《1》実施の形態1
《1−1》実施の形態1の構成
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置1の縦断面形状を示す概略構成図である。実施の形態1に係る画像形成装置1は、例えば、電子写真方式を採用するカラープリンタである。図1に示されるように、実施の形態1に係る画像形成装置1は、主要な構成として、電子写真方式により用紙などのシート状部材である記録媒体P上に現像剤像(トナー像)を形成する画像形成部10K,10Y,10M,10Cと、画像形成部10K,10Y,10M,10Cに記録媒体Pを供給する媒体供給部(給紙部)30と、記録媒体Pを搬送する搬送部40と、画像形成部10K,10Y,10M,10Cの各々に対応するように配置された転写ローラ(転写装置)50と、記録媒体P上に転写されたトナー像を記録媒体P上に定着させる定着装置としての定着器60と、定着器60を通過した記録媒体Pを画像形成装置1の外部に排出する媒体排出部(排紙部)70とを有する。なお、図1には、4つの画像形成部10K,10Y,10M,10Cが示されているが、画像形成装置1が有する画像形成部の数は、3以下又は5以上であってもよい。また、図1には、画像形成装置1がカラープリンタである場合が示されているが、本発明は、電子写真方式によって記録媒体上に画像を形成する装置であれば、画像形成部の数が1つであるモノクロプリンタにも適用可能である。さらに、図1には、画像形成装置1がプリンタである場合が示されているが、本発明は、電子写真方式によって記録媒体上に画像を形成する装置であれば、複写機、ファクシミリ装置、多機能周辺装置(MFP)などのような他の装置にも適用可能である。
図1に示されるように、画像形成装置1は、上部に開口部を有する構造体である筐体2と、筐体2の開口部を開閉する蓋体としてのカバー3と、カバー3が開口部を塞がない開状態及び開口部を塞ぐ閉状態のいずれの状態にあるかを検出する蓋体開閉検出部としてのカバー開閉検出部4とを備えている。カバー3は、例えば、回転中心軸3aを中心にして矢印D11方向に回動して開状態になり、回転中心軸3aを中心にして開状態から矢印D12方向に回動して閉状態になる。なお、筐体2の構造及び筐体2の開口部の位置、並びに、カバー3の位置、構造、及び開閉動作は、上記の例に限定されない。図1の例では、画像形成部10K,10Y,10M,10C、媒体供給部30、搬送部40、転写ローラ50、定着器60、及び媒体排出部70の構成は、筐体2及びカバー3の内部に備えられている。
図1に示されるように、媒体供給部30は、媒体カセット(用紙カセット)31と、媒体カセット31内に積載された記録媒体Pを1枚ずつ繰り出す給紙ローラ(ホッピングローラ)32と、媒体カセット31から繰り出された記録媒体Pを搬送するローラ33と、記録媒体Pを画像形成部10K,10Y,10M,10Cに向けて搬送するローラ対34とを有する。媒体カセット31は、画像形成装置1の筐体2の内部に着脱自在に装着される。媒体カセット31に積載されている記録媒体Pは、給紙ローラ32によって1枚ずつ取り出され、取り出された記録媒体Pは、媒体搬送路を矢印D1方向及び矢印D2方向に進んで画像形成部10K,10Y,10M,10Cに送られる。
画像形成部10K,10Y,10M,10Cは、記録媒体P上にブラック(K)色のトナー像、イエロー(Y)色のトナー像、マゼンタ(M)色のトナー像、及びシアン(C)色のトナー像をそれぞれ形成する。画像形成部10K,10Y,10M,10Cは、媒体搬送路に沿って媒体搬送方向(矢印D3方向)の上流側から下流側に向けて並んで配置されている。画像形成部10K,10Y,10M,10Cは、着脱自在に形成された各色用の画像形成ユニット12K,12Y,12M,12Cをそれぞれ有している。直列に配列された画像形成ユニット12K,12Y,12M,12Cは、画像形成部10K,10Y,10M,10Cの各色に対応して備えられ、画像形成ユニット12Cはシアンのトナー(現像剤)により画像を形成し、画像形成ユニット12Mはマゼンタのトナー(現像剤)により画像を形成し、画像形成ユニット12Yはイエローのトナー(現像剤)により画像を形成し、画像形成ユニット12Kはブラックのトナー(現像剤)により画像を形成する。画像形成ユニット12K,12Y,12M,12Cは、トナーの色が異なる点以外は、互いに基本的に同一の構造を有する。また、画像形成部10K,10Y,10M,10Cは、各色用の露光装置としての露光用光学ユニット11K,11Y,11M,11Cをそれぞれ有している。露光用光学ユニット11K,11Y,11M,11Cは、カバー3の内面に取り付けられている。ユーザは、カバー3を開状態にすることによって、画像形成ユニット12K,12Y,12M,12Cの各々を交換することができる。露光用光学ユニット11K,11Y,11M,11Cには、各色の画像データに基づく駆動信号がそれぞれ入力され、入力された駆動信号に応じた露光用の光を感光ドラム13に照射する。
図2は、図1に示される画像形成部10K,10Y,10M,10Cの1つの縦断面形状を拡大して示す概略構成図である。図1及び図2に示されるように、画像形成ユニット12K,12Y,12M,12Cの各々は、回転中心軸13aを中心にして回転可能に支持された像担持体としての感光ドラム13と、感光ドラム13の表面を一様に帯電させる帯電部材としての帯電ローラ14と、露光用光学ユニット(11K,11Y,11M,11Cのいずれか)による露光によって感光ドラム13の表面に静電潜像を形成した後に、感光ドラム13の表面にトナーを供給して静電潜像に対応するトナー像を形成する現像装置15と、清掃部材としてのクリーニングブレード16とを有する。
感光ドラム13は、アルミニウム等の金属パイプ状(円筒状)の導電性支持体と、この導電性支持体の表面を被覆する光導電層とを有する。感光ドラム13は、モータなどの駆動部からの駆動力によって回転中心軸13aを中心にして回転する。
帯電ローラ14は、金属シャフト状の導電性支持体と、この外周を被覆するエピクロロヒドリンゴム等の半導電性ゴム層とを有する。帯電ローラ14が感光ドラム13の表面を帯電させる方式は、帯電ローラ14を感光ドラム13の表面に接触させる方式に限られず、帯電ローラ14と感光ドラム13との間に空隙を設けて非接触による帯電方式とすることもできる。また、帯電部材として、帯電ローラ14に代えて、ワイヤ状の部材である帯電ワイヤを用いることができる。帯電部材として帯電ワイヤを採用する場合には、帯電ワイヤから感光ドラム13に放電することにより感光ドラム13の表面が帯電する。
クリーニングブレード16は、回転する感光ドラム13の表面に残留するトナー及びトナーから剥離した外添剤などの残留物を掻き落として、残留物を回収容器17内に回収する。クリーニングブレード16は、例えば、ウレタンゴム等から構成されたゴムブレードである。ただし、清掃部材は、クリーニングブレード16のようなブレード状の部材に限られず、トナー152を掻き落とすことができる部材であれば、ブラシ状の部材などのような他の部材を採用してもよい。
現像装置15は、トナー(現像剤)152を収容する現像剤収容スペースを形成する現像剤収容部としてのトナー収容部151と、トナー収容部151の上部開口部151aからトナー収容部151内に新しいトナーを補充するトナーカートリッジ(現像剤カートリッジ)153とを有する。また、現像装置15は、回転中心軸154aを中心にして回転可能に支持され、感光ドラム13の表面にトナーを供給する現像剤担持体としての現像ローラ154と、トナー収容部151内に収容されたトナーを現像ローラ154に供給する供給ローラ155と、現像ローラ154の表面のトナー層の厚さを規制する現像剤規制部材(トナー規制部材)としての現像ブレード156と、トナー収容部151内に収容されているトナーの量(すなわち、トナーの残量)に対応する信号を現像剤量検出部(後述の図3の構成157a)に送るトナー量検出部材(現像剤量検出部材)157とを有する。トナー量を検出する方式としては、既知の方式を採用すればよい。例えば、トナー収容部151の内部で回転するトナー撹拌用の金属バーと、金属バーが上死点から回転しながら落下して停止したときの位置を検出する光学センサとを含む機構をトナー量検出部材として採用することができる。
トナー152は、例えば、非磁性一成分現像剤である。トナー152は、例えば、結着樹脂としてポリエステルを用い、着色剤としてカーボンブラック、銅フタロシアニン顔料「Color Index(C.I.) Pigment Blue15」、キナクリドン系顔料「C.I. Pigment Red122」、又は顔料「C.I. Pigment Yellow185」などを用いた、非磁性一成分の負帯電性トナーである。トナー152の体積平均粒子径は、例えば、5.8[μm]であり、流動化剤、保存性及び帯電性をコントロールすることを目的とするシリカ、及び酸化チタンなどの添加剤が外添剤として使用されている。
トナーカートリッジ153は、画像形成部10K,10Y,10M,10Cの各色に対応して備えられ、画像形成ユニット12Cのトナーカートリッジ153は、シアン(C)のトナーを貯蓄し、画像形成ユニット12Mのトナーカートリッジ153は、マゼンタ(M)のトナーを貯蓄し、画像形成ユニット12Yのトナーカートリッジ153は、イエロー(Y)のトナーを貯蓄し、画像形成ユニット12Kのトナーカートリッジ153は、ブラック(K)のトナーを貯蓄する。トナーカートリッジ153の各々は、トナー収容部151内に上部開口部からトナーを供給する供給口を有する。
トナー収容部151内には、感光ドラム13に接触している現像剤担持体(トナー担持体)としての現像ローラ154と、トナー152を現像ローラ154上に供給する供給ローラ155と、現像ローラ154上のトナー152を薄層化するトナー規制部材(現像剤規制部材)としての現像ブレード156と、トナー収容部151内のトナー152の残量を検出する現像剤量検出部材としてのトナー量検出部材157とが備えられている。現像ローラ154は、金属製のシャフト状の導電性部材と、その外周を被覆する半導電性のシリコーンゴムなどの弾性体層とを有する。供給ローラ155は、金属製のシャフト状の導電性部材と、その外周を被覆するシリコーンスポンジ発泡体層とを有する。供給ローラ155の表面は、現像ローラ154の表面に接触している。現像ローラ154に当接している現像ブレード156は、例えば、厚さ0.08[mm]のばね性を持ったステンレス鋼板から形成される。また、現像ブレード156が現像ローラ154と当接している部分は、曲率が0より大きい曲面形状を有している。トナー量検出部材157によるトナー残量の検出方法は、トナー収容部151の内のトナーの残量を知らせることができる機構であれば特に限定されず、既知の方法を用いることができる。トナー量検出部材157は、例えば、トナー収容部151の内部で回動するトナー撹拌部材であるクランク形状の金属バーと、トナー撹拌部材を回動させる駆動部と、トナー撹拌部材の位置を検出する機構とから構成することができる。例えば、この金属バーは、駆動部からの駆動力を受けて回動した後に、上死点から重力によって回転して落下し、トナー収容部151内に堆積しているトナーの最上面に載るようにして回動を停止させる。このときの、金属バーの回転角(位置)を計測することによって、トナー収容部151内に堆積しているトナーの残量を計測することができる。
露光用光学ユニット11K,11Y,11M,11Cによる露光は、一様帯電した感光ドラム13の表面に入力画像データに基づいて実行される。露光用光学ユニット11K,11Y,11M,11Cの各々は、感光ドラム13の軸線方向に複数のLED(発光ダイオード)素子が配列されたLEDアレイを含むLEDヘッドである。ただし、露光用光学ユニットとして、レーザ照射部とポリゴンミラー(走査用の回転多面鏡)とを有するレーザスキャニングユニットを採用してもよい。
図1に示されるように、搬送部40は、記録媒体Pを静電吸着して搬送する搬送ベルト(転写ベルト)43と、駆動部により回転されて搬送ベルト43を駆動するドライブローラ(駆動ローラ)41と、ドライブローラ41と対を成して搬送ベルト43を張架するテンションローラ(従動ローラ)42と、搬送ベルト43上に残留したトナーを掻き取ってクリーニングする転写ベルトクリーニングブレード44と、転写ベルトクリーニングブレード44により掻き取られることで回収されたトナーを収容する廃棄トナータンク45とを有する。
図1に示されるように、転写ローラ50は、搬送ベルト43を挟んで画像形成ユニット12K,12Y,12M,12Cの各々の感光ドラム13に対向して配置されている。転写ローラ50によって、画像形成ユニット12K,12Y,12M,12Cの各々の感光ドラム13の表面に形成された現像剤像(トナー像)は、媒体搬送路に沿って矢印D3方向に搬送される記録媒体Pの上面に順に転写されて、複数のトナー像が重ねられたカラー画像、又はブラック色のトナー像のみが転写されたモノクロ画像が形成される。
図1に示されるように、定着器60は、互いに圧接し合う一対のローラ61,62を有する。ローラ61は、加熱ヒータを内蔵する加熱ローラ(ヒートローラ)であり、ローラ62はローラ61に向けて押し付けられる加圧ローラである。転写ローラ50によって転写された未定着の現像剤像(トナー像)を有する記録媒体Pは、定着器60の一対のローラ61,62間を通過する。このとき、未定着のトナー像は、加熱及び加圧されて記録媒体P上に定着される。
図1に示されるように、媒体排出部70は、互いに圧接し合って対向する一対のローラから成る搬送ローラ対71を有する。搬送ローラ対71を構成するローラの表面は、例えば、プラスチック等の剛体又はゴム等の弾性体で形成される。搬送ローラ対71を構成するローラは、モータと回転駆動力を伝達する歯車などから構成される動力伝達機構とからなる駆動部に連結されており、回転して記録媒体Pを搬送する。媒体排出部70の構成は、図1の例に限定されず、他のローラ対、記録媒体Pの通過を検出するセンサなどの他の構成をさらに備えてもよい。
図3は、画像形成装置1の制御系の要部構成を示すブロック図である。図3に示されるように、画像形成装置1は、制御部80と、温度検出部5と、トナー量検出部157aと、駆動部83と、電圧制御部としての高圧制御部84と、カバー開閉検出部(蓋体開閉検出部)4とを備えている。
制御部80は、画像形成装置1の全体に係る機能を制御する。制御部80は、印刷処理部81と、空転処理部82と、記憶部86とを有する。
印刷処理部81は、パーソナルコンピュータなどのような上位装置から印刷命令を受け取り、受け取った印刷情報に基づいて印刷条件を設定するための制御を行う。空転処理部82は、空転処理の条件を制御する。
温度検出部5は、画像形成装置1内の温度を測定し、温度情報を制御部80に供給する。温度検出部5の温度検出位置(例えば、センサの設置場所)は、任意に選択可能であるが、トナー収容部151内のトナー152の温度に対応する温度を測定できる場所であることが望ましい。トナー量検出部157aは、トナー収容部151内に残留するトナーの量を検出する。
駆動部83は、モータなどの駆動手段によって、各ローラ、例えば、帯電ローラ14、現像ローラ154、供給ローラ155、又は転写ローラ50等の画像形成装置1内に備えられた各種ローラ等を駆動させる。
高圧制御部84は、帯電ローラ14、現像ローラ154、供給ローラ155、現像ブレード156、及び転写ローラ50の各々に電圧を印加する。
制御部80の空転処理部82は、トナー量検出部157aによって検出されたトナーの量に基づいて新たなトナーがトナー収容部151内に補充されたことを検出した場合に、温度検出部5によって検出された温度に基づいた所定の時間、トナーが補充された画像形成ユニットの感光ドラム13及び現像ローラ154が回転する回転処理としての空転処理を行うように、駆動部83及び高圧制御部84を制御する。制御部80は、例えば、トナー量検出部157aによって検出されたトナーの量が、所定の第1の基準量A1以下になったことを検出した後に、第1の基準量A1以上である所定の第2の基準量A2より大きくなったことを検出した場合に、新たなトナーが補充されたと判断することができる。なお、使用される第2の基準量と第1の基準量とは、同じ値であってもよい。ここで、空転処理とは、感光ドラム13、帯電ローラ14、現像ローラ154、現像ブレード156などに、画像形成時(印刷動作時)とは異なる電圧を印加し、現像ローラ154から感光ドラム13にトナーが移動しない条件として、感光ドラム13及び現像ローラ154を回転させる、回転処理であって、感光ドラム13の清掃用の処理である。例えば、高圧制御部84は、現像ローラ154が静電潜像を担持する感光ドラム13にトナーを供給する画像形成動作時において、帯電ローラ14に所定の第1の帯電電圧Vc1を印加し、現像ローラに所定の第1の現像電圧Vd1を印加する。また、高圧制御部84は、現像ローラ154から感光ドラム13にトナーを供給しない清掃用の空転処理において、感光ドラム13を回転させても感光ドラム13にトナー152を付着させない条件で、帯電ローラ14に第1の帯電電圧Vc1よりも絶対値が低い電圧である所定の第2の帯電電圧Vc2を印加し、現像ローラ154に第1の現像電圧Vd1よりも絶対値が高い電圧である所定の第2の現像電圧Vd2を印加し、表面が帯電された感光ドラム13の表面と現像ローラ154との間の電位差を感光ドラム13にトナー152が移動しない電位差にする。このように、画像形成時と異なる電圧を印加しても、空転処理時に現像ローラ154から感光ドラム13にトナーが移動しない条件を設定することができる。
また、制御部80は、予め記憶部86に記憶されている第1の空転処理時間(第1の回転処理時間)t1及び第2の空転処理時間(第2の回転処理時間)t2を用いて、例えば、温度検出部5によって検出された温度が第1の基準温度Tth1よりも高い場合における所定の時間である第2の空転処理時間t2が、温度検出部5によって検出された温度が第1の基準温度Tth1以下である場合における所定の時間である第1の空転処理時間t1よりも長くなるように、第1の空転処理時間t1及び第2の空転処理時間t2を設定することができる。ここで、第2の空転処理時間t2は、例えば、1分(=60秒)であり、第1の空転処理時間t1は、例えば、0分(=0秒)であり、第1の基準温度Tth1は、20[℃]である。
また、制御部80は、予め記憶部86に記憶されている第2の空転処理時間t2及び第3の空転処理時間(第3の回転処理時間)t3を用いて、例えば、温度検出部5によって検出された温度が第2の基準温度Tth2よりも高い場合における所定の時間である第3の空転処理時間t3が、温度検出部5によって検出された温度が第2の基準温度Tth2以下である場合における所定の時間である第2の空転処理時間t2よりも長くなるように、第2の空転処理時間t2及び第3の空転処理時間t3を設定することができる。ここで、第2の空転処理時間t2は、例えば、1分(=60秒)であり、第3の空転処理時間t3は、例えば、2分(=120秒)であり、第2の基準温度Tth2は、26[℃]である。
《1−2》実施の形態1の動作
次に、実施の形態1に係る画像形成装置1の動作を説明する。記録媒体Pに画像形成を開始する場合(画像形成時)、高圧制御部84から感光ドラム13の表面に接触している帯電ローラ14に−1100[V](=Vc1)の直流電圧が印加され、感光ドラム13の表面を均一に帯電(一様帯電)させる。そして、高圧制御部84から現像ローラ154に−200[V](=Vd1)、供給ローラ155及び現像ブレード156にそれぞれ−300[V]の直流電圧が印加される。駆動部83のモータ及び駆動力伝達機構により、感光ドラム13、現像ローラ154、供給ローラ155は、図1又は図2に矢印で示す方向に回転する。露光用光学ユニット11K,11Y,11M,11Cにより画像信号に基づく静電潜像を感光ドラム13の表面に形成させる。感光ドラム13の表面に形成された静電潜像に、現像ローラ154によりトナーを供給して、感光ドラム13の表面にトナー像を形成する(すなわち、静電潜像を顕像化する)。
図1において、画像形成部10K,10Y,10M,10C内に収容されているトナー152は、供給ローラ155内のセル目に保持され、供給ローラ155と現像ローラ154との間で擦られることで、負極性の電荷を担持する。そして、電荷を担持したトナー152は、供給ローラ155と現像ローラ154の電位差によって生じる電界により、現像ローラ154上に付着する。現像ローラ154上のトナー152は、現像ブレード156によって均一なトナー層厚に規制される。また、現像ブレード156と現像ローラ154とによって擦られることにより摩擦帯電される。現像ローラ154上のトナー152は、感光ドラム13上の静電潜像まで搬送され、静電潜像と現像ローラ154との間の電位差によりトナー152が感光ドラム13の表面に付着し、現像される。
一方、駆動部83によりホッピングローラ32が回転することで、媒体カセット31内の記録媒体Pが1枚ずつ取り出され、この記録媒体Pはローラ33とローラ対34により無端状の搬送ベルト43上に運ばれる。
駆動ローラ41と従動ローラ42により、搬送ベルト43は図1に示す矢印D3方向に回転し、搬送ベルト43上の記録媒体Pは搬送ベルト43の移動に伴って矢印D3方向に移動する。
搬送ベルト43を挟んで感光ドラム13の反対側に配置されている転写ローラ50には、高圧制御部84からバイアス電圧が印加され、転写ローラ50と感光ドラム13上の静電潜像及びトナー152との電位差によりトナー152が記録媒体Pに転写される。記録媒体Pに転写されなかった感光ドラム13上のトナー152はクリーニングブレード16によって、感光ドラム13上から除去される。
画像形成装置1の内部が高温になるほど、トナー152が柔らかくなり、トナー152の付着力が増加する。そのため、感光ドラム13上に付着するトナー152が多くなり、感光ドラム13上に付着する外添剤の割合も多くなる。この結果、クリーニングブレード16は、感光ドラム13上に付着したトナー152及び感光ドラム13上に付着した外添剤を十分に掻き取りにくくなり、一部の外添剤が残留したまま次の画像形成プロセスが行われるので、次の画像形成プロセスにおいて記録媒体P上にチリ汚れが発生しやすくなる。
トナー152が転写された記録媒体Pは、定着器60に搬送され、定着器60によって与えられる熱と圧力によりトナー152が溶融し、記録媒体Pに定着される。定着器60を通過した記録媒体Pは、排出用のローラ対71により画像形成装置1の外部に排出される。搬送ベルト43上に残ったトナーなどの残留物は、トナー除去部材としての転写ベルトクリーニングブレード44により除去される。
実施の形態1に係る画像形成装置1において、トナー量検出部材157のクランク形状の金属バーは、回転自在になっており、駆動部83からの回転駆動力を受けて押し上げられ回転し、金属バーが最上位置(上死点)に達した後に重力によって回転落下する。したがって、トナー152の残量が少なく、トナー収容部151内に堆積するトナーの上面が低い場合には、クランク部は駆動機構に押されて上死点に達した後、残留するトナー152の上面に向かって自重落下する。クランク部が所定の高さより下に位置する時間は、残量トナーが多い場合は短く、残量トナーが少ない場合は長い。したがって、トナー量検出部材157が所定の高さより下にある時間と回転周期との比率によりトナー残量を検出することができる。
トナー量検出部材157が所定の高さより下にある時間と回転周期との比率に対して、閾値を設けることで、残留トナー152が少ない第1の残量レベルであるトナーロー(残トナー量少)の状態と残留トナー152が多い第2の残量レベルであるトナーフル(残トナー量多)の状態との2つの残量レベルを検出することができる。
トナーローが検出されると、トナーカートリッジ153の補充が必要となる。トナーカートリッジ153を交換した時は、トナー収容部151内に外添剤が多く付着している状態である新品のトナー152が多く存在する。また、感光ドラム13上に外添剤やトナー152が残存しやすい印刷デューティ(印刷Duty)の高い印刷をすると、感光ドラム13上には多くの外添剤が残存するため、クリーニングブレード16で外添剤を十分に掻き取ることができなくなる。そのため、トナーカートリッジ153を交換したときに、駆動部83により感光ドラム13を回転させる、清掃用の空転処理(空回り処理)を実施する。空転処理時は、感光ドラム13が回転することで、現像ローラ154及び供給ローラ155も回転する。なお、印刷Dutyとは、1枚の用紙における現像剤による印刷部分が占める割合をいう。
空転処理を実施する場合において、高圧制御部84は、画像形成部10K,10Y,10M,10C内の各部材に画像形成時(印刷時)と異なる電圧を印加するように制御する。例えば、帯電ローラ14には、印刷時に印加する電圧(=Vc1)よりも絶対値が低い電圧(=Vc2)が印加される。この場合、画像形成時において−1100[V]の直流電圧(=Vc1)を帯電ローラ14に印加するように設定しているとき、空転処理時には、−1000[V]の直流電圧(=Vc2)が帯電ローラ14に印加される。現像ローラ154には、印刷時に印加する電圧(=Vd1)よりも絶対値が高い電圧(=Vd2)が印加される。例えば、画像形成時において−200[V]の直流電圧(=Vd1)を現像ローラ154に印加するように設定しているとき、空転処理時においては、−250[V]の直流電圧(=Vd2)が現像ローラ154に印加される。画像形成時において、−300[V]の直流電圧を供給ローラ155及び現像ブレード156にそれぞれ印加するように設定しているとき、空転処理時においては、供給ローラ155及び現像ブレード156には印刷時より絶対値が高い−400[V]の直流電圧が印加される。すなわち、高圧制御部84は、画像形成時には感光ドラム13にトナー152を付着させるように、表面が帯電された感光ドラム13の表面と現像ローラ154との間の電位差を所定の電位差にする電圧制御を行うが、空転処理時においては、感光ドラム13を回転させても感光ドラム13にトナー152を付着させないように、表面が帯電された感光ドラム13の表面と現像ローラ154との間の電位差を所定の電位差にする電圧制御を行う。そのため、画像形成時及び空転処理時における画像形成部10K,10Y,10M,10C内の各部材に印加する電圧の設定値は、上記の例に限定されないが、空転処理時に印加する電圧は、感光ドラム13にトナー152が付着しない範囲で設定することが望ましい。
上記のように、空転処理時には、現像ローラ154、現像ブレード156、及び供給ローラ155に画像形成時よりも絶対値が高い電圧を印加するとともに、現像ローラ154と現像ブレード156との間の電位差、及び現像ローラ154と供給ローラ155との間の電位差を、画像形成時におけるそれぞれの電位差よりも大きくすることで、現像ローラ154に担持されるトナー152の量が増える。このようにすることで、現像ローラに担持されたトナー及び外添剤が、現像ブレード、供給ローラ及び感光ドラムにより摩擦され、トナーから外添剤が剥がれやすくなる。また、空転処理時においては、帯電ローラに画像形成時よりも絶対値が低い電圧を印加することで消費電力を抑え、且つ、感光ドラムにトナーを付着させずに外添剤が感光ドラムに移動しやすい感光ドラム表面と現像ローラとの間の電位差にすることができる。このように、空転処理時において印刷時とは異なる電圧を印加して、現像ローラに担持されるトナーの量を増やし、トナーから外添剤を剥がしやすくし、さらに、トナーから剥がれた外添剤が感光ドラムに移動しやすくすると、効率よく空転処理を実施することができる。空転処理時には、印加する電圧を変化させて外添剤を剥離しやすくしているが、感光ドラム13上に付着する外添剤の量は印刷Dutyの高い印字より少量のため、クリーニングブレード16で掻き落とすことができる。
空転処理を行うことで、トナー収容部151内の外添剤が多く付着している状態の新品のトナー152から外添剤が剥離し、感光ドラム13上に外添剤が付着するが、トナー152を感光ドラム13上に付着させないため、空転処理を実行したときの感光ドラム13上の外添剤の量は印刷時より少なくなり、感光ドラム13上に付着した外添剤をクリーニングブレード16で掻き落とすことができる。したがって、空転処理を実施した後では、印刷Dutyの高い印刷を実施した場合であっても、感光ドラム13上に付着する外添剤の量が少なくなるため、印刷時に感光ドラム13上に付着した外添剤をクリーニングブレード16で掻き落とすことが容易になる。
図4は、トナーカートリッジ153の補充後の空転処理時間と外添剤汚れとの関係を示している。図5は、図4に示す外添剤汚れを確認した印刷Dutyが20%の印刷パターンを示す図である。Tは、画像形成装置1内の温度T[℃]を示す。外添剤汚れとは、クリーニングブレード16で掻き落とされない感光ドラム13上の外添剤が感光ドラム13上の表面の帯電を妨げ、帯電されなかった部分にトナー152が付着してしまうことをいう。この場合、白紙パターンの部分に0.2[mm]以上0.5[mm]以下のトナー152の付着による点状の汚れが発生する。図4において、外添剤汚れが1枚の印刷面上に30箇所未満に抑えることができている場合は、外添剤汚れをレベルLv3(高品質)とし、外添剤汚れの発生が30箇所以上500箇所未満の場合はレベルLv2(中品質)とし、外添剤汚れが500箇所以上発生している場合はレベルLv1(低品質)とする。
図4に示されるように、温度T[℃]がT≦20[℃]のときは空転処理を実行しなくても外添剤汚れはレベルLv3に抑えることができる。20[℃]<T≦26[℃]のときにおいて、空転処理を実行しない場合(図4における0[min]の場合)は、外添剤汚れはレベルLv2である。しかし、空転処理を1分間行うと、外添剤汚れはレベルLv3まで改善する。26[℃]<Tのときにおいて、空転処理を実行しない場合は、外添剤汚れはレベルLv1であり、空転処理を1分間行うと、レベルLv2である。また、26[℃]<Tのときにおいて、空転処理を2分間行うと、レベルLv3まで外添剤汚れが改善する。
図4に示す評価では、レベルLv3以上を印刷品質上問題の無いレベル(高品質)とし、レベルLv2以下を印刷品質上問題のあるレベル(中品質及び低品質)とした。そのため、実施の形態1においては、20[℃]<T≦26[℃]のときは、トナーカートリッジ153の補充後に1分間の空転処理を行うことが望ましい。また、26[℃]<Tのときは、トナーカートリッジ153の補充後に2分間の空転処理を行うことが望ましい。しかし、T≦20[℃]の場合は、外添剤汚れがレベルLv3に抑えられているため、空転処理を行わないように設定することができる。
トナーカートリッジ153の交換後に検出する温度は、画像形成装置1の内部の温度だけに限られず、画像形成装置1の外部の温度であってもトナー温度を推定可能な位置の温度であれば、使用可能である。
なお、上記説明においては、空転処理の実施及び空転処理の時間を設定するための閾値となる所定の第1の基準温度Tth1を20[℃]とし、所定の第2の基準温度Tth2を26[℃]としたが、検出温度の閾値はこれら温度に限定されない。検出温度の閾値を、要求される印刷品質に応じて設定することで、過剰な空転処理の実施を回避することができる。過剰な空転処理の実施を回避することで、クリーニングブレード16による感光ドラム13の表面の摩耗を減らすことができ、さらに、トナーカートリッジ153の交換後の画像形成動作の開始までの待機時間を短縮することができる。
また、上記説明においては、空転処理の時間を20[℃]<T≦26[℃]のときは1分間(=t2)とし、26[℃]<Tのときは2分間(=t3)としたが、空転処理の時間は、この設定値に限られない。空転処理の時間設定を、要求される印刷品質を満たす範囲内で短く設定することで、過剰な空転処理の実施を回避することができる。過剰な空転処理の実施を回避することで、クリーニングブレード16による感光ドラム13の表面の摩耗を抑えることができ、さらに、トナーカートリッジ153の交換後の画像形成動作の開始までの待機時間を低減することができる。
以上のように、トナーカートリッジ153を交換したときは、検出された温度によって、空転処理の時間を変更する。トナーフルの状態であっても画像形成(印刷)開始前に感光ドラム13を回転させてクリーニングを実施するように設定することもできる。この場合は、画像形成時の電圧を印加するため、トナーカートリッジ153の交換時の空転処理よりも短い時間でクリーニングを実施することが望ましい。
図6は、実施の形態1に係る画像形成装置1のトナーカートリッジ153の交換後に空転処理を実施する処理の一例を示すフローチャートである。図6に示されるように、装置電源投入(電源ON)後に(ステップS101)、制御部80にパーソナルコンピュータ等の上位装置から印刷命令が入力されると(ステップS102)、制御部80は、印刷動作を開始する(ステップS103)。印刷動作中にトナー量検出部157aがトナーロー(トナー残量少)を検出した場合(ステップS104)、トナーカートリッジの要交換表示を行うか、又は、印刷動作を中断する(ステップS105)。
次に、制御部80は、トナーカートリッジ153を交換した場合(ステップS106)は、温度検出部5が検出する温度Tが20[℃]より高いか(20℃<T)どうかを判断し、20[℃]以下の場合(20℃≧T)には(ステップS107においてNO)、高圧制御部84は印刷時の電圧を印加して、印刷動作を再開する(ステップS111)。
ステップS107においてYESの場合、制御部80は、温度検出部5が検出する温度Tが26[℃]以下(T≦26℃)かどうかを判断し、26[℃]以下の場合には(ステップS108においてYES)、高圧制御部84は空転処理時の電圧を印加し、空転処理を1分間実行して(ステップS109)、その後、印刷動作を再開する(ステップS111)。
ステップS108においてNOの場合、制御部80は、温度検出部5が検出する温度Tが26[℃]より高いか(T≦26℃)どうかを判断し、26[℃]より高い場合には(ステップS108においてNO)、高圧制御部84は空転処理時の電圧を印加し、空転処理を2分間実行して(ステップS110)、その後、印刷動作を再開する(ステップS111)。
制御部80は、ステップS111の後、印刷が終了していなければ(ステップS112においてNO)、処理をS102に戻す。なお、図6には、印刷動作中の動作を説明しているが、ステップS104からステップS110の処理は、印刷動作中以外の印刷指示待ちの状態においても適用可能である。
なお、空転処理は、交換されたトナーカートリッジ153を含む画像形成部10K,10Y,10M,10Cについて行う。例えば、シアンのトナーカートリッジ153Cが交換された場合は、トナーカートリッジ153Cに対応する画像形成部10Cに含まれる感光ドラム13のみを回転させる。また、シアンとマゼンタのトナーカートリッジ153を同時に交換した場合は、交換したトナーカートリッジに対応する画像形成部10C、10Mに含まれる感光ドラム13のそれぞれを回転させる。このように、複数のトナーカートリッジ153を含む画像形成装置1において、同時に複数のトナーカートリッジ153が交換された場合は、交換されたトナーカートリッジ153に対応する画像形成部10K,10Y,10M,10Cに含まれる感光ドラム13を回転させて、交換されなかったトナーカートリッジ153に対応する画像形成部10K,10Y,10M,10Cに含まれる感光ドラム13は回転させない。交換されなかったトナーカートリッジ153に対応する画像形成部10K,10Y,10M,10Cに含まれる感光ドラム13を回転させないことで、空転処理が不要な感光ドラム13の過剰なクリーニングを回避し、クリーニングブレード16による感光ドラム13の表面の摩耗を抑えることができる。
空転処理の実施において高圧制御部84は、所定の電圧を画像形成部10K,10Y,10M,10C内の各部材に印加するように制御する。高圧制御部84は、画像形成時には感光ドラム13にトナー152を付着させるように電圧制御を行うが、空転処理実施時においては、感光ドラム13を回転させても感光ドラム13にトナー152を付着させないように電圧制御を行う。このように電圧を制御することで、余分なトナー152の使用を防ぎ、感光ドラム13に付着している外添剤汚れをクリーニングブレード16により除去することが容易になる。
《1−3》実施の形態1の効果
以上のように、実施の形態1に係る画像形成装置1においては、トナーカートリッジ153の交換後に空転処理を行い、感光ドラム13の表面を清掃するので、感光ドラム13の表面の外添剤汚れを改善することができる。空転処理を行った後は、トナー収容部151のトナー152の外添剤の密度が、空転処理の未実施の状態よりも低下する。また、検出された画像形成装置1内の温度に応じて、空転処理時間を変更することで、外添剤汚れをさらに改善することができる。例えば、高温度の環境下では、空転処理時間を予め設けられた設定より長くすることで、トナー収容部151内の外添剤はトナーカートリッジ153を交換した直後より少なくなるため、印刷Dutyの高い印刷を行った場合でも、感光ドラム13上に付着した外添剤を十分にクリーニングブレード16で掻き落とすことが容易になる。
なお、上記説明においては、交換されたトナーカートリッジ153に対応する画像形成部10K,10Y,10M,10Cに含まれる感光ドラム13のみに空転処理を実施し、交換されなかったトナーカートリッジ153に対応する画像形成部10K,10Y,10M,10Cに含まれる感光ドラム13には空転処理を実施しない例を示したが、これに限られない。交換されたトナーカートリッジ153に対応する感光ドラム13に空転処理を実施するのと同時に、必要に応じてその他の1以上の感光ドラム13に空転処理を実施することもできる。例えば、図示されないセンサにより、いずれかの感光ドラム13の表面の汚れが検出されている場合に、交換されたトナーカートリッジ153に対応する感光ドラム13に空転処理を実施するのと同時に、その他の感光ドラム13であって表面の汚れが検出されている感光ドラム13についても空転処理を実施することで、より高品位な印刷が可能となる。
《2》実施の形態2
図7は、本発明の実施の形態2に係る画像形成装置1の制御系の要部構成を示すブロック図である。図7において、図3に示される構成要素と同一又は対応する構成要素には、図3における符号と同じ符号を付す。実施の形態2に係る画像形成装置は、装置電源投入(電源ON)後の経過時間を計測して、時間情報を制御部80aに供給するタイマー85を有する点、及び、空転処理部82aは、所定時間が経過する毎に空転処理を実行する点が、実施の形態1に係る画像形成装置1と相違する。実施の形態2は、他の点において、実施の形態1と同じである。
図8は、実施の形態2に係る画像形成装置1において所定時間が経過する毎に実行される空転処理を示すフローチャートである。なお、実施の形態2の説明に際しては、図1及び図2をも参照する。
実施の形態2に係る画像形成装置は、装置電源がオン状態のときに時間を計測するタイマー85をさらに備える。制御部80aは、タイマー85が計測する時間に応じて周期的に、清掃用の空転処理を行うように、感光ドラム13及び現像ローラ154の回転を制御する。この動作は、図8に示されるように、画像形成装置に電源が投入されると(ステップS201)、制御部80aは、タイマー85をONにし(ステップS202)、所定時間が経過すると(ステップS203においてYES)、空転処理の電圧を設定して、空転処理を所定時間実行する(ステップS204)。その後、タイマーをリセットして(ステップS205)、電源ON状態であれば(ステップS206においてNO)、処理はS202に戻る。このような処理は、実施の形態1に係る画像形成装置に適用してもよい。
以上のように、実施の形態2に係る画像形成装置は、所定の経過時間ごとに空転処理を行い、感光ドラム13の表面を清掃するので、感光ドラム13の表面の外添剤汚れを改善することができる。空転処理を行った後は、トナー収容部151のトナー152の外添剤の密度が、空転処理の未実施の状態よりも低下する。また、検出された画像形成装置1内の温度に応じて、空転処理時間を変更することで、外添剤汚れをさらに改善することができる。また、例えば、高温度の環境下では、空転処理時間を予め設けられた設定より長くすることで、トナー収容部151内の外添剤はトナーカートリッジ153を交換した直後より少なくなるため、印刷Dutyの高い印刷を行った場合でも、感光ドラム13上に付着した外添剤をクリーニングブレード16で掻き落とすことが容易になる。
空転処理が長期間実施されないと、感光ドラム13の表面に付着した汚れが掻き取りにくくなることがある。実施の形態2に係る画像形成装置1は、空転処理の実施タイミングを所定の経過時間ごととしているので、空転処理が長期間実施されないことによる、感光ドラム13の表面に付着した汚れが掻き取りにくくなることを防ぐことができる。
一方、タイマー85に設定された所定の経過時間に到達したタイミングにおいて、複数の感光ドラム13のうち、いずれか特定の感光ドラム13のみについて空転処理を実施することもできる。例えば、図示されないセンサにより、いずれかの感光ドラム13の表面の汚れが検出されている場合に、タイマー85に設定された所定の経過時間に到達したタイミングにおいて、表面の汚れが検出されているいずれか1以上の感光ドラム13について空転処理を実施することもできる。
《3》実施の形態3
図9は、本発明の実施の形態3に係る画像形成装置におけるカバー3開閉の検出とその直後に実行される空転処理を示すフローチャートである。実施の形態3に係る空転処理は、実施の形態1及び2に係る画像形成装置に適用できるので、装置の構成要素とともに説明をする際には、図1、図2及び図3をも参照する。実施の形態3に係る画像形成装置1は、カバー3が開閉(OPEN/CLOSE)されたか否かを、図3に示されるカバー開閉検出部4が検出すると、空転処理を実行する点が、実施の形態1及び2と相違する。実施の形態3は、他の点において、実施の形態1又は2と同じである。
実施の形態3に係る画像形成装置は、開口部を有し、感光ドラム13、クリーニングブレード16、トナー収容部151、及び現像ローラ154を収納する筐体2と、筐体2の開口部を開閉するカバー3と、カバー3が開状態及び閉状態のいずれの状態にあるかを検出するカバー開閉検出部4とをさらに備える。制御部80は、カバー開閉検出部4によってカバー3が開状態になった後に閉状態になったことを検出した場合に、所定の時間である開閉時空転処理時間(開閉時回転処理時間)、清掃用の空転処理を行うように、感光ドラム13及び現像ローラ154の回転を制御する。この動作は、図9に示されるように、画像形成装置に電源が投入され(ステップS301)、カバー開閉検出部4によりカバー3の開閉が検出されると(ステップS302においてYES)、空転処理の電圧を設定して、空転処理を所定時間実行する(ステップS303)。その後、電源OFFでなければ(ステップS304においてNO)、処理はS302に戻る。
以上のように、実施の形態3に係る画像形成装置は、画像形成装置1のカバー3の開閉のタイミングで空転処理を行い、感光ドラム13の表面を清掃するので、感光ドラム13の表面の外添剤汚れを改善することができる。空転処理を行った後は、トナー収容部151のトナー152の外添剤の密度が、空転処理の未実施の状態よりも低下する。また、検出された画像形成装置1内の温度に応じて、空転処理時間を変更することで、外添剤汚れをさらに改善することができる。また、例えば、高温度の環境下では、空転処理時間を予め設けられた設定より長くすることで、トナー収容部151内の外添剤はトナーカートリッジ153を交換した直後より少なくなるため、印刷Dutyの高い印刷を行った場合でも、感光ドラム13上に付着した外添剤をクリーニングブレード16で十分に掻き落とすことが容易になる。
使用頻度の高い、例えば、ブラックのトナーカートリッジ153のみを頻繁に交換する場合において、交換されたブラックのトナーカートリッジ153に対応する画像形成部10に含まれる感光ドラム13のみにしか空転処理を実施しないと、その他の色に対応する感光ドラム13の空転処理は長期間実施されないことになる。空転処理が長期間実施されないと、感光ドラム13の表面に付着した汚れが掻き取りにくくなることがある。通常、トナーカートリッジ153を出し入れするためのカバー3を開閉するときは、トナーカートリッジ153を交換する場合である。実施の形態3に係る画像形成装置は、空転処理の実施タイミングをカバー3の開閉を検出したタイミングとしているので、特定の色のトナーカートリッジ153のみが頻繁に交換される場合であっても、同時にすべての色に対応する感光ドラム13に空転処理を実施することができる。これにより、空転処理が長期間実施されないことによる、感光ドラム13の表面に付着した汚れが掻き取りにくくなることを防ぐことができる。
一方、カバー3の開閉を検出したタイミングにおいて、複数の感光ドラム13のうち、いずれか特定の感光ドラム13のみについて空転処理を実施することもできる。例えば、図示されないセンサにより、いずれかの感光ドラム13の表面の汚れが検出されている場合に、カバー開閉検出部4によりカバー3の開閉が検出されたタイミングで、表面の汚れが検出されているいずれか1以上の感光ドラム13について空転処理を実施することもできる。