JP2012190795A - 異方性導電材料、接続構造体及び接続構造体の製造方法 - Google Patents

異方性導電材料、接続構造体及び接続構造体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱履歴後の接続信頼性を高めることができる異方性導電材料、並びに接続構造体を提供する。
【解決手段】本発明に係る異方性導電材料は、半導体チップとガラス基板とを接続するために用いられ、熱硬化性成分と導電性粒子5とを含む。上記異方性導電材料を硬化させた硬化物の23℃での引張伸び率は5%未満、かつ85℃での引張り伸びが0.5%の時の引張り強度が5MPa以上、20MPa以下である。本発明に係る接続構造体1は、電極2bを上面2aに有する第1の接続対象部材2上に、異方性導電材料層を配置する工程と、異方性導電材料層の上面3aに、電極4bを下面4aに有する第2の接続対象部材4を積層する工程と、異方性導電材料層を加熱して硬化させ、接続部3を形成する工程とを備える。第2の接続対象部材4及び第1の接続対象部材2は、半導体チップとガラス基板とである。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の導電性粒子を含む異方性導電材料に関し、半導体チップとガラス基板との電極間を電気的に接続するために用いられる異方性導電材料、並びに該異方性導電材料を用いた接続構造体及び接続構造体の製造方法に関する。
ペースト状又はフィルム状の異方性導電材料が広く知られている。該異方性導電材料では、バインダー樹脂などに複数の導電性粒子が分散されている。
上記異方性導電材料は、各種の接続構造体を得るために、例えば、フレキシブルプリント基板とガラス基板との接続(FOG(Film on Glass))、半導体チップとフレキシブルプリント基板との接続(COF(Chip on Film))、半導体チップとガラス基板との接続(COG(Chip on Glass))、並びにフレキシブルプリント基板とガラスエポキシ基板との接続(FOB(Film on Board))等に使用されている。
上記接続構造体の製造方法の一例として、半導体チップとガラス基板とを接続するための異方性導電材料が下記の特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の異方性導電材料は、接着剤成分と導電性粒子とを含む。該接着剤成分は、熱硬化性樹脂及びエラストマー微粒子を含む。該異方性導電材料の硬化後の23℃での引張伸び率は5%以上である。
特許第3365367号公報
特許文献1に記載の異方性導電材料を用いて、半導体チップとガラス基板とを接続した接続構造体では、高温下に晒される熱履歴を受けた場合に、異方性導電材料が硬化した硬化物層にクラックが生じたり、硬化物層の剥離が生じたりすることがある。すなわち、熱履歴を受けた場合の接続構造体の接続信頼性が低いことがある。
本発明の目的は、高温下に晒される熱履歴を受けた場合に、接続信頼性を高めることができる異方性導電材料、並びに該異方性導電材料を用いた接続構造体及び接続構造体の製造方法を提供することである。
本発明の広い局面によれば、半導体チップとガラス基板とを接続するために用いられる異方性導電材料であって、熱硬化性成分と、導電性粒子とを含み、異方性導電材料を硬化させた硬化物の23℃での引張伸び率が5%未満、かつ85℃での引張り伸びが0.5%の時の引張り強度が5MPa以上、20MPa以下である、異方性導電材料が提供される。
本発明に係る異方性導電材料のある特定の局面では、該異方性導電材料を硬化させた硬化物における上記導電性粒子を除く部分のガラス転移温度が80℃以上、150℃以下である。
本発明に係る異方性導電材料の他の特定の局面では、上記導電性粒子の平均粒子径が1μm以上、10μm以下であり、圧縮変形回復率が30%以上であり、かつ10%圧縮変形したときの圧縮弾性率が1GPa以上、6GPa以下である。
本発明に係る異方性導電材料のさらに他の特定の局面では、該異方性導電材料を硬化させた硬化物の120℃での弾性率が500MPa以上である。
本発明に係る異方性導電材料の別の特定の局面では、該異方性導電材料を硬化させた硬化物の平面ひずみ破壊靭性が1.5MPa・m1/2以上である。
本発明に係る接続構造体は、電極を上面に有する第1の接続対象部材と、電極を下面に有する第2の接続対象部材と、該第1の接続対象部材と該第2の接続対象部材とを電気的に接続している接続部とを備え、該接続部が、本発明に従って構成された異方性導電材料を硬化させることにより形成されており、上記第2の接続対象部材及び上記第1の接続対象部材が、半導体チップとガラス基板とである。
また、本発明の広い局面によれば、半導体チップとガラス基板とを接続する接続構造体の製造方法であって、電極を上面に有する第1の接続対象部材上に、熱硬化性成分と導電性粒子とを含む異方性導電材料を用いた異方性導電材料層を配置する工程と、上記異方性導電材料層の上面に、電極を下面に有する第2の接続対象部材を積層する工程と、上記異方性導電材料層を加熱して硬化させ、接続部を形成する工程とを備え、上記第2の接続対象部材及び上記第1の接続対象部材として、半導体チップとガラス基板とを用い、上記異方性導電材料が硬化された上記接続部の23℃での引張伸び率を5%未満、かつ85℃での引張り伸びが0.5%の時の引張り強度を5MPa以上、20MPa以下にする、接続構造体の製造方法が提供される。
本発明に係る接続構造体の製造方法のある特定の局面では、上記異方性導電材料が硬化された上記接続部における上記導電性粒子を除く部分のガラス転移温度を80℃以上、150℃以下にする。
本発明に係る接続構造体の製造方法の他の特定の局面では、上記導電性粒子として、平均粒子径が1μm以上、10μm以下であり、圧縮変形回復率が30%以上であり、かつ10%圧縮変形したときの圧縮弾性率が1GPa以上、6GPa以下である導電性粒子が用いられる。
本発明に係る接続構造体の製造方法のさらに他の特定の局面では、上記異方性導電材料が硬化された上記接続部の120℃での弾性率を500MPa以上にする。
本発明に係る接続構造体の製造方法の別の特定の局面では、上記異方性導電材料が硬化された上記接続部の平面ひずみ破壊靭性を1.5MPa・m1/2以上にする。
本発明に係る接続構造体の製造方法のさらに別の特定の局面では、上記半導体チップとして、厚みが0.5mm以下、かつアスペクト比が11以上である半導体チップが用いられる。
本発明に係る異方性導電材料は、熱硬化性成分と導電性粒子とを含み、異方性導電材料を硬化させた硬化物の23℃での引張伸び率が5%未満、かつ85℃での引張り伸びが0.5%の時の引張り強度が5MPa以上、20MPa以下であるので、本発明に係る異方性導電材料を用いて半導体チップとガラス基板とを接続した接続構造体が高温下に晒される熱履歴を受けた場合に、接続信頼性を高めることができる。
本発明に係る接続構造体の製造方法では、熱硬化性成分と導電性粒子とを含む異方性導電材料を用いた異方性導電材料層に熱を付与して硬化させて、半導体チップとガラス基板とを接続するので、更に、上記異方性導電材料が硬化された上記接続部の23℃での引張伸び率を5%未満、かつ85℃での引張り伸びが0.5%の時の引張り強度を5MPa以上、20MPa以下にするので、接続構造体が高温下に晒される熱履歴を受けた場合に、接続信頼性を高めることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る接続構造体の製造方法により得られた接続構造体を模式的に示す部分切欠正面断面図である。 図2(a)〜(c)は、本発明の一実施形態に係る接続構造体の製造方法の各工程を説明するための部分切欠正面断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る異方性導電材料は、半導体チップとガラス基板とを接続するために用いられる。本発明に係る異方性導電材料は、熱硬化性成分と導電性粒子とを含む。本発明に係る異方性導電材料を硬化させた硬化物の23℃での引張伸び率は5%未満、かつ85℃での引張り伸びが0.5%の時の引張り強度は5MPa以上、20MPa以下である。
特定の上記組成を有する異方性導電材料を用いて、半導体チップとガラス基板とを接続することにより、得られる接続構造体が高温下に晒される熱履歴を受けた場合に、接続信頼性を高めることができる。これは、引張伸び率が5%未満、かつ引張り伸びが0.5%の時の引張り強度が5MPa以上、20MPa以下であると、熱履歴時に半導体チップの電極とガラス基板の電極との間の距離が、異方性導電材料が硬化した接続部の伸縮により拡がったりして接続不良が生じるのを抑制できるためである。特に、導電性粒子の粒径が小さい場合、引張伸び率が大きすぎると、熱履歴時における上記接続部の伸びが、半導体チップの電極とガラス基板の電極とに捕捉されている導電性粒子の回復率以上となり、接続信頼性が不十分となることがある。また、引張り伸びが0.5%の時の引張り強度が小さすぎると、熱履歴時における上記接続部の伸びが大きくなり、接続信頼性が不十分となることがある。また、引張り伸びが0.5%の時の引張り強度が大きすぎると、熱履歴時に半導体チップのコーナー部に応力が集中し、上記接続部と半導体チップやガラス基板との剥離が生じて、接続信頼性が不十分となることがある。
さらに、本発明の特定の上記組成を有する異方性導電材料を用いて、半導体チップとガラス基板とを接続することにより、異方性導電材料を硬化させた硬化物が、該硬化物の上記導電性粒子を除く部分のガラス転移温度以上に晒されても、十分な接続信頼性が得られる。
熱履歴を受けた場合の接続構造体の接続信頼性をより一層高める観点からは、異方性導電材料を硬化させた硬化物(接続部)の23℃での引張伸び率は好ましくは3%以下、より好ましくは2.5%未満、更に好ましくは2.4%以下である。該引張伸び率の下限は特に限定されない。該引張伸び率は0.5%であってもよい。
上記引張伸び率は、引張試験機を用いて、JIS K7161に準拠して、縦5mm×横50mm×厚み0.3mmの大きさの硬化物を用いて、1mm/分、チャック間距離40mm及び測定温度23℃の条件で測定される。上記引張伸び率を測定する引張試験機として、島津製作所社製「マイクロオートグラフMST−I」等が用いられる。
また、85℃での引張り伸びが0.5%の時の引張り強度は、加熱プレートを用いて測定サンプルを85℃に加熱し、引張試験機を用いて、JIS K7161に準拠して、縦5mm×横50mm×厚み0.3mmの大きさの硬化物を用いて、1mm/分、チャック間距離40mm及び測定温度85℃の条件で測定される。上記引張伸び率を測定する引張試験機として、島津製作所社製「マイクロオートグラフMST−I」等が用いられる。
本発明に係る異方性導電材料を硬化させた硬化物(接続部)における上記導電性粒子を除く部分のガラス転移温度は好ましくは80℃以上、好ましくは150℃以下である。該ガラス転移温度が上記下限以上及び上記上限以下であると、熱履歴を受けた場合の接続構造体の接続信頼性がより一層高くなる。
熱履歴を受けた場合の接続構造体の接続信頼性をより一層高める観点からは、異方性導電材料を硬化させた硬化物(接続部)の120℃での弾性率は、好ましくは500MPa以上、より好ましくは600MPa以上である。該弾性率の上限は特に限定されない。該弾性率は、好ましくは4000MPa以下である。
上記弾性率では、粘弾性測定機を用い、昇温速度5℃/分、変形率0.1%及び10Hzの条件で測定される。上記弾性率の測定では、粘弾性測定機を用い、昇温速度5℃/分、変形率0.1%及び10Hzの条件で測定したときのTanδのピーク時の温度をガラス転移点とする。上記粘弾性測定機としては、アイティー計測制御社製「DVA−200」等が用いられる。
熱履歴を受けた場合の接続構造体の接続信頼性をより一層高める観点からは、異方性導電材料を硬化させた硬化物(接続部)の平面ひずみ破壊靭性は、好ましくは1.5MPa・m1/2以上、より好ましくは2MPa・m1/2以上である。該平面ひずみ破壊靭性の上限は特に限定されない。該平面ひずみ破壊靭性は、好ましくは4MPa・m1/2以下である。
上記平面ひずみ破壊靭性は、引張試験機を用いて、ATSM−E999に準じて3点曲げ試験片を用い、クロスヘッド速度1mm/分及び測定温度23℃の条件で測定される。上記平面ひずみ破壊靭性を測定する引張試験機として、島津製作所社製「オートグラフAG−IS」等が用いられる。
上記引張伸び率、ガラス転移温度、弾性率及び平面ひずみ破壊靭性を測定するための硬化物は、異方性導電材料を180℃で15分間加熱して硬化させた硬化物であることが好ましい。また、上記引張伸び率、ガラス転移温度、弾性率及び平面ひずみ破壊靭性を測定するための硬化物は、異方性導電材料を180℃で20秒間加熱して硬化させた硬化物であることが好ましい。
上記異方性導電材料が光硬化性成分を含む場合には、上記引張伸び率、ガラス転移温度、弾性率及び平面ひずみ破壊靭性を測定するための硬化物は、異方性導電材料に照射エネルギーが200mJ/cmとなるように紫外線を照射した後、異方性導電材料を180℃で20秒間加熱して硬化させた硬化物であることが好ましい。
上記のように、本発明に係る異方性導電材料は、熱硬化性成分と導電性粒子とを含む。該熱硬化性成分は、熱硬化性化合物と熱硬化剤とを含有することが好ましい。また、本発明に係る異方性導電材料は、熱硬化性成分と導電性粒子とに加えて、光硬化性成分をさらに含むことが好ましい。該光硬化性成分は、光硬化性化合物と光硬化開始剤とを含むことが好ましい。上記異方性導電材料は、硬化性化合物として熱硬化性化合物を含み、光硬化性化合物をさらに含むことが好ましい。
以下、上記異方性導電材料に含まれる各成分、及び含まれることが好ましい各成分の詳細を説明する。
[熱硬化性化合物]
上記熱硬化性化合物は熱硬化性を有する。上記熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱硬化性化合物としては、オキセタン化合物、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル化合物、フェノール化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリウレタン化合物、シリコーン化合物及びポリイミド化合物等が挙げられる。上記熱硬化性化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記異方性導電材料の硬化を容易に制御したり、接続構造体における導通信頼性をより一層高めたりする観点からは、上記熱硬化性化合物は、エポキシ基又はチイラン基を有する熱硬化性化合物を含むことが好ましく、チイラン基を有する熱硬化性化合物を含むことがより好ましい。エポキシ基を有する熱硬化性化合物は、エポキシ化合物である。チイラン基を有する熱硬化性化合物は、エピスルフィド化合物である。異方性導電材料の硬化性を高める観点からは、上記熱硬化性化合物100重量%中、上記エポキシ基又はチイラン基を有する化合物の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、100重量%以下である。上記熱硬化性化合物の全量が上記エポキシ基又はチイラン基を有する化合物であってもよい。
上記エピスルフィド化合物は、エポキシ基ではなくチイラン基を有するので、低温で速やかに硬化させることができる。すなわち、チイラン基を有するエピスルフィド化合物は、エポキシ基を有するエポキシ化合物と比較して、チイラン基に由来してより一層低い温度で硬化可能である。
上記エポキシ基又はチイラン基を有する熱硬化性化合物は、芳香族環を有することが好ましい。上記芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、テトラセン環、クリセン環、トリフェニレン環、テトラフェン環、ピレン環、ペンタセン環、ピセン環及びペリレン環等が挙げられる。なかでも、上記芳香族環は、ベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環であることが好ましく、ベンゼン環又はナフタレン環であることがより好ましい。また、ナフタレン環は、平面構造を有するためにより一層速やかに硬化させることができるので好ましい。
[光硬化性化合物]
光の照射によって硬化するように、上記異方性導電材料は、光硬化性化合物を含むことが好ましい。光の照射により光硬化性化合物を半硬化(Bステージ化)させ、異方性導電材料の流動性を低下させることができる。
上記光硬化性化合物としては特に限定されず、(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物及び環状エーテル基を有する光硬化性化合物等が挙げられる。
上記光硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物であることが好ましい。(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物の使用により、接続構造体の導通信頼性をより一層高めることができる。得られる接続構造体の導通信頼性を効果的に高める観点からは、上記光硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基を1個又は2個有することが好ましい。
上記(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物としては、エポキシ基及びチイラン基を有さず、かつ(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物、及びエポキシ基又はチイラン基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物が挙げられる。
上記(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物として、(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート、又はイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート等が好適に用いられる。上記「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基とメタクリロイル基とを示す。上記「(メタ)アクリル」は、アクリルとメタクリルとを示す。上記「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートとを示す。
上記(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物は特に限定されない。該エステル化合物として、単官能のエステル化合物、2官能のエステル化合物及び3官能以上のエステル化合物のいずれも用いることができる。
上記エポキシ基又はチイラン基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する化合物の一部のエポキシ基又は一部のチイラン基を、(メタ)アクリロイル基に変換することにより得られた光硬化性化合物であることが好ましい。このような光硬化性化合物は、部分(メタ)アクリレート化エポキシ化合物又は部分(メタ)アクリレート化エピスルフィド化合物である。このような光、及び熱で硬化可能しうる化合物を含有する異方導電性材料を用いることで、所望とする85℃での引張り伸びが0.5%の時の引張り強度や、平面ひずみ破壊靭性を発現させることが容易となる。
光硬化性化合物は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する化合物と、(メタ)アクリル酸との反応物であることが好ましい。この反応物は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する化合物と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って塩基性触媒の存在下で反応することにより得られる。エポキシ基又はチイラン基の20%以上が(メタ)アクリロイル基に変換(転化率)されていることが好ましい。該転化率は、より好ましくは30%以上、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下である。エポキシ基又はチイラン基の40%以上、60%以下が(メタ)アクリロイル基に変換されていることが最も好ましい。
上記部分(メタ)アクリレート化エポキシ化合物としては、ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、カルボン酸無水物変性エポキシ(メタ)アクリレート、及びフェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
光硬化性化合物として、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有するフェノキシ樹脂の一部のエポキシ基又は一部のチイラン基を(メタ)アクリロイル基に変換した変性フェノキシ樹脂を用いてもよい。すなわち、エポキシ基又はチイラン基と(メタ)アクリロイル基とを有する変性フェノキシ樹脂を用いてもよい。
また、上記光硬化性化合物は、架橋性化合物であってもよく、非架橋性化合物であってもよい。
上記架橋性化合物の具体例としては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、ジビニルベンゼン、ポリエステル(メタ)アクリレート、及びウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記非架橋性化合物の具体例としては、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート及びテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
光硬化性化合物を用いる場合には、光硬化性化合物と熱硬化性化合物との配合比は、光硬化性化合物と熱硬化性化合物との種類に応じて適宜調整される。上記異方性導電材料は、光硬化性化合物と熱硬化性化合物とを重量比で、1:99〜90:10で含むことが好ましく、5:95〜70:30で含むことがより好ましく、10:90〜50:50で含むことが更に好ましい。上記異方性導電材料は、光硬化性化合物と熱硬化性化合物とを重量比で、1:99〜50:50で含むことが特に好ましい。
(熱硬化剤)
上記熱硬化剤は特に限定されない。上記熱硬化剤として、従来公知の熱硬化剤を用いることができる。上記熱硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤、酸無水物及びカチオン硬化剤等が挙げられる。上記熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
異方性導電材料を低温でより一層速やかに硬化させることができるので、上記熱硬化剤は、イミダゾール硬化剤、ポリチオール硬化剤又はアミン硬化剤であることが好ましい。また、異方性導電材料の保存安定性を高めることができるので、潜在性の硬化剤が好ましい。該潜在性の硬化剤は、潜在性イミダゾール硬化剤、潜在性ポリチオール硬化剤又は潜在性アミン硬化剤であることが好ましい。上記熱硬化剤は、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等の高分子物質で被覆されていてもよい。
上記イミダゾール硬化剤としては、特に限定されず、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン及び2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
上記ポリチオール硬化剤としては、特に限定されず、トリメチロールプロパントリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトールヘキサ−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
上記アミン硬化剤としては、特に限定されず、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
上記カチオン硬化剤として、ヨードニウム塩やスルフォニウム塩が好適に用いられる。例えば、上記カチオン硬化剤の市販品としては、三新化学社製のサンエイドSI−45L、SI−60L、SI−80L、SI−100L、SI−110L、SI−150Lや、ADEKA社製のアデカオプトマーSP−150、SP−170等が挙げられる。
好ましいカチオン硬化剤のアニオン部分としては、PF、BF、及びB(Cが挙げられる。
上記熱硬化剤の含有量は特に限定されない。上記硬化性化合物中の上記熱硬化性化合物100重量部に対して、上記熱硬化剤の含有量は、好ましくは5重量部以上、より好ましくは10重量部以上、好ましくは40重量部以下、より好ましくは30重量部以下、更に好ましくは20重量部以下である。上記熱硬化剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、異方性導電材料を充分に熱硬化させることができる。
(光硬化開始剤)
上記光硬化開始剤は特に限定されない。上記光硬化開始剤として、従来公知の光硬化開始剤を用いることができる。上記光硬化開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光硬化開始剤としては、特に限定されず、アセトフェノン光硬化開始剤、ベンゾフェノン光硬化開始剤、チオキサントン、ケタール光硬化開始剤、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド及びアシルホスフォナート等が挙げられる。
上記アセトフェノン光硬化開始剤の具体例としては、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、及び2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン等が挙げられる。上記ケタール光硬化開始剤の具体例としては、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
上記光硬化開始剤の含有量は特に限定されない。上記硬化性化合物中の上記光硬化性化合物100重量部に対して、上記光硬化開始剤の含有量は、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.2重量部以上、好ましくは2重量部以下、より好ましくは1重量部以下である。上記光硬化開始剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、異方性導電材料を適度に光硬化させることができる。異方性導電材料に光を照射し、Bステージ化することにより、異方性導電材料の流動を抑制できる。
(導電性粒子)
上記異方性導電材料に含まれている導電性粒子は、第1,第2の接続対象部材の電極間を電気的に接続する。上記導電性粒子は、導電性を有する粒子であれば特に限定されない。導電性粒子の導電層の表面が絶縁層により被覆されていてもよい。この場合には、接続対象部材の接続時に、導電層と電極との間の絶縁層が排除される。上記導電性粒子としては、例えば、有機粒子、無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子もしくは金属粒子等の表面を金属層で被覆した導電性粒子、又は実質的に金属のみで構成される金属粒子等が挙げられる。上記金属層は特に限定されない。上記金属層としては、金層、銀層、銅層、ニッケル層、パラジウム層又は錫を含有する金属層等が挙げられる。
電極と導電性粒子との接触面積を大きくし、電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子は、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面上に配置された導電層とを有することが好ましい。電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子は、少なくとも外側の導電性の表面が低融点金属層である導電性粒子であることが好ましい。上記導電性粒子は、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面上に配置された導電層とを有し、該導電層の少なくとも外側の表面が、低融点金属層であることがより好ましい。
上記低融点金属層は、低融点金属を含む層である。該低融点金属とは、融点が450℃以下の金属を示す。低融点金属の融点は好ましくは300℃以下、より好ましくは160℃以下である。また、上記低融点金属層は錫を含むことが好ましい。低融点金属層に含まれる金属100重量%中、錫の含有量は好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。上記低融点金属層における錫の含有量が上記下限以上であると、低融点金属層と電極との接続信頼性がより一層高くなる。なお、上記錫の含有量は、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(堀場製作所社製「ICP−AES」)、又は蛍光X線分析装置(島津製作所社製「EDX−800HS」)等を用いて測定可能である。
導電層の外側の表面が低融点金属層である場合には、低融点金属層が溶融して電極に接合し、低融点金属層が電極間を導通させる。例えば、低融点金属層と電極とが点接触ではなく面接触しやすいため、接続抵抗が低くなる。また、少なくとも外側の表面が低融点金属層である導電性粒子の使用により、低融点金属層と電極との接合強度が高くなる結果、低融点金属層と電極との剥離がより一層生じ難くなり、導通信頼性が効果的に高くなる。
上記低融点金属層を構成する低融点金属は特に限定されない。該低融点金属は、錫、又は錫を含む合金であることが好ましい。該合金は、錫−銀合金、錫−銅合金、錫−銀−銅合金、錫−ビスマス合金、錫−亜鉛合金、錫−インジウム合金等が挙げられる。なかでも、電極に対する濡れ性に優れることから、上記低融点金属は、錫、錫−銀合金、錫−銀−銅合金、錫−ビスマス合金、錫−インジウム合金であることが好ましい。錫−ビスマス合金、錫−インジウム合金であることがより好ましい。
また、上記低融点金属層は、はんだ層であることが好ましい。上記はんだ層を構成する材料は特に限定されないが、JIS Z3001:溶剤用語に基づき、液相線が450℃以下である溶可材であることが好ましい。上記はんだ層の組成としては、例えば亜鉛、金、鉛、銅、錫、ビスマス、インジウムなどを含む金属組成が挙げられる。なかでも低融点で鉛フリーである錫−インジウム系(117℃共晶)、又は錫−ビスマス系(139℃共晶)が好ましい。すなわち、はんだ層は、鉛を含まないことが好ましく、錫とインジウムとを含むはんだ層、又は錫とビスマスとを含むはんだ層であることが好ましい。
上記低融点金属層と電極との接合強度をより一層高めるために、上記低融点金属層は、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム、亜鉛、鉄、金、チタン、リン、ゲルマニウム、テルル、コバルト、ビスマス、マンガン、クロム、モリブデン、パラジウム等の金属を含んでいてもよい。低融点金属と電極との接合強度をさらに一層高める観点からは、上記低融点金属は、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム又は亜鉛を含むことが好ましい。低融点金属層と電極との接合強度をより一層高める観点からは、接合強度を高めるためのこれらの金属の含有量は、低融点金属層100重量%中、好ましくは0.0001重量%以上、好ましくは1重量%以下である。
上記導電性粒子は、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面上に配置された導電層とを有し、該導電層の外側の表面が低融点金属層(はんだ層など)であり、上記樹脂粒子と上記低融点金属層との間に、上記低融点金属層とは別に第2の導電層を有することが好ましい。この場合に、上記低融点金属層は上記導電層全体の一部であり、上記第2の導電層は上記導電層全体の一部である。
上記低融点金属層とは別の上記第2の導電層は、金属を含むことが好ましい。該第2の導電層を構成する金属は、特に限定されない。該金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、亜鉛、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム、並びにこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属として、錫ドープ酸化インジウム(ITO)を用いてもよい。上記金属は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記第2の導電層は、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は金層であることが好ましく、ニッケル層又は金層であることがより好ましく、銅層であることが更に好ましい。導電性粒子は、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は金層を有することが好ましく、ニッケル層又は金層を有することがより好ましく、銅層を有することが更に好ましい。これらの好ましい導電層を有する導電性粒子を電極間の接続に用いることにより、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、これらの好ましい導電層の表面には、低融点金属層をより一層容易に形成できる。なお、上記第2の導電層は、はんだ層などの低融点金属層であってもよい。導電性粒子は、複数層の低融点金属層を有していてもよい。
上記低融点金属層の厚みは、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、更に好ましくは1μm以上、好ましくは50μm以下、より好ましくは10μm以下、更に好ましくは5μm以下、特に好ましくは3μm以下である。上記低融点金属層の厚みが上記下限以上であると、導電性が十分に高くなる。上記低融点金属層の厚みが上記上限以下であると、樹脂粒子と低融点金属層との熱膨張率の差が小さくなり、低融点金属層の剥離が生じ難くなる。
導電層が低融点金属層以外の導電層である場合、又は導電層が多層構造を有する場合には、導電層の全体厚みは、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、更に好ましくは1μm以上、好ましくは50μm以下、より好ましくは10μm以下、更に好ましくは5μm以下、特に好ましくは3μm以下である。
導電性粒子の平均粒子径は、好ましくは100μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは15μm以下、特に好ましくは10μm以下である。導電性粒子の粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上である。熱履歴を受けた場合の接続構造体の接続信頼性をより一層高める観点からは、導電性粒子の平均粒子径は、1μm以上、10μm以下であることが特に好ましい。
異方性導電材料における導電性粒子に適した大きさであり、かつ電極間の間隔をより一層小さくすることができるので、導電性粒子の平均粒子径は、1μm〜100μmの範囲内であることが特に好ましい。
上記樹脂粒子は、実装する基板の電極サイズ又はランド径によって使い分けることができる。
上下の電極間をより一層確実に接続し、かつ横方向に隣接する電極間の短絡をより一層抑制する観点からは、導電性粒子の平均粒子径Cの樹脂粒子の平均粒子径Aに対する比(C/A)は、1.0を超え、好ましくは3.0以下である。また、上記樹脂粒子と上記はんだ層との間に上記第2の導電層がある場合に、はんだ層を除く導電性粒子部分の平均粒子径Bに対する樹脂粒子の平均粒子径Aに対する比(B/A)は、1.0を超え、好ましくは2.0以下である。さらに、上記樹脂粒子と上記はんだ層との間に上記第2の導電層がある場合に、はんだ層を含む導電性粒子の平均粒子径Cのはんだ層を除く導電性粒子部分の平均粒子径Bに対する比(C/B)は、1.0を超え、好ましくは2.0以下である。上記比(B/A)が上記範囲内であったり、上記比(C/B)が上記範囲内であったりすると、上下の電極間をより一層確実に接続し、かつ横方向に隣接する電極間の短絡をより一層抑制できる。
上記導電性粒子を10%圧縮変形したときの圧縮弾性率(10%K値)は、好ましくは1GPa以上、より好ましくは2GPa以上、好ましくは15GPa以下、より好ましくは10GPa以下、更に好ましくは6GPa以下である。上記10%K値が上記下限以上であると、導電性粒子を圧縮変形させると、導電性粒子が破壊されにくくなる。上記10%K値が上記上限以下であると、導電性粒子による電極の損傷を抑制できる。また、熱履歴を受けた場合の接続構造体の接続信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子の10%K値は、好ましくは1GPa以上、好ましくは6GPa以下である。
なお、上記10%K値は、微小圧縮試験器(例えば、島津製作所社製「PCT−200」)を用い、導電性粒子を直径50μmのダイヤモンド製円柱の平滑圧子端面で、圧縮速度2.6mN/秒、最大試験荷重10gの条件下で圧縮した場合の圧縮変位(mm)を測定し、下記式により求めることができる。
K値(N/mm)=(3/√2)・F・S−3/2・R−1/2
F:導電性粒子の10%圧縮変形における荷重値(N)
S:導電性粒子の10%圧縮変形における圧縮変位(mm)
R:導電性粒子の半径(mm)
熱履歴を受けた場合の接続構造体の接続信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子の圧縮変形回復率は、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上である。また、上記圧縮変形回復率が上記下限以上であると、圧縮荷重が取り除かれた後に、導電性粒子が変形前の形状に近い形状に充分に回復しやすい。このため、電極間を接続した場合に、電極と導電性粒子との間にわずかな隙間が形成され難くなり、電極間の電気的な接続不良が生じにくくなり、電極間の接続抵抗が高くなるのを抑制できる。
上記圧縮変形回復率は、以下のようにして求めることができる。
微小圧縮試験機(島津製作所社製「PCT−200」)を用いて、原点用荷重値(0.4mN)から、反転圧縮荷重値10mNに達するまで、0.3mN/秒の荷重負荷速度で、ダイヤモンド製の四角柱の平滑な端面(50μm×50μm)により導電性粒子に負荷を与える。反転圧縮荷重値10mNに達した後、60秒間圧縮状態を保持する。その後、原点用荷重値(0.4mN)に達するまで、0.3mN/秒の荷重除荷速度で導電性粒子への負荷を解放する。このときの圧縮変位を測定し、得られた測定値から、下記式により圧縮変形回復率を求めることができる。
圧縮変形回復率(%)=[(L1−L2)/L1]×100
L1:負荷を与えるときの原点用荷重値から反転圧縮荷重値に至るまでの圧縮変位(mm)
L2:負荷を解放するときの反転圧縮荷重値から原点用荷重値に至るまでの圧縮変位(mm)
熱履歴を受けた場合の接続構造体の接続信頼性をさらに一層高める観点からは、上記導電性粒子の平均粒子径が1μm以上、10μm以下であり、圧縮変形回復率が40%以上であり、かつ10%圧縮変形したときの圧縮弾性率(10%K値)が1GPa以上、6GPa以下であることが好ましい。
導電性粒子の「平均粒子径」は、数平均粒子径を示す。導電性粒子の平均粒子径は、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
上記導電性粒子の含有量は特に限定されない。異方性導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、更に好ましくは1重量%以上、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下、更に好ましくは19重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、接続されるべき上下の電極間に導電性粒子を容易に配置できる。さらに、接続されてはならない隣接する電極間が複数の導電性粒子を介して電気的に接続され難くなる。すなわち、隣り合う電極間の短絡をより一層防止できる。
(他の成分)
上記異方性導電材料は、フィラーを含むことが好ましい。フィラーの使用により、異方性導電材料の硬化物の熱線膨張率を抑制できる。上記フィラーの具体例としては、シリカ、窒化アルミニウム、アルミナ、ガラス、窒化ボロン、窒化ケイ素、シリコン、カーボン、グラファイト、グラフェン及びタルク等が挙げられる。フィラーは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。熱伝導率が高いフィラーを用いると、本硬化時間を短縮することができる。
上記異方性導電材料は、硬化促進剤をさらに含むことが好ましい。硬化促進剤の使用により、硬化速度をより一層速くすることができる。硬化促進剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化促進剤の具体例としては、イミダゾール硬化促進剤及びアミン硬化促進剤等が挙げられる。なかでも、イミダゾール硬化促進剤が好ましい。なお、イミダゾール硬化促進剤又はアミン硬化促進剤は、イミダゾール硬化剤又はアミン硬化剤としても用いることができる。
上記異方性導電材料は、溶剤を含んでいてもよい。該溶剤の使用により、異方性導電材料の粘度を容易に調整できる。上記溶剤としては、例えば、酢酸エチル、メチルセロソルブ、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、テトラヒドロフラン及びジエチルエーテル等が挙げられる。
熱履歴を受けた場合の接続構造体の接続信頼性をさらに一層高める観点からは、上記異方性導電材料は、チクソ付与剤を含むことが好ましい。該チクソ付与剤としては、エラストマー粒子及びシリカ等が挙げられる。該エラストマー粒子としては、ゴム粒子が挙げられる。該ゴム粒子としては、天然ゴム粒子、イソプレンゴム粒子、ブタジエンゴム粒子、スチレンブタジエンゴム粒子、クロロプレンゴム粒子及びアクリロニトリルブタジエンゴム粒子等が挙げられる。
上記硬化性組成物100重量%中、上記チクソ付与剤の含有量は好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上、好ましくは30重量%以下、より好ましくは15重量%以下である。上記チクソ付与剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、熱履歴を受けた場合の接続構造体の接続信頼性がより一層高くなる。
(異方性導電材料の詳細及び用途)
本発明に係る異方性導電材料は、ペースト状又はフィルム状の異方性導電材料であり、ペースト状の異方性導電材料であることが好ましい。ペースト状の異方性導電材料は、異方性導電ペーストである。フィルム状の異方性導電材料は、異方性導電フィルムである。異方性導電材料が異方性導電フィルムである場合、該導電性粒子を含む異方性導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されてもよい。
本発明に係る異方性導電材料は、半導体チップとガラス基板とを接着するために用いられる。上記異方性導電材料は、半導体チップとガラス基板とが電気的に接続されている接続構造体を得るために好適に用いられる。
図1に、本発明の一実施形態に係る異方性導電材料を用いた接続構造体の一例を模式的に断面図で示す。
図1に示す接続構造体1は、第1の接続対象部材2と、第2の接続対象部材4と、第1,第2の接続対象部材2,4を接続している接続部3とを備える。接続部3は、硬化物層である。接続部3は、熱硬化性成分と導電性粒子5とを含む異方性導電材料を硬化させることにより形成されている。上記異方性導電材料は、複数の導電性粒子5を含む。
第1の接続対象部材2は上面2aに、複数の電極2bを有する。第2の接続対象部材4は下面4aに、複数の電極4bを有する。電極2bと電極4bとが、1つ又は複数の導電性粒子5により電気的に接続されている。
接続構造体1では、第1の接続対象部材2としてガラス基板が用いられており、第2の接続対象部材4として半導体チップが用いられている。
図1に示す接続構造体1は、例えば、以下のようにして得ることができる。ここでは、上記異方性導電材料として、熱硬化性成分と導電性粒子5とに加えて、光硬化性成分をさらに含む異方性導電材料を用いた場合の接続構造体1の製造方法を具体的に説明する。
図2(a)に示すように、電極2bを上面2aに有する第1の接続対象部材2を用意する。次に、第1の接続対象部材2の上面2aに、熱硬化性成分と光硬化性成分と導電性粒子5とを含む異方性導電材料を用いて、第1の接続対象部材2の上面2aに異方性導電材料層3Aを配置する。このとき、電極2b上に、1つ又は複数の導電性粒子5が配置されていることが好ましい。上記異方性導電材料として異方性導電ペーストを用いる場合には、異方性導電ペーストの配置は、異方性導電ペーストの塗布により行われる。また、上記異方性導電材料層は、異方性導電ペースト層になる。
次に、異方性導電材料層3Aに光を照射することにより、異方性導電材料層3Aの硬化を進行させる。異方性導電材料層3Aの硬化を進行させて、異方性導電材料層3AをBステージ化する。図2(b)に示すように、異方性導電材料層3AのBステージ化により、第1の接続対象部材2の上面2aに、Bステージ化された異方性導電材料層3Bを形成する。
第1の接続対象部材2の上面2aに、異方性導電材料を配置しながら、異方性導電材料層3Aに光を照射することが好ましい。さらに、第1の接続対象部材2の上面2aへの異方性導電材料の配置と同時に、又は配置の直後に、異方性導電材料層3Aに光を照射することも好ましい。配置と光の照射とが上記のように行われた場合には、異方性導電材料層の流動をより一層抑制できる。このため、得られた接続構造体1における導通信頼性をより一層高めることができる。第1の接続対象部材2の上面2aに異方性導電材料を配置してから光を照射するまでの時間は、0秒以上、好ましくは3秒以下、より好ましくは2秒以下である。
光の照射により異方性導電材料層3AをBステージ化させるために、異方性導電材料層3Aの硬化を適度に進行させるための光照射強度は、例えば、好ましくは0.1〜100mW/cm程度である。また、異方性導電材料層3Aの硬化を適度に進行させるための光の照射エネルギーは、例えば、好ましくは1〜2000mJ/cm程度である。
光を照射する際に用いる光源は特に限定されない。該光源としては、例えば、波長420nm以下に充分な発光分布を有する光源等が挙げられる。また、光源の具体例としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ及びLED等が挙げられる。
次に、図2(c)に示すように、Bステージ化された異方性導電材料層3Bの上面3aに、第2の接続対象部材4を積層する。第1の接続対象部材2の上面2aの電極2bと、第2の接続対象部材4の下面4aの電極4bとが対向するように、第2の接続対象部材4を積層する。
さらに、第2の接続対象部材4の積層の際に、異方性導電材料層3Bを加熱することにより、Bステージ化された異方性導電材料層3Bをさらに硬化させ、硬化物層である接続部3を形成する。ただし、第2の接続対象部材4の積層の前に、異方性導電材料層3Bを加熱してもよい。第2の接続対象部材4を積層すると共に、もしくは積層した後、異方性導電材料層3Bを加熱して硬化させることが好ましい。
熱の付与により異方性導電材料層3Bを硬化させるために、異方性導電材料層3Bを充分に硬化させるための加熱温度は好ましくは160℃以上、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下である。
なお、異方性導電材料層3Aに光を照射せずに、異方性導電材料層3AをBステージ化しない場合には、異方性導電材料層3Aの上面3aに第2の接続対象部材4を積層し、異方性導電材料層3Aに熱を付与して、異方性導電材料層3Aを硬化させればよい。
異方性導電材料層3Bを硬化させる際に、加圧することが好ましい。加圧によって電極2bと電極4bとで導電性粒子5を圧縮することにより、電極2b,4bと導電性粒子5との接触面積を大きくすることができる。このため、導通信頼性を高めることができる。
異方性導電材料層3Bを硬化させることにより、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材4とが、接続部3を介して接続される。また、電極2bと電極4bとが、導電性粒子5を介して電気的に接続される。このようにして、図1に示す接続構造体1を得ることができる。本実施形態では、光硬化と熱硬化とが併用されているため、異方性導電材料を短時間で硬化させることができる。
異方性導電ペーストを用いる場合には、異方性導電フィルムを用いる場合と比較して、導電性粒子が流動しやすく、導通信頼性が低くなる傾向がある。上記接続構造体により、異方性導電ペーストを用いたとしても、導通信頼性を十分に高めることができる。
本発明に係る接続構造体の製造方法は、半導体チップとガラス基板との接続(COG(Chip on Glass))に関する。本発明に係る接続構造体の製造方法では、上記第1の接続対象部材及び上記第2の接続対象部材として、半導体チップとガラス基板とが用いられている。COG用途では、接続構造体が高温下に晒される熱履歴を受けた場合に、接続信頼性が問題となることが多い。本発明に係る接続構造体の製造方法により、接続構造体が高温下に晒される熱履歴を受けた場合に、接続信頼性を効果的に高めることができる。また、ガラス基板の代替として、ポリカーボネート基板、ポリエーテルスルホン基板等の透明プラスチック基板を用いてもよい。
上記半導体チップとして、厚みが0.5mm以下、かつアスペクト比が11以上である半導体チップを用いることが好ましい。このような厚み及びアスペクト比を満たす半導体チップを用いた場合には、接続構造体が高温下に晒される熱履歴を受けた場合に、接続信頼性が特に問題となることがある。しかしながら、本発明では、特定の上記組成を有する異方性導電材料を用いて、半導体チップとガラス基板とを接続するので、接続構造体が高温下に晒される熱履歴を受けた場合でも、接続信頼性を十分に高めることができる。上記半導体チップの厚みの下限は特に限定されないが、該半導体チップの厚みは好ましくは0.1mm以上である。上記半導体チップの上記アスペクト比の上限は特に限定されないが、該アスペクト比は好ましくは25以下である。上記アスペクト比は半導体チップにおける縦寸法と横寸法との比である。
以下、本発明について、実施例および比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
実施例及び比較例では、以下の成分を用いた。
[導電性粒子]
導電性粒子A〜Dは、平均粒子径3μm、ジビニルベンゼン樹脂粒子の表面に厚み770nmのニッケルめっき層が形成されており、かつ該ニッケルめっき層の表面に厚み320nmの金めっき層が形成されている金属層を有する導電性粒子である。また、導電性粒子A〜Dの10%K値及び圧縮変形回復率は下記の値を示した。
導電粒子A(10%K値:5.2N/mm、23℃での圧縮変形回復率:40%)
導電粒子B(10%K値:4.5N/mm、23℃での圧縮変形回復率:45%)
導電粒子C(10%K値:3N/mm、23℃での圧縮変形回復率:50%)
導電粒子D(10%K値:2N/mm、23℃での圧縮変形回復率:55%)
なお、上記10%K値及び上記圧縮変形回復率は、ジビニルベンゼン樹脂粒子の組成、架橋度を変更することで調整した。
[熱硬化性化合物]
下記式(1B)で表される構造を有するエピスルフィド化合物1B
Figure 2012190795
また、下記式(2B)で表されるエピスルフィド化合物2B
Figure 2012190795
EP−3300P(ADEKA社製、可撓性エポキシ樹脂)
[光硬化性化合物]
EBECRYL3702(ダイセル・サイテック社製、脂肪酸変性エポキシアクリレート)
EBECRYL3708(ダイセル・サイテック社製、カプロラクトン変性エポキシアクリレート)
4HBAGE(日本化成社製、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル)
[熱硬化剤]
TEP−2E4MZ(日本曹達社製、包摂イミダゾール)
[光硬化開始剤]
イルガキュア819(BASF社製)
[接着付与剤]
KBE−402(信越化学工業社製、シランカップリング剤)
[フィラー]
表面メチル処理シリカ(平均粒径0.7mm)(トクヤマ社製)
[チクソ付与剤]
ナノシリカPM20L(トクヤマ社製)
[柔軟性粒子]
KW−8800(三菱レイヨン社製、コアシェル粒子)
(実施例1)
(1)異方性導電ペーストの調製
下記の表1に示す成分を下記の表1に示す配合量で配合して、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、配合物を得た。得られた配合物を、ナイロン製ろ紙(孔径10μm)を用いてろ過することにより、導電性粒子の含有量が4重量%である異方性導電ペーストを得た。
(2)接続構造体の作製
L/Sが15μm/15μmのITO電極パターンが上面に形成された透明ガラス基板(第1の接続対象部材)を用意した。また、バンプピッチ30μm、1電極あたりの電極面積が200μmの金バンプが下面に形成された半導体チップ(第2の接続対象部材、縦15mm×横1.6mm×厚み0.3mm)を用意した。
上記透明ガラス基板上に、得られた異方性導電ペーストを厚さ20μmとなるように塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。
次に、紫外線照射ランプを用いて、照射エネルギーが100mJ/cmとなるように、異方性導電ペースト層に上方から紫外線を照射し、光重合によって異方性導電ペースト層を半硬化させ、Bステージ化した。
次に、異方性導電ペースト層の上面に上記半導体チップを、電極/バンプ同士が対向するように積層した。その後、異方性導電ペースト層の温度が185℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、3MPaの圧力をかけて異方性導電ペースト層を180℃で20秒硬化させ、接続構造体を得た。
(実施例2)
異方性導電ペーストの調製の際に、導電性粒子Aを、導電性粒子Bに変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストを用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を得た。
(実施例3)
異方性導電ペーストの調製の際に、導電性粒子Aを、導電性粒子Cに変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストを用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を得た。
(実施例4)
異方性導電ペーストの調製の際に、導電性粒子Aを、導電性粒子Dに変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストを用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を得た。
(実施例5)
接続構造体の作製の際に、半導体チップの大きさのみが異なり、縦0.7mm×横17mm×厚み0.3mmの大きさの半導体チップを用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を得た。
(実施例6,7)
下記の表1に示す成分を下記の表1に示す配合量で配合したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペーストを調製した。得られた異方性導電ペーストを用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を得た。
(比較例1〜3)
下記の表1に示す成分を下記の表1に示す配合量で配合したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペーストを調製した。得られた異方性導電ペーストを用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を得た。
(実施例8,9)
下記の表2に示す成分を下記の表2に示す配合量で配合したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペーストを調製した。得られた異方性導電ペーストを用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を得た。
(実施例10〜15)
平均粒子径3μmのジビニルベンゼン樹脂粒子(積水化学工業社製「ミクロパールSP−203」)を無電解ニッケルめっきし、樹脂粒子の表面上に厚さ0.1μmの下地ニッケルめっき層を形成した。次いで、下地ニッケルめっき層が形成された樹脂粒子を電解銅めっきし、厚さ0.5μmの銅層を形成した。更に、錫及びビスマスを含有する電解めっき液を用いて、電解めっきし、厚さ1μmのはんだ層を形成した。このようにして、樹脂粒子の表面上に厚み0.5μmの銅層が形成されており、該銅層の表面に厚み1μmのはんだ層(錫:ビスマス=43重量%:57重量%)が形成されている導電性粒子E(10%K値:6N/mm、23℃での圧縮変形回復率:35%)を作製した。
実施例10では、導電性粒子Aを導電性粒子Eに変更したこと、ろ過に用いたろ紙をナイロン製ろ紙(孔径30μm)に変更したこと、並びに異方性導電ペーストを厚さ40μmとなるように塗工し、異方性導電ペースト層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペースト及び接続構造体を得た。
実施例11では、導電性粒子Aを導電性粒子Eに変更したこと、ろ過に用いたろ紙をナイロン製ろ紙(孔径30μm)に変更したこと、並びに異方性導電ペーストを厚さ40μmとなるように塗工し、異方性導電ペースト層を形成したこと以外は実施例5と同様にして、異方性導電ペースト及び接続構造体を得た。
実施例12では、導電性粒子Aを導電性粒子Eに変更したこと、ろ過に用いたろ紙をナイロン製ろ紙(孔径30μm)に変更したこと、並びに異方性導電ペーストを厚さ40μmとなるように塗工し、異方性導電ペースト層を形成したこと以外は実施例6と同様にして、異方性導電ペースト及び接続構造体を得た。
実施例13では、導電性粒子Aを導電性粒子Eに変更したこと、ろ過に用いたろ紙をナイロン製ろ紙(孔径30μm)に変更したこと、並びに異方性導電ペーストを厚さ40μmとなるように塗工し、異方性導電ペースト層を形成したこと以外は実施例7と同様にして、異方性導電ペースト及び接続構造体を得た。
実施例14では、導電性粒子Aを導電性粒子Eに変更したこと、ろ過に用いたろ紙をナイロン製ろ紙(孔径30μm)に変更したこと、並びに異方性導電ペーストを厚さ40μmとなるように塗工し、異方性導電ペースト層を形成したこと以外は実施例8と同様にして、異方性導電ペースト及び接続構造体を得た。
実施例15では、導電性粒子Aを導電性粒子Eに変更したこと、ろ過に用いたろ紙をナイロン製ろ紙(孔径30μm)に変更したこと、並びに異方性導電ペーストを厚さ40μmとなるように塗工し、異方性導電ペースト層を形成したこと以外は実施例9と同様にして、異方性導電ペースト及び接続構造体を得た。
(評価)
(1)導電性粒子の圧縮弾性率
導電性粒子の23℃での圧縮弾性率(10%K値)を、微小圧縮試験機(フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」)を用いて測定した。
(2)導電性粒子の圧縮変形回復率
導電性粒子の23℃での圧縮変形回復率を、微小圧縮試験機(フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」)を用いて測定した。
(3)引張伸び率
実施例及び比較例で得られた異方性導電ペーストをPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に厚みが20μmとなるように塗工した。次に、紫外線照射ランプを用いて、照射エネルギーが100mJ/cmとなるように、異方性導電ペースト層に上方から紫外線を照射し、光重合によって異方性導電ペースト層を半硬化させ、Bステージ化し、異方性導電ペースト層を得た。得られた導電ペースト層を重ね合わせた後、該異方性導電ペースト層に185℃で15分間を付与して、硬化物を得た。得られた硬化物を重ね合わせPETフィルムから剥離して、縦5mm×横50mm×厚み0.3mmの大きさに切断して、評価サンプルを得た。
1mm/分、チャック間距離40mm及び測定温度23℃の条件で、島津製作所社製「マイクロオートグラフMST−I」を用い、測定した。
(4)85℃での引張り伸びが0.5%の時の引張り強度
85℃での引張り伸びが0.5%の時の引張り強度は、加熱プレートを用い、測定サンプルを85℃に加熱し、引張試験機を用いて、JIS K7161に準拠して、縦5mm×横50mm×厚み0.3mmの大きさの硬化物を用いて、1mm/分、チャック間距離40mm及び測定温度85℃の条件で、島津製作所社製「マイクロオートグラフMST−I」を用い、測定した。
(5)ガラス転移温度
上記(3)引張伸び率の評価で得られた評価サンプルを用意した。アイティー計測制御社製「DVA−200」を用いて、評価サンプルの導電性粒子を除く部分のガラス転移温度を測定した。
(6)弾性率
上記(3)引張伸び率の評価で得られた評価サンプルを用意した。アイティー計測制御社製「DVA−200」を用いて、昇温速度5℃/分、変形率0.1%、10Hzの条件で、評価サンプルの120℃での弾性率を測定した。
(7)平面ひずみ破壊靭性
上記(3)引張伸び率の評価で得られた評価サンプルを用意した。島津製作所社製「オートグラフAG−IS」を用いて、ATSM−E999に準じて3点曲げ試験片を用い、クロスヘッド速度1mm/分及び測定温度23℃の条件で、評価サンプルの平面ひずみ破壊靭性を測定した。
(8)導通性
得られた接続構造体を用いて、20箇所の抵抗値を4端子法にて評価した。導通信頼性を下記の判定基準で判定した。
[導通信頼性の判定基準]
○:全ての箇所で抵抗値が3Ω以下である
×:全く導通していない箇所が1箇所以上ある
(9)熱履歴を受けた場合の接続信頼性
得られた接続構造体100個を、−30℃で5分間保持し、次に120℃まで25分で昇温し、120℃で5分間保持した後、−30℃まで25分で降温する過程を1サイクルとする冷熱サイクル試験を実施した。1000サイクル後に、接続構造体を取り出した。
冷熱サイクル試験後の100個の接続構造体について、上下の電極間の導通不良が生じているか否かを評価した。100個の接続構造体のうち、導通不良が生じている個数が1個以下である場合を「○」、2個以上、3個以下である場合を「△」、4個を超える場合を「×」と判定した。
(10)耐湿熱試験
得られた接続構造体15個を、85℃及び85%RHの条件で1000時間放置した後、上記(8)導通性の評価と同様にして、導通性を評価した。上記(8)の導通性の判定基準における結果が「○」である場合を「○」、導通性の判定基準における結果が「×」である場合を「×」と判定した。
結果を下記の表1,2に示す。
Figure 2012190795
Figure 2012190795
なお、実施例1〜4と実施例10、実施例5と実施例11、実施例6と実施例12、実施例7と実施例13、実施例8と実施例14、実施例9と実施例15を対比した結果、導電層の外側の表面が低融点金属層である導電性粒子を用いた場合に、導電層の外側の表面が低融点金属層ではない導電性粒子を用いた場合と比べて、接続構造体における接着信頼性が高いことを確認した。これは、圧着時に低融点金属層が電極表面を濡れ拡がっており、溶融後に固化した低融点金属が電極と強固に接続されていたためである。
1…接続構造体
2…第1の接続対象部材
2a…上面
2b…電極
3…接続部
3a…上面
3A…異方性導電材料層
3B…Bステージ化された異方性導電材料層
4…第2の接続対象部材
4a…下面
4b…電極
5…導電性粒子

Claims (12)

  1. 半導体チップとガラス基板とを接続するために用いられる異方性導電材料であって、
    熱硬化性成分と、導電性粒子とを含み、
    異方性導電材料を硬化させた硬化物の23℃での引張伸び率が5%未満、かつ85℃での引張り伸びが0.5%の時の引張り強度が、5MPa以上20MPa以下である、異方性導電材料。
  2. 異方性導電材料を硬化させた硬化物における前記導電性粒子を除く部分のガラス転移温度が80℃以上、150℃以下である、請求項1に記載の異方性導電材料。
  3. 前記導電性粒子の平均粒子径が1μm以上、10μm以下であり、圧縮変形回復率が30%以上であり、かつ10%圧縮変形したときの圧縮弾性率が1GPa以上、6GPa以下である、請求項1又は2に記載の異方性導電材料。
  4. 異方性導電材料を硬化させた硬化物の120℃での弾性率が500MPa以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の異方性導電材料。
  5. 異方性導電材料を硬化させたときに、平面ひずみ破壊靭性が1.5MPa・m1/2以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の異方性導電材料。
  6. 電極を上面に有する第1の接続対象部材と、
    電極を下面に有する第2の接続対象部材と、
    前記第1の接続対象部材と前記第2の接続対象部材とを電気的に接続している接続部とを備え、
    前記接続部が、請求項1〜5のいずれか1項に記載の異方性導電材料を硬化させることにより形成されており、
    前記第2の接続対象部材及び前記第1の接続対象部材が、半導体チップとガラス基板とである、接続構造体。
  7. 半導体チップとガラス基板とを接続する接続構造体の製造方法であって、
    電極を上面に有する第1の接続対象部材上に、熱硬化性成分と導電性粒子とを含む異方性導電材料を用いた異方性導電材料層を配置する工程と、
    前記異方性導電材料層の上面に、電極を下面に有する第2の接続対象部材を積層する工程と、
    前記異方性導電材料層を加熱して硬化させ、接続部を形成する工程とを備え、
    前記第2の接続対象部材及び前記第1の接続対象部材として、半導体チップとガラス基板とを用い、
    前記異方性導電材料が硬化された前記接続部の23℃での引張伸び率を5%未満、かつ85℃での引張り伸びが0.5%の時の引張り強度を5MPa以上、20MPa以下にする、接続構造体の製造方法。
  8. 前記異方性導電材料が硬化された前記接続部における前記導電性粒子を除く部分のガラス転移温度を80℃以上、150℃以下にする、請求項7に記載の接続構造体の製造方法。
  9. 前記導電性粒子として、平均粒子径が1μm以上、10μm以下であり、圧縮変形回復率が30%以上であり、かつ10%圧縮変形したときの圧縮弾性率が1GPa以上、6GPa以下である導電性粒子を用いる、請求項7又は8に記載の接続構造体の製造方法。
  10. 前記異方性導電材料が硬化された前記接続部の120℃での弾性率を500MPa以上にする、請求項7〜9のいずれか1項に記載の接続構造体の製造方法。
  11. 前記異方性導電材料が硬化された前記接続部の平面ひずみ破壊靭性を1.5MPa・m1/2以上にする、請求項7〜10のいずれか1項に記載の接続構造体の製造方法。
  12. 前記半導体チップとして、厚みが0.5mm以下、かつアスペクト比が11以上である半導体チップを用いる、請求項7〜11のいずれか1項に記載の接続構造体の製造方法。
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