JP2017147101A - 燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】特にブリッジ部からの反応ガスの流配特性を良好に向上させることを可能にする。【解決手段】発電セル10は、樹脂枠付きMEA12を第1金属セパレータ14及び第2金属セパレータ16で挟持する。樹脂枠付きMEA12は、電解質膜・電極構造体12aの外周に樹脂枠部材50を固定する。樹脂枠部材50に設けられた酸化剤ガス用入口ブリッジ部52aには、酸化剤ガス流路24と酸化剤ガス入口連通孔18aとを連通させる酸化剤ガス入口連結流路56a1〜56a4が形成され、且つ、前記酸化剤ガス入口連結流路56a1〜56a4の底部には、傾斜面56arが設けられる。【選択図】図1
Description
本発明は、固体高分子電解質膜の外周を周回して樹脂枠部材が設けられる樹脂枠付きMEAと、前記樹脂枠付きMEAの両側に積層されるセパレータと、を備える燃料電池に関する。
一般的に、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる固体高分子電解質膜を採用している。燃料電池は、固体高分子電解質膜の一方の面にアノード電極が、前記固体高分子電解質膜の他方の面にカソード電極が、それぞれ配設された電解質膜・電極構造体(MEA)を備えている。アノード電極及びカソード電極は、それぞれ触媒層(電極触媒層)とガス拡散層(多孔質カーボン)とを有している。
電解質膜・電極構造体は、セパレータ(バイポーラ板)によって挟持されることにより、発電セル(単位燃料電池)が構成されている。発電セルは、所定の数だけ積層されることにより、例えば、車載用燃料電池スタックとして使用されている。
燃料電池では、積層されている各発電セルのアノード電極及びカソード電極に、それぞれ反応ガスである燃料ガス及び酸化剤ガスを供給するため、所謂、内部マニホールドを構成する場合が多い。
内部マニホールドは、発電セルの積層方向に貫通して設けられる反応ガス入口連通孔(燃料ガス入口連通孔、酸化剤ガス入口連通孔)及び反応ガス出口連通孔(燃料ガス出口連通孔、酸化剤ガス出口連通孔)を備えている。反応ガス入口連通孔は、電極面に沿って反応ガスを供給する反応ガス流路(燃料ガス流路、酸化剤ガス流路)の入口側に連通する一方、反応ガス出口連通孔は、前記反応ガス流路の出口側に連通している。
この場合、反応ガス入口連通孔及び反応ガス出口連通孔と反応ガス流路とは、反応ガスを円滑且つ均等に流すために、平行溝部等を有する連結流路を介して連結されている。その際、連結流路が閉塞されることがなく、良好にシールすることを可能にするために、例えば、特許文献1に開示されている燃料電池が知られている。
この燃料電池では、電解質膜・電極構造体は、外周部に樹脂枠部材が設けられた樹脂枠付きMEAを構成している。樹脂枠部材は、金属セパレータの外周に設けられた反応ガス連通孔よりも内側に配置される外形形状を有している。そして、樹脂枠部材には、発電領域外に位置して反応ガス流路に連結されるバッファ部と、前記バッファ部と前記反応ガス連通孔とを連結する連結流路(ブリッジ部)の一部とが設けられている。
このため、比較的剛性の高い樹脂枠部材が使用されるため、前記樹脂枠部材が変形することがなく、簡単且つ経済的な構成で、連結流路が閉塞されることを確実に阻止することができる、としている。
本発明は、この種の樹脂枠付きMEAを設ける燃料電池に関連してなされたものであり、特にブリッジ部からの反応ガスの流配特性を良好に向上させることが可能な燃料電池を提供することを目的とする。
本発明に係る燃料電池は、樹脂枠付きMEAと、前記樹脂枠付きMEAの両側に積層されるセパレータと、を備えている。樹脂枠付きMEAは、固体高分子電解質膜の両面に電極が設けられるとともに、前記固体高分子電解質膜の外周を周回して樹脂枠部材が設けられている。
セパレータには、電極面に沿って反応ガスを流通させる反応ガス流路と、前記反応ガスを樹脂枠付きMEAと前記セパレータとの積層方向に流通させる反応ガス連通孔と、が形成されている。一方、樹脂枠部材には、反応ガス流路と反応ガス連通孔とを連結させるブリッジ部が設けられている。そして、ブリッジ部は、反応ガス流路と反応ガス連通孔とを連通させる複数本の連結流路を有し、且つ、前記連結流路の底部には、傾斜面が設けられている。
また、この燃料電池では、傾斜面は、連結流路毎に傾斜角度が異なっていることが好ましい。
さらに、この燃料電池では、傾斜面は、反応ガス連通孔から反応ガス流路に向かって深さが連続的に浅くなっていることが好ましい。
本発明によれば、樹脂枠部材に設けられたブリッジ部の連結流路は、底部に傾斜面が設けられている。このため、反応ガスは、連結流路に円滑に流入することができ、ブリッジ部からの前記反応ガスの流配特性を良好に向上させることが可能になる。
図1及び図2に示すように、本発明の第1の実施形態に係る発電セル(燃料電池)10は、例えば、矢印A方向(水平方向)又は矢印C方向(重力方向)に複数積層されて燃料電池スタックを構成する。燃料電池スタックは、例えば、車載用燃料電池スタックとして燃料電池電気自動車(図示せず)に搭載される。
発電セル10は、樹脂枠付きMEA12を第1金属セパレータ14及び第2金属セパレータ16で挟持する。第1金属セパレータ14及び第2金属セパレータ16は、横長(又は縦長)の長方形状を有するとともに、樹脂枠付きMEA12の外形寸法よりも大きな外形寸法を有する(図1参照)。
第1金属セパレータ14及び第2金属セパレータ16は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板、あるいはその金属表面に防食用の表面処理を施した金属薄板を備える。金属薄板は、プレス成形されて断面が凹凸に構成される。なお、第1金属セパレータ14及び第2金属セパレータ16に代えて、例えば、カーボンセパレータを用いてもよい。
第1金属セパレータ14及び第2金属セパレータ16の長辺方向である矢印B方向の一端縁部には、それぞれ矢印A方向に個別に連通して、反応ガス連通孔である酸化剤ガス入口連通孔18a及び燃料ガス出口連通孔20bが設けられる。酸化剤ガス入口連通孔18aは、酸化剤ガス(反応ガス)、例えば、酸素含有ガスを供給する。燃料ガス出口連通孔20bは、燃料ガス(反応ガス)、例えば、水素含有ガスを排出する。
第1金属セパレータ14及び第2金属セパレータ16の矢印B方向の他端縁部には、それぞれ矢印A方向に個別に連通して、反応ガス連通孔である燃料ガス入口連通孔20a及び酸化剤ガス出口連通孔18bが、矢印C方向に配列して設けられる。燃料ガス入口連通孔20aは、燃料ガスを供給し、酸化剤ガス出口連通孔18bは、酸化剤ガスを排出する。
第1金属セパレータ14及び第2金属セパレータ16の短辺方向(矢印C方向)の両端縁部には、酸化剤ガス入口連通孔18a側に、それぞれ矢印A方向に個別に連通して、冷却媒体入口連通孔22aが上下に設けられる。第1金属セパレータ14及び第2金属セパレータ16の短辺方向の両端縁部には、燃料ガス入口連通孔20a側に、それぞれ矢印A方向に個別に連通して、冷却媒体出口連通孔22bが上下に設けられる。一対の冷却媒体入口連通孔22aは、冷却媒体を供給する一方、一対の冷却媒体出口連通孔22bは、前記冷却媒体を排出する。
図3に示すように、第1金属セパレータ14の樹脂枠付きMEA12に向かう面14aには、例えば、矢印B方向に延在する酸化剤ガス流路24が形成される。酸化剤ガス流路24は、互いに並列する複数本の波状流路溝(又は直線状流路溝)24aを有する。
酸化剤ガス流路24の入口側端部には、発電領域外に位置して入口バッファ部26aが連なる一方、前記酸化剤ガス流路24の出口側端部には、発電領域外に位置して出口バッファ部26bが連なる。
入口バッファ部26a及び出口バッファ部26bは、樹脂枠付きMEA12側に突出するそれぞれ複数個のエンボスを有するが、前記エンボスとともに、又は該エンボスに代えて、複数本のライン状凸部を有してもよい。入口バッファ部26a及び出口バッファ部26bのエンボスは、第1金属セパレータ14の面14b側(冷却媒体流路38側)のエンボスと交互に設けられる。
図1に示すように、第2金属セパレータ16の樹脂枠付きMEA12に向かう面16aには、例えば、矢印B方向に延在する燃料ガス流路32が設けられる。燃料ガス流路32は、互いに並列する複数本の波状流路溝(又は直線状流路溝)32aを有する。
燃料ガス流路32の入口側端部には、発電領域外に位置して入口バッファ部34aが連なる一方、前記燃料ガス流路32の出口側端部には、発電領域外に位置して出口バッファ部34bが連なる。
入口バッファ部34a及び出口バッファ部34bは、樹脂枠付きMEA12側に突出するそれぞれ複数個のエンボスを有するが、前記エンボスとともに、又は該エンボスに代えて、複数本のライン状凸部を有してもよい。入口バッファ部34a及び出口バッファ部34bのエンボスは、第2金属セパレータ16の面16b側(冷却媒体流路38側)のエンボスと交互に設けられる。
燃料ガス入口連通孔20aの近傍には、複数の供給孔部(貫通孔部)36aが形成されるとともに、燃料ガス出口連通孔20bの近傍には、複数の排出孔部(貫通孔部)36bが形成される。
互いに隣接する第1金属セパレータ14の面14bと第2金属セパレータ16の面16bとの間には、冷却媒体流路38が形成される。冷却媒体流路38は、冷却媒体入口連通孔22a及び冷却媒体出口連通孔22bに連通する。冷却媒体流路38は、第1金属セパレータ14に形成された酸化剤ガス流路24の裏面形状と、第2金属セパレータ16に形成された燃料ガス流路32の裏面形状とが重なり合って形成される。
図1及び図2に示すように、第1金属セパレータ14の面14a、14bには、この第1金属セパレータ14の外周端部を周回して、第1シール部材40が一体化される。第2金属セパレータ16の面16a、16bには、この第2金属セパレータ16の外周端部を周回して、第2シール部材42が一体化される。
第1シール部材40は、図2及び図3に示すように、面14a側に設けられ、隣接する第2金属セパレータ16の第2シール部材42の平坦面に当接する凸状シール40aを有する。
凸状シール40aは、図3に示すように、酸化剤ガス流路24、酸化剤ガス入口連通孔18a及び酸化剤ガス出口連通孔18bを囲繞する。酸化剤ガス入口連通孔18aの近傍には、凸状シール40aを切り欠いて複数本の入口通路43aが形成される一方、酸化剤ガス出口連通孔18bの近傍には、前記凸状シール40aを切り欠いて複数本の出口通路43bが形成される。
酸化剤ガス入口連通孔18aと酸化剤ガス流路24は、入口通路43aを介して連通する。酸化剤ガス出口連通孔18bと酸化剤ガス流路24は、出口通路43bを介して連通する。
図1及び図2に示すように、第2シール部材42は、面16a側に設けられる凸状シール42aを有する。凸状シール42aは、面16aにおいて、供給孔部36a及び排出孔部36bと燃料ガス流路32とを囲繞してこれらを連通させる。
第1シール部材40及び第2シール部材42には、例えば、EPDM、NBR、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンゴム、クロロプレーン又はアクリルゴム等のシール材、クッション材、あるいはパッキン材等の弾性を有するシール部材が用いられる。
樹脂枠付きMEA12は、図2、図4及び図5に示すように、段差MEAである電解質膜・電極構造体12aを備える。段差MEAとは、一方の電極の平面寸法と他方の電極の平面寸法とが異なる、すなわち、段差を有するMEAである。詳細は、後述する。
電解質膜・電極構造体12aは、例えば、水分を含んだパーフルオロスルホン酸の薄膜である固体高分子電解質膜(陽イオン交換膜)44を有する。固体高分子電解質膜44の一方の面には、カソード電極46が設けられるとともに、前記固体高分子電解質膜44の他方の面には、アノード電極48が設けられる。固体高分子電解質膜44は、フッ素系電解質の他、HC(炭化水素)系電解質を使用してもよい。
アノード電極48の平面寸法(外形寸法)は、固体高分子電解質膜44及びカソード電極46の平面寸法(外形寸法)よりも小さな寸法を有する。カソード電極46は、固体高分子電解質膜44と、同一の平面寸法に設定される。
なお、上記の構成に代えて、カソード電極46は、固体高分子電解質膜44及びアノード電極48よりも小さな平面寸法を有するように構成してもよい。また、電解質膜・電極構造体12aは、段差MEAに限定されるものではなく、アノード電極48とカソード電極46とは、同一の平面寸法に設定されてもよい。
カソード電極46及びアノード電極48は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層(図示せず)と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子を前記ガス拡散層の表面に一様に塗布して形成される電極触媒層(図示せず)とを有する。電極触媒層は、固体高分子電解質膜44の両面に形成される。
樹脂枠付きMEA12は、固体高分子電解質膜44の外周を周回して接合される樹脂枠部材50を備える。
樹脂枠部材50は、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PPA(ポリフタルアミド)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルサルフォン)、LCP(リキッドクリスタルポリマー)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、m−PPE(変性ポリフェニレンエーテル樹脂)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)又は変性ポリオレフィン等で構成される。
樹脂枠部材50は、図1、図2、図4及び図5に示すように、電解質膜・電極構造体12aの外周端部を覆う断面コ字状を有する。電解質膜・電極構造体12aは、段差MEAを構成するため、断面コ字状の樹脂枠部材50と強固に接合することができる。
図1に示すように、樹脂枠部材50の一方の対角位置には、矢印B方向外方に膨出する酸化剤ガス用入口ブリッジ部(突起部)52a及び酸化剤ガス用出口ブリッジ部(突起部)52bが形成される。樹脂枠部材50の他方の対角位置には、矢印B方向外方に膨出する燃料ガス用入口ブリッジ部(突起部)54a及び燃料ガス用出口ブリッジ部(突起部)54bが形成される。
酸化剤ガス用入口ブリッジ部52aは、樹脂枠部材50の一方の面50a側で、第1金属セパレータ14に当接する。酸化剤ガス用入口ブリッジ部52aには、酸化剤ガス入口連通孔18aと入口バッファ部26a(図3参照)とを連結する複数本の酸化剤ガス入口連結流路56a1、56a2、56a3及び56a4が形成される。
酸化剤ガス入口連結流路56a1〜56a4は、酸化剤ガス用入口ブリッジ部52aの面を、互いに上下方向に平行し且つ矢印B方向に向かってスリット状に切り欠いた複数本の溝部により構成される。なお、図1及び図4には、4本の酸化剤ガス入口連結流路56a1〜56a4が記載されているが、本数は、必要に応じて増減可能である。
図4に示すように、酸化剤ガス入口連結流路56a1〜56a4の底部には、それぞれ傾斜面56arが設けられる。各傾斜面56arは、酸化剤ガス入口連通孔18aから酸化剤ガス流路24に向かって深さが連続的に浅くなるテーパ形状を有する。傾斜面56arは、酸化剤ガス入口連結流路56a1〜56a4の全長に亘って設けられていてもよく、又は、前記酸化剤ガス入口連結流路56a1〜56a4の途上(図4参照)まで設けられていてもよい。
図1に示すように、酸化剤ガス用出口ブリッジ部52bは、樹脂枠部材50の一方の面50a側で、第1金属セパレータ14に当接する。酸化剤ガス用出口ブリッジ部52bには、酸化剤ガス出口連通孔18bと出口バッファ部26bとを連結する複数本の酸化剤ガス出口連結流路56b1、56b2、56b3及び56b4が形成される。
酸化剤ガス出口連結流路56b1〜56b4は、酸化剤ガス用出口ブリッジ部52bの面を、互いに上下方向に平行し且つ矢印B方向に向かってスリット状に切り欠いた複数本の溝部により構成される。なお、図1には、4本の酸化剤ガス出口連結流路56b1〜56b4が記載されているが、本数は、必要に応じて増減可能である。
酸化剤ガス出口連結流路56b1〜56b4の底部には、それぞれ傾斜面56brが設けられる。各傾斜面56brは、酸化剤ガス出口連通孔18bから酸化剤ガス流路24に向かって深さが連続的に浅くなるテーパ形状を有する。傾斜面56brは、酸化剤ガス出口連結流路56b1〜56b4の全長に亘って設けられていてもよく、又は、前記酸化剤ガス出口連結流路56b1〜56b4の途上まで設けられていてもよい。
図1に示すように、燃料ガス用入口ブリッジ部54aは、樹脂枠部材50の他方の面50b側で、第2金属セパレータ16に当接する。図5及び図6に示すように、燃料ガス用入口ブリッジ部54aには、燃料ガス入口連通孔20aと入口バッファ部34aとを連結する複数本の燃料ガス入口連結流路58a1、58a2、58a3及び58a4が形成される。
燃料ガス入口連結流路58a1〜58a4は、燃料ガス用入口ブリッジ部54aの面を、互いに上下方向に平行し且つ矢印B方向に向かってスリット状に切り欠いた複数本の溝部により構成される。燃料ガス入口連結流路58a1〜58a4は、燃料ガス用入口ブリッジ部54aの外周端部から内方に離間した位置に設けられる。なお、図6には、4本の燃料ガス入口連結流路58a1〜58a4が記載されているが、本数は、必要に応じて増減可能である。
図5に示すように、燃料ガス入口連結流路58a1〜58a4の底部には、それぞれ傾斜面58arが設けられる。各傾斜面58arは、燃料ガス入口連通孔20aから燃料ガス流路32に向かって深さが連続的に浅くなるテーパ形状を有する。傾斜面58arは、燃料ガス入口連結流路58a1〜58a4の全長に亘って設けられていてもよく、又は、前記燃料ガス入口連結流路58a1〜58a4の途上(図5参照)まで設けられていてもよい。
図1に示すように、燃料ガス用出口ブリッジ部54bは、樹脂枠部材50の他方の面50b側で、第2金属セパレータ16に当接する。図6に示すように、燃料ガス用出口ブリッジ部54bには、燃料ガス出口連通孔20bと出口バッファ部34bとを連結する複数本の燃料ガス出口連結流路58b1、58b2、58b3及び58b4が形成される。
燃料ガス出口連結流路58b1〜58b4は、燃料ガス用出口ブリッジ部54bの面を、互いに上下方向に平行し且つ矢印B方向に向かってスリット状に切り欠いた複数本の溝部により構成される。燃料ガス出口連結流路58b1〜58b4は、燃料ガス用出口ブリッジ部54bの外周端部から内方に離間した位置に設けられる。なお、図6には、4本の燃料ガス出口連結流路58b1〜58b4が記載されているが、本数は、必要に応じて増減可能である。
燃料ガス出口連結流路58b1〜58b4の底部には、それぞれ傾斜面58brが設けられる。各傾斜面58brは、燃料ガス出口連通孔20bから燃料ガス流路32に向かって深さが連続的に浅くなるテーパ形状を有する。傾斜面58brは、燃料ガス出口連結流路58b1〜58b4の全長に亘って設けられていてもよく、又は、前記燃料ガス出口連結流路58b1〜58b4の途上まで設けられていてもよい。
図2に示すように、樹脂枠部材50は、一方の面50aに当接する第1金属セパレータ14と接着剤60aにより接合される。樹脂枠部材50は、他方の面50bに当接する第2金属セパレータ16と接着剤60bにより接合される。接着剤60a、60bとしては、例えば、液状シールやホットメルト剤が用いられる。なお、接着剤60a又は60bのいずれか一方のみを用いてもよい。
また、樹脂枠部材50は、上記の構成に限定されるものではなく、種々の形状を有する樹脂枠部材を使用することが可能であり、電解質膜・電極構造体12aの外周に接合して樹脂枠付きMEA12を構成することができる。
このように構成される発電セル10の動作について、以下に説明する。
まず、図1に示すように、酸化剤ガス入口連通孔18aには、酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給されるとともに、燃料ガス入口連通孔20aには、水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。さらに、上下一対の冷却媒体入口連通孔22aには、純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。
このため、酸化剤ガスは、図3及び図4に示すように、酸化剤ガス入口連通孔18aから第1金属セパレータ14の入口通路43aに供給される。入口通路43aの下流に隣接して、樹脂枠部材50の酸化剤ガス用入口ブリッジ部52aが配設されている。
従って、酸化剤ガスは、図4に示すように、酸化剤ガス用入口ブリッジ部52aの酸化剤ガス入口連結流路56a1〜56a4を流通した後、入口バッファ部26aから酸化剤ガス流路24に導入される。酸化剤ガスは、図1に示すように、酸化剤ガス流路24に沿って矢印B方向に移動して、電解質膜・電極構造体12aのカソード電極46に供給される。
一方、燃料ガスは、図1及び図5に示すように、燃料ガス入口連通孔20aから第2金属セパレータ16の面16b側に供給される。燃料ガスは、複数の供給孔部36aを通過して面16a側に供給される。面16aでは、供給孔部36aに重なって樹脂枠部材50の燃料ガス用入口ブリッジ部54aが当接するとともに、前記燃料ガス用入口ブリッジ部54aには、複数本の燃料ガス入口連結流路58a1〜58a4が形成されている。
これにより、燃料ガスは、図5に示すように、燃料ガス入口連結流路58a1〜58a4を流通して入口バッファ部34aから燃料ガス流路32に導入される。このため、燃料ガスは、燃料ガス流路32に沿って矢印B方向に移動して、電解質膜・電極構造体12aのアノード電極48に供給される。
これにより、電解質膜・電極構造体12aでは、カソード電極46に供給される酸化剤ガスと、アノード電極48に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費されて、発電が行われる。
次いで、カソード電極46に供給されて一部が消費された酸化剤ガスは、図1及び図3に示すように、第1金属セパレータ14の出口バッファ部26bから酸化剤ガス出口連結流路56b1〜56b4を流通する。さらに、酸化剤ガスは、酸化剤ガス出口連通孔18bに排出され、矢印A方向に流通される。
同様に、アノード電極48に供給されて一部が消費された燃料ガスは、図1及び図6に示すように、第2金属セパレータ16の出口バッファ部34bから燃料ガス出口連結流路58b1〜58b4を流通する。そして、燃料ガスは、排出孔部36bを通って燃料ガス出口連通孔20bに排出され、矢印A方向に流通される。
また、図1に示すように、上下一対の冷却媒体入口連通孔22aに供給された冷却媒体は、第1金属セパレータ14と第2金属セパレータ16との間の冷却媒体流路38に導入される。冷却媒体は、各冷却媒体入口連通孔22aから冷却媒体流路38に供給され、一旦矢印C方向内方に沿って流動した後、矢印B方向に移動して樹脂枠付きMEA12を冷却する。この冷却媒体は、矢印C方向外方に移動した後、上下一対の冷却媒体出口連通孔22bに排出される。
この場合、第1の実施形態では、図1に示すように、樹脂枠部材50の酸化剤ガス用入口ブリッジ部52aには、酸化剤ガス入口連結流路56a1、56a2、56a3及び56a4が形成されている。そして、図4に示すように、酸化剤ガス入口連結流路56a1〜56a4の底部には、それぞれ傾斜面56arが設けられている。
傾斜面56arは、酸化剤ガス入口連通孔18aから酸化剤ガス流路24に向かって深さが連続的に浅くなるテーパ形状を有している。このため、酸化剤ガス入口連通孔18aから供給される酸化剤ガスは、各傾斜面56arに沿って酸化剤ガス入口連結流路56a1〜56a4に流れが乱れることなく円滑且つ確実に流入することができる。従って、酸化剤ガス用入口ブリッジ部52aから入口バッファ部26aに対して、酸化剤ガスの流配特性を良好に向上させて圧損を低減させることが可能になるという効果が得られる。
さらに、樹脂枠部材50の酸化剤ガス用出口ブリッジ部52bには、酸化剤ガス出口連結流路56b1、56b2、56b3及び56b4が形成されている。そして、酸化剤ガス出口連結流路56b1〜56b4の底部には、それぞれ傾斜面56brが設けられている。これにより、酸化剤ガス出口連結流路56b1〜56b4から酸化剤ガス出口連通孔18bに酸化剤ガスを流れが乱れることなく円滑且つ確実に排出することができ、前記酸化剤ガスの流配特性を有効に向上させて圧損を低減させることが可能になる。
一方、図6に示すように、樹脂枠部材50の燃料ガス用入口ブリッジ部54aには、燃料ガス入口連結流路58a1、58a2、58a3及び58a4が形成されている。そして、図5に示すように、燃料ガス入口連結流路58a1〜58a4の底部には、それぞれ傾斜面58arが設けられている。
傾斜面58arは、燃料ガス入口連通孔20aから燃料ガス流路32に向かって深さが連続的に浅くなるテーパ形状を有している。このため、燃料ガス入口連通孔20aから供給される燃料ガスは、各傾斜面58arに沿って燃料ガス入口連結流路58a1〜58a4に流れが乱れることなく円滑且つ確実に流入することができる。従って、燃料ガス用入口ブリッジ部54aから入口バッファ部34aに対して、燃料ガスの流配特性を良好に向上させて圧損を低減させることが可能になるという効果が得られる。
さらに、樹脂枠部材50の燃料ガス用出口ブリッジ部54bには、燃料ガス出口連結流路58b1、58b2、58b3及び58b4が形成されている。そして、燃料ガス出口連結流路58b1〜58b4の底部には、それぞれ傾斜面58brが設けられている。これにより、燃料ガス出口連結流路58b1〜58b4から燃料ガス出口連通孔20bに燃料ガスを流れが乱れることなく円滑且つ確実に排出することができ、前記燃料ガスの流配特性を有効に向上させて圧損を低減させることが可能になる。
図7は、本発明の第2の実施形態に係る発電セル(燃料電池)70の酸化剤ガス用入口ブリッジ部52aにおける断面説明図であり、図8は、前記発電セル70の燃料ガス用入口ブリッジ部54aにおける断面説明図である。
なお、第1の実施形態に係る発電セル10と同一の構成要素には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
発電セル70は、樹脂枠付きMEA72を備え、前記樹脂枠付きMEA72は、電解質膜・電極構造体12aと樹脂枠部材74とを接合して構成される。図7に示すように、樹脂枠部材74の酸化剤ガス用入口ブリッジ部52aには、酸化剤ガス入口連結流路56a1、56a2、56a3及び56a4が形成される。そして、酸化剤ガス入口連結流路56a1、56a2、56a3及び56a4の底部には、それぞれ傾斜面56a1r、56a2r、56a3r及び56a4rが設けられる。
傾斜面56a1r、56a2r、56a3r及び56a4rは、矢印B方向に延在する基準線O1に対し、同一の起点P1からそれぞれ異なる傾斜角度α1゜、α2゜、α3゜及びα4゜だけ傾斜する。傾斜角度α1゜からα4゜に順次角度を大きくすることが好ましい。傾斜面56a1rは、中央寄りであり、傾斜面56a4rは、端部寄りである。なお、傾斜角度α1゜、α2゜、α3゜及びα4゜は、それぞれ酸化剤ガス入口連結流路56a1、56a2、56a3及び56a4における酸化剤ガスの流量や流配状態等を考慮して設定される。すなわち、図示する大小関係は、視認性から便宜的に設定したものであり、この大小関係に限定されるものではない。
図8に示すように、樹脂枠部材74の燃料ガス用入口ブリッジ部54aには、燃料ガス入口連結流路58a1、58a2、58a3及び58a4が形成される。そして、燃料ガス入口連結流路58a1、58a2、58a3及び58a4の底部には、それぞれ傾斜面58a1r、58a2r、58a3r及び58a4rが設けられる。
傾斜面58a1r、58a2r、58a3r及び58a4rは、矢印B方向に延在する基準線O2に対し、同一の起点P2からそれぞれ異なる傾斜角度α5゜、α6゜、α7゜及びα8゜だけ傾斜する。傾斜角度α5゜からα8゜に順次角度を大きくすることが好ましい。傾斜面58a1rは、中央寄りであり、傾斜面58a4rは、外側寄りである。なお、傾斜角度α5゜、α6゜、α7゜及びα8゜は、それぞれ燃料ガス入口連結流路58a1、58a2、58a3及び58a4における燃料ガスの流量や流配状態等を考慮して設定される。すなわち、図示する大小関係は、視認性から便宜的に設定したものであり、この大小関係に限定されるものではない。
一方、樹脂枠部材74の酸化剤ガス用出口ブリッジ部52bには、酸化剤ガス出口連結流路56b1〜56b4が形成されており、上記の酸化剤ガス入口連結流路56a1〜56a4と同様に構成される。また、樹脂枠部材74の燃料ガス用出口ブリッジ部54bには、燃料ガス出口連結流路58b1〜58b4が形成されており、上記の燃料ガス入口連結流路58a1〜58a4と同様に構成される。
このように構成される第2の実施形態では、図7に示すように、樹脂枠部材74の酸化剤ガス用入口ブリッジ部52aには、酸化剤ガス入口連結流路56a1〜56a4が形成されている。そして、酸化剤ガス入口連結流路56a1〜56a4の底部には、それぞれ異なる傾斜角度α1゜〜α4゜に設定された傾斜面56a1r〜56a4rが形成されている。
このため、酸化剤ガス入口連通孔18aから供給される酸化剤ガスは、各傾斜面56a1r〜56a4rに沿って酸化剤ガス入口連結流路56a1〜56a4に円滑且つ確実に流入することができる。従って、酸化剤ガス用入口ブリッジ部52aから入口バッファ部26aへの酸化剤ガスの流配特性を良好に向上させることが可能になるという効果が得られる。
さらに、図8に示すように、樹脂枠部材74の燃料ガス用入口ブリッジ部54aには、燃料ガス入口連結流路58a1〜58a4が形成されている。そして、燃料ガス入口連結流路58a1〜58a4の底部には、それぞれ異なる傾斜角度α5゜〜α8゜に設定された傾斜面58a1r〜58a4rが形成されている。
これにより、流配特性が向上し、燃料ガス入口連通孔20aから供給される燃料ガスは、各傾斜面58a1r〜58a4rに沿って燃料ガス入口連結流路58a1〜58a4に円滑且つ確実に流入することができる。このため、燃料ガス用入口ブリッジ部54aから入口バッファ部34aへの燃料ガスの流配特性を良好に向上させることが可能になるという効果が得られる。
なお、発電セル10、70は、1枚のMEAを一対のセパレータにより挟持して構成されているが、これに限定されるものではない。例えば、第1金属セパレータ、第1樹脂枠付きMEA、第2金属セパレータ、第2樹脂枠付きMEA及び第3セパレータの順に積層された発電ユニット(燃料電池)を有し、各発電ユニット間に冷却媒体流路が形成される、所謂、間引き冷却構造の燃料電池を採用してもよい。
10、70…発電セル 12、72…樹脂枠付きMEA
12a…電解質膜・電極構造体 14、16…金属セパレータ
18a…酸化剤ガス入口連通孔 18b…酸化剤ガス出口連通孔
20a…燃料ガス入口連通孔 20b…燃料ガス出口連通孔
22a…冷却媒体入口連通孔 22b…冷却媒体出口連通孔
24…酸化剤ガス流路 26a、34a…入口バッファ部
26b、34b…出口バッファ部 32…燃料ガス流路
38…冷却媒体流路 44…固体高分子電解質膜
46…カソード電極 48…アノード電極
50、74…樹脂枠部材 52a…酸化剤ガス用入口ブリッジ部
52b…酸化剤ガス用出口ブリッジ部 54a…燃料ガス用入口ブリッジ部
54b…燃料ガス用出口ブリッジ部
56a1〜56a4…酸化剤ガス入口連結流路
56ar、56a1r、56a2r、56a3r、56a4r、56br、58ar、58a1r、58a2r、58a3r、58a4r、58br…傾斜面
56b1〜56b4…酸化剤ガス出口連結流路
58a1〜58a4…燃料ガス入口連結流路
58b1〜58b4…燃料ガス出口連結流路
12a…電解質膜・電極構造体 14、16…金属セパレータ
18a…酸化剤ガス入口連通孔 18b…酸化剤ガス出口連通孔
20a…燃料ガス入口連通孔 20b…燃料ガス出口連通孔
22a…冷却媒体入口連通孔 22b…冷却媒体出口連通孔
24…酸化剤ガス流路 26a、34a…入口バッファ部
26b、34b…出口バッファ部 32…燃料ガス流路
38…冷却媒体流路 44…固体高分子電解質膜
46…カソード電極 48…アノード電極
50、74…樹脂枠部材 52a…酸化剤ガス用入口ブリッジ部
52b…酸化剤ガス用出口ブリッジ部 54a…燃料ガス用入口ブリッジ部
54b…燃料ガス用出口ブリッジ部
56a1〜56a4…酸化剤ガス入口連結流路
56ar、56a1r、56a2r、56a3r、56a4r、56br、58ar、58a1r、58a2r、58a3r、58a4r、58br…傾斜面
56b1〜56b4…酸化剤ガス出口連結流路
58a1〜58a4…燃料ガス入口連結流路
58b1〜58b4…燃料ガス出口連結流路
Claims (3)
- 固体高分子電解質膜の両面に電極が設けられるとともに、前記固体高分子電解質膜の外周を周回して樹脂枠部材が設けられる樹脂枠付きMEAと、
前記樹脂枠付きMEAの両側に積層されるセパレータと、
を備える燃料電池であって、
前記セパレータには、電極面に沿って反応ガスを流通させる反応ガス流路と、
前記反応ガスを前記樹脂枠付きMEAと前記セパレータとの積層方向に流通させる反応ガス連通孔と、
が形成される一方、
前記樹脂枠部材には、前記反応ガス流路と前記反応ガス連通孔とを連結させるブリッジ部が設けられるとともに、
前記ブリッジ部は、前記反応ガス流路と前記反応ガス連通孔とを連通させる複数本の連結流路を有し、且つ、前記連結流路の底部には、傾斜面が設けられていることを特徴とする燃料電池。 - 請求項1記載の燃料電池において、前記傾斜面は、前記連結流路毎に傾斜角度が異なっていることを特徴とする燃料電池。
- 請求項1又は2記載の燃料電池において、前記傾斜面は、前記反応ガス連通孔から前記反応ガス流路に向かって深さが連続的に浅くなっていることを特徴とする燃料電池。
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