JP6201235B2 - 散乱線補正装置、散乱線補正方法、及びx線撮影装置 - Google Patents

散乱線補正装置、散乱線補正方法、及びx線撮影装置 Download PDF

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Description

本発明は、X線撮影で得られる画像に含まれる散乱線成分を散乱線補正により低減する散乱線補正装置及び散乱線補正方法並びに散乱線補正装置を備えるX線撮影装置に関する。
X線撮影で得られる画像は、被写体を透過した直接線に起因する直接線成分と、直接線成分以外の成分とを含む。直接線成分以外の成分としては、散乱線に起因する散乱線成分と、X線検出素子の光拡散およびX線撮影装置の系から発生する電気的ノイズ等に起因する成分とが存在するが、散乱線成分の方が支配的である。散乱線としては、被写体からの散乱線やフラットパネルディテクターの前面に設置されるカーボンからの散乱線などがある。
X線撮影で得られる画像に含まれる散乱線成分は、X線撮影で得られる画像の品質を大きく低下させており、例えば金属アーチファクトの除去を困難にする原因の一つとなっている。
そのため、X線撮影で得られる画像に含まれる散乱線成分を低減するための散乱線成分低減方法が種々提案されている。
特許第4218908号公報
特許文献1で提案されている散乱線成分低減方法は、散乱線を含むデータから再構成ボリュームデータを得て、その再構成ボリュームデータ上で投影画像に含まれる散乱線の分布を推定し、投影画像から散乱線成分を減算した後、もう一度再構成するという処理を行っているため計算時間がかかる。
本発明は、上記の状況に鑑み、X線撮影で得られる画像から散乱線成分を低減した画像を直接的に導出することができるとともに、計算時間が短い散乱線補正装置、散乱線補正方法、及びX線撮影装置を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために本発明に係る散乱線補正装置においては、X線撮影で得られる測定画像に対して散乱線補正を行う散乱線補正装置とし、正規化された全X線による輝度値である正規化理想値を前記測定画像の各ピクセルについて算出する正規化理想値算出部と、前記測定画像のピクセル毎に、前記正規化理想値と、正規化された前記測定画像の輝度値とから、前記測定画像の散乱線成分を算出する散乱線成分算出部と、前記測定画像のピクセル毎に、前記測定画像のピクセルの輝度値から、前記散乱線成分算出処理部で算出した散乱線成分を除去する補正処理とを備える構成(第1の構成)とする。これにより、X線撮影で得られる測定画像から散乱線成分を低減した画像を直接的に導出することができる。また、特許文献1のような二度の再構成が不要であるため、計算時間を短くすることができる。歯科用CT撮影では被写体が人間の頭部(特に顎部)に限定されているため、計算時間を短くすることが容易になる。
上記第1の構成の散乱線補正装置において、前記散乱線成分算出部が、前記測定画像のピクセル毎に、前記正規化理想値と、正規化された前記測定画像の輝度値と、前記X線撮影の投影角度とから、前記測定画像の散乱線成分を算出する構成(第2の構成)としてもよい。これにより、X線撮影の投影角度に応じて適切な散乱線補正を行うことができる。
上記第1又は第2の構成の散乱線補正装置において、正規化された全X線による輝度値と、全X線量に対するその全X線量に含まれる散乱線量の比との関係を記憶する記憶部を備え、前記散乱線成分算出部が、前記記憶部によって記憶されている前記関係を用いて、前記測定画像の散乱線成分を算出する構成(第3の構成)としてもよい。
上記第3の構成の散乱線補正装置において、前記記憶部が、前記関係を示す関数で用いられる定数の値を、前記正規化理想値に関連付けられたデータテーブルの形式で記憶する構成(第4の構成)としてもよい。これにより、記憶部の使用容量を節約することができる。
上記第1〜第4のいずれかの構成の散乱線補正装置において、前記正規化理想値算出部が、前記測定画像をそれぞれの領域が複数のピクセルの集合体である複数の領域に分割し、領域を代表する全X線による輝度値(例えば領域の中心位置の全X線による輝度値)を領域毎に求め、領域を代表する全X線による輝度値を参照して前記正規化理想値を算出する構成(第5の構成)としてもよい。これにより、各ピクセルの輝度値の誤差による影響を抑えることができる。
上記第5の構成の散乱線補正装置において、前記正規化理想値算出部が、シミュレーションによって求めた前記正規化理想値を、領域を代表する全X線による輝度値を参照して修正し、修正後の前記正規化理想値を算出結果とする構成(第6の構成)としてもよい。これにより、実際の被写体により適応した散乱線補正を行うことができる。
上記第1〜第6のいずれかの構成の散乱線補正装置において、前記正規化理想値が、被写体の着目する部位を透過するX線経路上の骨あるいは金属を皮膚に置き換えた場合に得られる構成(第7の構成)としてもよい。これにより、人体の構造を考慮することができる。
また、上記目的を達成するために本発明に係る散乱線補正方法においては、X線撮影で得られる測定画像に対して散乱線補正を行う散乱線補正方法とし、正規化された全X線による輝度値である正規化理想値を前記測定画像の各ピクセルについて算出する正規化理想値算出ステップと、前記測定画像のピクセル毎に、前記正規化理想値と、正規化された前記測定画像の輝度値とから、前記測定画像の散乱線成分を算出する散乱線成分算出ステップと、前記測定画像のピクセル毎に、前記測定画像のピクセルの輝度値から、前記散乱線成分算出処理ステップで算出した散乱線成分を除去する補正処理ステップとを備えるようにしている。
また、上記目的を達成するために本発明に係るX線撮影装置においては、被写体に対してX線を照射するX線照射部と、前記被写体を透過したX線を検出するX線検出部と、前記X線検出部の検出結果を用いて測定画像を生成する測定画像生成部と、前記測定画像を対数変換して投影画像を生成する投影画像生成部と、前記測定画像に対して散乱線補正を行う上記第1〜第7のいずれかの構成の散乱線補正装置とを備える構成とする。
本発明によると、X線撮影で得られる測定画像から散乱線成分を低減した画像を直接的に導出することができる。また、計算時間を短くすることができる。
本発明の一実施形態に係るX線撮影装置の本体部の外観を示す図である。 パノラマ撮影モードの標準軌道を示す図である。 局所CT撮影モードの軌道を示す図である。 局所CT撮影モードにおいて、撮影対象部位の中心を前歯の位置に設定した場合の撮影対象部位の中心及び画像再構成範囲を示す図である。 局所CT撮影モードにおいて、撮影対象部位の中心を左顎の位置に設定した場合の撮影対象部位の中心及び画像再構成範囲を示す図である。 局所CT撮影モードにおいて、撮影対象部位の中心を右第2小臼歯の位置に設定した場合の撮影対象部位の中心及び画像再構成範囲を示す図である。 全歯CT撮影モードの軌道を示す図である。 全顎CT撮影モードの軌道を示す図である。 画像処理装置の構成を示す図である。 モンテカルロシミュレーションの計算のジオメトリーを示す図である。 顎部、頭部、頸部を想定した円柱形の水ファントムの組み合せを示す図である。 モンテカルロシミュレーションの計算結果を示すグラフである。 モンテカルロシミュレーションの計算結果を示すグラフである。 モンテカルロシミュレーションの計算結果を示すグラフである。 モンテカルロシミュレーションの計算結果を示すグラフである。
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。
まず始めに、本発明の一実施形態に係るX線撮影装置の本体部1(以下、「X線撮影装置の本体部1」と称す)の構成について図1を参照して説明する。図1はX線撮影装置1の本体部の外観を示す図であり、図1(a)は上面図、図1(b)は正面図、図1(c)は側面図である。
X線撮影装置の本体部1は、歯科用あるいは耳鼻科用等のX線撮影装置の本体部であって、床面に載置されるベース2と、ベース2から鉛直方向に立設された下部ポール3と、鉛直方向にスライド可能に下部ポール3に接続される上部ポール4と、上部ポール4の上端部に固定されている固定アーム5と、回転可能に固定アーム5に接続される旋回アーム6と、上部ポール4の中央部に固定されており被写体(例えば歯など)を含む人体の頭部を保持する頭部保持部7とを備えている。実施形態では、固定アーム5が上部ポール4に固定されているが、例えば、X線撮影装置の本体部1を設置する部屋の壁や天井に固定アーム5が直接あるいは部屋の壁や天井との距離を調整することができる調整機構を介して取り付けられる態様であってもよい。
旋回アーム6は、被写体に対してX線を照射するX線照射部8と、被写体を透過したX線を検出するX線検出部9とを対向して配置している。本実施形態では、X線検出部9として、照射されたX線に応じて電気信号を生成する変換素子が二次元状に配置されているフラットパネルディテクターを用いる。そして、フラットパネルディテクターの前面にはカーボンが設置されている。
X線撮影装置の本体部1の撮影モードは特に限定されないが、例えば、パノラマ撮影モードやCT撮影モードを挙げることができる。パノラマ撮影モードでは、X線照射部8及びX線検出部9が歯列弓の形状に沿った所定の軌跡を描くように、旋回アーム6の旋回軸を旋回軸に垂直な方向(X方向、Y方向)に移動させ、旋回アーム6を旋回軸回りに旋回させながら断層撮影を行う。CT撮影モードでは、頭部の対象撮影領域(画像再構成範囲)を中心にして旋回アーム6を回転させながら、対象撮影領域(画像再構成範囲)の断層撮影を行う。
ここで、パノラマ撮影モードについて図2を参照してより詳細に説明する。図2はパノラマ撮影モードの標準(成人用)軌道を示している。パノラマ撮影モードの標準(成人用)軌道では、X線照射部8及びX線検出部9が仮想歯列弓201の形状に沿った所定の軌跡を描いてX線ビームの軌跡が包絡線状の軌跡202になるように、X線照射部8及びX線検出部9が配置されている旋回アーム6を、撮影開始位置P1から図2に示す軌道に沿って撮影終了位置P2まで移動させる。撮影開始位置P1と撮影終了位置P2との間における旋回アーム6の旋回角度は約220度である。なお、撮影終了位置P2を除く図2に示された旋回アーム6の位置は被写体の撮影領域の左半分における各撮影位置である。X線照射部8のX線焦点8Aから射出されるX線は、X線照射部8に設けられているX線絞り8Bによって絞られ、X線検出部9上でのX線ビーム幅Wが調整される。
パノラマ撮影モードは、上述した標準(成人用)軌道の他に、小児用軌道、直行軌道、顎関節撮影軌道、上顎洞撮影軌道などを有していることが好ましい。小児用軌道は、仮想歯列弓201の形状が小さくなる点が標準軌道と異なっている。直行軌道は、各撮影位置でのX線ビームが患者歯列弓203の歯と歯の間を通過するようにしている点が標準軌道と異なっている。顎関節撮影軌道(側面)は、X線照射部8及びX線検出部9が仮想歯列弓201の両端部分(顎関節撮影可能部分)の形状に沿った所定の軌跡を描くように旋回アーム6を移動させる点が標準軌道と異なっている。顎関節撮影軌道(正面)は、X線照射部8及びX線検出部9が仮想線204の形状に沿った所定の軌跡を描くように旋回アーム6を移動させる点が標準軌道と異なっている。上顎洞撮影軌道は、X線照射部8及びX線検出部9が仮想線205の形状に沿った所定の軌跡を描くように旋回アーム6を移動させる点が標準軌道と異なっている。
続いて、CT撮影モードについて図3〜図8を参照してより詳細に説明する。なお、図3〜図8において図2と同一の部分には同一の符号を付す。
局所CT撮影モードは、歯顎領域内の上下歯牙領域全体よりも狭い特定の領域を撮影対象とするCT撮影モードである。局所CT撮影モードの画像再構成範囲は例えば直径51mm高さ55mmの円柱形状の空間領域である。図3は局所CT撮影モードの軌道を示している。局所CT撮影モードでは、図3に示すように、X線検出部9の中心がX線照射部8と旋回アーム6の旋回軸中心206とを結ぶラインの延長線上にくるように旋回アーム6を旋回させながら複数の撮影位置で撮影が行われる。また、局所CT撮影モードでは、通常、図3に示すように、旋回アーム6の旋回軸中心206は定位置になっている。なお、図3には撮影位置として4箇所が図示されているが、これはあくまで例示であり撮影位置は図示された箇所に限定されるものではない。
局所CT撮影モードは、後述する全歯CT撮影モードや全顎CT撮影モードに比べてX線検出部9上でのX線ビーム幅Wが狭いため、X線検出部9のサイズが小さくても実施可能である。
なお、局所CT撮影モードでは、撮影対象部位(関心領域)の中心を何処に設定するかに応じて旋回アーム6の旋回軸中心206の位置を変えるようにしており、通常、図3に示すように、撮影対象部位(関心領域)の中心と旋回アーム6の旋回軸中心206の位置とが一致するように位置調整がなされる。局所CT撮影モードにおける撮影対象部位(関心領域)の中心は任意に設定することができる。図3に示した位置設定の他にも、例えば、図4に示すように撮影対象部位(関心領域)の中心208を仮想歯列弓201上の前歯の位置に設定することもでき、図5に示すように撮影対象部位(関心領域)の中心208を仮想歯列弓201上の左顎の位置に設定することもでき、図6に示すように撮影対象部位(関心領域)の中心208を仮想歯列弓201上の右第2小臼歯の位置に設定することもでき、その他種々の位置設定が可能である。
全歯CT撮影モードは、上下歯牙領域全体を撮影対象とするCT撮影モードである。全歯CT撮影モードの画像再構成範囲は例えば直径97mm高さ100mmの円柱形状の空間領域である。図7は全歯CT撮影モードの軌道を示している。全歯CT撮影モードでは、図7に示すように、X線検出部9の中心がX線照射部8と旋回アーム6の旋回軸中心206とを結ぶラインの延長線上にくるように旋回アーム6を旋回させながら複数の撮影位置で撮影が行われる。また、全歯CT撮影モードでは、通常、図7に示すように、旋回アーム6の旋回軸中心206は定位置になっている。なお、図7には撮影位置として4箇所が図示されているが、これはあくまで例示であり撮影位置は図示された箇所に限定されるものではない。
全歯CT撮影モードは、上述した局所CT撮影モードに比べて撮影対象が広範囲になりX線検出部9上でのX線ビーム幅Wが広くなるため、その広いX線ビーム幅Wに見合ったX線検出部9のサイズを必要とする。
全顎CT撮影モードは、歯顎領域の全ての範囲を撮影対象とするCT撮影モードである。全顎CT撮影モードの画像再構成範囲は例えば直径161mm高さ100mmの円柱形状の空間領域である。図8は全顎CT撮影モードの軌道を示している。全顎CT撮影モードでは、図8に示すように、X線検出部9の中心がX線照射部8と旋回アーム6の旋回軸中心206とを結ぶラインの延長線上からずれるように旋回アーム6を旋回させながら複数の撮影位置で撮影が行われる。また、全顎CT撮影モードでは、通常、図8に示すように、旋回アーム6の旋回軸中心206は定位置になっている。なお、図8には撮影位置として4箇所が図示されているが、これはあくまで例示であり撮影位置は図示された箇所に限定されるものではない。
全顎CT撮影モードは、X線検出部9の中心をX線照射部8と旋回アーム6の旋回軸中心206とを結ぶラインの延長線上からずらして撮影を行っているので、上述した全歯CT撮影モードよりも画像再構成範囲207を拡大することができる。したがって、X線検出部9のサイズアップを抑えながら歯顎領域の全ての範囲を撮影対象とすることができる
なお、全顎CT撮影モードにおいて、X線検出部9をサイズアップして、X線検出部9上でのX線ビーム幅Wを図8に示す場合よりも拡大し、画像再構成範囲を例えば直径230mm高さ164mmの円柱形状の空間領域にすることで、歯顎領域の全ての範囲のみならず、頭頸部領域の全ての範囲を撮影対象とすることも可能である。
上述したパノラマ撮影モード及びCT撮影モードでは、撮影時に患者歯列弓203が想定した位置(図2、図3、図7、図8に図示した位置)に存在することで、撮影者が意図していた通りの撮影を行うことができる。患者歯列弓203の想定した位置への位置合わせを容易に実現する方法としては、例えば、光ビームを利用する方法を挙げることができる。当該光ビームとしては、例えば、頭の正中線の位置を示す正中線光ビーム、眼窩下縁と外耳道を結ぶ線の位置を示す水平線光ビーム、犬歯の位置(断層撮影の基準位置)を示す断層基準線光ビームなどがあり、これらの光ビームの出力部をX線撮影装置に設け、これらの光ビームを参考にして患者が頭の位置を微調整するとよい。
また、旋回アーム6から離れた位置に設置するセファロ用ユニット(不図示)を用い、セファロ撮影モードでの撮影が行えるようにしてもよい。セファロ用ユニットは、被写体を透過したX線を検出して、被写体をセファロ撮影するためのセファロ用X線検出部と、頭部を固定するための頭部固定部とを備える。セファロ撮影は、歯科矯正の診断等に用いられ、頭部規格X線撮影法(セファロ撮影法)を用いて撮影する。セファロ撮影では、例えば、頭部固定部のイヤーロッドを頭部の左右の外耳孔部に挿入して固定し、旋回アーム6に設けられたX線照射部8からX線を照射して、被写体を透過したX線をセファロ用X線検出部で検出する。
本発明の一実施形態に係るX線撮影装置は、X線撮影装置の本体部1の他に、図9に示す画像処理装置10も備えている。
画像処理装置10は、ROM102やHDD107に格納されているプログラムに従って画像処理装置10全体を制御するCPU101と、固定的なプログラムやデータを記録するROM102と、作業メモリを提供するRAM103と、X線撮影装置の本体部1内に格納されX線撮影装置の本体部1の各部を制御する制御部(不図示)との間で通信を行うための通信インターフェース部104と、画像データを一時的に記憶するVRAM105と、VRAM105に記憶された画像データに基づいて画像を表示する表示部106と、前記制御部及びCPU101が協働してX線撮影動作を制御するための撮影制御プログラム、再構成画像を生成するための画像再構成処理プログラム、散乱線補正処理を行うための散乱線補正処理プログラム等の各種プログラム、各種プログラムを実行する際に用いられる各種パラメータの設定値、並びに、再構成画像データ等の各種データを記憶するHDD107と、キーボード、ポインティングデバイス等の入力部108とを備えている。
画像処理装置10は、画像処理装置10と前記制御部との通信方法は、有線通信でもよく、無線通信でもよく、有線と無線を組み合わせた通信であってもよい。画像処理装置10としては、例えば、パーソナルコンピュータを挙げることができる。なお、画像処理装置10は、画像処理以外に、X線撮影装置の本体部1の遠隔操作、画像表示も行う。HDD107に記憶されている各プログラムは、画像処理装置10にプリインストールされていてもよく、光ディスク等の記憶媒体に格納された形態で流通されて画像処理装置10にインストールされてもよく、ネットワークを介して流通されて画像処理装置10にインストールされてもよい。
散乱線補正処理プログラムを実行すると、画像処理装置10は散乱線補正装置として機能する。散乱線補正処理は画像再構成処理中に割り込んで実施される。
<<散乱線補正処理の前提となる理論>>
散乱線補正処理の内容を説明する前に、散乱線補正処理の前提となる理論について説明する。当該理論は、測定画像のピクセルの輝度値を元に散乱線による輝度値を算出する理論であって、本発明者が独自に構築したものである。本発明者は、モンテカルロシミュレーションの結果を用いて当該理論を構築した。
ここで、モンテカルロシミュレーションの計算のジオメトリーを図10に示す。図10(a)は上面図であり、図10(b)は側面図である。被写体11は、X線焦点8AとX線検出器9Aとの間に配置される。X線検出器9Aはシンチレーター等を備えるフラットパネルディテクターとした。また、X線検出器9Aの手前にはカーボン9Bが設置されている。
モンテカルロシミュレーションの計算において、X線焦点8Aで発生させるX線スペクトルは、実際の撮影において使用するX線管等の仕様に基づいてX線管から放出され、X線検出器9Aの位置でX線検出器9Aの有感領域となるようコリメートされた一様なX線束となるようにした。
被写体については、生体に近づけるため、顎部を想定した直径15cmの円柱形の水ファントム12A、頭部を想定した直径18cmの円柱形の水ファントム12B、頸部を想定した直径13cmの円柱形の水ファントム12Cを図11(a)に示す側面図および図11(b)に示す上面図のように組み合せ、水ファントム12Aの内部に厚さ2mmの円筒状の皮質骨を設置し、水ファントム12Bの内部に厚さ1mmの円筒状の皮質骨を設置し、水ファントム12Aおよび12Cの内部に長径4cm、短径3cm、厚さ3mmの楕円筒状の頸椎部分12Dを設置した。ただし、図11(a)に示す一点鎖線で囲った部分においては、円筒状の皮質骨および頸椎部分12Dをカットした。
モンテカルロシミュレーションの計算においては、図11(a)に示す一点鎖線で囲った部分を金属の設置場所として、金属によるX線の減衰および散乱線を調べることにする。これは、骨があることによる周りからの散乱線の減衰効果を維持しつつ、骨によらない金属のみによる効果を見積もるためである。
まず、図11に示す水ファントムの組み合わせであって、図11(a)に示す一点鎖線で囲った部分に金属を設置しないものを被写体にしてモンテカルロシミュレーションの計算を行う。その計算結果を図12において実線で示す。図12に示すグラフの横軸は白画像における平均輝度値に対する全X線(直接線と散乱線)による輝度値の比であり、図12に示すグラフの縦軸はX線検出器9Aの或るピクセルで検出される全X線量に対するその全X線量に含まれる散乱線量の比である。
白画像における平均輝度値に対する全X線による輝度値の比は被写体のX線照射方向の厚みが薄いほど大きくなる。図12において実線で示されている計算結果より、被写体のX線照射方向の厚みが薄いほど全X線量に対する散乱線量の比が小さくなることが分かる。図12において実線で示されている計算結果は、例えばy=A/(x−C)+Bで近似することができる。A=0.049556、B=0.046501、C=−0.16274とすると、図12において破線で示されている近似曲線が得られる。
次に、下記(1)〜(3)の場合におけるモンテカルロシミュレーションの各計算結果を図13及び図14に示すグラフで比較する。
図13に示すグラフの横軸は図11に示すx軸方向のピクセル位置を示すピクセル番号であり、図13に示すグラフの縦軸は白画像における平均輝度値に対する全X線による輝度値の比である。なお、ピクセル番号が大きいほど、対応するX線検出器9Aのピクセルに入射したX線が透過した被写体の厚みは厚い。図13中の曲線C1は下記(1)の場合に得られる計算結果である。同様に、図13中の曲線C2は下記(2)の場合に得られる計算結果であり、図13中の曲線C3は下記(3)の場合に得られる計算結果である。
また、図14に示すグラフの横軸は図11に示すx軸方向のピクセル位置を示すピクセル番号であり、図14に示すグラフの縦軸はX線検出器9Aの或るピクセルで検出される全X線量に対するその全X線量に含まれる散乱線量の比である。図14中の曲線C11は下記(1)の場合に得られる計算結果である。同様に、図14中の曲線C12は下記(2)の場合に得られる計算結果であり、図14中の曲線C13は下記(3)の場合に得られる計算結果である。
(1)図11に示す水ファントムの組み合わせであって、図11に示す一点鎖線で囲った部分に金属を設置しないものを被写体にした場合
(2)図11に示す水ファントムの組み合わせであって、図11に示す一点鎖線で囲った部分に幅5mm、長さ8cm、厚さ3mmのチタンを、幅方向をz軸、長さ方向をy軸、厚さ方向をx軸に合わせて設置したものを被写体にしてX線の照射方向をx軸に合わせた場合
(3)図11に示す水ファントムの組み合わせであって、図11に示す一点鎖線で囲った部分に幅5mm、長さ8cm、厚さ1mmのAuAgPd合金を、幅方向をz軸、長さ方向をy軸、厚さ方向をx軸に合わせて設置したものを被写体にしてX線の照射方向をx軸に合わせた場合
図13及び図14から、X線検出器9Aのピクセルで検出される全X線による輝度値(測定画像のピクセルの輝度値に相当)が同程度であっても、X線が透過する金属の種類や厚さによって散乱線量が異なることが分かる。
例えば、白画像の平均輝度値が3万であり、X線検出器9Aのピクセルで検出される全X線による輝度値が600である条件すなわち白画像における平均輝度値に対する全X線による輝度値の比が0.02である条件を満たすピクセル番号は、上記(2)の場合は201であり、上記(3)の場合は5である(図13参照)。これらのピクセル番号に対応するピクセルで検出される全X線量に対するその全X線量に含まれる散乱線量の比を図14からから求めると、それぞれ0.491、0.987となり、散乱線による輝度値に変換するとそれぞれ295、592となる。したがって、測定画像のピクセルの輝度値が同じ600であっても、X線がどのような材質の物質を透過したかによって、すなわち、物質の減弱係数の違いによって、散乱線量(測定画像のピクセルの散乱線成分)は異なってくる。
図11に示す水ファントムの組み合わせであって、図11(a)に示す一点鎖線で囲った部分に金属を設置しないものを被写体にしてモンテカルロシミュレーションの計算を行って得られる白画像における平均輝度値に対する全X線による輝度値の比は、被写体のX線照射方向の厚みに応じて異なる(図13中の曲線C1参照)。以下、被写体の着目する部位を透過するX線経路上の骨あるいは金属を皮膚に置き換えた場合にX線検出器9Aのピクセルで得られる輝度値を理想値と呼び、白画像における平均輝度値に対する理想値の比を理想値比と呼ぶ。
理想値比を固定した状態で金属の種類や厚さを変えながら、白画像における平均輝度値に対する全X線による輝度値の比と、X線検出器9Aの或るピクセルで検出される全X線量に対するその全X線量に含まれる散乱線量の比との関係を求めることで図15に示す一つのグラフを得る。例えば、理想値比を0.1に固定した状態で図13及び図14中の白抜き丸、白抜き三角から図15中の白抜き丸、白抜き三角の各点を得て、その各点からy=A/(x−C)+Bの曲線を近似してA、B、Cの各値を求めることで図15中の曲線C2を得ることができる。
そして、理想値比を変更することで、図15に示すそれぞれのグラフを得る。図15中の曲線C21は理想値比が1のグラフであり、図15中の曲線C22は理想値比が0.3のグラフであり、図15中の曲線C23は理想値比が0.1のグラフであり、図15中の曲線C24は理想値比が0.03のグラフである。
ここで、図15中の各曲線はX線撮影の投影角度を或る値に固定した場合に対応するものである。そして、白画像における平均輝度値に対する全X線による輝度値の比と、X線検出器9Aの或るピクセルで検出される全X線量に対するその全X線量に含まれる散乱線量の比との関係を示す曲線は、X線撮影の投影角度に応じて異なる。なぜなら、歯列がX線焦点8Aに近い側に位置するような投影角度のX線撮影に対応する場合には、図11(a)に示す一点鎖線で囲った部分内で金属をX線焦点8Aに近い側に設置し、歯列がX線焦点8Aに遠い側に位置するような投影角度のX線撮影に対応する場合には、図11(a)に示す一点鎖線で囲った部分内で金属をX線焦点8Aに遠い側に設置するといったように、X線撮影の投影角度によって被写体中における金属の設置位置が異なり、この金属の設置位置の違いが金属を透過した直接線を検出するX線検出器9Aのピクセルで検出される散乱線量に影響を与えるからである。
以上により、測定画像のピクセルの輝度値を元に散乱線による輝度値を算出する方法をまとめると、以下のようになる。
[1]測定画像の全てのピクセルについて理想値比を算出する。
[2]理想値比と、白画像における平均輝度値に対する測定画像の輝度値の比と、X線撮影の投影角度とから、測定画像の全てのピクセルの散乱線成分を算出する。
ところで、CT撮影においては余分な被ばくを抑えるためX線の照射範囲がX線検出器9Aの有感領域に一致するようX線焦点8Aの近傍でX線をカットしている。よって、X線検出器9Aの端部に位置するピクセルでは、X線検出器9Aの中央部に位置するピクセルと比較して被写体からの散乱線による影響が少ない。その結果、端部に位置するピクセルでは散乱線成分が減少する。
この減少傾向は、X線検出器9Aの端のピクセルほど強いが、X線検出器9Aの端から離れるにつれて連続的に小さくなり、X線検出器9Aの端から120ピクセル以上離れたX線検出器9Aの中央部ではほぼ0となる。しかし、白画像における平均輝度値に対する全X線による輝度値の比が高いピクセルにおいては、被写体のX線照射方向の厚みが薄いので元々被写体からの散乱線は少ない。このため、理想値比が高いピクセルほど、ピクセルがX線検出器9Aの端部に位置したことによる散乱線成分の減少は小さくなる。したがって、ピクセルがX線検出器9Aの端部の方に位置し、且つ、理想値比が低い場合は、上述した散乱線成分の減少を加味して散乱線成分を求めることが望ましい。
<<散乱線補正処理の内容>>
散乱線補正処理は、理想値比算出処理、散乱線成分算出処理、補正処理に分けられ、理想値比算出処理、散乱線成分算出処理、補正処理の順で実行される。
<理想値比算出処理>
画像処理装置10は、理想値比算出処理において、例えば、512×512ピクセルの測定画像を16×16ピクセルごとにまとめ、横方向32個×縦方向32個の合計1024個の領域に分割し、各領域の理想値比を計算した後に各ピクセルの理想値比を算出する。このような算出手順にした理由は、被写体のX線照射方向の厚みに応じてピクセルの輝度値は徐々に変化するものの、1ピクセルごとに調べていたのでは、各ピクセルの輝度値の誤差が大きいため、輝度値の減少または増加が被写体のX線照射方向の厚みが変化したためであるのか、それとも誤差によるものなのか判別するのが非常に難しくなるからである。なお、上記のピクセルサイズや分割する領域の個数はあくまで例示であり、上記に示した値に限定されない。
また、画像処理装置10は、横方向32個×縦方向32個の領域の各中心位置の理想値比について、まず横方向に領域を移動して得られる32個の曲線(横方向の領域をx、白画像における平均輝度値に対する中心位置の全X線による輝度値の比をyとして得られる曲線)を測定画像と図11に示す水ファントムの組み合わせであって、図11(a)に示す一点鎖線で囲った部分に金属を設置しないものを被写体にしてモンテカルロシミュレーションの計算を行って得られるデータとからそれぞれ算出し、次に縦方向に領域を移動して得られる32個の曲線(縦方向の領域をx、白画像における平均輝度値に対する中心位置の全X線による輝度値の比をyとして得られる曲線)を測定画像と図11に示す水ファントムの組み合わせであって、図11(a)に示す一点鎖線で囲った部分に金属を設置しないものを被写体にしてモンテカルロシミュレーションの計算を行って得られるデータとからそれぞれ算出するという手順で理想値比算出処理を行う。なお、本実施形態では、各領域を代表する理想値比としてそれぞれの中心位置の理想値比を採用しているが、各領域を代表する理想値比はこれに限定されることはなく、例えば、各領域において領域全体の理想値比の平均値を求め、各領域を代表する理想値比として各平均値を採用してもよい。
測定画像を対象として横方向に輝度値の高い方から低い方へ行う方向で領域を移動したとき、白画像における平均輝度値に対する中心位置の全X線による輝度値の比は、骨部分に入るまでの皮膚のみの部分においては基本的にy=A/(x−C)+Bの曲線に従って変化し、皮膚のみの部分から骨部分に入ると当該曲線から外れて大きく落ち込む。また、当該曲線(xの範囲は骨部分に入るまでの皮膚のみの部分に限定)と図13中の曲線C1とは必ずしも一致しない。
そこで、画像処理装置10は、当該曲線(xの範囲は骨部分に入るまでの皮膚のみの部分に限定)と図13中の曲線C1とが一致するように、図13中の曲線C1をx軸方向に伸縮処理或いは縮小処理し、x軸方向に伸縮処理或いは縮小処理した後の図13中の曲線C1に基づいて領域の中心位置の理想値比を算出する。
しかし、X線を被写体の背面付近から照射する場合および正面付近から照射する場合については、皮膚のみの部分の範囲が極端に狭くなってしまうため、測定画像を対象として横方向に輝度値の高い方から低い方へ行う方向で領域を移動したときに求まる理想値比の算出精度が悪くなってしまう。
一方、縦方向に関しては、顎部や頸部等の広い範囲で皮膚のみの部分がある。そこで、X線を被写体の背面付近から照射する場合や正面付近から照射する場合に対応する投影角度においては、横方向に領域を移動させたときの理想値比の計算で皮膚のみの部分がある範囲以下となった時点で、縦方向に領域を移動させたときの理想値比の計算に切り替え、端から例えば5列分について縦方向に領域を移動させたときの理想値比の計算を行うようにする。この縦方向に領域を移動させたときの理想値比の計算結果から得られる値を、皮膚のみの部分から得られる理想値比と仮定することによって、皮膚のみの部分から理想値比を算出することが困難だった横方向に領域を移動させたときの理想値比の算出が可能となるので、その後横方向に領域を移動させたときの理想値比の計算を再開する。
横方向に領域を移動させたときの理想値比の計算は各行で行うため、図13中の曲線C1に対するx軸方向の伸縮処理或いは縮小処理の程度も各行で異なる。このため、縦方向の理想値比の変化が滑らかではなく、凸凹になることが多い。そこで、縦方向についても理想値比の変化を滑らかにする処置を施す必要がある。ただし、横方向の場合と同様の処置を行ったのでは、次は横方向の理想値比の変化がまた凸凹になってしまうので、本実施形態では、最小二乗法を利用することにした。
y=A/(x−C)+Bに最小二乗法を適用すると非常に複雑になり、A、B、Cの値を求めることができない。そこで、理想値比に対して対数z=logyをとると、zは局所的にはxに比例することから、z=Ax+Bについて最小二乗法を適用し、その後にzをyに戻すことで、理想値比を算出するようにした。本実施形態は、最小二乗法を適用する範囲を4つに分割し、それぞれについて境界が滑らかになるようにしつつ別々に最小二乗法を適用した。なお、最小二乗法を適用する範囲の分割数は4つ以外であってもよい。
さらに、画像処理装置10は、上述した手順で算出した各領域の理想値比の変化をより滑らかにするため、各領域を注目領域の対象とし、注目領域の周りの領域の理想値比の平均値を注目領域の理想値比とする平滑化処理を行う。
理想値比算出処理の最後において、画像処理装置10は、各領域の中心位置の理想値比に基づいて各ピクセルの理想値比の値を算出する。例えば、理想値比の値の算出対象であるピクセルが、隣り合う領域の中心位置同士を結ぶ線分上に位置する場合は、当該線分上で理想値比が線形的に変化するものとし、理想値比の値の算出対象であるピクセルが、隣り合う領域の中心位置同士を結ぶ線分上に位置しない場合は、当該ピクセルを囲む四つの中心位置の理想値比を利用し、まず当該ピクセルと横方向の座標が同一であって横方向に隣り合う一組の領域の中心位置同士を結ぶ線分上に位置する第1の点の理想値比を当該線分上で理想値比が線形的に変化するものとして算出し、次に当該ピクセルと横方向の座標が同一であって横方向に隣り合うもう一組の領域の中心位置同士を結ぶ線分上に位置する第2の点の理想値比を当該線分上で理想値比が線形的に変化するものとし算出し、そして第1の点と第2の点とを結ぶ線分上に位置する場合は、当該線分上で理想値比が線形的に変化するものとすることで各ピクセルの理想値比の値を算出できるが、他の方法で各ピクセルの理想値比の値を求めてもよい。例えば、上記の方法において横方向を縦方向に置き換えてもよい。
<散乱線成分算出処理>
画像処理装置10は、測定画像のピクセル毎に、上述した理想値比算出処理で算出した理想値比と、白画像における平均輝度値に対する測定画像の輝度値の比と、X線撮影の投影角度とから、図15に示す曲線のデータを用いて測定画像の散乱線成分を算出する。図15に示す曲線のデータは、y=A/(x−C)+Bの定数A、B、Cの各値が、理想値比と投影角度とに関連付けられたデータテーブルの形式でHDD107に記憶されている。
ここで、画像処理装置10は、ピクセルがX線検出器9Aの端部の方に位置し、且つ、理想値比が低い場合は、上記の通り算出した散乱線成分を減少させる修正処理を行うようにしてもよい。
<補正処理>
画像処理装置10は、測定画像のピクセル毎に、測定画像のピクセルの輝度値から、上述した散乱線成分算出処理で算出した散乱線成分を除去する補正処理を行う。これにより、X線撮影で得られる測定画像から散乱線成分を低減した画像を直接的に導出することができる。
測定画像の輝度値には被写体やフラットパネルディテクターからの散乱線も反映されるので、Auの含有量の多いAuAgPd合金のようにX線を全く通さない金属が被写体であっても、必ず測定画像に輝度値が現れることになる。金属アーチファクト除去操作の過程において、散乱線成分が含まれたままであると金属部分をうまく抽出することができないため、金属アーチファクトを十分に除去することができない。しかし、散乱線成分を取り除くことによりこれら金属部分の透過X線を正確に算出することができれば、金属アーチファクトを除去できることが期待できる。
また、歯科用のCT撮影では一般に正確なCT値を算出することができない。これは、被写体やフラットパネルディテクターからの散乱線が主な原因であると考えられる。しかし、測定画像から散乱線成分を取り除くことができれば、データとして得られるのは被写体のX線減弱によって得られる透過X線による輝度値のみとなる。したがって、より正確なCT値を算出できることが期待できる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
例えば、X線撮影の撮影範囲が制限されている等の理由により、X線撮影の投影角度が変わっても白画像における平均輝度値に対する全X線による輝度値の比と、X線検出器9Aの或るピクセルで検出される全X線量に対するその全X線量に含まれる散乱線量の比との関係を示す曲線がほとんど変化しない場合には、散乱線成分算出処理において画像処理装置10が、測定画像のピクセル毎に、上述した理想値比算出処理で算出した理想値比と、白画像における平均輝度値に対する測定画像の輝度値の比との二つのみから、図15に示す曲線のデータを用いて測定画像の散乱線成分を算出するようにしてもよい。
上述した実施形態において説明した歯科用あるいは耳鼻科用等のX線撮影装置では、被写体が人間の頭部に限定されている。ただし、本発明は被写体が人間の頭部である場合に限定されるものではない。被写体が人間の頭部でない場合は、モンテカルロシミュレーションにおいて使用する被写体のモデルを、図11に示すモデルではなく、実際の被写体に適したモデルにすればよい。
1 本発明の一実施形態に係るアーム型X線撮影装置の本体部
2 ベース
3 下部ポール
4 上部ポール
5 固定アーム
6 旋回アーム
7 頭部保持部
8 X線照射部
8A X線焦点
8B X線絞り
9 X線検出部
9A X線検出器
9B カーボン
10 画像処理装置
11 被写体
12A〜12C 水ファントム
12D 頸椎部分
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 通信インターフェース部
105 VRAM
106 表示部
107 HDD
108 入力部
201 仮想歯列弓
202 包絡仮想歯列弓
203 患者歯列弓
204、205 仮想線
206 旋回アームの旋回軸中心
207 画像再構成範囲
P1 撮影開始位置
P2 撮影終了位置
W X線検出部上でのX線ビーム幅

Claims (8)

  1. X線撮影で得られる測定画像に対して散乱線補正を行う散乱線補正装置であって、
    正規化された全X線による輝度値である正規化理想値を前記測定画像の各ピクセルについて算出する正規化理想値算出部と、
    前記測定画像のピクセル毎に、前記正規化理想値と、正規化された前記測定画像の輝度値とから、前記測定画像の散乱線成分を算出する散乱線成分算出部と、
    前記測定画像のピクセル毎に、前記測定画像のピクセルの輝度値から、前記散乱線成分算出処理部で算出した散乱線成分を除去する補正処理部と、
    正規化された全X線による輝度値と、全X線量に対するその全X線量に含まれる散乱線量の比との関係を記憶する記憶部とを備え、
    前記関係は、固定した前記正規化理想値それぞれで別々の曲線関係であって、
    前記散乱線成分算出部が、前記記憶部によって記憶されている前記関係を用いて、前記測定画像の散乱線成分を算出することを特徴とする散乱線補正装置。
  2. 前記正規化理想値が、被写体の着目する部位を透過するX線経路上の骨あるいは金属を皮膚に置き換えた場合に得られ、
    前記関係は、前記正規化理想値を固定した状態で、被写体が金属を含まない場合、前記被写体が第1の金属を含む場合、及び前記被写体が前記第1の金属と異なる種類の第2の金属を含む場合に基づいて求まる曲線関係である請求項1に記載の散乱線補正装置。
  3. 前記散乱線成分算出部が、前記測定画像のピクセル毎に、前記正規化理想値と、正規化された前記測定画像の輝度値と、前記X線撮影の投影角度とから、前記測定画像の散乱線成分を算出する請求項1または請求項2に記載の散乱線補正装置。
  4. 前記記憶部が、前記関係を示す関数で用いられる定数の値を、前記正規化理想値に関連付けられたデータテーブルの形式で記憶する請求項1〜3のいずれか1項に記載の散乱線補正装置。
  5. 前記正規化理想値算出部が、前記測定画像をそれぞれの領域が複数のピクセルの集合体である複数の領域に分割し、領域を代表する全X線による輝度値を領域毎に求め、領域を代表する全X線による輝度値を参照して前記正規化理想値を算出する請求項1〜4のいずれか1項に記載の散乱線補正装置。
  6. 前記正規化理想値算出部が、シミュレーションによって求めた前記正規化理想値を、領域を代表する全X線による輝度値を参照して修正し、修正後の前記正規化理想値を算出結果とする請求項5に記載の散乱線補正装置。
  7. X線撮影で得られる測定画像に対して散乱線補正を行う散乱線補正方法であって、
    正規化された全X線による輝度値である正規化理想値を前記測定画像の各ピクセルについて算出する正規化理想値算出ステップと、
    前記測定画像のピクセル毎に、前記正規化理想値と、正規化された前記測定画像の輝度値とから、前記測定画像の散乱線成分を算出する散乱線成分算出ステップと、
    前記測定画像のピクセル毎に、前記測定画像のピクセルの輝度値から、前記散乱線成分算出処理ステップで算出した散乱線成分を除去する補正処理ステップと、
    正規化された全X線による輝度値と、全X線量に対するその全X線量に含まれる散乱線量の比との関係を記憶する記憶ステップ とを備え、
    前記関係は、固定した前記正規化理想値それぞれで別々の曲線関係であって、
    前記散乱線成分算出ステップが、前記記憶ステップによって記憶されている前記関係を用いて、前記測定画像の散乱線成分を算出することを特徴とする散乱線補正方法。
  8. 被写体に対してX線を照射するX線照射部と、
    前記被写体を透過したX線を検出するX線検出部と、
    前記X線検出部の検出結果を用いて測定画像を生成する測定画像生成部と、
    前記測定画像を対数変換して投影画像を生成する投影画像生成部と、
    前記測定画像に対して散乱線補正を行う請求項1〜6のいずれか1項に記載の散乱線補正装置とを備えることを特徴とするX線撮影装置。
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