JP2005008922A - 金又は白金を担持した金属水酸化物の生成方法及びこれを用いた金又は白金の回収方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明では、金イオン又は白金イオンの水溶液に金属イオンの水溶液を混合することによって金属水酸化物と金イオン又は白金イオンとを共沈させるとともに、金イオン又は白金イオンを水で還元して、金又は白金を担持した金又は白金を金属水酸化物を生成し、その後、金属水酸化物に担持された金又は白金を金属水酸化物から分離することによって金又は白金を回収することにした。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金又は白金を担持した金属水酸化物の生成方法及びこれを用いた金又は白金の回収方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より地球資源の有効活用を図るために、各種金属のリサイクル技術、特に廃棄物に含有される各種金属の回収技術の研究・開発が盛んに行われている。なかでも、近年の各種電子機器の高機能化に伴って、配線や筺体に金メッキが施され、或いは、半導体基板上に白金薄膜が形成されるようになってきており、各種電子機器の大量生産に伴って金や白金が多量に消費されていることから、各種電子機器の廃棄物から金や白金を回収する技術を確立することが急務となっている。
【0003】
かかる金や白金の回収技術としては、各種の化学反応を利用して廃棄物中に含有されている金や白金を回収する方法が提供されている。たとえば、金の回収方法としては、特許文献1に開示された回収方法が提供されており、また、白金の回収方法としては、特許文献2に開示された回収方法が提供されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−13127号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2003−129145号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の金や白金の回収方法にあっては、複数段階の処理工程を必要としており、煩雑な作業を行わなければならなかった。
【0007】
そのため、従来の金や白金の回収方法では、金や白金の回収のために多大な労力や時間や費用を要することから、実用性に欠けるといった問題があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、金や白金を簡易な方法で回収することができる実用的な回収方法を確立するために、鋭意研究を重ねた結果、次のような知見を得た。
【0009】
すなわち、従来から金イオン又は白金イオンの水溶液と金属イオンの水溶液とを混合させると、金イオン又は白金イオンが金属水酸化物とともに共沈することが知られており、この場合には、金属水酸化物の表面に金イオン又は白金イオンがイオン状態のままで付着しているものと考えられていた。しかしながら、本発明者らは、所定条件下で金イオン又は白金イオンの水溶液と金属イオンの水溶液とを混合させると、金属水酸化物と金イオン又は白金イオンとが共沈するとともに、金イオン又は白金イオンが水で還元され、これにより、金又は白金を担持した金属水酸化物を生成することができることを見出した。
【0010】
また、この金又は白金を担持した金属水酸化物から金又は白金を分離することによって金又は白金を回収することができることを見出した。
【0011】
さらには、金イオン又は白金イオンの水溶液と金属イオンの水溶液との混合液に、金又は白金と親和性の高いイオンの水溶液、或いは、金又は白金と親和性の低いイオンの水溶液を添加することによって、金属際酸化物に担持される金又は白金の粒子サイズをコントロールすることができることを見出した。
【0012】
そして、本発明者らは、上記知見に基づいて、従来の課題を解決するための手段として以下のものを提供する本出願をするに至ったのである。
【0013】
すなわち、請求項1に係る本発明では、金イオン又は白金イオンの水溶液に金属イオンの水溶液を混合することによって金属水酸化物と金イオン又は白金イオンとを共沈させるとともに、金イオン又は白金イオンを水で還元することによって、金又は白金を担持した金属水酸化物を生成することにした。
【0014】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記金イオン又は白金イオンの水溶液と金属イオンの水溶液との混合液に、金又は白金と親和性の高いイオンの水溶液を添加することにした。
【0015】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記金イオン又は白金イオンの水溶液と金属イオンの水溶液との混合液に、金又は白金と親和性の低いイオンの水溶液を添加することにした。
【0016】
また、請求項4に係る本発明では、金イオン又は白金イオンの水溶液に金属イオンの水溶液を混合することによって金属水酸化物と金イオン又は白金イオンとを共沈させるとともに、金イオン又は白金イオンを水で還元し、その後、金属水酸化物に担持された金又は白金を金属水酸化物から分離することによって金又は白金を回収することにした。
【0017】
また、請求項5に係る本発明では、前記請求項4に係る本発明において、前記金イオン又は白金イオンの水溶液と金属イオンの水溶液との混合液に、金又は白金と親和性の高いイオンの水溶液を添加することにした。
【0018】
また、請求項6に係る本発明では、前記請求項4に係る本発明において、前記金イオン又は白金イオンの水溶液と金属イオンの水溶液との混合液に、金又は白金と親和性の低いイオンの水溶液を添加することにした。
【0019】
また、請求項7に係る本発明では、前記請求項4〜請求項6のいずれかに係る本発明において、前記金属水酸化物に担持された金又は白金と金属水酸化物との分離は、金属水酸化物を溶解することにより行うことにした。
【0020】
また、請求項8に係る本発明では、前記請求項4〜請求項7のいずれかに係る本発明において、前記金属水酸化物に担持された金又は白金と金属水酸化物との分離は、金又は白金を担持した金属水酸化物と金又は白金を担持していない金属水酸化物とに分離した後に行うことにした。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明に係る金又は白金の回収方法は、まず、金又は白金を担持した金属水酸化物を生成し、次に、この金属水酸化物から金又は白金を分離するものである。
【0022】
金又は白金を担持した金属水酸化物の生成は、金イオン又は白金イオンの水溶液に金属イオンの水溶液を混合することによって行う。
【0023】
すなわち、金イオン又は白金イオンの水溶液に金属イオン(たとえば、アルカリ下で金属水酸化物を生成し得る金属である鉄、アルミニウム、チタン、マンガン、セリウム、ニッケルなど)の水溶液を混合するとともに、これに電解質水溶液を添加することでpHを中性付近に調整する。これにより、混合液中で金属水酸化物と金イオン又は白金イオンとが共沈するとともに、金イオン又は白金イオンが水で還元されて、金又は白金を担持した金属水酸化物が生成される。
【0024】
ここで、金又は白金を担持した金属水酸化物は、触媒やセンサなどとして工業的に有効利用することができるものである。
【0025】
また、金属水酸化物に担持された金又は白金の粒子サイズは、混合液に添加する電解質水溶液の種類に応じてコントロールすることができる。
【0026】
すなわち、電解質水溶液として金又は白金と親和性の高いイオン(たとえば、塩素、ハロゲン、硫黄など)の水溶液を用いた場合には、金属水酸化物に担持された金又は白金の粒子サイズを比較的大きく(ミクロンサイズ:数ミクロン以上)することができる。
【0027】
一方、電解質水溶液として金又は白金と親和性の低いイオン(たとえば、硝酸)の水溶液を用いた場合には、金属水酸化物に担持された金又は白金の粒子サイズを比較的小さく(ナノサイズ)することができる。
【0028】
また、金属水酸化物と金又は白金との分離は、金イオン又は白金イオンの水溶液と金属イオンの水溶液との混合液をろ過することによって混合液から金又は白金を担持した金属水酸化物を分離し、その後、金属水酸化物だけを溶解することによって、金属水酸化物から金又は白金を分離する。
【0029】
これにより、簡便な方法でありながら金イオン又は白金イオンの水溶液から金又は白金を効率よく回収することができる。
【0030】
ここで、金属水酸化物と金又は白金との分離は、金又は白金を担持した金属水酸化物と金又は白金を担持していない金属水酸化物とに遠心分離機を用いて分離した後に、金又は白金を担持した金属水酸化物を溶解するようにしてもよい。
【0031】
金又は白金を担持した金属水酸化物と金又は白金を担持していない金属水酸化物とは質量が異なるために容易に遠心分離でき、しかも、この分離によって溶解する金属水酸化物の量を少なくすることができるので、溶解液の消費量を削減することができ、これにより、金又は白金の回収に要する費用を低減することができる。
【0032】
以下に、本発明の具体的な実施例について説明する。なお、以下の説明では、金に関して説明をしているが、金と近似した挙動を示す白金についても同様の結果が得られる。また、以下の説明において、金の共沈率は、濾液中の金濃度を原子吸光分析により測定し、混合液に含有されていた金の質量と濾液中の金の質量との差に基づいて算出した。
【0033】
(実施例1)
金イオンの水溶液としてHAuCl4の2.54x10−5mol・dm−3(金濃度5ppm)水溶液と、金属イオンの水溶液としてFeCl3の0.02mol・dm−3水溶液と、電解質水溶液としてNaClの0.12mol・dm−3水溶液とを混合し、この混合液にpH調整剤としてNaOHを添加して、混合液のpHを所定値(pH4〜9)に調整し、これを24時間連続撹拌した。
【0034】
これにより、混合液中で水酸化鉄と金イオンとが共沈するとともに、金イオンが水で還元され、金を担持した水酸化鉄が生成された。
【0035】
その後、金を担持した水酸化鉄を含有する混合液を吸引濾過器を用いて0.45μmのメンブランフィルタで濾過することによって、混合液から金を担持した水酸化鉄を分離した。
【0036】
さらに、金を担持した水酸化鉄に塩酸を加えることによって、水酸化鉄を溶解して、水酸化鉄から金を分離した。
【0037】
これにより、金イオンの水溶液から金が回収された。
【0038】
本実施例においては、混合液のpHを変化させた場合の金の共沈率を計測した。その結果を図1に示す。
【0039】
図1からわかるように、電解質水溶液としてNaCl水溶液を用いた場合には、金の共沈率が中性(pH7)で最大となっている。
【0040】
したがって、電解質水溶液としてNaCl水溶液を用いた場合には、混合液のpHを中性(pH7)付近とすることで、金の回収率を向上させることができる。
【0041】
(実施例2)
金イオンの水溶液としてHAuCl4の2.54x10−5mol・dm−3(金濃度5ppm)水溶液と、金属イオンの水溶液としてFe(NO3)3の0.02mol・dm−3水溶液と、電解質水溶液としてNaNO3の0.12mol・dm−3水溶液とを混合し、この混合液にpH調整剤としてNaOHを添加して、混合液のpHを所定値(pH4〜9)に調整し、これを24時間連続撹拌した。
【0042】
これにより、混合液中で水酸化鉄と金イオンとが共沈するとともに、金イオンが水で還元され、金を担持した水酸化鉄が生成された。
【0043】
その後、金を担持した水酸化鉄を含有する混合液を吸引濾過器を用いて0.45μmのメンブランフィルタで濾過することによって、混合液から金を担持した水酸化鉄を分離した。
【0044】
さらに、金を担持した水酸化鉄に塩酸を加えることによって、水酸化鉄を溶解して、水酸化鉄から金を分離した。
【0045】
これにより、金イオンの水溶液から金が回収された。
【0046】
本実施例においても、混合液のpHを変化させた場合の金の共沈率を計測した。その結果を図2に示す。
【0047】
図2からわかるように、電解質水溶液としてNaNO3水溶液を用いた場合には、酸性から中性(pH7)では金の共沈率がほぼ100%であるのに対して、アルカリ性では金の共沈率が減少している。
【0048】
したがって、電解質水溶液としてNaNO3水溶液を用いた場合には、混合液のpHを酸性から中性(pH7)付近とすることで、金の回収率を向上させることができる。
【0049】
(実施例3)
金イオンの水溶液としてHAuCl4の2.54x10−5mol・dm−3(金濃度5ppm)水溶液と、金属イオンの水溶液としてFeCl3の0.02mol・dm−3水溶液と、電解質水溶液として所定量(0.12〜1.20mol・dm−3)のNaCl水溶液とを混合し、この混合液にpH調整剤としてNaOHを添加して、混合液をpH6に調整し、これを24時間連続撹拌した。
【0050】
これにより、混合液中で水酸化鉄と金イオンとが共沈するとともに、金イオンが水で還元され、金を担持した水酸化鉄が生成された。
【0051】
その後、金を担持した水酸化鉄を含有する混合液を濾過することによって、混合液から金を担持した水酸化鉄を分離し、さらに、塩酸を加えることによって水酸化鉄を溶解して、金イオンの水溶液から金を回収した。
【0052】
本実施例においては、電解質水溶液の濃度を変化させた場合の金の共沈率を計測した。その結果を図3に示す。
【0053】
図3からわかるように、電解質水溶液としてNaCl水溶液を用いた場合には、電解質水溶液の濃度を増加させると金の共沈率がわずかに減少する。
【0054】
したがって、電解質水溶液としてNaCl水溶液を用いた場合には、電解質水溶液の濃度を低くすることで、金の回収率を向上させることができる。
【0055】
(実施例4)
金イオンの水溶液としてHAuCl4の2.54x10−5mol・dm−3(金濃度5ppm)水溶液と、金属イオンの水溶液としてFe (NO3)3の0.02mol・dm−3水溶液と、電解質水溶液として所定量(0.12〜1.20mol・dm−3)のNaNO3水溶液とを混合し、この混合液にpH調整剤としてNaOHを添加して、混合液をpH6に調整し、これを24時間連続撹拌した。
【0056】
これにより、混合液中で水酸化鉄と金イオンとが共沈するとともに、金イオンが水で還元され、金を担持した水酸化鉄が生成された。
【0057】
その後、金を担持した水酸化鉄を含有する混合液を濾過することによって、混合液から金を担持した水酸化鉄を分離し、さらに、塩酸を加えることによって水酸化鉄を溶解して、金イオンの水溶液から金を回収した。
【0058】
本実施例においても、電解質水溶液の濃度を変化させた場合の金の共沈率を計測した。その結果を図4に示す。
【0059】
図4からわかるように、電解質水溶液としてNaNO3水溶液を用いた場合には、電解質水溶液の濃度を増加させると金の共沈率が大幅に減少する。
【0060】
したがって、電解質水溶液としてNaNO3水溶液を用いた場合には、電解質水溶液の濃度をできるだけ低くすることで、金の回収率を向上させることができる。
【0061】
(実施例5)
金イオンの水溶液としてHAuCl4の5.08x10− 4mol・dm−3(金濃度100ppm)水溶液と、金属イオンの水溶液として所定量(0.002〜0.040mol・dm−3)のFeCl3水溶液と、電解質水溶液として0.12mol・dm−3のNaCl水溶液とを混合し、この混合液にpH調整剤としてNaOHを添加して、混合液をpH6に調整し、これを120時間連続撹拌した。
【0062】
これにより、混合液中で水酸化鉄と金イオンとが共沈するとともに、金イオンが水で還元され、金を担持した水酸化鉄が生成された。
【0063】
その後、金を担持した水酸化鉄を含有する混合液を濾過することによって、混合液から金を担持した水酸化鉄を分離し、さらに、塩酸を加えることによって水酸化鉄を溶解して、金イオンの水溶液から金を回収した。
【0064】
本実施例においては、金属イオン水溶液の濃度を変化させた場合の金の共沈率を経時的に計測した。その結果を図5に示す。
【0065】
図5からわかるように、電解質水溶液としてNaCl水溶液を用いた場合には、金属イオン水溶液の濃度を増加させると金の共沈率が増加し、金属イオン水溶液の濃度が0 .020mol・dm−3以上では金の共沈率がほぼ100%に近づく。
【0066】
したがって、電解質水溶液としてNaCl水溶液を用いた場合には、金属イオン水溶液の濃度を所定量以上にすることで、金の回収率を向上させることができる。
【0067】
また、図5からわかるように、電解質水溶液としてNaCl水溶液を用いた場合には、24時間以上経過すると金の共沈率が減少する。これは、金がある程度の粒子サイズまで成長した後に金属水酸化物から離脱したためと考えられる。
【0068】
したがって、電解質水溶液としてNaCl水溶液を用いた場合には、反応時間を24時間以下にすることで、金の回収率を向上させることができる。
【0069】
また、本実施例では、電子プローブ顕微鏡や反射顕微鏡を用いて金の粒子サイズを観察した。
【0070】
その結果、電解質水溶液としてNaCl水溶液を用いた場合には、水酸化鉄の表面に粒子サイズが数μm程度の金が付着していることが観察された。
【0071】
(実施例6)
金イオンの水溶液としてHAuCl4の5.08x10− 4mol・dm−3(金濃度100ppm)水溶液と、金属イオンの水溶液として所定量(0.002〜0.040mol・dm−3)のFe(NO3)3水溶液と、電解質水溶液として0.12mol・dm−3のNaNO3水溶液とを混合し、この混合液にpH調整剤としてNaOHを添加して、混合液をpH6に調整し、これを120時間連続撹拌した。
【0072】
これにより、混合液中で水酸化鉄と金イオンとが共沈するとともに、金イオンが水で還元され、金を担持した水酸化鉄が生成された。
【0073】
その後、金を担持した水酸化鉄を含有する混合液を濾過することによって、混合液から金を担持した水酸化鉄を分離し、さらに、塩酸を加えることによって水酸化鉄を溶解して、金イオンの水溶液から金を回収した。
【0074】
本実施例においても、金属イオン水溶液の濃度を変化させた場合の金の共沈率を経時的に計測した。その結果を図6に示す。
【0075】
図6からわかるように、電解質水溶液としてNaNO3水溶液を用いた場合には、金属イオン水溶液の濃度を増加させると金の共沈率が増加するものの、いずれの濃度でも金の共沈率がほぼ100%に近い。
【0076】
したがって、電解質水溶液としてNaNO3水溶液を用いた場合には、金属イオン水溶液の濃度にかかわらず、良好に金の回収を行うことができる。
【0077】
また、図6からわかるように、電解質水溶液としてNaNO3水溶液を用いた場合には、12時間以上経過すると金の共沈率がほぼ100%に近づく。
【0078】
したがって、電解質水溶液としてNaNO3水溶液を用いた場合には、反応時間を12時間以上にすることで、金の回収率を向上させることができる。
【0079】
また、本実施例でも、電子プローブ顕微鏡や反射顕微鏡を用いて金の粒子サイズを観察した。
【0080】
その結果、電解質水溶液としてNaNO3水溶液を用いた場合には、水酸化鉄の表面に粒子サイズが1μm以下の金が付着していることが観察された。
【0081】
【発明の効果】
本発明は、以上に説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0082】
すなわち、本発明では、金イオン又は白金イオンの水溶液と金属イオンの水溶液との混合といった簡便な方法でありながら、金又は白金を担持した金属水酸化物を効率よく生成することができるとともに、金イオン又は白金イオンの水溶液から金又は白金を効率よく回収することができる。
【0083】
しかも、金イオン又は白金イオンの水溶液と金属イオンの水溶液との混合液に、金又は白金と親和性の高いイオンの水溶液、或いは、金又は白金と親和性の低いイオンの水溶液を添加することによって、金属際酸化物に担持される金又は白金の粒子サイズをコントロールすることができ、使用目的に応じて異なる粒子サイズの金又は白金やそれを担持した金属水酸化物を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電解質水溶液としてNaCl水溶液を用いた場合の混合液のpHと金の共沈率との関係を示すグラフ。
【図2】電解質水溶液としてNaNO3水溶液を用いた場合の混合液のpHと金の共沈率との関係を示すグラフ。
【図3】電解質水溶液としてNaCl水溶液を用いた場合の電解質水溶液の濃度と金の共沈率との関係を示すグラフ。
【図4】電解質水溶液としてNaNO3水溶液を用いた場合の電解質水溶液の濃度と金の共沈率との関係を示すグラフ。
【図5】電解質水溶液としてNaCl水溶液を用いた場合の金属イオン水溶液の濃度と金の共沈率との関係を示すグラフ。
【図6】電解質水溶液としてNaNO3水溶液を用いた場合の金属イオン水溶液の濃度と金の共沈率との関係を示すグラフ。
Claims (8)
- 金イオン又は白金イオンの水溶液に金属イオンの水溶液を混合することによって金属水酸化物と金イオン又は白金イオンとを共沈させるとともに、金イオン又は白金イオンを水で還元することによって、金又は白金を担持した金属水酸化物を生成することを特徴とする金又は白金を担持した金属水酸化物の生成方法。
- 前記金イオン又は白金イオンの水溶液と金属イオンの水溶液との混合液に、金又は白金と親和性の高いイオンの水溶液を添加することを特徴とする請求項1に記載の金又は白金を担持した金属水酸化物の生成方法。
- 前記金イオン又は白金イオンの水溶液と金属イオンの水溶液との混合液に、金又は白金と親和性の低いイオンの水溶液を添加することを特徴とする請求項1に記載の金又は白金を担持した金属水酸化物の生成方法。
- 金イオン又は白金イオンの水溶液に金属イオンの水溶液を混合することによって金属水酸化物と金イオン又は白金イオンとを共沈させるとともに、金イオン又は白金イオンを水で還元し、その後、金属水酸化物に担持された金又は白金を金属水酸化物から分離することによって金又は白金を回収することを特徴とする金又は白金の回収方法。
- 前記金イオン又は白金イオンの水溶液と金属イオンの水溶液との混合液に、金又は白金と親和性の高いイオンの水溶液を添加することを特徴とする請求項4に記載の金又は白金の回収方法。
- 前記金イオン又は白金イオンの水溶液と金属イオンの水溶液との混合液に、金又は白金と親和性の低いイオンの水溶液を添加することを特徴とする請求項4に記載の金又は白金の回収方法。
- 前記金属水酸化物に担持された金又は白金と金属水酸化物との分離は、金属水酸化物を溶解することにより行うことを特徴とする請求項4〜請求項6のいずれかに記載の金又は白金の回収方法。
- 前記金属水酸化物に担持された金又は白金と金属水酸化物との分離は、金又は白金を担持した金属水酸化物と金又は白金を担持していない金属水酸化物とに分離した後に行うことを特徴とする請求項4〜請求項7のいずれかに記載の金又は白金の回収方法。
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