図1及び図2は本発明を適用した汎用コンバインの平面図及び左側面図である。図示する汎用コンバインは、稲や麦や豆類等の作物の刈取作業を行うものであり、該汎用コンバインは、左右一対のクローラ式走行装置1,1を有する走行機体2と、走行機体2の前方に昇降自在に連結された刈取部3と、左右方向に延びる筒状のリール4と、該リール4を昇降及び前後動可能に刈取部3側に支持する可動機構6とを備えている。
上記刈取部3は、後側半部のフィーダ7及び前側半部の刈取フレーム8を一体的で備え、刈取フレーム8の左右の側壁からは前方に向かって分草体9が突出され、刈取フレーム8の左右の側壁間における下部且つ後部には、左右方向に延びる円柱状の掻込オーガ11が軸回りに回転駆動可能に支持され、該掻込オーガ11の前方には、左右方向のレシプロ式の刈刃12が設置されている。ちなみに、平面視刈取フレーム8の左右の側壁間に前記リール4が位置している。
フィーダ7は、刈取った作物の穀稈を後方搬送する前後方向のフィーダコンベア13を備え、全体が後述する走行機体2側の操縦部14の側方に位置しており、このフィーダ7の後端部が走行機体2の前部に支持されている他、刈取フレーム8は操縦部14の前側からフィーダ7の前側に至る左右範囲に形成されている。
この刈取部3と、走行機体2の前部との間には、伸縮作動によって該刈取部3を走行機体2に対して昇降させる油圧式のリフトシリンダ(刈取部昇降アクチュエータ)16が設けられている。このリフトシリンダ16を伸張作動させることにより、刈取部3が走行機体2に対して上昇する一方で、リフトシリンダ16を縮小作動させることにより、刈取部3が走行機体2に対して下降する。
上記リール4は、軸回りに回転駆動される回動軸17と、該回動軸17と一体回転する側面視多角形状(図示する例では6角形状)の左右一対のサイドフレーム18,18とを備え、互いに離間した状態で平行に対向配置された左右一対のサイドフレーム18,18の頂点部分同士をそれぞれ左右方向の横フレーム19によって連結固定することにより、周囲及び左右両側方が内外で連通し且つ内部が空洞となる角柱状に成形されている。また、回転軸17の軸回りに所定間隔毎に配置された各横フレーム19には、下降突出するリールタイン21が所定間隔毎に複数配置されている。
回転するリール4によって掻込まれた圃場の作物の穀稈は、左右に往復スライド駆動される刈刃12によって刈取られ、掻込オーガ11によってフィーダ7側に掻込まれる。フィーダ7側に導入された作物の穀稈は、フィーダコンベア13によって走行機体2側まで後方搬送される。
上記走行機体2の左側半部には、刈取った稲や麦等の穀稈の脱穀処理を行うとともに該脱穀処理された処理物から籾等の穀粒を選別する脱穀部22が設置され、走行機体2の右側半部には、脱穀部22からの穀粒を蓄えるグレンタンク23が配設され、グレンタンク23の前方には、オペレータが乗込む前記操縦部14が設置されている。
上記可動機構6は、フィーダ7に前後揺動自在に支持された左右一対の進退アーム37,37と、各進退アーム37に上下揺動自在に支持された昇降アーム38と、各進退アーム37とフィーダ7との間に配置されて伸縮作動により進退アーム37を前後揺動させる油圧式の進退シリンダ(リール前後移動アクチュエータ)39と、各昇降アーム38と刈取フレーム8との間に配置されて伸縮作動により昇降アーム38を上下揺動駆動させる油圧式の昇降シリンダ(リール昇降アクチュエータ)41とを備えている。
各進退アーム37は、下端側がフィーダ7側に支持される支持端になり、各昇降アーム38は、後端側が進退アーム37の上端側に支持される支持端になり、この左右の昇降アーム38,38の先端部間に左右方向のリール4が回転軸17により回転自在に軸支されている。
そして、進退シリンダ39の伸長作動によって進退アーム37を前方揺動させることにより、リール4が刈取部3に対して前進する一方で、進退シリンダ39の縮小作動によって進退アーム37を後方揺動させることにより、リール4が刈取部3に対して後退し、さらに、昇降シリンダ41の伸長作動によって昇降アーム38を上方揺動させることにより、リール4が刈取部3に対して上昇する一方で、昇降シリンダ41の縮小作動によって昇降アーム38を下方揺動させることにより、リール4が刈取部3に対して下降する。
図3は刈取部を走行機体に対して下降させ且つリールを刈取部に対して上昇させた状態を示す汎用コンバインの側面図であり、図4は刈取部を走行機体に対して上昇させ且つリールを刈取部に対して下降させた状態を示す汎用コンバインの側面図である。上述したリフトシリンダ16及び昇降シリンダ41によって、本汎用コンバインは、刈取部3を走行機体2に対して最下げ位置(刈取下降位置)に下降させた状態のまま、リール4のみを刈取部3に対して最上げ位置(リール上昇位置)に上昇させることもでき(図3参照)、さらに、リール4を刈取部3に対して最下げ位置(刈取下降位置)に下降させた状態のまま、刈取部3を走行機体2に対して最上げ位置(リール上昇位置)に上昇させることも可能になる(図4参照)。
次に、図5乃至図7に基づき操縦部の構成を説明する。
図5は、操縦部の斜視図である。操縦部14は、オペレータが着座する座席46(図1乃至図3参照)と、座席46の側方に配置された変速レバー47と、座席46の前方に配置されたマルチステアリングレバー48と、変速レバー47の後方に配置されたスイッチパネル49と、変速レバー47の前方且つマルチステアリングレバー48の側方に配置された刈高さ設定ダイヤル51とを備えている。
上記変速レバー47は、走行HSTをニュートラル状態とする前後中立位置から左右一方側への揺動によって、該中立位置からの前方揺動が可能になる一方で、中立位置からの左右他方側への揺動によって、該中立位置からの後方揺動が可能になる。これにより、前後進の増速操作を行う。
上記刈高さ設定ダイヤル51は、押し操作可能且つダイヤル操作可能に構成され、刈高さ設定ダイヤル51のダイヤル操作によって刈取作業時の刈取部3の昇降高さが設定される。
図6は、マルチステアリングレバーの背面図である。上記マルチステアリングレバー48は、前後揺動によって、リフトシリンダ16を介した刈取部3の昇降手動操作を行うとともに、左右揺動によって車体の操向操作を行う。
具体的には、マルチステアリングレバー48を前後中立位置から前方揺動させることにより、リフトシリンダ16を縮小作動させる刈取部3の下降操作を行い、マルチステアリングレバー48を前後中立位置から後方揺動させることにより、リフトシリンダ16を伸張作動させる刈取部3の上昇操作を行う一方で、マルチステアリングレバー48を左右中立位置から左側に揺動させることにより、左右のクローラ式走行装置1L,1Rの右側を左側に対して高速走行駆動させて車体を左側に旋回させる左旋回操作を行い、マルチステアリングレバー48を中立位置から右側に揺動させることにより、左右のクローラ式走行装置1L,1Rの左側を右側に対して高速走行駆動させて車体を右側に旋回させる右旋回操作を行う。
すなわち、マルチステアリングレバー48は、刈取部3を走行機体2に対して昇降させる刈取部昇降操作手段であるとともに、走行機体2の操向操作手段でもある。
また、マルチステアリングレバー48上端部の背面側における左右一方側にはリール昇降操作手段52が設けられ、左右他方側にはリール前後移動操作手段53が設けられている他、マルチステアリングレバー48上端部の正面側にはモーメンタリ式のトリガースイッチ54が設置されている。
具体的には、リール昇降操作手段52として、リール4を刈取部3に対して上昇操作するモーメンタリ式のリール上昇スイッチ52Aと、リール4を刈取部3に対して下降操作するモーメンタリ式のリール下降スイッチ52Bとが上下に設けられ、リール前後移動操作手段53として、リール4を刈取部3に対して前進操作するモーメンタリ式のリール前進スイッチ53Aと、リール4を刈取部3に対して後退操作するモーメンタリ式のリール後退スイッチ53Bとが上下に設けられている。
上記構成のマルチステアリングレバー48によれば、昇降操作に応じて刈取部3が昇降作動するため、刈取部3を任意の昇降位置に操作することができる。また、リール上昇スイッチ52Aとリール下降スイッチ52Bの押操作に応じてリール4が昇降作動するため、リール4の刈取部3に対する高さ位置を任意の昇降位置に設定することができる。
図7は、スイッチパネルの平面図である。スイッチパネル49には、走行機体2に対して刈取部3が予め定めた所定高さ(刈取停止位置)以上に上昇した場合に、刈取クラッチの切断によって、リール4及び刈取部3の駆動を停止させるリフトシャット制御を実行するか否かを切換えるリフトシャットスイッチ56と、リール4の回転速度を設定(変速操作)するリール回転設定ダイヤル57とを備えている。
以上のような、操縦部14側の各種操作具による各部の操作や制御は、マイコン等からなる制御部83(図11参照)によって行われる。
次に、図8乃至図14に基づき、制御部60の構成を説明する。
図11は、制御部のブロック図である。制御部83の出力側には、上述したリフトシリンダ(リフト昇降アクチュエータ)16、昇降シリンダ(リール昇降アクチュエータ)41、進退シリンダ(リール前後アクチュエータ)39とが接続されている。
制御部83の入力側には、上述したトリガースイッチ54、リール上昇スイッチ52A、リール下降スイッチ52B、リール前進スイッチ53A、リール後退スイッチ53B,刈高さ設定ダイヤル51、リール回転設定ダイヤル57の他に、マルチステアリングレバー48の左右揺動位置を検出するポテンショメータであるマルチレバー操向センサ61と、マルチレバー48の前後揺動位置を検出するポテンショメータであるマルチレバーリフトセンサ62と、刈取部3の走行機体に対する相対的な昇降高さを検出するポテンショメータであるリフト昇降センサ63(刈取高さ検出手段)と、リール4の刈取部3の対する相対的な昇降高さを検出するポテンショメータであるリール昇降センサ(リール高さ検出手段)64と、リール4の刈取部3に対する相対的な前後位置を検出するポテンショメータであるリール前後センサ66と、リール4の回転速度を検出するリール回転センサ67と、走行機体の走行速度(車速)を検出する車速センサ(車速検出手段)68とが接続されている。
上記入出力を有する制御部60は、マルチレバーリフトセンサ62からの検出値に基づき、リフトシリンダ16を介して、刈取部3を走行機体に対して昇降駆動させる刈取部手動制御(手動制御)を実行する。
また、制御部60は、リール上昇スイッチ52A及びリール下降スイッチ52Bからの検出値に基づき、昇降シリンダ41を介してリール4を刈取部3に対して昇降させるとともに、リール前進スイッチ53A及びリール後退スイッチ53Bからの検出値に基づき、進退シリンダ39を介してリール4を刈取部3に対して前後移動させるリール手動制御(手動制御)を実行する。
また、制御部60は、リフトシャットスイッチ56の押し操作毎に、リフトシャット制御の実行と実行停止とを切換える。該リフトシャット制御によれば、下降位置に操作されて作業駆動していた刈取部3が、予め定めた高さ位置である駆動停止位置まで上昇作動されると、自動的に刈取部3の駆動を停止させることができる。該駆動停止位置は、前記刈取上昇位置よりも低い高さに設定される。
さらに、制御部60は、マルチステアリングレバー48やトリガースイッチ54(開始操作手段)による開始操作に起因して、後述する刈取部3及びリール4の自動昇降制御(自動制御)を適宜実行する。具体的には、刈取部3を予め定めた上昇側の昇降高さである前記刈取上昇位置に上昇させるとともに、掻込リール4を予め定めた下降側のリール高さである前記リール下降位置に下降させる自動上昇制御と、該自動上昇制御によって刈取上昇位置に操作された刈取部3を、予め定めた前記刈取下降位置に下降させるとともに、掻込リール4を自動上昇制御実行前のリールの高さ位置である復帰高さに上昇させる自動下降制御と、自動上昇制御の実行後の、マルチステアリングレバー48による刈取部3の下降操作によって、リール昇降スイッチ52Aを別途操作することなく、掻込リール4を復帰高さまで上昇作動させる自動復帰制御とを実行することができる。以下、自動昇降制御について説明する。
図9は、制御部のメインフロー図である。制御部60は、処理が開始されると、メインルーチンの処理を開始し、ステップS1に進む。ステップS1では、自動昇降制御(自動制御)の実行のためのサブルーチン処理を行い、ステップS2に進む。ステップS2では、上昇フラグのON・OFFが判定され、上昇フラグがOFFの場合にはステップS3に進む一方で、上昇フラグがONの場合には処理を戻す。
ステップS3では、待機フラグのON・OFFが判定され、待機フラグがOFFの場合には、ステップS4に進む一方で、待機フラグがONの場合には処理を戻す。ステップS4では、下降フラグのON・OFFが判定され、下降フラグがOFFの場合には、ステップS5に進む一方で、下降フラグがONの場合には処理を戻す。
ステップS5では、復帰フラグのON・OFFが判定され、復帰フラグがOFFの場合にはステップS6に進む一方で、復帰フラグがONの場合には処理を戻す。ステップS6では、手動昇降制御のサブルーチンを実行し、その後、処理を戻す。
すなわち、前記自動上昇制御、待機制御、自動下降制御、自動復帰制御からなる自動制御が、刈取部3及び掻込リール4の手動制御よりも優先して実行される。
図10は、自動制御を実行するための処理フロー図であり、図11は、自動制御における自動上昇制御を示す処理フロー図であり、図12は、自動制御における待機制御を示す処理フロー図であり、図13は、自動制御における自動下降制御を示す処理フロー図であり、図14は、自動復帰制御を示す処理フロー図である。
自動制御の処理が開始されると、ステップS11に進む。ステップS11では、上昇フラグのON・OFFが判定され、上昇フラグがOFFの場合には、ステップS12に進む。ステップS12では、待機フラグのON・OFFが判定され、待機フラグがOFFの場合には、ステップS13に進む。ステップS13では、下降フラグのON・OFFが判定され、下降フラグがOFFの場合には、ステップS14に進む。ステップS14では、復帰フラグのON・OFFが判定され、復帰フラグがOFFの場合には、ステップS15に進む。
ステップS15では、マルチレバーリフトセンサ62により刈取部3を上昇させる前処理上昇操作がされたか否かを検出し、前処理上昇操作が検出された場合にはステップS16に進む。ステップS16では、トリガースイッチ54がON操作されているか否かが検出され、トリガースイッチがON操作されている場合には、ステップS17に進む。
ステップS17では、上昇フラグをONにセットするとともに、その時点でのリールの高さを復帰高さとして記憶装置60aに記憶させ、その後、メインフローに処理を戻す。また、ステップS15において、前処理上昇操作が検出されなかった場合には、その後、メインフローに処理を戻とともに、ステップS16において、トリガースイッチ54がOFF状態であった場合には、その後、メインフローに処理を戻す。
すなわち、トリガースイッチ54を押し(ON)操作しつつ、マルチステアリングレバー48による刈取部を上昇させる前処理上昇操作が1回行われた場合には、上昇フラグがONにセットされる。
言い換えると、圃場での作業走行等によって刈取部3が下降位置に位置するとともに、掻込リール4が上昇位置に位置した、通常の刈取作業状態(自動昇降制御が実行されていない状態)において、トリガースイッチ54をON操作しつつ、マルチステアリングレバー48を刈取部3上昇側に操作すること(自動上昇開始操作)によって、上昇フラグがセットされ、自動上昇制御が実行される。
次に、ステップS11において、上昇フラグがONの場合には、ステップS21に進み、自動昇降制御が実行される(図11参照)。ステップS21では、リール昇降センサ64により掻込リール4の高さが予め定めたリール下降位置に操作されているか否かが検出され、掻込リール4が下降位置の場合には、ステップS22に進む。ステップS22では、リール昇降アクチュエータ41によるリール4の下降を停止させ、ステップS23に進む。
ステップS23では、リフト昇降センサ63により刈取部3が予め定めた刈取上昇位置に操作されているか否かが検出され、刈取部3が刈取上昇位置に操作されている場合にはステップS24に進む。ステップS24では、刈取部3の上昇作動を停止させて、ステップS25に進む。ステップS25では、上昇フラグをOFFにセットするとともに、待機フラグをONにセットし、その後、メインフローに処理を戻す。
ステップS23において、リフト昇降センサ63により刈取部3が刈取上昇位置でない場合、具体的には、刈取昇降位置より低い位置の場合には、ステップS26に進み、リフト昇降アクチュエータ16により刈取部3を上昇作動させ、その後、メインフローに処理を戻す。
ステップS21において、リール昇降センサ64により掻込リール4の高さ位置がリール下降位置でない場合、具体的には、掻込リール4がリール下降位置よりも高い場合には、ステップS27に進み、ステップS27では、リール昇降アクチュエー41により掻込リール4を下降作動させ、その後、メインフローに処理を戻す。
すなわち、自動上昇開始操作によって、自動上昇制御が実行されると、まず掻込リール4がリール下降位置まで下降作動し、その後、刈取部3の上昇作動が開始される。刈取部3が最上昇位置である刈取上昇位置まで上昇されると、上昇フラグがOFFにセットされ、自動上昇制御が終了するとともに、後述の待機フラグがONにセットされて待機制御が実行される。なお、掻込リール4の下降と刈取部3の上昇が同時に作動開始する構成であっても良い。
次に、ステップS12において、待機フラグがONの場合には、ステップS31に進み、待機制御が実行される(図12参照)。ステップS31では、マルチレバーリフトセンサ62により、刈取部3の下降操作がされたか否かが検出され、刈取部3が下降操作が検出された場合には、ステップS32に進む。ステップS32では、待機フラグがOFFにセットされ、ステップS33に進む。
ステップS33では、トリガースイッチ54のON・OFFが検出され、トリガースイッチ54がON操作されている場合には、ステップS34に進み、下降フラグがONにセットされ、その後、メインフローに処理を戻す。その一方で、ステップS33において、トリガースイッチ54がOFF状態の場合には、ステップS35に進み、復帰フラグがONにセットされ、その後、メインフローに処理を戻す。
ステップS31において、刈取部3の下降操作が検出されなかった場合には、その後、メインフローに処理を戻す。
すなわち、待機制御が実行されると、マルチステアリングレバー48による刈取部3の下降操作が検出されることで、該待機制御が解除される。このとき、待機状態からトリガースイッチ54の押操作(ON操作)をしつつ、マルチステアリングレバー48による刈取部3を下降させる操作(自動下降開始操作)がされたことが検出された場合には、下降フラグがONにセットされ、以下、自動下降制御が実行される。その一方で、トリガースイッチ54の押操作が検出されず、マルチステアリングレバー48による待機状態からの刈取部3の下降操作のみ(自動復帰制御開始操作)が検出された場合には、復帰フラグがONにセットされ、以下、自動復帰制御が実行される。
ステップS13において、下降フラグがONの場合には、ステップS41に進み、自動下降制御が実行される(図13参照)。ステップS41では、リフト昇降センサ63により、刈取部3の高さ位置がリフトシャット制御に用いられる前記駆動停止位置以下か否かが検出され、駆動停止位置以下の場合には、ステップS42に進む。ステップS42では、リフト昇降センサ63により、刈取部3の高さ位置が予め定めた刈取下降位置にあるか否かが検出され、刈取部3が刈取下降位置にある場合には、ステップS43に進む。
ステップS43では、リール昇降センサ64により掻込リール4の高さ位置が前記記憶装置60aで記憶した掻込リール4の復帰高さ、すなわち、自動上昇制御実行時の掻込リール4の高さ位置にあるか否かが検出され、リール4が復帰高さにある場合には、ステップS44に進む。ステップS44では、刈取部3の下降作動を停止し、掻込リール4の上昇作動を停止し、下降フラグをOFFにセットした上で、その後、メインフローに処理を戻す。
ステップS43において、掻込リール4が復帰高さでない場合、言い換えると、復帰高さよりも低い場合には、ステップS45に進む。ステップS45では、刈取部3の下降作動を停止するとともに、リール昇降アクチュエータ41により掻込リール4を上昇作動させ、その後、メインフローに処理を戻す。
ステップS42において、刈取部3が刈取下降位置まで下降していない場合には、ステップS46に進む。ステップS46では、掻込リール4の高さ位置が前記復帰位置まで上昇されているか否かが検出され、掻込リール4が復帰高さまで上昇されている場合には、ステップS47に進む。ステップS47では、リフト昇降アクチュエータ16により刈取部3が下降作動されるとともに、掻込リール4の上昇駆動が停止され、その後、メインフローに処理を戻す。
ステップS46において、掻込リール4の高さ位置が復帰高さでない場合、言い換えると、掻込リール4が復帰高さよりも低い位置の場合には、ステップS48に進む。ステップS48では、刈取部3がリフト昇降アクチュエータ16により下降作動されるとともに、掻込リール4がリール昇降アクチュエータ41により上昇駆動され、その後、メインフローに処理を戻す。
ステップS41において、刈取部3の高さ位置が駆動停止位置より高いことが検出された場合には、ステップS49に進む。ステップS49では、リフト昇降アクチュエータ16により刈取部3が下降作動するとともに、掻込リール4の上昇作動を停止し、その後、メインフローに処理を戻す。
すなわち、前記自動下降開始操作が一度検出されることで、自動下降制御が実行され、自動上昇制御によって刈取上昇位置に操作された刈取部3が刈取下降位置まで自動的に下降作動するとともに、前記リール下降位置にある掻込リール4を復帰高さ位置まで上昇作動させることができる。
このとき、自動下降制御が実行されると、まず刈取昇降アクチュエータ16による刈取部3の下降作動が開始され、刈取部3がリフトシャット制御で用いられる前記刈取駆動位置以下になったことが検出されたときに、リール昇降アクチュエータ41による掻込リール4の上昇作動が開始されるように構成されている。また、刈取部3は、刈取下降位置まで下降作動されると刈取部の下降作動が停止するとともに、復帰高さまで掻込リール4が上昇作動されると、掻込リール4の上昇作動が停止する。
該構成によれば、刈取部3が下降停止位置に操作されてから掻込リール4を復帰高さに向けて上昇させる場合と比較して、スムーズに刈取作業を再開することができる。
ステップS14において、復帰フラグがONの場合には、ステップS51に進み、自動復帰制御が実行される(図14参照)。ステップS51では、マルチレバーリフトセンサ62により、刈取部3の下降操作の有無が検出され、刈取部下降操作が検出された場合には、ステップ52に進む。ステップS52では、リフト昇降センサ63により、刈取部3の高さ位置が前記駆動停止位置以下か否かが検出され、刈取部3が予め定められた駆動停止位置以下の高さの場合には、ステップS53に進む。
また、ステップS53では、リフト昇降センサ64により、刈取部3の高さ位置が刈取下降位置か否かが検出され、刈取下降位置であることが検出された場合には、ステップS54に進む。
ステップS54では、リール昇降センサ64により、掻込リール4の高さ位置が記憶装置60aに記憶された復帰高さか否かが検出され、掻込リール4が復帰高さまで上昇されたことが検出された場合には、ステップS55に進む。
ステップS55では、刈取昇降アクチュエータ16による刈取部3の下降作動を停止し、リール昇降アクチュエータ41による掻込リール4の上昇作動を停止し、復帰フラグをOFFにセットし、その後、メインフローに処理を戻す。
ステップS54において、掻込リール4の高さ位置が復帰高さでない場合、言い換えると、掻込リール4の高さ位置が復帰高さより低いことが検出された場合には、ステップS56に進む。ステップS56では、リール昇降アクチュエータ41によりリールを上昇作動し、刈取昇降アクチュエータ16による刈取部3を下降作動を停止し、その後、メインフローに処理を戻す。
ステップS53において、刈取部3の高さ位置が刈取下降位置でない場合、言い換えると、刈取下降位置よりも高い位置にあることが検出された場合には、ステップS57に進む。ステップS57では、リール昇降センサ64により、掻込リール4の高さ位置が記憶装置60aに記憶された復帰高さか否かが検出され、掻込リール4が復帰高さまで上昇されたことが検出された場合には、ステップS58に進む
ステップS58では、刈取昇降アクチュエータ16によって刈取部3を下降作動し、リール昇降アクチュエータ41による掻込リール4の上昇作動を停止し、復帰フラグをOFFにセットし、その後、メインフローに処理を戻す。
ステップS57において、掻込リール4の高さ位置が復帰高さでない場合、言い換えると、掻込リール4の高さ位置が復帰高さより低いことが検出された場合には、ステップS59に進む。ステップS59では、リール昇降アクチュエータ41により掻込リール4を上昇作動させ、刈取昇降アクチュエータ16によって刈取部3を下降作動し、その後、メインフローに処理を戻す。
ステップS52において、刈取部3の高さ位置が駆動停止位置よりも高いことが検出された場合には、ステップS60に進み、掻込リール4の上昇作動は停止するとともに、刈取昇降アクチュエータ16により刈取部3が下降作動し、その後、メインフローに処理を戻す。
ステップS51において、マルチステアリングレバー48による刈取部3の下降操作が検出されなかった場合には、その後、メインフローに処理を戻す。
すなわち、前記自動復帰開始操作が検出されて、自動復帰制御が実行されると、マルチステアリングレバー48による刈取部3の下降作動側への操作が検出されている間は、刈取部3が刈取上昇位置から下降作動し、該刈取部3が駆動停止位置以下になると、マルチステアリングレバー48による刈取部3の下降操作に連動して、掻込リール4のリール下降位置から復帰位置への上昇作動も同時に実行される。
これによれば、刈取上昇位置にある刈取部3と、リール下降位置にある掻込リール4とを、マルチステアリングレバー48による刈取部3の下降操作のみで、リール上昇スイッチ52Aを操作することなく、刈取部3の下降作動と、掻込リール4の復帰位置への上昇作動とを操作することができ、掻込リール4が復帰位置まで上昇作動されると、復帰フラグがOFFにセットされて自動復帰制御が終了する。掻込リール4が復帰位置まで上昇された後は、通常の手動制御によって、マルチステアリングレバー48の昇降操作によって刈取部3が昇降作動される。
そのため、自動復帰制御によれば、自動下降制御と異なり、刈取部3を刈取下降位置まで下降させることなく、掻込リール4を上昇作動させることができるとともに、刈取部3の下降位置を任意に調整することができる。また、この操作を行う上で別途に掻込リール4の上昇操作が必要ないため、操作性も向上する。
ちなみに、前記自動昇降制御を実行する開始操作手段は、マルチステアリングレバー48とトリガースイッチ54による上述の開始操作に限定されず、押操作を繰返すことで自動昇降制御を切換える単一の切換操作具や、自動上昇制御や自動下降制御を実行するスイッチ操作具を設けた構成としても良い。