JP5872995B2 - 燃料電池スタック - Google Patents

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Description

本発明は、電解質膜の両側に一対の電極が設けられる電解質膜・電極構造体とセパレータとが積層される燃料電池を有し、複数の前記燃料電池が積層される燃料電池スタックに関する。
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる電解質膜の両側に、それぞれアノード電極及びカソード電極を配設した電解質膜・電極構造体(MEA)を、一対のセパレータによって挟持した単位セルを備えている。この種の燃料電池は、通常、所定の数の単位セルを積層することにより、車載用燃料電池スタックとして使用されている。
上記の燃料電池では、一方のセパレータの面内に、アノード電極に対向して燃料ガスを流すための燃料ガス流路が設けられるとともに、他方のセパレータの面内に、カソード電極に対向して酸化剤ガスを流すための酸化剤ガス流路が設けられている。さらに、各燃料電池を構成し、互いに隣接するセパレータ間には、セパレータ面に沿って電極範囲内に冷却媒体を流すための冷却媒体流路が形成されている。
さらに、この種の燃料電池では、単位セルの積層方向に貫通して燃料ガスを流すための燃料ガス入口連通孔及び燃料ガス出口連通孔と、酸化剤ガスを流すための酸化剤ガス入口連通孔及び酸化剤ガス出口連通孔と、冷却媒体を流すための冷却媒体入口連通孔及び冷却媒体出口連通孔とを内部に備える、所謂、内部マニホールド型燃料電池を構成する場合が多い。
例えば、特許文献1に開示されている燃料電池スタックは、電解質の両側に一対の電極が設けられる電解質・電極構造体と平面が矩形状の金属セパレータとが積層されるとともに、前記金属セパレータの電極対向面には、前記電極に沿って燃料ガス又は酸化剤ガスである反応ガスを供給する波形状ガス流路が設けられる発電ユニットを備え、前記発電ユニットの間に前記波形状ガス流路の裏面形状である冷却媒体流路を形成して該発電ユニットが互いに積層されている。
そして、金属セパレータの互いに対向する一方の2辺には、積層方向に貫通し、反応ガスを流すための反応ガス入口連通孔及び反応ガス出口連通孔が設けられ、前記金属セパレータの互いに対向する他方の2辺には、前記積層方向に貫通し、少なくとも前記反応ガス入口連通孔又は前記反応ガス出口連通孔に近接するとともに、それぞれ各辺に振り分けられて冷却媒体を流すための一対の冷却媒体入口連通孔及び一対の冷却媒体出口連通孔が設けられている。
従って、一対の冷却媒体入口連通孔及び一対の冷却媒体出口連通孔が、それぞれ振り分けて設けられるため、冷却媒体流路全域に対して冷却媒体を均一且つ確実に供給することができる。
国際公開第2010/082589号パンフレット
ところで、上記の燃料電池では、実際上、冷却媒体入口連通孔と冷却媒体流路との間は、複数本の連結流路を介して連通するとともに、前記冷却媒体流路の入口側には、一対の冷却媒体入口連通孔間に位置してバッファ部が設けられている場合が多い。
このため、冷却媒体は、冷却媒体入口連通孔から連結流路を通って冷却媒体流路に、すなわち、発電部(電極部)に供給されるとともに、バッファ部にバイパスすることにより、前記発電部の中央部位まで供給されている。ところが、冷却媒体は、最短流路を流れようとするため、発電部の中央部位まで前記冷却媒体を十分に供給することができないおそれがある。
本発明は、この種の問題を解決するものであり、簡単な構成で、発電部全面にわたって冷却媒体を均等に供給することができ、温度の不均一による局所的な劣化や滞留水の発生を可及的に抑制することが可能な燃料電池スタックを提供することを目的とする。
本発明は、電解質膜の両側に一対の電極が設けられる電解質膜・電極構造体とセパレータとが積層される燃料電池を有し、複数の前記燃料電池が積層されるとともに、互いに隣接する前記セパレータ間には、セパレータ面に沿って冷却媒体を流通させる冷却媒体流路が形成され、前記冷却媒体流路の入口側には、前記冷却媒体流路を流路幅方向に挟んで一対の冷却媒体入口連通孔が設けられ、且つ、前記冷却媒体流路の出口側には、前記冷却媒体流路を前記流路幅方向に挟んで一対の冷却媒体出口連通孔が設けられる燃料電池スタックに関するものである。
この燃料電池スタックでは、少なくとも冷却媒体入口連通孔又は冷却媒体出口連通孔は、開口形状が冷却媒体流路の流れ方向に沿って長尺な長方形状に設定され、且つ、前記長方形状の長手方向の中間部位には、該長方形状を第1領域及び第2領域に分割するリブ部が設けられるとともに、前記冷却媒体流路の入口側には、一対の前記冷却媒体入口連通孔の間に位置してバッファ部が設けられる一方、前記冷却媒体流路の出口側には、一対の前記冷却媒体出口連通孔の間に位置してバッファ部が設けられ、前記第1領域は、前記第2領域よりも前記バッファ部に近接するとともに、前記第1領域の開口面積は、前記第2領域の開口面積よりも大きく設定されている。
さらに、この燃料電池スタックでは、冷却媒体入口連通孔は、第2領域に、バッファ部から離間するに従って開口断面積が小さくなる傾斜部を設けることが好ましい。
本発明によれば、少なくとも冷却媒体入口連通孔又は冷却媒体出口連通孔は、リブ部により第1領域と第2領域とに分割されている。このため、第1領域及び第2領域では、圧損が低い方、すなわち、断面積の大きい方に、より多くの冷却媒体が供給される。従って、リブ部を所望の位置に設定するだけで、冷却媒体流路全体に冷却媒体を均等に供給することができる。
これにより、簡単な構成で、発電部全面にわたって冷却媒体を均等に供給することができ、温度の不均一による局所的な劣化や滞留水の発生を可及的に抑制することが可能になる。
本発明の実施形態に係る燃料電池スタックを構成する燃料電池の要部分解斜視説明図である。 前記燃料電池の、図1中、II−II線断面説明図である。 前記燃料電池を構成するアノード側セパレータの一方の面の説明図である。 前記アノード側セパレータの他方の面の説明図である。 本願例と従来例とにおいて、冷却媒体流路に供給される冷却媒体の流量の比較説明図である。 前記燃料電池を構成する冷却媒体入口連通孔の要部説明図である。
図1及び図2に示すように、本発明の実施形態に係る燃料電池スタック10は、複数の燃料電池11が立位姿勢(電極面が鉛直方向に平行)にて矢印A方向に積層される。燃料電池11は、電解質膜・電極構造体12と、前記電解質膜・電極構造体12を挟持するカソード側セパレータ14及びアノード側セパレータ16とを備える。
カソード側セパレータ14及びアノード側セパレータ16は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板、あるいはその金属表面に防食用の表面処理を施した薄板状金属セパレータにより構成される。金属セパレータは、平面が矩形状を有するとともに、波形状にプレス加工することにより、断面凹凸形状に成形される。なお、カソード側セパレータ14及びアノード側セパレータ16は、金属セパレータに代えて、例えば、カーボンセパレータにより構成してもよい。
カソード側セパレータ14及びアノード側セパレータ16は、横長形状を有するとともに、短辺が重力方向(矢印C方向)に向かい且つ長辺が水平方向(矢印B方向)に向かう(水平方向の積層)ように構成される。なお、短辺が水平方向に向かい且つ長辺が重力方向に向かうように構成してもよく、また、セパレータ面が水平方向に向かう(鉛直方向の積層)ように構成してもよい。
燃料電池11の長辺方向(矢印B方向)の一端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス入口連通孔18aと、燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出するための燃料ガス出口連通孔20bとが設けられる。酸化剤ガス入口連通孔18a及び燃料ガス出口連通孔20bは、略三角形状を有するとともに、前記酸化剤ガス入口連通孔18aは、前記燃料ガス出口連通孔20bよりも大きな開口面積に設定される。
燃料電池11の長辺方向の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給するための燃料ガス入口連通孔20aと、酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス出口連通孔18bとが設けられる。酸化剤ガス出口連通孔18b及び燃料ガス入口連通孔20aは、略三角形状を有するとともに、前記酸化剤ガス出口連通孔18bは、前記燃料ガス入口連通孔20aよりも大きな開口面積に設定される。
燃料電池11の短辺方向(矢印C方向)の両端縁部一方には、矢印A方向に互いに連通して、冷却媒体を供給するための2つの冷却媒体入口連通孔22aが設けられる。燃料電池11の短辺方向の両端縁部他方には、冷却媒体を排出するための2つの冷却媒体出口連通孔22bが設けられる。冷却媒体入口連通孔22a及び冷却媒体出口連通孔22bの詳細な説明は、後述する。
電解質膜・電極構造体12は、例えば、フッ素系又は炭化水素系の固体高分子電解質膜24と、前記固体高分子電解質膜24を挟持するカソード電極26及びアノード電極28とを備える。
カソード電極26及びアノード電極28は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層(図示せず)と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層の表面に一様に塗布されて形成される電極触媒層(図示せず)とを有する。電極触媒層は、固体高分子電解質膜24の両面に形成される。
図1に示すように、カソード側セパレータ14の電解質膜・電極構造体12に向かう面14aには、酸化剤ガス入口連通孔18aと酸化剤ガス出口連通孔18bとを連通する酸化剤ガス流路30が形成される。酸化剤ガス流路30の入口近傍及び出口近傍には、それぞれ複数のエンボスを有する入口バッファ部32a及び出口バッファ部32bが設けられる。
入口バッファ部32aは、酸化剤ガス入口連通孔18a及び燃料ガス出口連通孔20bの形状に沿って略三角形状を有するとともに、頂点位置が高さ方向(矢印C方向)中央から下方に離間して設定される。出口バッファ部32bは、燃料ガス入口連通孔20a及び酸化剤ガス出口連通孔18bの形状に沿って略三角形状を有するとともに、頂点位置が高さ方向中央(矢印C方向)から上方に離間して設定される。
入口バッファ部32aと酸化剤ガス入口連通孔18aとは、複数本の入口連結流路33aにより連通する。出口バッファ部32bと酸化剤ガス出口連通孔18bとは、複数本の出口連結流路33bにより連通する。
図3に示すように、アノード側セパレータ16の電解質膜・電極構造体12に向かう面16aには、燃料ガス入口連通孔20aと燃料ガス出口連通孔20bとを連通する燃料ガス流路34が形成される。燃料ガス流路34の入口近傍及び出口近傍には、それぞれ複数のエンボスを有する入口バッファ部36a及び出口バッファ部36bが設けられる。
入口バッファ部36aは、燃料ガス入口連通孔20a及び酸化剤ガス出口連通孔18bの形状に沿って略三角形状を有するとともに、頂点位置が高さ方向中央(矢印C方向)から上方に離間して設定される。出口バッファ部36bは、酸化剤ガス入口連通孔18a及び燃料ガス出口連通孔20bの形状に沿って略三角形状を有するとともに、頂点位置が高さ方向中央(矢印C方向)から下方に離間して設定される。
入口バッファ部36aと燃料ガス入口連通孔20aとは、複数本の入口連結流路37aにより連通する。出口バッファ部36bと燃料ガス出口連通孔20bとは、複数本の出口連結流路37bにより連通する。
アノード側セパレータ16の面16bとカソード側セパレータ14の面14bとの間には、冷却媒体入口連通孔22a、22aと冷却媒体出口連通孔22b、22bとに連通する冷却媒体流路38が形成される(図1及び図4参照)。冷却媒体流路38は、電解質膜・電極構造体12の電極範囲に亘って冷却媒体を流通させるとともに、前記冷却媒体流路38の入口近傍及び出口近傍には、それぞれ入口バッファ部40a及び出口バッファ部40bが設けられる。
アノード側セパレータ16では、冷却媒体流路38は、燃料ガス流路34の裏面形状であり、且つ、入口バッファ部40a及び出口バッファ部40bは、出口バッファ部36b及び入口バッファ部36aの裏面形状として形成される。カソード側セパレータ14では、冷却媒体流路38は、酸化剤ガス流路30の裏面形状であり、且つ、入口バッファ部40a及び出口バッファ部40bは、入口バッファ部32a及び出口バッファ部32bの裏面形状として形成される。以下、アノード側セパレータ16を用いて説明する。
図1に示すように、入口バッファ部40aは、酸化剤ガス入口連通孔18a及び燃料ガス出口連通孔20bの形状に沿って略三角形状を有するとともに、頂点位置が高さ方向中央(矢印C方向)から下方に離間して設定される。出口バッファ部40bは、燃料ガス入口連通孔20a及び酸化剤ガス出口連通孔18bの形状に沿って略三角形状を有するとともに、頂点位置が高さ方向中央(矢印C方向)から上方に離間して設定される。
図4に示すように、冷却媒体入口連通孔22aは、開口形状が冷却媒体流路38の流れ方向(矢印B方向)に沿って長尺な長方形状に設定される。冷却媒体入口連通孔22aは、長方形状の長手方向の中間部位に、前記長方形状を第1領域22a1及び第2領域22a2に分割するリブ部22a(rib)が設けられる。
第1領域22a1は、第2領域22a2よりも入口バッファ部40aに近接するとともに、前記第1領域22a1の開口面積は、前記第2領域22a2の開口面積よりも大きく設定される。すなわち、第1領域22a1の圧損は、第2領域22a2の圧損よりも低く設定される。第2領域22a2には、入口バッファ部40aから離間するに従って開口断面積が小さくなる傾斜部22a2(slope)を設ける。
冷却媒体入口連通孔22aでは、第1領域22a1と入口バッファ部40a及び冷却媒体流路38とは、複数本の入口連結流路39a1により連通する。第2領域22a2と冷却媒体流路38とは、複数本の入口連結流路39a2により連通する。
冷却媒体出口連通孔22bは、開口形状が冷却媒体流路38の流れ方向(矢印B方向)に沿って長尺な長方形状に設定される。冷却媒体出口連通孔22bは、長方形状の長手方向の中間部位に、前記長方形状を第1領域22b1及び第2領域22b2に分割するリブ部22b(rib)が設けられる。
冷却媒体出口連通孔22bでは、第1領域22b1と出口バッファ部40b及び冷却媒体流路38とは、複数本の出口連結流路39b1により連通する。第2領域22b2と冷却媒体流路38とは、複数本の出口連結流路39b2により連通する。
図1に示すように、カソード側セパレータ14の面14a、14bには、このカソード側セパレータ14の外周端縁部を周回して第1シール部材42が一体成形される。アノード側セパレータ16の面16a、16bには、このアノード側セパレータ16の外周端縁部を周回して第2シール部材44が一体成形される。
第1シール部材42及び第2シール部材44としては、例えば、EPDM、NBR、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンゴム、クロロプレーン又はアクリルゴム等のシール材、クッション材、あるいはパッキン材等の弾性を有するシール部材が用いられる。
カソード側セパレータ14の面14aには、第1シール部材42を切り欠いて入口連結流路33a及び出口連結流路33bが形成される。図3に示すように、アノード側セパレータ16の面16aには、第2シール部材44を切り欠いて入口連結流路37a及び出口連結流路37bが形成される。図4に示すように、アノード側セパレータ16の面16bには、第2シール部材44を切り欠いて入口連結流路39a1、39a2及び出口連結流路39b1、39b2が形成される。
このように構成される燃料電池11の動作について、以下に説明する。
先ず、図1に示すように、酸化剤ガス入口連通孔18aには、酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給されるとともに、燃料ガス入口連通孔20aには、水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。さらに、一対の冷却媒体入口連通孔22aには、純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。
このため、酸化剤ガスは、酸化剤ガス入口連通孔18aからカソード側セパレータ14の酸化剤ガス流路30に導入される。酸化剤ガスは、酸化剤ガス流路30に沿って矢印B方向(水平方向)に移動し、電解質膜・電極構造体12のカソード電極26に供給される。
一方、燃料ガスは、燃料ガス入口連通孔20aからアノード側セパレータ16の燃料ガス流路34に供給される。燃料ガスは、図3に示すように、燃料ガス流路34に沿って水平方向(矢印B方向)に移動し、電解質膜・電極構造体12のアノード電極28に供給される(図1参照)。
従って、電解質膜・電極構造体12では、カソード電極26に供給される酸化剤ガスと、アノード電極28に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費されて発電が行われる。
次いで、電解質膜・電極構造体12のカソード電極26に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス出口連通孔18bに沿って矢印A方向に排出される。一方、電解質膜・電極構造体12のアノード電極28に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス出口連通孔20bに沿って矢印A方向に排出される。
また、一対の冷却媒体入口連通孔22aに供給された冷却媒体は、カソード側セパレータ14及びアノード側セパレータ16間の冷却媒体流路38に導入される。冷却媒体は、図1及び図4に示すように、一旦矢印C方向(重力方向)内方に沿って流動した後、矢印B方向(水平方向)に移動して電解質膜・電極構造体12を冷却する。この冷却媒体は、矢印C方向外方に移動した後、一対の冷却媒体出口連通孔22bに排出される。
この場合、本実施形態では、冷却媒体入口連通孔22aは、長手方向(矢印B方向)がリブ部22a(rib)により第1領域22a1と第2領域22a2とに分割されている。このため、第1領域22a1及び第2領域22a2では、圧損が低い方、すなわち、断面積の大きい方により多くの冷却媒体が供給されている。従って、リブ部22a(rib)を所望の位置に設定するだけで、冷却媒体流路38全体に冷却媒体を均等に供給することができる。
具体的には、第1領域22a1の開口面積は、第2領域22a2の開口面積よりも大きく、すなわち、前記第1領域22a1の圧損は、前記第2領域22a2の圧損よりも低く設定されている。
ここで、リブ部22a(rib)を設けない構造(従来例)と前記リブ部22a(rib)を設ける構造(本願例)とを用いて、冷却媒体流路38に供給される冷却媒体の分配状態を比較した。その結果、図5に示すように、従来例の構造では、冷却媒体入口連通孔22aから、直接、冷却媒体流路38に多量の冷却媒体が供給されてしまい、入口バッファ部40aにバイパスする冷却媒体が少量になっている。
このため、冷却媒体流路38の幅方向両端側(冷却媒体入口連通孔22aの近傍)に多量の冷却媒体が供給され、発電部の中央部位には、少量の冷却媒体が供給されるだけである。従って、冷却媒体流路38内に幅方向に大きな温度差が発生し、耐久性及び発電安定性が低下するという問題がある。
これに対して、本願例では、第1領域22a1の圧損は、第2領域22a2の圧損よりも低く設定されている。これにより、図6に示すように、第1領域22a1から供給される冷却媒体の流量は、第2領域22a2から供給される冷却媒体の流量よりも多量になる。
このため、入口連結流路39a1から入口バッファ部40aにバイパスする冷却媒体の流量が増量され、前記冷却媒体は、発電部の中央部位まで確実に供給される。従って、簡単な構成で、発電部全面にわたって冷却媒体を供給することができ、温度の不均一による局所的な劣化や滞留水の発生を可及的に抑制することが可能になるという効果が得られる。
さらに、第2領域22a2には、入口バッファ部40aから離間するに従って断面積が小さくなる傾斜部22a2(slope)が設けられている。これにより、第2領域22a2では、入口バッファ部40aに近接する側に前記入口バッファ部40aから離間する側よりも多量の冷却媒体を供給することができ、冷却媒体流路38の幅方向全体に亘って前記冷却媒体が均等に分配される。
なお、冷却媒体出口連通孔22bは、リブ部22b(rib)により第1領域22b1及び第2領域22b2に分割されている。このため、上記の冷却媒体入口連通孔22aと同様に構成することにより、同様の効果が得られる。また、必要に応じて、冷却媒体出口連通孔22bには、リブ部22b(rib)を採用しなくてもよく、また、前記冷却媒体出口連通孔22bにのみ前記リブ部22b(rib)を採用してもよい。
さらに、本実施形態では、単一の電解質膜・電極構造体12、すなわち、単一のMEAと、カソード側セパレータ14及びアノード側セパレータ16、すなわち、2枚のセパレータとにより構成される燃料電池11を用いているが、これに限定されるものではない。例えば、2つのMEAと3枚のセパレータとで構成される(セパレータ間にMEAを介装)ユニットセルを備え、前記ユニットセル間に構成される冷却媒体流路に適用してもよい。
10…燃料電池スタック 11…燃料電池
12…電解質膜・電極構造体 14…カソード側セパレータ
16…アノード側セパレータ 18a…酸化剤ガス入口連通孔
18b…酸化剤ガス出口連通孔 20a…燃料ガス入口連通孔
20b…燃料ガス出口連通孔 22a…冷却媒体入口連通孔
22a1、22a2、22b1、22b2…領域
22a(rib)、22b(rib)…リブ部 22a2(slope)…傾斜部
22b…冷却媒体出口連通孔 24…固体高分子電解質膜
26…カソード電極 28…アノード電極
30…酸化剤ガス流路
32a、36a、40a…入口バッファ部
32b、36b、40b…出口バッファ部
33a、37a、39a1、39a2…入口連結流路
33b、37b、39b1、39b2…出口連結流路
34…燃料ガス流路 38…冷却媒体流路

Claims (2)

  1. 電解質膜の両側に一対の電極が設けられる電解質膜・電極構造体とセパレータとが積層される燃料電池を有し、複数の前記燃料電池が積層されるとともに、互いに隣接する前記セパレータ間には、セパレータ面に沿って冷却媒体を流通させる冷却媒体流路が形成され、前記冷却媒体流路の入口側には、前記冷却媒体流路を流路幅方向に挟んで一対の冷却媒体入口連通孔が設けられ、且つ、前記冷却媒体流路の出口側には、前記冷却媒体流路を前記流路幅方向に挟んで一対の冷却媒体出口連通孔が設けられる燃料電池スタックであって、
    少なくとも前記冷却媒体入口連通孔又は前記冷却媒体出口連通孔は、開口形状が前記冷却媒体流路の流れ方向に沿って長尺な長方形状に設定され、且つ、前記長方形状の長手方向の中間部位には、該長方形状を第1領域及び第2領域に分割するリブ部が設けられるとともに、
    前記冷却媒体流路の入口側には、一対の前記冷却媒体入口連通孔の間に位置してバッファ部が設けられる一方、前記冷却媒体流路の出口側には、一対の前記冷却媒体出口連通孔の間に位置してバッファ部が設けられ、
    前記第1領域は、前記第2領域よりも前記バッファ部に近接するとともに、前記第1領域の開口面積は、前記第2領域の開口面積よりも大きく設定されることを特徴とする燃料電池スタック。
  2. 請求項記載の燃料電池スタックにおいて、前記冷却媒体入口連通孔は、前記第2領域に、前記バッファ部から離間するに従って開口断面積が小さくなる傾斜部を設けることを特徴とする燃料電池スタック。
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