この発明を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一又は相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
実施の形態1.
図1から図9は、この発明の実施の形態1に係るもので、図1は全熱交換換気装置の全体構成概略を示す縦断面図、図2は図1の矢印Aの方向から見た透視図、図3は全熱交換換気装置が備える封止構造体の斜視図、図4は全熱交換換気装置の封止解除状態における図1中のB部の拡大図、図5は全熱交換換気装置の封止解除状態における図1中のC部の拡大図、図6は全熱交換換気装置の封止解除状態における図1中のD部の拡大図、図7は全熱交換換気装置の封止状態における図1中のB部の拡大図、図8は全熱交換換気装置の封止状態における図1中のC部の拡大図、図9は全熱交換換気装置の封止状態における図1中のD部の拡大図である。
この発明の実施の形態1に係る全熱交換換気装置1は、図1に示すように、換気の対象となる部屋の室内側と室外側とに跨って設けられている。そして、図1及び図2に示すように、全熱交換換気装置1は箱状の筐体2を備えている。筐体2には、外気吸込み口21、外気吹出し口22、室内空気吸込み口23及び室内空気吹出し口24の計4つの開口が形成されている。外気吸込み口21は筐体2における室外側の下方寄りに配置されている。外気吹出し口22は筐体2における室内側の上方寄りに配置されている。室内空気吸込み口23は筐体2における室内側の下方寄りに配置されている。室内空気吹出し口24は筐体2における室外側の上方寄りに配置されている。
筐体2の内部には、吸気風路と排気風路とが形成されている。吸気風路は、室外の空気を室内に導入するための風路である。吸気風路は、外気吸込み口21から外気吹出し口22へと通じている。排気風路は、室内の空気を室外へと排出するための風路である。排気風路は、室内空気吸込み口23から室内空気吹出し口24へと通じている。
筐体2の内部には、全熱交換素子6が収容されている。全熱交換素子6は、前述した吸気風路の一部を構成するとともに、前述した排気風路の一部も構成している。全熱交換素子6は熱交換部材60により構成されている。熱交換部材60は、例えば、仕切り部材と間隔保持部材とからなる。熱交換部材60を構成する仕切り部材及び間隔保持部材は、例えばいずれも紙製である。仕切り部材はシート状を呈する。間隔保持部材は山谷に折られて波形を呈する。そして、仕切り部材と間隔保持部材とを交互に積層することにより、全熱交換素子6が構成される。
この際、ある仕切り部材に着目した場合に、当該仕切り部材の上に隣接する間隔保持部材の折り目の方向と当該仕切り部材の下に隣接する間隔保持部材の折り目の方向とは、直交するように配置される。そして、仕切り部材の上に隣接する間隔保持部材との間と、仕切り部材の下に隣接する間隔保持部材との間のそれぞれに、空気の流路が形成される。このようにして形成されるこれらの空気の流路が、吸気風路の一部と排気風路の一部を構成する。
すなわち、ある仕切り部材に着目した場合に、当該仕切り部材の上下の一方に隣接する間隔保持部材との間に形成される流路が吸気風路の一部及び排気風路の一部の一方となる。また、当該仕切り部材の上下の他方に隣接する間隔保持部材との間に形成される流路が吸気風路の一部及び排気風路の一部の他方となる。そして、当該仕切り部材を介して、全熱交換素子6中の吸気風路を流れる空気と、全熱交換素子6中の排気風路を流れる空気との間で、顕熱の交換及び潜熱の交換がおこなわれる。なお、以上の説明からも判るように、全熱交換素子6中における吸気風路と排気風路とは、平面視で互いに直交している。
筐体2の内部には、第1の隔壁201、第2の隔壁202及び第3の隔壁204の各隔壁が形成されている。これらの各隔壁は、筐体2の内壁面から筐体2の中央側へと突出するようにして設けられている。これらの隔壁は、それぞれが吸気風路と排気風路との境界部分に配置されている。これらの第1の隔壁201、第2の隔壁202及び第3の隔壁204は、筐体2に形成され、吸気風路と排気風路との境界部分に配置されたフレーム支持部を構成している。
そして、これらの隔壁は、筐体2の内部の中央部において途切れており、全熱交換素子6は、この隔壁が途切れた筐体2の内部の中央部に配置される。このようにして、外気吸込み口21から全熱交換素子6を経由して外気吹出し口22へと通じる吸気風路と、室内空気吸込み口23から全熱交換素子6を経由して室内空気吹出し口24へと通じる排気風路とが、筐体2の内部において空気そのものは交換することなく、全熱交換素子6において熱のみが交換可能なように構成されている。
外気吸込み口21は、筐体2の内部における室外側かつ第3の隔壁204の下方の空間に通じている。外気吹出し口22は、筐体2の内部における室内側かつ第2の隔壁202の上方の空間に通じている。室内空気吸込み口23は、筐体2の内部における室内側かつ第2の隔壁202の下方の空間に通じている。室内空気吹出し口24は、筐体2の内部における室外側かつ第3の隔壁204の上方の空間に通じている。
筐体2の内部における吸気風路中には、給気ファンユニット3が取り付けられている。より詳しくは、給気ファンユニット3は、筐体2の内部における第2の隔壁202の上方の空間内に配置されている。また、筐体2の内部における排気風路中には、排気ファンユニット4が取り付けられている。より詳しくは、排気ファンユニット4は、筐体2の内部における第3の隔壁204の上方の空間内に配置されている。
排気ファンユニット4は、筐体2の内部での第3の隔壁204の上方に設置されている。この排気ファンユニット4を駆動させることで、室内空気を取り込んで室外に吐き出すことができる。給気ファンユニット3を駆動させることで、室外空気を外気吸込み口21から取り込み、給気風路を通して外気吹出し口22から室内に給気することができる。また、排気ファンユニット4を駆動させることで、室内空気を室内空気吸込み口23から取り込み、排気風路を通して室内空気吹出し口24から室外に排出することができる。
筐体2の内部には、制御基板5が取り付けられている。制御基板5には、全熱交換換気装置1の制御回路、具体的には給気ファンユニット3及び排気ファンユニット4の動作を制御するための回路が実装されている。ここでは、制御基板5は、給気及び排気の妨げとならないよう、筐体2の内部における隅角部に配置されている。
全熱交換素子6は、第1の素子フレーム611、第2の素子フレーム612、第3の素子フレーム613及び第4の素子フレーム614を介して、筐体2内の予め定められた位置に支持されている。
これらの素子フレームは、前述したフレーム支持部に対向する位置に配置されている。具体的には、第1の素子フレーム611は、第1の隔壁201と対向するように配置されている。第2の素子フレーム612は、第2の隔壁202と対向するように配置されている。第4の素子フレーム614は、第3の隔壁204と対向するように配置されている。なお、ここで示す例では、第3の素子フレーム613は、いずれの隔壁とも対向していない。しかし、第3の素子フレーム613に関しては、この第3の素子フレーム613と対向する筐体2の内壁面部分が、フレーム支持部を構成しているとみなすことができる。
すなわち、第1の隔壁201、第2の隔壁202及び第3の隔壁204、並びに、第3の素子フレーム613と対向する筐体2の内壁面部分がフレーム支持部を構成している。そして、第1の素子フレーム611、第2の素子フレーム612、第3の素子フレーム613及び第4の素子フレーム614は、フレーム支持部に対向する位置に配置され、全熱交換素子6を支持する素子フレームを構成している。
これらの素子フレーム及びフレーム支持部の少なくとも一方にはシール部材が設けられている。シール部材は、素子フレームとフレーム支持部とのそれぞれの間に配置される。ここでは、第1の素子フレーム611と第1の隔壁201との間に第1のシール部材41が設けられている。第2の素子フレーム612と第2の隔壁202との間に第2のシール部材42が設けられている。第3の素子フレーム613とこの第3の素子フレーム613に対向する筐体2の内壁面との間に第3のシール部材43が設けられている。そして、第4の素子フレーム614と第3の隔壁204との間に第4のシール部材44が設けられている。
これらのシール部材は、例えば、ゴム又はウレタン樹脂等の弾性を有する素材からなる。これらのシール部材は、ここでは各素子フレームに取り付けられている。しかし、これに限られず、シール部材を各隔壁等のフレーム支持部に取り付けてもよいし、各素子フレームと各隔壁等のフレーム支持部の両方にシール部材を取り付けてもよい。
この発明に係る全熱交換換気装置1は、素子フレーム(第1の素子フレーム611等)とフレーム支持部(第1の隔壁201等)との間のシール部材(第1のシール部材41等)を圧縮する方向への押圧力を素子フレームに付与可能な弾性体を備えている。この弾性体に係る構成について、以下に説明する。
素子フレームには、封止構造体が取り付けられている。ここでは、第1の素子フレーム611に、第1の封止構造体601が取り付けられている。また、第3の素子フレーム613には、第2の封止構造体603が取り付けられている。第1の封止構造体601及び第2の封止構造体603は、同形状の部材である。これらの封止構造体の斜視図が図3である。
この図3に示すように、第1の封止構造体601及び第2の封止構造体603(以下、単に「封止構造体」という)は、一端が半球状に丸められた円柱状を呈する。また、封止構造体の他端には、封止構造体の中心軸と同軸な円柱状にくりぬかれて、スプリングホール6013が形成されている。スプリングホール6013の底部の中心からは細い棒状の円柱状構造体6011が突出するように設けられている。
封止構造体の他端部の側面には、一対のストッパ6012が形成されている。ストッパ6012は、封止構造体の側面から外方へと突出するように設けられている。一対のストッパ6012は、封止構造体の中心軸に対して互いに対称な位置に配置され、ストッパ6012の突出方向は、互いに反対方向となる。
以上のように構成された封止構造体の素子フレームへの取り付けに係る構成の詳細に関し、まず、第1の素子フレーム611及び第1の封止構造体601について図4を参照しながら説明する。図4に示すのは、図1中におけるB部を拡大したものである。この図4に示すように、第1の隔壁201は、筐体2の内壁部において、筐体2の中央側へと凸状に突き出した形状になっている。そして、第1の隔壁201の内側には、後述する封止制御体100を収容可能な封止制御体収容空間211が形成されている。
第1の素子フレーム611は、一側で全熱交換素子6の熱交換部材60の隅角部を支持し、他側の端部に一対の第1の素子フレーム上シール部641が形成されている。第1の素子フレーム上シール部641は、それぞれが第1の素子フレーム611の他側の端部から左右の両側へと突出するように設けられている。
筐体2の中央側へと凸状に突き出して形成される第1の隔壁201の面は、筐体2の内壁面と平行である。そして、第1の隔壁201の当該面にはスリットが形成されており、このスリットに第1の素子フレーム611が通されて取り付けられる。また、当該面における封止制御体収容空間211側の第1の筐体上シール部241が、第1の素子フレーム611の第1の素子フレーム上シール部641と対向する。すなわち、第1の筐体上シール部241と第1の素子フレーム上シール部641とが対向することで、第1の隔壁201と第1の素子フレーム611とが対向している。この際、第1の素子フレーム上シール部641は、第1の筐体上シール部241に対して、筐体2の内壁側に配置される。
そして、第1の素子フレーム上シール部641の第1の筐体上シール部241側の面には、第1のシール部材41が取り付けられている。したがって、第1のシール部材41は第1の素子フレーム上シール部641と第1の筐体上シール部241との間、すなわち、第1の素子フレーム611と第1の隔壁201との間に配置されている。このようにして取り付けられた第1の素子フレーム611は、第1の隔壁201に対して、筐体2の中央側へと突出する方向に移動可能である。
第1の素子フレーム611には、第1の素子フレームスプリング支持面6111及び第1の素子フレームストッパ支持面6112が形成されている。これらの支持面は、いずれも筐体2の内壁面に平行であり、筐体2の内壁面に近い側から、第1の素子フレームストッパ支持面6112、第1の素子フレームスプリング支持面6111の順で配置されている。
第1の素子フレームストッパ支持面6112には、第1の封止構造体601の中心軸に垂直な断面における外形とほぼ同型の、あるいは、若干大きい貫通孔が形成されている。なお、ここでいう第1の封止構造体601の外形には、ストッパ6012の形状も含んでいる。すなわち、この貫通孔は、略円形であって、かつ、一対のストッパ6012に対応した一対の切り欠きが形成された形状である。また、第1の素子フレームスプリング支持面6111には、第1の封止構造体601の円柱状構造体6011に対応した穴(図示せず)が形成されている。
第1の封止構造体601は、半球状の先端が設けられた前記一側を筐体2の内壁側に、円柱状構造体6011が設けられた前記他側を熱交換部材60側にそれぞれ向けた状態で、第1の素子フレームストッパ支持面6112の貫通孔に通されることで、第1の素子フレーム611に取り付けられる。この際に、第1の封止構造体601のストッパ6012は、第1の素子フレームストッパ支持面6112と第1の素子フレームスプリング支持面6111との間に配置される。
前述したように第1の素子フレームストッパ支持面6112の貫通孔には、ストッパ6012に対応した切り欠きが設けられている。そこで、第1の封止構造体601の取り付けにあたっては、ストッパ6012が当該切り欠きに合う向きで、第1の封止構造体601を貫通孔内に通し、ストッパ6012が貫通孔内を通過したら第1の封止構造体601を周方向に適宜に回転させる。このようにすることで、ストッパ6012が第1の素子フレームストッパ支持面6112に当たって、第1の封止構造体601が第1の素子フレーム611が抜けることがないように取り付けることができる。
このようにして、第1の封止構造体601は、第1の素子フレーム611に対し筐体2の内壁側へと前記一側が突出するように取り付けられている。また、第1の封止構造体601は、ストッパ6012が第1の素子フレームストッパ支持面6112に当たる位置と、第1の素子フレームスプリング支持面6111に当たる位置との間で移動可能である。すなわち、第1の封止構造体601は、第1の素子フレームに対する突出量が予め定められた一定範囲内で可変に設けられている。
ここで、第1の封止構造体601を第1の素子フレーム611に取り付ける際には、予め、第1の封止構造体601の円柱状構造体6011の周囲に第1の弾性体61を配置しておく。そうすると、前述のようにして第1の封止構造体601を第1の素子フレーム611に取り付けると、図4に示すように、第1の弾性体61は、一端が第1の封止構造体601のスプリングホール6013の底面に当たり、他端が第1の素子フレームスプリング支持面6111に当たる。第1の弾性体61は、ここでは押しバネが用いられている。したがって、第1の弾性体61は、第1の素子フレーム611に対し第1の封止構造体601を筐体2の内壁側へと突出させる方向に付勢するように設けられている。
次に、第3の素子フレーム613及び第2の封止構造体603の構成について図5に示す。図5に示すのは、図1中におけるC部を拡大したものである。第3の素子フレーム613及び第2の封止構造体603の構成は、基本的には、前述した第1の素子フレーム611及び第1の封止構造体601の構成と同じである。ただし、前述したように、第3の素子フレーム613に対向するフレーム支持部は、筐体2に形成された隔壁ではなく筐体2の内壁面である。このため、第3の素子フレーム613の第2の素子フレーム上シール部643は、筐体2の内壁面に対向している。
そして、第2の素子フレーム上シール部643の筐体2の内壁側の面には、第1の筐体上シール部241側の面には、第3のシール部材43が取り付けられている。したがって、第3のシール部材43は第2の素子フレーム上シール部643と筐体2の内壁面との間、すなわち、第3の素子フレーム613とフレーム支持部である筐体2の内壁面との間に配置されている。他の構成については、前述した第1の素子フレーム611及び第1の封止構造体601の構成と同様であるため、その詳細説明は省略する。
次に、第2の隔壁202と第2の素子フレーム612、及び、第3の隔壁204と第4の素子フレーム614の構成について図6を参照しながら説明する。第2の隔壁202及び第2の素子フレーム612の構成と、第3の隔壁204及び第4の素子フレーム614の構成は、左右が反転している点を除き同じ構成である。そこで、ここでは、これらを代表して第3の隔壁204と第4の素子フレーム614について説明する。
図6に示すのは、図1中におけるD部を拡大したものである。この図6に示すように、第4の素子フレーム614は、一側で全熱交換素子6の熱交換部材60の隅角部を支持し、他側が筐体2の内壁側へと突出している。そして、筐体2の内壁面からは第3の隔壁204が筐体2の中央側へと向けて突出している。第4の素子フレーム614は、第3の隔壁204の上方側に配置されている。そして、第4の素子フレーム614は、第3の隔壁204と上下方向において対向している。第4の素子フレーム614の第3の隔壁204と対向する側の面には、第4のシール部材44が取り付けられている。このようにして、第4の素子フレーム614と第3の隔壁204との間に第4のシール部材44が配置される。
以上のように構成された全熱交換換気装置1において、第1の弾性体61は、素子フレーム(第1の素子フレーム611等)とフレーム支持部(第1の隔壁201等)との間のシール部材(第1のシール部材41等)を圧縮する方向への押圧力を素子フレームに付与可能である。この点について、図7を参照しながら次に説明する。
図7に示すように、第1の隔壁201の内側に形成された封止制御体収容空間211内には、封止制御体100が着脱自在に挿入される。前述したように、第1の弾性体61は、第1の素子フレーム611に対し第1の封止構造体601を筐体2の内壁側へと突出させる方向に付勢するように設けられている。逆に言えば、第1の弾性体61は、第1の封止構造体601に対し第1の素子フレーム611を筐体2の内壁から離れる方向へと付勢するように設けられている。
したがって、封止制御体収容空間211内に封止制御体100を挿入すると、第1の封止構造体601が筐体2の内壁から離れる方向へと押し込まれる。すると、第1の弾性体61は、第1の素子フレーム611に対し、筐体2の内壁から離れる方向への押圧力を付与する。ここで、第1の素子フレーム611、第2の素子フレーム612、第3の素子フレーム613及び第4の素子フレーム614は、全熱交換素子6を支持するものであって、これらは一体となって移動する。したがって、第1の弾性体61が第1の素子フレーム611に対し筐体2の内壁から離れる方向への押圧力を付与するということは、図1の図面に向かって下方向への押圧力を第1の弾性体61が各素子フレームに付与することになる。
各素子フレームは、各フレーム支持部に対し、図1の図面に向かって上側に配置され、これらの素子フレームとフレーム支持部との間には、それぞれシール部材が配置されている。このため、図1の図面に向かって下方向への押圧力を第1の弾性体61が各素子フレームに付与するということは、第1の弾性体61は、素子フレームとフレーム支持部との間のシール部材を圧縮する方向への押圧力を素子フレームに付与することに他ならない。
このように、封止制御体収容空間211内に封止制御体100を挿入した状態では、第1の弾性体61により各シール部材が圧縮されるように押圧力が掛けられる。この状態を「封止状態」と呼ぶことにする。封止状態においては、図7に示すように、第1の隔壁201と第1の素子フレーム611との間の第1のシール部材41が圧縮されて、第1の隔壁201と第1の素子フレーム611との間の隙間が第1のシール部材41により封止される。
また、図8に示すように、封止状態においては、筐体2の内壁と第3の素子フレーム613との間の第3のシール部材43が圧縮されて、筐体2の内壁と第3の素子フレーム613との間の隙間が第3のシール部材43により封止される。そして、図9に示すように、第3の隔壁204と第4の素子フレーム614との間の第4のシール部材44が圧縮されて、第3の隔壁204と第4の素子フレーム614との間の隙間が第4のシール部材44により封止される。また同様に、第2の隔壁202と第2の素子フレーム612との間の第2のシール部材42が圧縮されて、第2の隔壁202と第2の素子フレーム612との間の隙間が第2のシール部材42により封止される。
このようにして、封止状態では第1の弾性体61が付与する押圧力により、各シール部材が素子フレームとフレーム支持部との間の隙間を封止する。したがって、給気風路と排気風路とが完全に分離され、これらの風路間での空気の行き来を遮断し、各風路の密閉性を確保することができる。
以上に対し、封止制御体収容空間211内から封止制御体100を取り外すと、図4に示すように、第1の封止構造体601の筐体2の内壁側への移動は妨げられなくなる。したがって、第1の弾性体61の弾性力は、専ら、第1の素子フレーム611に対し第1の封止構造体601を筐体2の内壁側へと突出させるように作用する。すなわち、第1の弾性体61による素子フレームとフレーム支持部との間のシール部材を圧縮する方向への押圧力が、素子フレームに付与されない状態となる。この状態を「封止解除状態」と呼ぶことにする。
封止解除状態においては、今度は、第2の封止構造体603に設けられた第2の弾性体63の弾性力により、各素子フレーム及び全熱交換素子6の全体が図1に向かって上方側に付勢される。したがって、図4に示すように、第1の隔壁201と第1の素子フレーム611との間の第1のシール部材41に掛かる圧力が低減されて、第1の隔壁201から第1のシール部材41が離れる。また、図5及び図6に示すように、他のシール部材についても掛かる圧力が低減されて、フレーム支持部からシール部材が離れる。
このように、封止解除状態においては、全熱交換素子6を支持する素子フレームと筐体2側のフレーム支持部との間に設けられるシール部材に掛かる圧力が低減される。このため、筐体2に対し全熱交換素子6及び素子フレームを、図1の紙面前後方向に沿って容易に抜き挿しすることができる。
また、以上のように、封止制御体100を、第1の封止構造体601と筐体2の内壁との間に形成された封止制御体収容空間211内に着脱することで、第1の弾性体61により素子フレームに前記押圧力を付与する状態とそうでない状態とを切り換えることができる。すなわち、封止制御体100は、第1の弾性体61により素子フレームに前記押圧力を付与する状態とそうでない状態とを切り換える押圧力付与切換手段を構成している。このような押圧力付与切換手段を備えることで、前述した封止状態と封止解除状態とを容易に切り換えることができ、全熱交換換気装置1の運転時における各風路の気密性と、全熱交換素子6の交換時における作業容易性とを両立することができる。
すなわち、全熱交換素子6は、給気風路及び排気風路の一部を構成しており、風路の断面積が風路の他の箇所と比較して狭くなることから、空気中に含まれる塵埃などが全熱交換素子6の風路を構成する壁面に付着し目詰まり又は圧力損失等を発生することがある。これを防ぐために、全熱交換素子6を定期的に清掃することが必要である。
この発明に係る全熱交換換気装置1によれば、以上で説明したように、全熱交換素子6を筐体2の内部から取り外すための挿抜操作を小さな力で実施でき、かつ、全熱交換素子6を挿抜しても素子フレームとフレーム支持部との間に設けたシール部材を必要な分だけ圧縮し、密閉性を確保することで全熱交換換気装置1の換気効率を維持できる。したがって、高いメンテナンス性と高い換気効率の両方を使用者に提供することができる。
また、シール部材は永久変形等の不可逆な経年劣化が避けられない。この発明に係る全熱交換換気装置1によれば、メンテナンスの対象部材である全熱交換素子6に、シール部材を設けることができるため、メンテナンス時にシール部材を交換することが容易であり、シール部材を交換することで長期間換気性能を維持することが可能となる。
なお、ここでは、押圧力付与切換手段が、着脱自在に設けられる封止制御体100を備える構成について説明したが、押圧力付与切換手段の具体的構成は、この構成に限られない。すなわち、第1の封止構造体601の筐体2の内壁側への移動を物理的に妨げる状態と、そうでない状態とを切り換えることができる構成であればよい。このような押圧力付与切換手段の他の構成として具体的に例えば、封止制御体収容空間211内に回転可能なカムを設けてもよい。そして、このカムを回転させることで、当該カムのカム面により第1の封止構造体601を図7の位置に規制する状態と、そうでない状態とを切換可能とすることが考えられる。
また、以上においては、第3の素子フレーム613に第2の封止構造体603及び第2の弾性体63を設けた構成について説明した。しかし、第2の封止構造体603及び第2の弾性体63は必ずしも設けなくともよい。前述したように、第3のシール部材43も弾性を有する素材であるため、第2の封止構造体603及び第2の弾性体63がなくとも、前述したような作用及び効果を得ることが可能である。ただし、第2の封止構造体603及び第2の弾性体63を設けることで、封止解除状態において、全熱交換素子6と筐体2とが第2の封止構造体603を介して接触し、第2の封止構造体603に取り付けた第2の弾性体63の圧縮によって生じた反力で全熱交換素子6を支持することができるという点で利点がある。
さらに、第1の弾性体61を支持する構造は、以上で説明した第1の封止構造体601に限られず、素子フレームとフレーム支持部との間のシール部材を圧縮する方向への押圧力を素子フレームに付与できるように第1の弾性体61を支持できれば、第1の封止構造体601を備えなくともよい。ただし、以上のように構成された第1の封止構造体601を備えることで、封止制御体100により簡潔な構成で押圧力付与切換手段を構成することができる。また、この際、第1の封止構造体601と封止制御体100、あるいは、第2の封止構造体603と筐体2との摺動抵抗を低減する目的で、第1の封止構造体601と封止制御体100、第2の封止構造体603と筐体2の内壁面の全て又はそれぞれのいずれかの表面を摩擦係数の低い部材でコーティングしてもよい。