JP6196662B2 - ハロゲン化銅含有有機溶媒系を用いた貴金属の回収方法 - Google Patents

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Description

本発明は、貴金属の溶解及び回収を行う方法、並びに当該方法に用いるための溶媒系に関する。
携帯電話、パソコンなどの電子機器における電子部材には、貴金属やレアメタル等の種々の金属が使用されている。しかしながら、使用済みとなったこれら電子部材は、国内では経済的或いは技術的な理由から積極的に回収やリサイクルが十分に行われず、その一部は海外にミックスメタルとして輸出もしくは産業廃棄物として処理されているのが現状である。従って、これらの金属資源を回収・リサイクルして有効活用することが重要な社会的課題となっている。
一般に、使用済み製品からの金属リサイクルは、対象物の収集、解体、粉砕、物理選別を経て、製錬による分離精製からなる。製錬には高温での溶融や揮発を利用する乾式法と、水溶液系に金属を溶解させる湿式法があることが知られている。乾式法は大規模操業に用いられ、湿式法は精密分離が可能で小規模操業にも適するといわれている。しかしながら、湿式法において金などの貴金属を溶解するために、強酸や塩素ガス、シアン化合物水溶液などの劇物が用いられるので、ある程度の設備投資が必要であり、また廃液等による環境的な負荷も大きい。
従って、操作が簡便でありながら、廃液の量が少なく環境負荷の少なく、使用済み電子機器等から効率的に貴金属を回収することが可能なリサイクルシステムの構築が望まれている。
田中幹也、小山和也、成田弘一、大石哲雄、まてりあ、5050(4)、p.161−167、2011 Nakao,T.and Sone,K.、Chem.Commun.、p.897−898、1996
以上のような背景の下に、本発明は、使用済み電子機器等から貴金属を回収するための簡便かつ経済的な環境調和型の貴金属の回収方法を提供することを課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、ハロゲン化銅を含有する有機溶媒系を用いることで、目的とする貴金属を比較的短時間で溶解及び析出させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。さらに、当該貴金属を溶解させた溶液中に少量の水を添加するのみで当該貴金属を析出させることができ、それにより、当該水を分離した溶媒を再利用可能なシステムが達成できることも見出した。
すなわち、本発明は、一つの態様において、
(1)ハロゲン化銅及び非プロトン性の極性有機溶媒を含む溶媒系に貴金属を溶解させる工程(A)、及び、前記貴金属を溶解させた溶媒系に還元剤を添加して、当該貴金属を析出させる工程(B)を含むことを特徴とする、貴金属の回収方法;
(2)前記ハロゲン化銅が、臭化銅(I)又は臭化銅(II)から選択される、上記(1)に記載の方法;
(3)前記非プロトン性の極性有機溶媒が、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、炭酸プロピレン又はそれらの混合物から選択される、上記(1)又は(2)に記載の方法;
(4)前記溶媒系が、コハク酸イミド化合物をさらに含む、上記(1)〜(3)のいずれか1に記載の方法;
(5)前記溶媒系が、ハロゲン化ナトリウム又はハロゲン化カリウムをさらに含む、上記(1)〜(3)のいずれか1に記載の方法;
(6)前記還元剤が、水、アスコルビン酸、クエン酸ナトリウム又は水素化ホウ素ナトリウムである、上記(1)〜(5)のいずれか1に記載の方法;
(7)前記還元剤が水であって;前記工程(B)によって前記貴金属を析出させて回収した後に、前記溶媒系に含まれる水を除去し、再び前記工程(A)において使用可能な溶媒系を得る工程(C)を更に含む、(6)に記載の方法;
(8)前記還元剤である水のpHが4以下である、(6)又は(7)に記載の方法;
(9)前記貴金属が、金、パラジウム、銀、又は白金から選択される、上記(1)〜(8)のいずれか1に記載の方法
に関する。
別の態様において、本発明は、さらに、
(10)貴金属を溶解させて回収するために用いられる、ハロゲン化銅及び非プロトン性の極性有機溶媒を含む溶媒系;
(11)前記ハロゲン化銅が、臭化銅(I)又は臭化銅(II)から選択される、上記(10)に記載の溶媒系;
(12)前記非プロトン性の極性有機溶媒が、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、炭酸プロピレン又はそれらの混合物から選択される、上記(10)又(11)に記載の溶媒系;
(13)コハク酸イミド化合物をさらに含む、上記(10)〜(12)のいずれか1に記載の溶媒系;
(14)ハロゲン化ナトリウム又はハロゲン化カリウムをさらに含む、上記(10)〜(12)のいずれか1に記載の溶媒系;
(15)前記貴金属が、金、パラジウム、銀、又は白金から選択される、上記(10)〜(14)のいずれか1に記載の溶媒系
に関する。
本発明によれば、簡便な手順によって、短時間でかつ非常に高い効率によって貴金属を回収することができるという効果を奏する。特に、貴金属を溶解させた溶液中に水を添加するだけで貴金属を析出させることができるため、貴金属を還元して析出させるための有機化合物を用いる必要がない点で画期的なものある。それにより、当該貴金属を析出・回収した後の溶液から水を除去することにより、再度、貴金属溶解のための溶媒系として繰り返し利用できるため、経済的であるのみならず、排水処理を最小限に留めることができる環境調和型のプロセスが達成可能であるという利点を有する。さらに、用いる銅イオン等の呈色により酸化還元反応の進行が溶液の色の変化で視認することができることに加え、溶媒系に劇物を用いることなく、比較的低温の70度付近というマイルドな条件下で処理を行うことができるため、容易な操業が可能であるという点でも従来の技術より実用性に優れている。
図1は、CuBrを含むDMSO溶液における純金溶解量の時間依存性を示すグラフである。 図2は、CuBr(0.5mmol)とコハク酸イミド(0〜20mmol)を含むDMSO溶液における純金溶解量の時間依存性を示すグラフである。 図3は、CuBr(2.5mmol)とコハク酸イミド(0〜20mmol)を含むDMSO溶液における純金溶解量の時間依存性を示すグラフである。 図4は、CuBr(0.5〜2.0mmol)とコハク酸イミド(10mmol)を含むDMSO溶液における純金溶解量の時間依存性を示すグラフである。 図5は、CuBr(0.5〜2.5mmol)とコハク酸イミド(10mmol)を含むDMSO溶液におけるパラジウム溶解量の時間依存性を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施することができる。
本発明における貴金属の回収方法は、A)ハロゲン化銅及び非プロトン性の極性有機溶媒等の有機溶媒を含む溶媒系に目的とする貴金属を溶解させる工程、及び、B)前記貴金属を溶解させた溶媒系に還元剤を添加して、当該貴金属を析出させる工程を含む。当該回収方法の対象となる貴金属としては、好ましくは、金、パラジウム、銀、及び白金が挙げられるが、それら以外の遷移金属、或いは、いわゆるレアメタルを回収対象とすることも可能である。
本発明の回収方法には、上記A)の工程を行う前に、貴金属を含む電子部品等に対して高分子部材を除く等の当該技術分野において周知の任意の前処理工程を行うことも含まれ得る。同様に、上記工程B)を行った後に、析出した貴金属を回収し当該技術分野において周知の任意の手法により、当該貴金属をさらに精製等を行うことも含まれ得る。
上記工程A)において用いられる溶媒系は、貴金属を溶解させるためのものであり、代表的には、ハロゲン化銅を含有する有機溶媒である。以下当該溶媒系の構成について説明する。
当該有機溶媒としては、ハロゲン化銅との酸化還元反応により生じる貴金属イオン(金イオン等)が溶解し得るものであれば特に限定されないが、親水性の有機溶媒が好適であり、極性を有する非プロトン性の有機溶媒であることが好ましい。そのような非プロトン性の極性有機溶媒の例としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルアセトアミド、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、炭酸プロピレンなどが挙げられる。これらの2種類以上を含む混合溶媒とすることもできる。これらのなかでも、DMSOが特に好ましい。
本発明において用いられるハロゲン化銅は、フッ化銅、塩化銅、臭化銅、又はヨウ化銅であり、それぞれ1価又は2価の塩であることができる。好ましくは、臭化銅(I)(CuBr)又は臭化銅(II)(CuBr)である。回収目的とする貴金属が金及びパラジウムである場合には、これら臭化銅が好適であるが、当該貴金属との酸化還元反応により貴金属イオンを生じさせ得るものであれば他の金属塩(塩化鉄(FeCl)等)を用いることができ、また、金及びパラジウム以外の貴金属を回収の目的とする場合には、より溶解に適切な銅以外の金属塩を用いることも許容される。
当該ハロゲン化銅の溶媒系における含有量は、多いほど貴金属の溶解量が増大すると考えられるが、典型的には、50mmol/L以上、好ましくは、100mmol/L以上、より好ましくは200mmol/L以上である。
本発明において用いられる溶媒系は、さらに貴金属の溶解速度及び溶解量を増大させる目的で、コハク酸イミド化合物、又はアルカリ金属のハロゲン化物を補助的な成分として含むことができる。コハク酸イミド化合物には、任意の置換基を有するコハク酸イミド(スクシンイミド)、及び当該技術分野において公知のコハク酸イミド誘導体も含まれ得る。また、アルカリ金属のハロゲン化物は、好ましくは、ハロゲン化ナトリウム又はハロゲン化カリウムである。ハロゲンの種類としては、溶媒中で解離して上記ハロゲン化銅と同じハロゲンアニオンを生じさせるもの(すなわち、臭化銅の場合は、臭化ナトリウム又は臭化カリウム)であることが望ましい。
より具体的には、ハロゲン化銅との組み合わせの観点からは、上記ハロゲン化銅がCuBrの場合には、コハク酸イミド化合物を用いることが好ましく、ハロゲン化銅がCuBrの場合には、臭化ナトリウム又は臭化カリウムを用いることが好ましい。これらの組み合わせによって、溶媒系に対する貴金属の溶解が促進される。
また、これら更なる成分の溶媒系における含有量は、特に限定されるものではないが、上記臭化銅の溶液中の濃度の0.5〜10倍、好ましくは2〜5倍の範囲で用いることができる。
本発明の回収方法における上記工程B)において添加される還元剤は、工程A)において溶液中に溶解した貴金属イオンを選択的に析出させて回収するための試薬である。好ましくは、水、アスコルビン酸(L−アスコルビン酸)、クエン酸ナトリウム又は水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)であるが、これに限定されるものではなく、当該技術分野において周知の還元剤のなから適切なものをこれに換えて用いることもできる。
上記工程B)における還元剤としては、水を用いることが好ましい。水は、上記溶媒系の有機溶媒と混合されても、貴金属の析出後に水の分離を行い、或いは当該溶液を加熱して水を揮発させる等の分離手段によって容易に除去することが可能であるため、溶媒系を再利用することが可能となる。分離には、有機溶媒から水を除去するための当該技術分野において周知の手段(例えば、蒸留等)を用いることができる。当該水の添加量は、貴金属を析出するために要する量及び溶媒系の再利用のための水除去の効率の観点から、溶媒系10mLに対して2〜40mLの範囲であることが好ましく、5〜20mLがより好ましい。また、当該水のpHは、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、最も好ましくは1程度である。当該pHは、硫酸や塩酸等の酸を添加することによって適宜調整することができる。かかるpHの範囲とすることによって、還元剤として水を用いる場合に、銅やその他の金属等の望ましくない析出量を抑制し、目的物である金のみを効率的に析出することができる。
従って、還元剤として水を用いる場合には、本発明の回収方法は、上記の工程(B)によって前記貴金属を析出させて回収した後に、溶媒系に含まれる水を除去し、再び前記工程(A)において使用可能な溶媒系を得る工程(C)を更に含む。そして、当該工程(A)〜(C)を繰り返すことによって、溶媒系の廃液を抑制した回収サイクルを実施することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
1. 臭化銅(II)を含む溶媒系による純金の溶解
臭化銅(II)を含むDMSO溶液を用いて純金の溶解挙動を測定した。また、これに臭化カリウム又は臭化ナトリウムを追加した場合の効果についても比較検討を行った。
実験条件は、以下のとおりである。10mlのDMSOに、臭化銅(II)(CuBr)を223mg(1mmol)及び446mg(2mmol)を溶解させた溶媒系を用いた。これに、臭化カリウム又は臭化ナトリウムをそれぞれ2mmol含む溶媒系を作成した。金の細線(φ0.2mm)約235mg(1.2mmol)を用いた。溶液温度は70℃とした。
各溶媒組成において得られた、純金の溶解量の時間依存性を図1に示す。その結果、本発明の溶媒系によって金を溶解させることができ、いずれの溶媒組成においても6時間で金の溶解量が飽和することが実証された。金の最大溶解量は、用いるCuBrの濃度に比例して増加し、ほぼCuBr3モルに対して1モルの金を溶解し得ることが分かった。また、臭化カリウム及び臭化ナトリウムの添加によって、金の最大溶解量が、CuBr1モルに対して1モルの金まで増加することが観測された。これは、臭化カリウム及び臭化ナトリウムの添加によって溶液中の臭化物イオンが増大し、酸化還元反応において金イオンが生成し易くなったためと考えられる。
ここで用いたCuBrは、それ自体は水に溶解し易いものの、水を溶媒として用いた系では金等の貴金属は全く溶解しなかった。従って、上記の結果は、
CuBrと非プロトン性極性有機溶媒であるDMSOを組み合わせて用いることによって、金等の貴金属を効果的に溶解させることが達成できることを示すものである。
2. 臭化銅(I)を含む溶媒系による純金の溶解
臭化銅(I)を含むDMSO溶液を用いて純金の溶解挙動を測定した。また、これにコハク酸イミド0〜20mmolを追加した場合の効果についても比較検討を行った。それ以外は、実施例1と同条件である。
10mlのDMSOに対してCuBrを0.5mmolと一定にし、コハク酸イミドを0〜20mmolと変化させた場合の純金溶解量の時間依存性を図2に示す。この結果、CuBrのみの溶液の場合には、0.034mmol付近で溶解量が飽和するのに対し、コハク酸イミドを添加した場合には溶解量が約4倍に増加することが確認された。
同様に、CuBrを2.5mmolと一定にし、コハク酸イミドを0〜20mmolと変化させた場合の純金溶解量の時間依存性を図3に示す。CuBrのみの溶液の場合には、0.3mmol付近で溶解量が飽和するのに対し、コハク酸イミドを添加した場合には溶解量が約2倍に増加することが確認された。
また、コハク酸イミドを10mmolで一定とし、CuBrを0〜2.0mmolに変化させた場合の純金溶解量の時間依存性を図4に示す。この結果、金の溶解量は、CuBrの濃度にも依存して増加することが分かった。コハク酸イミドの存在下では、CuBrが4モルに対してほぼ1モルの金の溶解量となる関係性が得られた。
3. 臭化銅(I)を含む溶媒系によるパラジウムの溶解
臭化銅(I)を含むDMSO溶液を用いて純金の溶解挙動を測定した。パラジウムの細線(φ0.2mm)約235mg(2.2mmol)を用いた。溶液温度は70℃とした。
コハク酸イミドを10mmolで一定とし、CuBrを0.5〜2.5mmolに変化させた場合のパラジウム溶解量の時間依存性を図5に示す。この結果、本発明の溶媒系によってパラジウムを溶解させることが実証され、CuBrの濃度にほぼ比例して、パラジウムの溶解量が増大することが分かった。CuBrが2.5mmolでは、投入したパラジウムの約90%が溶解する結果が得られた。
4. 溶解金属の析出・回収
臭化銅(I)及びコハク酸イミドを含有するDMSO溶液に金を溶解させて、当該溶液に還元剤であるアスコルビン酸を添加して、金を析出させ、回収率を算出した。
まず、実施例2と同様に、種々のDMSO溶液を調製した。溶液条件は、DMSO10mmolに対して、CuBrを0.5〜20mmol、コハク酸イミドを10及び20mmolとした試料1〜試料4の4種類を用いた。当該溶液に、金の細線(φ0.2mm)約235mg(1.2mmol)を加え、70℃で24時間後の溶解度を表1に示す。
Figure 0006196662
上記の金が溶解されている溶媒に、L−アスコルビン酸(ビタミンC)を加え、金を析出させたものをろ過した。得られた析出物の重量を秤量すると共に、析出物中の金及びその他の成分の重量をICP−AES法により定量分析を行い、金の析出量と回収率を求めた。結果を表2に示す。
Figure 0006196662
表2より、還元剤であるL-アスコルビン酸を用いることによって、ほぼ100%の回収率が得られた。この結果は、本発明によって、簡便な操作で、かつ非常に高い効率で貴金属の析出・回収が可能であることを実証するものである。
5. 水を用いた溶解金属の析出・回収
次に、臭化銅(II)及び臭化カリウムを含有するDMSO溶液に金を溶解させて、当該溶液に水を添加して、金を析出させ、その回収率を算出した。
用いた実験条件は、以下のとおりである。10mlのDMSOに、臭化銅(II)(CuBr)を446mg(2mmol)を溶解させた溶媒系を用いた。これに、臭化カリウムを1mmol含む溶媒系を作成した。当該溶液に、金の細線(φ0.2mm)約235mg(1.2mmol)を加え、70℃で24時間溶解させた。その後、金を溶解させた溶媒系に、水を添加し、金を析出させたものをろ過した。得られた析出物の重量を秤量すると共に、析出物中の金及びその他の成分の重量をICP−AES法により定量分析を行い、金の析出量と回収率を求めた。結果を表2に示す。得られた結果を表3に示す。
Figure 0006196662
表3に示すように、金の溶解量は、全てのサンプルとも概ね200mgであった。水を、2ml添加しただけでは金の析出量は100mg程度で回収率は50%程度であるが、5ml添加すると約180mgの金が析出し、回収率は90%近くなった。それ以上添加する水の量を増やしても、金の回収率は80%程度に維持された。なお、SEM(走査型電子顕微鏡)により析出した金粒子を観察した結果、水の添加量を多くするに従って、析出する金粒子の粒径が小さくなる傾向があることが判明した。従って、水を添加することで金は全て析出してはいるものの、目の粗いろ紙によるろ過では回収されない粒子が存在したために回数率が100%とはならなかったものと推測される。
表3の結果から、水を添加することによって、他の還元剤を用いることなく、高効率で貴金属の析出・回収が可能であることが実証された。

Claims (12)

  1. ハロゲン化銅及び非プロトン性の極性有機溶媒を含む溶媒系に貴金属を溶解させる工程(A)、及び、前記貴金属を溶解させた溶媒系に還元剤を添加して、当該貴金属を析出させる工程(B)を含むことを特徴とする、貴金属の回収方法であって、前記貴金属が、金である、該回収方法
  2. 前記ハロゲン化銅が、臭化銅(I)又は臭化銅(II)から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記非プロトン性の極性有機溶媒が、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、炭酸プロピレン又はそれらの混合物から選択される、請求項1又2に記載の方法。
  4. 前記溶媒系が、コハク酸イミド化合物をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記溶媒系が、ハロゲン化ナトリウム又はハロゲン化カリウムをさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記還元剤が、pH4以下の又はアスコルビン酸ある、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記還元剤が水であって;前記工程(B)によって前記貴金属を析出させて回収した後に、前記溶媒系に含まれる水を除去し、再び前記工程(A)において使用可能な溶媒系を得る工程(C)を更に含む、請求項6に記載の方法。
  8. を溶解させて回収するために用いられる、ハロゲン化銅及び非プロトン性の極性有機溶媒を含む溶媒系。
  9. 前記ハロゲン化銅が、臭化銅(I)又は臭化銅(II)から選択される、請求項8に記載の溶媒系。
  10. 前記非プロトン性の極性有機溶媒が、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、炭酸プロピレン又はそれらの混合物から選択される、請求項8又は9に記載の溶媒系。
  11. コハク酸イミド化合物をさらに含む、請求項8〜10のいずれか1項に記載の溶媒系。
  12. ハロゲン化ナトリウム又はハロゲン化カリウムをさらに含む、請求項8〜10のいずれか1項に記載の溶媒系。
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