としていうが、本発明はこの構成に限定されず、サイプ72をタイヤ軸方向に沿って延ばす構成としてもよい。この場合には、トレッド展開平面視でサイプ72と境界100SLとを重ねることが好ましい。
次に、本発明の第6実施形態の航空機用タイヤについて説明する。なお、第1実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図9に示すように、本実施形態のタイヤ80では、トレッド12が多層構造とされている点が第1実施形態のタイヤ10と異なる。具体的には、トレッド12のタイヤ径方向最内側層がゴム24〜36と異なる硬度のゴム82で構成されている。なお、本実施形態のゴム82は、ゴム24〜36よりも硬度が低くされているが、本発明はこの構成に限定されない。
タイヤ80では、トレッド12のタイヤ径方向最内側層が他のゴム(ゴム24〜36)よりも硬度の低いゴム82で構成されていることから、路面上の突起物(例えば、小石など)を踏んだ際の入力(衝撃)をゴム82で緩衝することができる。また、着陸時の衝撃をゴム82で緩和することもできる。
なお、第6実施形態の構成は、他の実施形態すべてに適用してもよい。
なお、上記構成は、第1〜第6実施形態のいずれの形態にも適用することができる。
Claims (6)
- 硬度の異なる複数のゴムを用いて形成されたトレッドと、
前記トレッドに設けられたタイヤ周方向に延びる複数の周方向溝によって形成され、硬度の異なる複数の前記ゴムをタイヤ周方向に交互に隣接して並べて構成されたリブ状の陸部と、
を有する航空機用タイヤ。 - 前記陸部はタイヤ幅方向に複数隣接して形成され、互いに隣接する2つの前記陸部において、一方の前記陸部を構成する前記ゴムと他方の前記陸部を構成する前記ゴムとのタイヤ幅方向境界は、前記2つの陸部間に配置された前記周方向溝内に位置する、請求項1に記載の航空機用タイヤ。
- 前記陸部を構成する硬度の異なる前記ゴムのタイヤ周方向境界は、互いに隣接する2つの前記陸部でタイヤ周方向の位置がそれぞれ異なる、請求項2に記載の航空機用タイヤ。
- 前記陸部は、第1陸部と、該第1陸部よりもタイヤ幅方向の長さが狭い第2陸部とを備え、
前記第1陸部を構成する硬度の異なる前記ゴムの前記タイヤ周方向境界の配置間隔は、前記第2陸部を構成する硬度の異なる前記ゴムの前記タイヤ周方向境界の配置間隔よりも狭い、請求項3に記載の航空機用タイヤ。 - 前記第1陸部の前記タイヤ幅方向境界の配置間隔に前記第1陸部の前記タイヤ周方向境界の長さを乗じた値は、前記第2陸部の前記タイヤ幅方向境界の配置間隔に前記第2陸部の前記タイヤ周方向境界の長さを乗じた値と同じ、または小さい、請求項4に記載の航空機用タイヤ。
- 前記陸部を構成する硬度の異なる前記ゴムの前記タイヤ周方向境界の配置間隔が一定でない、請求項3〜5のいずれか1項に記載の航空機用タイヤ。
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