JP6204309B2 - 燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、固体高分子電解質膜の両側に、それぞれ電極が配設される電解質膜・電極構造体が、一対の金属セパレータに挟持される燃料電池に関する。
一般的に、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる固体高分子電解質膜を採用している。この燃料電池は、固体高分子電解質膜の一方側にアノード電極が、前記固体高分子電解質膜の他方側にカソード電極が、それぞれ配設された電解質膜・電極構造体(MEA)を備えている。電解質膜・電極構造体は、セパレータ(バイポーラ板)によって挟持されることにより、燃料電池が構成されている。この燃料電池は、所定の数だけ積層されることにより、例えば、車載用燃料電池スタックとして燃料電池電気自動車に搭載されている。
燃料電池では、セパレータ面内に、アノード電極に燃料ガスを流すための燃料ガス流路と、カソード電極に酸化剤ガスを流すための酸化剤ガス流路とが設けられている。一方、互いに隣接するセパレータ間には、冷却媒体を流すための冷却媒体流路がセパレータ面方向に沿って設けられている。
燃料電池としては、燃料ガスを流通させる燃料ガス連通孔と、酸化剤ガスを流通させる酸化剤ガス連通孔と、冷却媒体を流通させる冷却媒体連通孔とが、積層方向に貫通して設けられた内部マニホールド型燃料電池が採用されている。反応ガス連通孔である燃料ガス連通孔は、燃料ガス入口連通孔及び燃料ガス出口連通孔を有している。同様に、反応ガス連通孔である酸化剤ガス連通孔は、酸化剤ガス入口連通孔及び酸化剤ガス出口連通孔を有し、冷却媒体連通孔は、冷却媒体入口連通孔及び冷却媒体出口連通孔を有している。
この場合、反応ガス流路と反応ガス連通孔とは、反応ガスを円滑且つ均等に流すために、平行溝部等を有する複数本の流路溝を介して連通している。この種の流路溝を、簡単な構成で良好に構成するとともに、所望のシール機能を確保するために、例えば、特許文献1に開示されている燃料電池が知られている。
この燃料電池では、セパレータには、反応ガス連通孔と反応ガス流路とを連通する連結流路溝が設けられている。そして、電解質膜・電極構造体の少なくとも一方のガス拡散層には、連結流路溝に重ね合わされてセパレータに圧着することにより、該連結流路溝をシールするための重合部が設けられている。
特許第4634933号公報
ところで、連結流路溝は、比較的狭小な領域に複数本の流路溝を互いに近接して設けている。このため、特定の流路溝の排水性に偏りが発生し易く、反応ガスの流通性が低下するとともに、水滴による液繋がりが惹起されるという問題がある。
さらに、セパレータとして、金属セパレータが使用される場合には、金属プレートに凹凸形状をプレス加工することにより、流路溝が形成されている。その際、流路溝の裏面側では、隣接する他の金属セパレータとの間に、すなわち、冷却媒体流路側に、隙間が形成されている。従って、冷却媒体流路側には、流路溝の裏面に当接する裏受け部材、例えば、シール部材が設けられており、構成及び製造作業が煩雑化するという問題がある。
本発明は、この種の問題を解決するものであり、各流路溝の排水性を良好に確保することができ、液繋がりを可及的に抑制するとともに、前記流路溝の裏受け部材を削除することが可能な燃料電池を提供することを目的とする。
本発明に係る燃料電池は、固体高分子電解質膜の両側に、それぞれ電極が配設される電解質膜・電極構造体が、一対の金属セパレータに挟持されている。金属セパレータは、電極に対向する面に沿って反応ガスを流通させる反応ガス流路と、前記反応ガス流路に連通し、セパレータ面を貫通して前記反応ガスを流通させる反応ガス連通孔と、を有している。
少なくとも一方の金属セパレータには、反応ガス連通孔と反応ガス流路とを連通する複数本の流路溝がプレス成形されている。そして、各流路溝の底部には、凹部が設けられるとともに、各凹部を繋いで前記流路溝の延在方向に交差する方向に延在する連結流路溝が構成されている。
また、この燃料電池では、流路溝に沿って反応ガスが流れる方向と、前記反応ガスが前記流路溝から連結流路溝に流入して流れる方向とのなす角度は、直角以上であることが好ましい。
さらに、この燃料電池では、凹部の裏面は、一方の金属セパレータに隣接して冷却媒体流路を形成する他方の金属セパレータに当接することが好ましい。
本発明によれば、反応ガス連通孔と反応ガス流路とを連通する複数本の流路溝の底部には、凹部が設けられるとともに、各凹部を繋いで連結流路溝が構成されている。従って、各流路溝同士が連結流路溝に連通するため、特定の流路溝の排水性が偏ることを確実に抑制し、反応ガスの流通性が向上するとともに、液繋がりを可及的に防止することができる。
しかも、流路溝の底部には、隣接する他の金属セパレータ側に向かって突出する凹部が設けられている。従って、凹部の底面は、隣接する他の金属セパレータに接触乃至近接して配置され、流路溝の裏受け部材を不要にすることが可能になる。
本発明の実施形態に係る燃料電池を構成する発電セルの分解斜視説明図である。 前記発電セルの、図1中、II−II線断面図である。 前記発電セルを構成するカソード側セパレータの正面説明図である。 前記発電セルを構成するアノード側セパレータの正面説明図である。 前記発電セルの、図3中、V−V線断面図である。
図1及び図2に示すように、本発明の実施形態に係る燃料電池10は、複数の発電セル11が立位姿勢で水平方向(矢印A方向)に積層されて構成される。燃料電池10は、例えば、図示しない燃料電池電気自動車に搭載される車載用燃料電池スタックを構成する。
発電セル11は、電解質膜・電極構造体12と、前記電解質膜・電極構造体12を挟持するカソード側セパレータ14及びアノード側セパレータ16とを備える。
カソード側セパレータ14及びアノード側セパレータ16は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板、あるいはその金属表面に防食用の表面処理を施した薄板状金属セパレータにより構成される。金属セパレータは、平面が矩形状を有するとともに、波形状にプレス加工することにより、断面凹凸形状に成形される。
カソード側セパレータ14及びアノード側セパレータ16は、横長形状を有するとともに、短辺が重力方向(矢印C方向)に向かい且つ長辺が水平方向(矢印B方向)に向かうように配置される。なお、短辺が水平方向に向かい且つ長辺が重力方向に向かう配置でもよい。
発電セル11の長辺方向(矢印B方向)の一端縁部(一方の短辺側)には、矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス供給連通孔18a及び燃料ガス排出連通孔20bが設けられる。酸化剤ガス供給連通孔18aは、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給する。燃料ガス排出連通孔20bは、燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出する。酸化剤ガス供給連通孔18a及び燃料ガス排出連通孔20bは、略長方形状(又は略三角形状でもよい)を有するとともに、重力方向に対して傾斜する。
発電セル11の長辺方向の他端縁部(他方の短辺側)には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給する燃料ガス供給連通孔20aと、酸化剤ガスを排出する酸化剤ガス排出連通孔18bとが設けられる。酸化剤ガス排出連通孔18b及び燃料ガス供給連通孔20aは、略長方形状(又は略三角形状でもよい)を有するとともに、重力方向に対して傾斜する。酸化剤ガス供給連通孔18a、酸化剤ガス排出連通孔18b、燃料ガス供給連通孔20a及び燃料ガス排出連通孔20bは、発電セル11の四隅の各角部に対応して配置される。
発電セル11の短辺方向(矢印C方向)の両端縁部一方(酸化剤ガス供給連通孔18aに近接する一方)には、矢印A方向に互いに連通して、冷却媒体を供給するための冷却媒体供給連通孔22aが上下に設けられる。発電セル11の短辺方向の両端縁部他方(燃料ガス供給連通孔20aに近接する他方)には、冷却媒体を排出するための冷却媒体排出連通孔22bが上下に設けられる。
冷却媒体供給連通孔22aは、開口形状が後述する冷却媒体流路46の流れ方向(矢印B方向)に沿って長尺な略長方形状に設定される。冷却媒体排出連通孔22bは、開口形状が冷却媒体流路40の流れ方向(矢印B方向)に沿って長尺な略長方形状に設定される。
電解質膜・電極構造体12は、例えば、フッ素系又は炭化水素系の固体高分子電解質膜(陽イオン交換膜)24と、前記固体高分子電解質膜24を挟持するカソード電極26及びアノード電極28とを備える。カソード電極26及びアノード電極28は、同一の平面寸法を有し、且つ、固体高分子電解質膜24よりも小さな平面寸法に設定される。
なお、カソード電極26とアノード電極28とは、互いに異なる平面寸法を有する、所謂、段差型MEAを構成してもよい。その際、固体高分子電解質膜24は、平面寸法の大きな電極面と同等の平面寸法に設定してもよい。また、固体高分子電解質膜24の外形寸法を小さく、例えば、カソード電極26及びアノード電極28と同等の外形寸法に設定するとともに、外周部に樹脂枠部材を設けて構成してもよい。さらにまた、カソード電極26及びアノード電極28と同等の外形寸法に設定するとともに、これらの外周から外方に延在する固体高分子電解質膜24の外周部両面に、樹脂枠部材を設けてもよい。
カソード電極26及びアノード電極28は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層(図示せず)と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層の表面に一様に塗布されて形成される電極触媒層(図示せず)とを有する。電極触媒層は、固体高分子電解質膜24の両面に形成される。
図3に示すように、カソード側セパレータ14の電解質膜・電極構造体12に向かう面14aには、酸化剤ガス供給連通孔18aと酸化剤ガス排出連通孔18bとを連通する酸化剤ガス流路30が形成される。酸化剤ガス流路30は、水平方向(矢印B方向)に延在し、酸化剤ガスをセパレータ面に沿って長辺方向に流通させる複数本の直線状(又は波状)の酸化剤ガス流路溝30aを有する。
酸化剤ガス流路30の入口近傍及び出口近傍には、複数の突起状エンボス32aeを有する入口バッファ部32a及び複数の突起状エンボス32beを有する出口バッファ部32bが設けられる。入口バッファ部32a及び出口バッファ部32bは、酸化剤ガス流路30の幅方向(矢印C方向)全体に亘って設けられる。
入口バッファ部32aは、酸化剤ガス流路30の幅を底辺として酸化剤ガス供給連通孔18a及び燃料ガス排出連通孔20bの形状に沿って略三角形状を有する。出口バッファ部32bは、酸化剤ガス流路30の幅を底辺として酸化剤ガス排出連通孔18b及び燃料ガス供給連通孔20aの形状に沿って略三角形状を有する。
入口バッファ部32aと酸化剤ガス供給連通孔18aとは、複数本の入口流路溝34aにより連通する。出口バッファ部32bと酸化剤ガス排出連通孔18bとは、複数本の出口流路溝34bにより連通する。入口流路溝34aは、入口凸部35a間に形成される一方、出口流路溝34bは、出口凸部35b間に形成される。入口凸部35a及び出口凸部35bは、電解質膜・電極構造体12の外周部、例えば、固体高分子電解質膜24に当接する。
入口流路溝34aの底部には、凹部36arが設けられるとともに、各凹部36arを繋いで前記入口流路溝34aの延在方向(矢印T方向)に交差する方向(矢印S方向)に延在する入口連結流路溝36aが構成される。
出口流路溝34bの底部には、凹部36brが設けられるとともに、各凹部36brを繋いで前記出口流路溝34bの延在方向(矢印T方向)に交差する方向(矢印S方向)に延在する出口連結流路溝36bが構成される。出口流路溝34bに沿って酸化剤ガスが流れる方向F1と、前記酸化剤ガスが前記出口流路溝34bから出口連結流路溝36bに流入して流れる方向F2とのなす角度α1°は、直角以上である(α1°≧90°)。なお、入口流路溝34aと入口連結流路溝36aとは、上記の出口流路溝34bと出口連結流路溝36bとの関係と同様の関係を有していてもよい。
図2及び図5に示すように、燃料電池10では、凹部36brの裏面は、すなわち、出口連結流路溝36bの裏面36bbは、隣接するアノード側セパレータ16の面16b(後述する冷却媒体流路46側の面)に直接当接する。同様に、凹部36arの裏面は、すなわち、入口連結流路溝36aの裏面は、隣接するアノード側セパレータ16の面16bに直接当接する。
図4に示すように、アノード側セパレータ16の電解質膜・電極構造体12に向かう面16aには、燃料ガス供給連通孔20aと燃料ガス排出連通孔20bとを連通する燃料ガス流路38が形成される。燃料ガス流路38は、水平方向(矢印B方向)に延在し、燃料ガスをセパレータ面に沿って長辺方向に流通させる複数本の直線状(又は波状)の燃料ガス流路溝38aを有する。
燃料ガス流路38の入口近傍及び出口近傍には、複数の突起状エンボス40aeを有する入口バッファ部40a及び複数の突起状エンボス40beを有する出口バッファ部40bが設けられる。入口バッファ部40a及び出口バッファ部40bは、燃料ガス流路38の幅方向全体に亘って設けられる。
入口バッファ部40aは、燃料ガス流路38の幅を底辺として燃料ガス供給連通孔20a及び酸化剤ガス排出連通孔18bの形状に沿った略三角形状を有する。出口バッファ部40bは、燃料ガス流路38の幅を底辺として燃料ガス排出連通孔20b及び酸化剤ガス供給連通孔18aの形状に沿った略三角形状を有する。
入口バッファ部40aと燃料ガス供給連通孔20aとは、複数本の入口流路溝42aにより連通する。出口バッファ部40bと燃料ガス排出連通孔20bとは、複数本の出口流路溝42bにより連通する。入口流路溝42aは、入口凸部43a間に形成される一方、出口流路溝42bは、出口凸部43b間に形成される。入口凸部43a及び出口凸部43bは、電解質膜・電極構造体12の外周部、例えば、固体高分子電解質膜24に当接する。
入口流路溝42aの底部には、凹部44arが設けられるとともに、各凹部44arを繋いで前記入口流路溝42aの延在方向(矢印T方向)に交差する方向(矢印S方向)に延在する入口連結流路溝44aが構成される。凹部44arの裏面は、すなわち、入口連結流路溝44aの裏面は、隣接するカソード側セパレータ14の面14bに直接当接する。
出口流路溝42bの底部には、凹部44brが設けられるとともに、各凹部44brを繋いで前記出口流路溝42bの延在方向(矢印T方向)に交差する方向(矢印S方向)に延在する出口連結流路溝44bが構成される。出口流路溝42bに沿って燃料ガスが流れる方向F3と、前記燃料ガスが前記出口流路溝42bから出口連結流路溝44bに流入して流れる方向F4とのなす角度α2°は、直角以上である(α2°≧90°)。なお、入口流路溝42aと入口連結流路溝44aとは、上記の出口流路溝42bと出口連結流路溝44bとの関係と同様の関係を有していてもよい。
図1に示すように、互いに隣接するアノード側セパレータ16の面16bとカソード側セパレータ14の面14bとの間には、冷却媒体供給連通孔22aと冷却媒体排出連通孔22bとに連通する冷却媒体流路46が形成される。冷却媒体流路46は、電解質膜・電極構造体12の電極範囲に亘って冷却媒体を流通させる。
カソード側セパレータ14の面14a、14bには、このカソード側セパレータ14の外周端縁部を周回して第1シール部材48が一体成形される。アノード側セパレータ16の面16a、16bには、このアノード側セパレータ16の外周端縁部を周回して第2シール部材50が一体成形される。第1シール部材48及び第2シール部材50としては、例えば、EPDM、NBR、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンゴム、クロロプレーン又はアクリルゴム等のシール材、クッション材、あるいはパッキン材等の弾性を有するシール部材が用いられる。
図3に示すように、第1シール部材48は、両方の面14a、14bに沿って均一な厚さを有して延在する平坦部(ベースシール)48aを有する。平坦部48aから厚さ方向に突出して凸状シール部48bが膨出形成される。凸状シール部48bは、燃料ガス、酸化剤ガス及び冷却媒体を気密及び液密にシールする機能を有する。
図4に示すように、第2シール部材50は、両方の面16a、16bに沿って均一な厚さを有して延在する平坦部(ベースシール)50aを有する。平坦部50aから厚さ方向に突出して凸状シール部50bが膨出形成される。凸状シール部50bは、燃料ガス、酸化剤ガス及び冷却媒体を気密及び液密にシールする機能を有する。
このように構成される燃料電池10の動作について、以下に説明する。
先ず、図1に示すように、酸化剤ガス供給連通孔18aには、酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給されるとともに、燃料ガス供給連通孔20aには、水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。さらに、一対の冷却媒体供給連通孔22aには、純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。
このため、酸化剤ガスは、図1及び図3に示すように、酸化剤ガス供給連通孔18aから入口流路溝34a及び入口バッファ部32aを通ってカソード側セパレータ14の酸化剤ガス流路30に導入される。酸化剤ガスは、酸化剤ガス流路30に沿って矢印B方向(水平方向)に移動し、電解質膜・電極構造体12のカソード電極26に供給される。
一方、燃料ガスは、図4に示すように、燃料ガス供給連通孔20aから入口流路溝42a及び入口バッファ部40aを通ってアノード側セパレータ16の燃料ガス流路38に供給される。燃料ガスは、燃料ガス流路38に沿って水平方向(矢印B方向)に移動し、電解質膜・電極構造体12のアノード電極28に供給される(図1参照)。
従って、電解質膜・電極構造体12では、カソード電極26に供給される酸化剤ガスと、アノード電極28に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費されて発電が行われる。
次いで、電解質膜・電極構造体12のカソード電極26に供給されて消費された酸化剤ガスは、図1及び図3に示すように、出口バッファ部32b及び出口流路溝34bから酸化剤ガス排出連通孔18bに沿って矢印A方向に排出される。一方、電解質膜・電極構造体12のアノード電極28に供給されて消費された燃料ガスは、図4に示すように、出口バッファ部40b及び出口流路溝42bから燃料ガス排出連通孔20bに沿って矢印A方向に排出される。
また、一対の冷却媒体供給連通孔22aに供給された冷却媒体は、カソード側セパレータ14及びアノード側セパレータ16間の冷却媒体流路46に導入される。冷却媒体は、図1に示すように、一旦矢印C方向(重力方向)内方に沿って流動した後、矢印B方向(水平方向)に移動して電解質膜・電極構造体12を冷却する。この冷却媒体は、矢印C方向外方に移動した後、一対の冷却媒体排出連通孔22bに排出される。
この場合、本実施形態では、例えば、図3に示すように、酸化剤ガス排出連通孔18bと酸化剤ガス流路30とを連通する複数本の出口流路溝34bの底部には、凹部36brが設けられている。そして、各凹部36brを繋いで出口連結流路溝36bが構成されている。このため、各出口流路溝34bと出口連結流路溝36bとが連通しており、特定の出口流路溝34bの排水性が偏ることを確実に抑制することが可能になる。従って、酸化剤ガスの流通性が向上するとともに、液繋がりを可及的に防止することができるという効果が得られる。
しかも、図2及び図5に示すように、出口流路溝34bの底部には、隣接するアノード側セパレータ(他のセパレータ)16の面16bに向かって、本実施形態では、底面が前記面16bに直接当接する凹部36brが設けられている。これにより、凹部36brの底面は、隣接するアノード側セパレータ16の面16bに接触して配置され、出口流路溝34bと積層方向に重なり合うシール部材、所謂、裏受け部材を不要にすることが可能になる。なお、凹部36brの底面は、アノード側セパレータ16の面16bに略当接する位置に近接して配置されていればよい。
なお、酸化剤ガス供給連通孔18aと酸化剤ガス流路30とを連通する複数本の入口流路溝34aの底部には、凹部36arが設けられている。このため、入口流路溝34a側では、上記した出口流路溝34b側と同様の効果を得ることができる。
一方、燃料ガス流路38では、図4に示すように、燃料ガス供給連通孔20a側に入口流路溝42aが設けられるとともに、燃料ガス排出連通孔20b側に出口流路溝42bが設けられている。入口流路溝42a及び出口流路溝42bは、必要に応じて出口流路溝34bと同様に構成されており、前記出口流路溝34b側と同様の効果が得られる。
なお、本実施形態では、単一の電解質膜・電極構造体12、すなわち、単一のMEAと、カソード側セパレータ14及びアノード側セパレータ16、すなわち、2枚のセパレータとにより構成される発電セル11を用いている。
しかしながら、これに限定されるものではない。例えば、2つのMEAと3枚のセパレータとで構成される(セパレータ間にMEAを介装する)ユニットセルを備え、前記ユニットセル間に冷却媒体流路が形成される、所謂、間引き冷却型燃料電池に適用してもよい。
10…燃料電池 11…発電セル
12…電解質膜・電極構造体 14…カソード側セパレータ
16…アノード側セパレータ 18a…酸化剤ガス供給連通孔
18b…酸化剤ガス排出連通孔 20a…燃料ガス供給連通孔
20b…燃料ガス排出連通孔 22a…冷却媒体供給連通孔
22b…冷却媒体排出連通孔 24…固体高分子電解質膜
26…カソード電極 28…アノード電極
30…酸化剤ガス流路 32a…入口バッファ部
32b…出口バッファ部 34a、42a…入口流路溝
34b、42b…出口流路溝 36a、44a…入口連結流路溝
36ar、36br、44ar、44br…凹部
36b、44b…出口連結流路溝 38…燃料ガス流路
46…冷却媒体流路 48、50…シール部材

Claims (3)

  1. 固体高分子電解質膜の両側に、それぞれ電極が配設される電解質膜・電極構造体が、一対の金属セパレータに挟持され、前記金属セパレータは、前記電極に対向する面に沿って反応ガスを流通させる反応ガス流路と、前記反応ガス流路に連通し、セパレータ面を貫通して前記反応ガスを流通させる反応ガス連通孔と、を有する燃料電池であって、
    少なくとも一方の前記金属セパレータには、前記反応ガス連通孔と前記反応ガス流路とを連通する複数本の流路溝がプレス成形され、
    各流路溝の底部には、凹部が設けられるとともに、各凹部を繋いで前記流路溝の延在方向に交差する方向に延在する連結流路溝が構成されることを特徴とする燃料電池。
  2. 請求項1記載の燃料電池において、前記流路溝に沿って前記反応ガスが流れる方向と、前記反応ガスが前記流路溝から前記連結流路溝に流入して流れる方向とのなす角度は、直角以上であることを特徴とする燃料電池。
  3. 請求項1又は2記載の燃料電池において、前記凹部の裏面は、一方の前記金属セパレータに隣接して冷却媒体流路を形成する他方の前記金属セパレータに当接することを特徴とする燃料電池。
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