以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る異方性導電材料は、半導体チップとガラス基板とを接続するために用いられる。本発明に係る異方性導電材料は、熱硬化性成分と導電性粒子とを含む。本発明に係る異方性導電材料に含まれている上記導電性粒子は、基材粒子と、上記基材粒子の表面上に配置された導電層とを備える。上記基材粒子の線熱膨張係数は60℃〜200℃で2×10−5/℃以上、20×10−5/℃以下である。また、本発明に係る異方性導電材料を硬化させた硬化物の23℃での引張伸び率は2%以上、20%以下であり、かつ本発明に係る異方性導電材料を硬化させた硬化物の85℃での引張り伸びが0.5%の時の引張り強度は5MPa以上、20MPa以下である。
特定の上記構成を備える異方性導電材料を用いて、半導体チップとガラス基板とを接続することにより、得られる接続構造体において、硬化物にボイドが発生するのを抑制できる。さらに、得られる接続構造体が高温下に晒される熱履歴を受けた場合に、接続信頼性を高めることができる。これは、上記基材粒子の線熱膨張係数が60℃〜200℃で2×10−5/℃以上、20×10−5/℃以下であり、更に上記硬化物の引張伸び率が2%以上、20%以下であり、かつ上記硬化物の引張り伸びが0.5%の時の引張り強度が5MPa以上、20MPa以下であると、熱履歴時に半導体チップの電極とガラス基板の電極との間の距離が、異方性導電材料が硬化した接続部の伸縮により拡がったりして接続不良が生じるのを抑制でき、更に導電性粒子の基材粒子が熱履歴時に膨張して接続不良の原因となることを抑制できるためである。特に、導電性粒子の粒径が小さい場合、引張伸び率が大きすぎると、熱履歴時における上記接続部の伸びが、半導体チップの電極とガラス基板の電極とに捕捉されている導電性粒子の回復率以上及び導電性粒子の線熱膨張以上となり、接続信頼性が不十分となることがある。また、引張り伸びが0.5%の時の引張り強度が小さすぎると、熱履歴時における上記接続部の伸びが大きくなり、接続信頼性が不十分となることがある。また、引張り伸びが0.5%の時の引張り強度が大きすぎると、熱履歴時に半導体チップのコーナー部に応力が集中し、上記接続部と半導体チップやガラス基板との剥離が生じて、接続信頼性が不十分となることがある。
さらに、本発明の特定の上記構成を備える異方性導電材料を用いて、半導体チップとガラス基板とを接続することにより、異方性導電材料を硬化させた硬化物が、該硬化物の上記導電性粒子を除く部分のガラス転移温度以上に晒されても、十分な接続信頼性が得られる。
熱履歴を受けた場合の接続構造体の接続信頼性をより一層高める観点からは、異方性導電材料を硬化させた硬化物(接続部)の23℃での引張伸び率は好ましくは15%以下、より好ましくは13%以下、更に好ましくは10%以下、好ましくは2%以上、より好ましくは3%以上、更に好ましくは4%以上である。上記引張伸び率は5%未満であってもよい。
上記引張伸び率は、引張試験機を用いて、JIS K7161に準拠して、縦5mm×横50mm×厚み0.3mmの大きさの硬化物を用いて、1mm/分、チャック間距離40mm及び測定温度23℃の条件で測定される。上記引張伸び率を測定する引張試験機として、島津製作所社製「マイクロオートグラフMST−I」等が用いられる。
また、85℃での引張り伸びが0.5%の時の引張り強度は、加熱プレートを用いて測定サンプルを85℃に加熱し、引張試験機を用いて、JIS K7161に準拠して、縦5mm×横50mm×厚み0.3mmの大きさの硬化物を用いて、1mm/分、チャック間距離40mm及び測定温度85℃の条件で測定される。上記引張伸び率を測定する引張試験機として、島津製作所社製「マイクロオートグラフMST−I」等が用いられる。
熱履歴を受けた場合の接続構造体の接続信頼性をより一層高める観点からは、導電性粒子における上記基材粒子の線熱膨張係数は60℃〜200℃で、好ましくは3×10−5/℃以上、より好ましくは5×10−5/℃以上、好ましくは17.5×10−5/℃以下、より好ましくは15×10−5/℃以下である。上記線熱膨張係数の測定温度範囲を60〜200℃としているのは、接続信頼性に最も影響を及ぼす接続構造体の作製時の温度範囲に基づいて範囲を設定したためである。
上記線熱膨張係数は、基材粒子と同一組成の板状試料を作製し、圧縮荷重法(TMA)により、昇温速度5℃/分の条件で測定される。上記線熱膨張係数を測定する測定機として、Seiko Instruments Inc.社製「TMA SS120」等が用いられる。
本発明に係る異方性導電材料を硬化させた硬化物(接続部)における上記導電性粒子を除く部分のガラス転移温度は好ましくは80℃以上、好ましくは150℃以下である。該ガラス転移温度が上記下限以上及び上記上限以下であると、熱履歴を受けた場合の接続構造体の接続信頼性がより一層高くなる。
熱履歴を受けた場合の接続構造体の接続信頼性をより一層高める観点からは、異方性導電材料を硬化させた硬化物(接続部)の120℃での弾性率は、好ましくは500MPa以上、より好ましくは600MPa以上である。該弾性率の上限は特に限定されない。該弾性率は、好ましくは4000MPa以下である。
上記弾性率では、粘弾性測定機を用い、昇温速度5℃/分、変形率0.1%及び10Hzの条件で測定される。上記弾性率の測定では、粘弾性測定機を用い、昇温速度5℃/分、変形率0.1%及び10Hzの条件で測定したときのTanδのピーク時の温度をガラス転移点とする。上記粘弾性測定機としては、アイティー計測制御社製「DVA−200」等が用いられる。
熱履歴を受けた場合の接続構造体の接続信頼性をより一層高める観点からは、異方性導電材料を硬化させた硬化物(接続部)の平面ひずみ破壊靭性は、好ましくは1.5MPa・m1/2以上、より好ましくは2MPa・m1/2以上である。該平面ひずみ破壊靭性の上限は特に限定されない。該平面ひずみ破壊靭性は、好ましくは4MPa・m1/2以下である。
上記平面ひずみ破壊靭性は、引張試験機を用いて、ATSM−E999に準じて3点曲げ試験片を用い、クロスヘッド速度1mm/分及び測定温度23℃の条件で測定される。上記平面ひずみ破壊靭性を測定する引張試験機として、島津製作所社製「オートグラフAG−IS」等が用いられる。
上記引張伸び率、ガラス転移温度、弾性率及び平面ひずみ破壊靭性を測定するための硬化物は、異方性導電材料を180℃で15分間加熱して硬化させた硬化物であることが好ましい。また、上記引張伸び率、ガラス転移温度、弾性率及び平面ひずみ破壊靭性を測定するための硬化物は、異方性導電材料を180℃で20秒間加熱して硬化させた硬化物であることが好ましい。
上記異方性導電材料が光硬化性成分を含む場合には、上記引張伸び率、ガラス転移温度、弾性率及び平面ひずみ破壊靭性を測定するための硬化物は、異方性導電材料に照射エネルギーが200mJ/cm2となるように紫外線を照射した後、異方性導電材料を180℃で20秒間加熱して硬化させた硬化物であることが好ましい。
上記のように、本発明に係る異方性導電材料は、熱硬化性成分と導電性粒子とを含む。該熱硬化性成分は、熱硬化性化合物と熱硬化剤とを含有することが好ましい。また、本発明に係る異方性導電材料は、熱硬化性成分と導電性粒子とに加えて、光硬化性成分をさらに含むことが好ましい。該光硬化性成分は、光硬化性化合物と光硬化開始剤とを含むことが好ましい。上記異方性導電材料は、硬化性化合物として熱硬化性化合物を含み、光硬化性化合物をさらに含むことが好ましい。
以下、上記異方性導電材料に含まれる各成分、及び含まれることが好ましい各成分の詳細を説明する。
[熱硬化性化合物]
上記熱硬化性化合物は熱硬化性を有する。上記熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱硬化性化合物としては、オキセタン化合物、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル化合物、フェノール化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリウレタン化合物、シリコーン化合物及びポリイミド化合物等が挙げられる。上記熱硬化性化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記異方性導電材料の硬化を容易に制御したり、接続構造体における導通信頼性をより一層高めたりする観点からは、上記熱硬化性化合物は、エポキシ基又はチイラン基を有する熱硬化性化合物を含むことが好ましく、チイラン基を有する熱硬化性化合物を含むことがより好ましい。エポキシ基を有する熱硬化性化合物は、エポキシ化合物である。チイラン基を有する熱硬化性化合物は、エピスルフィド化合物である。異方性導電材料の硬化性を高める観点からは、上記熱硬化性化合物100重量%中、上記エポキシ基又はチイラン基を有する化合物の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、100重量%以下である。上記熱硬化性化合物の全量が上記エポキシ基又はチイラン基を有する化合物であってもよい。
上記エピスルフィド化合物は、エポキシ基ではなくチイラン基を有するので、低温で速やかに硬化させることができる。すなわち、チイラン基を有するエピスルフィド化合物は、エポキシ基を有するエポキシ化合物と比較して、チイラン基に由来してより一層低い温度で硬化可能である。
上記エポキシ基又はチイラン基を有する熱硬化性化合物は、芳香族環を有することが好ましい。上記芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、テトラセン環、クリセン環、トリフェニレン環、テトラフェン環、ピレン環、ペンタセン環、ピセン環及びペリレン環等が挙げられる。なかでも、上記芳香族環は、ベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環であることが好ましく、ベンゼン環又はナフタレン環であることがより好ましい。また、ナフタレン環は、平面構造を有するためにより一層速やかに硬化可能であるので好ましい。
[光硬化性化合物]
光の照射によって硬化するように、上記異方性導電材料は、光硬化性化合物を含むことが好ましい。光の照射により光硬化性化合物を半硬化(Bステージ化)させ、異方性導電材料の流動性を低下させることができる。
上記光硬化性化合物としては特に限定されず、(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物及び環状エーテル基を有する光硬化性化合物等が挙げられる。
上記光硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物であることが好ましい。(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物の使用により、接続構造体の導通信頼性をより一層高めることができる。得られる接続構造体の導通信頼性を効果的に高める観点からは、上記光硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基を1個又は2個有することが好ましい。
上記(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物としては、エポキシ基及びチイラン基を有さず、かつ(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物、及びエポキシ基又はチイラン基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物が挙げられる。
上記(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物として、(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート、又はイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート等が好適に用いられる。上記「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基とメタクリロイル基とを示す。上記「(メタ)アクリル」は、アクリルとメタクリルとを示す。上記「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートとを示す。
上記(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物は特に限定されない。該エステル化合物として、単官能のエステル化合物、2官能のエステル化合物及び3官能以上のエステル化合物のいずれも用いることができる。
上記エポキシ基又はチイラン基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する化合物の一部のエポキシ基又は一部のチイラン基を、(メタ)アクリロイル基に変換することにより得られた光硬化性化合物であることが好ましい。このような光硬化性化合物は、部分(メタ)アクリレート化エポキシ化合物又は部分(メタ)アクリレート化エピスルフィド化合物である。このような光、及び熱で硬化可能しうる化合物を含有する異方導電性材料を用いることで、所望とする85℃での引張り伸びが0.5%の時の引張り強度や、平面ひずみ破壊靭性を発現させることが容易となる。
光硬化性化合物は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する化合物と、(メタ)アクリル酸との反応物であることが好ましい。この反応物は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する化合物と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って塩基性触媒等の存在下で反応することにより得られる。エポキシ基又はチイラン基の20%以上が(メタ)アクリロイル基に変換(転化率)されていることが好ましい。該転化率は、より好ましくは30%以上、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下である。エポキシ基又はチイラン基の40%以上、60%以下が(メタ)アクリロイル基に変換されていることが最も好ましい。
上記部分(メタ)アクリレート化エポキシ化合物としては、ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、カルボン酸無水物変性エポキシ(メタ)アクリレート、及びフェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
光硬化性化合物として、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有するフェノキシ樹脂の一部のエポキシ基又は一部のチイラン基を(メタ)アクリロイル基に変換した変性フェノキシ樹脂を用いてもよい。すなわち、エポキシ基又はチイラン基と(メタ)アクリロイル基とを有する変性フェノキシ樹脂を用いてもよい。
また、上記光硬化性化合物は、架橋性化合物であってもよく、非架橋性化合物であってもよい。
上記架橋性化合物の具体例としては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、ジビニルベンゼン、ポリエステル(メタ)アクリレート、及びウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記非架橋性化合物の具体例としては、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート及びテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
光硬化性化合物を用いる場合には、光硬化性化合物と熱硬化性化合物との配合比は、光硬化性化合物と熱硬化性化合物との種類に応じて適宜調整される。上記異方性導電材料は、光硬化性化合物と熱硬化性化合物とを重量比で、1:99〜90:10で含むことが好ましく、5:95〜70:30で含むことがより好ましく、10:90〜50:50で含むことが更に好ましい。上記異方性導電材料は、光硬化性化合物と熱硬化性化合物とを重量比で、1:99〜50:50で含むことが特に好ましい。
(熱硬化剤)
上記熱硬化剤は特に限定されない。上記熱硬化剤として、従来公知の熱硬化剤を用いることができる。上記熱硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤、酸無水物及びカチオン硬化剤等が挙げられる。上記熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
異方性導電材料を低温でより一層速やかに硬化させることができるので、上記熱硬化剤は、イミダゾール硬化剤、ポリチオール硬化剤又はアミン硬化剤であることが好ましい。また、異方性導電材料の保存安定性を高めることができるので、潜在性の硬化剤が好ましい。該潜在性の硬化剤は、潜在性イミダゾール硬化剤、潜在性ポリチオール硬化剤又は潜在性アミン硬化剤であることが好ましい。上記熱硬化剤は、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等の高分子物質で被覆されていてもよい。
上記イミダゾール硬化剤としては、特に限定されず、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン及び2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
上記ポリチオール硬化剤としては、特に限定されず、トリメチロールプロパントリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトールヘキサ−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
上記アミン硬化剤としては、特に限定されず、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
上記カチオン硬化剤として、ヨードニウム塩やスルフォニウム塩が好適に用いられる。例えば、上記カチオン硬化剤の市販品としては、三新化学社製のサンエイドSI−45L、SI−60L、SI−80L、SI−100L、SI−110L、SI−150Lや、ADEKA社製のアデカオプトマーSP−150、SP−170等が挙げられる。
好ましいカチオン硬化剤のアニオン部分としては、PF6、BF4、及びB(C6F5)4が挙げられる。
上記熱硬化剤の含有量は特に限定されない。上記硬化性化合物中の上記熱硬化性化合物100重量部に対して、上記熱硬化剤の含有量は、好ましくは5重量部以上、より好ましくは10重量部以上、好ましくは40重量部以下、より好ましくは30重量部以下、更に好ましくは20重量部以下である。上記熱硬化剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、異方性導電材料を充分に熱硬化させることができる。
(光硬化開始剤)
上記光硬化開始剤は特に限定されない。上記光硬化開始剤として、従来公知の光硬化開始剤を用いることができる。上記光硬化開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光硬化開始剤としては、特に限定されず、アセトフェノン光硬化開始剤、ベンゾフェノン光硬化開始剤、チオキサントン、ケタール光硬化開始剤、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド及びアシルホスフォナート等が挙げられる。
上記アセトフェノン光硬化開始剤の具体例としては、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、及び2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン等が挙げられる。上記ケタール光硬化開始剤の具体例としては、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
上記光硬化開始剤の含有量は特に限定されない。上記硬化性化合物中の上記光硬化性化合物100重量部に対して、上記光硬化開始剤の含有量は、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.2重量部以上、好ましくは2重量部以下、より好ましくは1重量部以下である。上記光硬化開始剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、異方性導電材料を適度に光硬化させることができる。異方性導電材料に光を照射し、Bステージ化することにより、異方性導電材料の流動を抑制できる。
(導電性粒子)
上記異方性導電材料に含まれている導電性粒子は、第1,第2の接続対象部材の電極間を電気的に接続する。図3に導電性粒子の一例を示すように、導電性粒子11は、基材粒子12と、基材粒子12の表面上に配置された導電層13とを備える。上記導電性粒子の導電層の表面が絶縁層により被覆されていてもよい。この場合には、接続対象部材の接続時に、導電層と電極との間の絶縁層が排除される。上記導電性粒子は、導電性の外表面に突起を有していてもよい。
上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。上記基材粒子は、金属粒子を除く基材粒子であることが好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることがより好ましい。
上記基材粒子は、樹脂により形成された樹脂粒子であることが好ましい。電極間を接続する際には、導電性粒子を電極間に配置した後、一般的に導電性粒子を圧縮させる。基材粒子が樹脂粒子であると、粒子の線膨張係数を規定の範囲に調整することが容易であり、また圧縮により導電性粒子が変形しやすく、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなる。このため、電極間の導通信頼性が高くなる。
上記樹脂粒子を形成するための樹脂として、種々の有機物が好適に用いられる。上記樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリアルキレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、及び、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させて得られる重合体等が用いられる。また、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させることにより、導電材料に適した任意の熱膨張収縮挙動や、圧縮時の物性を有する樹脂粒子を設計及び合成可能である。
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する単量体を重合させて得る場合には、該エチレン性不飽和基を有する単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。また、架橋性の単量体と非架橋性の単量体とは重量比で、100:0(架橋性の単量体のみを使用)〜75:25で用いることが好ましい。
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート類;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族基含有(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
粒子の線膨張係数を規定の範囲に容易に調整する観点からは、非架橋性の単量体として、シクロヘキシルアクリレート、イソボニルアクリレート、エチルビニルベンゼンなどが用いられることが好ましい。
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレンジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸骨格トリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
粒子の線膨張係数を規定の範囲に容易に調整する観点からは、架橋性の単量体として、ジビニルベンゼン、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレートなどが用いられることが好ましい。
粒子の線膨張係数を規定の範囲に容易に調整する観点からは、上記基材粒子は、シクロヘキシルアクリレート、イソボニルアクリレート、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、1,4−ブタンジオールジアクリレート又は1,6−ヘキサンジオールジメタクリレートを用いて得られていることが好ましい。この場合に、これらの化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよく、2種以上が併用される場合に、配合比を適宜調整することができる。例えば、ジビニルベンゼンとシクロヘキシルアクリレートとを用いる場合に、ジビニルベンゼンとシクロヘキシルアクリレートとは重量比で、100:0(ジビニルベンゼンのみを使用)〜75:25で用いることが好ましい。
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、及び非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合には、基材粒子を形成するための無機物としては、シリカ及びカーボンブラック等が挙げられる。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシル基を2つ以上有するケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
上記導電層を形成するための金属は特に限定されない。該金属としては、例えば、金、銀、パラジウム、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、タリウム、ゲルマニウム、カドミウム、ケイ素及びこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)及びはんだ等が挙げられる。なかでも、電極間の接続抵抗がより一層低くなるので、上記導電層は、金層、銀層、銅層、ニッケル層、パラジウム層又は錫を含有する導電層であることが好ましい。中でもニッケルを含む導電層、又はニッケルとリンやボロン等の他の元素とを含むニッケル合金層が好ましい。
上記導電層の厚みは、好ましくは50nm以上、より好ましくは75nm以上、好ましくは500nm以下、より好ましくは75nm以下である。上記導電層の厚みが上記下限以上であると、導電層が適度に硬くなり、電極間の導通性がより一層高くなる。上記導電層の厚みが上記上限以下であると、基材粒子の熱膨張収縮特性を制御したことによる効果がより一層得られ、また導電層が硬くなりすぎず、導電性粒子と電極との接触面積がより一層大きくなる。
基材粒子の表面に導電層を形成する方法としては特に限定されず、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的蒸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを基材粒子表面にコーティングする方法等が挙げられる。上記物理的蒸着による方法としては、イオンプレーティング及びイオンスパッタリングによる方法が挙げられる。中でも無電解めっきによる方法が好ましい。
無電解めっきにより形成する方法では、一般的にエッチング工程と、触媒化工程と、無電解めっき工程とが行われる。上記エッチング工程は、基材粒子の表面に微小な凹凸を形成する工程であり、めっきにより形成されるニッケルを主成分とする層などの密着をよくするために行われる。上記エッチングを行う方法としては特に限定されず、例えば、濃塩酸、濃硫酸、クロム酸、硫酸一クロム酸混液、過マンガン酸溶液、水酸化ナトリウム溶液及び水酸化カリウム溶液等を用いる方法等が挙げられる。
上記触媒化工程は、エッチング工程でエッチングされた基材粒子の表面に無電解めっきによりめっき層を形成するための起点になる触媒を基材粒子の表面に形成させる。
上記触媒を樹脂粒子の表面に形成させる方法としては、例えば、塩化パラジウムと塩化スズとを含む溶液に、樹脂粒子を添加した後、酸溶液又はアルカリ溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、樹脂粒子の表面にパラジウムを析出させる方法、並びに硫酸パラジウムとアミノピリジンとを含有する溶液に、樹脂粒子を添加した後、還元剤を含む溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、樹脂粒子の表面にパラジウムを析出させる方法等が挙げられる。
上記無電解めっき工程は、触媒化工程において触媒が付与された基材粒子を、還元剤の存在下で金属イオンを含有する溶液中に浸漬し、触媒を起点として樹脂微粒子の表面に金属を析出させる工程である。
上記還元剤として、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム及び次亜酸アンモニウム等のリン含有還元剤;ジメチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム及び水素化ホウ素カリウム等のボロン含有還元剤等が用いられる。
上記無電解めっき工程では、金属塩及び還元剤を含む金属めっき浴が用いられる。金属めっき浴中に基材粒子を浸漬することにより、触媒が表面に形成された樹脂粒子の表面に、金属を析出させることができる。
上記導電性粒子は、上記ニッケル導電層の外表面上に配置された上記第2の導電層を備えていてもよい。上記第2の導電層は、金又はパラジウムを含むことが好ましい。このような第2の導電層によって、ニッケルを含む導電層などの外表面の酸化が防止され、導電性粒子の表面の抵抗が低くなる。さらに、導電層の表面に貴金属のバリヤ層を設けることによって、接続構造体の長期信頼性が向上する。上記第2の導電層は、パラジウムを含むことがより好ましい。上記第2の導電層の厚みは、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、好ましくは80nm以下、より好ましくは30nm以下である。
上記導電性粒子を10%圧縮変形したときの圧縮弾性率(10%K値)は、好ましくは1GPa以上、より好ましくは2GPa以上、好ましくは15GPa以下、より好ましくは10GPa以下である。上記10%K値が上記下限以上であると、導電性粒子を圧縮変形させると、導電性粒子が破壊されにくくなる。上記10%K値が上記上限以下であると、導電性粒子による電極の損傷を抑制できる。また、熱履歴を受けた場合の接続構造体の接続信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子の10%K値は、好ましくは1GPa以上、好ましくは10GPa以下である。
なお、上記10%K値は、微小圧縮試験器(例えば、島津製作所社製「PCT−200」)を用い、導電性粒子を円柱(直径50μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、圧縮速度2.6mN/秒、最大試験荷重10gの条件下で圧縮した場合の圧縮変位(mm)を測定し、下記式により求めることができる。
10%K値(N/mm2)=(3/√2)・F・S−3/2・R−1/2
F:導電性粒子の10%圧縮変形における荷重値(N)
S:導電性粒子の10%圧縮変形における圧縮変位(mm)
R:導電性粒子の半径(mm)
熱履歴を受けた場合の接続構造体の接続信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子の圧縮変形回復率は、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上である。また、上記圧縮変形回復率が上記下限以上であると、圧縮荷重が取り除かれた後に、導電性粒子が変形前の形状に近い形状に充分に回復しやすい。このため、電極間を接続した場合に、電極と導電性粒子との間にわずかな隙間が形成され難くなり、電極間の電気的な接続不良が生じにくくなり、電極間の接続抵抗が高くなるのを抑制できる。
上記圧縮変形回復率は、以下のようにして求めることができる。
微小圧縮試験機(島津製作所社製「PCT−200」)を用いて、原点用荷重値(0.4mN)から、反転圧縮荷重値10mNに達するまで、0.3mN/秒の荷重負荷速度で、四角柱(ダイヤモンド製)の平滑な端面(50μm×50μm)により導電性粒子に負荷を与える。反転圧縮荷重値10mNに達した後、60秒間圧縮状態を保持する。その後、原点用荷重値(0.4mN)に達するまで、0.3mN/秒の荷重除荷速度で導電性粒子への負荷を解放する。このときの圧縮変位を測定し、得られた測定値から、下記式により圧縮変形回復率を求めることができる。
圧縮変形回復率(%)=[(L1−L2)/L1]×100
L1:負荷を与えるときの原点用荷重値から反転圧縮荷重値に至るまでの圧縮変位(mm)
L2:負荷を解放するときの反転圧縮荷重値から原点用荷重値に至るまでの圧縮変位(mm)
導電性粒子の平均粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは15μm以下、特に好ましくは10μm以下である。熱履歴を受けた場合の接続構造体の接続信頼性をより一層高める観点からは、導電性粒子の平均粒子径は、1μm以上、10μm以下であることが特に好ましく、1μm以上、5μm以下であることがより好ましく、1μm以上、4μm以下であることが更に好ましい。導電性粒子の平均粒子径は、4μm以上であってもよい。
熱履歴を受けた場合の接続構造体の接続信頼性をさらに一層高める観点からは、上記導電性粒子の平均粒子径が1μm以上、10μm以下であり、圧縮変形回復率が40%以上であり、かつ10%圧縮変形したときの圧縮弾性率(10%K値)が1GPa以上、10GPa以下であることが好ましい。
導電性粒子の「平均粒子径」は、数平均粒子径を示す。導電性粒子の平均粒子径は、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
上記導電性粒子の含有量は特に限定されない。異方性導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、更に好ましくは1重量%以上、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下、更に好ましくは19重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、接続されるべき上下の電極間に導電性粒子を容易に配置できる。さらに、接続されてはならない隣接する電極間が複数の導電性粒子を介して電気的に接続され難くなる。すなわち、隣り合う電極間の短絡をより一層防止できる。
(他の成分)
上記異方性導電材料は、本発明の効果を損なわない範囲でフィラーを含んでもよい。フィラーの使用により、異方性導電材料の硬化物の熱線膨張率を抑制できる。上記フィラーの具体例としては、シリカ、窒化アルミニウム、アルミナ、ガラス、窒化ボロン、窒化ケイ素、シリコン、カーボン、グラファイト、グラフェン及びタルク等が挙げられる。フィラーは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。熱伝導率が高いフィラーを用いると、本硬化時間を短縮することができる。
上記異方性導電材料は、硬化促進剤をさらに含むことが好ましい。硬化促進剤の使用により、硬化速度をより一層速くすることができる。硬化促進剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化促進剤の具体例としては、イミダゾール硬化促進剤及びアミン硬化促進剤等が挙げられる。なかでも、イミダゾール硬化促進剤が好ましい。なお、イミダゾール硬化促進剤又はアミン硬化促進剤は、イミダゾール硬化剤又はアミン硬化剤としても用いることができる。
上記異方性導電材料は、溶剤を含んでいてもよい。該溶剤の使用により、異方性導電材料の粘度を容易に調整できる。上記溶剤としては、例えば、酢酸エチル、メチルセロソルブ、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、テトラヒドロフラン及びジエチルエーテル等が挙げられる。
熱履歴を受けた場合の接続構造体の接続信頼性をさらに一層高める観点からは、上記異方性導電材料は、チクソ付与剤を含むことが好ましい。該チクソ付与剤としては、エラストマー粒子及びシリカ等が挙げられる。該エラストマー粒子としては、ゴム粒子が挙げられる。該ゴム粒子としては、天然ゴム粒子、イソプレンゴム粒子、ブタジエンゴム粒子、スチレンブタジエンゴム粒子、クロロプレンゴム粒子及びアクリロニトリルブタジエンゴム粒子等が挙げられる。
上記硬化性組成物100重量%中、上記チクソ付与剤の含有量は好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上、好ましくは30重量%以下、より好ましくは15重量%以下である。上記チクソ付与剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、熱履歴を受けた場合の接続構造体の接続信頼性がより一層高くなる。
(異方性導電材料の詳細及び用途)
本発明に係る異方性導電材料は、ペースト状又はフィルム状の異方性導電材料であり、ペースト状の異方性導電材料であることが好ましい。ペースト状の異方性導電材料は、異方性導電ペーストである。フィルム状の異方性導電材料は、異方性導電フィルムである。異方性導電材料が異方性導電フィルムである場合、該導電性粒子を含む異方性導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されてもよい。
本発明に係る異方性導電材料は、半導体チップとガラス基板とを接着するために用いられる。上記異方性導電材料は、半導体チップとガラス基板とが電気的に接続されている接続構造体を得るために好適に用いられる。
図1に、本発明の一実施形態に係る異方性導電材料を用いた接続構造体の一例を模式的に断面図で示す。
図1に示す接続構造体1は、第1の接続対象部材2と、第2の接続対象部材4と、第1,第2の接続対象部材2,4を接続している接続部3とを備える。接続部3は、硬化物層である。接続部3は、熱硬化性成分と導電性粒子11とを含む異方性導電材料を硬化させることにより形成されている。上記異方性導電材料は、複数の導電性粒子11を含む。
第1の接続対象部材2は上面2aに、複数の電極2bを有する。第2の接続対象部材4は下面4aに、複数の電極4bを有する。電極2bと電極4bとが、1つ又は複数の導電性粒子11により電気的に接続されている。
接続構造体1では、第1の接続対象部材2としてガラス基板が用いられており、第2の接続対象部材4として半導体チップが用いられている。
図1に示す接続構造体1は、例えば、以下のようにして得ることができる。ここでは、上記異方性導電材料として、熱硬化性成分と導電性粒子11とに加えて、光硬化性成分をさらに含む異方性導電材料を用いた場合の接続構造体1の製造方法を具体的に説明する。
図2(a)に示すように、電極2bを上面2aに有する第1の接続対象部材2を用意する。次に、第1の接続対象部材2の上面2aに、熱硬化性成分と光硬化性成分と導電性粒子11とを含む異方性導電材料を用いて、第1の接続対象部材2の上面2aに異方性導電材料層3Aを配置する。このとき、電極2b上に、1つ又は複数の導電性粒子11が配置されていることが好ましい。上記異方性導電材料として異方性導電ペーストを用いる場合には、異方性導電ペーストの配置は、異方性導電ペーストの塗布により行われる。また、上記異方性導電材料層は、異方性導電ペースト層になる。
次に、異方性導電材料層3Aに光を照射することにより、異方性導電材料層3Aの硬化を進行させる。異方性導電材料層3Aの硬化を進行させて、異方性導電材料層3AをBステージ化する。図2(b)に示すように、異方性導電材料層3AのBステージ化により、第1の接続対象部材2の上面2aに、Bステージ化された異方性導電材料層3Bを形成する。
第1の接続対象部材2の上面2aに、異方性導電材料を配置しながら、異方性導電材料層3Aに光を照射することが好ましい。さらに、第1の接続対象部材2の上面2aへの異方性導電材料の配置と同時に、又は配置の直後に、異方性導電材料層3Aに光を照射することも好ましい。配置と光の照射とが上記のように行われた場合には、異方性導電材料層の流動をより一層抑制できる。このため、得られた接続構造体1における導通信頼性をより一層高めることができる。第1の接続対象部材2の上面2aに異方性導電材料を配置してから光を照射するまでの時間は、0秒以上、好ましくは3秒以下、より好ましくは2秒以下である。
光の照射により異方性導電材料層3AをBステージ化させるために、異方性導電材料層3Aの硬化を適度に進行させるための光照射強度は、例えば、好ましくは0.1〜100mW/cm2程度である。また、異方性導電材料層3Aの硬化を適度に進行させるための光の照射エネルギーは、例えば、好ましくは1〜2000mJ/cm2程度である。
光を照射する際に用いる光源は特に限定されない。該光源としては、例えば、波長420nm以下に充分な発光分布を有する光源等が挙げられる。また、光源の具体例としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ及びLED等が挙げられる。
次に、図2(c)に示すように、Bステージ化された異方性導電材料層3Bの上面3aに、第2の接続対象部材4を積層する。第1の接続対象部材2の上面2aの電極2bと、第2の接続対象部材4の下面4aの電極4bとが対向するように、第2の接続対象部材4を積層する。
さらに、第2の接続対象部材4の積層の際に、異方性導電材料層3Bを加熱することにより、Bステージ化された異方性導電材料層3Bをさらに硬化させ、硬化物層である接続部3を形成する。ただし、第2の接続対象部材4の積層の前に、異方性導電材料層3Bを加熱してもよい。第2の接続対象部材4を積層すると共に、もしくは積層した後、異方性導電材料層3Bを加熱して硬化させることが好ましい。
熱の付与により異方性導電材料層3Bを硬化させるために、異方性導電材料層3Bを充分に硬化させるための加熱温度は好ましくは160℃以上、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下である。
なお、異方性導電材料層3Aに光を照射せずに、異方性導電材料層3AをBステージ化しない場合には、異方性導電材料層3Aの上面3aに第2の接続対象部材4を積層し、異方性導電材料層3Aに熱を付与して、異方性導電材料層3Aを硬化させればよい。
異方性導電材料層3Bを硬化させる際に、加圧することが好ましい。加圧によって電極2bと電極4bとで導電性粒子11を圧縮することにより、電極2b,4bと導電性粒子11との接触面積を大きくすることができる。このため、導通信頼性を高めることができる。
異方性導電材料層3Bを硬化させることにより、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材4とが、接続部3を介して接続される。また、電極2bと電極4bとが、導電性粒子11を介して電気的に接続される。このようにして、図1に示す接続構造体1を得ることができる。本実施形態では、光硬化と熱硬化とが併用されているため、異方性導電材料を短時間で硬化させることができる。
異方性導電ペーストを用いる場合には、異方性導電フィルムを用いる場合と比較して、導電性粒子が流動しやすく、導通信頼性が低くなる傾向がある。上記接続構造体により、異方性導電ペーストを用いたとしても、導通信頼性を十分に高めることができる。
本発明に係る接続構造体の製造方法は、半導体チップとガラス基板との接続(COG(Chip on Glass))に関する。本発明に係る接続構造体の製造方法では、上記第1の接続対象部材及び上記第2の接続対象部材として、半導体チップとガラス基板とが用いられている。COG用途では、接続構造体が高温下に晒される熱履歴を受けた場合に、接続信頼性が問題となることが多い。本発明に係る接続構造体の製造方法により、接続構造体が高温下に晒される熱履歴を受けた場合に、接続信頼性を効果的に高めることができる。また、ガラス基板の代替として、ポリカーボネート基板、ポリエーテルスルホン基板等の透明プラスチック基板を用いてもよい。
上記半導体チップとして、厚みが0.5mm以下、かつアスペクト比が11以上である半導体チップを用いることが好ましい。このような厚み及びアスペクト比を満たす半導体チップを用いた場合には、接続構造体が高温下に晒される熱履歴を受けた場合に、接続信頼性が特に問題となることがある。しかしながら、本発明では、特定の上記組成を有する異方性導電材料を用いて、半導体チップとガラス基板とを接続するので、接続構造体が高温下に晒される熱履歴を受けた場合でも、接続信頼性を十分に高めることができる。上記半導体チップの厚みの下限は特に限定されないが、該半導体チップの厚みは好ましくは0.1mm以上である。上記半導体チップの上記アスペクト比の上限は特に限定されないが、該アスペクト比は好ましくは25以下である。上記アスペクト比は半導体チップにおける縦寸法と横寸法との比である。
以下、本発明について、実施例および比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
実施例及び比較例では、以下の成分を用いた。
[導電性粒子]
導電性粒子A〜Eは、平均粒子径が3μmかつ樹脂粒子である基材粒子の表面に厚み770nmのニッケルめっき層が形成されており、かつ該ニッケルめっき層の表面に厚み320nmの金めっき層が形成されている導電層を有する導電性粒子である。また、導電性粒子A〜Eにおける基材粒子の熱線膨張係数、導電性粒子A〜Eの10%K値及び圧縮変形回復率は下記の値を示した。
導電性粒子A(基材粒子の線熱膨張係数:2.3×10−5/℃、10%K値:5.0N/mm2、23℃での圧縮変形回復率:55%)
導電性粒子B(基材粒子の線熱膨張係数:5.5×10−5/℃、10%K値:4.5N/mm2、23℃での圧縮変形回復率:50%)
導電性粒子C(基材粒子の線熱膨張係数:10.2×10−5/℃、10%K値:3N/mm2、23℃での圧縮変形回復率:45%)
導電性粒子D(基材粒子の線熱膨張係数:15.9×10−5/℃、10%K値:2N/mm2、23℃での圧縮変形回復率:40%)
導電性粒子E(基材粒子の線熱膨張係数:22×10−5/℃、10%K値:1.5N/mm2、23℃での圧縮変形回復率:30%)
なお、上記基材粒子の線熱膨張係数、上記10%K値及び上記圧縮変形回復率は、ジビニルベンゼンおよびシクロヘキシルアクリレートの組成比、および架橋度を変更することで調整した。
導電性粒子A(ジビニルベンゼン:シクロヘキシルアクリレート=100:0)
導電性粒子B(ジビニルベンゼン:シクロヘキシルアクリレート=85:15)
導電性粒子C(ジビニルベンゼン:シクロヘキシルアクリレート=70:30)
導電性粒子D(ジビニルベンゼン:シクロヘキシルアクリレート=50:50)
導電性粒子E(ジビニルベンゼン:シクロヘキシルアクリレート=20:80)
また、下記の導電性粒子を用意した。
EH20GNR(日本化学工業社製、平均粒子径5μm、基材粒子の線熱膨張係数:1.8×10−5/℃)
さらに、下記の導電性粒子を用意した。
導電性粒子Fは、平均粒子径が2μmかつ樹脂粒子である基材粒子の表面に厚み770nmのニッケルめっき層が形成されており、かつ該ニッケルめっき層の表面に厚み320nmの金めっき層が形成されている導電層を有する導電性粒子導電性粒子である。また、導電性粒子Fにおける基材粒子の熱線膨張係数、導電性粒子Fの10%K値及び圧縮変形回復率は下記の値を示した。
導電性粒子F(基材粒子の線熱膨張係数:4.5×10−5/℃、10%K値:6.0N/mm2、23℃での圧縮変形回復率:58%)
なお、上記基材粒子の線熱膨張係数、上記10%K値及び上記圧縮変形回復率は、導電性粒子A〜Eと同様にジビニルベンゼンおよびシクロヘキシルアクリレートの組成比、および架橋度を変更することで調整した。
導電性粒子F(ジビニルベンゼン:シクロヘキシルアクリレート=85:15)
[熱硬化性化合物]
EX−201P(ナガセケムテックス社製、レゾルシノールグリシジルエーテル)
HP−4032D(DIC社製、ナフタレングリシジルエーテル)
EP−3300P(ADEKA社製、可撓性エポキシ樹脂)
エポゴーセーPT(四日市合成社製、可撓性エポキシ樹脂)
[光硬化性化合物]
EBECRYL3702(ダイセル・オルネクス社製(旧ダイセル・サイテック社製)、脂肪酸変性エポキシアクリレート)
EBECRYL3708(ダイセル・オルネクス社製(旧ダイセル・サイテック社製)、カプロラクトン変性エポキシアクリレート)
EBECRYL8405(ダイセル・オルネクス社製(旧ダイセル・サイテック社製)、ウレタンアクリレート)
4HBAGE(日本化成社製、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル)
[熱硬化剤]
TEP−2E4MZ(日本曹達社製、包摂イミダゾール)
[光硬化開始剤]
イルガキュア819(BASF社製)
[接着付与剤]
KBE−402(信越化学工業社製、シランカップリング剤)
[フィラー]
表面メチル処理シリカ(平均粒径0.7mm)(トクヤマ社製)
[チクソ付与剤]
ナノシリカPM20L(トクヤマ社製)
[柔軟性粒子]
KW−8800(三菱レイヨン社製、コアシェル粒子)
(実施例1)
(1)異方性導電ペーストの調製
下記の表1に示す成分を下記の表1に示す配合量で配合して、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、配合物を得た。得られた配合物を、ナイロン製ろ紙(孔径10μm)を用いてろ過することにより、異方性導電ペーストを得た。
(2)接続構造体の作製
L/Sが15μm/15μmのITO電極パターンが上面に形成された透明ガラス基板(第1の接続対象部材)を用意した。また、バンプピッチ30μm、1電極あたりの電極面積が1500μm2の金バンプが下面に形成された半導体チップ(第2の接続対象部材、縦15mm×横1.6mm×厚み0.3mm)を用意した。
上記透明ガラス基板上に、得られた異方性導電ペーストを厚さ20μmとなるように塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。
次に、波長365nmのLEDランプを用いて、照射エネルギーが1500mJ/cm2となるように、異方性導電ペースト層に上方から紫外線を照射し、光重合によって異方性導電ペースト層を半硬化させ、Bステージ化した。
次に、異方性導電ペースト層の上面に上記半導体チップを、電極/バンプ同士が対向するように積層した。その後、異方性導電ペースト層の温度が185℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、3MPaの圧力をかけて異方性導電ペースト層を185℃で20秒硬化させ、接続構造体を得た。
(実施例2〜4)
異方性導電ペーストの調製の際に、導電性粒子の種類を下記の表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストを用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を得た。
(実施例5)
接続構造体の作製の際に、半導体チップの大きさのみが異なり、縦0.7mm×横17mm×厚み0.3mmの大きさの半導体チップを用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を得た。
(実施例6〜9)
下記の表1に示す成分を下記の表1に示す配合量で配合したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペーストを調製した。得られた異方性導電ペーストを用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を得た。
(実施例10)
異方性導電ペーストの調製の際に、導電性粒子として、導電性粒子Fを用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を得た。
(比較例1〜4)
下記の表1に示す成分を下記の表1に示す配合量で配合したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペーストを調製した。得られた異方性導電ペーストを用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を得た。
(比較例5)
異方性導電ペーストの調製の際に、導電性粒子として、EH20GNR(日本化学工業社製、平均粒子径5μm、基材粒子の線熱膨張係数:1.8×10−5/℃、)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を得た。
(比較例6)
異方性導電ペーストの調製の際に、導電性粒子として、導電性粒子Eを用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を得た。
(評価)
(1)導電性粒子における基材粒子の線熱膨張係数
導電性粒子における基材粒子と同一組成の板状試料(縦25mm×横4mm×厚さ1mm)を作製した。得られた板状試料を用いて、かつSeiko Instruments
Inc.社製「TMA SS120」を用いて、圧縮荷重法(TMA)により、昇温速度5℃/分の条件で、基材粒子の線熱膨張係数を測定した。
(2)導電性粒子の圧縮弾性率
導電性粒子の23℃での圧縮弾性率(10%K値)を、微小圧縮試験機(フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」)を用いて測定した。
(3)導電性粒子の圧縮変形回復率
導電性粒子の23℃での圧縮変形回復率を、微小圧縮試験機(フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」)を用いて測定した。
(4)引張伸び(引張伸び率)
得られた異方性導電ペーストをPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に厚みが20μmとなるように塗工した。次に、紫外線照射ランプを用いて、照射エネルギーが1500mJ/cm2となるように、異方性導電ペースト層に上方から紫外線を照射し、光重合によって異方性導電ペースト層を半硬化させ、Bステージ化し、異方性導電ペースト層を得た。得られた導電ペースト層を重ね合わせた後、該異方性導電ペースト層に185℃で15分間を付与して、硬化物を得た。得られた硬化物を重ね合わせPETフィルムから剥離して、縦5mm×横50mm×厚み0.3mmの大きさに切断して、評価サンプルを得た。
1mm/分、チャック間距離40mm及び測定温度23℃の条件で、島津製作所社製「マイクロオートグラフMST−I」を用い、測定した。
(5)85℃での引張り伸びが0.5%の時の引張り強度
85℃での引張り伸びが0.5%の時の引張り強度は、加熱プレートを用い、測定サンプルを85℃に加熱し、引張試験機を用いて、JIS K7161に準拠して、縦5mm×横50mm×厚み0.3mmの大きさの硬化物を用いて、1mm/分、チャック間距離40mm及び測定温度85℃の条件で、島津製作所社製「マイクロオートグラフMST−I」を用い、測定した。
(6)ガラス転移温度
上記(4)引張伸びの評価で得られた評価サンプルを用意した。アイティー計測制御社製「DVA−200」を用いて、評価サンプルの導電性粒子を除く部分のガラス転移温度を測定した。
(7)弾性率
上記(4)引張伸びの評価で得られた評価サンプルを用意した。アイティー計測制御社製「DVA−200」を用いて、昇温速度5℃/分、変形率0.1%、10Hzの条件で、評価サンプルの120℃での弾性率を測定した。
(8)平面ひずみ破壊靭性
上記(4)引張伸びの評価で得られた評価サンプルを用意した。島津製作所社製「オートグラフAG−IS」を用いて、ATSM−E999に準じて3点曲げ試験片を用い、クロスヘッド速度1mm/分及び測定温度23℃の条件で、評価サンプルの平面ひずみ破壊靭性を測定した。
(9)接続構造体における硬化物層におけるボイドの有無
得られた接続構造体において、異方性導電ペーストが硬化した硬化物層にボイドが生じているか否かを、光学顕微鏡により観察した。ボイドの有無を下記の基準で判定した。ボイドが無いと接続信頼性が高くなり、ボイドが少ないほど接続信頼性が高くなる。
[ボイドの有無の判定基準]
○:ボイド無し
△:僅かにボイドがあるが、電極のL/S、ピッチ以上のボイドはなし
×:隣接する電極間以上のサイズのボイドあり
(10)導通性
得られた接続構造体を用いて、20箇所の抵抗値を4端子法にて評価した。導通性を下記の判定基準で判定した。
[導通性の判定基準]
○:全ての箇所で抵抗値が3Ω以下である
△:少なくとも1箇所で抵抗値が3Ωを超えるが、全く導通していない箇所はない
×:全く導通していない箇所が1箇所以上ある
(11)熱履歴を受けた場合の接続信頼性
得られた接続構造体100個を、−30℃で5分間保持し、次に120℃まで25分で昇温し、120℃で5分間保持した後、−30℃まで25分で降温する過程を1サイクルとする冷熱サイクル試験を実施した。1000サイクル後に、接続構造体を取り出した。
冷熱サイクル試験後の100個の接続構造体について、上下の電極間の導通不良が生じているか否かを評価した。100個の接続構造体のうち、導通不良が生じている個数が1個以下である場合を「○」、2個以上、3個以下である場合を「△」、4個を超える場合を「×」と判定した。
(12)耐湿熱試験
得られた接続構造体15個を、85℃及び85%RHの条件で1000時間放置した後、上記(10)導通性の評価と同様にして、導通性を評価した。上記(10)の導通性の判定基準における結果が「○」である場合を「○」、導通性の判定基準における結果が「△」である場合を「△」、導通性の判定基準における結果が「×」である場合を「×」と判定した。
結果を下記の表1に示す。