JP6203809B2 - 炭素繊維断熱タイル及びその製造方法 - Google Patents
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Description
したがって、特許文献1の製造方法では、炭素繊維と空隙部とが均一に分散した状態で固定でき、軽量で断熱性の優れた炭素繊維入りセラミックスを得ることは、容易ではなかった。
また、炭素繊維は、その主成分が炭素であるので、可燃性を有する。例えば、炭素繊維にガスバーナを当てて直接加熱すると、炭素繊維の炭素が空気中の酸素によって酸化されて炭素繊維自体が減量する。したがって、炭素繊維が空気と触れ酸化しやすい高温環境下では、炭素繊維の保護対策も必要となる。
(1)短尺状の炭素繊維がセラミックスで連結された炭素繊維積層体を備えた炭素繊維断熱タイルであって、
前記セラミックスは、無方向に配置された前記炭素繊維の表面に粒状に凝集し、かつ、複数箇所に分散して形成されていること、
前記炭素繊維積層体の外周面には、耐熱コート層が被覆されていることを特徴とする。
また、炭素繊維積層体の外周面には、耐熱コート層が被覆されているので、炭素繊維断熱タイルを大気と触れ酸化しやすい高温環境下に設置しても、炭素繊維が耐熱コート層によって大気から遮断され、保護される。そのため、炭素繊維断熱タイルの耐燃性を高めることができる。
よって、本発明によれば、炭素繊維と空隙部とが均一に分散した状態で固定でき、軽量化と断熱性と耐燃性とを同時に高めた炭素繊維断熱タイルを提供することができる。
前記炭素繊維積層体の空隙率は、80〜90%であることを特徴とする。
なお、炭素繊維積層体の空隙率は、大きいほど熱伝導率が小さくなり、断熱効果が高くなる。しかし、空隙率が90%を超えると、炭素繊維同士の連結が弱くなって炭素繊維断熱タイルが変形したり、内部で炭素繊維同士の剥離が生じやすくなる。一方、空隙率が80%未満では、炭素繊維断熱タイルの剛性は高くなるものの、重量が重くなるとともに、熱伝導率が上昇し断熱効果が低下することになる。したがって、炭素繊維積層体の空隙率は、80〜90%であることが好ましい。
前記耐熱コート層は、アルミナを主成分とするコーティング材からなることを特徴とする。
粘土、鉱石粉末などのセラミックス原料と、前記炭素繊維と、凝集剤と、結着材とを加えた水溶液を混練する混練工程と、
前記混練工程にて混練された前記水溶液を水切り型枠に注ぎ込み、蓋をした上で加圧、圧縮して炭素繊維マットを形成する水切り工程と、
前記水切り工程にて形成した炭素繊維マットを乾燥させる乾燥工程と、
前記乾燥工程にて乾燥させた前記炭素繊維マットの外周面に耐熱コート剤を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程にて前記耐熱コート剤が塗布された前記炭素繊維マットを、当該炭素繊維マットに含まれる前記セラミックス原料が焼結される温度にて焼成する焼成工程とを備えたことを特徴とする。
よって、本他の発明によれば、炭素繊維と空隙部とが均一に分散した状態で固定でき、軽量化と断熱性と耐燃性とを同時に高めた炭素繊維断熱タイルの製造方法を提供することができる。
はじめに、本実施形態の炭素繊維断熱タイルの基本構造を説明する。次に、本実施形態の炭素繊維断熱タイルの製造工程について詳細に説明する。最後に、本実施形態の炭素繊維断熱タイルの火炎照射試験の結果を説明する。
まず、本実施形態に係る炭素繊維断熱タイルの基本構造について、図1、図2を用いて説明する。図1に、本実施形態に係る炭素繊維断熱タイルの部分断面付きの斜視図を示す。図2に、図1に示すA部の模式的断面図を示す。
次に、本実施形態の炭素繊維断熱タイルの製造工程について、図3〜図5を用いて詳細に説明する。図3に、図1に示す炭素繊維断熱タイルの製造手順を表す工程説明図を示す。なお、図3(a)は混練工程を示し、図3(b)は水切り工程を示し、図3(c)は乾燥工程を示し、図3(d)は塗布工程を示し、図3(e)は焼成工程を示す。図4に、図3(c)に示す乾燥工程で乾燥させた炭素繊維マットの顕微鏡写真図を示す。図5に、図3(e)に示す焼成工程で焼成した炭素繊維マットの顕微鏡写真図を示す。
以上の方法によって、炭素繊維1と空隙部3とが均一に分散した状態で固定でき、軽量化と断熱性と耐燃性とを同時に高めた炭素繊維断熱タイル10を製造することができる。
次に、本実施形態に係る炭素繊維断熱タイルの火炎照射試験の結果を、図6〜図8を用いて説明する。図6に、図1に示す炭素繊維断熱タイルの火炎照射試験を行っているときの、火炎照射面に対するサーモグラフィ撮影写真の模式図を示す。図7に、図1に示す炭素繊維断熱タイルの火炎照射試験を行っているときの、火炎照射面と反対側の裏面に対するサーモグラフィ撮影写真の模式図を示す。図8に、図6、図7に示す炭素繊維断熱タイルの火炎照射試験において、火炎照射面と裏面との各温度推移を表すグラフを示す。
以上の結果から、本炭素繊維断熱タイル10は、長時間の集中的な加熱に対しても、非常に安定した断熱効果を奏することが明らかになった。
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る炭素繊維断熱タイル10によれば、短尺状の炭素繊維1がセラミックス2で連結された炭素繊維積層体4を備えた炭素繊維断熱タイル10であって、セラミックス2は、無方向に配置された炭素繊維1の表面に粒状に凝集し、かつ、複数箇所に分散して形成されているので、短尺状の炭素繊維1が空隙部3を有しつつ積層され、積層された炭素繊維1の表面に形成された粒状のセラミックス2によって炭素繊維1が連続状に連結された炭素繊維積層体4を構成することができる。また、炭素繊維積層体4は、短尺状の炭素繊維1が粒状のセラミックス2によって連結されるので、炭素繊維1と空隙部3とが均一に分散された状態で固定できる。また、炭素繊維1は、その表面に形成された粒状のセラミックス2によって連続状に連結されているので、炭素繊維断熱タイル10の一箇所が集中的に加熱された場合においても、セラミックス2と炭素繊維1との熱膨張率の違いを炭素繊維1の弾性変形によって吸収でき、かつ、熱伝導率の高い炭素繊維1を介して熱を周辺の炭素繊維1により多く分散させることもできる。したがって、炭素繊維断熱タイル10の軽量化と断熱性とを同時に高めることができる。
また、炭素繊維積層体4の外周面には、耐熱コート層5が被覆されているので、炭素繊維断熱タイル10を大気と触れ酸化しやすい高温環境下に設置しても、炭素繊維1が耐熱コート層5によって大気から遮断され、保護される。そのため、炭素繊維断熱タイル10の耐燃性を高めることができる。
よって、本実施形態によれば、炭素繊維1と空隙部3とが均一に分散した状態で固定でき、軽量化と断熱性と耐燃性とを同時に高めた炭素繊維断熱タイル10を提供することができる。
よって、本他の実施形態によれば、炭素繊維1と空隙部3とが均一に分散した状態で固定でき、軽量化と断熱性と耐燃性とを同時に高めた炭素繊維断熱タイル10の製造方法を提供することができる。
2 セラミックス
3 空隙部
4 炭素繊維積層体
5 耐熱コート層
10 炭素繊維断熱タイル
63 水溶液
64 水切り型枠
65 蓋
66 炭素繊維マット
69 耐熱コート剤
S1 混練工程
S2 水切り工程
S3 乾燥工程
S4 塗布工程
S5 焼結工程
Claims (2)
- 短尺状の炭素繊維がセラミックスで連結された炭素繊維積層体を備えた炭素繊維断熱タイルであって、
前記炭素繊維は、長さ3〜30mmの短尺状に切断され、1本1本のフィラメントに開繊された綿状繊維であり、炭素繊維同士は、互いに綿状に絡み合っていること、
前記セラミックスは、外形寸法が0.03〜0.3mmの粒状体であり、無方向に配置された前記炭素繊維の表面に粒状に凝集し、かつ、複数箇所に分散して複数の前記炭素繊維を部分的に連結するように形成されていること、
前記炭素繊維が空隙部を有しつつ積層され、積層された前記炭素繊維の表面に形成された粒状の前記セラミックスによって前記炭素繊維が連続状に連結されていること、
前記炭素繊維積層体の空隙率は、80〜90%であること、
前記炭素繊維積層体の外周面には、膜厚が3〜10μmの耐熱コート層が被覆されていること、
前記耐熱コート層は、アルミナを主成分とし酸化ケイ素と炭化ケイ素とを含むコーティング材からなることを特徴とする炭素繊維断熱タイル。 - 請求項1に記載された炭素繊維断熱タイルの製造方法であって、
粘土、鉱石粉末などのセラミックス原料と、前記炭素繊維と、凝集剤と、結着材とを加えた水溶液を混練する混練工程と、
前記混練工程にて混練された前記水溶液を水切り型枠に注ぎ込み、蓋をした上で加圧、圧縮して炭素繊維マットを形成する水切り工程と、
前記水切り工程にて形成した炭素繊維マットを乾燥させる乾燥工程と、
前記乾燥工程にて乾燥させた前記炭素繊維マットの外周面に耐熱コート剤を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程にて前記耐熱コート剤が塗布された前記炭素繊維マットを、当該炭素繊維マットに含まれる前記セラミックス原料が焼結される温度にて焼成する焼成工程とを備えたことを特徴とする炭素繊維断熱タイルの製造方法。
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JP2015252978A JP6203809B2 (ja) | 2015-12-25 | 2015-12-25 | 炭素繊維断熱タイル及びその製造方法 |
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