以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
図2には、一般的なディジタル保護リレーシステムと保護対象の一例である送電系統が示されている。送電系統は、例えば主変圧器TRmと、その一次側遮断器CB1と、その二次側遮断器CB2(CB21、CB22)と、主変圧器TRmから母線Bに至る主変圧器二次側回線L21、L22、母線Bに接続された送電線(回線L11、L12)などで主回路構成されている。なおこの送電系統の主回路構成は、保護対象を送電系統としたものであり、これはそのまま配電系統の主回路構成と置き換えて考えてもよい。以後の例では保護対象が送電系統である場合について説明するが、本発明が適用可能な保護対象は送配電線以外に、変圧器などの電気機器であってもよい。
送電系統の保護のために設置されるディジタル保護リレーRy(Ry11、Ry12)は、母線Bに接続された送電線(回線L11、L12)に流れる各回線電流I11、I12を変流器CT11、CT12からそれぞれ導入し、また母線電圧Vを母線に設置された電圧変成器PTから導入して、それぞれが担当する回線における事故を判定し、出力回路O11、O12を介して回線遮断器CB11、CB12に対して保護指令Trip11、Trip12を与える。
図2に示す一般的なディジタル保護リレーシステムと保護対象の一例である送電系統の構成事例によれば、ディジタル保護リレーRy11は回線L11を保護対象とする回線L11専用の保護継電装置であって、回線L11の通過電流I11と母線電圧Vから内部事故判定し、回線L11の遮断器CB11を開放操作する。また同様に、ディジタル保護リレーRy12は回線L12を保護対象とする回線L12専用の保護継電装置であって、回線L12の通過電流I12と母線電圧Vから内部事故判定し、回線L12の遮断器CB12を開放操作する。
なお図2のシステム構成において、ディジタル保護リレーRy11、Ry12は、それぞれ対応するアナログの電流、電圧を一定周期でサンプリング入力してディジタル値に変換して内部に取り込んでいる。その後、ディジタル保護リレーRy11、Ry12に実装される複数の演算処理基板において、予め定められた処理手順に従って一定周期ごとに保護リレー演算処理を行い、その結果に基づいて電力系統に設置される遮断器CB11、CB12に保護指令Trip11、Trip12を出力する。なお、保護対象の回線が複数存在する場合は、回線数分のディジタル保護リレーRy及びその周辺機器が設置されていることは言うまでもない。
また図2の一般的な保護リレーシステム構成において、ディジタル保護リレーRyは、上述のメインリレーとフェイルセーフリレーによる二重化構成を備え、かつ単一部品故障が発生した場合、遮断器CBへの保護指令出力Tripをロックする機能を備えている。このため、ディジタル保護リレーRyの単一部品故障が復旧するまでの期間は無保護期間となり、仮保護リレーやバックアップ用のディジタル保護リレーでの保護が必要となる。
なお無保護期間が生じてしまうという問題は、特許文献1に記載されたシステム構成を採用する場合にも同様である。図2の保護リレーシステム構成で、ディジタル保護リレーRy11、Ry12が、メインリレーの2重化構成であり一方に単一部品故障が発生した場合、故障が発生していない健全な他方のメインリレーのみで保護することになる。このケースでは、遮断器CBへの保護指令Tripが他方のメインリレーのみで成立し、出力できるため、保護を継続することが可能である。しかし、ディジタル保護リレーRyの単一部品故障を復旧させるには、ディジタル保護リレーRyの制御電源をオフにして機能停止する必要がある。このため、故障部位の確認と交換する期間はいわゆる無保護期間となり、ディジタル保護リレーRyで保護することができないため、やはり仮保護リレーやバックアップ用のディジタル保護リレーが必要となる。
この問題を改善するための本発明に係るディジタル保護リレーシステムと保護対象である送電系統の構成例を図1に示している。図1のシステム構成を図2の従来システム構成と比較すると、要するに図2の従来構成の考え方は保護対象(回線)ごとにディジタル保護リレーRyを個別配置したに対し、図1の本発明構成の考え方は複数のディジタル保護リレーRyが相互に複数の保護対象(回線)を保護するように構成されている。この考え方の相違についてさらに詳細に説明する。
図1の構成では、第1の保護対象である回線L11はディジタル保護リレーRy11とディジタル保護リレーRy12で保護され、第2の保護対象である回線L12もディジタル保護リレーRy11とディジタル保護リレーRy12で保護される。このため、ディジタル保護リレーRy11とディジタル保護リレーRy12には、回線L11に流れる電流I11と、回線L12に流れる電流I12が取り込まれている。母線電圧Vもディジタル保護リレーRy11とディジタル保護リレーRy12に取り込まれている。なお、これらの電流、電圧の取り込み処理は、先に説明したように一定周期でのサンプリングとディジタル値への変換処理により行われており、この点での処理の構成上の相違は存在しない。
また図1の構成では、保護指令出力回路Oは、ディジタル保護リレーRy11とディジタル保護リレーRy12の双方からの保護指令を取り込んで、最終的に回線L11、L12の保護指令出力Trip11、Trip12を決定している。
図3は、図1に示した電流、電圧を取り込んで処理するディジタル保護リレーRy11、Ry12と保護指令出力回路Oの内部構成例を示している。まずディジタル保護リレーRy11、Ry12の構成について説明すると、これは、2つのメインリレーによる二重化方式で構成され、かつメインリレーは回線L11用のものと回線L12用のもので構成されている。
具体的には、図3においてディジタル保護リレーRy11は保護継電要素として、回線L11保護用のメインリレーRy11m1と、回線L12保護用のメインリレーRy11m2で構成されている。またディジタル保護リレーRy11内には、回線L11保護用のメインリレーRy11m1と回線L12保護用のメインリレーRy11m2を構成する回路基板内における故障検知機能Ry11fを備えている。
同様にして図3においてディジタル保護リレーRy12は保護継電要素として、回線L11保護用のメインリレーRy12m1と、回線L12保護用のメインリレーRy12m2とで構成されている。またディジタル保護リレーRy12内には、回線L11保護用のメインリレーRy12m1と回線L12保護用のメインリレーRy12m2を構成する回路基板内における故障検知機能Ry12fを備えている。
これらの保護継電要素(Ry11m1、Ry11m2及びRy12m1、Ry12m2)からは、回線における事故判定結果としての動作出力が与えられる。また故障検知機能Ry11f、Ry12fからは各回路基板の故障検知信号が与えられている。図3では各保護継電要素及び故障検知機能から、それぞれ2つの動作出力信号が与えられているが、これらは基本的に同じ内容の信号である。なお本発明において、「事故」とは保護対象に発生した異常事象の事であり、「故障」とはディジタル装置内の回路基板に発生した異常事象の事であり、区別して使用されている。
図3では保護継電要素(Ry11m1、Ry11m2及びRy12m1、Ry12m2)からの動作出力信号について、動作出力信号を意味する「Trip」のあとに各保護継電要素の区別用に付加した番号形態を付与して示している。例えば保護継電要素として回線L11保護用のメインリレーRy11m1から得られる2つの動作出力信号は、Trip11m1のように表記されている。
また故障検知機能Ry11f、Ry12fからの故障検知信号について、故障検知信号を意味する「F」のあとに各故障検知機能Ry11f、Ry12fの区別用に付加した番号形態を付与して示している。例えば故障検知機能Ry11fから得られる2つの故障検知信号は、F11fのように表記されている。
これらの保護継電要素(Ry11m1、Ry11m2及びRy12m1、Ry12m2)からの動作出力信号及び故障検知機能Ry11f、Ry12fからの故障検知信号は、保護指令出力回路Oに集約されている。
なお本発明において、メインリレーとはその動作原理によらず、保護対象の区間内における事故の検知を行うものである。つまり保護区間内外の判定を行い、その内部領域に生じた事故の場合のみ動作出力信号を与えるものである。この点、フェイルセーフリレーは事故の発生を検知したのみであって、区間内外検知機能を備えていない点で区別される。
保護指令出力回路Oでは、4つの保護継電要素の動作出力信号及び2つの故障検知機能の故障検知信号を用いて、それぞれの保護対象に向けた保護指令出力Trip11、Trip12を決定している。保護指令出力Trip11、Trip12を定める論理条件は、それぞれ3種類であり、この考え方は基本的に同じものである。この論理条件は、直列接続された接点の組み合わせで定まる。
なお図3の図示から明らかなように、保護継電要素(Ry11m1、Ry11m2及びRy12m1、Ry12m2)からの動作出力信号は、保護指令出力回路O内では常開接点として使用され、故障検知機能Ry11f、Ry12fからの故障検知信号は、保護指令出力回路O内では常閉接点として使用されている。つまり前者の保護継電要素の常開接点は、保護対象の内部事故検出で閉成し、それ以外の事故なしの状態では開放している。後者の故障検知機能の常閉接点は回路基板内の故障なしの状態で開放し、それ以外の状態では閉成することになる。
なお後者の故障検知機能の常閉接点について、この接点は故障検知時に閉成するが、この閉成状態は故障発生した回路基板の交換作業完了まで継続される。例えば図3のディジタル保護リレーシステム(ディジタル保護リレーRy11、Ry12、保護指令出力回路O)は、配電盤内に収納されているが、故障検知機能Ry11fにより基盤故障が検知され、復旧処理のためにディジタル保護リレーRy11が配電盤から取り外されるといった状態において、故障検知機能Ry11fの接点は保護指令出力回路O内では閉成状態を維持するように構成されている。旧ディジタル保護リレーRy11が取り外され、代わりに新ディジタル保護リレーRy11が据え付けられて正常に動作開始した時点で初めて、故障検知機能Ry11fの接点が保護指令出力回路O内で開放状態に移行する。
図3の保護指令出力回路Oによれば、遮断器CB11の動作出力信号Trip11は、論理条件C11−1、C11−2、C11−3のいずれかの成立によって発生することになる。同様に遮断器CB12の動作出力信号Trip12は、論理条件C12−1、C12−2、C12−3のいずれかの成立によって発生することになる。遮断器CB11の動作出力信号Trip11の成立条件と、遮断器CB12の動作出力信号Trip12の成立条件は基本的に同じ考え方に基づいたものである。
まず遮断器CB11(回線L11)の保護指令出力Trip11を定める第1の論理条件C11−1は、ディジタル保護リレーRy11内の保護継電要素Ry11m1が回線L11の内部事故検知し、かつディジタル保護リレーRy12内の保護継電要素Ry12m1が回線L11の内部事故検知したことをもって成立する。これにより回線L11は、ディジタル保護リレーRy11とRy12の回路基板が正常である状態では2つの保護継電要素Ry11m1と保護継電要素Ry12m1による二重化回路により正しく事故判定されることになる。
回線L11の保護指令出力Trip11を定める第2の論理条件C11−2は、ディジタル保護リレーRy11内の保護継電要素Ry11m1が回線L11の内部事故検知し、かつディジタル保護リレーRy12内の故障検知機能Ry12fがディジタル保護リレーRy12の回路基板が異常であると検知したことをもって成立する。
また回線L11の保護指令出力Trip11を定める第3の論理条件C11−3は、ディジタル保護リレーRy12内の保護継電要素Ry12m1が回線L11の内部事故検知し、かつディジタル保護リレーRy11内の故障検知機能Ry11fがディジタル保護リレーRy11の回路基板が異常であると検知したことをもって成立する。
同様にして、遮断器CB12(回線L12)の保護指令出力Trip12を定める第1の論理条件C12−1は、ディジタル保護リレーRy11内の保護継電要素Ry11m2が回線L12の内部事故検知し、かつディジタル保護リレーRy12内の保護継電要素Ry12m2が回線L12の内部事故検知したことをもって成立する。これにより回線L12は、ディジタル保護リレーRy11とRy12の回路基板が正常である状態では2つの保護継電要素Ry11m2と保護継電要素Ry12m2による二重化回路により正しく事故判定されることになる。
回線L12の保護指令出力Trip12を定める第2の論理条件C12−2は、ディジタル保護リレーRy11内の保護継電要素Ry11m2が回線L11の内部事故検知し、かつディジタル保護リレーRy12内の故障検知機能Ry12fがディジタル保護リレーRy12の回路基板が異常であると検知したことをもって成立する。
また回線L12の保護指令出力Trip12を定める第3の論理条件C12−3は、ディジタル保護リレーRy12内の保護継電要素Ry12m2が回線L12の内部事故検知し、かつディジタル保護リレーRy11内の故障検知機能Ry11fがディジタル保護リレーRy11の回路基板が異常であると検知したことをもって成立する。
上記の論理構成を整理して示すと、これは同一保護対象の事故を検知する2つのメインリレーがともに動作して事故検知したときには双方出力の一致をもって保護を行い、一方のディジタル保護リレーの基板故障(単一部品故障)の場合には、正常な側のメインリレーの動作により遮断器を開放することにしたものである。
このため、たとえば一方のディジタル保護リレーが単一部品故障となり、保護対象回線に対して保護指令を出力できなくなっても、正常な他方のディジタル保護リレー内のメインリレーにより最終的に保護指令を出力できることになる。このことから、ディジタル保護リレーの制御電源をオフにして故障部位の交換を行う際も仮保護リレーの設置やあらかじめバックアップ用のディジタル保護リレーを設置する必要がない。また、従来の保護システムと同様にディジタル保護リレー2台で保護システムを構成するため、ディジタル保護リレーを追加する必要がない。
実施例1は、保護対象が送電線であったが実施例2では主変圧器2次側回線への適用例を示す。
図4において、L21は保護対象である主変圧器2次側の2重化した回線のうちの1つを示しており、回線L21をディジタル保護リレーRy21とディジタル保護リレーRy22で保護する構成とし、回線L21に設置された計器用変成器CT21の電流情報I21を、ディジタル保護リレーRy21とディジタル保護リレーRy22に取り込む。また回線L21の電圧情報V21をディジタル保護リレーRy21、Ry22に取り込む。
同様にして、L22は保護対象である主変圧器2次側の2重化した回線のうちの他の1つを示しており、回線L22をディジタル保護リレーRy21とディジタル保護リレーRy22で保護する構成とし、回線L22に設置された計器用変成器CT22の電流情報I22を、ディジタル保護リレーRy21とディジタル保護リレーRy22に取り込む。また回線L22の電圧情報V22をディジタル保護リレーRy21、Ry22に取り込む。
ディジタル保護リレーRy21、Ry22と保護指令出力回路Oの詳細を図5に示す。ディジタル保護リレーRy21は、回線L21を保護するためのメインリレーRy21m1と、回線L22を保護するためのメインリレーRy21m2と、ディジタル保護リレーRy21の単一部品故障を検出する故障検知機能Ry21fから構成されている。
このうちメインリレーRy21m1は、回線L21の電流情報I21と電圧情報V21を取込み、予め定められた処理手順に従って一定周期ごとに保護リレー演算処理を行い、その結果に基づいて保護指令Trip21m1を出力する。メインリレーRy21m2は、回線L22の電流情報I22と電圧情報V22を取込み、予め定められた処理手順に従って一定周期ごとに保護リレー演算処理を行い、その結果に基づいて保護指令Trip21m2を出力する。なお単一部品故障検出機能Ry21fは、ディジタル保護リレーRy21内部で発生した単一部品故障を検出し、故障指令F21fを出力する。
またディジタル保護リレーRy22も同様の考え方により構成されている。ディジタル保護リレーRy22は、回線L21を保護するためのメインリレーRy22m1と、回線L22を保護するためのメインリレーRy22m2と、ディジタル保護リレーRy22の単一部品故障を検出する故障検知機能Ry22fから構成されている。
このうちメインリレーRy22m1は、回線L21の電流情報I21と電圧情報V21を取込み、予め定められた処理手順に従って一定周期ごとに保護リレー演算処理を行い、その結果に基づいて保護指令Trip22m1を出力する。メインリレーRy22m2は、回線L22の電流情報I22と電圧情報V22を取込み、予め定められた処理手順に従って一定周期ごとに保護リレー演算処理を行い、その結果に基づいて保護指令Trip22m2を出力する。単一部品故障検出機能Ry22fは、ディジタル保護リレーRy22内部で発生した単一部品故障を検出し、故障指令F22fを出力する。
これらの保護継電要素(Ry21m1、Ry21m2及びRy22m1、Ry22m2)からの動作出力信号及び故障検知機能Ry21f、Ry22fからの故障検知信号は、保護指令出力回路Oに集約されている。
保護指令出力回路Oでは、4つの保護継電要素の動作出力信号及び2つの故障検知機能の故障検知信号を用いて、それぞれの保護対象に向けた保護指令出力Trip21、Trip22を決定している。保護指令出力Trip21、Trip22を定める論理条件は、それぞれ3種類であり、この考え方は基本的に同じものである。この論理条件は、直列接続された接点の組み合わせで定まる。
なお図5の図示から明らかなように、保護継電要素(Ry21m1、Ry21m2及びRy22m1、Ry22m2)からの動作出力信号は、保護指令出力回路O内では常開接点として使用され、故障検知機能Ry21f、Ry22fからの故障検知信号は、保護指令出力回路O内では常閉接点として使用されている。つまり前者の保護継電要素の常開接点は、保護対象の内部事故検出で閉成し、それ以外の事故なしの状態では開放している。後者の故障検知機能の常閉接点は回路基板内の故障なしの状態で開放し、それ以外の状態では閉成することになる。この動作は図3で説明したものと同じである。
図5の保護指令出力回路Oによれば、遮断器CB21の動作出力信号Trip21は、論理条件C21−1、C21−2、C21−3のいずれかの成立によって発生することになる。同様に遮断器CB22の動作出力信号Trip22は、論理条件C22−1、C22−2、C22−3のいずれかの成立によって発生することになる。遮断器CB21の動作出力信号Trip21の成立条件と、遮断器CB22の動作出力信号Trip22の成立条件は基本的に同じ考え方に基づいたものである。
まず遮断器CB21(回線L21)の保護指令出力Trip21を定める第1の論理条件C21−1は、ディジタル保護リレーRy21内の保護継電要素Ry21m1が回線L21の内部事故検知し、かつディジタル保護リレーRy22内の保護継電要素Ry22m1が回線L21の内部事故検知したことをもって成立する。これにより回線L21は、ディジタル保護リレーRy21とRy22の回路基板が正常である状態では2つの保護継電要素Ry21m1と保護継電要素Ry22m1による二重化回路により正しく事故判定されることになる。
回線L21の保護指令出力Trip21を定める第2の論理条件C21−2は、ディジタル保護リレーRy21内の保護継電要素Ry21m1が回線L21の内部事故検知し、かつディジタル保護リレーRy22内の故障検知機能Ry22fがディジタル保護リレーRy22の回路基板が異常であると検知したことをもって成立する。
また回線L21の保護指令出力Trip21を定める第3の論理条件C21−3は、ディジタル保護リレーRy22内の保護継電要素Ry22m1が回線L21の内部事故検知し、かつディジタル保護リレーRy21内の故障検知機能Ry21fがディジタル保護リレーRy21の回路基板が異常であると検知したことをもって成立する。
同様にして、遮断器CB22(回線L22)の保護指令出力Trip22を定める第1の論理条件C22−1は、ディジタル保護リレーRy21内の保護継電要素Ry21m2が回線L22の内部事故検知し、かつディジタル保護リレーRy22内の保護継電要素Ry22m2が回線L22の内部事故検知したことをもって成立する。これにより回線L22は、ディジタル保護リレーRy21とRy22の回路基板が正常である状態では2つの保護継電要素Ry21m2と保護継電要素Ry22m2による二重化回路により正しく事故判定されることになる。
回線L22の保護指令出力Trip22を定める第2の論理条件C22−2は、ディジタル保護リレーRy21内の保護継電要素Ry21m2が回線L21の内部事故検知し、かつディジタル保護リレーRy22内の故障検知機能Ry22fがディジタル保護リレーRy22の回路基板が異常であると検知したことをもって成立する。
また回線L22の保護指令出力Trip22を定める第3の論理条件C22−3は、ディジタル保護リレーRy22内の保護継電要素Ry22m2が回線L22の内部事故検知し、かつディジタル保護リレーRy21内の故障検知機能Ry21fがディジタル保護リレーRy21の回路基板が異常であると検知したことをもって成立する。
上記の論理構成を整理して示すと、これは同一保護対象の事故を検知する2つのメインリレーがともに動作して事故検知したときには双方出力の一致をもって保護を行い、一方のディジタル保護リレーの基板故障(単一部品故障)の場合には、正常な側のメインリレーの動作により遮断機を開放することにしたものである。
このため、たとえば一方のディジタル保護リレーが単一部品故障となり、保護対象回線に対して保護指令を出力できなくなっても、正常な他方のディジタル保護リレー内のメインリレーにより最終的に保護指令を出力できることになる。このことから、ディジタル保護リレーを、制御電源をオフにして故障部位の交換を行う際も仮保護リレーの設置やあらかじめバックアップ用のディジタル保護リレーを設置する必要がない。また、従来の保護システムと同様にディジタル保護リレー2台で保護システムを構成するため、ディジタル保護リレーを追加する必要がない。
上記実施例では、保護対象を2組とし、2組のディジタル保護リレーが相互に監視しあう体制のシステム構成を構築したものである。この考え方は、同様にして保護対象が3組である場合に、複数のディジタル保護リレーが相互に監視しあう体制のシステム構成とすることで同様に実現することができる。なお4組以上の保護対象に対しては、2組または3組の組み合わせで順次適用が可能である。
図6は実施例3に係る3組の保護対象に適用する時の考え方を示している。具体的には3組の保護対象の保護のために3組のディジタル保護リレーが相互に監視しあう体制のシステム構成としたものである。なお、3組の保護対象の保護のために2組のディジタル保護リレーが相互に監視しあう体制とすることも可能である。
図6では保護対象回線がL31、L32、L33であり、各回線には遮断器CB31、CB32、CB33が敷設されている。また各回線L31、L32、L33の電流I31、I32、I33が計器用変成器CT31、CT32、CT33により検知され、回線の共通母線の電圧Vが電圧変成器PTにより検知されている。
ディジタル保護リレーは、3組準備され、共通に回線の共通母線電圧Vが与えられる。また第1のディジタル保護リレーRy31は、回線電流の情報としてI31、I32が与えられ、第2のディジタル保護リレーRy32は、回線電流の情報としてI32、I33が与えられ、第3のディジタル保護リレーRy33は、回線電流の情報としてI33、I31が与えられる。
各ディジタル保護リレーの其々は、図3、図5の事例と同様に2つのメインリレーと、1つの故障検知機能で構成されており、3組の出力が保護指令出力回路Oに与えられている。保護指令出力回路Oからは、各回線L31、L32、L33の遮断器L31、L32、L33に対する保護指令出力Trip31、Trip32、Trip33が与えられる。
ディジタル保護リレーRy31、Ry32、Ry33と保護指令出力回路Oの詳細を図7に示す。
図7において、ディジタル保護リレーRy31は、回線L31を保護するためのメインリレーRy31m1と、回線L32を保護するためのメインリレーRy31m2と、ディジタル保護リレーRy31の単一部品故障を検出する故障検知機能Ry31fから構成されている。このうちメインリレーRy31m1は、回線L31の電流情報I31と電圧情報Vを取込み、予め定められた処理手順に従って一定周期ごとに保護リレー演算処理を行い、その結果に基づいて保護指令Trip31m1を出力する。メインリレーRy31m2は、回線L32の電流情報I32と電圧情報Vを取込み、予め定められた処理手順に従って一定周期ごとに保護リレー演算処理を行い、その結果に基づいて保護指令Trip31m2を出力する。また単一部品故障検出機能Ry31fは、ディジタル保護リレーRy31内部で発生した単一部品故障を検出し、故障指令R31fを出力する。
同様にしてディジタル保護リレーRy32は、回線L32を保護するためのメインリレーRy32m1と、回線L33を保護するためのメインリレーRy32m2と、ディジタル保護リレーRy32の単一部品故障を検出する故障検知機能Ry32fから構成されている。このうちメインリレーRy32m1は、回線L32の電流情報I32と電圧情報Vを取込み、予め定められた処理手順に従って一定周期ごとに保護リレー演算処理を行い、その結果に基づいて保護指令Trip32m1を出力する。メインリレーRy32m2は、回線L33の電流情報I33と電圧情報Vを取込み、予め定められた処理手順に従って一定周期ごとに保護リレー演算処理を行い、その結果に基づいて保護指令Trip32m2を出力する。また単一部品故障検出機能Ry32fは、ディジタル保護リレーRy32内部で発生した単一部品故障を検出し、故障指令R32fを出力する。
また同様にしてディジタル保護リレーRy33は、回線L33を保護するためのメインリレーRy33m1と、回線L31を保護するためのメインリレーRy33m2と、ディジタル保護リレーRy33の単一部品故障を検出する故障検知機能Ry33fから構成されている。このうちメインリレーRy33m1は、回線L33の電流情報I33と電圧情報Vを取込み、予め定められた処理手順に従って一定周期ごとに保護リレー演算処理を行い、その結果に基づいて保護指令Trip33m1を出力する。メインリレーRy33m2は、回線L31の電流情報I31と電圧情報Vを取込み、予め定められた処理手順に従って一定周期ごとに保護リレー演算処理を行い、その結果に基づいて保護指令Trip33m2を出力する。また単一部品故障検出機能Ry33fは、ディジタル保護リレーRy33内部で発生した単一部品故障を検出し、故障指令R33fを出力する。
これらの保護継電要素(Ry31m1、Ry31m2、Ry32m1、Ry32m2、Ry33m1、Ry33m2)からの動作出力信号及び故障検知機能Ry31f、Ry32f、Ry33fからの故障検知信号は、保護指令出力回路Oに集約されている。
保護指令出力回路Oでは、6つの保護継電要素の動作出力信号及び3つの故障検知機能の故障検知信号を用いて、それぞれの保護対象に向けた保護指令出力Trip31、Trip32、Trip33を決定している。保護指令出力Trip31、Trip32、Trip33を定める論理条件は、それぞれ3種類であり、この考え方は基本的に同じものである。この論理条件は、直列接続された接点の組み合わせで定まる。
なお図7の図示から明らかなように、保護継電要素からの動作出力信号は、保護指令出力回路O内では常開接点として使用され、故障検知機能Ry31f、Ry32f、Ry33fからの故障検知信号は、保護指令出力回路O内では常閉接点として使用されている。つまり前者の保護継電要素の常開接点は、保護対象の内部事故検出で閉成し、それ以外の事故なしの状態では開放している。後者の故障検知機能の常閉接点は回路基板内の故障なしの状態で閉成し、それ以外の状態では開放することになる。
3組のディジタル保護リレーの内部機能が図7のように構成されていることからも明らかなように、回線L31の保護の可否は、保護継電要素Ry31m1と保護継電要素Ry33m2とで定まる。またこのときに考慮すべき単一故障発生の対象である基板は、ディジタル保護リレーRy31内と、ディジタル保護リレーRy33内の基板である。このことは保護継電要素Ry31m1の出力Trip31m1と、保護継電要素Ry33m2の出力Trip33m2と、故障検知機能Ry31fの故障検知信号F31fと、故障検知機能Ry33fの故障検知信号F33fとを用いて、遮断器CB31の保護出力指令Trip31を定めればよいことを意味している。
同様に回線L32の保護の可否は、保護継電要素Ry31m2と保護継電要素Ry32m1とで定まる。またこのときに考慮すべき単一故障発生の対象である基板は、ディジタル保護リレーRy31内と、ディジタル保護リレーRy32内の基板である。このことは保護継電要素Ry31m2の出力Trip31m2と、保護継電要素Ry32m1の出力Trip32m1と、故障検知機能Ry31fの故障検知信号F31fと、故障検知機能Ry32fの故障検知信号F32fとを用いて、遮断器CB32の保護出力指令Trip32を定めればよいことを意味している。
また同様にして回線L33の保護の可否は、保護継電要素Ry32m2と保護継電要素Ry33m1とで定まる。またこのときに考慮すべき単一故障発生の対象である基板は、ディジタル保護リレーRy32内と、ディジタル保護リレーRy33内の基板である。このことは保護継電要素Ry32m2の出力Trip32m2と、保護継電要素Ry33m1の出力Trip33m1と、故障検知機能Ry32fの故障検知信号F32fと、故障検知機能Ry33fの故障検知信号F33fとを用いて、遮断器CB33の保護出力指令Trip33を定めればよいことを意味している。
図7の保護指令出力回路Oによれば、遮断器CB31の動作出力信号Trip31は、論理条件C31−1、C31−2、C31−3のいずれかの成立によって発生することになる。同様に遮断器CB32の動作出力信号Trip32は、論理条件C32−1、C32−2、C32−3のいずれかの成立によって発生することになる。同様に遮断器CB33の動作出力信号Trip33は、論理条件C33−1、C33−2、C33−3のいずれかの成立によって発生することになる。遮断器CB31の動作出力信号Trip31の成立条件と、遮断器CB32の動作出力信号Trip32の成立条件と、遮断器CB33の動作出力信号Trip33の成立条件は基本的に同じ考え方に基づいたものである。
まず遮断器CB31(回線L31)の保護指令出力Trip31を定める第1の論理条件C31−1は、ディジタル保護リレーRy31内の保護継電要素Ry31m1が回線L31の内部事故検知し、かつディジタル保護リレーRy33内の保護継電要素Ry33m2が回線L31の内部事故検知したことをもって成立する。これにより回線L31は、ディジタル保護リレーRy31とRy33の回路基板が正常である状態では2つの保護継電要素Ry31m1と保護継電要素Ry33m2による二重化回路により正しく事故判定されることになる。
回線L31の保護指令出力Trip31を定める第2の論理条件C31−2は、ディジタル保護リレーRy31内の保護継電要素Ry31m1が回線L31の内部事故検知し、かつディジタル保護リレーRy33内の故障検知機能Ry33fがディジタル保護リレーRy33の回路基板が異常であると検知したことをもって成立する。
また回線L31の保護指令出力Trip31を定める第3の論理条件C31−3は、ディジタル保護リレーRy33内の保護継電要素Ry33m2が回線L31の内部事故検知し、かつディジタル保護リレーRy31内の故障検知機能Ry31fがディジタル保護リレーRy31の回路基板が異常であると検知したことをもって成立する。
同様にして、遮断器CB32(回線L32)の保護指令出力Trip32を定める第1の論理条件C32−1は、ディジタル保護リレーRy32内の保護継電要素Ry32m2が回線L32の内部事故検知し、かつディジタル保護リレーRy33内の保護継電要素Ry33m1が回線L32の内部事故検知したことをもって成立する。これにより回線L32は、ディジタル保護リレーRy32とRy33の回路基板が正常である状態では2つの保護継電要素Ry32m2と保護継電要素Ry33m1による二重化回路により正しく事故判定されることになる。
回線L32の保護指令出力Trip32を定める第2の論理条件C32−2は、ディジタル保護リレーRy32内の保護継電要素Ry32m2が回線L31の内部事故検知し、かつディジタル保護リレーRy33内の故障検知機能Ry33fがディジタル保護リレーRy33の回路基板が異常であると検知したことをもって成立する。
また回線L32の保護指令出力Trip32を定める第3の論理条件C32−3は、ディジタル保護リレーRy32内の保護継電要素Ry32m1が回線L32の内部事故検知し、かつディジタル保護リレーRy31内の故障検知機能Ry31fがディジタル保護リレーRy31の回路基板が異常であると検知したことをもって成立する。
同様にして、遮断器CB33(回線L33)の保護指令出力Trip33を定める第1の論理条件C33−1は、ディジタル保護リレーRy32内の保護継電要素Ry32m2が回線L33の内部事故検知し、かつディジタル保護リレーRy33内の保護継電要素Ry33m1が回線L33の内部事故検知したことをもって成立する。これにより回線L33は、ディジタル保護リレーRy32とRy33の回路基板が正常である状態では2つの保護継電要素Ry32m2と保護継電要素Ry33m1による二重化回路により正しく事故判定されることになる。
回線L33の保護指令出力Trip33を定める第2の論理条件C33−2は、ディジタル保護リレーRy32内の保護継電要素Ry32m2が回線L33の内部事故検知し、かつディジタル保護リレーRy33内の故障検知機能Ry33fがディジタル保護リレーRy33の回路基板が異常であると検知したことをもって成立する。
また回線L33の保護指令出力Trip33を定める第3の論理条件C33−3は、ディジタル保護リレーRy33内の保護継電要素Ry33m1が回線L33の内部事故検知し、かつディジタル保護リレーRy32内の故障検知機能Ry32fがディジタル保護リレーRy32の回路基板が異常であると検知したことをもって成立する。
上記の論理構成を整理して示すと、これは同一保護対象の事故を検知する2つのメインリレーがともに動作して事故検知したときには双方出力の一致をもって保護を行い、一方のディジタル保護リレーの基板故障(単一部品故障)の場合には、正常な側のメインリレーの動作により遮断機を開放することにしたものである。
このため、たとえば一方のディジタル保護リレーが単一部品故障となり、保護対象回線に対して保護指令を出力できなくなっても、正常な他方のディジタル保護リレー内のメインリレーにより最終的に保護指令を出力できることになる。このことから、ディジタル保護リレーを、制御電源をオフにして故障部位の交換を行う際も仮保護リレーの設置やあらかじめバックアップ用のディジタル保護リレーを設置する必要がない。また、従来の保護システムと同様にディジタル保護リレー2台で保護システムを構成するため、ディジタル保護リレーを追加する必要がない。