JP6198803B2 - 清掃用シート - Google Patents

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Description

本発明は、清掃用シートに関する。
本出願人は先に、繊維長が2〜15mmで、且つ繊度が10〜150dtexの熱可塑性繊維を10〜90質量%、及びセルロース系繊維を10〜90質量%含み、表面に前記熱可塑性繊維の先端部が多数存在して、清掃対象面に存する汚れに対する研磨性ないし掻き取り性を有する清掃用シートを提案した(特許文献1)。この清掃用シートは、汚れに対する充分な研磨性ないし掻き取り性を有するという特長を有する。
汚れに対する研磨性を有する他の清掃物品として、特許文献2には、基材と、水溶性バインダーと、該水溶性バインダーによって該基材に剥離可能に固定された複数の研磨粒子とを含む研磨清掃物品が提案されている。この研磨清掃物品は、研磨粒子が、溶媒と接触すると基材から剥離するようになっている。
特開2003−61885号公報 特表2008−529589号公報
特許文献1に記載の清掃用シートは、該シートの一方の面のみが、汚れの掻き取り面になっているので、単一の掻き取り性能を有するものである。したがって、汚れのこびりつきの程度に応じて掻き取り性能を変えることはできない。また、シートの使用時には、掻き取り面と反対側の面である平坦な面に手を添えて掻き取り操作を行うところ、手を添える面が平坦であると、意図せず該面上を手が滑ってしまい、掻き取り操作を行いづらくなってしまう場合がある。
特許文献2に記載の研磨清掃物品は、該物品が溶媒と接触して水溶性バインダーが溶解することで研磨粒子が該物品から剥離し、剥離した該研磨粒子の硬さを利用して汚れを除去しようとするものであり、研磨粒子の使用が必須となっている。したがってシート単独での汚れの掻き取り性能は期待できない。また、同文献に記載の研磨清掃物品は、その乾燥状態においては、研磨粒子は該物品から放出されないので、湿式での使用が必須となる。湿式で使用した場合であっても、水溶性バインダーが溶媒に溶解した後に研磨粒子が剥離するので、該研磨粒子が剥離するまでに時間を要してしまう。
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る清掃用シートを提供することにある。
本発明は、セルロース系繊維及び繊度0.5〜5dtexで且つ繊維長2〜15mmの熱融着性繊維を含む液保持層と、その片面に積層されているエアレイド層とを有する清掃用シートであって、
前記エアレイド層は、熱可塑性繊維を含み、且つ構成繊維どうしの交点が融着しているか又は接着されており、
前記エアレイド層は、繊度が10〜150dtexで且つ繊維長が2〜15mmの太径熱可塑性繊維と、繊度が0.5〜5dtexで且つ繊維長が2〜15mmの細径熱可塑性繊維を含み、
前記エアレイド層の表面に前記太径熱可塑性繊維の先端部が複数存在して、清掃対象面に存する汚れに対する研磨性ないし掻き取り性を有し、
前記液保持層の面のうち前記エアレイド層と対向している面と反対側の面にも、前記太径熱可塑性繊維の先端部が複数存在し、その存在数が前記エアレイド層の表面に存在する前記太径熱可塑性繊維の先端部の存在数よりも少ない、清掃用シートを提供するものである。
本発明の清掃用シートによれば、該シートの各面が掻き取り性能を有し且つその掻き取り性能が異なるので、汚れのこびりつきの程度に応じて適切な面を使用することができる。また、汚れを掻き取っている面と反対側の面が、手の滑り防止機能を発揮するので、掻き取りの操作性が向上する。
図1は、本発明の清掃用シートの一実施形態を模式的に示す斜視図である。 図2は、図1に示す清掃用シートの断面構造を示す模式図である。 図3は、図2に示す断面構造の要部を拡大して示す模式図である。 図4は、図1に示す清掃用シートによる汚れの除去機構を示す模式図である。 図5は、図1に示す清掃用シートを製造するために好適に用いられる装置を示す模式図である。 図6(a)は、本発明の清掃用シートの別の実施形態の断面構造を示す模式図であり、図6(b)は、図6(a)に示す断面構造の要部を拡大して示す模式図である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1及び図2に示す実施形態の清掃用シート1は、硬質表面の清掃に好適に用いられるものである。清掃用シート1は、乾式タイプのものであり、洗浄液等の液体成分を実質的に含んでいない。実質的に含んでいないとは、清掃用シート1に占める液体成分の割合が3質量%以下であることを言う。清掃用シート1は、液保持層4と、エアレイド層5とを有している。つまり清掃用シート1は、液保持層4及びエアレイド層5からなる2層構造を有している。したがって、液保持層4とエアレイド5との間には、他の別の層は介在していない。しかし、このことは、液保持層4とエアレイド層5との間に他の別の層を介在させることを妨げるものではなく、清掃用シート1の具体的な用途等に応じ、液保持層4とエアレイド層5との間に他の別の層を介在させてもよい。液保持層4とエアレイド層5とは、積層されて一体化されている。一体化の手段としては、例えば融着、接着剤を用いた接着、縫着など、種々の手段を採用することができる。
清掃用シート1が液保持層4とエアレイド層5からなる2層構造を有していることで、清掃用シート1は、その一方の面が、液保持層4の表面から構成され、もう一方の面が、エアレイド層5の表面から構成されている。
液保持層4は、水分の吸収保持が可能な層である。一方、エアレイド層5は、汚れに対する掻き取り性能を有する層である。この意味で、以下の説明においてはエアレイド層のことを「掻き取り層」とも言う。液保持層4は、セルロース系繊維及び繊度0.5〜5dtexで且つ繊維長2〜15mmの熱融着性繊維を含むものである。エアレイド層5は、熱可塑性繊維を含み且つエアレイ法によって形成されたウエブにおける構成繊維どうしの交点が融着又はバインダーにより接着された層である。
清掃用シート1には、掻き取り層5の表面に凹凸構造を有してもよい。例えば図1に示すとおり、掻き取り層5の表面に、菱形格子状のヒートエンボス加工を施すことで、菱形格子状の凹部8を形成してもよい。凹部8は、その周囲よりも密度が高い融着部からなる。この菱形格子状の凹部8によって取り込まれた領域は、凸部7からなる非エンボス領域となっている。非エンボス領域は、凹部よりも密度が低い非融着部からなる。凹部8は、ヒートエンボス加工による熱及び圧力の適用によって、凸部7からなる非エンボス領域よりも圧密化している。つまり凹部8は、非エンボス領域よりも高密度になっている。このヒートエンボス加工は、掻き取り層5の表面に凹凸を形成することに加えて、掻き取り層5と液保持層4とを接合するためにも用いることができる。
凹部8のパターン形状は菱形格子状に限定されず、線状、点状、特定模様の任意の形状が採用され得る。凹部8の総面積は、清掃用シート1の清掃面の面積に対して5%以上、特に10%以上であることが好ましい。また、50%以下、特に40%以下であることが好ましい。具体的には、凹部8の総面積は、清掃用シート1の清掃面の面積に対して5%以上50%以下であることが好ましく、10%以上40%以下であることが更に好ましい(以下この値を凹部8の面積率という)。凹部8の面積率をこの範囲内に設定することで、清掃時の表面強度と清掃性とを首尾よく両立させることができる。
清掃用シート1は、ミシン目(図示せず)を有していてもよい。ミシン目に沿って清掃用シート1を裁断することで、清掃用シート1を細分化して使用しやすい大きさにすることができる。清掃用シート1を使いやすい大きさや形状に細分化できる限り、ミシン目のパターン形状に特に制限はない。
清掃用シート1を構成する一方の層である掻き取り層5は、上述した熱可塑性繊維の一種としての太径熱可塑性繊維(以下「太径繊維」とも言う。)2を含んでいる。本発明において太径繊維2とは、繊度が10dtex以上150dtex以下である繊維のことを言う。繊度がこのように大きい繊維は、繊維の剛性が高くなるので、汚れに対する掻き取り性が充分に高いものとなる。この観点から、太径繊維2の繊度は10dtex以上、特に20dtex以上、とりわけ30dtex以上であることが好ましい。また、150dtex以下、特に130dtex以下、とりわけ120dtex以下であることが好ましい。具体的には、太径繊維2の繊度は、上述のとおり10dtex以上150dtex以下であることが好ましく、20dtex以上130dtex以下であることが更に好ましく、30dtex以上120dtex以下であることが一層好ましい。この範囲の繊度の太径繊維2を採用することで、清掃用シート1は、例えば鍋やフライパンにこびりついた汚れ、キッチン周りや水周りのこびりつき汚れの掻き取り性に一層優れたものとなる。清掃シート1は、掻き取り層5の表面に太径繊維2の先端部が複数存在して、清掃対象面に存する汚れに対する研磨性ないし掻き取り性を発現する。
太径繊維2は短繊維であることも好ましい。これによって太径繊維2は曲がりにくくなり、そのことによっても剛性が向上する。また、太径繊維2として短繊維を用いることで、後述するとおり、エアレイ法によって掻き取り層5を首尾よく形成することができる。これらの観点から、太径繊維2の繊維長は、2mm以上であることが好ましく、3mm以上であることが更に好ましく、4mm以上であることが一層好ましい。また15mm以下であることが好ましく、8mm以下であることが更に好ましく、6mm以下であることが一層好ましい。具体的には、太径繊維2の繊維長は、2mm以上15mm以下であることが好ましく、3mm以上8mm以下であることが更に好ましく、4mm以上6mm以下であることが一層好ましい。この範囲の繊維長を採用することで、太径繊維2の剛性を充分に高くすることができる。また、掻き取り層5からの太径繊維2の脱落を効果的に防止することができる。更に、エアレイ法によって掻き取り層5を首尾よく形成することができる。
太径繊維2は、清掃用シート1中に10質量%以上含まれることが、汚れに対する充分な掻き取り性能が発現する観点から好ましい。掻き取り性能は、清掃用シート1に占める太径繊維2の割合が30質量%以上、特に50質量%以上であることで一層高くなる。清掃用シート1に占める太径繊維2の割合は90質量%以下であることが好ましい。具体的には、清掃用シート1に占める太径繊維2の割合は10質量%以上90質量%以下であることが更に好ましく、30質量%以上90質量%以下であることが一層好ましく、50質量%以上90質量%以下であることが更に一層好ましい。
太径繊維2としては、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂、ナイロンなどのポリアミド系樹脂、各種金属、ガラス、鉱物などを原料とする繊維が用いられる。樹脂製の太径繊維2を用いる場合、その樹脂硬度は、ロックウェル硬さでR40〜R150の範囲が好ましい。特に、汚れの掻き取り性を向上させる点からは、R80〜R150の樹脂を用いることが好ましい。前記の各種原料のうち、2種の樹脂の組み合わせからなる複合繊維(芯鞘型複合繊維やサイド・バイ・サイド型複合繊維)を用いることもできる。特に太径繊維2として、清掃対象面(ステンレス、タイル、琺瑯、人工大理石等)への傷つき性がなく、且つ掻き取り性に優れているアクリル系繊維、ポリエステル系繊維、塩化ビニル系繊維、ポリアミド繊維及びポリオレフィン系繊維が好ましい。更に、繊維の脱落を防止する面からは、熱融着性繊維を用いることも好ましい。熱融着性繊維としては、例えば融点の異なる低融点樹脂と高融点繊維とからなり、且つ該低融点樹脂が繊維表面の少なくとも一部を形成している熱融着性複合繊維を用いることが好適である。低融点樹脂/高融点樹脂の組み合わせとしては、高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、低密度ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリプロピレン/エチレン・ブテン−1結晶性共重合体、高密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、ナイロン−6/ナイロン−66、低融点ポリエステル/ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレート等が例示できる。
熱融着性複合繊維の形態は、並列型、鞘芯型、偏心鞘芯型、三層以上の多層型、中空並列型、中鞘芯型、異形鞘芯型、海島型等で、且つ低融点樹脂が繊維表面の少なくとも一部を形成した構造であればよい。前記熱融着性複合繊維のうち好ましいものは、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン・ブチレン−1結晶性共重合体、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンイソフタレートとの共重合ポリエステルなどの低融点ポリエステルから選ばれるいずれか1種の熱可塑性樹脂を低融点樹脂とし、ポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレートを高融点樹脂とする並列型、鞘芯型、偏心鞘芯型の複合繊維である。特に、汚れの掻き取り性が良好になる点から、低融点ポリエステルとポリエチレンテレフタレートとの複合繊維を用いることが好ましい。
太径繊維2として、捲縮性を有しているものを用いることもできる。これによって、清掃用シート1の厚み感(嵩高性)を向上させることができ、良好な拭き心地が得られる。捲縮形態としては、スパイラル型、ジグザグ型、U字型などがあり、これらのいずれもが好適に用いられる。
太径繊維2は1種又は2種以上を用いることができる。清掃用シート1に2種以上の繊維が含まれている場合には、前記の繊維長及び繊度を満たす太径繊維が、合計で前記の含有量を満たすように含まれていることが好ましい。
掻き取り層5中には、熱可塑性繊維の一種として、太径繊維2よりも繊度の小さい細径熱可塑性繊維(図示せず。以下「細径繊維」とも言う。)も含まれている。細径繊維としては、太径繊維2よりも繊度が小さいことを条件として、繊度が0.5dtex以上、特に1dtex以上のものを用いることが好ましい。また繊度が5dtex以下、特に3dtex以下のものを用いることが好ましい。具体的には、繊度が0.5dtex以上5dtex以下、特に1dtex以上3dtex以下の繊維を用いることが好ましい。掻き取り層5に占める細径繊維の割合は1質量%以上、特に5質量%以上であることが好ましく、50質量%以下、特に30質量%以下であることが好ましい。具体的には、掻き取り層5に占める細径繊維の割合は1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、特に5質量%以上30質量%以下であることが更に好ましい。掻き取り層5中に、太径繊維2に加えて細径繊維を含有させることで、掻き取り層5の研磨性ないし掻き取り性を維持しつつ、その坪量を小さくすることができる。
細径繊維は、太径繊維2と同様に短繊維であることが好ましい。この場合、細径繊維の繊維長は、2mm以上であることが好ましく、3mm以上であることが更に好ましく、4mm以上であることが一層好ましい。また15mm以下であることが好ましく、8mm以下であることが更に好ましく、6mm以下であることが一層好ましい。具体的には、細径繊維の繊維長は、2mm以上15mm以下であることが好ましく、3mm以上8mm以下であることが更に好ましく、4mm以上6mm以下であることが一層好ましい。また細径繊維は、太径繊維2と同種又は異種の熱可塑性樹脂から構成されていることが好ましい。特に、細径繊維は熱融着性繊維から構成されていることが好ましい。
掻き取り層5においては、その構成繊維の交点が接合されている。詳細には、太径繊維2どうしの交点、細径繊維どうしの交点、及び太径繊維2と細径繊維との交点が接合されている。そして、複数の太径繊維2が起立して、その先端部が掻き取り層5の表面に存在している。太径繊維2が起立するとは、太径繊維2の長手方向(繊維断面と直交する方向)が掻き取り層5の面内方向を0度(傾きなく繊維が横になっている)とすると、該面内方向と太径繊維2の長手方向とのなす角度が好ましくは30度以上、更に好ましくは45度以上傾斜していることを言う。太径繊維2が起立することで、掻き取り層5の表面には太径繊維2の一端が表面側から平面視できる。掻き取り層5に含まれる太径繊維2は、該太径繊維2のうち、好ましくは50%以上、更に好ましくは80%以上の本数のものが起立している。特に太径繊維2どうしの繊維交点が接合されており、且つ太径繊維2の先端部が掻き取り層5の表面に存在していることで、掻き取り層5に充分な研磨性ないし掻き取り性が付与される。この場合、掻き取り層5を構成するすべての太径繊維2の先端部が掻き取り層5の表面に存在していることは要せず、目的とする程度の充分な掻き取り性能が発現する程度であればよい。
掻き取り層5の表面に太径繊維2の先端部を存在させるためには、掻き取り層5をエアレイ法によって形成することが有利である。具体的には、短繊維からなる太径繊維2及び短繊維からなる細径繊維をエアレイ法によって堆積させてウエブを形成し、このウエブにおける繊維の交点を接合することで、太径繊維2の先端部が掻き取り層5の表面に存在しやすくなる。繊維の交点を接合する手段としては、例えば接着剤を用いた接着や、熱融着を用いることができる。
掻き取り層5の坪量は、20g/m2以上、特に30g/m2以上であることが好ましく、200g/m2以下、特に150g/m2以下であることが好ましい。具体的には、掻き取り層5の坪量の坪量は、20g/m2以上200g/m2以下であることが好ましく、30g/m2以上150g/m2以下であることが更に好ましい。掻き取り層5の坪量をこの範囲に設定することで、清掃用シート1は、キッチン周りや水周りのこびりつき汚れに対する汚れの除去性が一層高くなるので好ましい。
掻き取り層5は、これを構成する繊維どうしの間に空間を有している。この空間には、太径繊維2どうしで形成される空間、細径繊維どうしで形成される空間、及び太径繊維と細径繊維とで形成される空間が含まれる。特に、太径繊維2どうしによって形成される空間は外力を受けても維持されやすい。この空間には、図3に示すとおり、複数の研磨粒子6を存在させることができる。研磨粒子6はかかる空間に存在し、研磨粒子6が繊維に接していても、接着剤などで固定されることなく存在することができる。なお、図3中、符号9は、太径繊維2の交点を接着している接着剤又は融着部位を示している。研磨粒子6は、太径繊維2の掻き取り性能との相乗効果によって、掻き取り層5の研磨性能を向上させる目的で用いられる。研磨粒子6は、掻き取り層5から脱離可能に前記空間に存在していることが好ましい。研磨粒子6が脱離可能に存在しているとは、清掃用シート1を湿潤させないそのままの状態において、清掃用シート1に振動や折り曲げ等に起因する外力を加えたときに、清掃用シート1の掻き取り層5から研磨粒子6の少なくとも一部が脱落するような態様で、研磨粒子6が掻き取り層5中に存在していることを言う。したがって研磨粒子6は、例えば先に背景技術の項で述べた特許文献2に記載の技術と異なり、接合剤によって繊維に固着された状態になっていない。特に水や水溶液に触れて初めて研磨粒子が脱落するのではなく、乾燥状態で振動などの外力で簡単に脱落する点で特許文献2に記載の技術と異なる。このような態様で研磨粒子6を掻き取り層5中に存在させるための具体的な手段については後述する。
清掃用シート1においては、以下の方法で測定された研磨粒子6の脱落量(g/m)が、脱落前の研磨粒子6の量(g/m)に対して、0.1%以上であることが好ましく、0.3%以上であることが更に好ましく、また、3.0%以下であることが好ましく、2.0%以下であることが更に好ましい。具体的には、研磨粒子6の脱落量(g/m)が、脱落前の研磨粒子6の量(g/m)に対して、0.1%以上3.0%以下であることが好ましく、0.3%以上2.0%以下であることが更に好ましい。
〔研磨粒子の脱落量〕
掻き取り層5からの研磨粒子6の脱落の程度は次の方法で測定できる。清掃用シート1を10cm×7cmの長方形に切り出して試験片を得る。この試験片を、20℃±5℃の環境下において、7cmの短辺側を上側にして両手で把持し、10cmの長辺方向に沿って切り裂く、この時の切り裂き速度は5cm/秒とする。切り裂きによって脱落した物質を回収し、その質量(g)を測定し、それを1mに換算して研磨粒子6の脱落量(g/m)とする。
研磨粒子6は、掻き取り層5の厚み方向の全域にわたって均一に存在していることが好ましい。ただし、掻き取り層5の最表面を含む表面域5Aには研磨粒子6が実質的に存在していないことが有利である。該表面域5Aは、掻き取り層5を構成する複数の太径繊維2のそれぞれの先端部2Aの集合体で構成された表面厚さ方向の領域である。特に、掻き取り層5を構成する太径繊維2のうち、掻き取り層5の表面に先端部が存在している太径繊維2は、該先端部を含む先端域2Aに研磨粒子6が実質的に付着していないことが有利である。実質的に付着していないとは、太径繊維2の先端域を拡大(50±5倍)したときに5本の太径繊維を選んで該太径繊維の先端部に観察される研磨粒子6の数が、掻き取り層5の厚み方向の中央部での、その選んだ太径繊維2に観察される研磨粒子6の数に対して10%以下であることを言う。厚み方向中央部とは、掻き取り層5をその厚み方向に三等分したときの中央部分を言う。このような態様で研磨粒子6が存在していることに起因して、清掃対象面の汚れを掻き取り層5によって除去するときに、該清掃対象面に研磨粒子6が素早く、且つ多量に放出される。その結果、汚れを素早く、且つ確実に除去することを容易に行うことができる。掻き取り層5の最表面にまで研磨粒子6が存在していると、清掃対象面が湿潤している場合、掻き取り層5の最表面に存在している研磨粒子6が湿潤してしまい、掻き取り層5から脱落しづらくなってしまう。その結果、研磨粒子6が清掃対象面に素早く供給されづらくなってしまう。先端域とは、先端部から太径繊維2の直径の5倍以内の深さ領域とする。
研磨粒子6は、掻き取り層5の質量に対して150質量%以上、特に200質量%以上存在していることが好ましい。また、掻き取り層5の質量に対して900質量%以下、特に750質量%以下存在していることが好ましい。具体的には、研磨粒子6は、掻き取り層5の質量に対して150質量%以上900質量%以下存在していることが好ましく、200質量%以上750質量%以下存在していることが更に好ましい。研磨粒子6がこの範囲の割合で掻き取り層5中に存在していることで、太径繊維2による掻き取り性との相乗効果で、掻き取り層5の研磨性能が一層向上する。
研磨粒子6としては、水不溶性の粒子を用いることが好ましい。研磨粒子6は、そのモース硬度が3以上7以下であることが研磨性の点から好ましい。そのような研磨粒子6としては、例えば炭酸カルシウム、ゼオライト、シリカ(珪石粉)などが挙げられる。これらの研磨粒子6は単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。研磨粒子6はその平均粒子径が5μm以上、特に10μm以上であることが好ましい。また50μm以下、特に40μm以下であることが好ましい。具体的には、研磨粒子6の平均粒子径は5μm以上50μm以下であることが好ましく、10μm以上40μm以下であることが更に好ましい。研磨粒子はこのような平均粒子径を有し且つ粒子径に分布を有することが好ましい。この範囲の硬度及び平均粒子径の研磨粒子6を用いることにより、清掃対象面に傷が付くことを効果的に防止しつつ、充分な研磨効果を得ることができる。
研磨粒子6の平均粒子径は、電気抵抗試験法(コールターカウンター法)で測定される。
掻き取り層5には、上述した研磨粒子6に加えて、他の洗浄成分が含まれていてもよい。例えば汚れに対する洗浄効果を高めることを目的として、各種界面活性剤を用いることができる。具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸等の陰イオン界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の非イオン界面活性を用いることができる。更に、すすぎ効果を高めることを目的として、アクリル酸、メタクリル酸、若しくはマレイン酸の重合体又はこれらの塩、並びにマレイン酸と他のビニル系モノマーとの共重合体又はこれらの塩などを用いることもできる。
研磨粒子6は、例えば以下に述べる方法によって掻き取り層5中に存在させることができる。まず、研磨粒子6が付与される前の状態の清掃用シートを準備する。付与とは研磨粒子が掻き取り層に存在させるよう塗布することを言う。研磨粒子6を担持させる前の状態の清掃用シート1の具体的な製造方法は後述する。この準備とは別に、研磨粒子6を含むスラリーを準備する。スラリーの液媒体としては水を用いることが簡便である。スラリーの具体例は、例えば特開2006−104264号公報や特開2006−104265号公報に記載されている。研磨粒子6の分散の点からスラリーに微量の界面活性剤を含ませてもよい。その場合、スラリーの質量に対して好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下の量で界面活性剤を含有させることが好ましい。界面活性剤は、スラリー中に含有させてもよいが、含有させない方がより好ましい。スラリーに界面活性剤を微量含ませるか、又は含ませないことで、スラリーを塗布し乾燥後、研磨粒子6は掻き取り層5の繊維に固着することなく繊維間に剥離可能に保持される。固着することないとは、繊維に研磨粒子6が接着や融着で固定しておらず、且つ水溶液などの溶媒を使用しなくとも振動などを加えると、研磨粒子6の全部又は一部が掻き取り層5から脱落することを言う。
研磨粒子6が付与される前の状態の清掃用シートのうち、掻き取り層5にスラリーを塗工する。塗工には例えばダイコータ、グラビアロールコータを用いることができる。この塗工によって、掻き取り層5には研磨粒子6を含む湿潤状態の塗膜が形成される。この塗膜が湿潤状態のうちに、掻き取り層5に、表面が平滑な部材を押し当てる。この押し当てによって、掻き取り層5を構成する太径繊維2で形成される空間内にスラリーを充填するとともに、掻き取り層5の表面域5Aからスラリーを除去する。その結果、掻き取り層5の最表面を含む表面域5Aに、研磨粒子6が実質的に存在しないようにする。それによって、掻き取り層5の表面に先端部が存在している太径繊維2について、該先端部を含む先端域2Aに研磨粒子6が実質的に付着していないようにする。本発明では、前述のとおり先端域とは、先端部から太径繊維の直径の5倍以内の領域(図3中、符号2Aで示す領域)とする。
前記の押し当てに用いられる部材としては、例えば合成樹脂製のフィルム、金属板、天然繊維糸、合成繊維糸などが用いられる。これらのうち、特に合成樹脂製のフィルムが好ましい。
前記の押し当てによって、掻き取り層5の最表面を含む表面域5Aに、研磨粒子6が実質的に存在しないようにした後、塗膜を乾燥させる。塗膜の乾燥後、掻き取り層5の表面を拭き取り部材で拭き取る。この拭き取りによって、掻き取り層5の最表面を含む表面域5Aに、研磨粒子6が一層存在しないようにする。拭き取り部材としては、例えば各種の不織布や織布等の繊維シート、合成樹脂繊維を用いたブラシ、天然繊維を用いたブラシなどを用いることができる。
次に、清掃用シート1における液保持層4について説明する。液保持層4は、水の吸収保持が可能な層である。この目的のために、液保持層3は親水性繊維3を含んで構成されていることが好ましい。親水性繊維としては、例えばセルロース系繊維が好適に用いられる。その例としてはパルプ繊維、コットン繊維、レーヨン繊維等が挙げられ、特にパルプ繊維を用いることが好ましい。特にセルロース系繊維として、針葉樹由来のパルプ繊維を用いることが、親水性繊維3の脱落防止、及び適度なシート強度の発現の点から好ましい。
液保持層4に含まれる親水性繊維3の繊維長は、該液保持層4の製造方法に応じて適宜適切な長さが選択される。液保持層4が、例えばエアレイ法により製造される場合には、親水性繊維3の繊維長は0.1mm以上15mm以下、特に0.3mm以上10mm以下であることが好ましい。エアレイ法の場合、繊維の交点は融着又は接着で接合されている。接着の場合、任意のバインダーを用いることができる。バインダーの具体例として、アクリロニトリル−ブタジエンゴムが挙げられる。
清掃用シート1に占める親水性繊維3の割合は、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることが更に好ましい。また、90質量%以下であることが好ましい。具体的には、清掃用シート1に占める親水性繊維3の割合は、10質量%以上90質量%以下、特に20質量%以上90質量%以下であることが、汚液の吸収性の点から好ましい。液保持層4には、親水性繊維3以外の繊維として、繊度が0.5dtex以上5dtex以下、特に1dtex以上3dtex以下で、且つ繊維長2mm以上15mm以下、特に3mm以上8mm以下の熱融着性繊維が含まれていることが好ましい。熱融着性繊維は、液保持層4中に10質量%以上90質量%以下、特に10質量%以上80質量%以下含まれていることが好ましい。熱融着性繊維としては、例えば低融点のポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、前述のような低融点樹脂と高融点樹脂とからなり、該低融点樹脂が繊維表面の一部を形成している複合繊維等を用いることができる。
液保持層4の坪量は、30g/m2以上、特に40g/m2以上であることが好ましく、100g/m2以下、特に80g/m2以下であることが好ましい。具体的には、液保持層4の坪量の坪量は、30g/m2以上100g/m2以下であることが好ましく、40g/m2以上80g/m2以下であることが更に好ましい。液保持層4の坪量をこの範囲に設定することで、汚液の吸収保持を充分に行うことができる。また、掻き取り層5と液保持層4とを含む清掃用シート1の総坪量は、50g/m以上300g/m以下であることが好ましい。
清掃シート1においては、液保持層4の面のうち掻き取り層5と対向している面と反対側の面4aにも、太径繊維2の先端部が複数存在して、清掃対象面に存する汚れに対する研磨性ないし掻き取り性を発現する。つまり、清掃シート1は、その各面が、清掃対象面に存する汚れに対する研磨性ないし掻き取り性を有する。ただし、掻き取り層5の表面に存在する太径繊維2の先端部の数と、液保持層4の表面に存在する太径繊維2の先端部の数とが相違している。詳細には、掻き取り層5の表面に存在する太径繊維2の先端部の数と、液保持層4の表面における太径繊維2の存在数とを比較すると、液保持層4の表面における太径繊維2の存在数は、掻き取り層5の表面における太径繊維の先端部の存在数よりも少ないことが好ましい。汚れに対する掻き取り性能は、太径繊維2の種類が同じであれば、その先端部の数に依存するので、本実施形態においては掻き取り層5の掻き取り性能と、液保持層4の掻き取り性能とが相違している。詳細には、掻き取り層5の掻き取り性能の方が、液保持層4の掻き取り性能よりも高くなっている。こうすることで、汚れのこびりつきの程度に応じて、掻き取り層5又は液保持層4のうちの適切な層の表面を清掃に使用することができる。また、汚れを掻き取っている面と反対側の面にも太径繊維2の先端部が存在しており、その太径繊維2の先端部に起因する摩擦力によって手の滑り防止機能が発揮されるので、掻き取りの操作性が向上する。これらの有利な効果を一層顕著なものとする観点から、液保持層4の表面における太径繊維2の存在数は、掻き取り層5の表面における太径繊維の先端部の存在数の0.1%以上であることが好ましく、0.3%以上であることが更に好ましく、0.5%以上であることが一層好ましい。また液保持層4の表面における太径繊維2の存在数は、掻き取り層5の表面における太径繊維の先端部の存在数の20%以下であることが好ましく、15%以下であることが更に好ましく、10%以下であることが一層好ましい。具体的には、液保持層4の表面における太径繊維2の存在数は、掻き取り層5の表面における太径繊維の先端部の存在数の0.1%以上20%以下であることが好ましく、0.3%以上15%以下であることが更に好ましく、0.5%以上10%以下であることが一層好ましい。
掻き取り層5及び液保持層4の表面における太径繊維の先端部の存在数は、次の方法で測定される。清掃用シート1を10cm×1cmの長方形に切り出して試験片を得る。この試験片の10cmの辺側の切断面を正面とし、正面から清掃用シート1表面側に10度傾いた方向から清掃用シート表面を拡大鏡などの手段により観察する。観察した清掃用シート1の表面から25度以上の角度で立ち上がっている太径繊維の本数を計測する。その計測結果を1/10倍し太径繊維の先端部の存在数(本/cm2)とする。規定する大きさの試験片が切り出せない場合は、任意の大きさの試験片を作成し表面積を算出した後、同様の方法で計測した結果から単位面積当たりの本数を算出して太径繊維の先端部の存在数(本/cm2)としてもよい。
掻き取り層5の表面に存在する太径繊維2の先端部の本数は、清掃対象面に存する汚れに対する充分な研磨性ないし掻き取り性が発現するのに充分な数であり、好ましくは20本/cm2以上、更に好ましくは50本/cm2以上、一層好ましくは100本/cm2以上、特に好ましくは120本/cm2であるまた、4000本/cm2以下、更に好ましくは2000本/cm2、一層好ましくは1000本/cm2、特に好ましくは600本/cm2以下である。具体的には、20本/cm2〜4000本/cm2、更に好ましくは50本/cm2〜2000本/cm2、一層好ましくは100本/cm2〜1000本/cm2、特に好ましくは120本/cm2〜600本/cm2である。
一方、液保持層4の表面に存在する太径繊維2の先端部の本数は、手との間での充分な摩擦力の発現や、軽いこびりつき汚れの除去の観点から、好ましくは0.1本/cm2以上、更に好ましくは1本/cm2以上、一層好ましくは5本/cm2以上、特に好ましくは10本/cm2以上である。また、100本/cm2以下、更に好ましくは60本/cm2以下、一層好ましくは50本/cm2以下、特に好ましくは40本/cm2以下である。具体的には、0.1本/cm2以上100本/cm2以下、更に好ましくは1本/cm2以上60本/cm2以下、一層好ましくは5本/cm2以上50本/cm2以下、特に好ましくは10本/cm2以上40本/cm2以下である。
1本の太径繊維2に着目したとき、該太径繊維2は、その一方の先端部が掻き取り層5の表面に存在しており、且つ他方の先端部が液保持層4の表面に存在していてもよい。あるいは、太径繊維2は、その一方の先端部が掻き取り層5の表面に存在しており、且つ他方の先端部が掻き取り層5の内部又は液保持層4の内部に存在していてもよい。あるいは、太径繊維2は、その一方の先端部が液保持層4の表面に存在しており、且つ他方の先端部が液保持層4の内部又は掻き取り層5の内部に存在していてもよい。したがって、太径繊維2は、その一部が掻き取り層5だけではなく、液保持層4中にも存在している。
清掃用シート1は、先に述べたとおり、使用前の状態では乾式タイプのものである。使用に際しては、乾式のままとすることもでき、あるいは湿潤させて使用することもできる。湿潤させて使用する場合、清掃対象面、例えば硬質表面を水で湿潤させておき、湿潤状態の硬質表面を掻き取り層5で清掃し、次いで湿潤状態の該硬質表面の水分、つまり汚れを含んだ汚液を液保持層4で拭き取る、という手順で清掃を行うことができる。液保持層4の表面も、汚れに対する掻き取り性能を有しているから、汚液の拭き取りと同時に、硬質表面の清掃を更に行うこともできる。
清掃用シート1による汚れの除去機構は、例えば湿潤させて使用する場合は次のとおりである。硬質表面を水で湿潤させておき、湿潤状態の硬質表面に、清掃用シート1における掻き取り層5側の面を押し当てて、こすりつける。これによって、図4に示すとおり、掻き取り層5から研磨粒子6が放出されて清掃対象面Cに供給される。放出された研磨粒子6と、掻き取り層5の表面に多数存在している太径繊維2の先端部が、清掃対象面Cに存する汚れDを研磨ないし掻き取る。これらの作用によって、汚れDが清掃対象面Cから除去される。除去された汚れDは、水中に溶け込むかあるいは分散して、水とともに液保持層4に吸収される。このようにして、清掃対象面Cが清浄な状態となる。
清掃用シート1においては、面内方向の通気度TMDよりも垂直厚み方向の通気度TVDの方が小さいことが好ましい。また、掻き取り層5の垂直厚み方向の通気度TVDよりも液保持層4の垂直厚み方向の通気度TVDの方が小さいことが好ましい。こうすることで、研磨粒子6は、掻き取り層5の繊維間に保持されるが、液保持層4側に裏抜けすることなく研磨粒子6が掻き取り層5内に留まり、清掃時には水などの液媒体を加えなくとも研磨粒子6が清掃対象面に放出されやすい。このように通気度を制御することで研磨粒6子の裏抜けを防止することで、清掃用シート1の厚み方向において研磨粒子6は掻き取り層5の裏面側(液保持層4)寄りの位置に相対的に多く存在し、表面側(清掃面側)に相対的に少ないか、又は存在しないようにすることが好ましい。垂直方向と面内方向の通気度比を制御するには、例えば構成繊維の起立の程度を制御させればよい。構成繊維を起立させることで、垂直方向の通気度が増え面内方向の通気度は低くなる。
前記の比率TMD/TVDの値を、上述の範囲内に設定するためには、例えばエアレイ法で掻き取り層5を形成するときのエアレイの条件や、使用する太径繊維2の長さ及び繊度などを適切に調整して、更に前述のとおり掻き取り層5における太径繊維2の起立の程度や、太径繊維2の繊維存在密度をコントロールすればよい。
清掃用シート1は、例えばその複数枚を規則的に積層して積層体となし、該積層体を包装材内に収容して清掃用シート包装体となすことができる。包装材は、清掃用シート1を該包装材内から取り出すための開口部と、該開口部を閉鎖するリシール可能な閉鎖部材とを備えていることが好ましい。前記の積層体においては、例えば清掃用シート1における液保持層4の側が上方を向くように、複数枚の清掃用シート1が規則的に積み上げられている。この状態の積層体を、液保持層4の側が開口部の側を向くように包装材内に収納することが好ましい。このような収納態様を採用することで、包装材内から清掃用シート1を指で摘まんで取り出すときに、指が受ける刺激感(起立した太径繊維2の先端が指を刺激する感覚)が減じられるので好ましい。この理由は、包装材内から清掃用シート1を指で摘まんで取り出すときに、指の腹は、太径繊維2の先端の存在数が相対的に少ない層である液保持層4と接触するだけであり、ちくちくとした刺激感を与えることのある掻き取り層5が指の腹と接触しづらいからである。液保持層側が判別しやすいよう、掻き取り側であることを明示したり、印をつけたりしておくことが好ましい。
前記の包装材は、周縁部に開孔又はフックが設けられた別包装材に内封された別包装体であることが、中身の保護の点から好ましい。別包装体の開孔又はフックは別包装体を吊り下げ可能にする目的で設けられている。この別包装体は、これを店頭陳列する場合に、開孔又はフックによって容易に吊り下げ可能である点で有利である。また、この別包装体はリシール可能となっていてもよい。
前記の包装材は、別包装材を用いずに直接、周縁部に開孔又はフックを設けてもよい。また、包装材リシール可能となっていてもよい。
清掃用シート1の別の包装態様として、清掃用シート1が、包装材内に1枚収納されて個別包装されている清掃用シートの個別包装体が挙げられる。この個別包装体においては、開封しやすいように切り込み線やミシン目が入っていてもよい。個別包装材の周縁部には開孔又はフックが設けられていることが好ましい。開孔又はフックは個別包装体を吊り下げ可能にする目的で設けられている。この個別包装体は、これを店頭陳列する場合に、開孔又はフックによって容易に吊り下げ可能である点で有利である。更に個別包装体を複数個列状に配列させて、1個目の個別包装体を開孔又はフックで吊り下げ可能とし、2個目以降は5個ないし10個を繋ぎ目又はミシン目で切り離し可能とした状態で、店舗に吊るして切り離すなどして販売することができる。
清掃用シート1の更に別の包装形態として、長尺上に形成された清掃用シート1が、包装材内にロール状に丸められた状態で収納されている清掃用シートの包装体が挙げられる。この包装体においては、清掃シートの一定長さ毎に、幅方向にわたる切り込み線やミシン目等の切断補助加工を施すことで、より使いやすくなる。
本実施形態の清掃用シート1は、特開2003−61885号公報に記載の方法に準じて次の方法で製造することができる。
<方法1>
セルロース系繊維を含み且つエアレイ法によって形成されたウエブにおける構成繊維どうしの交点を融着又はバインダーにより接着させて液保持層4を形成する。また、液保持層4の形成とは別に、太径繊維及び細径繊維を含み且つエアレイ法によって形成されたウエブにおける構成繊維どうしの交点を融着又はバインダーにより接着させてエアレイド層からなる掻き取り層5を形成する。そして、液保持層4の片面に、掻き取り層5を積層一体化させる。
<方法2>
セルロース系繊維を含み且つエアレイ法によって形成されたウエブの片面に、太径繊維及び細径繊維を含み且つエアレイ法によって形成されたウエブを積層し、各ウエブの構成繊維どうしの交点及び両ウエブ間を融着又はバインダーにより接着して、液保持層4及び掻き取り層を形成するとともに、液保持層4と掻き取り層5とを一体化させる。
以上の方法1及び方法2において、液保持層4の表面に太径繊維の先端を存在させるためには、例えば次の製造条件を採用すればよい。すなわち、セルロース系繊維を含み且つエアレイ法によってウエブを形成させる際に少量の太径繊維を含ませ、液保持層4内に太径繊維を配合する。
前記の方法2の変形例として以下の方法2Aを採用することもできる。
<方法2A>
セルロース系繊維、細径繊維及び太径繊維を含み且つエアレイ法によって形成されたウエブにおける構成繊維どうしの交点を融着又はバインダーにより接着させて液保持層4を形成する。また、液保持層4の形成とは別に、太径繊維及び細径繊維を含み且つエアレイ法によって形成されたウエブにおける構成繊維どうしの交点を融着又はバインダーにより接着させてエアレイド層からなる掻き取り層5を形成する。そして、液保持層4の片面に、掻き取り層5を積層一体化させる。この方法は、例えば図5に示す製造装置10を用いて行うことができる。
図5に示す製造装置10は、一方向Dに周回する無端コンベアベルト13を有している。コンベアベルト13は通気性を有する素材から構成されている。コンベアベルト13は、例えば金属製のメッシュベルトから構成されている。コンベアベルト13の上方には、コンベアベルト13の周回方向Dに沿って繊維供給用の第1ヘッド部11及び第2ヘッド部12が設置されている。第1ヘッド部11は、第2ヘッド部12よりも上流側に設置されている。各ヘッド部11,12には、フィーダ(図示せず)から第1繊維及び第2繊維がそれぞれ供給されるようになっている。第1繊維は、セルロース系繊維、細径繊維及び太径繊維を含んでいる。第2繊維は、太径繊維及び細径繊維を含んでおり、且つセルロース系繊維を含んでいない。また、各ヘッド部11,12には、空気供給源(図示せず)から空気が供給されるようになっている。各ヘッド部11,12に供給された空気は、第1繊維及び第2繊維を、コンベアベルト13の上面に堆積させる目的で用いられる。更に、各ヘッド部11,12は、それぞれ複数のブラシロール14を備えている。ブラシロール14は、ロール本体の周面に櫛歯が立設されたものからなる。櫛歯はロール本体のsh周面の法線方向に向けて起立している。ブラシロール14は、各ヘッド部11,12にそれぞれ供給された第1繊維及び第2繊維を分散させる目的で用いられる。
製造装置10においては、周回するコンベアベルト13の内部の位置に、各ヘッド部11,12と対向するように第1サクションボックス21及び第2サクションボックス22が設置されている。第1サクションボックス21及び第2サクションボックス22は、第1繊維及び第2繊維が、空気に搬送されて各ヘッド部11,12から散布されたときに吸引を行い、これらの繊維を、コンベアベルト13の上に確実に堆積させるために用いられる。
製造装置10を用いて清掃用シート1を製造するには、例えば、まずセルロース系繊維、細径繊維及び太径繊維を含む第1繊維を第1ヘッド部11に供給し、ブラシロール14で分散させた後に、該第1繊維を空気流に搬送させて第1ヘッド部11から下方に向けて、すなわちコンベアベルト13の上面に向けて散布する。これによってエアレイド層のウエブからなる液保持層4が形成される。次いで、形成された液保持層4の上に、太径繊維及び細径繊維を含むエアレイド層のウエブからなる掻き取り層5を形成して積層する。掻き取り層5の形成には、細径繊維及び太径繊維を含む第2繊維を第2ヘッド部12に供給し、ブラシロール14で分散させた後に、該第2繊維を空気流に搬送させて第2ヘッド部12から下方に向けて、すなわち液保持層4の上面に向けて散布する。そして、液保持層4と掻き取り層5とを所定の手段によって一体化する。
製造装置10を用いて清掃用シート1を製造する場合には、エアレイド層のウエブからなる液保持層4を形成するときの第1サクションボックス21の吸引の程度を調整することで、液保持層4の面のうちエアレイド層5と対向している面と反対側の面における太径繊維の先端部の数をコントロールすることができる。詳細には、第1サクションボックス21の吸引の程度を強くすることで、液保持層4の面のうちエアレイド層5と対向している面と反対側の面における太径繊維の先端部の数を多くすることができる。別法として、第1繊維に占める太径繊維の割合を高くすることでも、液保持層4の面のうちエアレイド層5と対向している面と反対側の面における太径繊維の先端部の数を多くすることができる。
図5に示す製造装置10は、繊維を散布するヘッド部を2基備えているが、これに代えて製造装置10は3基以上のヘッド部を備えていてもよい。例えば製造装置10は、コンベアベルト13の周回方向Dに沿って上流側から順に第1ヘッド部、第2ヘッド部及び第3ヘッド部を備えていてもよい。この場合には、ヘッド部の数に対応する第1ないし第3サクションボックスを設置することが好ましい。この構成を有する製造装置を用いる場合には、第1ヘッド部にセルロース系繊維、細径繊維及び太径繊維を含む第1繊維を供給し、第2ヘッド部にセルロース系繊維及び細径繊維を含む第2繊維(ただし、太径繊維は含まない)を供給し、第3ヘッド部に細径繊維及び太径繊維を含む第3繊維(ただし、セルロース系繊維は含まない)を供給することが好ましい。このようにして製造された清掃用シート1は、第1繊維からなる液保持層4と、第3繊維からなる掻き取り層5と、両層4,5間に位置し、両層4,5の中間の繊維組成を有する中間層とを有する構造のものとなる。この場合にも、第1サクションボックス21の吸引の程度を強くすることで、液保持層4の面のうちエアレイド層5と対向している面と反対側の面における太径繊維の先端部の数を多くすることができる。また、第1サクションボックス及び第3サクションボックスの吸引力に比べて、第2サクションボックスの吸引力を弱くすることが好ましい。
図6(a)及び(b)には、本発明の清掃用シート1の別の実施形態が示されている。同図に示す清掃用シート1は、図1ないし4に示す清掃用シートと比べて、液保持層4の構造が相違している。詳細には、図1ないし図4に示す清掃用シートにおいては、液保持層4の表面に存在する太径繊維2の先端部には、研磨粒子が付着していなかったが、本実施形態の清掃用シート1においては、液保持層4の表面に存在する太径繊維2の先端部どうしの間に空間を有し、該空間に研磨粒子6が脱離可能に存在している。そして液保持層4の表面に先端部が存在している太径繊維2は、該先端部を含む先端域に、研磨粒子6が実質的に付着していない状態になっている。研磨粒子6は太径繊維2に接しているが、接着剤などで固定されることなく存在している。研磨粒子6は、液保持層4から脱離可能に前記空間に存在していることが好ましい。研磨粒子6が脱離可能に存在しているとは、清掃用シート1を湿潤させないそのままの状態において、清掃用シート1に振動や折り曲げ等に起因する外力を加えたときに、清掃用シート1の液保持層4から研磨粒子6の少なくとも一部が脱落するような態様で、研磨粒子6が掻き取り層5中に存在していることを言う。
研磨粒子6は、液保持層4の厚み方向の全域にわたって均一に存在していることが好ましい。ただし、液保持層4の最表面を含む表面域には研磨粒子6が実質的に存在していないことが有利である。「表面域」の定義は先に述べたとおりである。また「実質的に存在していない」の定義も、先に述べたとおりである。このような態様で研磨粒子6が存在していることに起因して、清掃対象面の汚れを液保持層4によって除去するときに、該清掃対象面に研磨粒子6が素早く、且つ多量に放出される。その結果、汚れを素早く、且つ確実に除去することを容易に行うことができる。先端域とは、先端部から太径繊維2の直径の5倍以内の深さ領域とする。
本実施形態の清掃用シート1に関し、上述の点以外の特に説明しない点については、図1ないし図4に示す清掃用シートに関して詳述した説明が適宜適用される。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、これまでに説明してきた清掃用シート1は、乾式タイプのものであったが、これに代えて清掃用シート1に水、又は水と界面活性剤とを含む水性洗浄剤を含浸させて、湿式タイプのものとしてもよい。
また前記実施形態においては、掻き取り層5中に研磨粒子6を施すときに、表面が平滑な部材を用い、研磨粒子6を含むスラリーの塗膜に該部材を押し当て、その後に、乾燥した塗膜を繊維シートで拭き取る操作を行ったが、該繊維シートで拭き取る操作は行わなくてもよい。液保持層4に関しても同様である。
更に前記の実施形態においては、太径繊維2に研磨粒子6を付着させたが、該研磨粒子6の使用は必須のものではなく、清掃用シート1の具体的な用途によっては、該研磨粒子6は使用しなくてもよい。
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の清掃用シートを開示する。
<1>
セルロース系繊維及び繊度0.5〜5dtexで且つ繊維長2〜15mmの熱融着性繊維を含む液保持層と、その片面に積層されているエアレイド層とを有する清掃用シートであって、
前記エアレイド層は、熱可塑性繊維を含み、且つ構成繊維どうしの交点が融着しているか又は接着されており、
前記エアレイド層は、繊度が10〜150dtexで且つ繊維長が2〜15mmの太径熱可塑性繊維と、繊度が0.5〜5dtexで且つ繊維長が2〜15mmの細径熱可塑性繊維を含み、
前記エアレイド層の表面に前記太径熱可塑性繊維の先端部が複数存在して、清掃対象面に存する汚れに対する研磨性ないし掻き取り性を有し、
前記液保持層の面のうち前記エアレイド層と対向している面と反対側の面にも、前記太径熱可塑性繊維の先端部が複数存在し、その存在数が前記エアレイド層の表面に存在する前記太径熱可塑性繊維の先端部の存在数よりも少ない、清掃用シート。
<2>
前記液保持層の表面に存在する前記太径熱可塑性繊維の先端部の存在数が、前記エアレイド層の表面に存在する前記太径熱可塑性繊維の先端部の存在数の0.1%以上20%以下である前記<1>に記載の清掃用シート。
<3>
前記太径熱可塑性繊維が10質量%以上含まれている前記<1>又は<2>に記載の清掃用シート。
<4>
清掃用シートに占める前記太径熱可塑性繊維の割合は10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、30質量%以上90質量%以下であることが更に好ましく、50質量%以上90質量%以下であることが更に一層好ましい前記<1>ないし<3>のいずれか1に記載の清掃用シート。
<5>
前記セルロース系繊維及び前記熱融着性繊維を含むウエブにおける構成繊維どうしの交点が融着しているか又は接着しており、それによって前記液保持層が形成されており、
前記液保持層とは別に、前記太径熱可塑性繊維及び前記細径熱可塑性繊維を含むウエブにおける構成繊維どうしの交点が融着しているか又は接着しており、それによって前記エアレイド層が形成されており、
前記液保持層の片面に、前記エアレイド層が積層されており、且つ両層が一体化している前記<1>ないし<4>のいずれか1に記載の清掃用シート。
<6>
前記セルロース系繊維及び前記熱融着性繊維を含むウエブの片面に、前記太径熱可塑性繊維及び前記細径熱可塑性繊維を含むウエブが積層されており、
各ウエブの構成繊維どうしの交点及び両ウエブ間が融着しているか又は接着しており、それによって前記液保持層及び前記エアレイド層が形成されているとともに、該液保持層と該エアレイド層とが一体化している前記<1>ないし<4>のいずれか1に記載の清掃用シート。
<7>
前記エアレイド層は、前記太径熱可塑性繊維どうしの間に空間を有し、該空間に研磨粒子が脱離可能に存在しており、
前記エアレイド層の面のうち前記液保持層と対向する面と反対側の面に先端部が存在している前記太径熱可塑性繊維は、該先端部を含む先端域に、前記研磨粒子が実質的に付着していない前記<1>ないし<6>のいずれか1に記載の清掃用シート。
<8>
前記液保持層及び前記エアレイド層からなる2層構造を有している前記<1>ないし<7>のいずれか1に記載の清掃用シート。
<9>
前記エアレイド層は、その表面に凹凸構造を有している前記<1>ないし<8>のいずれか1に記載の清掃用シート。
<10>
前記エアレイド層は、表面に、菱形格子状の凹部を有している前記<1>ないし<9>のいずれか1に記載の清掃用シート。
<11>
前記エアレイド層は、表面に、菱形格子状の凹部を有しており、
菱形格子状の前記凹部によって取り込まれた領域は、凸部からなり、且つ該凹部よりも密度が低い非融着部となっており、該凹部は非エンボス領域よりも高密度になっている前記<1>ないし<10>のいずれか1に記載の清掃用シート。
<12>
前記エアレイド層は、その表面に凹凸構造を有しており、
凹部のパターン形状は、線状、点状、特定模様の任意の形状である前記<1>ないし<11>のいずれか1に記載の清掃用シート。
<13>
前記エアレイド層は、その表面に凹凸構造を有しており、
凹部の総面積は、清掃用シートの清掃面の面積に対して5%以上50%以下であることが好ましく、10%以上40%以下であることが更に好ましい前記<1>ないし<12>のいずれか1に記載の清掃用シート。
<14>
ミシン目を有している前記<1>ないし<13>のいずれか1に記載の清掃用シート。
<15>
前記太径熱可塑性繊維は短繊維である前記<1>ないし<14>のいずれか1に記載の清掃用シート。
<16>
前記太径熱可塑性繊維が捲縮性を有している前記<1>ないし<15>のいずれか1に記載の清掃用シート。
<17>
前記細径熱可塑性繊維は短繊維である前記<1>ないし<16>のいずれか1に記載の清掃用シート。
<18>
前記エアレイド層の表面に複数の太径熱可塑性繊維が起立して、その先端部が存在している前記<1>ないし<17>のいずれか1に記載の清掃用シート。
<19>
前記太径熱可塑性繊維は、該太径熱可塑性繊維の長手方向がエアレイド層の面内方向を0度とすると、該面内方向と該太径熱可塑性繊維の長手方向とのなす角度が好ましくは30度以上、更に好ましくは45度以上傾斜している、前記<1>ないし<18>のいずれか1に記載の清掃用シート。
<20>
セルロース系繊維は親水性繊維である前記<1>ないし<19>のいずれか1に記載の清掃用シート。
<21>
前記<1>ないし<20>のいずれか1に記載の清掃用シートの複数枚が積層された積層体が、包装材内に収容されている清掃用シート包装体。
<22>
前記包装材は、前記清掃用シートを該包装材内から取り出すための開口部と、該開口部を閉鎖するリシール可能な閉鎖部材とを備えている前記<21>に記載の清掃用シート包装体。
<23>
前記清掃用シートにおける前記液保持層の側が上方を向くように、複数枚の該清掃用シート1が積み上げられている前記<21>又は<22>に記載の清掃用シート包装体。
1 清掃用シート
2 太径繊維
2A 先端域
3 親水性繊維
4 液保持層
5 エアレイド層(掻き取り層)
5A 表面域
6 研磨粒子

Claims (6)

  1. セルロース系繊維及び繊度0.5〜5dtexで且つ繊維長2〜15mmの熱融着性繊維を含む液保持層と、その片面に積層されているエアレイド層とを有する清掃用シートであって、
    前記エアレイド層は、熱可塑性繊維を含み、且つ構成繊維どうしの交点が融着しているか又は接着されており、
    前記エアレイド層は、繊度が10〜150dtexで且つ繊維長が2〜15mmの太径熱可塑性繊維と、繊度が0.5〜5dtexで且つ繊維長が2〜15mmの細径熱可塑性繊維を含み、
    前記エアレイド層の表面に前記太径熱可塑性繊維の先端部が複数存在して、清掃対象面に存する汚れに対する研磨性ないし掻き取り性を有し、
    前記液保持層の面のうち前記エアレイド層と対向している面と反対側の面にも、前記太径熱可塑性繊維の先端部が複数存在し、その存在数が前記エアレイド層の表面に存在する前記太径熱可塑性繊維の先端部の存在数よりも少ない、清掃用シート。
  2. 前記液保持層の表面に存在する前記太径熱可塑性繊維の先端部の存在数が、前記エアレイド層の表面に存在する前記太径熱可塑性繊維の先端部の存在数の0.1%以上20%以下である請求項1に記載の清掃用シート。
  3. 前記太径熱可塑性繊維が10質量%以上含まれている請求項1又は2に記載の清掃用シート。
  4. 前記セルロース系繊維及び前記熱融着性繊維を含むウエブにおける構成繊維どうしの交点が融着しているか又は接着しており、それによって前記液保持層が形成されており、
    前記液保持層とは別に、前記太径熱可塑性繊維及び前記細径熱可塑性繊維を含むウエブにおける構成繊維どうしの交点が融着しているか又は接着しており、それによって前記エアレイド層が形成されており、
    前記液保持層の片面に、前記エアレイド層が積層されており、且つ両層が一体化している請求項1ないし3のいずれか一項に記載の清掃用シート。
  5. 前記セルロース系繊維及び前記熱融着性繊維を含むウエブの片面に、前記太径熱可塑性繊維及び前記細径熱可塑性繊維を含むウエブが積層されており、
    各ウエブの構成繊維どうしの交点及び両ウエブ間が融着しているか又は接着しており、それによって前記液保持層及び前記エアレイド層が形成されているとともに、該液保持層と該エアレイド層とが一体化している請求項1ないし3のいずれか一項に記載の清掃用シート。
  6. 前記エアレイド層は、前記太径熱可塑性繊維どうしの間に空間を有し、該空間に研磨粒子が脱離可能に存在しており、
    前記エアレイド層の面のうち前記液保持層と対向する面と反対側の面に先端部が存在している前記太径熱可塑性繊維は、該先端部を含む先端域に、前記研磨粒子が実質的に付着していない、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の清掃用シート。
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