JP5580440B2 - タイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤに関する。
従来、タイヤには、ブロックやリブなどの陸部にサイプと呼ばれる切り込みが設けられている。サイプの深さを深くすることにより、陸部の剛性が低くなる。よって、せん断力が低下し、耐摩耗性が向上することが知られている。しかし、サイプを深くすると、サイプが開きやすくなり、パターンノイズの低減や石噛み防止性能の向上を図ることができない。
例えば、特許文献1には、トレッド幅方向中心に位置し、タイヤ周方向に延びるセンターブロック列に、トレッド幅方向に延びるサイプを設け、当該サイプをトレッド幅方向に不連続に設けたタイヤが開示されている。
米国特許公報第4325948号公報
しかし、上述のタイヤには、以下の問題点があった。
センターブロック列には、トレッド幅方向に延びるサイプのみが形成されている。よって、耐摩耗性を向上させるためには、サイプの本数を増やす必要がある。しかし、サイプの本数を増やすと、サイプが開きやすくなる。よて、パターンノイズの低減や石噛み防止性能の向上を十分に図ることができない。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、耐摩耗性を向上させつつ、パターンノイズを低減し、かつ石噛み防止性能を向上できるタイヤを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明に係るタイヤは、路面に接地する接地面を有するトレッド部と、前記トレッド部に形成され、タイヤ周方向に沿って連続する周方向溝と、前記周方向溝によって区画され、前記トレッド部のトレッド幅方向の中心に配置されたセンターブロック列と、前記センターブロック列に形成され、前記トレッド幅方向に延びるセンターサイプと、を有するタイヤであって、前記センターサイプには、前記センターサイプの底面が底上げされた底上げ部と、前記底上げ部に隣接し、底上げ部よりも底面がタイヤ径方向内側に位置する非底上げ部と、が設けられており、前記センターブロック列には、前記トレッド幅方向に延び、かつ前記タイヤ周方向に沿って深さが変化する傾斜溝が形成されており、前記傾斜溝の深さは、前記センターサイプの前記非底上げ部の深さよりも浅く、前記センターサイプと、前記傾斜溝は、前記タイヤ周方向において交互に配置されていることを要旨とする。
本発明の特徴によれば、耐摩耗性を向上させつつ、パターンノイズを低減し、かつ石噛み防止性能を向上できるタイヤを提供することができる。
本実施の形態に係るタイヤのトレッド部に設けられるパターンの展開図である。 図1に示すパターン展開図の一部拡大図である。 図2に示すA−A線の模式断面図である。 図2に示すB−B線の模式断面図である。
次に、本発明に係るタイヤの実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
本実施形態においては、(1)トレッド部の全体構成、(2)サイプ及び傾斜溝の詳細構成、(3)作用・効果、及び(4)その他の実施形態について説明する。
(1)トレッド部の全体構成
図1は、実施形態に係るタイヤ1を構成するトレッド部12に設けられるパターンの展開図である。図2は、図1に示すパターン展開図の一部拡大図である。図3は、図2に示すA−A線の模式断面図である。図4は、図2に示すB−B線の模式断面図である。
タイヤ1は、路面に接地する接地面12Aを有するトレッド部12を備える。トレッド部12には、タイヤ周方向に延びる複数の周方向溝が形成されている。複数の周方向溝は、接地面からタイヤ径方向R内側に向かって凹んでおり、タイヤ周方向Cに直線状又は曲がりつつ連続して形成されている。
トレッド部12は、周方向溝によってトレッド幅方向に区画され、トレッド幅方向に隣接する複数のブロック列と、を有する。ブロック列は、トレッド部のトレッド幅方向の中心に配置されたセンターブロック列21と、センターブロック列21よりもトレッド幅方向外側に配置された一対のセカンドブロック列22と、セカンドブロック列よりもトレッド幅方向外側に配置された一対のサードブロック列23と、サードブロック列23よりもトレッド幅方向外側に配置されたショルダーブロック列24と、を有する。
各ブロック列は、タイヤ周方向に沿って延びている。センターブロック列21は、後述するセンターサイプと傾斜溝とによって区画されたセンターブロック211を複数備えている。複数のセンターブロッは、タイヤ周方向に隣接して配置されている。セカンドブロック列は、複数のセカンドブロック221を有しており、サードブロック列は、複数のサードブロッ231を有している。
センターブロック列21は、タイヤ赤道線上に配置される。なお、タイヤ赤道線は、タイヤ1のトレッド幅方向Wの中心を通り、タイヤ周方向に延びる線である。センターブロック列21の幅方向の長さ(第1周方向溝11と第2周方向溝12との距離)は、タイヤ周方向において一定である。なお、本発明において、センターブロック列21の幅方向の長さがタイヤ周方向において一定であるとは、同一寸法のみならず、任意の箇所におけるセンターブロック列21の幅方向の長さに対する-5%から任意の箇所におけるセンターブロック列21の幅方向の長さに対する+5%までの範囲を含む概念である。
周方向溝は、センターブロック列21に隣接する第1周方向溝11及び第2周方向溝12と、セカンドブロック列22のトレッド幅方向外側にそれぞれ位置する第3周方向溝13及び第4周方向溝と、サードブロック列23のトレッド幅方向外側にそれぞれ位置する第5周方向溝15及び第6周方向溝16と、を有する。
第1周方向溝11の幅方向の長さは、タイヤ周方向において一定である。なお、本発明において、幅方向の長さがタイヤ周方向において一定であるとは、同一寸法のみならず、任意の箇所における第1周方向溝11の幅方向の長さに対する-5%から任意の箇所における第1周方向溝11の幅方向の長さに対する+5%までの範囲を含む概念である。
第2周方向溝12の幅方向の長さは、タイヤ周方向において一定である。なお、本発明において、幅方向の長さがタイヤ周方向において一定であるとは、同一寸法のみならず、任意の箇所における第2周方向溝12の幅方向の長さに対する-5%から任意の箇所における第2周方向溝12の幅方向の長さに対する+5%までの範囲を含む概念である。
第3周方向溝13及び第4周方向溝14は、タイヤ周方向に沿う直線状である。複数の周方向溝によってトレッド部12が区画され、タイヤ周方向Cに連続して延びるブロック列が形成される。
なお、周方向溝は、トレッド部12が接地してブロック列が圧縮変形しても溝が閉じることがないように溝幅が設定されている。また、これらの周方向溝は、ウェット路面走行時の排水性を確保するために、トレッド部に形成された複数の溝のうち、トレッド部12における最も溝深さが深くなるように設定されている。
なお、図中の符号12Eは、トレッド部12のトレッド幅方向における接地端を示している。この接地端12Eは、タイヤ1をJATMA YEAR BOOK(2009年度版、日本自動車タイヤ協会規格)に規定されている標準リムに装着し、JATMA YEAR BOOKでの適用サイズ・プライレーティングにおける最大負荷能力(内圧−負荷能力対応表の太字荷重)に対応する空気圧(最大空気圧)の100%の内圧を充填し、最大負荷能力を負荷したときのトレッド幅方向最外の接地部分を指す。使用地又は製造地において、TRA規格、ETRTO規格が適用される場合は各々の規格に従う。トレッド部12のトレッド幅方向の接地端12Eは、ショルダーブロック列24上に位置する。
(2)サイプ及び傾斜溝の詳細構成
センターブロック列21には、トレッド幅方向に延びるセンターサイプが形成されている。サイプは、接地面12Aからタイヤ径方向R内側に凹んでいる。サイプの溝幅は、2.0mm以下であって、周方向溝の幅と比較して十分小さい。
接地面12Aにおいてセンターサイプ31は、トレッド幅方向に対して傾斜して、トレッド幅方向に延びている。センターサイプには、センターサイプの底面が底上げされた底上げ部32と、底上げ部32に隣接し、底上げ部よりも底面がタイヤ径方向内側に位置する非底上げ部33と、が設けられている。
底上げ部は、センターサイプにおいて底面が接地面側に位置する部分であり、センターサイプの深さが比較的浅い部分である。非底上げ部は、センターサイプにおいて底面が非接地面側に位置する部分であり、センターサイプの深さが比較的深い部分である。
本実施の形態では、底上げ部は、センターサイプのトレッド幅方向中央と、センターサイプのトレッド幅方向両端部と、の3か所に設けられている。非底上げ部は、底上げ部の間に位置する。
非底上げ部に対する底上げ部の深さの比率は、0.2〜0.3である。本実施の形態では、非底上げ部に対する底上げ部の深さの比率は、0.24である。より詳細には、底上げ部の深さ(接地面から底面までの距離)D32は、1.6mmである。非底上げ部の深さ(接地面から底面までの距離)D33は、6.6mmである。
傾斜溝は、タイヤ周方向に沿って深さが変化する溝である。傾斜溝は、センターブロック列21に形成されている。傾斜溝は、トレッド幅方向に隣接する第1傾斜溝41と第2傾斜溝42とを有している。
第1傾斜溝41は、タイヤ周方向に沿う第一方向C1に向かうにつれて深くなるように形成されている。第2傾斜溝42は、タイヤ周方向に沿い、かつ第一方向C1と反対の第二方向C2につれて深くなるように形成されている。
(3)作用・効果
センターサイプに底上げ部を設けることにより、底上げ部を有しないサイプと比較して、サイプが開きにくくなり、パターンノイズを低減し、かつ石噛みを抑制することができる。また、サイプの面積を少なくせずに、パターンノイズの低減及び石噛み性能を向上できるため、サイプを設けることによって耐摩耗性を確保しつつ、パターンノイズの低減及び石噛み性能を向上できる。
更に、サイプが開きやすくなると、ブロックのエッジが接地面に当たる際にエッジがめくれ、ウェット性能や操縦安定性が低下することがある。しかし、底上げ部を有することにより、サイプが開き難くなり、ウェット性能や操縦安定性も向上できる。
また、傾斜溝は、底面が接地面に対して傾斜しており、サイプに比べて石噛みが発生し難い。また、傾斜溝を設けることにより、当該部分のブロック剛性が低下し、耐摩耗性が向上する。傾斜溝の深さは、サイプの非底上げ部よりも浅い。よって、サイプを設けるよりも、傾斜溝を設ける方がブロック剛性を確保し易い。
例えば、ウェット性能を確保するために、センターブロック列21にセンターサイプのみを設けると、センターブロックの剛性が低くなり過ぎ、耐摩耗性が悪化することがある。しかし、傾斜溝とセンターサイプをタイヤ周方向に交互に設けることにより、サイプのみを形成する構成と比較して、ブロック剛性を確保することができる。
また、第1傾斜溝の傾斜方向と第2傾斜溝の傾斜方向が異なっているため、横力が作用した際に、第1傾斜溝と第2傾斜溝とで支えあうことができ、変形を抑制できる。
(4)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。
例えば、本実施の形態におけるセンターサイプの底上げ部は、センターサイプのトレッド幅方向中央と、センターサイプのトレッド幅方向両端部と、に設けられているが、この構成に限られない。例えば、センターサイプの底上げ部は、最もサイプの開きによる影響が作用する位置、すなわち、センターサイプのトレッド幅方向中央のみに設けられていてもよい。
この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
1:タイヤ、12:トレッド部、12A:接地面、12E:接地端、21:センターブロック列、22:セカンドブロック列、23:サードブロック列、24:ショルダーブロック列、31:センターサイプ、32:底上げ部、33:非底上げ部、41:第1傾斜溝、42:第2傾斜溝、C:タイヤ周方向、D:振幅、R:タイヤ径方向、W:トレッド幅方向

Claims (6)

  1. 路面に接地する接地面を有するトレッド部と、
    前記トレッド部に形成され、タイヤ周方向に沿って連続する周方向溝と、
    前記周方向溝によって区画され、前記トレッド部のトレッド幅方向の中心に配置されたセンターブロック列と、
    前記センターブロック列に形成され、前記トレッド幅方向に延びるセンターサイプと、
    を有するタイヤであって、
    前記センターサイプには、前記センターサイプの底面が底上げされた底上げ部と、前記底上げ部に隣接し、底上げ部よりも底面がタイヤ径方向内側に位置する非底上げ部と、が設けられており、
    前記センターブロック列には、前記トレッド幅方向に延び、かつ前記タイヤ周方向に沿って深さが変化する傾斜溝が形成されており、
    前記傾斜溝の深さは、前記センターサイプの前記非底上げ部の深さよりも浅く、
    前記センターサイプと、前記傾斜溝は、前記タイヤ周方向において交互に配置されており、
    前記周方向溝によって区画され、前記センターブロック列よりもトレッド幅方向外側に配置されたセカンドブロック列を有しており、
    前記周方向溝は、前記センターブロック列と前記セカンドブロック列との間に配置された内側周方向溝と、前記セカンドブロック列の前記トレッド幅方向外側に配置された外側周方向溝とを有しており、
    前記内側周方向溝の深さは、前記外側周方向溝の深さよりも浅く、かつ、前記非底上げ部の深さよりも浅い、タイヤ。
  2. 前記底上げ部は、前記センターサイプの前記トレッド幅方向中央に設けられている、請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記底上げ部は、前記センターサイプの前記トレッド幅方向中央と、前記センターサイプの前記トレッド幅方向両端部と、に設けられている、請求項1に記載のタイヤ。
  4. 前記傾斜溝は、前記トレッド幅方向に隣接する第1傾斜溝と第2傾斜溝とを有しており、
    前記第1傾斜溝は、前記タイヤ周方向に沿う第一方向に向かうにつれて深くなるように形成されており、
    前記第2傾斜溝は、前記タイヤ周方向に沿い、かつ前記第一方向と反対の第二方向につれて深くなるように形成されている、請求項1から請求項3のいずれかに記載のタイヤ。
  5. 前記非底上げ部の深さに対する前記底上げ部の深さの比率は、0.2〜0.3である、請求項1から請求項4のいずれかに記載のタイヤ。
  6. 前記底上げ部の深さは、前記内側周方向溝の深さよりも浅い、請求項1から請求項5のいずれかに記載のタイヤ。
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