JP6195765B2 - 缶の内袋用ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は缶の内袋用ポリエステルフィルムに関する。
ドラム缶などの缶の内部に酸性の液などの腐食性の液を貯留する場合には、缶の腐食を防止する目的で、缶内に内袋を設置することがなされている(特許文献1、2)。
このうち、特許文献1には、この種の内袋として、熱可塑性樹脂シート材を重ね合わせることにより複数層に形成されたものが記載されている。シート材を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどの軟性を有する熱可塑性樹脂が用いられている(段落0011)。
特許文献2には、塗料用ドラム缶のための内袋シートとして、ポリエチレン製内袋シートあるいはポリエチレンとナイロンとのラミネート型内袋シートが記載されている(請求項1)。
特開2001−219965号公報 特開2000−309373号公報
しかし、特許文献1に記載された内袋では、一般的な熱可塑性樹脂すなわちポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどの軟性を有する熱可塑性樹脂が用いられているだけであり、特許文献2に記載の内袋シートでも、ポリエチレン製内袋シートあるいはポリエチレンとナイロンとのラミネート型内袋シートといった一般的な樹脂で形成された内袋が用いられているだけである。したがって、ドラム缶に収容する液体が、たとえばリチウムイオン二次電池の電解液などのように強酸性を呈する液である場合には、缶の腐食を防止するための耐酸性が十分ではないという問題点がある。
そこで本発明は、このような問題点を解決して、所要の機械的強度を備えたうえで耐酸性に優れ、しかも内袋を形成するためのヒートシール層を積層するときのラミネート加工性も良好な、缶の内袋用フィルムを得ることを目的とする。
この目的を達成するための本発明の缶の内袋用ポリエステルフィルムの要旨は、次のとおりである。
(1)ポリブチレンテレフタレートを主体とするポリエステル(I)と、ポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル(II)とを含有したフィルムであり、ポリエステル(I)とポリエステル(II)との質量比(I)/(II)が80〜40/20〜60であり、フィルムの長手方向、幅方向とも引張弾性率が2.3〜3.5GPaであることを特徴とする缶の内袋用ポリエステルフィルム。
(2)衝撃強度が、フィルム厚さ12μmに換算して0.4J以上であることを特徴とする上記(1)の缶の内袋用ポリエステルフィルム。
(3)厚さ10〜25μmであることを特徴とする上記(1)または(2)の缶の内袋用ポリエステルフィルム。
(4)上記(1)または(2)または(3)の缶内袋用ポリエステルフィルムにポリオレフィンフィルムが積層されていることを特徴とする缶の内袋用複合フィルム。
(5)上記(4)の缶の内袋用複合フィルムにて形成された袋体が缶内面に装着されていることを特徴とする複合容器。
本発明の缶の内袋用ポリエステルフィルムは、ポリブチレンテレフタレートを主体とするポリエステル(I)と、ポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル(II)とを含有し、ポリエステル(I)とポリエステル(II)との質量比(I)/(II)が80〜40/20〜60であり、フィルムの長手方向、幅方向とも引張弾性率が2.3〜3.5GPaであるため、耐酸性に優れるとともに、耐衝撃性、屈曲耐性にも優れ、しかも内袋を形成するためのヒートシール層を積層するときのラミネート加工性も良好なフィルムとすることができる。
本発明の缶の内袋用ポリエステルフィルムは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を主体とするポリエステル(I)と、ポリエチレンテレフタレート(PET)を主体とするポリエステル(II)とを含有する。
本発明におけるポリブチレンテレフタレート(PBT)は、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとを重合成分とするものであり、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を主体とするポリエステル(I)は、これに他の成分を共重合したものでもよい。
共重合成分としては、特に限定されないが、酸成分として、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトン、乳酸などが挙げられる。
アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシド付加体等が挙げられる。
さらに、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3官能化合物等を少量用いてもよい。
これらの共重合成分は2種以上併用してもよい。
本発明において、ポリエステル(I)として共重合体を用いる場合には、共重合する成分の種類や割合は適宜選択すればよいが、全アルコール成分に対し、1,4−ブタンジオールは80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。1,4−ブタンジオールが80モル%未満であると、融点が後述する範囲を下回る場合があり、結果として結晶性が低くなってフィルムの耐熱性が低下することがある。
本発明のポリエステルフィルムにおいて、ポリエステル(I)由来の融点は、200〜223℃であることが好ましく、210〜223℃であることがより好ましい。融点が200℃未満であると、ポリブチレンテレフタレート(PBT)は、結晶性が低く、それにもとづく弊害が発生しやすい。
本発明におけるポリエチレンテレフタレート(PET)は、テレフタル酸とエチレングリコールとを重合成分とするものであり、ポリエチレンテレフタレート(PET)を主体とするポリエステル(II)は、これに他の成分を共重合したものでもよい。
共重合成分としては、特に限定されず、上記、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を主体とするポリエステル(I)において例示した成分を挙げることができる。
下記融点の調整が容易であることから、共重合する酸成分は、イソフタル酸であることが好ましい。ポリエステル(II)におけるイソフタル酸の含有量は、全酸成分に対し、0〜15mol%であることが好ましく、0〜12mol%であることがより好ましい。
本発明の缶の内袋用ポリエステルフィルムにおいて、ポリエステル(II)由来の融点は、230〜256℃であることが好ましく、236〜256℃であることがより好ましい。融点が230℃未満であると、PETは、結晶性が低く、結果としてそれにもとづく弊害が発生しやすい。
本発明の缶の内袋用ポリエステルフィルムは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を主体とするポリエステル(I)とポリエチレンテレフタレート(PET)を主体とするポリエステル(II)との質量比(I)/(II)が80〜40/20〜60であることが必要であり、さらに、後述するポリオレフィンフィルムとのラミネート加工性や、フィルムの耐衝撃性を十分に得るために、70〜55/30〜45であることが好ましい。
ポリエステルフィルムにおけるポリブチレンテレフタレート(PBT)を主体とするポリエステル(I)の質量比が80を超えると、軟質なポリブチレンテレフタレート(PBT)の特性が顕著に発現し過ぎて、ポリオレフィンフィルムとのドライラミネート等の二次加工においてフィルムにシワが入る問題がある一方、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を主体とするポリエステル(I)の質量比が40未満であると、硬質なポリエチレンテレフタレート(PET)の特性が顕著に発現し過ぎて、ポリエステルフィルムの耐衝撃性が低下する。
本発明の缶の内袋用ポリエステルフィルムの製造に用いる原料としての、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を主体とするポリエステル(I)は、極限粘度が0.75〜1.6dl/gであることが好ましく、また、ポリエチレンテレフタレート(PET)を主体とするポリエステル(II)は、極限粘度が0.65〜1.0dl/gであることが好ましい。その理由は、長期耐久性や耐加水分解性と、熔融混合時の溶融応力の両立を図るためである。極限粘度がこれらの範囲を下回った場合には、長期耐久性や耐加水分解性に問題が生じやすい。反対に極限粘度がこれらの範囲を超えた場合には、原料樹脂の溶融粘度が高くなり過ぎて、フィルムの生産性が低下しやすくなる。
また、これらを溶融混合した後の極限粘度は、0.75〜1.2dl/gであることが好ましい。溶融混合後の極限粘度が0.75dl/g未満であると、得られたフィルムの機械的強度が劣るために耐衝撃性が低下する不都合が生じる可能性がある。一方、溶融混合後の極限粘度が1.2dl/gを超えると、フィルムの生産工程において、溶融押出機にかかる負荷が大きくなって、生産速度を犠牲にせざるを得なくなることがある。また、押出機中における樹脂の溶融滞留時間が長くなりすぎて、ポリエステル樹脂間の反応が進みすぎるため、フィルムの特性の劣化を招くことがある。また、極限粘度の高い原料の製造は、相対的に重合時間や重合プロセスが長くなるため、コストを押し上げる要因ともなる。
ポリブチレンテレフタレート(PBT)を主体とするポリエステル(I)やポリエチレンテレフタレート(PET)を主体とするポリエステル(II)の重合方法は特に限定されず、これらのポリエステル(I)(II)を、例えば、エステル交換法、直接重合法等で重合することができる。エステル交換触媒としては、Mg、Mn、Zn、Ca、Li、Tiの酸化物や酢酸塩等が挙げられる。また、重縮合触媒としては、Sb、Ti、Geの酸化物や酢酸塩等が挙げられる。
重合後のポリエステルは、モノマーやオリゴマー、副生成物のアセトアルデヒドやテトラヒドロフラン等を含有しているため、減圧もしくは不活性ガス流通下、200℃以上の温度で固相重合することが好ましい。
ポリブチレンテレフタレート(PBT)を主体とするポリエステル(I)やポリエチレンテレフタレート(PET)を主体とするポリエステル(II)の重合においては、必要に応じ、添加剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等を添加することができる。酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物等を、熱安定剤としては、例えばリン系化合物等を、紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系の化合物等を挙げることができる。また、ポリブチレンテレフタレート(PBT)とポリエチレンテレフタレート(PET)との間の反応抑制剤として、従来知られているリン系化合物を重合前、重合中、重合後に添加することが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムの製造時や、後述するポリエステルフィルムへのヒートシール用の低融点フィルムの積層時の工程通過性をよくするため、原料ポリエステルに、シリカ、アルミナ、カオリン等の無機滑剤を少量添加して製膜することで、ポリエステルフィルムの表面にスリップ性を付与することが好ましい。この目的のため、ポリエステルフィルムにおける無機滑剤の含有量は、0.001〜0.5質量%であることが好ましく、0.05〜0.3質量%であることがより好ましい。
本発明の缶の内袋用ポリエステルフィルムの製造方法として、下記の方法が挙げられる。すなわち、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を主体とするポリエステル(I)と、ポリエチレンテレフタレート(PET)を主体とするポリエステル(II)とを、質量比(I)/(II)が、80/20〜40/60となるようにブレンドし、押出機内において250〜280℃の温度で滞留時間3〜15分間で溶融混合した後、Tダイを通じてシート状に押出す。このシートを、室温以下に温度調節した冷却ドラム上に密着させて冷却して未延伸フィルムを得る。
得られた未延伸フィルムを、同時二軸延伸機に導き、50〜150℃の温度で、長手方向(MD)と幅方向(TD)とに同時二軸延伸する。二軸延伸において、面倍率(MD延伸倍率×TD延伸倍率)は、6〜20倍であることが好ましく、8.75〜15.75であることがより好ましい。面倍率が20倍を超えると、フィルム面内配向が進み結晶化が高くなるため、それにもとづく弊害が発生しやすい。一方、面倍率が6倍未満であると、フィルムは強度不足となりやすい。
延伸倍率比率(MD延伸倍率/TD延伸倍率)は0.4〜1であることが好ましく、0.55〜1であることがより好ましい。延伸倍率比率がこの範囲外であると、フィルムは、面内のMDとTDに配向の強弱が生じて配向バランスに劣るため、得られるフィルムは、配向の弱い方向よりクラックやシワが発生しやすくなる。
上記面倍率や延伸倍率比率を得るための、それぞれの方向の延伸倍率として、MD延伸倍率は2〜4倍であることが好ましく、2.5〜3.5倍であることがより好ましい。またTD延伸倍率は3〜5倍であることが好ましく、3.5〜4.5倍であることがより好ましい。
同時二軸延伸後に、TDの弛緩率を3.0〜7.0%として、熱固定することが好ましい。熱固定温度は140〜185℃であることが好ましく、155〜180℃であることがより好ましい。
なお、未延伸フィルムは、同時二軸延伸機に導く前に、1.2倍以下程度の予備縦延伸を施しておいてもよい。
本発明の缶の内袋用ポリエステルフィルムは、逐次二軸延伸法によって製造してもよい。逐次二軸延伸法においては、同時二軸延伸法の場合と同様の方法で得られた未延伸フィルムを、ロールや赤外線等で加熱し、2個以上のロールの周速差を利用して、50〜150℃で長手方向(MD)に延伸して、縦延伸フィルムを得る。この縦延伸において、MD延伸倍率は2〜4倍であることが好ましく、2.5〜3.5倍であることがより好ましい。
得られた縦延伸フィルムは、続いて、連続的に、幅方向(TD)に延伸を施して二軸延伸フィルムとする。幅方向(TD)の延伸は、50〜150℃で開始し、TD延伸倍率は3〜5倍が好ましく、3.5〜4.5倍がより好ましい。
逐次二軸延伸した場合であっても、上記同時二軸延伸した場合と同様の理由で、面倍率(MD延伸倍率×TD延伸倍率)は、6〜20倍であることが好ましく、8.75〜15.75であることがより好ましく、延伸倍率比率(MD延伸倍率/TD延伸倍率)は0.4〜1であることが好ましく、0.55〜1であることがより好ましく、0.75〜0.85であることが特に好ましい。
逐次二軸延伸後に、TDの弛緩率を3.0〜7.0%として、熱固定することが好ましい。熱固定温度は140〜185℃であることが好ましく、155〜180℃であることがより好ましい。
同時二軸延伸や逐次二軸延伸後の熱固定処理は、フィルムの寸法安定性を付与するために重要な工程である。その方法としては、熱風を吹き付ける方法、赤外線を照射する方法、マイクロ波を照射する方法等の公知の方法を用いることができる。このうち、均一に精度良く加熱できることから熱風を吹き付ける方法が最適である。
本発明の缶の内袋用ポリエスエルフィルムは、フィルムの長手方向(MD)、幅方向(TD)ともに引張弾性率が2.3〜3.5GPaの範囲内であることが必要である。引張弾性率が2.3GPa未満であると、フィルムが柔らかすぎるため、ラミネート加工等の二次加工においてフィルムにシワが混入したり、熱収縮したりしやすい問題がある。引張弾性率が3.5GPaを超えると、フィルムが硬すぎるために耐衝撃性や屈曲耐性に劣る。
本発明の缶の内袋用ポリエスエルフィルムにおいて、フィルムの長手方向(MD)と幅方向(TD)の引張弾性率をいずれも2.3〜3.5GPaの範囲内とするためには、芳香ポリブチレンテレフタレート(PBT)を主体とするポリエステル(I)と、ポリエチレンテレフタレート(PET)を主体とするポリエステル(II)との配合比率を前述の範囲とした上で、延伸倍率、延伸温度を適宜調整することが必要である。
本発明の缶の内袋用ポリエスエルフィルムは、衝撃強度が、フィルム厚さ12μmに換算して0.4J以上であることが好ましい。衝撃強度が0.4J未満であると、缶の内袋として液体を収容した状態での輸送中に、衝撃を受けたり引っ掻かれたりした場合等に、フィルムにクラックが生じやすく、そこから内容液が漏れ出る可能性がある。衝撃強度を、フィルム厚さ12μmに換算して0.4J以上とするためには、ポリエステル(I)、ポリエステル(II)の配合比率を前述の範囲とした上で、延伸倍率、延伸温度、熱固定温度を適宜調整することが必要である。
本発明の缶の内袋用ポリエスエルフィルムは、フィルム厚さが10〜25μmであることが好ましい。厚さが10μm未満であると、フィルム単体の強度が低くなり、フィルムとしての耐衝撃性や耐突刺性に劣り、かつフィルムの腰がなくなり、後述のようにポリオレフィンフィルムを積層するときなどにおいて、シワが混入しやすくなる。厚さが25μmを超えると、フィルム強度は高くなるが、フィルムの腰が強くなりすぎて、屈曲耐性が劣りやすくなる。
本発明の缶の内袋用ポリエスエルフィルムは、袋体とされたうえで、缶の内袋の用途に供される。袋体とするためには、一般的なヒートシールの手法を適用することができる。このために、ポリエステルフィルムにヒートシール用の低融点フィルムが積層される。低融点フィルムとしてはポリオレフィンフィルムが好適であり、内袋用ポリエステルフィルムにポリオレフィンフィルムが積層されることで、本発明の缶の内袋用複合フィルムが構成される。内袋用ポリエステルフィルムにポリオレフィンフィルムを積層する際には、あらかじめ必要に応じて、内袋用ポリエステルフィルムの表面に、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレ−ム処理等の表面処理を施すことができる。
缶の内袋用複合フィルムにて形成された袋体がドラム缶などの缶内に装着されることで、本発明の複合容器が構成される。この袋体は、これが缶内に装着されることで、この袋体の内部に収容した強酸性の液たとえば電解液などの腐食性の液が缶の内面に直接接触することで缶に腐食が生じることを、防止することができる。腐食性の液を別の袋体に収容したうえで、それを、本発明の複合フィルムにて形成された袋体の中にさらに収容する構成を採用することもできる。
以下の実施例および比較例におけるフィルムの原料、および、特性値の測定法は、次の通りである。
[原料]
(ポリエステル(I))
固相重合を施したポリブチレンテレフタレート(PBT)、極限粘度1.08dl/g、融点(Tm)223℃、Ti触媒40ppm含有。
(ポリエステル(II))
固相重合を施したポリエチレンテレフタレート(PET)、極限粘度0.75dl/g、融点(Tm)255℃、Ge触媒40ppm含有。
[特性値の測定法]
(引張弾性率(GPa)、引張破断強度(MPa)、引張破断伸度(%))
JIS K―7127に記載の方法に準じて、23℃×50%RH雰囲気において、サンプルフィルムを10mm幅×150mmの短冊状にしたものを試料とし、島津製作所社製オ−トグラフ(引張試験機)AG−ISを用いて測定した。MDとTDとのそれぞれ試料数N=5についての測定値の平均値を算出した。引張弾性率(GPa)は、2.3〜3.5GPaの範囲内を合格とした。引張破断強度(MPa)は、200MPa以上を合格とした。引張破断伸度(%)は、90%以上を合格とした。
(屈曲耐性)
サンプルフィルムをMD300mm×TD200mmの大きさにカットして試料とした。この試料を用いて、ASTM F 392に従い、テスター産業社製ゲルボテスターにおいて20℃×65%RH雰囲気下で、1000回屈曲を繰り返した後に穴あき数(ピンホール数)をカウントした。試料数N=3の平均値を穴あき数とし、以下の基準より判定して、◎と○を合格とした。
◎:穴あき数が10個未満
○:穴あき数が10〜30個未満
×:穴あき数が30〜50個未満
××:穴あき数が50個以上
(衝撃強度)
衝撃試験機(東洋精機製作所社製)を用い、20℃×65%RHの雰囲気中で、振子容量30kg・cm、1/2インチφの衝撃頭を用いて、衝撃頭がフィルムを貫通したときの強度を測定した。測定値を厚さ12μmに換算し、0.4J以上を合格とした。
(耐酸性) サンプルフィルム表面に濃塩酸(関東化学社製塩酸(濃度36%))と濃フッ酸(関東化学社製ふっ化水素酸(濃度50%))とを一滴(0.1cc)ずつ滴下し、20℃雰囲気下で一時間放置した。放置後、滴下した酸を除去し、フィルムの白化、フィルムの溶解の有無を目視にて観察した。
(ラミネート加工性)
製造工程において表面にコロナ放電処理を施したサンプルフィルムを走行させながら、このサンプルフィルムに張力10kg/mをかけた状態において、そのサンプルフィルムのコロナ処理面にグラビアロールにて乾燥塗布量が3.0g/mとなるようにドライラミネート接着剤(DICグラフィックス社製、ディックドライ LX−401A/SP−60)を塗布し、その後に80℃で熱処理を行った。そして、熱処理後に前述の張力が維持されたフィルムにおける接着剤塗布面と、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)(三井化学東セロ社製、TUX−FCS、厚さ70μm)のコロナ処理面とを、50℃に加熱した金属ロール上で490kPaのニップ圧力で貼り合わせた。さらに接着剤推奨のエージングを施して、ラミネートフィルムを得た。
このとき、フィルムの走行状態を次の基準にしたがって評価し、○を合格とした。
○:走行中のフィルムに熱収縮・シワが全く認められない。
△:走行中のフィルムに熱収縮・シワが少々認められるが、巻取り可能レベル。
×:走行中のフィルムの熱収縮・シワが大であり、巻取り不可能。
(実施例1、比較例6)
ポリエステル(I)と(II)との質量比(質量%)が表1に示す比になるように両者を配合して混合し、その混合物に平均粒径2.5μmの凝集シリカを0.08質量%添加し、表1に記載の温度条件(押出温度)で溶融してTダイ出口より押出し、急冷固化して未延伸フィルムを得た。 次いで、この未延伸フィルムの端部をテンター式同時二軸延伸機のクリップにて把持し、60℃の予熱ゾーンを走行させた後、温度80℃で、MDに3.0倍、TDに3.3倍で同時二軸延伸した。その後TDの弛緩率を5%として、熱固定ピーク温度170℃で4秒間の熱処理を施した。さらに、室温まで冷却し、フィルム片面にコロナ放電処理を施して巻き取ることで、厚さ12μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られたフィルムを用いて、上述の方法でラミネートフィルムを作成した。 フィルムの耐酸性、引張弾性率、引張破断強度、引張破断伸度、屈曲耐性、衝撃強度、ラミネート加工性について評価した結果を、表2に示す。
Figure 0006195765
Figure 0006195765
(実施例2〜6、比較例1〜5)
実施例1と同様の方法によって、表1に記載のポリエステル組成、押出温度条件で未延伸フィルムを得た。そののち、表1に示す温度および延伸倍率の条件で、縦方向、次いで横方向に逐次二軸延伸した。さらに、熱固定ピーク温度170℃で4秒間の熱処理を施した後、室温まで冷却し、フィルム片面にコロナ放電処理を施して巻き取ることで、表1に記載の厚さの二軸延伸フィルムを得た。
得られたフィルムを用いて、上述の方法でラミネートフィルムを作成した。 フィルムの耐酸性、引張弾性率、引張破断強度、引張破断伸度、屈曲耐性、衝撃強度、ラミネート加工性について評価した結果を、表2に示す。
(比較例7)
相対粘度3.0(95%硫酸中、濃度1g/デシリットル、25℃)のナイロン6樹脂(ユニチカ社製、A1030BRF、融点:220℃)を260℃でTダイからシート状に溶融押出し、エアーナイフキャスト法により15℃の回転ドラムで急冷、固化することで、厚さ150μmの未延伸ポリアミドフィルムを得た。この未延伸フィルムの幅方向の両端をクリップで把持しながら、180℃の予熱ゾーンへ導いて予熱した後、テンター法により、延伸温度200℃で、長手方向3.0倍、幅方向3.3倍の同時二軸延伸を行った。次いで、210℃で4秒間熱処理を施した後、室温まで冷却し、フィルム片面にコロナ放電処理を施して巻取ることで、厚さ15μmの二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。
得られたフィルムを用いて、上述の方法でラミネートフィルムを作成した。 フィルムの耐酸性、引張弾性率、引張破断強度、引張破断伸度、屈曲耐性、衝撃強度、ラミネート加工性について評価した結果を、表2に示す。
実施例1〜6の缶の内袋用ポリエステルフィルムは、いずれも、所要の引張弾性率、引張破断強度、引張破断伸度を備えたうえで、耐酸性に優れており、また屈曲耐性、衝撃強度にも優れていた。袋体を構成するときのヒートシール層となる線状低密度ポリエチレン(LLDPE)とのラミネート加工性も良好であった。
これに対し比較例1のフィルムは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を主体とするポリエステル(I)の質量比が本発明の範囲未満であったため、実施例のフィルムに比べて衝撃強度が低下したものであった。
比較例2のフィルムは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を主体とするポリエステル(I)の質量比が本発明の範囲を超過していたため、屈曲耐性や衝撃強度には優れていたものの、実施例のフィルムに比べラミネート加工性が低下した。また引張弾性率も低いものであった。
比較例3のフィルムは、フィルム厚さが小さかったために、実施例のフィルムに比べて、屈曲耐性には優れていたものの、衝撃強度やラミネート加工性に劣っていた。
比較例4のフィルムは、フィルム厚さが大きかったことが影響して、実施例のフィルムに比べて屈曲耐性に劣っていた。
比較例5のフィルムは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を主体とするポリエステル(I)の質量比が0であり、ポリエチレンテレフタレート(PET)を主体とするポリエステル(II)のみにて形成されたものであったため、実施例のフィルムに比べて、引張弾性率が高くなり過ぎたことが原因して、屈曲耐性が著しく劣っていたのみならず、衝撃強度も低いものであった。
比較例6のフィルムは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を主体とするポリエステル(I)のみにて形成され、ポリエチレンテレフタレート(PET)を主体とするポリエステル(II)の質量比が0であったため、実施例のフィルムに比べて、衝撃強度および屈曲耐性に優れていたものの、引張弾性率およびラミネート加工性に劣っていた。
比較例7のフィルムは、原料にナイロン6樹脂を用いたものであったため、本発明の実施例のフィルムに比べて、衝撃強度、屈曲耐性に優れていたものの、耐酸性に著しく劣るものであった。

Claims (5)

  1. ポリブチレンテレフタレートを主体とするポリエステル(I)と、ポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル(II)とを含有したフィルムであり、ポリエステル(I)とポリエステル(II)との質量比(I)/(II)が80〜40/20〜60であり、フィルムの長手方向、幅方向とも引張弾性率が2.3〜3.5GPaであることを特徴とする缶の内袋用ポリエステルフィルム。
  2. 衝撃強度が、フィルム厚さ12μmに換算して0.4J以上であることを特徴とする請求項1記載の缶の内袋用ポリエステルフィルム。
  3. 厚さ10〜25μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の缶の内袋用ポリエステルフィルム。
  4. 請求項1または2または3に記載の缶の内袋用ポリエステルフィルムにポリオレフィンフィルムが積層されていることを特徴とする缶の内袋用複合フィルム。
  5. 請求項4に記載の缶の内袋用複合フィルムにて形成された袋体が缶内に装着されていることを特徴とする複合容器。
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