以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る接続構造体の製造方法では、導電性粒子と、光硬化性を有するバインダー樹脂をと含む導電材料を用いる。さらに、本発明に係る接続構造体の製造方法では、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材とを用いる。
本発明に係る接続構造体の製造方法は、上記第1の接続対象部材の表面上に、上記導電材料を配置する工程と、上記第1の電極と上記第2の電極との間に上記導電性粒子が位置するように、上記導電材料の上記第1の接続対象部材側とは反対の表面上に、上記第2の接続対象部材を配置する工程と、上記第2の接続対象部材の配置前、配置時又は配置後に、上記導電材料に光を照射する工程とを備える。
また、本発明に係る接続構造体の製造方法では、上記バインダー樹脂を硬化させることで、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材とを接続している接続部を上記導電材料により形成する。さらに、本発明に係る接続構造体の製造方法では、上記第1の電極と上記第2の電極とを上記導電性粒子により電気的に接続する。
また、本発明に係る接続構造体の製造方法では、上記導電性粒子として、導電性の表面に複数の突起を有し、上記突起の平均高さが50nm以上かつ500nm以下であり、上記導電性粒子の表面積1μm2あたりの上記突起の数が3個以上かつ30個以下である導電性粒子を用いる。本発明に係る接続構造体の製造方法では、上記接続部が、硬化率が80%以上かつ90%以下である第1の領域と、硬化率が90%を超える第2の領域とを有する接続構造体を得る。
本発明に係る接続構造体の製造方法は、上述した構成を備えているので、接続対象部材の反りを抑え、接続対象部材の接続信頼性及び電極間の導通信頼性を高めることができる。特に、上記接続部が、硬化率が80%以上かつ90%以下である第1の領域と、硬化率が90%を超える第2の領域とを有することによって、接続構造体に応力が加わっても、応力が緩和される。この結果、接続対象部材が反り難くなる。接続対象部材の反りが抑えられる結果、接続対象部材と接続部との接着性の低下が抑えられ、接続対象部材の接続信頼性が高くなる。さらに、接続対象部材の反り抑えられる結果、導電性粒子の位置ずれ及び導電性粒子と電極との接触不良が生じ難くなり、電極間の導通信頼性が高くなる。
本発明に係る接続構造体は、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備える。
本発明に係る接続構造体では、上記接続部が、導電性粒子と、光硬化性を有するバインダー樹脂とを含む導電材料に光を照射して、上記バインダー樹脂を硬化させることで形成されている。本発明に係る接続構造体では、上記第1の電極と上記第2の電極とが上記導電性粒子により電気的に接続されている。
本発明に係る接続構造体では、上記導電性粒子は、導電性の表面に複数の突起を有し、上記導電性粒子の上記突起の平均高さが50nm以上かつ500nm以下であり、上記導電性粒子の表面積1μm2あたりの上記突起の数が3個以上かつ30個以下である。本発明に係る接続構造体では、上記接続部が、硬化率が80%以上かつ90%以下である第1の領域と、硬化率が90%を超える第2の領域とを有する。
本発明に係る接続構造体は、上述した構成を備えているので、接続対象部材の反りを抑え、接続対象部材の接続信頼性及び電極間の導通信頼性を高めることができる。特に、上記接続部が、硬化率が80%以上かつ90%以下である第1の領域と、硬化率が90%を超える第2の領域とを有することによって、接続構造体に応力が加わっても、応力が緩和される。この結果、接続対象部材が反り難くなる。接続対象部材の反りが抑えられる結果、接続対象部材と接続部との接着性の低下が抑えられ、接続対象部材の接続信頼性が高くなる。さらに、接続対象部材の反り抑えられる結果、導電性粒子の位置ずれ及び導電性粒子と電極との接触不良が生じ難くなり、電極間の導通信頼性が高くなる。
なお、上記導電材料に光を照射して、上記バインダー樹脂を硬化させる際に、上記バインダー樹脂に部分的に光を照射したり、上記バインダー樹脂における部分的な光の照射量を異ならせたりすることで、上記接続部において部分的に硬化率を異ならせることができ、上記第1,第2の領域を形成できる。
上記バインダー樹脂に部分的に光を照射したり、上記バインダー樹脂における部分的な光の照射量を異ならせたりするために、開口部と遮蔽部とを有するマスクを用いることが好ましい。上記マスクを介して上記導電材料に光を照射する場合には、開口部に対応する位置の接続部を、硬化率が90%を超える上記第2の領域とし、遮蔽部に対応する位置の接続部を、硬化率が80%以上かつ90%以下である上記第1の領域とすることができる。
また、上記導電性粒子が導電性の表面に突起を有さなかったり、導電性の表面が比較的平滑であったりする場合には、上記バインダー樹脂に部分的に光を照射したり、上記バインダー樹脂における部分的な光の照射量を異ならせたりしても、硬化率が略均一になることがある。本発明では、特定の突起が形成されている導電性粒子を用いているため、導電性粒子に照射された光がさほど散乱されないため、特定の上記第1の領域と特定の上記第2の領域とが存在するように上記硬化率を容易に制御できる。
上記導電材料に光を照射して、上記バインダー樹脂を硬化させる際に、導電性粒子又は電極により光が遮られ、光が照射されなかった接続部部分を、硬化率が90%を超える上記第2の領域とし、導電性粒子又は電極により光が遮られず、光が照射された接続部部分を、硬化率が80%以上かつ90%以下である上記第1の領域としてもよい。
また、上記導電性粒子が導電性の表面に突起を有さなかったり、導電性の表面が比較的平滑であったりする場合には、導電性粒子により光が遮られ、光が照射されなかった接続部部分と、導電性粒子により光が遮られず、光が照射された接続部部分とを有していても、導電性粒子によって光が散乱された結果、硬化率が略均一になることがある。本発明では、特定の突起が形成されている導電性粒子を用いているため、導電性粒子に照射された光がさほど散乱されないため、特定の上記第1の領域と特定の上記第2の領域とが存在するように上記硬化率を容易に制御できる。
接続対象部材の反りをより一層抑え、接続対象部材の接続信頼性及び電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記第1の領域の硬化率は好ましくは89%以下、より好ましくは87%以下、更に好ましくは85%以下である。接続対象部材の反りをより一層抑え、接続対象部材の接続信頼性及び電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記第2の領域の硬化率は好ましくは97%以下、より好ましくは95%以下である。接続対象部材の反りをより一層抑え、接続対象部材の接続信頼性及び電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記第1の領域の硬化率と上記第2の領域の硬化率との差の絶対値は好ましくは0.1%以上、より好ましくは1%以上である。上記第1の領域の硬化率と上記第2の領域の硬化率との差の絶対値は5%以上であってもよく、10%以上であってもよい。
上記導電性粒子における上記突起は、導電性粒子の導電性の表面において、隆起している。上記導電性粒子における上記突起の平均高さは、50nm以上であり、好ましくは100nm以上である。上記導電性粒子における上記突起の平均高さは、500nm以下であり、好ましくは300nm以下である。上記突起の平均高さが上記下限以上及び上記上限以下であると、接続対象部材の反りをより一層抑え、接続対象部材の接続信頼性及び電極間の導通信頼性をより一層高めることができる。
ボイドの発生をより一層抑え、かつ電極間の接続信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子の平均粒子径が2μm以上、5μm以下であり、上記導電性粒子における上記突起の平均高さが100nm以上、300nm以下であることが好ましい。
上記導電性粒子の表面積1μm2あたりの上記突起の数は3個以上であり、好ましくは5個以上である。上記導電性粒子の表面積1μm2あたりの上記突起の数は30個以下であり、好ましくは20個以下である。上記突起の数が上記下限以上及び上記上限以下であると、ボイドの発生をより一層抑え、かつ電極間の接続信頼性をより一層高めることができる。
上記導電性粒子の全表面積100%中、上記突起がある部分の表面積は、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下である。上記導電性粒子の全表面積100%中、上記突起がない部分の表面積は、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下である。上記突起がある部分の表面積が相対的に多くなると、電極に接触する突起数が増えるので導通性がより一層良好になる。上記突起がない部分の表面積が相対的に多くなると、それぞれの突起のアスペクト比がより大きくなり、電極への食い込み量が増えることで導通性がより一層良好になる。
上記導電性粒子における上記突起の高さ、個数、上記突起がある部分の表面積及び上記突起がない部分の表面積は、走査型電子顕微鏡(SEM)により粒子を上方から撮影した後、その画像を解析することにより、測定可能である。また、レーザー顕微鏡により突起高さを直接測定してもよい。
接続対象部材の反りをより一層抑え、接続対象部材の接続信頼性及び電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子の表面の導電部の材料が、ニッケルであることが好ましい。ニッケル表面は、光散乱性が比較的低い。
また、接続対象部材の反りをより一層抑え、接続対象部材の接続信頼性及び電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記第1の領域と上記第2の領域とが、上記接続部の厚み方向と直交する方向に並んでいることが好ましい。この場合には、接続構造体に応力が加わっても、上記第1,第2の領域によって、応力がより一層緩和される。
さらに、接続対象部材の反りをより一層抑え、接続対象部材の接続信頼性及び電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記第1の領域と上記第2の領域とが、上記接続部の厚み方向と直交する方向に交互に並んでいることが好ましい。この場合には、接続構造体に応力が加わっても、上記第1,第2の領域によって、応力がより一層緩和される。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。
先ず、接続構造体の製造に用いられる導電性粒子について説明する。
図4は、後に説明する図1,図2に示す接続構造体に用いられる導電性粒子を示す断面図である。
図4に示す導電性粒子21は、基材粒子22と、基材粒子22の表面上に配置された導電部23とを有する。導電性粒子21では、導電部23は導電層である。導電部23は、基材粒子22の表面を覆っている。導電性粒子21は、基材粒子22の表面が導電部23により被覆された被覆粒子である。
上記導電性粒子は、少なくとも表面に導電部を有していればよい。導電性粒子21のように、中心部が導電部とは異なる基材粒子であってもよい。導電性粒子の全体が、導電部であってもよい。
導電性粒子21は、導電性の表面に突起21aを有する。導電部23は表面(導電層の外表面)に突起23aを有する。
導電性粒子21は、基材粒子22の表面上に複数の芯物質24を有する。導電部23は、基材粒子22と芯物質24とを被覆している。芯物質24を導電部23が被覆していることにより、導電性粒子21は表面に複数の突起21aを有する。芯物質24により導電部23の表面が隆起されており、複数の突起21aが形成されている。
図5は、導電性粒子の第1の変形例を示す断面図である。
図5に示す導電性粒子31は、基材粒子22と、基材粒子22の表面上に配置された導電部23Aとを有する。導電部23Aは導電層である。導電性粒子21と導電性粒子31とでは、芯物質24の有無のみが相違している。導電性粒子31は、芯物質を有さない。
導電性粒子31は、導電性の表面に突起31aを有する。導電部23Aは表面(導電層の外表面)に突起23Aaを有する。
導電部23Aは、第1の部分と、該第1の部分よりも厚みが厚い第2の部分とを有する。従って、導電部23Aは表面(導電層の外表面)に突起23Aaを有する。複数の突起31a,23Aaを除く部分が、導電部23Aの上記第1の部分である。複数の突起31a,23Aaは、導電部23Aの厚みが厚い上記第2の部分である。
導電性粒子31のように、突起31a,23Aaを形成するために、必ずしも芯物質を用いなくてもよい。
図6は、導電性粒子の第2の変形例を示す断面図である。
図6に示す導電性粒子41は、基材粒子22と、基材粒子22の表面上に配置された導電部23Bとを有する。導電部23Bは導電層である。導電部23Bは、基材粒子22の表面上に配置された第1の導電部23Bxと、第1の導電部23Bxの表面上に配置された第2の導電部23Byとを有する。
導電性粒子41は、導電性の表面に突起41aを有する。導電性粒子41は表面に突起41aを有する。導電部23Bは表面(導電層の外表面)に突起23Baを有する。
導電性粒子41は、第1の導電部23Bxの表面上に複数の芯物質24を有する。第2の導電部23Byは、第1の導電部23Bxと芯物質24とを被覆している。基材粒子22と芯物質24とは間隔を隔てて配置されている。基材粒子22と芯物質24との間には、第1の導電部23Bxが存在する。芯物質24を第2の導電部23Byが被覆していることにより、導電部23Bは表面に、複数の突起23Baを有する。芯物質24により導電部23B及び第2の導電部23Byの表面が隆起されており、複数の突起23Baが形成されている。
導電性粒子41のように、導電部23Bは、多層構造を有していてもよい。さらに、突起41a,23Baを形成するために、芯物質24を内層の第1の導電部23Bx上に配置して、外層の第2の導電部23Byにより芯物質24及び第1の導電部23Bxを被覆してもよい。
なお、導電性粒子21,31,41はいずれも、導電性の表面に複数の突起21a,31a,41aを有し、導電性粒子21,31,41の突起21a,31a,41aの平均高さが50nm以上かつ500nm以下であり、導電性粒子21,31,41の表面積1μm2あたりの突起21a,31a,41aの数が3個以上かつ30個以下である。
上記のような導電性粒子21,31,41等を用いて、本発明に係る接続構造体が作製される。但し、導電性粒子が導電性の表面に複数の突起を有し、導電性粒子の上記突起の平均高さが50nm以上かつ500nm以下であり、導電性粒子の表面積1μm2あたりの上記突起の数が3個以上かつ30個以下であれば、導電性粒子21,31,41以外の導電性粒子を用いてもよい。
次に、図1を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る接続構造体について具体的に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る接続構造体を模式的に示す断面図である。
図1に示す接続構造体1は、第1の電極2aを表面に有する第1の接続対象部材2と、第2の電極3aを表面に有する第2の接続対象部材3と、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とを接続している接続部4とを備える。第1の電極2aと第2の電極3aとは、導電性粒子21により電気的に接続されている。
接続部4は、導電性粒子21と、光硬化性を有するバインダー樹脂11とを含む導電材料に光を照射して、かつバインダー樹脂11を硬化させることで形成されている。導電性粒子21にかえて、導電性粒子31,41などの他の導電性粒子を用いてもよい。
接続部4は、硬化率が80%以上かつ90%以下である第1の領域R1と、硬化率が90%を超える第2の領域R2とを有する。図1では、点線部が、第1の領域R1と第2の領域R2との境界である。第1の実施形態では、接続部4を形成する際に、第1の接続対象部材2、得られる接続部4及び第2の接続対象部材3の積層方向(得られる接続部4の厚み方向)に、開口部と遮蔽部とを有するマスクを介して、上記導電材料に光が照射されている。具体的には、後に接続部4となる導電材料の、第1の接続対象部材2側とは反対の表面側から、導電材料に光が照射されている。この結果、導電材料に光が直接照射された領域が第2の領域R2となり、第2の領域R2の硬化率が90%を超えている。また、マスクの遮蔽部により光が遮られ、導電材料に光が直接照射されなかった領域が第1の領域R1となり、第1の領域R1の硬化率が80%以上かつ90%以下である。
例えば、接続構造体1を得るために、第1の接続対象部材2の表面上に導電材料を配置した後、導電材料の第1の接続対象部材2側とは反対の表面上に第2の接続対象部材3を配置する前に、所定の領域に光を照射することで、硬化率を容易に制御できる。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る接続構造体を模式的に示す断面図である。
図2に示す接続構造体1Aは、第1の電極2aを表面に有する第1の接続対象部材2と、第2の電極3aを表面に有する第2の接続対象部材3と、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とを接続している接続部4Aとを備える。第1の電極2aと第2の電極3aとは、導電性粒子21により電気的に接続されている。
接続部4Aは、導電性粒子21と、光硬化性を有するバインダー樹脂11とを含む導電材料に光を照射して、かつバインダー樹脂11を硬化させることで形成されている。
接続部4Aは、硬化率が80%以上かつ90%以下である第1の領域R1と、硬化率が90%を超える第2の領域R2とを有する。図2では、点線部が、第1の領域R1と第2の領域R2との境界である。第2の実施形態では、接続部4Aを形成する際に、第1,第2の接続対象部材2,3間に導電材料を配置した後に、第1の接続対象部材2、得られる接続部4A及び第2の接続対象部材3の積層方向(得られる接続部4Aの厚み方向)に、マスクを介さずに、上記導電材料に光が照射されている。具体的には、後に接続部4Aとなる導電材料の、第1の接続対象部材2側とは反対の表面側から、導電材料に光が照射されている。この結果、導電材料に光が直接照射された領域が第2の領域R2となり、第2の領域R2の硬化率が90%を超えている。また、導電性粒子21及び第2の電極2aによって光が遮られ、導電材料に光が直接照射された領域が第1の領域R1となり、第1の領域R1の硬化率が80%以上かつ90%以下である。
接続構造体1Aを得るために、例えば、第1の接続対象部材2の表面上に導電材料を配置した後、導電材料の第1の接続対象部材2側とは反対の表面上に第2の接続対象部材3を配置する前に、第1の接続対象部材2側から光を照射することで、硬化率を容易に制御できる。また、接続構造体1Aを得るために、第1の接続対象部材2の表面上に導電材料を配置し、次に導電材料の第1の接続対象部材2側とは反対の表面上に第2の接続対象部材3を配置した後に、第1の接続対象部材2の表面側又は第2の表面側から光を照射することで、硬化率を容易に制御できる。
従って、第1,第2の実施形態では、特定の接続部4,4Aが形成されていることなどから、接続対象部材の反りを抑え、接続対象部材の接続信頼性及び電極間の導通信頼性を高めることができる。
また、第1,第2の実施形態では、接続部4,4Aにおいて、第1の領域R1と第2の領域R2とが、接続部4,4Aの厚み方向と直交する方向に交互に並んでいる。このため、接続対象部材の反りをより一層抑え、接続対象部材の接続信頼性及び電極間の導通信頼性をより一層高めることができる。
また、第1,第2の実施形態では、第1の領域R1と第2の領域R2とが、接続部4の厚み方向と直交する方向に交互に並んでいる。このため、接続対象部材の反りを更に一層抑え、接続対象部材の接続信頼性及び電極間の導通信頼性を更に一層高めることができる。
図1に示す接続構造体1は、具体的には、例えば、図3(a)〜(c)に示す状態を経て、以下のようにして得ることができる。ここでは、上記導電材料として、導電性粒子21と、光硬化性及び熱硬化性を有するバインダー樹脂11とを含む導電材料を用いている。なお、熱硬化性を有さず、光硬化性のみを有するバインダー樹脂を用いてもよい。
図3(a)に示すように、第1の電極2aを表面(上面)に有する第1の接続対象部材2を用意する。また、複数の導電性粒子21とバインダー樹脂11とを含む導電材料を用意する。次に、第1の接続対象部材2の第1の電極2a側の表面上に、上記導電材料を用いて、導電材料層4Xを配置する。このとき、第1の電極2a上に、1つ又は複数の導電性粒子21が配置されていることが好ましい。ここでは、上記導電材料として、導電ペーストを用いているので、導電ペーストの配置は、導電ペーストの塗布により行われている。上記導電材料層4Xは、導電ペースト層である。
次に、導電材料層4Xに光を照射することにより、導電材料層4X及びバインダー樹脂11の硬化を進行させる。導電材料層4Xの硬化を進行させて、導電材料層4XをBステージ化する。図3(b)に示すように、導電材料層4XのBステージ化により、第1の接続対象部材2の表面上に、Bステージ化された導電材料層4Yを形成する。
ここでは、導電材料層4Xの上方から、すなわち導電材料層4Xの第1の接続対象部材2側とは反対の表面から、マスク51を介して、導電材料層4Xに光を照射している。なお、第1の接続対象部材2の上方から、第1の接続対象部材2、得られる接続部4及び第2の接続対象部材3の積層方向(得られる接続部4の厚み方向)に、導電材料4Aに光を照射した結果、Bステージ化された導電材料層4Yが形成されている。
マスク51は、開口部51aと遮蔽部51bとを有する。遮光部51bに対応する位置の領域R1aと、開口部51aに対応する位置の領域R2aとで硬化率を異ならせることができる。この結果、得られる接続部4において、遮光部51bに対応する位置の領域R1aを、硬化率が80%以上かつ90%以下である第1の領域R2とすることができる。また、得られる接続部4において、開口部51aに対応する位置の領域R2aを、硬化率が90%を超える第2の領域R2とすることができる。
光を照射する際に用いる光源は特に限定されない。該光源としては、例えば、波長420nm以下に充分な発光分布を有する光源や、波長420nm以下の特定波長に強い発光を有する光源等が挙げられる。波長420nm以下に充分な発光分布を有する光源の具体例としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、及びメタルハライドランプ等が挙げられる。また、波長420nm以下の特定波長に強い発光を有する光源の具体例としては、LEDランプ等が挙げられる。なかでもLEDランプが好ましい。LEDランプを用いた場合には、被照射物自身の発熱が非常に少なくなり、発熱による上記導電材料の過度の硬化を防ぐことができる。
光の照射により上記導電材料層をBステージ化させるために、上記導電材料層の硬化を適度に進行させるための光照射強度は、例えば、波長365nmにピークを持つLEDランプ光源を用いる場合は、好ましくは100〜3000mJ/cm2程度である。また、上記導電材料層の硬化を適度に進行させるための光の照射エネルギーは、好ましくは500mJ/cm2以上、より好ましくは2000mJ/cm2以上、更に好ましくは3500mJ/cm2以上、好ましくは300000mJ/cm2以下、より好ましくは100000mJ/cm2以下、更に好ましくは20000mJ/cm2以下である。
なお、光の照射は、第2の接続対象部材3の配置前、配置時又は配置後に行われ、配置前に行われてもよく、配置時に行われてもよく、配置後に行われてもよい。
なお、光の照射により上記導電材料層をBステージ化せずに、熱の付与により上記導電材料層をBステージ化してもよい。熱の付与の後に、光を照射してもよい。上記導電材料層に熱を付与することにより硬化を進行させて、上記導電材料層をBステージ化する場合には、上記導電材料層を充分にBステージ化させるための加熱温度は好ましくは80℃以上、好ましくは130℃以下、より好ましくは110℃以下である。
次に、図3(c)に示すように、Bステージ化された導電材料層4Yの第1の接続対象部材2側とは反対の表面上に、第2の接続対象部材3を配置する。さらに、第2の接続対象部材3の配置時に、Bステージ化された導電材料層4Yを加熱して本硬化させ、接続部4を形成する。ただし、第2の接続対象部材3の配置前又は配置後に、Bステージ化された導電材料層4Yを加熱してもよい。第2の接続対象部材3の配置時又は配置後に、Bステージ化された導電材料層4Yに加熱して本硬化させることが好ましく、第2の接続対象部材3の配置時に、Bステージ化された導電材料層4Yを加熱して本硬化させることがより好ましい。
Bステージ化された導電材料層4Yを熱の付与により硬化させるために、Bステージ化された導電材料層4Yを充分に硬化させるための加熱温度は好ましくは160℃以上、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下である。
なお、導電材料層4Xに光を照射せずに、導電材料層4XをBステージ化しない場合には、導電材料層4Xの表面上に第2の接続対象部材3を配置し、導電材料層4Xに光を照射して、バインダー樹脂11を硬化させればよい。
Bステージ化された導電材料層4Yを硬化させる際に、加圧することが好ましい。また、導電材料層4Xに光を照射して、バインダー樹脂11を硬化させる場合に、この硬化時に加圧することが好ましい。加圧によって第1の電極2aと第2の電極3aとで導電性粒子21を圧縮することにより、第1,第2の電極2a,3aと導電性粒子21との接触面積が大きくなる。このため、導通信頼性がより一層高くなる。
Bステージ化された導電材料層4Yを硬化させることにより、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とが、接続部4を介して接続される。また、第1の電極2aと第2の電極3aとが、導電性粒子21を介して電気的に接続される。このようにして、図1に示す接続構造体1を得ることができる。本実施形態では、光硬化と熱硬化とが併用されているため、上記導電材料を短時間で硬化させることができる。
以下、導電性粒子、導電材料及び接続構造体の他の詳細を説明する。
(導電性粒子)
上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。上記基材粒子は、金属粒子を除く基材粒子であることが好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることがより好ましい。
上記基材粒子は、樹脂により形成された樹脂粒子であることが好ましい。電極間を接続する際には、導電性粒子を電極間に配置した後、一般的に導電性粒子を圧縮させる。基材粒子が樹脂粒子であると、圧縮により導電性粒子が変形しやすく、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなる。このため、電極間の導通信頼性が高くなる。
上記樹脂粒子の材料として、種々の有機物が好適に用いられる。上記樹脂粒子の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート及びポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリアルキレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、及び、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させて得られる重合体等が挙げられる。また、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させることにより、導電材料に適した任意の圧縮時の物性を有する樹脂粒子を設計及び合成可能である。また、基材粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂粒子の材料は、エチレン性不飽和基を複数有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する単量体を重合させて得る場合には、該エチレン性不飽和基を有する単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子が得られる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、及び非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合には、基材粒子の材料である無機物としては、シリカ及びカーボンブラック等が挙げられる。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシリル基を2つ以上有するケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子である場合には、該金属粒子の材料である金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。但し、基材粒子は金属粒子ではないことが好ましい。
上記基材粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、より一層好ましくは1μm以上、更に好ましくは1.5μm以上、特に好ましくは2μm以上、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下、より一層好ましくは300μm以下、更に好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下、更に一層好ましくは30μm以下、特に好ましくは5μm以下、最も好ましくは3μm以下である。基材粒子の平均粒子径が上記下限以上であると、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなるため、電極間の導通信頼性がより一層高くなり、導電性粒子を介して接続された電極間の接続抵抗がより一層低くなる。さらに、基材粒子の表面に導電部を無電解めっきにより形成する際に凝集し難くなり、凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。基材粒子の平均粒子径が上記上限以下であると、導電性粒子が充分に圧縮されやすく、電極間の接続抵抗がより一層低くなり、更に電極間の間隔が狭くなる。
上記基材粒子の平均粒子径は、0.1μm以上、5μm以下であることが特に好ましい。上記基材粒子の平均粒子径が0.1〜5μmの範囲内であると、電極間の間隔が小さくなり、かつ導電部の厚みを厚くしても、小さい導電性粒子が得られる。電極間の間隔をより一層小さくしたり、導電部の厚みを厚くしても、より一層小さい導電性粒子を得たりする観点からは、上記基材粒子の平均粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは2μm以上、好ましくは3μm以下である。
上記平均粒子径は数平均粒子径を示す。該平均粒子径は、例えばコールターカウンター(ベックマンコールター社製)を用いて測定可能である。
上記導電部の厚み(複数の導電部がある場合には、複数の導電部全体の厚み)は、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは20nm以上、特に好ましくは50nm以上、好ましくは1000nm以下、より好ましくは800nm以下、更に好ましくは500nm以下、特に好ましくは400nm以下、最も好ましくは300nm以下である。上記導電部の厚みが上記下限以上であると、導電性粒子の導電性がより一層良好になる。上記導電部の厚みが上記上限以下であると、基材粒子と導電部との熱膨張率の差が小さくなり、基材粒子から導電部が剥離し難くなる。
上記基材粒子の表面上に上記導電部を形成する方法としては、無電解めっきにより上記導電部を形成する方法、並びに電気めっきにより上記導電部を形成する方法等が挙げられる。
上記導電部は、金属を含むことが好ましい。上記導電部の材料である金属は、特に限定されない。該金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、亜鉛、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン及びカドミウム、並びにこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属として、錫ドープ酸化インジウム(ITO)を用いてもよい。上記記金属は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記導電性粒子は、導電性の表面に複数の突起を有する。上記芯物質が上記導電部中に埋め込まれていることによって、上記導電部の外表面に突起を容易に形成可能である。導電性粒子により接続される電極の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。突起を有する導電性粒子を用いた場合には、電極間に導電性粒子を配置して圧着させることにより、突起により上記酸化被膜が効果的に排除される。このため、電極と導電性粒子とがより一層確実に接触し、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。さらに、突起によって、導電性粒子と電極との間のバインダー樹脂が効果的に排除される。このため、電極間の導通信頼性が高くなる。
上記導電性粒子の表面に突起を形成する方法としては、基材粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電部を形成する方法、並びに基材粒子の表面に無電解めっきにより導電部を形成した後、芯物質を付着させ、更に無電解めっきにより導電部を形成する方法等が挙げられる。上記突起を形成する他の方法としては、基材粒子の表面上に、第1の導電部を形成した後、該第1の導電部上に芯物質を配置し、次に第2の導電部を形成する方法、並びに基材粒子の表面上に導電部を形成する途中段階で、芯物質を添加する方法等が挙げられる。
上記基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法としては、例えば、基材粒子の分散液中に、芯物質を添加し、基材粒子の表面に芯物質を、例えば、ファンデルワールス力により集積させ、付着させる方法、並びに基材粒子を入れた容器に、芯物質を添加し、容器の回転等による機械的な作用により基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法等が挙げられる。なかでも、付着させる芯物質の量を制御しやすいため、分散液中の基材粒子の表面に芯物質を集積させ、付着させる方法が好ましい。
上記芯物質の材料としては、導電性物質及び非導電性物質が挙げられる。上記導電性物質としては、例えば、金属、金属の酸化物、黒鉛等の導電性非金属及び導電性ポリマー等が挙げられる。上記導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン等が挙げられる。上記非導電性物質としては、シリカ、アルミナ及びジルコニア等が挙げられる。なかでも、導電性を高めることができ、更に接続抵抗を効果的に低くすることができるので、金属が好ましい。上記芯物質は金属粒子であることが好ましい。
上記金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、鉛、錫、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム等の金属、並びに錫−鉛合金、錫−銅合金、錫−銀合金、錫−鉛−銀合金及び炭化タングステン等の2種類以上の金属で構成される合金等が挙げられる。なかでも、ニッケル、銅、銀又は金が好ましい。上記芯物質の材料である金属は、上記導電部の材料である金属と同じであってもよく、異なっていてもよい。上記芯物質の材料は、ニッケルを含むことが好ましい。また、上記金属の酸化物としては、アルミナ、シリカ及びジルコニア等が挙げられる。
上記芯物質の形状は特に限定されない。芯物質の形状は塊状であることが好ましい。芯物質としては、例えば、粒子状の塊、複数の微小粒子が凝集した凝集塊、及び不定形の塊等が挙げられる。
上記芯物質の平均径(平均粒子径)は、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.05μm以上、好ましくは0.9μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。上記芯物質の平均径が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続抵抗が効果的に低くなる。
上記芯物質の「平均径(平均粒子径)」は、数平均径(数平均粒子径)を示す。芯物質の平均径は、任意の芯物質50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
(導電材料)
上記導電材料は、上述した導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。該異方性導電材料には、上下の電極間を導通するための導電材料が含まれる。上記導電材料は、電極間の電気的な接続に用いられることが好ましい。上記導電材料は回路接続用導電材料であることが好ましい。
上記導電材料は、導電ペースト及び導電フィルムとして使用され得る。上記導電材料が導電フィルムである場合には、導電性粒子を含む導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されていてもよい。上記導電ペーストは、異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは、異方性導電フィルムであることが好ましい。
接続構造体における接続部にボイドが発生するのを抑制し、導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電材料は、導電ペーストであることが好ましい。上記導電材料は、導電ペーストであり、かつペースト状の状態で接続対象部材の上面に塗工されることが好ましい。
上記バインダー樹脂は光硬化性を有する。上記バインダー樹脂は、光硬化性化合物(光の照射により硬化可能な化合物)と、光硬化開始剤とを含むことが好ましい。上記バインダー樹脂は、熱硬化性及び光硬化性を有することが好ましい。上記バインダー樹脂は、光硬化性化合物(光の照射により硬化可能な化合物)と、光硬化開始剤と、熱硬化性化合物(熱の付与により硬化可能な化合物)と、熱硬化剤とを含むことも好ましい。
上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法は、従来公知の分散方法を用いることができ特に限定されない。上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法としては、例えば、上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を添加した後、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、上記導電性粒子を水又は有機溶剤中にホモジナイザー等を用いて均一に分散させた後、上記バインダー樹脂中に添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、並びに上記バインダー樹脂を水又は有機溶剤等で希釈した後、上記導電性粒子を添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法等が挙げられる。
上記導電材料100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、好ましくは90.99重量%以下である。上記バインダー樹脂の含有量が上記下限以上及び上限以下であると、電極間に導電性粒子が効率的に配置され、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
上記導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは40重量%以下、更に好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上限以下であると、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
光硬化性化合物:
光の照射によって硬化するように、上記導電材料は、光硬化性化合物を含むことが好ましい。光の照射により光硬化性化合物を半硬化(Bステージ化)させ、硬化性化合物の流動性を低下させてもよい。
上記光硬化性化合物としては特に限定されず、(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物及び環状エーテル基を有する光硬化性化合物等が挙げられる。
上記光硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物であることが好ましい。(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物の使用により、電極間の導通信頼性をより一層高めることができる。電極間の導通信頼性を効果的に高める観点からは、上記光硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基を1個又は2個有することが好ましい。
上記(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物としては、エポキシ基及びチイラン基を有さず、かつ(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物、及びエポキシ基又はチイラン基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物が挙げられる。
上記(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物として、(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート、又はイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート等が好適に用いられる。上記「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基とメタクリロイル基とを示す。上記「(メタ)アクリル」は、アクリルとメタクリルとを示す。上記「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートとを示す。
上記(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物は特に限定されない。該エステル化合物として、単官能のエステル化合物、2官能のエステル化合物及び3官能以上のエステル化合物のいずれも用いることができる。
上記エポキシ基又はチイラン基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する化合物の一部のエポキシ基又は一部のチイラン基を、(メタ)アクリロイル基に変換することにより得られた光硬化性化合物であることが好ましい。このような光硬化性化合物は、部分(メタ)アクリレート化エポキシ化合物又は部分(メタ)アクリレート化エピスルフィド化合物である。
上記光硬化性化合物は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する化合物と、(メタ)アクリル酸との反応物であることが好ましい。この反応物は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する化合物と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って触媒の存在下で反応することにより得られる。エポキシ基又はチイラン基の20%以上が(メタ)アクリロイル基に変換(転化率)されていることが好ましい。該転化率は、より好ましくは30%以上、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下である。エポキシ基又はチイラン基の40%以上、60%以下が(メタ)アクリロイル基に変換されていることが最も好ましい。
上記部分(メタ)アクリレート化エポキシ化合物としては、ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、カルボン酸無水物変性エポキシ(メタ)アクリレート、及びフェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記光硬化性化合物として、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有するフェノキシ樹脂の一部のエポキシ基又は一部のチイラン基を(メタ)アクリロイル基に変換した変性フェノキシ樹脂を用いてもよい。すなわち、エポキシ基又はチイラン基と(メタ)アクリロイル基とを有する変性フェノキシ樹脂を用いてもよい。
また、上記光硬化性化合物は、架橋性化合物であってもよく、非架橋性化合物であってもよい。
上記架橋性化合物の具体例としては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、ジビニルベンゼン、ポリエステル(メタ)アクリレート、及びウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記非架橋性化合物の具体例としては、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート及びテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
光硬化開始剤:
上記光硬化開始剤は特に限定されない。上記光硬化開始剤として、従来公知の光硬化開始剤を用いることができる。上記光硬化開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光硬化開始剤としては、特に限定されず、アセトフェノン光硬化開始剤、ベンゾフェノン光硬化開始剤、チオキサントン、ケタール光硬化開始剤、ハロゲン化ケトン、カチオン光硬化開始剤、アシルホスフィノキシド及びアシルホスフォナート等が挙げられる。
上記アセトフェノン光硬化開始剤の具体例としては、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、及び2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン等が挙げられる。上記ケタール光硬化開始剤の具体例としては、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
上記光硬化開始剤は、光ラジカル開始剤であることが好ましい。該光ラジカル開始剤としては、特に限定されず、アセトフェノン光ラジカル開始剤、ベンゾフェノン光ラジカル開始剤、チオキサントン、ケタール光ラジカル開始剤、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド及びアシルホスフォナート等が挙げられる。
上記アセトフェノン光ラジカル開始剤の具体例としては、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、及び2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン等が挙げられる。上記ケタール光ラジカル開始剤の具体例としては、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
上記カチオン光硬化開始剤としては、ヨードニウム系カチオン硬化剤、オキソニウム系カチオン硬化剤及びスルホニウム系カチオン硬化剤等が挙げられる。上記ヨードニウム系カチオン硬化剤としては、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。上記オキソニウム系カチオン硬化剤としては、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボラート等が挙げられる。上記スルホニウム系カチオン硬化剤としては、トリ−p−トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。
上記光硬化開始剤の含有量は特に限定されない。上記光硬化性化合物100重量部に対して、上記光硬化開始剤の含有量は、好ましくは0.05重量部以上、より好ましくは0.15重量部以上、好ましくは2重量部以下、より好ましくは1重量部以下である。上記光硬化開始剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電材料を適度に光硬化させることができる。
熱硬化性化合物:
上記熱硬化性化合物は熱硬化性を有する。上記熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱硬化性化合物としては、オキセタン化合物、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル化合物、フェノール化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリウレタン化合物、シリコーン化合物及びポリイミド化合物等が挙げられる。上記熱硬化性化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記導電材料の硬化を容易に制御したり、接続構造体における導通信頼性をより一層高めたりする観点からは、上記熱硬化性化合物は、エポキシ基又はチイラン基を有する熱硬化性化合物を含むことが好ましく、チイラン基を有する熱硬化性化合物を含むことがより好ましい。エポキシ基を有する熱硬化性化合物は、エポキシ化合物である。チイラン基を有する熱硬化性化合物は、エピスルフィド化合物である。導電材料の硬化性を高める観点からは、上記熱硬化性化合物100重量%中、上記エポキシ基又はチイラン基を有する化合物の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、100重量%以下である。上記熱硬化性化合物の全量が上記エポキシ基又はチイラン基を有する化合物であってもよい。
上記エピスルフィド化合物は、エポキシ基ではなくチイラン基を有するので、低温で速やかに硬化させることができる。すなわち、チイラン基を有するエピスルフィド化合物は、エポキシ基を有するエポキシ化合物と比較して、チイラン基に由来してより一層低い温度で硬化可能である。
上記エポキシ基又はチイラン基を有する熱硬化性化合物は、芳香族環を有することが好ましい。上記芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、テトラセン環、クリセン環、トリフェニレン環、テトラフェン環、ピレン環、ペンタセン環、ピセン環及びペリレン環等が挙げられる。なかでも、上記芳香族環は、ベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環であることが好ましく、ベンゼン環又はナフタレン環であることがより好ましい。また、ナフタレン環は、平面構造を有するためにより一層速やかに硬化させることができるので好ましい。
上記熱硬化性化合物は、フェノキシ樹脂を含んでいてもよい。この場合に、フェノキシ樹脂と、上記エポキシ基又はチイラン基を有する熱硬化性化合物とを併用してもよい。この場合に、上記エポキシ基又はチイラン基を有する熱硬化性化合物は、フェノキシ樹脂ではないことが好ましい。
接続構造体における電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記フェノキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは20000以上、好ましくは70000以下である。
本明細書において、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量を示す。
上記フェノキシ樹脂と、上記エポキシ基又はチイラン基を有する熱硬化性化合物とを併用する場合には、上記導電材料は、上記フェノキシ樹脂と上記エポキシ基又はチイラン基を有する熱硬化性化合物とを重量比で、1:99〜99:1で含むことが好ましく、10:90〜90:10で含むことがより好ましく、20:80〜80:20で含むことが更に好ましく、30:70〜70:30で含むことが特に好ましい。
熱硬化性化合物を用いる場合には、光硬化性化合物と熱硬化性化合物との配合比は、光硬化性化合物と熱硬化性化合物との種類に応じて適宜調整される。上記導電材料は、光硬化性化合物と熱硬化性化合物とを重量比で、1:99〜90:10で含むことが好ましく、5:95〜70:30で含むことがより好ましく、10:90〜50:50で含むことが更に好ましい。上記導電材料は、光硬化性化合物と熱硬化性化合物とを重量比で、1:99〜50:50で含むことが特に好ましい。
熱硬化剤:
上記熱硬化剤は特に限定されない。上記熱硬化剤として、従来公知の熱硬化剤を用いることができる。上記熱硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤及び酸無水物等が挙げられる。上記熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記導電材料を低温でより一層速やかに硬化させることができるので、上記熱硬化剤は、イミダゾール硬化剤、ポリチオール硬化剤又はアミン硬化剤であることが好ましい。また、導電材料の保存安定性を高めることができるので、潜在性の硬化剤が好ましい。該潜在性の硬化剤は、潜在性イミダゾール硬化剤、潜在性ポリチオール硬化剤又は潜在性アミン硬化剤であることが好ましい。上記熱硬化剤は、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等の高分子物質で被覆されていてもよい。
上記イミダゾール硬化剤としては、特に限定されず、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン及び2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
上記ポリチオール硬化剤としては、特に限定されず、トリメチロールプロパントリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトールヘキサ−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
上記アミン硬化剤としては、特に限定されず、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
上記熱硬化剤の含有量は特に限定されない。上記熱硬化性化合物100重量部に対して、上記熱硬化剤の含有量は、好ましくは5重量部以上、より好ましくは10重量部以上、好ましくは40重量部以下、より好ましくは30重量部以下、更に好ましくは20重量部以下である。上記熱硬化剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電材料を充分に熱硬化させることができる。
(接続構造体の他の詳細)
上記接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板である電子部品等が挙げられる。上記接続対象部材は電子部品であることが好ましい。
本発明に係る接続構造体の製造方法及び本発明に係る接続構造体は、例えば、フレキシブルプリント基板とガラス基板との接続(FOG(Film on Glass))、半導体チップとフレキシブルプリント基板との接続(COF(Chip on Film))、半導体チップとガラス基板との接続(COG(Chip on Glass))、又はフレキシブルプリント基板とガラスエポキシ基板との接続(FOB(Film on Board))等に適用できる。なかでも、本発明に係る接続構造体の製造方法及び本発明に係る接続構造体は、FOG用途又はCOG用途に好適であり、COG用途により好適である。本発明に係る接続構造体の製造方法及び本発明に係る接続構造体は、フレキシブルプリント基板とガラス基板との接続、又は半導体チップとガラス基板との接続に適用することが好ましく、半導体チップとガラス基板との接続に適用することがより好ましい。
本発明に係る接続構造体の製造方法及び本発明に係る接続構造体では、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材との組み合わせが、ガラス基板とフレキシブルプリント基板又は半導体チップとの組み合わせであることが好ましく、ガラス基板と半導体チップとの組み合わせであることがより好ましい。上記第1の接続対象部材及び上記第2の接続対象部材のいずれが、ガラス基板であってもよく、フレキシブルプリント基板又は半導体チップであってもよい。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、銀電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)導電性粒子
ジビニルベンゼン樹脂粒子(平均粒子径3μm)の表面がニッケルめっき層(厚み0.1μm)により被覆されており、かつニッケルめっき層の表面に複数の突起を有する導電性粒子を用意した。
この導電性粒子における突起の平均高さは、150nmであった。上記導電性粒子における上記突起がある部分の表面積1μm2あたりの上記突起の数は15個であった。上記導電性粒子の全表面積100%中、上記導電性粒子における上記突起がある部分の表面積は60%、上記導電性粒子における上記突起がない部分の表面積は40%であった。
(2)導電ペーストの作製
熱硬化性化合物であるレゾルシノールグリシジルエーテル30重量部と、熱硬化剤であるアミンアダクト(味の素ファインテクノ社製「PN−23J」)5重量部と、光硬化性化合物であるエポキシアクリレート(ダイセル・オルネクス社製「EBECRYL3702」)5重量部と、光重合開始剤であるアシルホスフィンオキサイド系化合物(チバ・ジャパン社製「DAROCUR TPO」)0.1重量部と、フィラーである平均粒子径0.25μmのシリカ20重量部とを配合し、さらに上記導電性粒子を配合物100重量%中での含有量が10重量%となるように添加した後、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、配合物を得た。
得られた配合物を、ナイロン製のろ紙(孔径10μm)を用いてろ過することにより、導電性粒子の含有量が10重量%である異方性導電ペーストを得た。
(3)接続構造体の作製
L/Sが15μm/15μmのTi−Al−Tiの複層電極パターンを上面に有する透明ガラス基板(第1の接続対象部材)を用意した。また、L/Sが15μm/15μmのニッケル電極パターンを下面に有する半導体チップ(第2の接続対象部材)を用意した。上記半導体チップの大きさについては、幅1.5mm×長さ20mm×厚み0.5mmである。
上記透明ガラス基板上のチップ搭載部分に、得られた異方性導電ペーストを厚さ30μmとなるように塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。次に、波長365nmのLEDランプを用いて、照射エネルギーが2000mJ/cm2となるように、異方性導電ペースト層に上方から、透明ガラス基板と異方性導電ペースト層の積層方向に、紫外線を照射し、光重合によって異方性導電ペースト層を半硬化させて、Bステージ化した。この光の照射時に、LEDランプと異方性導電材料層との間にマスクを配置して、光を照射した。用いたマスクは、直径10μmの円形の複数の穴(開口部)を有し、開口率が65%であり、開口部と遮蔽部とが交互に並んで連続している部分を有するマスクである。
次に、異方性導電ペースト層上に上記半導体チップを、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電ペースト層の温度が130℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、3MPaの圧力をかけて10秒間熱圧着を行い、異方性導電ペースト層を硬化させて、接続構造体を得た。
得られた接続構造体では、接続部が、マスクの遮蔽部によって光が照射されなかった部分に、硬化率が80%の第1の領域を有し、マスクの開口部(穴)を通過して光が照射された部分に、硬化率が92%の第2の領域を有していた。また、第1の領域と第2の領域とが、接続部の厚み方向と直交する方向に交互に並んでいた。
(実施例2)
(1)導電性粒子
ジビニルベンゼン樹脂粒子(平均粒子径3μm)の表面がニッケルめっき層(厚み0.1μm)により被覆されており、かつニッケルめっき層の表面に複数の突起を有する導電性粒子を用意した。
この導電性粒子における突起の平均高さは、150nmであった。上記導電性粒子の全表面積100%中、上記導電性粒子における上記突起がある部分の表面積1μm2あたりの上記突起の数は15個であった。上記導電性粒子の全表面積100%中、上記導電性粒子における上記突起がある部分の表面積は60%、上記導電性粒子における上記突起がない部分の表面積は40%であった。
(2)導電フィルムの作製
フェノキシ樹脂であるPKHC(ユニオンカーバイド社製)30重量部と、熱硬化剤である潜在性熱硬化剤(旭化成社製「ノバキュアHX−3722」)20重量部と、光硬化性化合物であるエポキシアクリレート(ダイセル・オルネクス社製「EBECRYL3702」)10重量部と、光重合開始剤であるアシルホスフィンオキサイド系化合物(チバ・ジャパン社製「DAROCUR TPO」)0.2重量部と、シランカップリング剤(信越シリコーン社製「KBM−403」)1重量部と、上記導電性粒子10重量部とをトルエンに分散させて、固形分が40重量%である樹脂組成物を作製した。この樹脂組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム上にコーターで塗布し、溶媒を乾燥により除去することで、厚み20μmの異方性導電フィルムを得た。
(3)接続構造体の作製
L/Sが15μm/15μmのTi−Al−Tiの複層電極パターンを上面に有する透明ガラス基板(第1の接続対象部材)を用意した。また、L/Sが15μm/15μmのニッケル電極パターンを下面に有する半導体チップ(第2の接続対象部材)を用意した。上記半導体チップの大きさについては、幅1.5mm×長さ20mm×厚み0.5mmである。
仮圧着機を用いて、上記透明ガラス基板上のチップ搭載部分に、異方性導電フィルムを仮圧着し、貼り付けた。次に、上記半導体チップを電極同士が対向するように積層した後、異方性導電フィルム層の温度が130℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、3MPaの圧力をかけて10秒間熱圧着を行い、異方性導電ペースト層を硬化させた。このとき、加熱ヘッドの圧力開始から1秒後に波長420nmの紫外線ランプを用いて、照射エネルギーが100J/cm2となるように、透明ガラス基板の下方から紫外線を照射して、接続構造体を得た。
得られた接続構造体では、接続部が、導電性粒子及び電極によって光が遮られ、光が照射されなかった部分に、硬化率が80%の第1の領域を有し、導電性粒子及び電極により光が遮られずに光が照射された部分に、硬化率が91%の第2の領域を有していた。また、第1の領域と第2の領域とが、接続部の厚み方向と直交する方向に交互に並んでいた。
(実施例3)
突起の平均高さが50nm、及び上記突起がある部分の表面積1μm2あたりの上記突起の数が30個である導電性粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を作製した。得られた接続構造体では、接続部が、マスクの遮蔽部によって光が照射されなかった部分に、硬化率が81%の第1の領域を有し、マスクの開口部(穴)を通過して光が照射された部分に、硬化率が91%の第2の領域を有していた。また、第1の領域と第2の領域とが、接続部の厚み方向と直交する方向に交互に並んでいた。
(実施例4)
突起の平均高さが500nm、及び上記突起がある部分の表面積1μm2あたりの上記突起の数が3個である導電性粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を作製した。得られた接続構造体では、接続部が、マスクの遮蔽部によって光が照射されなかった部分に、硬化率が81%の第1の領域を有し、マスクの開口部(穴)を通過して光が照射された部分に、硬化率が92%の第2の領域を有していた。また、第1の領域と第2の領域とが、接続部の厚み方向と直交する方向に交互に並んでいた。
(実施例5)
熱圧着時の異方導電ペースト層の温度が150℃となるようにヘッドの温度を調節して熱圧着を行ったこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を作製した。得られた接続構造体では、接続部が、マスクの遮蔽部によって光が照射されなかった部分に、硬化率が89%の第1の領域を有し、マスクの開口部(穴)を通過して光が照射された部分に、硬化率が97%の第2の領域を有していた。また、第1の領域と第2の領域とが、接続部の厚み方向と直交する方向に交互に並んでいた。
(実施例6)
実施例1で用いた導電性粒子の表面を、絶縁性粒子で被覆した導電性粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を作製した。ここで用いた絶縁性粒子は、メタクリル酸メチルを主成分とし、表面にP−OH基及びグリシジル基を有する有機高分子絶縁性粒子である。絶縁性粒子の平均粒径は300nmであった。得られた接続構造体では、接続部が、マスクの遮蔽部によって光が照射されなかった部分に、硬化率が81%の第1の領域を有し、マスクの開口部(穴)を通過して光が照射された部分に、硬化率が93%の第2の領域を有していた。また、第1の領域と第2の領域とが、接続部の厚み方向と直交する方向に交互に並んでいた。
(実施例7)
ジビニルベンゼン樹脂粒子(平均粒子径2μm)の表面がニッケルめっき層(厚み0.08μm)により被覆されており、かつニッケルめっき層の表面に複数の突起を有する導電性粒子を用意した。
この導電性粒子における突起の平均高さは、100nmであった。上記導電性粒子における上記突起がある部分の表面積1μm2あたりの上記突起の数は13個であった。上記導電性粒子の全表面積100%中、上記導電性粒子における上記突起がある部分の表面積は62%、上記導電性粒子における上記突起がない部分の表面積は38%であった。
上記の導電性粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を作製した。得られた接続構造体では、接続部が、マスクの遮蔽部によって光が照射されなかった部分に、硬化率が80%の第1の領域を有し、マスクの開口部(穴)を通過して光が照射された部分に、硬化率が91%の第2の領域を有していた。また、第1の領域と第2の領域とが、接続部の厚み方向と直交する方向に交互に並んでいた。
(比較例1)
突起のない表面が平滑なニッケルめっき粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を作製した。得られた接続構造体では、接続部が、マスクの遮蔽部によって光が照射されなかった部分に、硬化率が87%の第1の領域を有し、マスクの開口部(穴)を通過して光が照射された部分に、硬化率が91%の第2の領域を有していた。
(比較例2)
熱圧着前に光の照射を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を作製した。得られた接続構造体では、接続部の全ての領域で、硬化率が80%であった。
(比較例3)
照射エネルギーが3000mJ/cm2となるように紫外線を照射したこと、さらに熱圧着時の異方導電ペースト層の温度が120℃となるようにヘッドの温度を調節して熱圧着を行ったこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を作製した。得られた接続構造体では、接続部が、マスクの遮蔽部によって光が照射されなかった部分に、硬化率が75%の第1の領域を有し、マスクの開口部(穴)を通過して光が照射された部分に、硬化率が98%の第2の領域を有していた。また、第1の領域と第2の領域とが、接続部の厚み方向と直交する方向に交互に並んでいた。
(評価)
(1)硬化率の測定
赤外分光光度計(FTIR)(バリアンテクノロジーズジャパンリミテッド社製「3100FT−IR」)を使用し、圧着硬化前の導電材料、150℃のオーブンで1時間完全硬化させた導電材料、並びに圧着後の導電材料(接続構造体における接続部に対応)のエポキシ基(熱及び光硬化性反応基)のピーク高さを測定した。圧着後の導電材料については第1の領域及び第2の領域においてそれぞれ測定した。未硬化時でのエポキシ基残量(ピーク値)を100%、完全硬化時のエポキシ基残量(ピーク値)を0%として、検量線を作成した。測定時のエポキシ基残量から、この検量線を使用して未硬化率(X)%を計算し、(100−X)%を硬化率とした。
(2)接続構造体の反り
得られた接続構造体について、レーザー顕微鏡によりチップの高さを測定し、チップ中心部とチップ端部との高さの差を計算することにより、接続構造体の反りを評価した。接続構造体の反りを下記の基準で判定した。
[接続構造体の反りの判定基準]
○○:チップ高さの差が2μmより小さい
○:チップ高さの差が2μm以上、5μmより小さい
△:チップ高さの差が5μm以上、10μmより小さい
×:チップ高さの差が10μm以上
(3)信頼性試験後の接続構造体の反り
(2)で測定後の接続構造体を、−45℃〜125℃、保持時間30分の熱サイクル試験機に入れた。1000サイクル経過後に、上記(2)の評価と同様にレーザー顕微鏡でチップの中心部とチップ端部との高さの差を計算することにより、信頼性試験後の接続構造体の反りを評価した。信頼性試験後の接続構造体の反りを下記の基準で判定した。
[信頼性試験後の接続構造体の反りの判定基準]
○○:チップ高さの差が2μmより小さい
○:チップ高さの差が2μm以上、5μmより小さい
△:チップ高さの差が5μm以上、10μmより小さい
×:チップ高さの差が10μm以上
(4)接続構造体の導通信頼性
得られた接続構造体において、チップと基板との電極間の接続抵抗をそれぞれ、4端子法により測定した。その後、−45℃〜125℃、保持時間30分の熱サイクル試験機に、接続構造体を入れた。1000サイクル経過後に接続抵抗を4端子法で測定し、初期に導通していた100電極中における導通不良となった電極の割合を計算することにより、接続構造体における導通信頼性を評価した。接続構造体における導通信頼性を下記の基準で判定した。
[接続構造体における導通信頼性の判定基準]
○○:導通不良電極の割合が1%未満
○:導通不良となった電極の割合が1%以上、5%未満
△:導通不良となった電極の割合が5%以上、10%未満
×:導通不良となった電極の割合が10%以上
結果を下記の表1に示す。