JP6203796B2 - 防眩フィルムおよびそれを用いた表示装置 - Google Patents
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Description
防眩層表面に凹凸形状を形成させる方法としては、上記の透光性基体上に、微粒子を添加した防眩層形成用塗料を塗布した後、当該防眩層形成材料に紫外線を照射して防眩層を形成させるのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
また、防眩層に含有する微粒子の粒子径と表面凹凸形状(傾斜角)を最適化することにより、防眩性とコントラストを両立する方法も有る(例えば、特許文献2参照)。
また、複数の樹脂成分を使用することによって微粒子を含有させずに表面凹凸を形成し、当該樹脂成分の層分離特性を利用し紐状構造を形成させることにより防眩性とコントラストを両立する方法も有る(例えば、特許文献3参照)。
特許文献2のように、微粒子の粒子径および表面凹凸の傾斜角を最適化した場合についても、コントラストが不十分である問題があった。
特許文献3のように、複数の樹脂成分の相分離を利用し、表面に紐状凸部を形成する方法については、製造安定性に問題があった。
(2)前記防眩層の表面における平均傾斜角度が0.2°〜1.4°であることを特徴とする前記(1)に記載の防眩フィルム。
(3)前記防眩層を構成する共連続体構造は、水平方向の網目の寸法が10μm〜150μmであることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の防眩フィルム。
(4)前記防眩層が微粒子を含有してなることを特徴とする前記(1)〜前記(3)のいずれか1項に記載の防眩フィルム。
(5)前記微粒子が第一の相と第二の相の縁部に偏在してなることを特徴とする前記(4)に記載の防眩フィルム。
(6)前記(1)〜前記(5)のいずれか1項に記載の防眩フィルムを具備してなることを特徴とする表示装置。
本発明を構成する防眩層は第一の相と第二の相とを少なくとも有するものであればよいので、防眩層が第三の相や第四の相を有するものであってもよく、防眩層を構成する相の数は限定されるものではない。
「共連続体構造」とは、従来の防眩層と比較して、表面凹凸の凸部分の傾斜(後述する平均傾斜角)が小さくなだらかな構造をいう。従来、図1(c)に示すように、従来の防眩層15は透光性基体20上に、微粒子30、31の形状を利用して表面凹凸を形成させていた。すなわち、微粒子30、31上に存在する樹脂40は当該微粒子の形状に基づいて盛り上がり、微粒子30、31が存在しない部分においては樹脂40が盛り上がらないため、凸部分と凹部分が交互に形成されることから、防眩層15の表面凹凸は傾斜が大きいものであった。
これに対して、本発明の防眩層16は第二の相2が凸部分を形成するため、微粒子を含有させなくても防眩層16に表面凹凸を形成させることができる。したがって、図1(c)に示す従来の防眩層15に比べて、図1(d)に示すように防眩層16に傾斜が生じにくくなるものである。すなわち、本発明を構成する共連続体構造10、11は、従来の防眩層に比べ、凸部分が連続して形成されるものである。
本発明を構成する防眩層は、主な構造として共連続体構造を有するものであればよく、例えば部分的に共連続体構造が途切れた箇所があっても、一部に海島構造が存在していてもよい。なお、第二の相2を構成する成分が後述する無機成分である場合、防眩層の形成過程において無機成分同士が次第に凝集していくため、無機成分の凝集体が共連続体構造を形成する。
また、本発明で形成される共連続体構造にカーボン蒸着を行った後、電子顕微鏡により観察することにより、カーボン蒸着面における元素の分布状況を大まかに確認することができる。これは、カーボン蒸着面に複数の元素が存在するが、例えば、原子番号の大きいものは白色、原子番号の小さいものを黒色に表示するなど色分けして、元素の分布を色の濃淡で示すことができることによる。
さらにまた、本発明で形成される共連続体構造に対して、EDSによるマッピングを行うことにより、塗膜(防眩層)表面や塗膜(防眩層)の断面に存在する元素を確認することができる。このEDSによるマッピングは、特定の元素(例えば、炭素原子、酸素原子、ケイ素原子等)が多く分布しているところを色表示することができるものである。
上記の電子顕微鏡観察およびEDSによるマッピングを用いることにより、共連続体構造の凹凸構造や特定元素の分布を確認することができる。これによって、例えば、表面凹凸の凸部分において、ある特定元素が多く分布していること等を確認することができる。
図3は防眩層表面にカーボン蒸着したSEM写真である。反射電子検出器において表示される画像は、防眩層表面に含有している成分に起因する反射電子を画像として表している。
反射電子は、原子番号に依存するものであり、例えば原子番号が大きいものが白色、原子量が小さいものを黒色に表示するなど色分けして表示することができる。図3に示すように、防眩層中の各元素は表面水平方向に均一に存在するのではなく、原子番号が大きい元素の含有量が相対的に多い部分と含有量が相対的に少ない部分とからなっている。
図4は、防眩層表面におけるEDSによる無機成分(Si)のマッピング結果を示したものであり、含有しているSi成分の量を色の濃淡で示している。図4に示すように、Si成分についても、含有量が相対的に多い部分と含有量が相対的に少ない部分とからなっている。なお、図4においては具体的に例示するためにシリカ(Si)のマッピング結果を示しているが、他の無機成分元素や樹脂(有機物)成分のマッピング結果を示すことも可能である。図4に示すマッピング結果において、検出条件にもよるがシリカ等の無機成分が0.2質量%の濃度であれば検出することができる。すなわち、第一の相および第二の相の二つの相からなる防眩層において、第一の相は99.8質量%以上の樹脂成分と0.2質量%未満の樹脂成分と異なる成分(例えば、無機成分)とから構成され、第二の相は99.8質量%未満の樹脂成分と0.2質量%以上の樹脂成分と異なる成分(例えば、無機成分)とから構成されるものである。
樹脂成分の含有量が相対的に多い部分(図3の色が濃い部分)では、樹脂成分以外の成分の含有量が相対的に少なくっている(第一の相)。
一方、樹脂成分の含有量が相対的に少ない部分(図3の色の薄い部分)では、樹脂成分以外の成分の含有量が相対的に多くなっている(第二の相)。
すなわち、本発明に係る防眩層は、第一の相と第二の相が入り組んで存在するものであって、一方の成分が少なくなると他の成分が多くなるといった相補的な関係を有するものである。
なお、図3、4においては、防眩層の表面水平方向における各成分の含有量を示したものであるが、防眩層の垂直方向(厚さ方向)における各成分の含有量を示した場合においても、同様に相補的な関係を示す結果が得られる。
また、図3、4においては樹脂成分と無機成分を使用した防眩層を使用しているが、複数種の樹脂を使用した場合においても共連続体構造を確認することができる。すなわち、樹脂成分と当該樹脂成分と異なる他の樹脂成分とからなる防眩層を使用した場合においても、異なる元素比率の元素成分についてマッピングを行うことにより、第一の相と第二の相を区別することができる。
本発明の共連続体構造は、無機成分の凝集に伴う対流を利用して製造できる。詳しくは、樹脂成分と無機成分と溶媒とを含む溶液を透光性基体上に塗布し、溶媒の揮発に伴って対流を発生させる乾燥工程、及び乾燥した塗膜を硬化する硬化工程を経て製造できる。より具体的には、通常、前記溶液を透光性基体にコーティングし、塗布層から溶媒を蒸発させることにより行うことができる。
凝集と対流との併用における詳しいメカニズムは解明できていないが、次のように推定できる。
(1)対流と凝集とを併用することにより、まず、塗布後の塗布層に対流ドメインが発生する。
(2)次に、それぞれの対流ドメイン内で凝集が発生し、凝集の構造は時間とともに巨大化していくが、対流のドメイン壁で凝集の成長は止まる。
(3)その結果として、対流ドメインのサイズ、配列に応じた間隔に制御され、凝集構造に伴う共連続体構造が形成される。
表面凹凸は、表面凸部を形成している部分が共連続体構造を形成する。本発明における共連続体構造に伴う表面凹凸は、従来の微粒子を用いて作成した表面凹凸と比較し傾斜角が小さくなり、表面における光拡散が小さくなり高コントラスト性能を発現するのに有利となる。
以下、本発明を構成する層毎に、好ましく使用することができる材料を説明する。
本最良形態に係る透光性基体としては、透光性である限り特に限定されず、石英ガラスやソーダガラス等のガラスも使用可能であるが、PET、TAC、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、含ノルボルネン樹脂、ポリエーテルスルホン、セロファン、芳香族ポリアミド等の各種樹脂フィルムを好適に使用することができる。なお、PDP、LCDに用いる場合は、PETフィルム、TACフィルムおよび含ノルボルネン樹脂フィルムから選ばれる1種を使用することがより好ましい。
防眩層は樹脂成分および無機成分を含有し、当該樹脂成分を硬化させて形成されるものである。防眩層には無機微粒子や有機微粒子を任意成分として含有させてもよい。
防眩層を構成する樹脂成分としては、硬化後の皮膜として十分な強度を持ち、透明性のあるものを特に制限なく使用できる。前記樹脂成分としては熱硬化型樹脂、熱可塑型樹脂、電離放射線硬化型樹脂、二液混合型樹脂などがあげられるが、これらのなかでも、電子線や紫外線照射による硬化処理にて、簡易な加工操作にて効率よく硬化することができる電離放射線硬化型樹脂が好適である。
これら電離放射線硬化型樹脂の中で、官能基数が3個以上の多官能モノマーは、硬化速度が上がることや硬化物の硬度が向上させることができる。また、多官能ウレタンアクリレートを使用することにより、硬化物の硬度や柔軟性などを付与することができる。
上(好適には3個以上、より好適には4個以上)の(メタ)アクリロイルオキシ基を有す
るものを意味する。
光重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のラジカル重合開始剤、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物等のカチオン重合開始剤を単独または適宜組み合わせて使用することができる。
なお、電離放射線硬化型樹脂等の樹脂成分の固形分には、後述する無機成分以外の全固形分が含まれてなるものであって、電離放射線硬化型樹脂等の樹脂成分の固形分のみならず、その他の任意成分の固形分も含む。
本発明で用いられる無機成分としては、防眩層中に含有され、製膜時に凝集し共連続体構造を形成するものであればよい。無機成分としては、シリカゾル、ジルコニアゾルなどの金属酸化物ゾル、アエロジル、膨潤性粘土、層状有機粘土などがある。これらの無機成分の中でも、安定的に共連続体構造を形成できる点より、層状有機粘土が好ましい。層状有機粘土が安定的に共連続体構造を形成できる理由としては、層状有機粘土が樹脂成分(有機物成分)と相溶性が高く、凝集性をも有しているため、第一の相と第二の相が入り組んだ構造を形成しやすく、製膜時に共連続体構造を形成しやすくなることが挙げられる。
本発明において、層状有機粘土とは、膨潤性粘土の層間に有機オニウムイオンを導入したものをいう。層状有機粘土は、特定の溶媒に対して分散性が低く、防眩層形成用塗料として層状有機粘土および特定の性質を具備した溶媒を使用すると、当該溶媒の選択により、防眩層に微粒子を含有させることなく、共連続体構造を形成し表面凹凸を有する防眩層を形成する。
膨潤性粘土は、陽イオン交換能を有し、該膨潤性粘土の層間に水を取り込んで膨潤するものであればよく、天然物であっても合成物(置換体、誘導体を含む)であってもよい。また、天然物と合成物との混合物であってもよい。
膨潤性粘土としては、例えば、雲母、合成雲母、バーミキュライト、モンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ノントロナイト、マガディアイト、アイラライト、カネマイト、層状チタン酸、スメクタイト、合成スメクタイト等を挙げることができる。これらの膨潤性粘土は、1種を使用してもよいし、複数を混合して使用してもよい。
有機オニウムイオンは、膨潤性粘土の陽イオン交換性を利用して有機化することができるものであれば制限されない。
オニウムイオンとしては、例えば、ジメチルジステアリルアンモニウム塩やトリメチルステアリルアンモニウム塩などの第4級アンモニウム塩や、ベンジル基やポリオキシエチレン基を有するアンモニウム塩を用いたり、ホスホニウム塩やピリジニウム塩やイミダゾリウム塩からなるイオンを用いることができる。塩としては、例えば、Cl−、Br−、NO3 −、OH−、CH3COO−等の陰イオンとの塩を挙げることができる。塩としては、第4級アンモニウム塩を使用することが好ましい。
有機オニウムイオンの官能基は制限されないが、アルキル基、ベンジル基、ポリオキシプロピレン基またはフェニル基のいずれかを含む材料を使用すると、防眩性を発揮させやすくなるため好ましい。
上記の本発明の樹脂組成物に、第1の溶媒および第2の溶媒を加えることによって、本発明の防眩層形成用塗料とすることができる。本発明の防眩層形成用塗料は上記の第1の溶媒と第2の溶媒を含有してなるため、従来防眩層の表面凹凸形状を作成するために必須と考えられていた微粒子を添加せずとも、防眩層の表面凹凸形状を作成することができるものである。
第1の溶媒としては、例えば、いわゆる極性の小さい溶媒(非極性溶媒)を使用することができる。これは、層状有機粘土は有機化処理しているため、上記溶媒によって分散しやすくなるためである。層状有機粘土の種類によって使用できる第1の溶媒は異なるが、例えば、層状有機粘土として合成スメクタイトを使用した場合、第1の溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族溶剤を使用することができる。これらの第1の溶媒は一種で使用しても複数を混合して使用してもよい。
第2の溶媒としては、例えば、いわゆる極性溶媒を使用することができる。これは、層状有機粘土は有機化処理しているため、上記溶媒によって分散しにくくなるためである。層状有機粘土の種類によって使用できる第2の溶媒は異なるが、例えば、層状有機粘土として合成スメクタイトを使用した場合、第2の溶媒としては水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール等を使用することができる。これらの第2の溶媒は一種で使用しても複数を混合して使用してもよい。
樹脂組成物が30質量部未満では、乾燥ムラなどが生じ外観が悪くなるとともに、表面凹凸数が多くなり視認性が損なわれる問題がある。
樹脂組成物が70質量部超では、固形分の溶解性が損なわれやすくなるため、製膜できなくなる問題がある。
(微粒子)
共連続体の縁部に微粒子が偏在する理由としては、次のように考える。
微粒子は、塗布後の塗布層内で無機材料成分が対流ドメイン内で凝集構造を形成するのと同時に、この凝集構造の縁部に偏在し始める。乾燥工程により、塗液の流動性が無くなった時点で微粒子は固定化され、最終的に共連続体構造と共連続体構造の縁部に偏在することとなる。
微粒子の添加により、共連続体構造により形成される表面凹凸の形状を調整できる優位点がある。防眩層表面の形状を調整することによって、防眩層表面の耐擦傷性および表面硬度を向上させることができる。
粒径が0.3μmより小さい場合は防眩性が低下するため、また10μmより大きい場合は、ギラツキを発生すると共に、表面凹凸の程度が大きくなり過ぎて表面が白っぽくなってしまうため好ましくない。また、上記樹脂中に含まれる透光性の微粒子の割合は特に限定されないが、樹脂組成物100質量部に対し、0.1〜20質量部とするのが防眩機能、ギラツキ等の特性を満足する上で好ましく、防眩層表面の微細な凹凸形状とヘイズ値をコントロールし易い。ここで、「屈折率」は、JIS K−7142に従った測定値を指す。また、「平均粒径」は、電子顕微鏡で実測した100個の粒子の直径の平均値を指す。
本発明の防眩層は、帯電防止剤(導電剤)を含んでいてもよい。導電剤の添加により、光学積層体の表面における塵埃付着を有効に防止することができる。帯電防止剤(導電剤)の具体例としては、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜第3アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基等のアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系等の両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性化合物、スズおよびチタンのアルコキシドのような有機金属化合物およびそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられ、さらに上記に列記した化合物を高分子量化した化合物が挙げられる。また、第3級アミノ基、第4級アンモニウム基、または金属キレート部を有し、かつ、電離放射線により重合可能なモノマーまたはオリゴマー、或いは官能基を有するカップリング剤のような有機金属化合物等の重合性化合物もまた帯電防止剤として使用できる。
上記の構成成分を含む防眩層形成用塗料を、透光性基体上に塗布した後、熱、あるいは電離放射線(例えば電子線または紫外線照射)を照射して該防眩層形成用塗料を硬化させることにより防眩層を形成させ、本発明の防眩フィルムを得ることができる。
防眩層は透光性基体の片面に形成されていても両面に形成されていてもよい。
透光性基体上に防眩層形成用塗料を塗布する手法としては、通常の塗工方式や印刷方式が適用される。具体的には、エアドクターコーティング、バーコーティング、ブレードコーティング、ナイフコーティング、リバースコーティング、トランスファロールコーティング、グラビアロールコーティング、キスコーティング、キャストコーティング、スプレーコーティング、スロットオリフィスコーティング、カレンダーコーティング、ダムコーティング、ディップコーティング、ダイコーティング等のコーティングや、グラビア印刷等の凹版印刷、スクリーン印刷等の孔版印刷等の印刷等が使用できる。
10L のビーカーに水4L を入れ、3号水ガラス(SiO2 28%、Na2 O9%、モル比3.22)860g を溶解し、95%硫酸162g を撹拌しながら一度に加えてケイ酸塩溶液を得る。次に水1L にMgCl2 ・6H2 O一級試薬(純度98%)560g を溶解し、これを前記ケイ酸溶液に加えて均質混合溶液を調製した。これを2N −NaOH溶液3.6L 中に撹拌しながら5分間で滴下した。得られた反応沈澱物を、直ちに日本ガイシ(株)製のクロスフロー方式による濾過システム〔クロスフロー濾過器(セラミック膜フィルター:孔径2μm、チューブラータイプ、濾過面積400cm2)、加圧:2kg/cm2、濾布:テトロン1310〕で濾過及び充分に水洗した後、水200mlとLi(OH)・H2 O 14.5gとよりなる溶液を加えてスラリー状とした。これをオートクレーブに移し、41kg/cm2、250℃で3時間、水熱反応させた。冷却後反応物を取出し、80℃で乾燥し、粉砕して下記式の合成スメクタイトを得た。この合成スメクタイトを分析したところ、次の組成のものが得られた。Na0.4 Mg2.6 Li0.4 Si4 O10(OH)2また、メチレンブルー吸着法で測定した陽イオン交換容量が110ミリ当量/100g であった。
製造例1で合成した合成スメクタイト20g を水道水1000mlに分散させて懸濁液とした。該合成スメクタイトの陽イオン交換容量の1.00倍相当量の次式(II)の第四級アンモニウム塩(98%含有品)を溶解した水溶液500mlを、前記合成スメクタイト懸濁液に添加し、撹拌しながら室温で2時間反応させた。生成物を固液分離、洗浄して副生塩類を除去した後、乾燥して合成スメクタイト系層状有機粘土Aを得た。
500mlの反応フラスコ中、イソホロンジイソシアナート22.2g(0.1モル)のMIBK(メチルイソブチルケトン)100ml溶液に、エアーバブリングを行いながらペンタエリスリトールトリアクリレート59.6g(0.20モル)のMIBK50ml溶液を25℃で滴下した。滴下終了後、ジブチル錫ジラウレート0.3gを加え更に70℃で4時間加熱攪拌を行った。反応終了後、反応溶液を5%塩酸100mlで洗浄した。有機層を分取した後、40℃以下で溶媒を減圧留去することで無色透明粘調液体のウレタンアクリレート80.5gを得た。200ml反応フラスコに、調製したウレタンアクリレート40.8g(0.05モル)、パーフルオロヘプチルエチルメルカプタン64.2g(0.15モル)、MIBK60gを投入し均一とした。この混合溶液に25℃でトリエチルアミン1.0gを徐々に加えた。加え終わった後、さらに50℃で3時間撹拌した。反応終了後、50℃以下の条件でエバポレーターを用いて、トリエチルアミンを減圧留去し、さらに真空ポンプで乾燥することで、構造式1で示されるフッ素化アルキル基含有ウレタンアクリレートを含有し、アクリロイル基とパーフルオロヘプチルエチルメルカプタンとの付加反応の位置が前記構造式1とは異なる化合物を更に含む混合物からなる生成物B液を得た。
防眩層形成用塗料を表1記載の所定の混合液に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚さ3.5μmの防眩層を有する比較例1の防眩フィルムを得た。ここで、得られた積層体のレーザー顕微鏡写真結果を図5に、SEM結果を図6に示した。得られた防眩フィルムを構成する防眩層が、共連続体構造を形成せず完全に相分離している海島構造を形成していることが確認された。
レーザー顕微鏡写真
実施例、比較例で得られた積層体の塗布層表面の状態を、レーザー顕微鏡により観察した。観察は、塗布層表面に金蒸着したのち行った。以下に、レーザー顕微鏡による観察の条件を示す。
分析装置・・・・・・LEXT OLS3000(オリンパス社製)
前処理装置・・・・・Au(金)コーティング:10nm SC−701AT改(サンユー電子社製)
測定条件・・・・・・画像検出器:共焦点
解析項目・・・・・・画像解析:段差
実施例、比較例で得られた積層体の塗布層表面の状態、および含有元素の情報を、SEMにより観察した。観察は、塗布層表面に金またはカーボン蒸着したのち行った。以下に、SEM観察の条件を示す。
分析装置・・・・・・JSM−6460LV(日本電子社製)
前処理装置・・・・・C(カーボン)コーティング:45nm SC−701C(サンユー電子社製)
・・・・・・・・・・Au(金)コーティング:10nm SC−701AT改(サンユー電子社製)
SEM条件・・・・・加速電圧 :20KV
照射電流 :0.15nA
真空度 :高真空
画像検出器:反射電子検出器
試料傾斜 :0度
実施例、比較例で得られた積層体の含有元素の情報を、EDSにより観察した。観察は、塗布層表面にカーボン蒸着したのち行った。以下に、EDS観察の条件を示す。
分析装置・・・・・・JSM−6460LV(日本電子社製)
前処理装置・・・・・C(カーボン)コーティング:45nm SC−701C(サンユー電子社製)
EDS条件・・・・・加速電圧 :20KV
照射電流 :0.15nA
真空度 :高真空
画像検出器:反射電子検出器
MAP解像度:128×96ピクセル
画像解像度 :1024×768ピクセル
次に実施例および比較例の防眩フィルムについて、下記の項目について評価を行った。
JIS K7105に従い、ヘイズメーター(商品名:NDH2000、日本電色社製)を用いて測定した。
ヘイズ値は、JIS K7105に従い、ヘイズメーター(商品名:NDH2000、日本電色社製)を用いて測定した。
表面粗さRaは、JIS B0601−1994に従い、上記表面粗さ測定器を用いて測定した。
平均傾斜角度は、ASME95に従い、表面粗さ測定器(商品名:サーフコーダSE1700α、小坂研究所社製)を用いて平均傾斜を求め、次式に従って平均傾斜角度を算出した。
平均傾斜角度=tan−1(平均傾斜)
JIS K7105に従い、写像性測定器(商品名:ICM−1DP、スガ試験機社製)を用い、測定器を透過モードに設定し、光学くし幅0.5mmにて測定した。
防眩性は、画像鮮明性の値が0〜80のとき○、81〜100のとき×とした。
明室コントラストは、実施例及び比較例の防眩フィルム形成面と反対面に、無色透明な粘着層を介して液晶ディスプレイ(商品名:LC−37GX1W、シャープ社製)の画面表面に貼り合せ、液晶ディスプレイ画面の正面上方60°の方向から蛍光灯(商品名:HH4125GL、ナショナル社製)にて液晶ディスプレイ表面の照度が200ルクスとなるようにした後、液晶ディスプレイを白表示及び黒表示としたときの輝度を色彩輝度計(商品名:BM−5A、トプコン社製)にて測定し、得られた黒表示時の輝度(cd/m2)と白表示時の輝度(cd/m2)を以下の式にて算出した時の値が、800以下のとき×、801以上のとき○とした。
コントラスト=白表示の輝度/黒表示の輝度
暗室コントラストは、実施例及び比較例の防眩フィルム形成面と反対面に、無色透明な粘着層を介して液晶ディスプレイ(商品名:LC−37GX1W、シャープ社製)の画面表面に貼り合せ、暗室条件下で液晶ディスプレイを白表示及び黒表示としたときの輝度を色彩輝度計(商品名:BM−5A、トプコン社製)にて測定し、得られた黒表示時の輝度(cd/m2)と白表示時の輝度(cd/m2)を以下の式にて算出した時の値が、900〜1100のとき×、1101〜1300のとき△、1301〜1500のとき○とした。
コントラスト=白表示の輝度/黒表示の輝度
2 第二の相
10、11 共連続体構造
15、16 防眩層
20 透光性基体
30、31 微粒子
40 樹脂
Claims (4)
- 透光性基体上に、少なくとも樹脂成分および層状有機粘土を含有する防眩層が積層されてなる防眩フィルムであって、
該防眩層が少なくとも、複数の第一の相と複数の第二の相を有しており、
前記第一の相は、99.8質量%以上の樹脂成分、および、0.2質量%未満の層状有機粘土を含有し、
前記第二の相は、99.8質量%未満の樹脂成分、および、0.2質量%以上の層状有機粘土を含有し、
前記第一の相と第二の相とは入り組んで存在しており、
前記層状有機粘土は、膨潤性粘土の層間に有機オニウムイオンを導入したものであり、
樹脂成分中の固形成分の全質量に対する前記層状有機粘土の配合量が、0.1〜3質量%であり、
該防眩層の表面における平均傾斜角度が0.2°〜0.45°であり、
該防眩フィルムをJIS K7105に従い0.5mm光学くしを用いて測定した画像鮮明性が5.0〜80.0の範囲であり、
前記第一の相および第二の相は不定形であることを特徴とする防眩フィルム。 - 前記防眩層が微粒子を含有してなることを特徴とする請求項1に記載の防眩フィルム。
- 前記微粒子が第一の相と第二の相の縁部に偏在してなることを特徴とする請求項2に記載の防眩フィルム。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の防眩フィルムを具備してなることを特徴とする表示装置。
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