JP6196727B2 - 簡易な構造のメカニカルシール - Google Patents

Description

本発明は、簡易な構造の、特にクランプ連結を備えるメカニカルシール装置に関する。

従来技術において様々な形態のメカニカルシール装置が知られている。メカニカルシール装置の筐体には、その適用に応じて、様々な媒体用の１又は複数の孔やラインを設ける必要がある。例えば、シール材供給ライン、シール材除去ライン、漏れ除去ライン等を設ける必要がある。これまで、メカニカルシール装置の筐体は多くの部品からなり、筐体の個々の部品同士はネジを用いて相互に連結されてきた。しかしながら、一方で、これにより生じる問題は、筐体の互いに隣接する部品が比較的小さなネジを用いて連結される、或いは、多部品から成る筐体が比較的大きなネジを用いて連結されることである。また他方では、メカニカルシール装置の多部品から成る筐体が、機械等の固定部材に更に固定される必要がある。個々の筐体部品間の連結が多数あると、異なる用途又は異なる顧客のために異なる筐体が必要である場合が多く、締結に用いるネジ用の不可欠な連結孔を個別に設けなければならないという問題が生じる。しかしながら、このようにすると筐体内に不可欠な各供給ラインを統一的に設けることが出来ず、それどころか各供給ラインを常にそれぞれの筐体の特徴にあわせて個別に適応することが必要となる。これにより、特別な構造が不必要に多くなってしまい、それに伴い、この種のメカニカルシール装置のコストに関し不利益をもたらす。

したがって、本発明は、簡易な構造で、廉価で容易に製造できるメカニカルシール装置であって、その筐体に供給ラインの配置を簡単な方法で配置可能とするメカニカルシール装置を提供することを目的とする。

本発明の目的は、請求項１の特徴を有するメカニカルシール装置によって達成される。従属請求項には、本発明の好適な発展形態が開示される。

本発明に係る、請求項１の特徴を有する発明に係るメカニカルシール装置は、両リング間にシール間隙を画定する回転摺動リングと固定摺動リングとを備える。保持リングが固定摺動リングを保持するように設けられる。本摺動メカニカルシール装置は更に筐体を有し、前記筐体と前記保持リングとの間にクランプ連結が少なくとも１つのクランプ部材により設けられる。その結果、クランプ連結を用いて筐体を固定摺動リングの保持リング上に配置することができ、メカニカルシール装置の筐体の固定が非常に簡単な形態で実現できる。更に、これにより、筐体に各ライン用の孔を困難なく設けることが出来るという利点をもたらし、そうでない場合には、ライン用の孔の配置が制限されてしまうこととなる。

ライン用の孔の配置の可変性を可能な限り高めるために、クランプ連結は筐体の端面に設けられることが好ましい。

更に、筐体は一体成形されていることが好ましい。この場合、筐体は特に略円筒形であることが好ましい。

更に、クランプ連結のクランプ部材は、筐体の第１円錐領域及び保持リングの第２円錐領域とクランプ連結するように設けられた円錐部をヘッド部に有する皿ボルトであることが好ましい。このようにすると、皿ボルトのヘッド部だけでクランプ連結が可能となる。この場合、保持リングが半径方向外側に突出した凸部を有し、第２円錐領域が凸部上に配置されることが特に好ましい。このようにすると格段にコンパクトな構造が実現でき、とりわけ、外側に突出した凸部が備わる結果、筐体を保持リングに素早く簡単に取り付けることが出来る。

特に好ましくは、筐体が保持リングの少なくとも一部の周囲と係合する。その結果、筐体がメカニカルシール装置の最外領域を構成し、筐体によって保持リングがある程度保護される。また或いは、保持リングが筐体の周囲に係合してもよい。

筐体は、保持リングが当接する当接面を有することが更に好ましい。好ましくは、当接面はメカニカルシール装置の半径方向に沿う環状面である。この場合、特に好ましくは、円周方向の流体ダクトが筐体と保持リングとの間に形成される。この配置は、筐体と保持リングとの間の幾何学的構造により不可欠なラインのうちの一つを元より設けることができ、筐体に要する孔が一つ減るという利点がある。

１つの接続ダクト、好ましくは複数の接続ダクトが、保持リングの内部に設けられ、流体ダクトからシール間隙上の外側面に通じていることが特に好ましい。これにより、簡単な方法で、流体をメカニカルシール装置の流体ダクトからシール間隙の外側面へ誘導出来る。

メカニカルシール装置の媒体を供給又は除去するための少なくとも１つの媒体ラインが筐体に設けられることが更に好ましい。

本発明によれば、メカニカルシール装置は、一重メカニカルシール装置として形成されてもよいし、２つの個別のメカニカルシールを有する二重メカニカルシール装置として形成されてもよい。メカニカルシール装置はポンプのシーリングに用いられることが特に好ましい。

図１は、第１の例示的実施形態に係るメカニカルシール装置の一部断面の概略斜視図である。 図２は、第２の例示的実施形態に係るメカニカルシール装置の一部断面の概略斜視図である。

以下に、本発明の好適な例示的実施形態を添付の図面を参照して詳細に説明する。図面において、同様又は機能的に同等の部品を同様の参照符号で示す。

図１に示すように、本発明に係るメカニカルシール装置１は、回転摺動リング２と固定摺動リング３とを備えており、回転摺動リング２と固定摺動リング３とは両リング間に既知の方法でシール間隙４を画定する。回転摺動リング２は、その外周にバンデージ１５を備え、シャフト（図示せず）の回転が該シャフトからシャフトスリーブ１３に伝達され、シャフトスリーブ１３から、複数の連結ネジ１４によりシャフトスリーブ１３に連結されたホルダー１２へと伝達される。ホルダー１２は、バンデージ１５の外側面に係合しており、トルクを回転摺動リング２に伝達する。

固定摺動リング３は、一体成形された筐体６に保持リング５を介して連結されている。図１に示すように、保持リング５は、メカニカルシール装置のＸ−Ｘ軸方向で固定摺動リング３の周囲に係合する。

クランプ連結７は、保持リング５と筐体６との間に形成される。本例示的実施形態において、クランプ連結７はクランプ部材８により形成されており、本例示的実施形態ではクランプ部材８は皿ボルトである。複数のクランプ部材８が筐体６の一直径線上に設けられている。締め付けをするために、各クランプ部材８は、ヘッド部８０と、該ヘッド部の下側に配置された円錐部８１を有する。更に、筐体６は第１円錐領域７１を有し、保持リング５は第２円錐領域７２を有する。クランプ部材８の円錐部８１は、第１及び第２円錐領域７１、７２に接して、付与される締結力により筐体６を保持リング５に連結する。

図１に示すように、クランプ連結７は、筐体６の端面６１に配置されている。これによりクランプ連結に簡単にアクセス可能となっており、クランプ連結を素早く簡単に確立し再度解放することができる。

更に図１に示すように、保持リング５は、第２円錐領域７２がその上に形成された凸部５１を有する。その結果、クランプ連結７は半径方向外側にずれて配置されており、アクセスの容易さがより向上する。

図１に示すように、筐体６は一体成形されており、複数のクランプ部材８を挿入する複数の軸孔以外に、筐体部品等を相互連結するための孔を設ける必要はない。その結果、筐体６には、媒体ライン１１等のラインを所望通りに配置することができる。本例示的実施形態の媒体ライン１１は、矢印Ａ及びＢで示すように、シール材をメカニカルシールの内部に供給するためのものである。このようにして、メカニカルシール装置１は、製品領域２０を環境から封止する。

更に、筐体６は、保持リング５が当接する当接面６０を有する。保持リング５に設けられた凸部５１により、円周方向の流体ダクト９が、保持リング５と筐体６の間に形成可能となる。本例示的実施形態では、流体ダクト９は矩形の断面を有し、保持リング５の外側面上に環状に設けられる。流体ダクト９は、第１及び第２のＯリング２２、２３により封止される。また、少なくとも１つの接続ダクト１０が保持リング５の内部に形成されており、流体ダクト９を製品領域２０に接続している。接続ダクト１０の開口１０ａは、メカニカルシール装置のシール間隙４の近傍にある。その結果、特に、２つの摺動リング２、３の半径方向外側の領域におけるメカニカルシール装置の洗浄が可能となる。

このように、本発明によると、ラインやダクト等が所望通りに配置可能な、一体成形された筐体６を備えるメカニカルシール装置が提供できる。筐体６と保持リング５との間に設けられたクランプ連結７により、筐体６をメカニカルシール装置に確実に連結出来る。クランプ連結７は筐体６の端面６１に配置されているため、筐体６内における媒体ライン１１等のラインの配置に関し制限するものは実質的に何もない。

図２は、本発明の第２の例示的実施形態に係るメカニカルシール装置１を示す。第１の例示的実施形態と異なり、第２の例示的実施形態のメカニカルシール装置１は、両リング間にシール間隙１０４を画定する回転摺動リング１０２と固定摺動リング１０３とを備える第２のメカニカルシール装置を更に備えている。第２の例示的実施形態のメカニカルシール装置１は、このように二重シールとして形成されており、一体成形された筐体６が第２のメカニカルシールをＸ−Ｘ軸方向に完全に覆っている。

１ メカニカルシール装置
２ 回転摺動リング
３ 固定摺動リング
４ シール間隙
５ 保持リング
６ 筐体
７ クランプ連結
８ クランプ部材
９ 流体ダクト
１０ 接続ダクト
１１ 媒体ダクト
１２ ホルダー
１３ シャフトスリーブ
１４ 連結ネジ
１５ バンデージ
２０ 製品領域
２２、２３ Ｏリング
５１ 凸部
６０ 当接面
６１ 端面
７１ 第１円錐領域
７２ 第２円錐領域
８０ ヘッド部
８１ 円錐部
Ａ、Ｂ 矢印
Ｘ−Ｘ 軸方向

Claims (9)

1. 両リング（２、３）間にシール間隙（４）を画定する回転摺動リング（２）と固定摺動リング（３）と、
   前記固定摺動リング（３）を保持する保持リング（５）と、
   筐体（６）と、
   を備えるメカニカルシール装置であって、
   前記保持リング（５）と前記固定摺動リング（３）とは直接接触し、
   前記筐体（６）と前記保持リング（５）との間に、クランプ連結（７）が少なくとも１つのクランプ部材（８）により設けられ、
   前記クランプ部材（８）は、前記筐体（６）の第１円錐領域（７１）及び前記保持リング（５）の第２円錐領域（７２）とクランプ連結するように設けられた円錐部（８１）をヘッド部（８０）に有する皿ボルトであることを特徴とするメカニカルシール装置。
2. 前記クランプ連結（７）は前記筐体（６）の端面（６１）に配置されることを特徴とする請求項１に記載のメカニカルシール装置。
3. 前記筐体（６）は一体成形されていることを特徴とする請求項１又は２に記載のメカニカルシール装置。
4. 前記保持リング（５）は、半径方向外側に突出する凸部（５１）を備え、前記第２円錐領域（７２）は前記凸部（５１）上に形成されることを特徴とする請求項１〜３のいずれか一項に記載のメカニカルシール装置。
5. 前記筐体（６）は保持リング（５）の一部の周囲に係合することを特徴とする請求項１〜４のいずれか一項に記載のメカニカルシール装置。
6. 前記筐体（６）は、前記保持リング（５）が当接する当接面（６０）を備えることを特徴とする請求項１〜５のいずれか一項に記載のメカニカルシール装置。
7. 前記筐体（６）と前記保持リング（５）との間には流体ダクト（９）が形成されることを特徴とする請求項６に記載のメカニカルシール装置。
8. 前記保持リング（５）は、前記流体ダクト（９）から、前記シール間隙（４）の外側面上の製品領域（２０）へ連なる接続ダクト（１０）を少なくとも１つ備えることを特徴とする請求項７に記載のメカニカルシール装置。
9. 前記筐体（６）は、媒体を供給するための媒体ライン（１１）を少なくとも１つ備えることを特徴とする請求項１〜８のいずれか一項に記載のメカニカルシール装置。

Images