以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
以下に、本発明にかかる実装装置関連情報管理システム(情報管理システム)の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
[情報管理システム]
図1は、実装装置関連情報管理システムの概略構成を示す模式図である。実装装置関連情報管理システム(以下、単に情報管理システムとも言う。)100は、電子部品実装装置に関連する情報を管理するシステムである。具体的には、情報管理システム100は、電子部品実装装置の製造元である製造メーカと、製造メーカから委託等により、各地で電子部品実装装置を販売し、保守する代理店及び関連会社と、電子部品実装装置を使用して基板を生産する使用者と、の間で電子部品実装装置に関連する情報を管理するシステムである。本実施形態の情報管理システム100は、リード線を有し、当該リード線が、基板の基板孔(挿入穴、穴)に挿入されることで、基板に実装される電子部品、いわゆる挿入型電子部品及び挿入型電子部品を実装する電子部品実装装置を管理の対象としている。つまり、情報管理システム100が管理する電子部品実装装置は、挿入型電子部品を実装する機能を備えている。なお、情報管理システム100は、基板上に搭載される搭載型電子部品及び搭載型電子部品を実装する電子部品実装装置を管理の対象に含めることもできる。
情報管理システム100は、製造メーカ端末104と、サーバ106と、共有サーバ(管理サーバ)108と、代理店端末110A、110B、110Cと、関連会社端末112と、使用者端末120と、ゲートウェイ130と、を有する。なお、製造メーカ端末104と、サーバ106と、共有サーバ108と、代理店端末110A、110B、110Cと、関連会社端末112と、多数の使用者端末120と、ゲートウェイ130と、の数は、本実施形態に限定されない。
情報管理システム100の製造メーカ端末104と、サーバ106と、共有サーバ108と、代理店端末110A、110B、110Cと、関連会社端末112とは、ネットワーク102を介して有線、無線で接続されている。ネットワーク102は、公衆回線網等の通信回線網であり、接続されている各通信機器間でデータの送受信を行う。
製造メーカ端末104は、製造メーカに配置されている。製造メーカ端末104は、パーソナルコンピュータ(Personal computer)等の演算装置であり、CPU等を有し演算処理を行う制御部104aと、ROM、RAM等の記録装置を有し制御プログラムやデータを記憶する記憶部104bと、キーボード、マウス等を有し、ユーザにより操作が入力される操作部104c、液晶ディスプレイ等を有し、操作画面や計算結果を表示させる表示部104dと、ゲートウェイ130を介してネットワーク102と接続し、データの送受信を行う通信部104eと、を有する。
サーバ106は、製造メーカが所有する機器であり、電子部品実装装置に関する各種情報が記憶されている。サーバ106は、製造メーカ端末104に接続されている。なお、サーバ106は、ネットワーク102には直接接続されていない。サーバ106は、ゲートウェイ130よりもネットワーク102側からはアクセスできないように設定されている。つまり、サーバ106は、記憶しているデータを製造メーカ端末104で閲覧することができるが、代理店端末110A、110B、110Cや関連会社端末112で閲覧することができない。
共有サーバ108は、ゲートウェイ130を介してネットワーク102に接続している。共有サーバ108は、情報管理システム100の各部から供給された情報を記憶し、入力された情報を解析して、解析結果を出力する機器である。共有サーバ108の構成については後述する。
代理店端末110A、110B、110Cは、各地の代理店にそれぞれ配置されたパーソナルコンピュータ等の演算装置であり、製造メーカ端末104と同様に各部を備えている。代理店端末110A、110B、110Cは、ネットワーク102に接続されており、共有サーバ108と通信することができる。代理店端末110A、110B、110Cは、共有サーバ108と情報の送受信を行う。
関連会社端末112は、関連会社に配置されたパーソナルコンピュータ等の演算装置であり、製造メーカ端末104と同様に各部を備えている。関連会社端末112は、ネットワーク102に接続されており、共有サーバ108と通信することができる。関連会社端末112は、共有サーバ108と情報の送受信を行う。
情報管理システム100は、代理店端末110A、110B、110C及び関連会社端末112のそれぞれに対して複数の使用者端末120が配置されている。ここで、代理店端末110Aを所有する代理店の商圏111Aに含まれる使用者端末120は、代理店端末110Aとデータの送受信を行う。代理店端末110Bを所有する代理店の商圏111Bに含まれる使用者端末120は、代理店端末110Bとデータの送受信を行う。代理店端末110Cを所有する代理店の商圏111Cに含まれる使用者端末120は、代理店端末110Cとデータの送受信を行う。関連会社端末112を所有する関連会社の商圏111Dに含まれる使用者端末120は、関連会社端末112とデータの送受信を行う。なお、代理店、関連会社に所属する人員は、それぞれ自社の商圏111A〜111Dにあり、使用者端末120の所有者に対して、電子部品実装装置を販売したり、販売した電子部品実装装置を保守したりする。したがって、使用者端末120の所有者は、工場や施設に電子部品実装装置を備えている。使用者端末120は、電子部品実装装置の動作を制御したり、稼動情報を収集したりする。
使用者端末120は、含まれる商圏の代理店端末110A〜110C、関連会社端末112とデータの送受信を行うことで、データの授受を行う。使用者端末120と代理店端末110A〜110C、関連会社端末112との間でデータを授受する方法としては、種々の方法を用いることができる。使用者端末120は、ネットワーク102に接続され、ネットワーク102を介して、代理店端末110A〜110C、関連会社端末112と接続し、ネットワーク102を介して、データの授受を実行してもよい。使用者端末120は、ネットワーク102と接続している場合、共有サーバ108と通信することもできる。また、使用者端末120は、専用の通信回線で代理店端末110A〜110C、関連会社端末112と接続し、専用の通信回線を介して、データの授受を実行してもよい。また、使用者端末120は、代理店端末110A〜110C、関連会社端末112と通信回線を介して接続せず、記録媒体を用いて、データの授受を実行してもよい。
ゲートウェイ130は、ネットワーク102と製造メーカ端末104とを接続する通信回線に配置されている。別のゲートウェイ130は、ネットワーク102と共有サーバ108とを接続する通信回線に配置されている。ゲートウェイ130は、通信を接続する機器であり、ネットワーク102と製造メーカ端末104との間の通信、ネットワーク102と共有サーバ108と間の通信を監視し、必要に応じて通信を遮断する。具体的には、ゲートウェイ130は、通信回線を通過するデータを解析し、製造メーカ端末104または共有サーバ108に不正なアクセスが行われることを抑制する。なお、図1では図示を省略したが、情報管理システム100のネットワーク102に接続される代理店端末110A、110B、110C、関連会社端末112、使用者端末120は、製造メーカ端末104及び共有サーバ108と同様にゲートウェイ130を介して接続される。
情報管理システム100は、以上のような構成である。情報管理システム100は、各端末から共有サーバ108に各種情報が供給される。これにより、共有サーバ108は、電子部品実装装置に関連する各種情報を集約することができる。例えば、製造メーカは、製造メーカ端末104からサーバ106に記憶されている電子部品実装装置の本体の情報や、製造したフィーダの情報、計測した電子部品の情報等を供給する。代理店、関連会社は、自身の商圏111Aから111Dにある使用者端末120から取得した情報を共有サーバ108に供給する。情報管理システム100は、使用者端末120が直接ネットワーク102を介して情報を共有サーバ108に供給することもできる。また、情報管理システム100は、共有サーバ108に記憶された情報を必要に応じて加工し、各端末に供給することもできる。この点については後述する。
情報管理システム100は、共有サーバ108を設けることで、製造メーカが機密情報をサーバ106に保持したまま、必要な情報を共有することができる。また、代理店、関連会社、使用者も同様に、供給可能な情報のみ共有サーバ108に共有し、機密情報は、各自で保管することができる。これにより、機密情報のセキュリティ性を維持することができる。なお、情報管理システム100は、本実施形態のようなネットワーク構成(図1参照)であればよく、共有サーバ108の設置場所は特に限定されない。つまり、共有サーバ108は、ゲートウェイ130を介して独立してネットワーク102に接続されていればよく、製造メーカや代理店、関連会社の敷地内、建物内に設置されていてもよい。共有サーバ108は、設置場所に係らず、本実施形態のようなネットワーク構成であれば、機密情報のセキュリティ性を維持することができる。
また、図1では、共有サーバ108と通信を行う端末として、代理店端末110A、110B、100Cと、複数の使用者端末120とを示したが、情報管理システム100は、共有サーバ108と他の端末も通信可能にできる。他の端末とは、電子部品実装装置を所有、使用していない使用者が所有する端末が含まれる。情報管理システム100は、共有サーバ108を他の端末と通信可能とすることで、例えば、電子部品実装装置の購入を検討している利用者に、電子部品実装装置の各種情報を提供することができる。これにより、電子部品実装装置の販売を促進することができる。情報管理システム100は、通信する端末やアクセス時のIDに基づいて共有サーバ108の閲覧できる情報や使用できる機能を制限することができる。これにより、電子部品実装装置の使用者、代理店、電子部品実装装置を使用したことがない者とで、提供する情報に差をつけることができる。この点については後述する。
[共有サーバ(管理サーバ)]
次に、図2を用いて、共有サーバ(管理サーバ)108について説明する。図2は、共有サーバの概略構成を示す模式図である。共有サーバ108は、図2に示すように、通信部140と、制御部142と記憶部144とを有する。通信部140は、ゲートウェイ130を介してネットワーク102と接続されており、ネットワーク102を介して他の通信機器とデータの送受信を行う。
制御部142は、各種演算を行い、授受するデータの加工を制御する。制御部142は、自動化率算出部142aと電子部品判定部142bと提供情報制御部142cとアクセス権制御部142dとデータ取得制御部142eとを有する。
自動化率算出部142aは、基板に実装する対象のうち、電子部品実装装置で実装できる電子部品の割合を算出する。
電子部品判定部142bは、電子部品、主として挿入型電子部品が電子部品実装装置で基板に実装できる電子部品であるかを判定する。
提供情報制御部142cは、通信部140を介して通信を行う他の通信機器、具体的には、代理店端末110A、110B、100Cと、使用者端末120等に提供する情報を決定し、決定した情報を通信部140により対象の代理店端末110A、110B、100Cと、使用者端末120に出力させる。提供情報制御部142cは、他の通信機器から供給された情報に基づいて、記憶部144の各データベースの少なくとも一部の情報を抽出し、必要に応じて加工する。
アクセス権制御部142dは、共有サーバ108の記憶部144に記憶したデータに対するアクセス権を制御する。アクセス権制御部142dは、記憶部144に記憶したデータのうち取得可能、閲覧可能なデータを、共有サーバ108と通信を行う他の通信機器に応じて設定する。アクセス権制御部142dは、例えば、上位のアクセス権を有する他の通信機器は、下位のアクセス権を有する他の通信機器よりも、より多くの種類のデータを取得可能、閲覧可能とする。
データ取得制御部142eは、記憶部144に記憶させるデータを管理する。具体的には、データ取得制御部142eは、ネットワーク102を介して受け取ったデータを記憶部144に記憶させる処理や記憶部144に記憶させたデータの削除処理等を実行する。
記憶部144は、販売店データベース144aと、使用者データベース144bと、本体データベース144cと、フィーダデータベース144dと、ノズルデータベース144eと、部品データベース144fと、設定情報データベース144gと、アクセス権データベース144hと、を有する。
販売店データベース144aは、代理店端末110A、110B、110Cや関連会社端末112に対応する代理店、関連会社の情報を有する。具体的には、代理店、関連会社の所在地、人員構成、電子部品実装装置を販売した使用者の情報、購入の可能性がある会社、施設の情報を有する。また、販売店データベース144aは、代理店、関連会社のそれぞれで電子部品実装装置に対して実行できる処理についての情報も記憶している。具体的には、対応できる改造、修理のレベルや、生産プログラムの作成のレベル、電子部品実装装置の組み立てを実行できるか等である。
使用者データベース144bは、電子部品実装装置を使用している使用者、つまり電子部品実装装置を購入した会社に関連する情報を有する。具体的には、使用者の位置情報、購入した電子部品実装装置の数、型番、稼動している電子部品実装装置の数、型番、購入した電子部品供給装置(フィーダ)の情報、基板への電子部品の搭載の前後で使用している機械の情報、稼動している電子部品実装装置の故障情報等を有する。
本体データベース144cは、電子部品実装装置の本体、つまり交換可能なフィーダおよびノズル以外の部分の情報である。具体的には、製造メーカが取り扱っている各型の電子部品実装装置の性能、装置構成の情報を有する。また、本体データベース144cは、実装可能な電子部品の許容範囲の情報も有する。具体的には、本体データベース144cは、各種フィーダ、ノズルを組み合わせたそれぞれの場合について搭載可能な電子部品の許容範囲、具体的には大きさ、表面形状、外形形状等の形状の許容範囲の情報を有する。
図3は、フィーダデータベースのデータ構成の一例を示す模式図である。フィーダデータベース144dは、電子部品実装装置に装着される電子部品供給装置の各種情報を有する。ここで、電子部品供給装置(フィーダ)は、所定の位置、具体的には、電子部品を搬送するヘッドのノズルが電子部品を吸着できる位置まで供給する装置である。フィーダデータベース144dは、情報管理システム100で管理している対象の使用者が使用している電子部品供給装置や、製造メーカが開発し、販売している電子部品供給装置の各種情報を記憶している。フィーダデータベース144dは、例えば、図3に示すように、電子部品供給装置の型番、種類(ラジアルフィーダかボウルフィーダかトレイフィーダかアキシャルフィーダか等)、本体幅(供給可能な電子部品の本体の最大幅)、リード線長さ(供給位置におけるリード線の最大長さ)等を含む。また、フィーダデータベース144dは、図3に示すように電子部品実装装置の各型に装着可能か否かの情報も記憶している。なお、フィーダデータベース144dが記憶する項目、フィーダの数は、図3に限定されない。
図4は、ノズルデータベースのデータ構成の一例を示す模式図である。ノズルデータベース144eは、電子部品実装装置で使用されるノズルの各種情報を有する。ここで、ノズルは、フィーダで吸着位置に供給された電子部品を保持し、ノズルが装着されたヘッドにより基板の搭載位置まで搬送されたら、電子部品の保持を解放し基板上に実装する。ノズルデータベース144eは、情報管理システム100で管理している対象の使用者が使用しているノズルや、製造メーカが開発し、販売しているノズルの各種情報を記憶している。ノズルデータベース144eは、例えば、図4に示すように、ノズルの型番、種類(吸着ノズルか把持ノズルか)、本体幅(保持可能な本体の最大幅)等を含む。また、ノズルデータベース144eは、図4に示すように電子部品実装装置の各型に装着可能か否かの情報も記憶している。ノズルデータベース144eは、さらに、保持可能な電子部品の形状の制約の情報や、重さの情報等も記憶していてもよい。なお、ノズルデータベース144eが記憶する項目、ノズルの数は、図4に限定されない。
図5は、部品データベースのデータ構成の一例を示す模式図である。部品データベース144fは、電子部品実装装置で実装される電子部品や、実装できない電子部品、実装される可能性がある電子部品に関する情報(例えば搭載実績(実装実績、単に実績とも言う)の有無の情報、挿入型電子部品を保持して基板孔に挿入する電子部品実装装置の搭載実績の有無の情報)を有する。つまり、部品データベース144fは、基板に実装される可能性がある種々の電子部品の情報を有する。部品データベース144fは、例えば、図5に示すように、製品種類、型番、製造元、本体幅、リード線の長さ、リード線の本数等を記憶している。また、部品データベース144fは、図5に示すように電子部品供給装置の各型で供給可能か否かの情報も記憶している。なお、部品データベース144fが記憶する項目、部品の数は、図5に限定されない。製品種類(部品種別)は、抵抗、コンデンサ、コネクタ等の分類に限定されない。例えば、製品種類(部品種別)は、角チップ、アルミ電解コンデンサ、ラジアルリード、コネクタ、ソケット、SOT、BGA等で分類してもよい。また、部品データベース144fは、電子部品が供給される際の状態、いわゆる荷姿の項目を設けてもよい。荷姿としては、テープ(ラジアル用、アキシアル用、チップ用)、スティック、トレイ、バルクがある。荷姿の項目を設ける場合、それぞれの項目毎に別電子部品としてもよい。また、荷姿がテープの場合、適用できるカット機構やクランプ機構の情報(標準か特注か)、テープ幅、ピッチ等の情報も含めることができる。荷姿がバルクの場合、ボウルフィーダ等の適用できる供給装置の情報、標準または特注のセッター、セパレータ情報を含めることができる。また、それぞれの荷姿を別々の項目として、それぞれの荷姿で供給できるか否かを情報として備えていてもよい。また、部品データベース144fは、電子部品を供給する際の部品提供角度の情報を含んでもよい。部品データベース144fの外形寸法の項目は、本体幅、リード線の長さ、リード線の本数に限定されず、縦、横、高さ、リード幅、リード間ピッチ、基板挿入長さ等を含んでもよい。また、部品データベース144fは、部品の形状の項目を有し、角チップ、球形、円筒型等、全体形状の情報を含んでもよい。また、部品データベース144fは、各電子部品が各ノズルで供給することができるか否かの情報も記憶してもよい。さらに、部品データベース144fは、図5に示すように、それぞれの電子部品に対して類似電子部品の情報を記憶している。類似電子部品は、対象の電子部品に類似する電子部品、略同じとみなすことができる他の電子部品である。部品データベース144fは、類似電子部品の項目に対応する電子部品の識別情報、例えば型番等が記憶される。類似電子部品は、型番や製造メーカが異なるが、性能、形状、大きさが同一である電子部品、いわゆるセカンドソースのみを対象とすることが好ましい。類似電子部品は、セカンドソースを対象とすることが好ましいが、性能、形状、大きさの少なくとも1つが異なっていても実質的に同一とみなせるものを含んでいてもよい。また、部品データベース144fは、電子部品に対して記入されたコメントの情報を記憶したコメントの項目を含んでもよい。
設定情報データベース144gは、電子部品実装装置が電子部品を実装する際に設定する各種条件の情報である。設定情報データベース144gは、実装の実績がある電子部品とフィーダとノズルと電子部品実装装置本体との組合せ毎に各種条件の情報を記憶している。ここで、設定情報データベース144gが記憶する各種条件には、電子部品とフィーダとノズルと電子部品実装装置本体との種々の制御条件が含まれる。例えば、吸着深さ、ボス高さ、センタリング方式(部品中心を求めるセンサとしてレーザを用いるかビジョンセンサを用いるか)、レーザ選択時の高さ(部品のセンタリング認識するときの部品認識高さ、例えば、認識位置がリード先端部であればレーザ選択時の高さをリード先端部の高さとする設定)、ビジョンセンサの照明(反射照明、サイド照明、透過照明のいずれを用いるか)、使用するノズル(吸着ノズル、把持ノズルのノズル番号、特注ノズル情報(部品が異型時の吸着ノズル、把持ノズル(グリッパノズル)の駆動条件(押し当て位置、水平方向クリアランス、吸着時ノズル方向、吸着高さ微調整値)、把持ノズルを特注した時の品番、寸法、形状、値段))、吸着時の吸着バキューム圧、電子部品実装装置のヘッドの送り速度(高速・中速・低速の選択)、フィーダによる電子部品の送り速度、吸着時の高さ速度(2段階速度設定のいずれを使用するか)、挿入型電子部品の基板への押し込みストローク、押し込み荷重がある。また、電子部品実装装置が電子部品を実装する際の各種条件としては、送り時間としてのオンホールド時間、戻し時間としてのオフホールド時間、リードの太さや部品本体の大きさに応じてリードカット・クランプ機構をオンする待ち時間としてのクランプ待ち時間、オフ時間としてのクランプ解除待ち時間がある。さらに、各種条件としては、部品方向を判別する方法(リード判別設定、パッケージ判別設定、面取り判別設定、搭載前部品判定のいずれを用いるか)もある。設定情報データベース144gは、上述した部品データベース144fの一部の情報を含んでいてもよい。例えば、荷姿の情報や部品供給角の情報を含んでいてもよい。なお、各種条件の一部については、電子部品実装装置とともに説明する。
アクセス権データベース144hは、共有サーバ108にアクセスする各端末のアクセス権の情報や、アクセス権の階層毎にアクセスできるデータの条件の情報を含んでいる。つまり、アクセス権データベース144hは、各端末または使用者、代理店、関連会社、製造メーカ毎のアクセス権、およびアクセス制限のデータを記憶している。具体的には、アクセス権データベース144hは、アクセスする端末の情報、ログイン名、パスワードとアクセス権との対応関係や、アクセスできる情報の階層を特定するデータを記憶している。また、アクセス権データベース144hは、アクセス権の階層とアクセス権の有無との関係がデータベースやデータベースの項目毎に対応付けられている。
なお、記憶部144に記憶されている各種情報は、データ取得制御部142eによって、随時更新される。これにより、販売店、使用者、電子部品実装装置本体、フィーダ及び電子部品の情報を網羅的に蓄積することができ、さらにより新しい情報を記憶することができる。共有サーバ108は、以上のような構成である。
[共有サーバ(管理サーバ)の処理動作]
以下、図6から図12を用いて、共有サーバで実行する処理の一例について説明する。図6から図10及び図12は、それぞれ共有サーバで実行する処理動作の一例を示すフローチャートである。図11Aから図11Cは、それぞれアクセス権の設定の一例を示す説明図である。なお、本実施形態の情報管理システムは、共有サーバで実行する処理としたが、必要な情報を共有サーバから取得し、各端末で処理動作を実行するようにしてもよい。
まず、図6を用いて、制御部142の電子部品判定部142b及び提供情報制御部142cで実行する処理について説明する。なお、図6に示す処理の入力、出力は、本実施形態のように共有サーバ108で実行することが好ましいが、各端末(製造メーカ端末104、代理店端末110A、110B、110C、関連会社端末112、使用者端末120)のいずれで実行してもよい。この点は、以下の処理も同様である。
制御部142は、ステップS12として、電子部品の品番(型番)の入力を検出する。情報管理システム100は、他の通信機器(使用者端末120、代理店端末110A、110B、110C)に電子部品の品番が入力される。具体的には、対象の電子部品(主に対象挿入型電子部品)が電子部品実装装置で実装できるかを知りたい対象者、対象の電子部品の実装時の好適な条件を知りたい対象者が、他の通信機器に対象の電子部品の品番を入力する。他の通信機器は、入力された電子部品の品番(型番)を共有サーバ108に送信する。共有サーバ108に送信された電子部品の品番(型番)の入力情報は、通信部140によって受信され、制御部142に送られる。このようにして、制御部142は、他の通信機器から送信された電子部品の品番(型番)の入力を検出する。
制御部142は、ステップS12で電子部品の品番(型番)の入力を検出したら、ステップS14として搭載実績ありかを判定する。具体的には、制御部142は、部品データベース144fを読み出し、ステップS12で検出した型番と部品データベース144fの電子部品の型番とを比較し、一致する電子部品があるかを判定する。制御部142は、部品データベース144fに一致する電子部品がある場合、当該項目に搭載実績があるかを判定する。制御部142は、当該電子部品を搭載可の電子部品供給装置がある場合、搭載実績ありと判定する。なお、部品データベース144fに搭載実績の有無の項目を設けてもよい。
制御部142は、ステップS14で対象の電子部品に搭載実績あり(ステップS14でYes)と判定した場合、ステップS18に進む。制御部142は、ステップS14で搭載実績なし(ステップS14でNo)と判定した場合、ステップS15として、類似電子部品の判定を実行するかを判定する。つまり、判定対象を類似電子部品まで広げるかを判定する。なお、類似電子部品の判定を実行するかは、アクセス権や、設定された条件に基づいて判定すればよい。
制御部142は、ステップS15で類似電子部品の判定を実行しない(ステップS15でNo)と判定した場合、ステップS24に進む。制御部142は、ステップS15で類似電子部品の判定を実行する(ステップS15でYes)と判定した場合、ステップS16として、類似電子部品があるか、つまり、実質的に同一とみなせる電子部品があるかを判定する。制御部142は、ステップS16で類似電子部品がない(ステップS16でNo)と判定した場合、ステップS23に進む。
制御部142は、ステップS16で類似電子部品がある(ステップS16でYes)と判定した場合、ステップS17として、類似電子部品に搭載実績ありかを判定する。なお、判定方法は、ステップS14と同様である。制御部142は、ステップS17で類似電子部品に搭載実績あり(ステップS17でYes)と判定した場合、ステップS18に進む。制御部142は、ステップS17で類似電子部品に搭載実績なし(ステップS17でNo)と判定した場合、ステップS23に進む。
制御部142は、ステップS14でYes、または、ステップS17でYesと判定した場合、ステップS18として、搭載実績があることを示す情報を通信部140から他の通信端末に出力する。
制御部142は、ステップS18で搭載実績がある旨を出力したら、ステップS20として、設定情報を提供するかを判定する。つまり、搭載実績があることに加え、当該電子部品を基板に実装するために必要な各種条件の情報である設定情報も他の通信機器に提供するかを判定する。なお、設定情報を提供するかは、アクセス権や、設定された条件に基づいて判定すればよい。制御部142は、ステップS20で設定情報を提供しない(ステップS20でNo)と判定した場合、本処理を終了する。
制御部142は、ステップS20で設定情報を提供する(ステップS20でYes)と判定した場合、ステップS21として設定情報を抽出し、ステップS22として、抽出した設定情報を他の通信機器に出力して本処理を終了する。これにより、制御部142は、対象の電子部品、または類似する電子部品に搭載実績がある場合、搭載実績があることまたそれに加え設定情報を他の通信機器に提供する。なお、提供する設定情報は、電子部品とフィーダとノズルと電子部品実装装置本体との組合せと、当該組み合わせで電子部品を実装するための各種条件との少なくとも一部であればよい。なお、制御部142は、他の通信機器のアクセス権の階層等に基づいて、提供する設定情報の項目の構成や、情報の詳細度を変化させるようにしてもよい。例えば、搭載実績があるフィーダ、ノズルの型番の情報は提供するが各種制御条件は提供しないようにしてもよい。また、搭載実績があるフィーダ、ノズルのうち、対象者が所有しているフィーダ、ノズルの情報は全て提供するが、対象者が所有していないフィーダ、ノズルについては性能情報のみを提供するようにしてもよい。なお、ステップS18からステップS22の処理は、提供情報制御部142cで実行される。
次に、制御部142は、ステップS16でNoまたはステップS17でNoと判定した場合、ステップS23として、個別判定を実行するかを判定する。ここで、個別判定とは、型番以外の情報を加味したより詳細な判定である。制御部142は、ステップS23で個別判定を実行しない(ステップS23でNo)と判定した場合、ステップS24に進む。
制御部142は、ステップS15でNo、またはステップS23でNoと判定した場合、ステップS24として、搭載実績がない旨を通信部140によって他の通信機器に出力する。つまり、入力された電子部品は電子部品実装装置で搭載したことがない電子部品、または搭載をあきらめた電子部品であることを通知する。制御部142は、ステップS24で、搭載実績がない旨を出力したら、本処理を終了する。
制御部142は、ステップS23で個別判定を実行する(ステップS23でYes)と判定した場合、ステップS26として、電子部品の詳細条件を検出する。ここで、詳細条件とは、電子部品の形状、大きさ、リード線の数、長さ等である。制御部142は、例えば、対応する他の通信機器に入力画面のデータを送信し、他の通信機器から送られた詳細条件を検出する。制御部142は、ステップS12の処理と同時に詳細条件を検出してもよい。また、制御部142は、電子部品の品番に基づいて記憶部144の部品データベース144fまたは外部のデータベースにアクセスをし、詳細条件を検出してもよい。制御部142は、ステップS26で詳細条件を検出したら、ステップS28として、電子部品の詳細条件に基づいて個別判定処理を実行し、本処理を終了する。
次に、図7を用いて、個別判定処理について説明する。制御部142は、ステップS30として、形状が対応可能な範囲内であるかを判定する。具体的には、制御部142は、対象の電子部品の大きさ及び形状、リード線の本数及び長さの少なくとも1つと本体データベース144cの許容範囲の情報とに基づいて、対象の電子部品が実装できる範囲(許容範囲)に含まれるかを判定する。
制御部142は、ステップS30で形状が対応可能な範囲外である(ステップS30でNo)と判定した場合、ステップS32として、対応不能である旨、つまり電子部品は実装できないことを示す情報を通信部140によって他の通信機器に出力し、本処理を終了する。つまり制御部142は、対象の電子部品が装置の性能上対応できる範囲から外れていることを他の通信機器に通知する。
制御部142は、ステップS30で形状が対応可能な範囲内である(ステップS30でYes)と判定した場合、ステップS34として、形状が許容範囲内の差の電子部品があるかを判定する。制御部142は、部品データベース144fの電子部品を列挙した項目に対象の電子部品と部品本体の形状及び大きさ、リードの本数、配置、長さ等が近似する電子部品の情報が含まれているかを判定する。本実施形態の制御部142は、形状(外形形状)が同一で大きさが異なる電子部品を近似する電子部品として抽出する。
制御部142は、ステップS34で近似する電子部品なし(ステップS34でNo)と判定した場合、ステップS38に進む。制御部142は、ステップS34で近似する電子部品あり(ステップS34でYes)と判定した場合、ステップS36として、抽出した電子部品(近似する電子部品)に搭載実績があるかを判定する。
制御部142は、ステップS36で搭載実績あり(ステップS36でYes)と判定した場合、ステップS40に進み、搭載実績なし(ステップS36でNo)と判定した場合、ステップS38に進む。
制御部142は、ステップS36でNoまたはステップS36でNoと判定した場合、ステップS38として、近似した形状の範囲を含めても搭載実績がない旨を、通信部140を用いて他の通信機器に出力する。
制御部142は、ステップS32でYesと判定した場合、ステップS40として、近似する電子部品に対応付けられた設定情報を抽出し、ステップS42として、近似する電子部品で搭載実績がある旨と抽出した設定情報を他の通信機器に出力して本処理を終了する。
このように、制御部142は、個別判定処理で、搭載実績のある近似電子部品があるか、つまり、対象の電子部品の差が許容範囲内である近似する電子部品があり、かつその近似電子部品に搭載実績があるかを判定する。また、搭載実績があり、かつ近似する電子部品がある場合は、当該電子部品の搭載実績を出力する。これにより、同一の電子部品に搭載実績がない場合でも近似する電子部品を用いて、対象の電子部品の実装に利用できる設定情報を提供することができる。
これにより、制御部142は、近似する電子部品の搭載に使用できるため、該当する電子部品の搭載に使用可能である可能性が高い、電子部品供給装置やノズルの情報、その他各種条件を提供することができる。
以上のように、情報管理システム100は、電子部品判定部142bを含む各部を情報管理システムとして用い、上記処理を実行することで、対象の電子部品が搭載可能か否かを判定することができる。また、情報管理システム100は、図6及び図7の処理を行うことで、類似電子部品及び近似する電子部品についての判定も自動的に行うことができる。また、装置構成上対応が出来ない電子部品についてはその旨を出力することができる。
これにより、情報管理システム100は、多種多様な電子部品、特に挿入型電子部品を電子部品実装装置で基板に実装する場合に、所望の電子部品が電子部品実装装置で実装できるかを簡単に判定することができ、その情報を各種利用者に提供することができる。また、情報管理システム100は、設定情報を提供することで、利用者が電子部品毎に搭載に必要な条件を試行錯誤しなくても、当該電子部品の実装に必要な条件を取得することができる。特に電子部品実装装置で挿入型電子部品を基板に実装する場合、上述した各種条件で説明したように、電子部品毎に種々を設定する必要がある。このため、それぞれの電子部品に対する適切な設定条件を各利用者で見出すことは困難である。これに対して、情報管理システム100は、共有サーバ108で情報を共有することで、熟練度の低い利用者であっても適切な条件を簡単に見出すことができる。これにより、利用者の負荷を低減することができ、効率よく電子部品を基板に実装することが可能となる。
制御部142は、近似する電子部品の設定情報を用いる場合、複数の近似する電子部品の設定情報を出力してもよい。この場合、比較条件に重み付けを行い、最も近似する電子部品の設定情報から順に出力してもよいし、全ての設定情報を出力してもよい。
ここで、制御部142は、上述した図7のステップS40、ステップS42の処理を実行する場合、抽出した設定情報を、対象の電子部品と近似する電子部品の相違点に基づいて修正することが好ましい。
以下、図8を用いて、設定情報を修正する処理について説明する。制御部142は、ステップS50として設定情報を抽出したら、ステップS52として、設定情報の調整を実行するかを判定する。調整を実行するかは、設定に基づいて決定してもよいし、対象の電子部品と近似する電子部品の関係や形状の差に基づいて決定してもよい。
制御部142は、ステップS52で調整を実行しない(ステップS52でNo)と判定した場合、本処理を終了する。制御部142は、ステップS52で調整を実行する(ステップS52でYes)と判定した場合、ステップS54として、実装する対象の電子部品と近似する電子部品との相違点を抽出し、ステップS56として、相違点に基づいて設定情報を修正し、ステップS58として、修正した設定情報を出力し、本処理を終了する。例えば、制御部142は、大きさの違いに比例させて各種条件を変更する。なお、設定情報の修正方法は、特に限定されない。情報管理システム100は、設定情報を修正することで、出力した設定情報で対象の電子部品を実装できる可能性をより高くすることができる。なお、情報管理システム100は、修正した設定情報を出力する場合、製造メーカ端末104に修正した設定情報を送信し、許可を取得してから、他の通信機器に出力するようにしてもよい。
情報管理システム100は、設定情報として、パーツ情報を含むことが好ましい。ここで、パーツ情報とは、電子部品実装装置の本体、フィーダ、ノズルに対応して設けられ、電子部品実装装置の本体、フィーダ、ノズルを改造する部品(パーツ)の情報である。なお、パーツ情報は、付属物の情報とも言える。フィーダのパーツとしては、ボウルフィーダのセッターセパレータ、ラジアルテープフィーダのカッター保持部材等がある。また、ノズルは、多数の種類があるため、把持ノズル、吸着ノズル自体をパーツとして扱う場合もある。
また、情報管理システム100は、使用者データベース144bに、当該使用者が使用可能な電子部品実装装置のパーツ情報(付属物の情報)を含めることが好ましい。この場合、制御部142は、搭載実績があり、かつ、特定した電子部品実装装置の現状の付属物では実装できない場合、対象挿入型電子部品の実装に必要な付属物の情報を他の通信機器に出力させることが好ましい。
以下、図9を用いて、パーツ情報を含めた処理の一例について説明する。制御部142は、ステップS60として設定情報を抽出し、ステップS62としてパーツ情報を含めるかを判定する。制御部142は、ステップS62でパーツ情報を含める(ステップS62でYes)と判定した場合、ステップS64として、パーツ情報を含む設定情報を出力し、本処理を終了する。制御部142は、ステップS62でパーツ情報を含めない(ステップS62でNo)と判定した場合、ステップS66として、パーツ情報を含めない設定情報を出力し、本処理を終了する。
情報管理システム100は、パーツ情報も設定情報に含め、他の通信機器に提供することで、電子部品、特に挿入型電子部品の扱いに不慣れな作業者であっても、当該電子部品の実装のために必要なパーツを容易に把握することができる。これにより、生産立ち上げを早くすることができる。
情報管理システム100は、図9の処理を行うことで、実績がない電子部品の場合、実績のある電子部品で使用したパーツ情報(標準パーツ、特注パーツを含む)を援用してパーツ情報を提供することができる。標準パーツとは、量産品として記憶されているパーツである。特注パーツとは、別途作成が必要と設定されているパーツ、データベースに登録されていないパーツである。また、パーツ情報も上述した図8の処理によって修正することが好ましい。これにより、実績がない電子部品の場合も当該電子部品に対応したパーツを提供することが可能となる。これによって新規の電子部品であってもセットアップに役立つノウハウのパーツ情報を提供することができ、試行錯誤の時間を短縮することができる。これにより、電子部品実装装置をより効率よく利用することができる。なお、情報管理システム100は、設定情報にパーツ情報を含め、各部の駆動条件を含めないようにしてもよい。
情報管理システム100は、パーツ情報を修正する場合、修正したパーツ情報に対応する標準パーツがない場合、特注パーツの形状、サイズとして算出し、出力する。また、情報管理システム100は、パーツ情報を修正する場合、登録されている標準パーツが選択されるように修正を行い、条件を満足しない場合、特注パーツに修正する。
情報管理システム100は、パーツ情報として特注パーツを設定情報に含める場合、特注パーツ作成の投資対効果を判断し、対象の基板の生産ラインの準備費用と生産個数とによりシミュレーションを行い、投資対効果の高いパーツから推奨する順を提示するようにしてもよい。この場合、情報管理システム100は、解析対象の情報として部品だけでなく、生産する基板の情報、当該基板を製造する製造ラインの情報を取得して、解析を行う。これにより、情報管理システム100は、特注パーツの費用と投資対効果を提供することができ、利用者が当該特注パーツの使用を検討しやすくすることができる。また、情報管理システム100が投資対効果の高いパーツから推奨する順を提示することで、利用者は、提示された推奨順を参考にしてパーツを選択して注文できる。なお、当該パーツが注文された場合、代理店の担当者が注文されたパーツを手配して利用者に届けるとともに、利用者の電子部品実装装置にパーツをセットアップすることが好ましい。
ここで、情報管理システム100は、自動化率算出部142aで基板製造時の自動化率を計算することができる。これにより、投資対効果を計算することができる。例えば、制御部142は、基板の設計図のデータを取得し、設計図から搭載する電子部品の情報を抽出し、抽出した電子部品からさらにリード型電子部品(挿入型電子部品)を抽出する。なお、搭載型の電子部品は基本的に電子部品実装装置で実装が可能であるので、実装可能であると判定してもよい。
制御部142は、リード型電子部品を抽出したら、搭載するリード型電子部品が搭載可能かを判定する。制御部142は、対象のリード型電子部品が実装できるか否かを判定する。ここで、制御部142は、上記実施形態のように、電子部品実装装置及びノズルの設計変更まで加味してもよいが、加味しなくてもよい。また、類似の電子部品がある場合搭載可能と判断するか否かも設定により調整可能としてもよい。
制御部142は、全てのリード型電子部品に対する判定が終了したら、実装装置で搭載可能な電子部品の割合を算出する。例えば、(搭載可能と判定した電子部品の数)/(基板に搭載する電子部品の数)で算出すればよい。
次に、制御部142は、実装装置を使用した場合、つまりリード型電子部品の実装に実装装置を使用した場合の生産工程のシミュレーションを実行し、実装装置を使用しない場合、つまりリード型電子部品の実装に実装装置を使用しない場合の生産工程のシミュレーションを実行する。ここで、シミュレーションとしては、費用や、生産にかかる時間(タクト)、生産効率、歩留まり等についてのシミュレーションを実行すればよい。実装装置を使用しない場合は、工場で標準的な能力のオペレータが手動で電子部品を実装する場合を想定して解析を行えばよい。制御部142は、シミュレーションを実行したら、算出結果及びシミュレーション結果を出力し、本処理を終了する。
情報管理システム100は、基板の設計図から、電子部品実装装置で実装できるリード型電子部品を検出し、検出結果を出力することで、本実施形態の電子部品実装装置を用いることで搭載できる電子部品が増加することを好適に認知させることができる。なお、シミュレーション結果の比較と搭載できる電子部品の割合の算出は、いずれか一方のみを行ってもよい。また、搭載できる電子部品の割合を算出する場合、手実装でリード型電子部品を実装する場合に、電子部品実装装置で搭載できる電子部品の割合を比較のために算出してもよい。
また、情報管理システム100は、実際に試験や生産を行い、電子部品が一定割合以上、例えば70%以上、実装できた場合、搭載可能としてデータベースに登録できるようにしてもよい。また、情報管理システム100は、ノズルとフィーダとの組み合わせで実装できる確率が変化する場合は、組み合わせのデータも合わせて記憶し、判定の基準とすることが好ましい。
制御部142は、対象者のアクセス権に基づいて、提供する情報を変化させることが好ましい。これにより、上述したように、利用者の状況、例えば電子部品実装装置の購入の有無、また、販売を行う代理店、子会社であるか否かによって、閲覧できる情報を変化させることができる。これにより、情報の漏えいを抑制することができ、購入者に利益を与えることができる。さらに、制御部142は、アクセスしている対象者の情報を電子部品の搭載実績の判定の条件の1つとして用いることが好ましい。例えば、対象者の情報として、対象者が所有している電子部品実装装置の品番、フィーダの種類、ノズルの種類を利用し、対象者が所有している構成で、電子部品を実装できるか否かを判定するようにしてもよい。また、対象者が所有している構成の優先度を高くし、商品の購入が必要な設定情報の出力の優先度を低くするようにすることもできる。
以下、図10と図11Aから図11Cとを用いて、アクセス権と、所有者の情報に基づいて条件を設定する処理について説明する。共有サーバ108は、アクセス権制御部142dにより図10の処理を実行することで、当該処理を実現することができる。制御部142は、ステップS72として、サーバ(共有サーバ108)にアクセスしている対象者を特定する。なお、対象者は、上述したように端末のIDやログインID等で特定することができる。対象者は、人である必要はなく、法人、機関、公団等でもよい。また、端末を特定し、当該端末を対象者として用いてもよい。
制御部142は、ステップS72で対象者を特定したら、ステップS74として、対象者のアクセス権を抽出する。具体的には、アクセス権データベース144hに記憶されているデータから対象者の情報を抽出し、当該対象者に対応付けられているアクセス権を抽出する。制御部142は、ステップS74でアクセス権を抽出したら、ステップS75として、アクセス権に基づいて、提供可能な情報を決定する。
ここで、アクセス権データベース144hは、例えば、図11Aから図11Cに示すようにアクセス権の階層と情報の提供の可否を示すテーブルが記憶されている。図11Aから図11Cは、設定が異なるテーブルである。共有サーバ108は、アクセス権データベース144hに、図11Aから図11Cに示す複数のテーブルを記憶し、各種条件に基づいて使用するテーブルを切り換えるようにしてもよいし、図11Aから図11Cに示す複数のテーブルのうち、1つのテーブルのみを記憶していてもよい。ここで、図11Aから図11Cに示すテーブルは、提供する情報の種類を比較対象と提供情報とに分けている。比較対象は、対象電子部品と比較を行う際に抽出する電子部品の範囲を設定する項目であり、同一の部品、類似部品(類似電子部品)、近似部品(近似する電子部品)のそれぞれを比較し、抽出するか否かが設定されている。共有サーバ108は、比較対象を設定し、対象電子部品に対して抽出する電子部品の差の範囲を決定することで、抽出する電子部品の範囲を決定することができ、提供する電子部品の情報や設定情報の範囲を変更することができる。制御部142は、比較対象の設定に基づいて、図6のステップS15、ステップS23の判定を行う。また、提供情報は、提供する情報の範囲を設定する項目であり、生産プログラム、設定情報のそれぞれを提供するかが設定されている。生産プログラムを提供するとは、当該対象の電子部品を実装する動作指示が含まれるプログラムを提供することである。制御部142は、提供情報の設定に基づいて、図6のステップS20の判定、ステップS21での抽出する対象の情報の特定を行う。また、図11Aから図11Cは、第1階層よりも第2階層の方が提供される情報が多い階層となる。例えば、電子部品実装装置を使用していない利用者は、第1階層が対応付けられる。電子部品実装装置を使用している利用者や販売代理店、製造メーカは、第2階層が対応付けられる。なお、本実施形態では、階層を2つに分けたが、階層の数は特に限定されない。また、アクセス権データベース144hは、パーツ情報に関してもアクセス権に応じて、提供する情報を変化させるようにしてもよい。例えば、標準パーツの情報は、第1階層、第2階層の両方に提供可とし、特注パーツの情報は、第2階層のみに提供可とすることもできる。
次に、制御部142は、ステップS75で提供可能な情報を決定したら、ステップS76として、対象者は実装装置(電子部品実装装置)のユーザであるかを判定する。制御部142は、対象者の端末のIDやログインID等と使用者データベース144bに含まれる所有している使用者の情報とを比較することで、対象者が電子部品実装装置を使用しているかを判定する。
制御部142は、ステップS76で対象者が実装装置のユーザである(ステップS76でYes)と判定した場合、ステップS77として、対象者が使用する電子部品実装装置の情報を抽出する。制御部142は、使用者データベース144bから対象者が使用する電子部品実装装置の情報を抽出することができる。このとき制御部142は、電子部品実装装置の本体に加え、使用者が所有しているノズルやフィーダの情報を取得することが好ましい。
制御部142は、ステップS77で使用する電子部品実装装置の情報を取得したら、ステップS78として、抽出した電子部品実装装置での実装を条件として解析を実行する。なお、解析とは、上述した対象の電子部品に搭載可能であるかの判定処理、処理時に利用する設定情報の抽出処理等である。制御部142は、ステップS78の処理を実行したら、本処理を終了する。
制御部142は、ステップS76で対象者が実装装置のユーザでない(ステップS76でNo)と判定した場合、ステップS79として、電子部品実装装置を特定せずに解析を実行する。制御部142は、ステップS79の処理を実行したら、本処理を終了する。制御部142は、ステップS78、ステップS79の処理を実行する場合、ステップS75で決定した提供可能な情報の範囲で、処理を実行する。
情報管理システム100は、以上のように、アクセス権を設定し、アクセス権の階層により提供する情報の範囲を切り換えることで、それぞれの利用者に対してその利用者の使用実績に合った情報を提供することができる。また、情報管理システム100は、対象者(対象の電子部品について検索を行っている利用者)の状況を検出し、その状況を条件として解析を行うことで、対象者が利用しやすい情報を提供することができる。例えば、部品を購入すれば、対象の電子部品の実装が可能になる、実装の効率がよくなるという情報を提供することができる。また、現状の設備を用いた場合の結果と、部品を購入して最適な条件で実装を行う場合の結果とを比較できる状態で提供することもできる。
ここで、図10に示す処理では、対象者のアクセス権に基づいて、提供する情報を変化させるステップS72からステップS75の処理と、所有者の情報に基づいて条件を設定するステップS76からステップS79の処理と、を連続した処理で示したが、本処理は別々の処理で実行しても良いし、いずれか一方のみを実行してもよい。
以下、図12を用いて、共有サーバ108の記憶部144に記憶するデータの更新処理の一例について説明する。共有サーバ108は、提供情報制御部142cとデータ取得制御部142eにより図12の処理を実行することで、当該処理を実現することができる。制御部142は、ステップS80として、搭載実績のない電子部品の設定情報を出力する。制御部142は、類似電子部品や近似電子部品を搭載実績のある電子部品として抽出した場合に、搭載実績のない電子部品の設定情報を出力したと検出する。
制御部142は、ステップS80で搭載実績のない電子部品の設定情報を出力したことを検出したら、ステップS82として、対象の電子部品を仮部品に登録し、ステップS84として、仮部品に対して出力した設定情報を仮実績データとして登録する。
制御部142は、ステップS82、S84で、仮部品、仮実績データを登録したら、ステップS86として、実装結果を取得したかを判定する。ここで、実装結果とは、仮部品を仮実績データの設定情報を用いて実装した場合の結果である。実装結果としては、実装が成功したか否かの情報や、成功率や不良率、生産効率等の情報を用いることができる。実装結果が成功率や不良率、生産効率等の情報の場合、制御部142は、取得した実装結果に基づいて、実装が成功しているかを判定する。また、制御部142は、種々の方法で実装結果を取得することができる。例えば、制御部142は、仮実績データを提供した他の通信機器に対して、実装結果の入力を要求し、当該他の通信機器に対してオペレータが入力した結果を取得してもよい。また、他の通信機器と電子部品実装装置が通信可能な場合、他の通信機器が取得した電子部品実装装置の動作履歴を取得することで、実装結果を取得してもよい。また、代理店のオペレータが仮実績データを提供した利用者を訪問して、結果の情報を取得し、代理店端末110A、110B、110Cに入力し、制御部142に提供してもよい。
制御部142は、ステップS86で実装結果を取得していない(ステップS86でNo)と判定した場合、ステップS88として、所定期間が経過したかを判定する。具体的には、仮実績データを提供してからの経過期間が所定期間を超えているかを判定する。制御部142は、ステップS88で所定期間が経過していない(ステップS88でNo)と判定した場合、ステップS86に進み、ステップS86の処理を再び実行する。制御部142は、ステップS88で所定期間が経過した(ステップS88でYes)と判定した場合、ステップS89として、実装結果の登録を促す情報を出力する。例えば、代理店のオペレータが実装結果を登録する場合、「所定期間が経過しました。AA会社でのX部品の実装結果の確認をお願い致します」というメッセージを代理店端末に出力する。制御部142は、ステップS89で実装結果の登録を促す情報を出力したら、ステップS86に進む。
制御部142は、ステップS86で実装結果を取得した(ステップS86でYes)と判定した場合、ステップS90として実装成功かを判定する。制御部142は、ステップS90で実装失敗(ステップS90でNo)と判定した場合、ステップS92として、仮部品を実績なしの電子部品とし、仮実績データを失敗した実績データとして登録し、本処理を終了する。制御部142は、ステップS90で実装成功(ステップS90でYes)と判定した場合、ステップS94として、仮部品を正規の実績ありの電子部品とし、仮実績データを実績データ(設定情報)として登録し、本処理を終了する。
情報管理システム100は、図12に示す処理を実行することで、電子部品の実績の情報を蓄積することができ、実績ありの電子部品を効率よく増加させることができる。また、電子部品に対応する実績データ、つまり設定情報に含まれる情報をオペレータが入力する手間が低減され、処理が簡単になる。
情報管理システム100は、失敗した実績データを登録することで、類似電子部品、近似する電子部品に基づいて設定情報を提供する場合、また設定情報を修正して提供する場合、提供する設定情報を異なる条件とすることができる。これにより、同じ設定情報を繰り返し出力し、同じ失敗を繰り返すことを抑制することができる。また、制御部142は、設定情報の修正の程度、パラメータを変更することで、実装が成功する可能性のある設定情報を提供することができる。
情報管理システム100は、ステップS89で実装結果の登録を促す情報を出力することで、仮部品及び仮実績データの結果を効率よく取得することができ、更新が滞ることを抑制することができる。
情報管理システム100は、実装結果として、設定情報から条件を変更したかの情報、変更した場合、その前後での結果の情報を取得することがさらに好ましい。これにより、実装結果として、複数の設定情報(実装の条件)に関する結果を取得することができ、当該電子部品を実装できる設定条件をより効率よく取得することができる。
また、情報管理システム100は、実績データ、設定情報にパーツ情報を含めることが好ましい。また、情報管理システム100は、パーツ情報を実績データ、設定情報の対象としてもよい。パーツ情報についても図12に示す処理を行うことで、対象の電子部品を搭載することができるパーツをより短時間で効率よく特定することができる。
[工場]
図13は、生産ラインを備える工場の概略構成を示す模式図である。工場170は、使用者端末120の管理対象の電子部品実装装置を含む生産ラインが配置されている。工場170は、使用者端末120と、管理装置172と、複数台の電子部品実装装置174と、複数台の電子部品実装装置10と、パターン形成装置176と、リフロー処理装置178と、を有する。工場170は、複数台の電子部品実装装置174と、複数台の電子部品実装装置10と、パターン形成装置176と、リフロー処理装置178とが、1つの生産ラインとなっており、一例に並んだ複数台の電子部品実装装置174と、複数台の電子部品実装装置10との両端を挟むようにパターン形成装置176と、リフロー処理装置178とが配置されている。
管理装置172は、電子部品実装装置174と、電子部品実装装置10との動作を統括して管理する制御装置である。管理装置172は、複数台の電子部品実装装置174及び電子部品実装装置10に生産プログラムを供給し、動作を制御することで、連動して基板を生産することができる。
電子部品実装装置174は、搭載型の電子部品を基板に搭載する装置である。電子部品実装装置10は、基板に電子部品を実装する。ここで、電子部品実装装置10は、電子部品として、リード型電子部品を実装することができる。また、電子部品実装装置10は、電子部品として、リード型電子部品と搭載型電子部品の両方を実装することもできる。電子部品実装装置10については後述する。
パターン形成装置176は、基板の表面に半田ペーストのパターンを形成し、基板の挿入穴に半田ペーストを充填する装置である。リフロー処理装置178は、基板を所定温度に加熱し、基板の半田ペーストを一時的に溶かすことで、半田ペーストに接している基板と電子部品とを接着させる。つまり、リフロー処理装置178は、基板の表面に形成された半田ペーストのパターン上に実装された搭載型電子部品と基板とをパターンの半田ペーストで接着させ、挿入穴にリードが挿入されたリード型電子部品(挿入型電子部品)のリード挿入穴と当該リード型電子部品のリードとを挿入穴に充填された半田ペーストで接着させる。
工場170の生産ラインは、パターン形成装置176で、基板の表面に半田ペーストのパターンを形成し、挿入穴に半田ペーストを充填させる。生産ラインは、半田ペーストを印刷した基板をライン上の電子部品実装装置174に搬入し、電子部品実装装置174で基板に搭載型電子部品を実装する。電子部品が実装された基板は、電子部品実装装置174から搬出される。基板は、電子部品実装装置174を通過する毎に基板上に電子部品が実装されていく。次に、生産ラインは、ライン上の電子部品実装装置10に搬入し、電子部品実装装置10で基板にリード型電子部品および搭載型電子部品を実装する。電子部品が実装された基板は、電子部品実装装置10から搬出される。基板は、電子部品実装装置10を通過する毎に基板上に電子部品が実装されていく。生産ラインは、電子部品実装装置10で電子部品が実装された基板をリフロー処理装置178に搬入し、リフロー処理を実行する。生産ラインは以上の工程で基板を生産する。
[電子部品実装装置]
次に、図14から図60を用いて、本実施形態の搭載型電子部品と挿入型電子部品の両方を実装することができる電子部品実装装置10について説明する。電子部品実装装置10は、基板上に載せることで実装される搭載型電子部品とリードを基板の挿入穴に差し込んで実装するリード型電子部品(挿入型電子部品)との両方を実装することができる装置である。電子部品実装装置10は、1台で搭載型電子部品とリード型電子部品の両方を実装することも、いずれか一方のみを実装することもできる。つまり電子部品実装装置10は、搭載型電子部品とリード型電子部品の両方を実装することが可能で、製造する基板や他の電子部品実装装置のレイアウトに応じて、種々の用途で使用することができる。
図14は、電子部品実装装置の概略構成を示す模式図である。図14に示す電子部品実装装置10は、基板8の上に電子部品を搭載する装置である。電子部品実装装置10は、筐体11と、基板搬送部12と、部品供給ユニット14f、14rと、ヘッド15と、XY移動機構16と、VCSユニット17と、交換ノズル保持機構18と、部品貯留部19と、制御装置20と、操作部40と、表示部42と、を有する。なお、XY移動機構16は、X軸駆動部22と、Y軸駆動部24と、を備える。ここで、本実施形態の電子部品実装装置10は、図14に示すように、基板搬送部12を中心にしてフロント側とリア側に部品供給ユニット14f、14rを備える。電子部品実装装置10は、部品供給ユニット14fが電子部品実装装置10のフロント側に配置され、部品供給ユニット14rが電子部品実装装置10のリア側に配置される。また、以下では、2つの部品供給ユニット14f、14rを特に区別しない場合、部品供給ユニット14とする。
図15は、電子部品実装装置の筐体の概略構成を示す斜視図である。筐体11は、本体11aとカバー11bf、11brとを有する。本体11aは、電子部品実装装置10を構成する各部を収納する箱である。本体11aは、フロント側に、カバー11bfと操作部40と表示部42とが配置されている。本体11aは、2つの側面にそれぞれ基板8を装置内に搬入し、排出する開口11cが形成されている。本実施形態の操作部40は、キーボード40aとマウス40bとを有する。本実施形態の表示部42は、タッチパネル42aとビジョンモニタ42bとを有する。なお、タッチパネル42aは、操作部40の一部ともなる。電子部品実装装置10は、部品供給ユニット14f、14rと筐体11の内部各部の配線とを備えている。ここで、配線としては、電気信号を伝達する配線や、空気を供給するチューブがある。
カバー11bfは、本体11aのフロント側の一部に設けられた囲いであり、鉛直方向上側に配置されている。カバー11brは、本体11aのリア側の一部に設けられた囲いであり、鉛直方向上側に配置されている。カバー11bf、11brは、本体11aの正面または背面の一部と上面の一部を覆う形状であり断面がLとなる。カバー11bf、11brは、本体11aに対して開閉することができる。カバー11bf、11brが開状態となることで、本体11aの内部に配置された各部に対する作業を行うことができる。
基板8は、電子部品を搭載する部材であればよく、その構成は特に限定されない。本実施形態の基板8は、板状部材であり、表面に配線パターンが設けられている。基板8に設けられた配線パターンの表面には、リフローによって板状部材の配線パターンと電子部品とを接合する接合部材であるはんだが付着している。また、基板8には、電子部品が挿入されるスルーホール(挿入穴、基板孔)も形成されている。
基板搬送部12は、基板8を図中X軸方向に搬送する搬送機構である。基板搬送部12は、X軸方向に延在するレールと、基板8を支持し、基板8をレールに沿って移動させる搬送機構とを有する。基板搬送部12は、基板8の搭載対象面がヘッド15と対面する向きで、基板8を搬送機構によりレールに沿って移動させることで基板8をX軸方向に搬送する。基板搬送部12は、電子部品実装装置10に供給する機器から供給された基板8を、レール上の所定位置まで搬送する。ヘッド15は、前記所定位置で、電子部品を基板8の表面に搭載する。基板搬送部12は、前記所定位置まで搬送した基板8上に電子部品が搭載されたら、基板8を、次の工程を行う装置に搬送する。なお、基板搬送部12の搬送機構としては、種々の構成を用いることができる。例えば、基板8の搬送方向に沿って配置されたレールと前記レールに沿って回転するエンドレスベルトとを組合せ、前記エンドレスベルトに基板8を搭載した状態で搬送する、搬送機構を一体としたベルト方式の搬送機構を用いることができる。
図16は、電子部品実装装置の概略構成を示す模式図である。電子部品実装装置10は、図16に示すように、フロント側に部品供給ユニット14fが配置され、リア側に部品供給ユニット14rが配置されている。フロント側の部品供給ユニット14fと、リア側の部品供給ユニット14rは、それぞれ基板8上に搭載する電子部品を多数保持し、図16に示すように、ヘッド15に供給可能、つまり、ヘッド15で保持(吸着または把持)可能な状態で保持位置に供給する電子部品供給装置を備える。本実施形態の部品供給ユニット14f、14rはともに、本体と、本体に連結されたリードとを有するリード型電子部品を供給する。
フロント側の部品供給ユニット14fは、2つのボウルフィーダアセンブリ92を有する。ボウルフィーダアセンブリ92は、ボウルフィーダである部品供給装置を複数備え、各部品供給装置から保持位置(吸着位置、把持位置)に電子部品を供給する。各部品供給装置が保持位置に供給した電子部品は、ヘッド15により基板8に実装される。ボウルフィーダアセンブリ92については後述する。部品供給ユニット14fの2つのボウルフィーダアセンブリ92は、フロント側バンク44に設置される。
リア側の部品供給ユニット14rは、複数の電子部品供給装置(以下、単に「部品供給装置」ともいう。)90を有する。電子部品供給装置90は、ラジアルフィーダであり、保持位置(吸着位置、把持位置)に電子部品を供給する。各部品供給装置90が保持位置に供給した電子部品は、ヘッド15により基板8に実装される。
部品供給装置90は、テープに複数のラジアルリード型電子部品のリードを貼り付けて構成される電子部品保持テープを使用してヘッド15にラジアルリード型電子部品を供給する。部品供給装置90は、電子部品保持テープを保持し、保持している電子部品保持テープを送り、保持しているラジアルリード型電子部品をヘッド15のノズルにより電子部品が保持できる保持領域(吸着位置、把持位置、保持位置)まで移動するテープフィーダである。部品供給装置90は、保持領域まで移動させたラジアルリード型電子部品のリードを切断して分離することで、当該テープでリードが固定されたラジアルリード型電子部品を所定位置に保持可能な状態とすることができ、当該ラジアルリード型電子部品をヘッド15のノズルにより保持(吸着、把持)することができる。部品供給装置90については後述する。なお、複数の部品供給装置90は、それぞれ異なる品種の電子部品を供給しても、別々の電子部品を供給してもよい。
図17は、リア側の部品供給ユニットの他の例の概略構成を示す模式図である。部品供給ユニット14は、複数のラジアルリード型電子部品(ラジアルリード部品)をテープ本体に固定した電子部品保持テープ(ラジアル部品テープ)を装着し、当該電子部品保持テープで保持したリード型電子部品のリードを保持位置(第2保持位置)で切断し、当該保持位置にあるリード型電子部品をヘッドに備えた吸着ノズルまたは把持ノズルで保持可能とする電子部品供給装置90を複数装着することに加え、複数の搭載型電子部品をテープ本体に固定した電子部品保持テープ(チップ部品テープ)を装着し、当該電子部品保持テープで保持した搭載型電子部品の保持位置(第1保持位置)でテープ本体から剥がし、当該保持位置にある搭載型電子部品をヘッドに備えた吸着ノズルまたは把持ノズルで保持可能とする電子部品供給装置90aを備えていてもよい。部品供給ユニット14は、その他電子部品供給装置90aとしてスティックフィーダやトレイフィーダをリア側バンク46に設置してもよい。図17に示す複数の部品供給装置90、90aは、支持台(バンク)96に保持される。また、支持台96は、部品供給装置90、90aの他の装置(例えば、計測装置やカメラ等)を搭載することができる。
部品供給ユニット14は、支持台96に保持されている複数の電子部品供給装置90、90aが、搭載する電子部品の種類、電子部品を保持する機構または供給機構が異なる複数種類の電子部品供給装置90、90aで構成される。また、部品供給ユニット14は、同一種類の電子部品供給装置90、90aを複数備えていてもよい。また、部品供給ユニット14は、装置本体に対して着脱可能な構成とすることが好ましい。
電子部品供給装置90aは、テープに基板搭載するチップ型の電子部品を貼り付けて構成される電子部品保持テープを使用してヘッド15に電子部品を供給する。なお、電子部品保持テープは、テープに複数の格納室が形成されており、当該格納室に電子部品が格納されている。電子部品供給装置90aは、電子部品保持テープを保持し、保持している電子部品保持テープを送り、格納室をヘッド15のノズルにより電子部品が吸着できる保持領域まで移動させるテープフィーダである。なお、格納室を保持領域に移動させることで、当該格納室に収容されている電子部品を所定位置に露出した状態とすることができ、当該電子部品をヘッド15のノズルにより吸着、把持することができる。電子部品供給装置90aは、テープフィーダに限定されず、チップ型電子部品を供給する種々のチップ部品フィーダとすることができる。チップ部品フィーダとしては、例えば、スティックフィーダ、テープフィーダ、バルクフィーダを用いることができる。
ヘッド15は、部品供給ユニット14fに保持された電子部品(ボウルフィーダユニットに保持されたリード型電子部品)、または部品供給ユニット14rに保持された電子部品(電子部品供給装置90に保持されたラジアルリード型電子部品(リード型電子部品、挿入型電子部品))、をノズルで保持(吸着または把持)し、保持した電子部品を基板搬送部12によって所定位置に移動された基板8上に実装する機構である。また、ヘッド15は、部品供給ユニット14rが電子部品供給装置90aを備えている場合、電子部品供給装置90aに保持されたチップ型電子部品(搭載型電子部品)を基板8上に搭載(実装)する機構である。なお、ヘッド15の構成については、後述する。なお、チップ型電子部品(搭載型電子部品)とは、基板の形成された挿入穴(スルーホール)に挿入するリードを備えないリードなし電子部品である。搭載型電子部品としては、上述したようにSOP、QFP等が例示される。チップ型電子部品は、リードを挿入穴に挿入せずに、基板に実装される。
XY移動機構16は、ヘッド15を図14及び図15中X軸方向及びY軸方向、つまり、基板8の表面と平行な面上で移動させる移動機構でありX軸駆動部22とY軸駆動部24とを有する。X軸駆動部22は、ヘッド15と連結しており、ヘッド15をX軸方向に移動させる。Y軸駆動部24は、X軸駆動部22を介してヘッド15と連結しており、X軸駆動部22をY軸方向に移動させることで、ヘッド15をY軸方向に移動させる。XY移動機構16は、ヘッド15をXY軸方向に移動させることで、ヘッド15を基板8と対面する位置、または、部品供給ユニット14f、14rと対面する位置に移動させることができる。また、XY移動機構16は、ヘッド15を移動させることで、ヘッド15と基板8との相対位置を調整する。これにより、ヘッド15が保持した電子部品を基板8の表面の任意の位置に移動させることができ、電子部品を基板8の表面の任意の位置に搭載することが可能となる。つまり、XY移動機構16は、ヘッド15を水平面(XY平面)上で移動させて、部品供給ユニット14f、14rの電子部品供給装置にある電子部品を基板8の所定位置(搭載位置、実装位置)に移送する移送手段となる。なお、X軸駆動部22としては、ヘッド15を所定の方向に移動させる種々の機構を用いることができる。Y軸駆動部24としては、X軸駆動部22を所定の方向に移動させる種々の機構を用いることができる。対象物を所定の方向に移動させる機構としては、例えば、リニアモータ、ラックアンドピニオン、ボールねじを用いた搬送機構、ベルトを利用した搬送機構等を用いることができる。
VCSユニット17と、交換ノズル保持機構18と、部品貯留部19とは、XY平面において、ヘッド15の可動領域と重なる位置で、かつ、Z方向における位置がヘッド15よりも鉛直方向下側となる位置に配置されている。本実施形態では、VCSユニット17と、交換ノズル保持機構18と、部品貯留部19とは、基板搬送部12と部品供給ユニット14rとの間に、隣接して配置される。
VCSユニット(部品状態検出部、状態検出部)17は、画像認識装置であり、ヘッド15のノズル近傍を撮影するカメラや、撮影領域を照明する照明ユニットを有する。VCSユニット17は、ヘッド15のノズルで吸着された電子部品の形状や、ノズルによる電子部品の保持状態を認識する。より具体的には、VCSユニット17は、対面する位置にヘッド15が移動されると、ヘッド15のノズルを鉛直方向下側から撮影し、撮影した画像を解析することで、ノズルで吸着された電子部品の形状や、ノズルによる電子部品の保持状態を認識する。VCSユニット17は、取得した情報を制御装置20に送る。
交換ノズル保持機構18は、複数種類のノズルを保持する機構である。交換ノズル保持機構18は、複数種類のノズルをヘッド15が着脱交換可能な状態で保持する。ここで、本実施形態の交換ノズル保持機構18は、電子部品を吸引することで保持する吸引ノズルと、電子部品を把持することで保持する把持ノズルと、を保持している。ヘッド15は、交換ノズル保持機構18で装着するノズルを変更し、装着されたノズルに対して空気圧を供給して駆動することで、保持する電子部品を適切な条件(吸引または把持)で保持することができる。
部品貯留部19は、ヘッド15がノズルで保持し、基板8に実装しない電子部品を貯留する箱である。つまり、電子部品実装装置10では、基板8に実装しない電子部品を廃棄する廃棄ボックスとなる。電子部品実装装置10は、ヘッド15が保持している電子部品の中に基板8に実装しない電子部品がある場合、ヘッド15を部品貯留部19と対面する位置に移動させ、保持している電子部品を解放することで、電子部品を部品貯留部19に投入する。
制御装置20は、電子部品実装装置10の各部を制御する。制御装置20は、各種制御部の集合体である。操作部40は、作業者が操作を入力する入力デバイスであり、キーボード40a、マウス40bと、タッチパネル42aと、を有する。操作部40は検出した各種入力を制御装置20に送る。表示部42は、作業者に各種情報を表示する画面であり、タッチパネル42aとビジョンモニタ42bとを有する。表示部42は、制御装置20から入力される画像信号に基づいて各種画像をタッチパネル42aとビジョンモニタ42bとに表示させる。
なお、本実施形態の電子部品実装装置10は、ヘッドを1つとしたが部品供給ユニット14f、14rのそれぞれに対応して2つのヘッドを設けてもよい。この場合、X軸駆動部を2つ設け、2つのヘッドをそれぞれXY方向に移動させることで、2つのヘッドを独立して移動させることができる。電子部品実装装置10は、2つのヘッドを備えることで、1つの基板8に対して、交互に電子部品を搭載することができる。このように、2つのヘッドで交互に電子部品を搭載することで、一方のヘッドが電子部品を基板8に搭載している間に、他方のヘッドは、部品供給装置にある電子部品を保持することができる。これにより、基板8に電子部品が搭載されない時間をより短くすることができ、効率よく電子部品を搭載することができる。さらに、電子部品実装装置10は、基板搬送部12を平行に2つ配置することも好ましい。電子部品実装装置10は、2つの基板搬送部12で2つの基板を交互に電子部品搭載位置に移動させ、前記2つのヘッド15で交互に部品搭載すれば、さらに効率よく基板に電子部品を搭載することができる。
次に、図18及び図19を用いて、ヘッド15の構成について説明する。図18は、電子部品実装装置のヘッドの概略構成を示す模式図である。図19は、電子部品実装装置のヘッドの概略構成を示す模式図である。なお、図18には、電子部品実装装置10を制御する各種制御部と部品供給ユニット14rの1つの部品供給装置90もあわせて示す。ヘッド15は、図18及び図19に示すように、ヘッド本体30と撮影装置(基板状態検出部)36と高さセンサ(基板状態検出部)37とレーザ認識装置(部品状態検出部、状態検出部)38と、を有する。
電子部品実装装置10は、図18に示すように、制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64と、を有する。制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64とは、上述した制御装置20の一部である。また、電子部品実装装置10は、電源と接続されており電源から供給される電力を制御部60、ヘッド制御部62、部品供給制御部64及び各種回路を用いて、各部に供給する。制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64とについては後述する。
電子部品供給装置90は、電子部品保持テープ(ラジアル部品テープ)にリードが保持された電子部品80の本体が上方に露出している。なお、電子部品80としては、アルミ電解コンデンサが例示される。なお、電子部品80として、アルミ電解コンデンサの他にも、リードを有する各種電子部品を用いることができる。電子部品供給装置90は、電子部品保持テープを引き出し、移動させることで、電子部品保持テープに保持された電子部品80を保持領域(吸着領域、把持領域)に移動させる。本実施形態では、部品供給装置90のY軸方向の先端近傍が、電子部品保持テープに保持された電子部品80をヘッド15のノズルが保持する保持領域となる。電子部品供給装置90の構成については後述する。また、電子部品供給装置90aの場合も同様に、所定の位置が、ヘッド15のノズルが電子部品保持テープに保持された電子部品80を保持する保持領域となる。
ヘッド本体30は、各部を支持するヘッド支持体31と、複数のノズル32と、ノズル駆動部34と、を有する。本実施形態のヘッド本体30には、図19に示すように、6本のノズル32が一列に配置されている。6本のノズル32は、X軸に平行な方向に並んでいる。なお、図19に示すノズル32は、いずれも電子部品80を吸着して保持する吸着ノズルが配置されている。
ヘッド支持体31は、X軸駆動部22と連結している支持部材であり、ノズル32及びノズル駆動部34を支持する。なお、ヘッド支持体31は、レーザ認識装置38も支持している。
ノズル32は、電子部品80を吸着し、保持する吸着機構である。ノズル32は、先端に開口33を有し、この開口33から空気を吸引することで、先端に電子部品80を吸着し、保持する。なお、ノズル32は、開口33が形成され電子部品80を吸着する先端部に連結されたシャフト32aを有する。シャフト32aは、先端部を支持する棒状の部材であり、Z軸方向に延在して配置されている。シャフト32aは、内部に開口33とノズル駆動部34の吸引機構とを接続する空気管(配管)が配置されている。
ノズル駆動部34は、ノズル32をZ軸方向に移動させ、ノズル32の開口33で電子部品80を吸着させる。ここで、Z軸は、XY平面に対して直交する軸である。なお、Z軸は、基板の表面に対して直交する方向となる。また、ノズル駆動部34は、電子部品の実装時等にノズル32をθ方向に回転させる。θ方向とは、すなわち、Z軸駆動部がノズル32を移動させる方向と平行な軸であるZ軸を中心とした円の円周方向と平行な方向である。なお、θ方向は、ノズル32の回動方向となる。
ノズル駆動部34は、ノズル32をZ軸方向に移動させる機構として、例えば、Z軸方向が駆動方向となる直動リニアモータを有する機構がある。ノズル駆動部34は、直動リニアモータでノズル32のシャフト32aをZ軸方向に移動させることで、ノズル32の先端部の開口33をZ軸方向に移動させる。また、ノズル駆動部34は、ノズル32をθ方向に回転させる機構として、例えばモータとシャフト32aに連結された伝達要素とで構成された機構がある。ノズル駆動部34は、モータから出力された駆動力を伝達要素でシャフト32aに伝達し、シャフト32aをθ方向に回転させることで、ノズル32の先端部もθ方向に回転させる。
ノズル駆動部34は、ノズル32の開口33で電子部品80を吸着させる機構、つまり吸引機構としては、例えば、ノズル32の開口33と連結された空気管と、当該空気管と接続されたポンプと、空気管の管路の開閉を切り換える電磁弁と、を有する機構がある。ノズル駆動部34は、ポンプで空気管の空気を吸引し、電磁弁の開閉を切り換えることで開口33から空気を吸引するか否かを切り換える。ノズル駆動部34は、電磁弁を開き開口33から空気を吸引することで開口33に電子部品80を吸着(保持)させ、電磁弁を閉じ開口33から空気を吸引しないことで開口33に吸着していた電子部品80を解放する、つまり開口33で電子部品80を吸着しない状態(保持しない状態)とする。
また、本実施形態のヘッド15は、電子部品の本体を保持するときに本体上面がノズル(吸着ノズル)32で吸着できない形状である場合には、後述する把持ノズルを用いる。把持ノズルは、吸着ノズルと同様に空気を吸引解放することで固定片に対して可動片が開閉することで電子部品の本体を上方から把持解放することができる。また、ヘッド15は、ノズル駆動部34でノズル32を移動させ、交換動作を実行することで、ノズル駆動部34が駆動させるノズルを換えることができる。
撮影装置36は、ヘッド本体30のヘッド支持体31に固定されており、ヘッド15と対面する領域、例えば、基板8や電子部品80が搭載された基板8等を撮影する。撮影装置36は、カメラと、照明装置と、を有し、照明装置で視野を照明しつつ、カメラで画像を取得する。これにより、ヘッド本体30に対面する位置の画像、例えば、基板8や、部品供給ユニット14の各種画像を撮影することができる。例えば、撮影装置36は、基板8の表面に形成された基準マークとしてのBOCマーク(以下単にBOCともいう)やスルーホール(挿入穴)の画像を撮影する。ここで、BOCマーク以外の基準マークを用いる場合、当該基準マークの画像を撮影する。
高さセンサ37は、ヘッド本体30のヘッド支持体31に固定されており、ヘッド15と対面する領域、例えば、基板8や電子部品80が搭載された基板8との距離を計測する。高さセンサ37としては、レーザ光を照射する発光素子と、対面する位置で反射して戻ってくるレーザ光を受光する受光素子とを有し、レーザ光を発光してから受光するまでの時間で対面する部分との距離を計測するレーザセンサを用いることができる。また、高さセンサ37は、測定時の自身の位置及び基板の位置を用いて、対面する部分との距離を処理することで、対面する部分、具体的には電子部品の高さを検出する。なお、電子部品との距離の測定結果に基づいて電子部品の高さを検出する処理は制御部60で行ってもよい。
レーザ認識装置38は、光源38aと、受光素子38bと、を有する。レーザ認識装置38は、ブラケット50に内蔵されている。ブラケット50は、図18に示すように、ヘッド支持体31の下側、基板8及び部品供給装置90側に連結されている。レーザ認識装置38は、ヘッド本体30のノズル32で吸着した電子部品80に対して、レーザ光を照射することで、電子部品80の状態を検出する装置である。ここで、電子部品80の状態とは、電子部品80の形状、ノズル32で電子部品80を正しい姿勢で吸着しているか等である。光源38aは、レーザ光を出力する発光素子である。受光素子38bは、Z軸方向における位置、つまり高さが同じ位置であり、光源38aに対向する位置に配置されている。レーザ認識装置38による形状の認識処理については後述する。
次に、電子部品実装装置10の装置構成の制御機能について説明する。電子部品実装装置10は、図18に示すように、制御装置20として、制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64と、を有する。各種制御部は、それぞれ、CPU、ROMやRAM等の演算処理機能と記憶機能とを備える部材で構成される。また、本実施形態では、説明の都合で複数の制御部としたが、1つの制御部としてもよい。また、電子部品実装装置10の制御機能を1つの制御部とした場合、1つの演算装置で実現しても複数の演算装置で実現してもよい。
制御部60は、電子部品実装装置10の各部と接続されており、入力された操作信号や、電子部品実装装置10の各部で検出された情報に基づいて、記憶されているプログラムを実行し、各部の動作を制御する。制御部60は、例えば、基板8の搬送動作、XY移動機構16によるヘッド15の駆動動作、レーザ認識装置38による形状の検出動作等を制御する。また、制御部60は、上述したようにヘッド制御部62に各種指示を送り、ヘッド制御部62による制御動作も制御する。制御部60は、部品供給制御部64による制御動作も制御する。
ヘッド制御部62は、ノズル駆動部34、ヘッド支持体31に配置された各種センサ及び制御部60に接続されており、ノズル駆動部34を制御し、ノズル32の動作を制御する。ヘッド制御部62は、制御部60から供給される操作指示及び各種センサ(例えば、距離センサ)の検出結果に基づいて、ノズル32の電子部品の吸着(保持)/解放動作、各ノズル32の回動動作、Z軸方向の移動動作を制御する。
部品供給制御部64は、部品供給ユニット14f、14rによる電子部品80の供給動作を制御する。部品供給制御部64は、電子部品供給装置90、ボウルフィーダユニット240毎に設けても、1つですべての電子部品供給装置90、ボウルフィーダユニット240を制御してもよい。例えば、部品供給制御部64は、電子部品供給装置90による電子部品保持テープの引き出し動作(移動動作)、リードの切断動作及びラジアルリード型電子部品の保持動作を制御する。また、部品供給制御部64は、ボウルフィーダユニット240による部品の供給動作を制御する。また、部品供給制御部64は、部品供給ユニット14rが電子部品供給装置90aを備えている場合、電子部品供給装置90aによる電子部品保持テープの引き出し動作(移動動作)等を制御する。部品供給制御部64は、制御部60による指示に基づいて各種動作を実行する。部品供給制御部64は、電子部品保持テープまたは電子部品保持テープの引き出し動作を制御することで、電子部品保持テープまたは電子部品保持テープの移動を制御する。
ここで、上記実施形態では、ヘッドに装着するノズルに吸着ノズルを用いる場合として説明したがこれに限定されない。図20は、ノズルの一例を示す説明図である。図20は、把持ノズル(グリッパーノズル)の一例を示す図である。図20に示すノズル201は、固定アーム202と、可動アーム204とを有する。ノズル201は、可動アーム204の支点205がノズル201の本体に回動可能な状態で固定されており、可動アーム204は、支点205を軸として固定アーム202と対面する部分が固定アーム202に近づく方向から遠ざかる方向に移動することができる。可動アーム204は、ノズル201の本体の部分、固定アーム202に近づいたり遠ざかったりする部分とは、支点205を介して反対側に駆動部206が連結されている。駆動部206は、把持ノズルを駆動する駆動源(空気圧)により移動される。可動アーム204は、駆動部206が移動することで、固定アーム202と対面する部分が固定アーム202に近づく方向から遠ざかる方向に移動する。
ノズル201は、固定アーム202と可動アーム204との間に電子部品80がある状態で、固定アーム202と可動アーム204との距離を縮めることで、電子部品80を把持することができる。
把持ノズルは、ノズル201に限定されず、種々の形状とすることができる。把持ノズルは、それぞれ固定アームと可動アームとの間隔や、可動範囲を種々の値とすることができる。このように把持ノズルは、ノズルの形状毎に把持できる電子部品の形状が異なる。
電子部品実装装置10は、保持する電子部品の種類に応じて、当該電子部品を保持するノズルの種類を選択することで、電子部品を適切に保持することができる。具体的には、保持する電子部品に応じて、吸着ノズルを用いるか把持ノズルを用いるかを選択し、さらにそれぞれの種類のノズル中でもどのノズルを用いるかを切り換えることで、1台の電子部品実装装置でより多くの種類の電子部品を実装することができる。
次に、図21及び図22を用いて部品供給装置90について説明する。部品供給装置90は、上述したようにラジアルリード型電子部品を保持位置に供給するラジアルフィーダである。まず、図21を用いて、電子部品保持テープについて説明する。図21は、電子部品保持テープの一例の概略構成を示す模式図である。
図21に示す電子部品保持テープ(ラジアル部品テープ)70は、テープ本体72と、テープ本体72に保持される複数の電子部品(ラジアルリード型電子部品、ラジアルリード部品)80と、を有する。テープ本体72は、第1テープ74と第1テープ74よりも幅の細い第2テープ76とが貼り合わされている。また、テープ本体72は、延在方向に一定間隔で送り穴としての穴78が形成されている。つまり、テープ本体72は、複数の穴78が延在方向に列状に形成されている。
電子部品80は、電子部品本体(以下単に「本体」という。)82と、本体82のラジアル方向に配置された2本のリード84と、を有する。電子部品80は、リード84が、第1テープ74と第2テープ76との間に挟まれ、固定されている。これにより、電子部品80は、リード84が、第1テープ74と第2テープ76との間に挟まれ固定されることで、テープ本体72の所定位置に固定される。また、複数の電子部品80は、2本のリード84の間に穴78が配置され、テープ本体72の穴78が形成されている位置に、それぞれ固定されている。つまり、電子部品80は、穴78と同じ送りピッチPの間隔で、かつテープの延在方向における位置が同じ位置に配置されている。なお、電子部品80は、テープ本体72の第1テープ74と第2テープ76との間に挟まれるリード線を有した形状であればよく、リード線及び本体の形状、種類は特に限定されない。また、電子部品保持テープは、テープの延在方向における穴78と電子部品80との相対位置関係を種々の設定とすることができる。例えば、電子部品保持テープは、穴78と穴78との間に電子部品80を配置してもよい。
次に、図22は、リア側の部品供給ユニットの電子部品供給装置の概略構成を示す斜視図である。電子部品供給装置(部品供給装置)90は、図22に示すように、他の各部を保持し、電子部品保持テープを案内する筐体210と、リア側バンク46と連結されるクランプユニット212と、電子部品保持テープを搬送するフィードユニット214と、電子部品保持テープに保持されている電子部品のリードを切断するカットユニット216と、を有する。また、電子部品供給装置90は、筐体210の内部に空気圧調整部が配置されている。空気圧調整部は、フィードユニット214の駆動部とカットユニット216の駆動部の空気圧を調整し、各部の駆動を制御する。
筐体210は、縦に細長い中空の箱であり、クランプユニット212とフィードユニット214とカットユニット216と空気圧調整部とを内部に保持する。筐体210は、案内溝220と、ガイド部222と、排出部226と、把持部228と、が設けられている。案内溝220は、筐体210の鉛直方向上側の細長い面の長手方向に沿って形成された2本の直線の一方の端部が連結した形状である。つまり、案内溝220は、筐体210の一方の端部から他方の端部近傍まで延び、他方の端部近傍で折り返し、一方の端部まで延びるU字形状で形成されている。案内溝220は、電子部品保持テープを案内する溝であり、U字形状の一方の端部(供給側の端部)から電子部品保持テープが供給される。案内溝220は供給された電子部品保持テープをU字形状に沿って移動させ、U字形状の他方の端部(排出側の端部)から排出する。また、案内溝220は、テープ本体72が筐体210の内部にあり、電子部品が筐体210の外部に露出した状態で電子部品保持テープを案内する。
ガイド部222は、案内溝220の供給側の端部と連結されており、電子部品が保持された状態の電子部品保持テープを案内溝220に案内する。排出部226は、案内溝220の排出側の端部と連結されており、筐体210内を移動して電子部品をヘッド15に供給した部分が電子部品保持テープを排出する。把持部228は、電子部品供給装置90の搬送時等に、オペレータが持つ部分である。
クランプユニット212は、支持台96と連結される機構である。クランプユニット212は、筐体210に固定されており、支持台96と連結し固定されている状態と、支持台96と連結せずに解放されている状態と、を切り換えることができる機構である。オペレータは、クランプユニット212を操作することで、電子部品供給装置90を支持台96に対して着脱することができる。
フィードユニット214は、電子部品保持テープを搬送する、つまり案内溝220に沿って案内される電子部品保持テープを移動させる機構である。フィードユニット214は、電子部品保持テープの穴に挿入される突起部を備えており、突起部が電子部品保持テープの穴に挿入されている状態で、当該突起部を搬送方向に移動させることで電子部品保持テープを移動させる。フィードユニット214の突起部は、搬送方向と反対側に移動される場合、穴から取り外される。これによりフィードユニット214は、突起部をテープ本体72の穴の1ピッチ分、送り方向に往復運動させることで、テープを1ピッチ分送り方向に順次移動させることができる。
カットユニット216は、電子部品を供給する供給位置に配置されており、電子部品保持テープに保持されている電子部品のリードを切断する。また、カットユニット216は、リードを切断した電子部品を、電子部品がノズルによって吸着(保持)されるまで、クランプ、つまり保持する。カットユニット216は、リードを切断する高さを調整する機構、電子部品のクランプ時にクランプする機構を移動させる範囲を調整する機構等を備えている。当該機構で各種調整を行うことで、種々のリード型電子部品のリードを切断し、クランプすることができる。
ここで、カットユニット216が切断するリードの切断位置について説明する。従来の基板挿入用のリード型電子部品専用ヘッドを備えた実装装置では、リードを固定するテープに近いリード先端側で切断し、非常に長いリードを基板に挿入していた。これは、従来の実装装置は、ヘッド側にリード切断部とリード把持部を備え、リード把持部でリードの根元を把持してからその下方を切断(仮切断)していたために切断したリードが長くなるためである。また、従来の実装装置は、挿入穴にリードを挿入するときにガイドピンに案内して挿入するためリードが長くても基板挿入に差し支えなかったためである。また、従来の実装装置は、基板裏面でリードを必要な長さに切断(本切断)して折り曲げするリード折り曲げ装置で後処理を実行するために部品テープからリードを切り離すための仮切断時は長くしておく必要があったためである。
これに対して、カットユニット216は、ラジアルリード型電子部品のリードの切断長さを、基板の厚みと同等の長さ又は基板の裏側に突出するリードが半田不良にならず、かつ、基板の厚みに対応した長さである所定長さとする。所定長さは、例えば、基板の挿入穴とほぼ同じ長さである。より具体的には、基板の挿入穴の長さに対して0mm以上3mm以下長い長さである。このように、従来のようにヘッドで部品を仮切断するのではなく部品供給装置で始めから所定の長さに短く切断する構成とすることで、次のような効果をえることができる。
電子部品実装装置10は、カットユニット216が、リードを短く切断することで、部品供給装置90の保持位置にある電子部品の本体をノズルで保持したときのリード間隔の安定性を向上させることができ、リードが挿入穴に挿入できる部品を多くすることができ、非常に効率よくかつ高い精度で実装できる。
また、従来の実装装置は、予め挿入穴に充填または塗布した半田ペーストに対して長いリードを挿入すると半田ペーストのほとんどがリード先端側に押し出されてしまい、リフロー半田付け時に溶けた半田が挿入穴とリードとの細い隙間に上昇できず半田付けが不良になることがある。これに対して、電子部品実装装置10は、カットユニット216が、リードを短く切断することで前記隙間に溶けた半田が上昇して隙間なく半田が満たされる最良の半田付けができる。さらにこのとき搭載型電子部品も基板上面に塗布した半田ペーストに搭載しておくことで、リード型電子部品と搭載型電子部品を一度のリフロー半田付け工程によって同時に行うことができる効果も生じる。言い換えると、予め挿入穴に充填または塗布した半田ペーストに対して長すぎるリードを挿入すると半田ペーストのほとんどがリード先端側に押し出されてしまい、リフロー半田付け時に溶けた半田が基板に上昇できず、つまり半田が基板に到達できず半田付けが不良になることがある。これに対して、上記構成の電子部品実装装置は、リードを前記所定長さに短く切断することにより、挿入穴を挿通したリードにより挿入穴から押し出された一部の半田は溶けた状態になると前記基板の裏面に上昇して基板裏面の電極と半田付けできる。さらに、挿入穴(基板孔)の内部にも電極がある場合にはリードと基板の内部の電極との隙間に半田が上昇して半田付けできる。このようにして機械的電気的に半田付けができる。
また、所定の長さを基板の厚みと同等の長さとすることで、ラジアルリード型電子部品を基板に実装してもリードが基板(基板の裏面)から突出することを抑制することができる。また、所定長さを、基板の裏側に突出するリードが半田不良にならない長さとすることで、リードを短くしても、リフロー処理でリードを基板の挿入穴に好適に固定することができる。
電子部品供給装置90は、以上のような構成であり、クランプユニット212で支持台96の所定位置に固定される。電子部品供給装置90は、フィードユニット214で電子部品保持テープを移動させる。また、電子部品供給装置90は、カットユニット216で供給位置にある電子部品のリードを切断し、リードを切断した電子部品をヘッド15のノズル32で吸着されるまで保持する。これにより、電子部品保持テープで搬送される電子部品をヘッドで搬送可能な状態とすることができる。
次に、部品供給ユニット14fについて説明する。ここで、部品供給ユニット14fは、2つのボウルフィーダアセンブリ92を有する。2つのボウルフィーダアセンブリ92は、並列に配置され、基本的に同じ構成である。以下、1つのボウルフィーダアセンブリ92について説明する。
図23は、ボウルフィーダアセンブリの概略構成を示す斜視図である。ボウルフィーダアセンブリ92は、図23に示すように、2つのボウルフィーダユニット240と、支持機構241と、を有する。本実施形態において、ボウルフィーダユニット240およびボウルフィーダアセンブリ92は、制御部によって動作が制御される。ボウルフィーダユニット240およびボウルフィーダアセンブリ92は、電子部品実装装置10が有する制御装置20を制御部として用いてもよいし、ボウルフィーダユニット240およびボウルフィーダアセンブリ92が制御部を有していてもよい。
支持機構241は、2つのボウルフィーダユニット240を支持する機構である。支持機構241は、支持板251と、支持棒252と、連結部253と、を有する。支持板251は、板状の部材であり、2つのボウルフィーダユニット240が設置、固定されている。支持板251は、部品を供給する側の先端がフロント側バンク44と連結する。支持棒252は連結部253を介して、支持板251のフロント側バンク44から遠い側に連結している。支持棒252は、鉛直方向下側の端部が電子部品実装装置10を設置する設置面(床)に支持されている。支持機構241は、2つのボウルフィーダユニット240が設置された支持板251がフロント側バンク44と支持棒252とで支持される。支持機構241は、フロント側バンク44と、フロント側バンク44から離れた支持棒252の2箇所で支持板251を支持することで、支持板251がたわむことを抑制することができる。これにより、ボウルフィーダユニット240の振動が支持板251の振動となって吸収されることを抑制することができ、ボウルフィーダユニット240を好適に駆動することができる。
ボウルフィーダアセンブリ92が有する1つのボウルフィーダユニット240は、後述するボウルが他のボウルフィーダユニット240のボウルと鉛直方向に2列、かつ保持位置(レール282の先端、吸着位置)に対して前後にずらして配置される。すなわち、ボウルフィーダアセンブリ92は、Y方向において、2つのボウルフィーダユニット240の後述するボウルが前後する位置に配置されている。そして、X方向(後述するレールの延在方向に直交する方向、基板の搬送方向)において、第1列のボウルフィーダユニット240が有するボウルと第2列のボウルフィーダユニット240が有するボウルとの配置領域の少なくとも一部が重なっている。すなわち、ボウルフィーダアセンブリ92は、X方向において、2つのボウルフィーダユニット240の後述するボウルの位置が重なって配置されている。また、ボウルフィーダアセンブリ92は、Y方向において、2つのボウルフィーダユニット240の後述するボウルが前後する位置に配置されている。これにより、ボウルフィーダアセンブリ92は、ボウルフィーダユニット240を効率よく配置することができる。具体的には、X方向の幅を狭くすることができ、電子部品実装装置10の部品供給可能領域により多くの部品供給装置を配置することができる。
本実施形態において、第1列のボウルフィーダユニット240が有するボウルと第2列のボウルフィーダユニット240(第1列のボウルフィーダユニット240よりも保持位置から離れた位置に配置される)が有するボウルとは、レールの延在方向に直交する方向(X方向、基板の搬送方向)において、ボウルの外径の2倍以内の領域に配置される。このようにすることで、確実にX方向の幅を狭くすることができ、電子部品実装装置10の部品供給可能領域により多くの部品供給装置を配置することができる。
次に、図24及び図25を用いて、部品供給ユニット14fのボウルフィーダアセンブリ92のボウルフィーダユニット240について説明する。図24及び図25に示すボウルフィーダユニット240は、ボウルフィーダを電子部品供給装置として用いている。まず、図24及び図25を用いてボウルフィーダユニット240の全体構成について説明する。図24は、部品供給ユニットの他の例を示す側面図である。図25は、部品供給ユニットの他の例を示す上面図である。
ボウルフィーダユニット240は、電子部品供給装置(ボウルフィーダ)262、264、266と、駆動装置268と、固定部270と、を有する。つまり、ボウルフィーダユニット240は、3つの電子部品供給装置262、264、266を備え、3箇所で部品を供給することができる機構である。また、ボウルフィーダユニット240は、1つの駆動装置268が、電子部品供給装置262、264、266の駆動部となる。また、ボウルフィーダユニット240は、固定部270が電子部品供給装置262、264、266と、駆動装置268と、を支持している。固定部270は、鉛直方向に伸びた枠形状の支持部296と、支持部298とを有し、電子部品供給装置262、264、266と、駆動装置268と、を上端と下端で支持している。また、支持部296と、支持部298とは、後述する駆動装置268の回転軸まで延在しており、駆動装置268が電子部品供給装置262、264、266の対象部分を回転軸中心に回動できる状態で支持している。
電子部品供給装置262は、ボウル280aと、レール282aと、支持機構284aと、を有する。電子部品供給装置264は、ボウル280bと、レール282bと、支持機構284bと、を有する。電子部品供給装置266は、ボウル280cと、レール282cと、支持機構284cと、を有する。電子部品供給装置262、264、266は、ボウル280a、280b、280cが水平方向における位置が重なる位置に積層して配置され、鉛直方向上から順にボウル280a、280b、280cの順で配置されている。また、電子部品供給装置262、264、266は、支持機構284a、284b、284cが同一平面上に並列して配置されている。すなわち、複数のレール282a、282b、282cのそれぞれの保持位置は、同一平面に配置される。
電子部品供給装置262、264、266は、配置位置や、この配置位置が異なる関係でレール282a、282b、282cの形状が異なるのみで基本的に同様の構成である。以下、電子部品供給装置262、264、266のボウル280a、280b、280cで共通する点については、ボウル280として説明する。同様に、レール282a、282b、282cで共通する点については、レール282として説明する。支持機構284a、284b、284cで共通する点については、支持機構284として説明する。
ボウル280は、複数の電子部品が投入されている入れ物である。レール282は、ボウル280に投入された電子部品を吸着位置まで案内する案内部材となる。支持機構284は、レール282で案内された電子部品を吸着位置で支持する機構である。電子部品供給装置262、264、266は、ボウル280及び駆動装置268の加振部と連結しており、駆動装置268からボウル280に振動を伝達する連結部をさらに有する。なお、本実施形態において、電子部品供給装置262、264、266は、駆動装置268が振動部となる。
駆動装置268は、モータ290と、軸292と、取付ブロック部294と、を有する。モータ290は、駆動装置268の駆動源である。軸292は、固定部に固定され、回転可能な状態で支持されている。軸292は、取付ブロック部294と連結している。取付ブロック部294は、ボウル280a、280b、280cと連結されており、軸292を回転軸として一体で回動する。駆動装置268は、モータ290の駆動力を軸292、取付ブロック部294及び電子部品供給装置262、264、266の連結部を介してボウル280a、280b、280cに伝達し、ボウル280a、280b、280cを振動させることで、ボウル280a、280b、280cが保持している電子部品をレール282a、282b、282cに搬送する。また、駆動装置268は、レール282a、282b、282cも一方向に振動させる。
ボウルフィーダユニット240は、以上のように部品供給装置262、264、266のボウルを鉛直方向に積層することで、水平方向の領域を有効に活用することができ、複数の部品供給装置を省スペースで配置することができる。これにより、ボウルフィーダユニット240は、吸着位置に多数の電子部品を供給することができる。また、ボウルフィーダユニット240は、以上のように部品供給装置262、264、266のボウルを鉛直方向に積層することで、支持機構284を水平方向に近接して配置することができる。これにより、電子部品の吸着位置を近づけることができ、部品の吸着時のヘッドの移動距離を少なくすることができる。また、ボウルフィーダユニット240は、1つの駆動装置268を、3つの部品供給装置262、264、266の駆動部として用いることで、駆動源を少なくすることができ、装置構成を簡単にすることができる。また、固定部270で部品供給装置262、264、266の回転軸を支持することで、安定して各部を振動させることができる。また、上記実施形態のボウルフィーダユニット240は、部品供給装置を3つとしたが、これに限定されず、部品供給装置の数は限定されない。
また、本実施形態では、ボウルフィーダユニット240の駆動部として、ボウル280を振動させる駆動機構を用いたがこれに限定されない。ボウルフィーダユニット240を構成する電子部品供給装置(ボウルフィーダ)は、ボウル280を震わすことでレール282に電子部品80を供給することができればよい。例えば、駆動部としてボウル280を揺動させる駆動部を用いてもよい。
ボウルフィーダユニット240の部品供給装置262、264、266は、レール282のボウル280側の端部に電子部品の有無を検出する始端側部品検出センサを有する。始端側部品検出センサは、レール282のボウル280側の端部に電子部品があるかを検出する。始端側部品検出センサとしては、レーザセンサを用いることができる。ボウルフィーダユニット240は、始端側部品検出センサでレール282のボウル280側の端部に電子部品があるかを検出することで、電子部品がレール282に留まり、満杯状態であるかを検出することができる。例えば、ボウルフィーダユニット240は、始端側部品検出センサで、電子部品を検出している状態が一定時間連続して検出された場合、電子部品が所定位置で留まり、レール282の先に進めない状態であるので、満杯状態であると判定することができる。
ボウルフィーダユニット240の部品供給装置262、264、266は、レール282の先端(吸着位置、保持位置)の電子部品の有無を検出する保持位置側部品検出センサを有する。保持位置側部品検出センサは、対応するレール282の先端側である保持位置に電子部品があるかを検出する。保持位置側部品検出センサは、発光部と受光部とを有する光学式センサである。発光部と受光部は、両者で保持位置を挟む位置に配置されている。保持位置側部品検出センサは、発光部から出力した測定光が受光部で受光された場合、測定領域(本実施形態では保持位置)に電子部品がないことを検出する。保持位置側部品検出センサは、発光部から出力した測定光が受光部で受光されない場合、測定領域(本実施形態では保持位置)に電子部品があることを検出する。ボウルフィーダユニット240は、保持位置側部品検出センサで、保持位置の電子部品の有無を検出し、検出結果に基づいて、ボウルフィーダユニット240を駆動する。ボウルフィーダユニット240は、例えば、保持位置側部品検出センサで、保持位置に電子部品がないと判定した場合、駆動装置268を駆動し、電子部品を搬送する。
また、電子部品実装装置10は、ヘッド15のノズル32でボウルフィーダユニット240の保持位置の電子部品を保持する動作を実行する場合、保持位置側部品検出センサで保持位置に電子部品があることが検出されている場合は、保持位置の電子部品を保持する保持動作を実行し、保持位置側部品検出センサで保持位置に電子部品がないことが検出されている場合は、待機するようにしてもよい。これにより、電子部品実装装置10は、電子部品をより確実に保持することができ、保持位置に電子部品がない場合に保持動作を実行することを抑制することができる。これにより、電子部品実装装置は、電子部品の保持動作をより効率よく実行することができる。
電子部品供給装置262、264、266は、ボウル280とレール282とを接続する基端レールのレール282側の端部に鉛直方向上側に空気を噴射するエアブロー部を有する。エアブロー部は、基端レールのレール282側の端部に鉛直方向上向きの空気を吹き付けることで、当該位置にある電子部品をボウル280に戻す。これにより、部品供給装置262、264、266は、ボウル280とレール282との接続部周辺で電子部品が滞留することを抑制することができる。
次に、電子部品実装装置の各部の動作について説明する。なお、下記で説明する電子部品実装装置の各部の動作は、いずれも制御装置20に基づいて各部の動作を制御することで実行することができる。
図26は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図26を用いて、電子部品実装装置10の全体の処理動作の概略を説明する。なお、図26に示す処理は制御装置20が各部を制御することで実行される。電子部品実装装置10は、ステップS252として、生産プログラムを読み込む。生産プログラムは、専用の生産プログラム作成装置で作成されたり、入力された各種データに基づいて制御装置20によって作成されたりする。
電子部品実装装置10は、ステップS252で生産プログラムを読み込んだら、ステップS254として、装置の状態を検出する。具体的には、部品供給ユニット14f、14rの構成、充填されている電子部品の種類、準備されているノズルの種類等を検出する。電子部品実装装置10は、ステップS254で装置の状態を検出し、準備が完了したら、ステップS256として、基板を搬入する。電子部品実装装置10は、ステップS256で基板を搬入し、電子部品を実装する位置に基板を配置したら、ステップS258として電子部品を基板に実装する。電子部品実装装置10は、ステップS258で電子部品の実装が完了したら、ステップS260として基板を搬出する。電子部品実装装置10は、ステップS260で基板を搬出したら、ステップS262として生産終了かを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS262で生産終了ではない(No)と判定した場合、ステップS256に進み、ステップS256からステップS260の処理を実行する。つまり、生産プログラムに基づいて、基板に電子部品を実装する処理を実行する。電子部品実装装置10は、ステップS262で生産終了である(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、以上のようにして、生産プログラムを読み込み、各種設定を行った後、基板に電子部品を実装することで、電子部品が実装された基板を製造することができる。また、電子部品実装装置10は、電子部品として、本体と当該本体に接続されたリードとを有するリード型電子部品を基板に実装、具体的には、リードを基板に形成された穴(挿入穴)に挿入することで当該電子部品を基板に実装することができる。
図27は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図27に示す処理動作は、基板を搬入してから、基板への電子部品の搭載が完了するまでの動作である。また、図27に示す処理動作は、制御部60が各部の動作を制御することで実行される。
制御部60は、ステップS302として、基板を搬入する。具体的には、制御部60は、電子部品を搭載する対象の基板を基板搬送部12で所定位置まで搬送する。制御部60は、ステップS302で基板を搬入したら、ステップS304として保持移動を行う。ここで、保持移動(吸着移動)とは、ノズル32が部品供給ユニット14の保持領域にある電子部品80と対面する位置までヘッド本体30を移動させる処理動作である。
制御部60は、ステップS304で保持移動を行ったら、ステップS306として、ノズル32を下降させる。つまり、制御部60は、電子部品80を保持(吸着、把持)できる位置までノズル32を下方向に移動させる。制御部60は、ステップS306でノズル32を下降させたら、ステップS308として、ノズル32で部品を保持し、ステップS310として、ノズル32を上昇させる。制御部60は、ステップS310でノズルを所定位置まで上昇させたら、具体的には電子部品80をレーザ認識装置38の計測位置まで移動させたら、ステップS312として、ノズル32で吸着している電子部品の形状を検出する。制御部60は、ステップS312で電子部品の形状を検出したら、ステップS314としてノズルを上昇させる。なお、制御部60は、上述したようにステップS312で部品形状を検出し、保持した電子部品が搭載不可であると判定した場合、電子部品を廃棄し、再び電子部品を吸着する。制御部60は、ノズルを所定位置まで上昇させたら、ステップS316として、搭載移動、つまりノズル32で吸着している電子部品を基板8の搭載位置(実装位置)に対向する位置まで移動させる処理動作を行い、ステップS318として、ノズル32を下降させ、ステップS320として部品搭載(部品実装)、つまりノズル32から電子部品80を解放する処理動作を行い、ステップS322として、ノズル32を上昇させる。つまり、制御部60は、ステップS312からステップS320の処理動作は、上述した実装処理を実行する。
制御部60は、ステップS322でノズルを上昇させた場合、ステップS324として全部品の搭載が完了したか、つまり基板8に搭載する予定の電子部品の実装処理が完了したかを判定する。制御部60は、ステップS324で全部品の搭載が完了していない(No)、つまり搭載する予定の電子部品が残っていると判定した場合、ステップS304に進み、次の電子部品を基板8に搭載する処理動作を実行する。このように制御部60は、基板に全部品の搭載が完了するまで、上記処理動作を繰り返す。制御部60は、ステップS324で全部品の搭載が完了した(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
次に、図28に示す処理は、電子部品の実装前の処理、具体的には電子部品の形状の計測処理及び計測結果に基づいた判定処理である。なお、制御部60は、図28の処理を保持するすべての電子部品に対して実行する。制御部60は、ステップS420として保持対象の電子部品のデータを取得する。ここで、保持対象(吸着対象、把持対象)の電子部品のデータとは、当該電子部品を基板に実装するために必要な各種情報である。保持対象の電子部品のデータは、当該電子部品が保持されている電子部品供給装置90の位置、電子部品の形状データ、電子部品の吸着高さ(保持高さ)、電子部品をレーザ認識装置38で計測する計測位置の情報等である。
制御部60は、ステップS420でデータを取得したら、ステップS422として計測位置を決定する。つまり、制御部60は、ステップS420で取得したデータに基づいて電子部品の形状を検出する位置、つまり、電子部品のZ軸方向の位置を決定する。なお、制御部60は、ステップS420及びステップS422の処理を、電子部品の吸着前に行ってもよい。
制御部60は、ステップS422で計測位置を決定し、かつノズルで電子部品を吸着した場合、ステップS424として、電子部品のZ軸位置を調整する。つまり、制御部60は、ノズルをZ軸方向に移動させることで、電子部品のステップS422で決定した計測位置をレーザ認識装置38の計測領域に移動させる。制御部60は、ステップS424で電子部品のZ軸位置を調整したら、ステップS426として電子部品の形状を計測する。つまり、制御部60は、レーザ認識装置38を用いて電子部品の計測位置における形状を検出する。
制御部60は、ステップS426で電子部品の計測位置における形状を検出したら、ステップS428として計測終了かを判定する。つまり制御部60は、ステップS422で決定した計測位置での形状の計測が終了したかを判定する。制御部60は、ステップS428で計測終了ではない(No)と判定した場合、ステップS424に進み、ステップS424とステップS426の処理を再び行い、計測が終了していない計測位置の形状を計測する。制御部60は、このように電子部品の位置の調整と形状の計測とを繰り返すことで、設定した計測位置の形状を検出する。
制御部60は、ステップS428で計測終了である(Yes)と判定した場合、ステップS430として計測結果と基準データとを比較する。ここで基準データは、ステップS420で取得した吸着対象(保持対象)の電子部品の形状のデータである。制御部60は、計測結果と基準データとを比較することで、吸着している電子部品が基準データと一致する形状であるか、電子部品の向きが基準データの向きと一致するか等を判定する。
制御部60は、ステップS430で比較を行ったら、ステップS432として部品は適正であるかを判定する。具体的には、制御部60は、ステップS432で電子部品を実装可能な状態で吸着しているかを判定する。制御部60は、ステップS432で部品は適正ではない(No)と判定した場合、ステップS434としてノズルが吸着している電子部品を廃棄し、本処理を終了する。制御部60は、部品貯留部19と対面する位置にヘッド及びノズルを移動させ、当該ノズルが保持している電子部品を部品貯留部19に投入することで、電子部品を廃棄する。なお、制御部60は、同一種類の電子部品を基板の同一搭載位置(実装位置)に実装する処理を再び実行する。
制御部60は、ステップS432で部品は適正である(Yes)と判定した場合、ステップS436として部品の方向(ノズルの回転方向における方向)が適正であるかを判定する。つまり、吸着している電子部品が基準の向きと同一であるかを判定する。なお、本実施形態の制御部60は、ステップS436として電子部品は反転しているかを判定する。制御部60は、ステップS436で方向が適正ではない(No)、つまり電子部品が反転した状態であると判定した場合、ステップS438で電子部品を反転させた後ステップS440に進む。
制御部60は、ステップS436でYesと判定した場合またはステップS438の処理を実行した場合、ステップS440として保持位置に基づいて、電子部品の搭載位置(実装位置)を微調整する。例えば、電子部品の形状の検出結果に基づいて、ノズルが電子部品を吸着している位置を検出し、基準位置に対する保持位置のずれに基づいて、実装時のノズルと基板の相対位置を調整する。制御部60は、ステップS440の処理を実行したら本処理を終了する。また、制御部60は、図28のステップS440の処理を行ったら、判定した電子部品をステップS440の結果を加味して電子部品を基板に実装する。
電子部品実装装置10は、このようにレーザ認識装置38を用いて電子部品の形状を検出し、その結果に基づいて各種処理を行うことで、基板により適切に電子部品を実装することができる。
電子部品実装装置10は、図28に示すフローチャートのステップS434で電子部品を廃棄したが、電子部品のリードの形状が不適切と判定した場合、リードの形状を修正する処理を実行するようにしてもよい。つまり、ステップS434で電子部品を廃棄せずに、電子部品のリードを挿入可能な形状に補正(加工)し、搭載位置(実装位置)に実装するようにしてもよい。電子部品実装装置10は、電子部品供給装置90のカットユニットの電子部品をクランプする機構で電子部品のリードを修正するようにしても、別途設けた修正機構で電子部品のリードを修正するようにしてもよい。このようにリードの形状を加工する加工手段としては、電子部品の本体またはリードをクランプする機構、別途設けた修正機構等、種々の手段を用いることができる。
次に、図29から図31を用いて、ヘッド及びノズルの動作について説明する。なお、図29から図31は、電子部品供給装置としてラジアルフィーダ、つまり電子部品供給装置90を用いた場合の制御の一例である。図29は、操作画面の一例を示す説明図である。電子部品実装装置10は、図29に示す操作画面302を表示させることで、オペレータにより電子部品供給装置90の電子部品の供給動作の制御条件を設定させる。操作画面302には、制御条件として、クランプ待ち時間を入力する入力項目304と、クランプ解除待ち時間を入力する入力項目306が表示されている。ここで、クランプ待ち時間は、クランプ命令が送られてから、ヘッドの対応するノズルの降下を許可するまでの時間の下限値である。つまり、クランプ命令の出力を開始時点としたノズルの降下の開始を禁止する時間である。例えば、クランプ待ち時間が100%の場合、電子部品実装装置10は、電子部品のクランプ命令が送られてから設定の100%に対応する時間、例えば96msec以上の時間が経過してないとヘッドのノズルの降下を開始させない。クランプ待ち時間を設けることで、電子部品供給装置90によってリードが切断され、保持された状態の電子部品をノズルで保持することができる。ここで、本実施形態は、クランプとリードの切断は、一連の動作で実行するため、リード径が太い等の理由でリードの切断に時間が掛かる場合、クランプ待ち時間を長くすることで、保持の失敗が生じる可能性を低くすることができる。クランプ解除待ち時間は、クランプ解除命令が送られてから、ヘッドの対応するノズルの上昇を許可するまでの時間の下限値である。例えば、クランプ解除待ち時間が100%の場合、電子部品実装装置10は、電子部品のクランプ解除命令が送られてから設定の100%に対応する時間、例えば210msec以上の時間が経過してないとヘッドのノズルの上昇を開始させない。クランプ解除待ち時間を設けることで、電子部品供給装置90によって電子部品の保持が十分でない状態でノズルを上昇させることがおきにくくすることができる。例えば、電子部品が重い場合、保持しにくい形状である場合、クランプ解除待ち時間を長くすることで、保持の失敗が生じる可能性を低くすることができる。
図30は、操作画面の一例を示す説明図である。電子部品実装装置10は、図30に示す操作画面310を表示させることで、オペレータにより電子部品供給装置90の電子部品の供給動作の制御条件を設定させる。操作画面310には、制御条件として、オンホールド時間を入力する入力項目312と、オフホールド時間を入力する入力項目314が表示されている。ここで、オンホールド時間は、フィードONの命令が送られてからフィードのON動作を終了するまでの時間である。つまり、オンホールド時間とは、ラジアルフィーダのテープを送る動作を実行する時間である。例えば、オンホールド時間が100%の場合、電子部品実装装置10は、フィードONの命令が送られてから設定の100%に対応する時間、15msec経過後にフィード動作をOFFにする。オンホールド時間は、搬送する対象の重量、主として電子部品の重量、及び送り量に応じて設定する。基本的には、重い場合、送り量が大きい(距離が長い)場合、オンホールド時間を長くする。例えば、8mmのテープフィーダは、10msecとし、32mmのエンボスフィーダは、30msecとする。これにより、搬送する対象が重いまたは送り量が大きく、テープを搬送するまでに時間がかかる場合であっても高い精度で所定の位置までテープを搬送することができる。なお、テープの送り動作は、テープの残量等によってもかかる時間が変わるため、オンホールド時間中に動作が終了する場合もある。オフホールド時間は、フィードOFFの命令が送られてからフィードのOFF動作を終了するまでの時間である。つまり、オフホールド時間とは、ラジアルフィーダの送り機構を送り動作の開始位置まで戻す動作(戻り動作)を実行する時間である。例えば、オフホールド時間が100%の場合、電子部品実装装置10は、フィードOFFの命令が送られてから設定の100%に対応する時間、20msec経過後に戻り動作をOFFにする。オフホールド時間も、搬送する対象の重量や移動距離に応じて設定する。基本的には、重い場合、移動距離が長い、オフホールド時間を長くする。例えば、8mmのテープフィーダは、4msecとし、32mmのエンボスフィーダは、20msecとする。これにより、元の位置まで戻るまでの時間がかかる場合であっても高い精度で所定の位置まで送り機構を戻すことができる。なお、送り機構の戻り動作は、オフホールド時間中に動作が終了する場合もある。
次に、図31を用いて各部の動作のタイミングと、クランプ待ち時間、クランプ解除待ち時間、オンホールド時間及びオフホールド時間と、の関係について説明する。図31は、電子部品実装装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。図31では、ヘッドのXY軸方向の移動と停止、ノズルのZ軸方向における位置(上昇位置にいるか下降位置にいるか)、電子部品供給装置のクランプ機構が供給位置の電子部品の本体部をクランプしてリードをカットした状態か、リリースしている状態か、電子部品供給装置のフィーダ機構がリリース状態かフィード状態かを示している。即ち、図31は、テープに固定された電子部品を供給位置に送り、供給位置に送られた電子部品の本体をクランプしてリードを切断してテープから電子部品を開放した後に、ノズルが前記電子部品本体に下降吸着して保持してからノズルを上昇し基板に前記電子部品を移送すると共に次の電子部品を前記供給位置に送る動作を繰り返すことを示している。ここで、フィーダ機構がリリース状態であるとは、テープの送り穴に送り機構の爪が挿入していない状態であり、フィード状態であるとは、テープの送り穴に送り機構の爪が挿入している状態である。また、フィーダ機構がフィード状態のとき、テープに保持された先端の電子部品がクランプ機構によってクランプ、カット可能な位置(供給位置)に移動されている。
ここで、電子部品実装装置10は、範囲332、336、349でヘッドをXY方向に移動させる。具体的には、電子部品実装装置10は、範囲332でヘッドを電子部品供給装置の供給位置まで移動させる。電子部品実装装置10は、範囲336、349で電子部品供給装置と対面するヘッドのノズルが切り替わるようにヘッドを移動させる。また、図31の範囲330、342は、クランプ待ち時間であり、範囲334、344は、クランプ解除待ち時間である。また、図31の範囲338、346は、オンホールド時間(電子部品を供給位置に移動するために送り機構の爪がテープの送り穴に挿入してテープを送る時間)であり、範囲340、348は、オフホールド時間(電子部品を供給位置に移動後に送り機構の爪がテープの送り穴から離脱して次の送り穴に移動する時間)である。
電子部品実装装置10は、時間t1でヘッドの移動を開始し、同時にクランプ命令を出力し、クランプ機構による電子部品のカット動作及びクランプ動作を開始する。また、時間t1でクランプ待ち時間が開始する。クランプ待ち時間が経過し、かつヘッドのXY方向の移動が終了した時間t2で、対応するノズルの降下を開始する。その後、電子部品実装装置10は、時間t3でノズルのZ軸方向の降下が終了し、降下位置に移動したら、ノズルによる電子部品の保持動作を開始する。その後、電子部品実装装置10は、クランプ解除命令を出力し、クランプ機構による解除動作を開始させ、クランプ解除待ち時間が開始する。電子部品実装装置10は、クランプ解除待ち時間が経過した時間t4でノズルのZ軸方向の上昇動作を開始し、時間t5でノズルが上昇位置まで移動したら、ヘッドをXY方向に移動させる。ここで、電子部品実装装置10は、時間t4の後、フィーダ機構によって、オンホールド時間の間、フィード動作を実行させ、その後オフホールド時間の間戻り動作を実行させる。これにより、次の電子部品を保持位置に移動させる。
電子部品実装装置10は、オフホールド時間が経過した時間t6で、クランプ命令を出力し、クランプ機構による電子部品のカット動作及びクランプ動作を開始する。また、時間t6でクランプ待ち時間が開始する。クランプ待ち時間が経過し、かつヘッドのXY方向の移動が終了した時間t7で、対応するノズルの降下を開始する。その後、電子部品実装装置10は、ノズルのZ軸方向の降下が終了し、降下位置に移動したら、ノズルによる電子部品の保持動作を開始する。その後、電子部品実装装置10は、クランプ解除命令を出力し、クランプ機構による解除動作を開始させ、クランプ解除待ち時間が開始する。電子部品実装装置10は、クランプ解除待ち時間が経過した時間t8でノズルのZ軸方向の上昇動作を開始し、時間t9でノズルが上昇位置まで移動したら、ヘッドをXY方向に移動させる。ここで、電子部品実装装置10は、時間t8の後、フィーダ機構によって、オンホールド時間の間、フィード動作を実行させ、その後オフホールド時間の間、戻り動作を実行させる。これにより、次の電子部品を保持位置に移動させる。
電子部品実装装置10は、クランプ待ち時間、クランプ解除待ち時間、オンホールド時間及びオフホールド時間を設けて、各部の動作のタイミングを制御することで、各部の動作の完了を検出しなくても円滑に電子部品の保持動作を実行することができる。
次に、図32から図38を用いて、電子部品実装装置の電子部品の形状の認識動作について説明する。図32は、電子部品実装装置の電子部品の形状の認識動作を説明するための説明図である。図33は、電子部品実装装置の電子部品の形状の認識動作を説明するための説明図である。図34は、電子部品実装装置の電子部品の形状の認識動作を説明するための説明図である。図35は、電子部品実装装置の電子部品の形状の認識動作を説明するための説明図である。図36は、電子部品実装装置の電子部品の形状の認識動作を説明するための説明図である。図37は、認識動作の検出結果の一例を示す模式図である。図38は、認識動作の検出結果の一例を示す模式図である。
電子部品実装装置10は、上述したようにレーザ認識装置38を用いて電子部品の形状を計測する。レーザ認識装置38は、図32に示すように、光源38aと受光素子38bとの間に電子部品80が配置されている状態で、光源38aからレーザ光を出力し、受光素子38bで到達したレーザ光を検出することで、光源38aと受光素子38bとの間に配置されている部品の形状を検出する。また、レーザ認識装置38は、ノズル32で吸着した電子部品80の一方向の形状を検出したら、ノズル駆動部34によりノズル32を移動または回転させて電子部品80を移動または回動させて、形状の検出を再び行う。このように、レーザ認識装置38は、電子部品80を回転させることで、図33に示すように、電子部品80に対してレーザ光が照射される方向及び電子部品80に対する受光素子38bの角度が変化する。
電子部品実装装置10は、図34に示すように、ステップS451として、電子部品80のZ軸方向の高さを合わせて、レーザ認識装置38は、光源38aと受光素子38bとの間に電子部品80が配置された状態で、光源38aから一定の領域にレーザ光を照射する。その後、電子部品実装装置10は、ステップS452として、電子部品80の回転(θ方向の回転)を開始する。
その後、電子部品実装装置10は、電子部品80の回転の回転速度が一定速度に到達したら、ステップS453としてレーザ認識装置38で電子部品80の所定向きの形状の計測を開始する。このとき、レーザ認識装置38は、光源38aと受光素子38bとの間に電子部品80が配置された状態で、光源38aから一定の領域にレーザ光を照射し受光素子38bでレーザ光を受光する。ここで、電子部品80でさえぎられたレーザ光は、受光素子38bに到達しないまたは強度が低下する。これにより、レーザ認識装置38は、受光素子38bで受光したレーザ光の分布で、測定した角度の断面における電子部品80の形状を検出することができる。本実施形態において、レーザ認識装置38は、受光素子38bで受光したレーザ光の端部を検出し、当該向きにおける電子部品80の最外形を検出する。電子部品実装装置10は、ステップS454として、電子部品80を回転させつつステップS453の方法による電子部品80の形状の検出を繰り返すことで、電子部品80の一周分の形状を検出する。これにより、電子部品80の全方向の形状を検出することができる。レーザ認識装置38は、このように、一周分の方向からの形状を検出し、図35に示すように各方向形状の検出結果をかさねあわせることで、電子部品80の三次元形状(最外部分の形状)を正確に検出することができる。
ここで、上述したように本実施形態の電子部品実装装置10は、ラジアルリード型電子部品である電子部品80を基板8に搭載する。電子部品実装装置10は、図36に示す電子部品80の形状を検出する場合、計測するZ軸方向の高さによって検出される形状が異なる。つまり、電子部品実装装置10のレーザ認識装置38は、図36に示すようにラインAで検出を実行する場合、ラインBで検出を実行する場合、ラインCで検出を実行する場合、ラインDで検出を実行する場合で検出される形状が異なる形状となる。
例えば、レーザ認識装置38は、図36に示すラインAで形状の計測を行うと、図37に示すように電子部品80の本体82の形状を検出することができる。また、レーザ認識装置38は、図36に示すラインBで形状の計測を行うと、図38に示すように電子部品80のリード84の形状を検出することができる。なお、レーザ認識装置38は、電子部品の計測高さの最外部分の形状を検出するため、電子部品の形状として、電子部品の一番外側同士(一番外側のリード84)をつなげた形状が検出される。また、レーザ認識装置38は、図36に示すラインCで形状の計測を行うと、本体82の下面位置の形状を検出することができ、図36に示すラインDで形状の計測を行うと、リード84の下面位置の形状を検出することができる。電子部品実装装置10は、電子部品80を吸着しているノズル32のZ軸方向の高さを調整することで、レーザ認識装置38が電子部品80の形状を計測する位置を種々の位置とすることができる。
図39は、電子部品実装装置の電子部品の形状の認識動作を説明するための説明図である。また、電子部品実装装置10は、ラジアルリード型電子部品である電子部品として、図39に示す電子部品80aを用いる場合もある。電子部品80aは、本体82aの一部に切り欠き89が形成されている。電子部品80aは、切り欠き89が形成されている部分が他の電子部品とは異なる形状となる。また、電子部品80aは、切り欠き89が形成されている位置により向きを判定することができる。
ここで、本実施形態の電子部品実装装置10の制御部60は、搭載対象の電子部品、つまり、ノズルで吸着した電子部品に対する位置(電子部品のZ軸方向の位置)がオペレータによって予め設定されている場合、オペレータによって設定された位置の電子部品の形状をレーザ認識装置38で検出する。このように、電子部品実装装置10は、オペレータが設定した位置に基づいて電子部品の形状を計測することで、電子部品の特徴的な形状部分を計測位置とすることができ、電子部品の種類の識別及び電子部品の向きの検出をより高い精度で実行することができる。
なお、電子部品実装装置10は、レーザ認識装置38を用いて電子部品の形状認識を行う場合で説明したが、これに限定されない。電子部品実装装置10は、状態検出部として、筐体11に支持された電子部品形状を三次元計測するカメラ(本実施形態のVCSユニット17)で行ってもよい。なお、VCS以外の公知の電子部品形状を三次元計測するカメラを用いてもよい。電子部品形状を三次元計測するカメラで、測定対象の電子部品のリード先端部の間隔、リードの曲がり形状、部品本体形状等を計測することで、同様の処理を実行することができる。
以下、図40から図45を用いて電子部品の形状の認識動作において計測する位置の設定処理の一例につて説明する。図40は、操作画面の一例を示す説明図である。図41から図45は、それぞれ電子部品実装装置の電子部品の形状の認識動作を説明するための説明図である。
電子部品実装装置10は、図40に示す操作画面350を表示させることで、オペレータにより電子部品の形状の認識動作の制御条件を設定させる。操作画面350には、制御条件として、判別高さを入力する入力項目352と、吸着補正高さを入力する入力項目354が表示されている。判別高さ、吸着補正高さは、外形寸法の高さの下端を基準とした高さである。操作画面350には、制御条件として、判別を実行するかしないかを入力する項目355、判別方式を入力する項目356、判別角度を入力する項目357も表示されている。判別方法としては、リード、パッケージ、面取りの3つの方法が表示されている。ここで、リードは、リードの外形形状で判別する方法である。パッケージは、電子部品の本体の外形形状で判定する方法である。面取りは、本体の面取りがされている部分を含む高さの外形形状で判定する方法である。
電子部品実装装置10は、図40に示す操作画面350のように判別高さを1mmに設定している場合、図41に示すように電子部品360の下端から1mmの高さである面362で電子部品の形状を認識する。なお、電子部品360は、高さ15mmの電子部品である。また、電子部品実装装置10は、図40に示す操作画面350のように吸着補正高さを14.70mmに設定している場合、図42に示すように電子部品360の下端から14.70mmの高さである面364で電子部品の形状を認識する。
次に、電子部品実装装置10は、例えば操作画面350で、判別方法の項目でパッケージが選択されている場合、図43に示すように、電子部品370の本体が計測高さとなるように、項目352の数値を設定する。なお、吸着補正高さが同様であるため、面372の高さは、面364と同じである。例えば、電子部品実装装置10は、判別高さを6mmに設定している場合、図43に示すように電子部品370の下端から6mmの高さである面374で電子部品の形状を認識する。
次に、電子部品実装装置10は、例えば操作画面350で、判別方法の項目で面取りが選択されている場合、図44に示すように、電子部品370の本体の面取り部分が計測高さとなるように、項目352の数値を設定する。また、判別方法の項目で面取りが選択されている場合、判別角度の入力項目に計測時の角度を設定する。例えば、電子部品実装装置10は、判別高さを13mmに設定している場合、図44に示すように電子部品360の下端から13mmの高さである面372で電子部品の形状を認識する。電子部品実装装置10は、さらに判別角度を45°に設定している場合、図45に示すように、供給角度を90度として電子部品370が供給された場合、電子部品370を45度回転させ、電子部品370aの向きにおける電子部品の形状も計測する。なお、面取り部分で形状を判定する場合、面取り部分のみで形状を判定するので、吸着補正高さの設定は必要ない。
このように、電子部品によって、形状の判別方法や、計測する高さを設定し、設定した方法、高さで電子部品の形状の認識動作を実行することで、電子部品とノズルとの相対関係や、正しい電子部品を保持しているかをより高い確率で計測することができる。
図46は、操作画面の一例を示す説明図である。図47は、操作画面の一部を示す説明図である。図48Aは、部品提供角度の一例を示す説明図である。図48Bは、部品提供角度の一例を示す説明図である。図49は、操作画面の一例を示す説明図である。図50は、操作画面の一例を示す説明図である。図51は、操作画面の一部を示す説明図である。
以下、図46から図51を用いて、電子部品実装装置10に実装する電子部品の各種情報を登録する処理の一例を説明する。電子部品実装装置10は、登録された電子部品の情報に基づいて、生産プログラムに基づいた実装処理の各種値を決定し、決定した値に基づいて電子部品の実装を実行する。なお、電子部品の各種情報は、生産プログラムの一部として登録することも、複数の生産プログラムに共通の電子部品単体の情報として登録することもできる。
電子部品実装装置10は、表示部42(タッチパネル42aまたはビジョンモニタ42b)に図46に示す操作画面602を表示させる。操作画面602は、各種入力項目が表示されている。オペレータは、操作画面602が表示されている状態で、各種操作を行うことで、電子部品の情報を入力することができる。なお、図46では、電子部品の情報を部品データとして入力する画面を示しているが、電子部品実装装置10は、基板データ、搭載データ、吸着データ、ビジョンデータも入力することができる。
図46に示す操作画面602は、電子部品の部品種別を入力する入力項目604と荷姿を入力する入力項目606が表示されている。また、操作画面602は、電子部品の横、縦、高さ、リード長さを含む外形寸法を入力する項目、センタリング方式にレーザ(レーザ認識装置38)を用いるかビジョン(VCSユニット17)を用いるかを選択する項目、パッケージサイズ(電子部品の本体の大きさ)を入力する項目等が含まれる。さらに操作画面602は、荷姿、センタリング、付加情報、拡張、検査等の詳細な項目を表示させるためのタブが表示されている。また、本実施形態の操作画面602は、荷姿の詳細項目として、保持位置に供給される電子部品の角度を示す部品提供角度の入力項目608、テープの種類の入力項目、電子部品の配置ピッチを示すピッチ情報の入力項目が含まれる。
ここで、入力項目604は、登録する電子部品の種類を入力する項目であり、項目を選択すると、図47に示すようにプルダウンで選択肢のリスト610が表示される。リスト610には、各種電子部品の種類に加え、挿入部品と他の部品の選択肢が表示される。オペレータは、カーソル612を所望の選択肢に合わせて、決定操作を行うことで、部品種別の入力項目604に情報を入力することができる。
入力項目608は、入力される保持位置に供給される電子部品の角度を示す部品提供角度として、0°、90°、180°、270°、その他が選択できる。例えば、図48Aに示すように、対象の電子部品が電子部品614である場合、電子部品614が90°ずつ回転した状態がそれぞれ0°、90°、180°、270°の姿勢となる。オペレータは、電子部品614が電子部品供給装置の保持位置に供給される際の姿勢がいずれの姿勢になるかに基づいて、入力項目608に角度を入力する。なお、電子部品614の角度の基準位置は、オペレータが設定することができる。
また、電子部品実装装置10は、図48Bに示すように、電子部品616が、テープ618に対して所定角度傾斜した状態で保持されている場合がある。ここで、電子部品616は、フィルムコンデンサである。オペレータは、電子部品616のように、姿勢が0°、90°、180°、270°のいずれにも該当しない場合、その他に電子部品616の角度を入力する。ここで、電子部品616を保持する場合、ヘッド15は、ノズル32として電子部品616を挟むことで保持する把持ノズルを用いることが好ましい。電子部品実装装置10は、把持ノズルを用いて電子部品616を保持する場合、入力項目608のその他に入力された部品提供角度に基づいて、ノズルの角度を調整することで、把持ノズルの接触面を電子部品616の傾斜に対応した角度とすることができ、保持ミスの発生を低減することができる。
電子部品実装装置10は、表示部42(タッチパネル42aまたはビジョンモニタ42b)に図46に示す操作画面602を表示させている状態で、操作部40により付加情報のタブが選択されると、操作画面602の一部に図49に示す操作画面620を表示させる。操作画面620には、搭載押し込み量の入力項目622と、吸着押し込み量の入力項目624とが含まれる。また、操作画面620は、試打を行うか、部品リリースをセンサで確認するか、部品吸着位置の補正をするか、オートティーチングを実行するか、部品スキップを実行するかの選択項目も表示されている。また、部品を廃棄する場合(部品が実装できない状態であると判定した場合)の電子部品の処理方法を入力する部品廃棄の項目も表示されている。
入力項目622は、搭載時に電子部品を基板上面より押し込む寸法を設定する項目である。「0」が、設計値において電子部品と基板との距離が0となる値である。電子部品実装装置10は、数値がプラスの方向に大きくなると、電子部品を基板よりも鉛直方向下側に押し込んだ状態まで移動させる。押し込み量を設定することで、基板の平面度等の影響により、部品が基板まで届かない状態で搭載されて搭載ずれが発生したり、搭載時クリームハンダの上で部品が滑ったりすることを抑制することができる。なお、電子部品をより確実に基板に実装させるため、初期値をプラスの値、例えば0.5mmとすることが好ましい。
入力項目624は、部品保持時の押し込み量である。つまり電子部品供給装置の保持位置でノズルが電子部品を保持する場合のノズルと電子部品との距離を設定する項目である。「0」が、設計値において電子部品とノズルの保持部との距離が0となる値である。電子部品実装装置10は、数値がプラスの方向に大きくなると、ノズルを電子部品よりも鉛直方向下側に押し込んだ状態まで移動させる。押し込み量を設定することで、部品寸法(高さ)のばらつき等の影響で、ノズルが電子部品まで届かず部品を吸着または把持できないことや、チップ形状の電子部品の立ち等の現象が発生することを抑制することができる。なお、電子部品をより確実にノズルで保持させるため、初期値をプラスの値、例えば0.2mmとすることが好ましい。
また、操作画面620は、部品レイヤの入力項目が表示されている。部品レイヤの入力項目は、同一の搭載レイヤ内での部品毎の優先度を設定する項目である。この項目を設定することで、最適化順の生産を行う場合に、当該電子部品の搭載順序の優先度を設定することができる。
また、操作画面620は、グリッパノズルデータの入力項目が表示されている。ここでグリッパノズルとは、電子部品を把持して保持する把持ノズルである。押し当て位置は、把持時に電子部品を押し当てる位置である。水平方向クリアランスは、把持ノズルの固定側アームの押し当て面と部品とのクリアランスをマイナスで入力する項目である。吸着時ノズル方向は、部品が0度で供給された時の吸着時のノズル方向を入力する項目である。吸着高さ微調整値は、把持時の把持高さ(吸着高さ)のオフセット値を入力する項目である。
電子部品実装装置10は、表示部42(タッチパネル42aまたはビジョンモニタ42b)に図46に示す操作画面602を表示させている状態で、操作部40により拡張のタブが選択されると、操作画面602の一部に図50に示す操作画面630を表示させる。操作画面630には、レーザ認識装置38で実行する電子部品の状態の検出処理の各種条件を設定する項目が表示されている。操作画面630には、レーザ高さの入力項目632と、部品形状の入力項目634と、ノズルの移動速度を設定する入力項目635と、が含まれる。ここで、θ速度(計測時)は、レーザ認識時のノズルのθ軸の加速度を入力する項目であり、θ速度(計測外)は、レーザセンタリング後の回転、例えば搭載角度にするための回転等の場合のノズルのθ軸の加速度を入力する項目である。ノズルの移動速度を設定する入力項目635は、低速から高速までの速度を段階的に分離した段階で速度を選択する項目である。つまり、入力項目635は、数値を入力しない。
入力項目632は、計測時のノズル先端からレーザ照射面までの距離を入力する項目である。入力項目634は、測定対象の電子部品の形状を入力する項目であり、図51に示すように、選択肢が表示されたリスト636からカーソル638で指定して、部品形状の情報を入力する。入力項目634で部品の形状、具体的には電子部品の本体の形状を入力することで、レーザ認識装置38で電子部品の形状を認識した場合に、当該電子部品であるかを判定する特徴点を特定することができる。例えば、入力項目634に角欠けなしが入力された場合、4つの頂点を検出する。これにより、位置ずれ、角度ずれを検出することができる。また、入力項目634に角欠けありが入力された場合、5つから8つの頂点を検出する。これにより、位置ずれ、角度ずれを検出することができる。入力項目634にPLCCが入力された場合、8つの頂点を検出する。また、PLCCの場合、検出した8つの頂点から4つの点を用いて、位置ずれ、角度ずれを検出することができる。また、入力項目634にフレキシブルが入力された場合、XY方向の部品幅が最小になる付近の8つの点を検出する。1から8の8つの頂点の位置を検出する。これにより、位置ずれ、角度ずれを検出することができる。
電子部品実装装置10は、以上のように操作画面602、620、630等を表示させて、電子部品に関連する種々の情報を取得することができる。電子部品実装装置10は、取得した電子部品に関連する種々の情報に基づいて電子部品の実装処理を行うことで、好適に電子部品を基板に搭載することができる。また、電子部品実装装置10は、リードのないリードなし電子部品(搭載型電子部品)と基板に挿入するリードを有するリード型電子部品(挿入型電子部品)とに適応した各種入力項目を設けることで、それぞれの電子部品に応じた処理を実行することができる。例えば、電子部品実装装置10は、部品種別として、挿入型電子部品であることを示す挿入部品を入力することができる。これにより、電子部品実装装置10は、部品種別を検出することで、搭載型電子部品か挿入型電子部品か、つまり、実装時にリードを基板の穴(挿入穴)に挿入するか否か(挿入するか、搭載するか)を検出することができる。
図52を用いて、電子部品の形状の認識動作について説明する。図52は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図52に示す処理は、制御部60が各部の動作を制御することで実行される。
図52に示す処理は、電子部品の実装前の処理、具体的には電子部品の形状の計測処理及び計測結果に基づいた判定処理である。なお、制御部60は、図52の処理を保持するすべての電子部品に対して実行する。制御部60は、ステップS520として保持対象の電子部品のデータを取得する。ここで、保持対象(吸着対象、把持対象)の電子部品のデータとは、当該電子部品を基板に実装するために必要な各種情報である。保持対象の電子部品のデータは、当該電子部品が保持されている部品供給装置90の位置、電子部品の形状データ、電子部品の吸着高さ(保持高さ)、電子部品をレーザ認識装置38で計測する計測位置の情報等である。
制御部60は、ステップS520でデータを取得したら、ステップS522として計測位置を決定する。つまり、制御部60は、ステップS520で取得したデータに基づいて電子部品の形状を検出する位置、つまり、電子部品のZ軸方向の位置を決定する。なお、制御部60は、ステップS520及びステップS522の処理を、電子部品の吸着前に行ってもよい。
制御部60は、ステップS522で計測位置を決定し、かつノズルで電子部品を吸着した場合、ステップS524として、電子部品のZ軸位置を調整する。つまり、制御部60は、ノズルをZ軸方向に移動させることで、電子部品のステップS522で決定した計測位置をレーザ認識装置38の計測領域に移動させる。制御部60は、ステップS524で電子部品のZ軸位置を調整したら、ステップS526として電子部品の形状を計測する。つまり、制御部60は、レーザ認識装置38を用いて電子部品の計測位置における形状を検出する。
制御部60は、ステップS526で電子部品の計測位置における形状を検出したら、ステップS528として計測終了かを判定する。つまり制御部60は、ステップS522で決定した計測位置での形状の計測が終了したかを判定する。制御部60は、ステップS528で計測終了ではない(No)と判定した場合、ステップS524に進み、ステップS524とステップS526の処理を再び行い、計測が終了していない計測位置の形状を計測する。制御部60は、このように電子部品の位置の調整と形状の計測とを繰り返すことで、設定した計測位置の形状を検出する。
制御部60は、ステップS528で計測終了である(Yes)と判定した場合、ステップS530として計測結果と基準データとを比較する。ここで基準データは、ステップS520で取得した吸着対象(保持対象)の電子部品の形状のデータである。制御部60は、計測結果と基準データとを比較することで、吸着している電子部品が基準データと一致する形状であるか、電子部品の向きが基準データの向きと一致するか等を判定する。
制御部60は、ステップS530で比較を行ったら、ステップS532として部品は適正であるかを判定する。具体的には、制御部60は、ステップS532で電子部品を実装可能な状態で吸着しているかを判定する。制御部60は、ステップS532で部品は適正ではない(No)と判定した場合、ステップS534としてノズルが吸着している電子部品を廃棄し、本処理を終了する。制御部60は、部品貯留部19と対面する位置にヘッド及びノズルを移動させ、当該ノズルが保持している電子部品を部品貯留部19に投入することで、電子部品を廃棄する。なお、制御部60は、同一種類の電子部品を基板の同一搭載位置(実装位置)に実装する処理を再び実行する。
制御部60は、ステップS532で部品は適正である(Yes)と判定した場合、ステップS536として部品の方向(ノズルの回転方向における方向)が適正であるかを判定する。つまり、吸着している電子部品が基準の向きと同一であるかを判定する。なお、本実施形態の制御部60は、ステップS536として電子部品は反転しているかを判定する。制御部60は、ステップS536で方向が適正ではない、つまり電子部品が反転した状態である(No)と判定した場合、ステップS538で電子部品を反転させた後ステップS540に進む。
制御部60は、ステップS536でYesと判定した場合またはステップS538の処理を実行した場合、ステップS540として保持位置に基づいて、電子部品の搭載位置(実装位置)を微調整する。例えば、電子部品の形状の検出結果に基づいて、ノズルが電子部品を吸着している位置を検出し、基準位置に対する保持位置のずれに基づいて、実装時のノズルと基板の相対位置を調整する。制御部60は、ステップS540の処理を実行したら本処理を終了する。また、制御部60は、図52のステップS540の処理を行ったら、判定した電子部品をステップS540の結果を加味して電子部品を基板に実装する。
電子部品実装装置10は、このようにレーザ認識装置38を用いて電子部品の形状を検出し、その結果に基づいて各種処理を行うことで、基板により適切に電子部品を実装することができる。
電子部品実装装置10は、図52に示すフローチャートのステップS534で電子部品を廃棄したが、電子部品のリードの形状が不適切と判定した場合、リードの形状を修正する処理を実行するようにしてもよい。つまり、ステップS534で電子部品を廃棄せずに、電子部品のリードを挿入可能な形状に補正(加工)し、搭載位置(実装位置)に実装するようにしてもよい。電子部品実装装置10は、電子部品供給装置90のカットユニットの電子部品をクランプする機構で電子部品のリードを修正するようにしても、別途設けた修正機構で電子部品のリードを修正するようにしてもよい。このようにリードの形状を加工する加工手段としては、電子部品の本体またはリードをクランプする機構、別途設けた修正機構等、種々の手段を用いることができる。
図53から図55を用いて、形状を計測した電子部品が適正であるかの判定の一例を説明する。つまり、図52のステップS530、S532で実行する処理の一例を説明する。図53は、操作画面の一例を示す説明図である。図54は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図55は、リードと挿入穴との関係を示す説明図である。
電子部品実装装置10は、図53に示す操作画面380を表示させることで、オペレータにより電子部品が実装可能かを判定する制御条件を設定させる。操作画面380には、制御条件として、スルーホール径を入力する入力項目381と、リード径を入力する入力項目382が表示されている。入力項目381は、実装する対象の電子部品のリードを挿入するスルーホールの径を入力する項目である。入力項目382は、実装する対象の電子部品のリードの径を入力する項目である。入力項目381、382で径を入力することで、製造時に正しい電子部品、正しい基板に実装をしているかを判定することができる。また、操作画面380には、領域383に制御条件として、実装可能かを判定する許容範囲を各方向について入力する入力項目が表示されている。領域383の入力項目としては、横方向の上限を入力する入力項目、横方向の下限を入力する入力項目、縦方向の上限を入力する入力項目、縦方向の下限を入力する入力項目を含む。このように電子部品実装装置10は、操作画面380を表示させることで、オペレータが電子部品を基板に挿入できるかを判定するための各種条件を入力することが可能となる。
次に、図54を用いて、処理の一例を説明する。電子部品実装装置10は、ステップS560として、電子部品のリードの最外形状を取得する。なお、リードの最外形状は、上述した電子部品の形状の認識動作で検出することができる。電子部品実装装置10は、ステップS560で形状を取得したら、ステップS562として、実装する電子部品と一致するかを判定する。つまり、リードの最外形状の特徴点に基づいて、ノズルが保持している電子部品が、実装する対象の電子部品であるかを判定する。なお、ステップS562の判定を実行する際にリードの最外形状以外の形状、本体の形状等を比較してもよい。
電子部品実装装置10は、ステップS562で電子部品と一致している(ステップS562でYes)と判定した場合、ステップS566に進み、ステップS562で一致していない(ステップS562でNo)と判定した場合、ステップS569に進む。電子部品実装装置10は、ステップS562でYesと判定した場合、ステップS566として、最外形状の間隔が許容範囲に含まれるかを判定する。具体的には、電子部品実装装置10は、検出したリードの最外形状と、リードを挿入する基板の挿入穴とを比較し、リードの最外形状の間隔が挿入穴の間隔の許容範囲内であるかを判定する。なお、許容範囲は、上述した領域383の各種項目に基づいて特定することができる。
以下、図55に示す四角形の頂点に配置された4つの挿入穴682のそれぞれに電子部品680のリード684を挿入する場合の許容範囲について説明する。なお、図55は、紙面上下方向がY方向、紙面左右方向がX方向となる。ここで、挿入穴682の径は、dPとなり、リード684の径は、dLとなる。また、設計値のリード684の最も離れた位置を結んだX方向の距離は、dAとなり、設計値のリード684の最も離れた位置を結んだY方向の距離は、dBとなる。
図55に示す例の場合、設計値では、挿入穴682の中心とリード684の中心が重なるようにそれぞれが配置されている。この場合、許容範囲の上限値は、挿入穴682の最も離れた位置を結んだ距離となる。つまり、X方向の上限値は、挿入穴682のX方向の最も離れた点の距離であるdCとなる。Y方向の上限値は、挿入穴682のY方向の最も離れた点の距離であるdDとなる。また、許容範囲の下限値は、挿入穴682の最も距離が近い位置に内接した場合のリード684の最も離れた位置を結んだ距離となる。X方向の下限値は、リード684aのX方向の最も離れた点の距離であるdEとなる。Y方向の下限値は、リード684bのY方向の最も離れた点の距離であるdFとなる。なお、図55に示す許容範囲(上限値、下限値)は、一例であり、許容範囲は種々の設定とすることができる。例えば、リードの少なくとも一部が挿入穴と接触する間隔であればよいとする許容範囲を設定してもよい。許容範囲を広くすることで、廃棄する電子部品を低減することができ、許容範囲を狭くすることで、実装ミスが生じることを抑制することができる。
電子部品実装装置10は、ステップS566で最外形状の間隔が許容範囲に含まれる(ステップS566でYes)と判定した場合、ステップS568として、電子部品が適正であると判定し、本処理を終了する。電子部品実装装置10は、ステップS566で最外形状の間隔が許容範囲に含まれない(ステップS569でNo)と判定した場合、または、ステップS562でNoと判定した場合、ステップS569として、電子部品が適切ではないと判定し、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、リードの形状を検出し、検出した結果に基づいて、電子部品が適切であるか否か、具体的には、挿入穴に挿入可能か否かを判定することで、電子部品をより確実に基板に実装することができる。つまり、電子部品のリードをより確実に挿入穴に挿入することができる。特に、ラジアルフィーダのように、電子部品供給装置でリードを切断して、保持位置に供給する構成の場合、リードが変形しやすいため、保持した電子部品が実装できない場合が生じやすい。電子部品実装装置10は、リードの状態を判定できるため、実装できない電子部品を用いて基板に実装動作を行うことを抑制することができ、挿入されていない電子部品が基板上に残ることを抑制することができる。これにより、他の電子部品に悪影響を与えることも抑制することができる。
次に、図56から図58を用いて、電子部品供給装置262のエアブロー部の処理動作を説明する。図56及び図57は、操作画面の一例を示す説明図である。図58は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。電子部品実装装置10は、図56に示す操作画面710を表示させることで、オペレータによりエアブロー部の制御条件を設定させる。つまり、電子部品実装装置10は、エアブロー部の制御条件を設定する操作を入力する画面として、操作画面710を表示させることができる。
操作画面710は、ブロー停止間隔の条件を表示させる表示領域712が表示されている。表示領域712は、第1領域718と第2領域720とを有する。第1領域718は、一方のボウルフィーダアセンブリ92の電子部品供給装置262に対応する情報が表示された領域である。第2領域720は、他方のボウルフィーダアセンブリ92の電子部品供給装置262に対応する情報が表示された領域である。第1領域718、第2領域720は、満杯前のブロー停止間隔を入力する入力項目722と、満杯後のブロー停止間隔を入力する入力項目724とが、電子部品供給装置ごと(操作画面710ではレーンごと)に表示されている。ここで、ブロー停止間隔とは、エアブローが停止されている時間である。つまり、エアブロー部が、エアブローを停止してから次にエアブローを実行するまでの時間である。該当する電子部品供給装置は、満杯が検出されていない場合、入力項目722の停止間隔でエアブローを実行し、満杯が検出されている場合、入力項目724の停止間隔でエアブローを実行する。また、表示領域712は、ボウルフィーダアセンブリ92ごとに領域を分け、さらに電子部品供給装置毎に入力項目722、724を表示させることで、各電子部品供給装置に対する間隔を入力しやすくすることができる。電子部品実装装置10は、入力項目722に入力される数値(停止間隔)は、入力項目724に入力された数値(間隔)よりも長い時間に制限することが好ましい。例えば、満杯前ブロー停止時間を10秒とし、満杯後ブロー停止時間を1秒とすることが好ましい。これにより、電子部品実装装置10は、電子部品供給装置が満杯になった場合に、満杯ではない場合より短い間隔でエアブローを実行するようにすることができる。電子部品実装装置10は、電子部品供給装置が満杯になった場合に、エアブロー間隔を短くすることで、満杯のレール282に電子部品が流れ込み、押し込まれることを抑制することができる。
操作画面710は、さらに、ブロー継続時間を入力する入力項目714と、満杯完了待ち時間を入力する入力項目716と、満杯完了後ブロー停止待ち時間を入力する入力項目717と、が表示されている。ここで、ブロー継続時間とは、1回のブローが実行されている時間、つまりブローがONになっている時間である。ブロー継続時間は、オペレータが設定できる時間であるが例えば0.2秒である。満杯完了待ち時間とは、センサで電子部品があることを検出してから満杯であると判定するまでの時間、満杯であるかを判定するしきい値の時間である。満杯完了後ブロー停止待ち時間とは、モータが停止してからエアブロー部でのブローを停止させるまでの時間である。電子部品実装装置10は、操作画面710を表示させることで、オペレータが各種条件を入力することが可能となる。
電子部品実装装置10は、図57に示す操作画面730を表示させることで、オペレータによりボウルフィーダアセンブリ92の駆動装置268のモータ290の制御条件を設定させる。操作画面730には、モータ290の制御条件として、速度、加速度、減速度を入力する入力項目が表示されている。また操作画面730の位置の項目は、制御対象のモータ290の位置を示す項目である。本実施形態では、2つのボウルフィーダアセンブリ92が設置されているため、2つのモータ290に対応する入力項目が表示されている。このように電子部品実装装置10は、操作画面730を表示させることで、オペレータが各種条件を入力することが可能となる。
次に、図58を用いて、電子部品実装装置10によるエアブロー部の制御動作について説明する。電子部品実装装置10は、操作画面710で入力された条件及び上述した満杯の判定の結果に基づいてエアブロー部の動作を制御する。電子部品実装装置10は、ステップS620として、駆動装置が駆動されると、ステップS622として駆動装置が停止したかを判定する。ここで、駆動装置とは、ボウルフィーダユニットの駆動装置である。駆動装置が駆動されているとは、電子部品実装装置が稼動している状態(ボウルが振動されている状態)である。電子部品実装装置10は、ステップS622で駆動装置が停止していない(No)と判定した場合、ステップS624として、満杯であるかを判定する。つまり、エアブロー部が設置されている電子部品供給装置が満杯であるかを判定する。なお、満杯であるかは上述した処理で判定することができる。
電子部品実装装置10は、ステップS624で満杯ではない(No)と判定した場合、ステップS626として満杯前しきい値時間経過したか、つまり直近のエアブローからの経過時間が満杯前しきい値より長いかを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS626で満杯前しきい値時間経過していない(No)と判定した場合、ステップS622に進み、ステップS626で満杯前しきい値時間経過している(Yes)と判定した場合、ステップS630に進む。
電子部品実装装置10は、ステップS624で満杯である(Yes)と判定した場合、ステップS628として満杯後しきい値時間経過したか、つまり直近のエアブローからの経過時間が満杯後しきい値より長いかを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS628で満杯後しきい値時間経過していない(No)と判定した場合、ステップS622に進み、ステップS628で満杯後しきい値時間経過している(Yes)と判定した場合、ステップS630に進む。
電子部品実装装置10は、ステップS626、またはステップS628でYes、つまり経過時間がしきい値より長いと判定した場合、ステップS630として、エアブローを実行し、ステップS632として経過時間をリセットしてステップS622に進む。
電子部品実装装置10は、ステップS622で駆動装置が停止した(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。このように、電子部品実装装置10は、電子部品供給装置の駆動装置が駆動している間は、上記処理を繰り返し、各状況に基づいた停止間隔でエアブロー部によるエアブローを実行する。
電子部品実装装置10は、満杯前にエアブローを実行することで、ボウルからレールに電子部品を供給する連結部で電子部品のつまりが生じることを抑制することができる。また、電子部品実装装置10は、満杯後にエアブローを実行することで、満杯の状態のレールにボウルから電子部品が供給されることを抑制することができる。これにより、基端レールに電子部品が集中し、電子部品のつまりが生じることを抑制することができる。特に本実施形態のように複数の電子部品供給装置を1つの駆動装置で駆動する場合、ボウルの振動は継続するため、エアブローで電子部品を基端レールからボウルに移動させることで、ボウルからレールへの電子部品の供給動作を維持しつつ、基端レールで電子部品が過度に集中することを抑制できる。
図59は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。次に、図59を用いて、ボウルフィーダユニット240の満杯状態の検出結果に基づいた駆動装置の制御動作について説明する。電子部品実装装置10は、ステップS640として、電子部品供給装置262、264、266を駆動し、ステップS642としてモータを励磁する。つまり、電子部品実装装置10は、ボウルフィーダユニット240の各部を起動した状態とする。電子部品実装装置10は、ステップS642でモータを励磁したら、ステップS646として電子部品の供給動作を開始する。つまり、モータを駆動してボウル280等を振動させて、保持位置への電子部品の供給を開始する。なお、電子部品実装装置は、電子部品の供給動作の実行中は、上述したエアブローの動作を実行することが好ましい。
電子部品実装装置10は、ステップS646で供給動作を開始したら、ステップS648として、同一駆動装置で駆動される電子部品供給装置の全てが満杯かを判定する。つまり、1つのボウルフィーダユニット240の電子部品供給装置の全てが満杯かを判定する。なお、各電子部品供給装置が満杯かは、上述した処理で検出することができる。
電子部品実装装置10は、ステップS648で満杯ではない(No)と判定した場合、ステップS650として電子部品供給装置を停止するかを判定する。具体的には、電子部品供給装置を停止する指示があるかを判定する。電子部品実装装置10は、電子部品の実装動作の停止、例えばエラーが出力された場合、電子部品供給装置でエラーが生じた場合、生産が中断された場合等に、電子部品供給装置を停止する指示が出力される。電子部品実装装置10は、ステップS650で停止させる(Yes)と判定した場合、ステップS659に進み、停止させない(No)と判定した場合、ステップS648に進む。
電子部品実装装置10は、ステップS648で満杯である(Yes)と判定した場合、ステップS652として、励磁状態を維持してモータを停止させ、ステップS654として、保持位置側部品検出センサで部品なしを検出したかを判定する。なお、電子部品実装装置10は、保持位置側部品検出センサで部品なしを検出したかに替えて、電子部品供給装置の保持位置の電子部品をヘッドで保持したかを判定してもよい。電子部品実装装置10は、ステップS654で、保持位置側部品検出センサで部品なしを検出した(Yes)と判定した場合、ステップS646に進む。電子部品実装装置10は、ステップS654で、保持位置側部品検出センサで部品なしを検出していない(No)と判定した場合、ステップS656として、満杯でなくなった電子部品供給装置があるかを判定する。
電子部品実装装置10は、ステップS656で満杯でなくなった電子部品供給装置がある(Yes)と判定した場合、ステップS646に進む。電子部品実装装置10は、ステップS656で満杯でなくなった電子部品供給装置がない(No)、つまり全ての電子部品供給装置が満杯を維持していると判定した場合、ステップS658として、電子部品供給装置を停止するかを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS658で停止させる(Yes)と判定した場合、ステップS659に進み、停止させない(No)と判定した場合、ステップS654に進む。
電子部品実装装置10は、ステップS650またはS658でYesと判定した場合、ステップS659として、励磁状態を解消して、電子部品供給装置を停止させ、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、図59に示すように全ての電子部品供給装置が満杯になった場合、モータ290を停止することで、つまり駆動装置268によるボウル280の振動を停止させることで、ボウル280からレール282への電子部品の供給動作を停止させることができる。電子部品実装装置10は、満杯状態でのボウル280からレール282への電子部品の供給動作を停止させることで、消費電力を低減させることができる。また、電子部品実装装置10は、振動の停止時もモータ290を励磁した状態を維持することで、短時間で振動を再開させることができる。これにより、保持位置への電子部品の供給の遅れの発生を抑制することができ、効率よく電子部品を基板に実装することができる。
電子部品実装装置10は、段取り動作として、つまり基板への電子部品の実装動作を開始する前に、ボウルフィーダアセンブリ92(またはボウルフィーダユニット240)を満杯にさせる満杯補充動作を実行可能とすることが好ましい。
次に、図60を用いて、電子部品の搭載時の処理動作の一例について説明する。図60は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。電子部品実装装置10は、ヘッドのノズルで電子部品を保持する動作の度に図60の処理を実行する。なお、図60の処理は、基本的に、電子部品として、リード型電子部品と搭載型電子部品の両方を基板に実装する場合の処理である。電子部品実装装置10は、ステップS710として、保持する電子部品を特定し、ステップS712として保持対象の部品がリード型電子部品であるかを判定する。
電子部品実装装置10は、ステップS712でリード型電子部品である(Yes)と判定した場合、ステップS714として、電子部品供給装置のリード型電子部品をノズルで保持する。つまり、電子部品実装装置10は、電子部品供給装置90の保持位置(第2保持位置)に供給されるリード型電子部品をノズルで保持する。電子部品実装装置10は、ステップS714でリード型電子部品をノズルで保持したら、ステップS716として、リード型電子部品のリードを挿入穴に挿入して基板に実装する。
電子部品実装装置10は、ステップS712でリード型電子部品ではない(No)と判定した場合、ステップS717として、電子部品供給装置の搭載型電子部品をノズルで保持する。つまり、電子部品実装装置10は、電子部品供給装置90aの保持位置(第1保持位置)に供給される搭載型電子部品をノズルで保持する。電子部品実装装置10は、ステップS717で搭載型電子部品をノズルで保持したら、ステップS718として、搭載型電子部品を基板に実装する。つまり、電子部品実装装置10は、搭載型電子部品を挿入穴に挿入せずに基板に実装する。
電子部品実装装置10は、ステップS716またはステップS718の処理を実行したら、つまり電子部品を実装したら、ステップS719として全ての電子部品の実装が完了したかを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS719で実装が完了していない(No)と判定した場合、ステップS710に進み、次に実装する電子部品を特定して、当該特定した電子部品に対して上記処理を実行する。電子部品実装装置10は、ステップS719で実装が完了した(Yes)と判定したら、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、図60に示すように、1つのヘッドで搭載型電子部品とリード型電子部品を基板に実装することができる。さらに、電子部品実装装置10は、同じノズルで、搭載型電子部品とリード型電子部品の両方を搭載することができる。ここで、電子部品実装装置10は、リード型電子部品の本体を保持(吸着または把持)することで、搭載型電子部品と同じノズルで移送し、実装することができる。また、電子部品実装装置10は、搭載型電子部品かリード型電子部品かを判定しそれぞれに応じてリードを挿入穴に挿入する、しないを切り換えることで、同じヘッドや同じノズルで実装を行った場合でもそれぞれの電子部品に適した条件で基板に実装することができる。これにより、ノズルを交換することなく搭載型電子部品とリード型電子部品とを実装することができる。また、搭載型電子部品とリード型電子部品とを分けずに混合して搭載できることで、搭載順序の制限がより少なくなり、実装の効率をより向上させることができる。
ここで、電子部品実装装置10は、リード型電子部品として、上述したように電子部品供給装置90で供給するラジアルリード型電子部品を用いることで上記効果をより好適に得ることができる。電子部品実装装置10は、電子部品供給装置90でリードが所定の長さに切断されたラジアルリード型電子部品をノズルで保持し、より具体的には、本体をノズルで保持し、移送し、リードを挿入穴に挿入することで基板に実装する。このように、電子部品実装装置10は、電子部品の本体を保持するため、リードの長さを短くすることができる。さらに、電子部品実装装置10は、テープ本体で搬送し、保持する前にリードを切断する構成であるため、ラジアルリード型電子部品のリードのうち搬送を行うためにテープで保持していた部分を除去した状態で基板に実装することができる。これにより、ラジアルリード型電子部品のリードを短くして基板に実装することができ、電子部品を安定した状態で基板に実装させることができる。具体的には、ラジアルリード型電子部品のリードを短くして基板に実装することができることで、基板の実装時にリードと挿入穴が接触して基板に与える振動を低減することができる。これにより、ラジアルリード型電子部品と搭載型電子部品とを同じ工程で実装してもお互いの実装に与える影響を少なくすることができ、同じ工程で、つまり同じヘッドや同じノズルで連続して実装しても好適に両方の電子部品を実装することができる。
ここで、上記実施形態の電子部品実装装置10は、部品供給ユニット14fとして、ボウルフィーダを用いたボウルフィーダアセンブリ92を備え、部品供給ユニット14rとして、ラジアルフィーダの電子部品供給装置90を備える構成としたが、これに限定されない。電子部品実装装置10は、部品供給ユニットを各種組み合わせとすることができる。例えば、フロント、リアの両方の部品供給ユニットにボウルフィーダの電子部品供給装置を設置してもよいし、フロント、リアの両方の部品供給ユニットにラジアルフィーダの電子部品供給装置を設置してもよい。また、上述したように部品供給ユニットとして、搭載型電子部品を電子部品保持テープで供給する電子部品供給装置(チップ部品フィーダ)90aを含んでいてもよい。また、フロント、リアのうち、一方の部品供給ユニットの電子部品供給装置を、全て電子部品供給装置(チップ部品フィーダ)90aとしてもよい。つまり、フロント、リアの一方の部品供給ユニットは、リード型電子部品(基板に挿入される電子部品)を供給し、他方は、リードなし電子部品(基板に搭載される電子部品)を供給するようにしてもよい。また、電子部品実装装置は、電子部品供給装置として、いわゆるトレイフィーダを用いることもできる。さらに、電子部品実装装置は、電子部品供給装置としてテープに保持されたアキシャル型電子部品のリードを上記のように基板下に短く出るように切断してコ字型に折り曲げた状態で保持位置に供給するアキシャルフィーダを用いることもできる。この場合、電子部品実装装置は、ノズルでアキシャルフィーダの保持位置のアキシャル型電子部品本体を保持した後、リード間隔の良否を判別して良と判定したアキシャル型電子部品を挿入穴(基板孔)に挿入する。電子部品実装装置10は、いずれの電子部品供給装置で供給された電子部品であっても、電子部品を吸着または把持することで、基板に搭載または挿入することができる。なお、リード型電子部品を供給する電子部品供給装置は、本体がリードの鉛直方向上側に配置される向き、つまり、リードが本体の鉛直方向下側に配置される向きでリード型電子部品をノズルによって保持される保持位置に供給する。ここで、電子部品実装装置10は、本実施形態のように、ボウルフィーダを備える部品供給ユニットと、その他の種類の電子部品供給装置、例えば、上記ラジアルフィーダ、上記アキシャルフィーダ、搭載型電子部品テープフィーダ、スティックフィーダ、トレイフィーダ等の部品供給ユニットと、を基板搬送部12を介して対向する位置であるフロント側とリア側に配置することが好ましい。これにより、その他の種類の部品供給ユニットに、ボウルフィーダの振動の影響が及ぶことを抑制することができるのでその他の種類の電子部品供給装置が保持位置で供給する電子部品に対するノズル保持作用を安定させることができる。
なお、本実施形態では、部品供給ユニットを部品供給ユニット14f、14rの二つとして説明したが、数は限定されない。また、2つの部品供給ユニット14f、14rを1つの部品供給ユニットとみなし、部品供給ユニット14f、14rのそれぞれを第1部品供給部、第2部品供給部とみなすこともできる。例えば、上記実施形態のように1つの部品供給ユニットが、ボウルフィーダ(部品供給ユニット14f)とラジアルフィーダ(部品供給ユニット14r)を備えている構成とみなすことができる。この場合、第1部品供給部と第2部品供給部とは、基板が配置されている位置を挟んで対向する位置に配置される。また、1つの部品供給ユニット14fに第1部品供給部、第2部品供給部が備えられているとみなすこともできる。例えば、上述したように、1つの部品供給ユニット14fが、ラジアルフィーダ(第1部品供給部)とチップ部品フィーダ(第2部品供給部)を備えている構成とみなすことができる。このように、電子部品実装装置10は、組み合わせによらず、複数種類の電子部品供給装置を備える構成とすることができる。
ここで、ラジアルフィーダである電子部品供給装置90が供給する電子部品としては、テープでリードを保持することができる種々のラジアルリード型電子部品がある。電子部品供給装置90は、例えば、アルミ電解コンデンサ、インダクタ、セラミックコンデンサ、フィルムコンデンサ等を供給することができる。また、ボウルフィーダである電子部品供給装置262、264、266が供給する電子部品としては、パッケージ部品の各種リード型電子部品がある。電子部品供給装置262、264、266は、例えば、ソリッドステートリレー、DIP型電子部品、SIP型電子部品、コネクタ、トランス等を供給することができる。
また、本実施形態のヘッド15は、1台のヘッドでより多くの種類の電子部品を実装できるようにするため複数のノズルを備えている場合は、ノズル自動交換装置(本実施形態では交換ノズル保持機構とヘッド本体との組み合わせで実現されるヘッド交換動作)を使って実装生産中に各ノズルを種々の吸着ノズル、把持ノズルに交換できる。電子部品実装装置10は、搭載型電子部品及びリード型電子部品に対する大きさ、重さ、部品本体上面が吸着可能な平面を有するかどうか、及び部品本体を把持可能かどうか等の部品条件により、部品ごとに適切な吸着孔径の吸着ノズルまたは適切な形状の把持部材を備えた把持ノズルが指定され、生産プログラムに記憶されている。電子部品実装装置10は、生産プログラムに記憶されている電子部品とノズルとの対応関係に基づいて、ヘッドに装着するノズルを切り換えたり、ヘッド内で当該電子部品を保持するノズルを決定したりする。
その結果、電子部品実装装置10は、例えば基板実装中にノズルが保持する電子部品が搭載型電子部品からリード型電子部品に変更される場合、搭載型電子部品を保持するノズルとリード型電子部品を同一のノズルで保持する場合と相違するノズルで保持する場合が生じる。電子部品実装装置10は、前記ノズルが相違する場合、段取り時または生産中に、搭載する電子部品が変更されるときに前記ノズル自動交換装置により自動的にノズルを交換する。すなわち、生産中に基板に実装する電子部品が例えば搭載型電子部品であるときはその電子部品に適したノズル(吸着ノズルまたは把持ノズル)を選択し、該電子部品を供給する電子部品供給装置の保持位置にある搭載型電子部品にノズルを移動して電子部品を保持し基板の所定位置に移動して、電子部品を下降速度制御しながら搭載することを継続する。電子部品実装装置10は、該電子部品の実装が所定数終了し、次に実装すべき電子部品がリード型電子部品に変更されるときは、ノズルが同一か相違するかを判別する。電子部品実装装置10は、ノズルが同一であると判定した場合、ノズルの交換が不要であるため同一のノズルを該リード型電子部品用のノズルとする。また、電子部品実装装置10は、ノズルが相違すると判定した場合、ヘッドに装着された他のノズルで使用可能なものがある場合にはそのノズルを該リード型電子部品用のノズルとし、他のノズルに利用できるノズルがない場合には前記ノズル自動交換装置により自動的に該リード型電子部品用ノズルに交換する。電子部品実装装置10は、このようにしてリード型電子部品用のノズルが準備できたら、ヘッドを移動してこのノズルをリード型の電子部品供給装置(リード型の電子部品を供給する電子部品供給装置)の保持位置に移動する。電子部品実装装置10は、リード型電子部品を供給する電子部品供給装置によって、内蔵された切断装置(カットユニット)により電子部品テープ(電子部品保持テープ)から予め所定長さに短く切断されたリードを備えたリード型電子部品を保持位置にセットしている。電子部品実装装置10は、前記ノズルでリード型電子部品を吸着または把持することで保持し、検出手段(レーザ認識装置38)でリード間隔を判別すると共に位置ずれを判別することで、基板に移動して挿入穴(基板孔)に挿入する電子部品を選別し挿入穴に挿入するときにリードを位置ずれ補正すると共に挿入するときの下降速度をリードの切断長さに合わせて順次減速する切り替え制御しながら実装する。
また、ヘッド15は、複数のノズルを備える場合、リード型電子部品(挿入型電子部品)を保持し搭載可能なノズルを少なくとも一本備えていればよく、ノズルの構成を種々の構成とすることができる。例えば、ヘッド15は、一部のノズルがリード型電子部品を保持するノズルであり、残りのノズルが搭載型電子部品を保持するノズルとしてもよい。この場合、電子部品実装装置は、ノズルが搭載型電子部品を保持した場合には、当該搭載型電子部品を基板搭載する実装制御を行い、リード型電子部品を保持した場合には、当該リード型電子部品を挿入穴(基板孔)に挿入する実装制御を行う。また、ヘッド15は、すべてのノズルを、リード型電子部品を保持するノズルとしてもよい。また、電子部品実装装置10は、生産プログラムに基づいて、搭載対象の電子部品を吸着する吸着ノズル(または把持する把持ノズル)を決定する際、電子部品の種類によって当該電子部品を保持し実装するノズルを決定する。電子部品実装装置10は、このように一台のヘッドに装着可能な複数のノズルを用意し、生産プログラムに基づく指令により生産中にノズル自動交換装置を作動させて、ヘッドに装着するノズルを次に生産する電子部品(実装する電子部品)に合わせたノズルに着脱交換することで、基板に対してリード型電子部品を保持挿入するとともに搭載型電子部品を基板搭載することで順次基板実装できる。
情報管理システム100は、電子部品実装装置10のように、1つのヘッドが使用用途に応じて使用するノズルを交換しつつ、挿入型電子部品と搭載型電子部品との両方を搭載する装置を対象として、電子部品実装装置10が対象の電子部品、特に挿入型電子部品を基板に実装できるかを判定することで、電子部品実装装置10をより効率よく使用することができる。
また、情報管理システム100は、電子部品を実装する際の設定情報を提供することで適切な条件で電子部品の実装を行うことができる。特に挿入型電子部品は、上述したように設定情報として種々の条件を設定する必要がある。このため、1つ1つの条件を手作業で入力するとオペレータに多大な負担が生じる。また、適切な条件を特定するまでに時間がかかる。また、挿入型電子部品は、搭載型電子部品よりも種類が多く種々の形状があるため、それらの挿入型電子部品について、個別に適切な設定情報を設定するのは、困難である。これに対して、情報管理システム100は、挿入型電子部品の設定情報を提供することで、利用者の負担を大きく減らすことができる。また、電子部品実装装置10を有効に活用することができる。