JP2003145667A - 蒸着フィルム - Google Patents

蒸着フィルム

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JP2003145667A
JP2003145667A JP2001344436A JP2001344436A JP2003145667A JP 2003145667 A JP2003145667 A JP 2003145667A JP 2001344436 A JP2001344436 A JP 2001344436A JP 2001344436 A JP2001344436 A JP 2001344436A JP 2003145667 A JP2003145667 A JP 2003145667A
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layer
vapor
polyamide
polyester
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Megumi Ueno
恵 上野
Kokichi Hashimoto
幸吉 橋本
Hiroyuki Tanaka
裕之 田中
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 蒸着加工性及びガスバリア性に優れた蒸着フ
ィルムを提供する。 【解決手段】 ポリエステルフィルムおよび脂肪族ポリ
アミドフィルムから選択された基材フィルム層(A層)
の片面側に、ガラス転移温度が60℃以上の芳香族ポリ
アミドを主成分とするポリアミドフィルム層(C層)が
厚み0.01〜5μmで積層され、かつ、基材フィルム
層(A層)の他の片面側の表面に蒸着による無機薄膜が
形成されてなる蒸着フィルムである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸素および水蒸気
の遮断性に優れた蒸着フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】食品や薬品を長期保存するためには、腐
敗や変質を促進する酸素や水蒸気の、外気からの浸入を
遮断する効果を持った、いわゆるガスバリア性に優れた
包装を行う必要があり、その包装には従来より種々のガ
スバリアフィルムが使用されている。このガスバリア性
のフィルム包装においては、近年特に内容物の状態を確
認できる透明性が強く要求されるようになってきてい
て、種々の透明ガスバリアフィルムが使用されてきてい
る。
【0003】例えば、不透明で高度なガスバリア性を有
する包装として、アルミニウム箔が積層されたフィルム
包装が知られている。しかし、アルミニウム箔は高分子
フィルムに比べ、屈曲性が劣り、加工などの折り曲げ等
でピンホールを生じて、ガスバリア性が低下しやすい点
から、アルミニウム箔並の高度なガスバリア性を有する
フィルムへの代替が望まれている。
【0004】また、透明なガスバリア性フィルムとし
て、ポリ塩化ビニリデン樹脂とエチレン−ビニルアルコ
ール共重合樹脂との積層フィルムが知られている。さら
に、金属化合物の膜を高分子フィルム表面に形成したも
のは、ガスバリア性と透明性が良好であることが知られ
ている。
【0005】しかし、これら従来の透明ガスバリア性フ
ィルムは、以下のような問題点があった。
【0006】ポリ塩化ビニリデン樹脂とエチレン−ビニ
ルアルコール共重合樹脂との積層フィルムは、酸素や水
蒸気のガスバリア性が十分ではなく、特に高温での殺菌
処理において、その低下が著しい。さらにポリ塩化ビニ
リデンは焼却時に塩素ガスの発生があり、地球環境への
悪影響が懸念されている。
【0007】一方、蒸着により酸化珪素膜や酸化アルミ
ニウム膜を形成したフィルムは、良好なガスバリア性を
有するが、近年、食生活が豊かになって様々な食品や菓
子類が市場に登場し、品質の長期保存性がより一層重視
されてきて、これに伴い、ガスバリア性などの特性の一
層の向上が包装材に求められてきている。特にスナック
菓子や食品等の包装においては、製造したての良好な品
質をより長期間確保するため、包装内容物の酸化や湿り
を長期間防止し得る高度なガスバリア性が要求され始め
てきている。
【0008】これらの要求に応えるため、例えば、特開
平9−300589号公報記載のように低結晶性ポリエ
ステルを積層させたガスバリアフィルムや、特開平8−
231836号公報記載のように特定の共重合ポリエス
テル成分をブレンド含有させた透明ガスバリアフィルム
が提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
9−300589号公報や特開平8−231836号公
報に記載された技術では、確かにガスバリア性は改良さ
れるが、近年要求されている高度なガスバリア性の水準
には至っていない。
【0010】従って、本発明の目的とするところは、従
来技術の問題点を解消し、蒸着フィルムの酸素および水
蒸気に関するガスバリア性を格段に向上させることであ
り、そして、優れたガスバリア性を発現する蒸着フィル
ムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は下記の構成をとる。すなわち、 (イ)ポリエステルフィルムおよび脂肪族ポリアミドフ
ィルムから選択された基材フィルム層(A層)の片面側
に、ガラス転移温度が60℃以上の芳香族ポリアミドを
主成分とするポリアミドフィルム層(C層)が厚み0.
01〜5μmで積層され、かつ、基材フィルム層(A
層)の他の片面側の表面に蒸着による無機薄膜が形成さ
れてなる蒸着フィルム。 (ロ)基材フィルム層(A層)がポリエステルフィルム
であり、かつ、該フィルムを構成するポリエステルが、
テレフタル酸および/または2,6−ナフタレンジカル
ボン酸を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレング
リコールを主成分とするグリコール成分とから重合され
るポリエステルである上記(イ)に記載の蒸着フィル
ム。 (ハ)さらにポリマー層(B層)が、基材フィルム層
(A層)とポリアミドフィルム層(C層)との間に介在
する上記(イ)または(ロ)に記載の蒸着フィルム。 (ニ)ポリマー層(B層)が、ポリエステルとポリアミ
ドとを主成分として含有するポリマー組成物からなる層
である上記(ハ)に記載の蒸着フィルム。 (ホ)無機薄膜を形成する前の積層フィルムにおける無
機薄膜形成側の表面の中心線平均表面粗さ(Ra)が
0.005〜0.03μmの範囲である上記(イ)〜
(ニ)のいずれかに記載の蒸着フィルム。 (ヘ)無機薄膜を形成する前の積層フィルムの面配向係
数(fn)が0.155〜0.180の範囲である上記
(イ)〜(ホ)のいずれかに記載の蒸着フィルム。 (ト)無機薄膜を形成する前の積層フィルムの150
℃、30分の熱収縮率が、フィルムの長手方向で0.5
〜2%、幅方向で−1.2〜0.5%の範囲である上記
(イ)〜(ホ)のいずれかに記載の蒸着フィルム。 (チ)無機薄膜がアルミニウム薄膜および/または金属
酸化物薄膜である上記(イ)〜(ヘ)のいずれかに記載
の蒸着フィルム。である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の望ましい実施の
形態について詳細に説明する。
【0013】本発明における基材フィルム層(A層)
は、ポリエステルフィルムまたは脂肪族ポリアミドフィ
ルムからなる。
【0014】このポリエステルフィルムを構成するポリ
エステルは、エステル結合により構成される高分子量体
であって、エチレンテレフタレート単位および/または
エチレンナフタレート単位を主たる構成成分とするポリ
エステルである。該組成のポリエステルを使用すること
で、耐熱性と加工性を両立することができる。なおここ
で、主たる構成成分であるというのは、ポリエステル中
のエチレンテレフタレート単位および/またはエチレン
ナフタレート単位の構成比率が60モル%以上であるこ
とを言う。
【0015】ポリエステルの重合原料として用いられる
ジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソ
フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカル
ボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキ
シエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタ
ル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コ
ハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイ
ン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキシ
ンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、p−オキシ安
息香酸等のオキシカルボン酸等を使用することができ
る。このうち、本発明におけるポリエステルでは、テレ
フタル酸および/またはナフタレンジカルボン酸のしめ
る割合が、好ましくは70モル%以上、より好ましくは
85モル%以上、とくに好ましくは95モル%以上であ
ることが耐熱性、生産性、コスト、蒸着膜との接着性、
優れたガスバリア性を得やすい点から好ましい。
【0016】一方、グリコール成分としては、例えばエ
チレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオー
ル、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチ
ルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジ
メタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノールA、
ビスフェノールS等の芳香族グリコール、ジエチレング
リコール等を使用することができる。このうち、エチレ
ングリコールのしめる割合が好ましくは60モル%以
上、より好ましくは70モル%以上、とくに好ましくは
85モル%以上であることが耐熱性、生産性、コスト、
蒸着膜との接着性、優れたガスバリア性を得やすい点か
ら好ましい。
【0017】これらのジカルボン酸成分、グリコール成
分は2種以上を併用してもよい。さらに、本発明の効果
を阻害しない限りにおいて、本発明に使用するポリエス
テルとしてトリメリット酸、トリメシン酸、トリメチロ
ールプロパン等の多官能化合物を共重合したものを使用
することもできる。
【0018】本発明で用いるポリエステルフィルムを構
成するポリエステルは、1種のポリエステルであって
も、2種以上のポリエステルのブレンドであってもよい
が、加工性を向上させる点で、好ましくはポリエチレン
テレフタレートとポリエチレンナフタレートのブレンド
である。
【0019】本発明で使用するポリエステルは、接着
性、製膜安定性をより向上させるために、ポリエステル
の固有粘度が、好ましくは0.50dl/g以上、さら
に好ましくは0.55dl/g以上、特に好ましくは
0.60dl/g以上である。固有粘度が0.50dl
/g未満では、蒸着膜との接着性が低下する可能性があ
る。
【0020】本発明に使用するポリエステルを製造する
際の触媒としては特に限定されないが、アルカリ土類金
属化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニ
ウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、チタン
/ケイ素複合酸化物、ゲルマニウム化合物などが使用で
きる。中でもチタン化合物、チタン/ケイ素複合酸化
物、ゲルマニウム化合物が触媒活性の点から好ましい。
【0021】ポリエステルフィルムには、本発明の効果
を損なわない範囲で他のポリエステルを配合することが
できる。他のポリエステルとして、例えば、ポリエチレ
ンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタ
レート(PPT)、ポリブチレンテレフタレート(PB
T)、ポリヘキサンテレフタレート(PHT)、ポリエ
チレンナフタレート(PEN)、ポリシクロヘキサンジ
メチレンテレフタレート(PCT)、ポリヒドロキシベ
ンゾエート(PHB)およびそれらの共重合樹脂などを
挙げることができる。
【0022】また、本発明で基材フィルム層(A層)に
用いられる脂肪族ポリアミドフィルムは、ラクタムの開
環重合、脂肪族アミノカルボン酸の重縮合、及び/又
は、脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸の重縮合によ
って得られる脂肪族ポリアミドのフィルムである。その
脂肪族ポリアミドの具体例としては、ポリアミド6、ポ
リアミド12、ポリアミド11、ポリアミド6−6、ポ
リアミド6−10、ポリアミド6−12があり、これら
の共重合物または混合物なども挙げることができる。
【0023】本発明における基材フィルム層(A層)
は、ポリエステルフィルムまたは脂肪族ポリアミドフィ
ルムからなることが必要であり、蒸着加工性の点でポリ
エステルフィルムの方が好ましい。
【0024】また、本発明において、基材フィルム層
(A層)の片面側に形成されるフィルム層(C層)は、
ガラス転移温度が60℃以上の芳香族ポリアミドを主成
分とするポリアミドフィルムからなる。
【0025】ここで用いる芳香族ポリアミドは、アミド
結合の少なくとも85モル以上が芳香族ジアミンおよび
/または芳香族ジカルボン酸成分より得られるものであ
る。その具体例としては、ポリパラフェニレンテレフタ
ルアミド、ポリメタフェニレンテレフタルアミド、ポリ
パラベンズアミド、ポリ−4,4’−ジアミノベンズア
ミド、ポリパラフェニレン−2,6−ナフタタリックア
ミド、コポリパラフェニレン/4,4’−(3,3’−
ジメチルビフェニレン)−テレフタルアミド、コポリパ
ラフェニレン/2,5−ピリジレン−テレフタルアミ
ド、ポリオルソフェニレンフタルアミド、ポリメタフェ
ニレンフタルアミド、ポリパラフェニレンフタルアミ
ド、ポリオルソフェニレンイソフタルアミド、ポリメタ
フェニレンイソフタルアミド、ポリパラフェニレンイソ
フタルアミド、ポリオルソフェニレンテレフタルアミ
ド、ポリ−1,5’−ナフタレンフタルアミド、ポリ−
4,4’−ジフェニレンオルソフタルアミド、ポリ−
1,4−ナフタレンフタルアミド、ポリ−1,4−ナフ
タレンイソフタルアミド、ポリ−1,5−ナフタレンイ
ソフタルアミド等およびこれらの芳香族ジアミンのベン
ゼン環の一部をピペラジン、1,5−ジメチルピペラジ
ン、2,5−ジエチルピペラジンで置換した化合物等に
代表される脂環式アミンを含む芳香族アミド、または芳
香族アミンが8,3’−オキシジフェニレンジアミン、
3,4−オキシジフェニレンジアミン等のエーテル結
合、−S−、−SO2−、−CO−、−NH−等の基に
より結合された2個のフェニル基を含む芳香族ポリアミ
ドのコポリマー、例えば、ポリ−8,8’−オキシフェ
ニレンテレフタル/ポリパラフェニレンテレフタルアミ
ド共重合体、ポリ−3,4’−オキシジフェニレンテレ
フタルアミド/ポリパラフェニレンテレフタルアミド共
重合体等を挙げることができる。
【0026】本発明におけるポリアミドフィルム層(C
層)の主成分として用いる芳香族ポリアミドは、上記し
た芳香族ポリアミドの中でガラス転移温度が60℃以上
のものである。この特定の芳香族ポリアミドを主成分と
し、必要に応じ添加剤などを配合してなるポリアミドフ
ィルム層(C層)が、基材フィルム層(A層)の片面側
に、厚み0.01〜5μmで積層されることが必要であ
る。その芳香族ポリアミドのガラス転移温度が60℃未
満であると優れた蒸着バリア性が得られ難い。より好ま
しくは80℃以上、さらに好ましくは100℃以上であ
る。芳香族ポリアミドのガラス転移温度の上限は特に制
限はないが、実用可能な芳香族ポリアミドのガラス転移
温度の上限値(約120℃)からして実質的なガラス転
移温度の上限は120℃である。また積層厚みは0.0
1μm未満であると優れた蒸着バリア性が得られ難い。
逆に積層厚みが5μmを越えると、片面積層の場合にフ
ィルムがカールし易く、ハンドリング性が悪化し易いの
で実用面で適していない。より好ましくは0.05〜5
μm、さらに好ましくは0.1〜5μmである。
【0027】本発明における積層フィルムでは、ポリマ
ーB層が、基材フィルム層(A層)とポリアミドフィル
ム層(C層)との間に介在することが好ましい。特に、
基材フィルム層(A層)がポリエステルフィルムである
場合は、ポリマーB層が介在することが好ましく、基材
フィルム層(A層)とポリアミドフィルム層(C層)と
の間の剥離を防止するために効果的である。なお、基材
フィルム層(A層)が脂肪族ポリアミドフィルムである
場合は、ポリマーB層が介在しなくても構わない。
【0028】このポリマーB層は、ポリエステルとポリ
アミドとが混合されたポリマー組成物で構成されること
が好ましい。ここで用いるポリエステルとしては、前述
したポリエステルと同様なものを用いても、他のポリエ
ステルを用いても構わない。また、ポリアミドとして
は、前述した脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ま
たは、その両者の混合物が用いられるが、密着性の点か
らは芳香族ポリアミドが好ましく用いられる。ポリマー
B層を構成するポリエステルとポリアミドとの混合組成
比(重量比)は、密着性の点から90/10〜10/9
0が好ましい。
【0029】ポリマーB層の積層厚みは特に限定しない
が、0.1〜10μm、より好ましくは0.2〜5μm
である。
【0030】本発明のフィルムを構成する各フィルム層
中には、必要に応じ、粒子を添加してもよい。添加する
粒子は、ポリエステルに不活性なものであれば特に限定
されないが、例えば、無機粒子、有機粒子、架橋高分子
粒子、重合系内で生成させる内部粒子などを挙げること
ができる。これらの粒子を2種以上添加しても構わな
い。添加量としては0.01〜10重量%、さらに0.
02〜1重量%が好ましい。添加する平均粒子径は好ま
しくは0.001〜10μmであり、さらに好ましくは
0.01〜2μmである。平均粒子径が10μmを越え
るとフィルムの欠陥が生じやすくなるので好ましくな
い。
【0031】無機粒子としては、特に限定されないが炭
酸カルシウム、カオリン、タルク、炭酸マグネシウム、
炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸
リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、酸
化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコ
ニウム、フッ化リチウムなどからなる粒子が挙げられ
る。
【0032】有機粒子としては、シュウ酸カルシウム
や、カルシウム、バリウム、亜鉛、マンガン、マグネシ
ウム等の金属のテレフタル酸塩などからなる粒子が挙げ
られる。
【0033】架橋高分子粒子としては、ジビニルベンゼ
ン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸のビニル系モ
ノマーの単独または共重合体からなる粒子が挙げられ
る。その他ポリテトラフルオロエチレン、ベンゾグアナ
ミン樹脂、熱硬化エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂などか
らなる有機微粒子も好ましい。
【0034】重合系内で生成させる内部粒子としては、
アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物などを反
応系内に添加し、さらにリン化合物を添加する公知の方
法で生成されるものが使用できる。
【0035】本発明のフィルムを構成する各フィルム層
中には、必要に応じて、難燃剤、熱安定剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、脂肪酸エ
ステル、ワックス等の有機滑剤またはポリシロキサン等
の消泡剤を配合することもできる。
【0036】また、本発明の蒸着フィルムにおいて、無
機薄膜を形成する前の積層フィルムは、種類の異なるポ
リマーを用いて、例えば特開平9−24588号広報に
示されるような積層構造とすることができる。かかる積
層フィルムの積層形態は、特に限定されないが、例え
ば、基材フィルム層(A層)/ポリマー層(B層)/ポ
リアミドフィルム層(C層)を、それぞれ、A、B、C
で表した場合、A/C、A/B/C、A/C/A、A/
B/C/B/Aなどの積層形態を挙げることができる。
なかでも、蒸着ガスバリア性や加工性点からは、A/B
/Cの積層やA/B/C/B/Aの積層の形態がより好
ましい。また、フィルムのカール防止の点からは、A/
B/Aの積層やA/B/C/B/Aの積層の形態がより
好ましい。さらには5層より多層の積層構成であっても
よく、積層厚み比も任意に設定して構わない。さらに、
これら以外の層を積層してもよく、例えば、帯電防止
層、マット層、ハードコート層、易滑コート層、易接着
層、粘着層などを必要に応じて積層してもよい。
【0037】さらに本発明のフィルムの厚み(無機薄膜
を形成する前の積層フィルムで測定)は特に限定しない
が、好ましくは1〜300μm、より好ましくは5〜1
00μmである。
【0038】本発明の蒸着フィルムにおいて、無機薄膜
を形成する前の積層フィルムの面配向係数(fn)は、
0.155〜0.180の範囲であることが好ましく、
より好ましくは0.1625〜0.175の範囲であ
る。fnが0.155未満であると、フィルムの配向性
が低下するため強度低下や外力に対して伸びやすくな
り、加工適性が低下しやすいため好ましくない。逆に
0.180を越えると、フィルムの幅方向の物性ムラや
白化等が生じやすいので好ましくない。
【0039】また、本発明の蒸着フィルムにおいて、無
機薄膜を形成する前の積層フィルムの、150℃、30
分の熱収縮率は、フィルムの長手方向で0.5〜2%、
幅方向で−1.2〜0.5%の範囲であることが好まし
く、さらに好ましくはフィルムの長手方向で1〜2%、
幅方向で−1〜0%である。熱収縮率がフィルム長手方
向で2%、幅方向で0.5%を越える場合や幅方向で−
1.2%未満であると蒸着時やラミネート、印刷工程等
の外力が負荷される加工時に寸法変化が大きくなりやす
いので好ましくない。長手方向の150℃、30分の熱
収縮率はできるだけ小さい方が好ましいが、0.5%程
度を有することから、長手方向の熱収縮率の下限は実質
的に0.5%である。ここで熱収縮率のマイナス(−)
の値は伸びを示すものである。
【0040】本発明の蒸着フィルムは、基材フィルム層
(A層)とその片面側に積層されたポリアミドフィルム
層(C層)とを(好ましくはさらにポリマー層(B層)
をも)含む積層フィルムに、基材フィルム層(A層)の
他の片面側の表面に蒸着による無機薄膜が形成されてな
るものであるが、その無機薄膜を形成する前の積層フィ
ルムにおける無機薄膜形成側の表面(蒸着膜形成面とい
う)の中心線平均粗さ(Ra)は、0.005〜0.0
3μmであることが好ましい。より好ましくは0.00
8〜0.025μm、さらに好ましくは0.01〜0.
02μmである。蒸着膜形成面のRaを上記範囲内とす
ることにより、良好なフィルムのハンドリング性(滑り
性)、さらには優れた加工性を得ることができる。即
ち、Raが0.005μm未満であると、フィルムのハ
ンドリング性が悪化し易いので好ましくない。Raが
0.03μmを越えると、耐傷性が悪化すると共に蒸着
時にピンホールが生じやすくなるので好ましくない。R
aを上記の範囲とする方法は特に限定されないが、基材
フィルム層(A層)中に粒子を含有させる方法が好まし
く、梨地模様の金属ドラムに接触させてフィルム表面に
ドラム表面の凹凸を転写させる方法であっても構わな
い。
【0041】また、蒸着膜形成面とは反対側のフィルム
表面(非蒸着面という)のRaは0.008〜0.05
μmが好ましく、さらには0.01〜0.03μmが好
ましい。非蒸着面のRaが0.05μmを越えると滑り
性が高すぎてかえってハンドリング性が低下するなどの
蒸着特性、加工性が悪化するので好ましくない。この非
蒸着面のRaと蒸着膜形成面のRaとの差(ΔRa)は
0.003〜0.045μmが好ましく、さらに好まし
くは0.005〜0.045μmである。
【0042】本発明の蒸着フィルムを作成するために
は、前記した積層フィルムの、基材フィルム層(A層)
の他の片面側の表面(ポリアミドフィルム層(C層)が
積層されていない方の表面)に、蒸着による無機薄膜を
形成することが必要である。この際、蒸着を施す表面に
コロナ放電処理を施し、表面の濡れ張力を35mN/m
以上に上げることは、蒸着無機薄膜の密着性を向上させ
るため好ましく採用できる。この時のコロナ放電処理時
の雰囲気ガスとしては、空気、炭酸ガス、または窒素/
炭酸ガスの混合系のいずれでもよく、特に炭酸ガスまた
は窒素/炭酸ガスの混合ガス(体積比=95/5〜50
/50)中でコロナ処理すると、フィルム表面の濡れ張
力が35mN/m以上に上がるので好ましい。
【0043】このコロナ放電処理をした表面に無機薄膜
を蒸着によって形成する。この無機薄膜を構成する材質
としては、アルミニウムや、および/またはアルミニウ
ム、珪素、亜鉛、マグネシウムなどの金属酸化物が好ま
しい。金属酸化物の中では、酸化アルミニウムがガスバ
リア性能とコストの面からより好ましい。金属酸化物は
これらのものの単独でもよく、複数が混合したものでも
よく、金属成分が一部残存したものでもよい。
【0044】蒸着によりこれら無機薄膜を形成する方法
としては、通常の真空蒸着法を用いることができるが、
イオンプレーティングやスパッタリング、プラズマで蒸
発物を活性化する方法などを用いることができる。金属
酸化物の膜を形成する方法としては、金属酸化物を直接
蒸発により堆積する方法でもよいが、酸化雰囲気下での
反応性蒸着による方法が生産性の上からより好ましい。
また化学気相蒸着法(いわゆるCVD法)も広い意味で
の蒸着法として用いることができる。酸化雰囲気とする
ためには、酸素ガス単独または酸素ガスを不活性ガスで
希釈した気体を真空蒸着機中に必要量導入すればよい。
不活性ガスとはアルゴンやヘリウムなどの希ガスや窒素
ガスおよびこれらの混合ガスを指す。反応性蒸着は、こ
ういった酸化雰囲気下で金属または金属酸化物を蒸発源
から蒸発させ、基材フィルム近傍で酸化反応を起こさ
せ、基材フィルム上に無機薄膜を形成する手法により行
われる。これらのための蒸発源としては、抵抗加熱方式
のボード形式や、輻射または高周波加熱によるルツボ形
式や、電子ビーム加熱による方式などがあるが、特に限
定されない。
【0045】無機薄膜が金属酸化物からなる場合は、完
全酸化物であることが最も好ましい。しかし、一般に完
全酸化物を形成しようとすると、過剰に酸化された部分
が形成される確率が高く、過剰酸化部分のガスバリア性
能が劣り、全体として高いガスバリア性能を得ることは
難しい。このため、多少金属成分が残った不完全酸化膜
であってもよい。
【0046】蒸着フィルムの光線透過率は好ましくは7
0%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましく
は85%以上であることが、包装袋として用いた場合に
内容物を品質確認する上で好ましい。その光線透過率の
上限は、基材フィルム層(A層)の光線透過率による制
限を受け、一般的なポリエステルフィルムの光線透過率
の上限値(92%)が、実質的な光線透過率の上限値と
なる。
【0047】無機薄膜の厚みは、アルミニウム薄膜の場
合、20〜50nmの厚みが好ましく、光学濃度(光線
透過率の逆数の対数)が1.5〜3.0程度のものが蒸
着される。また金属酸化物の場合、ガスバリア性能およ
び可撓性などの点で、好ましくは5〜100nm、より
好ましくは8〜50nmの厚みが用いられる。膜厚が5
nm未満では、ガスバリア性能が十分でない。膜厚が1
00nmを超えると蒸着時に金属酸化物の凝集潜熱によ
り、フィルムの極表面が溶融して白化する熱負けの発生
や、蒸着膜の可撓性が悪くなり、さらにフィルムの折り
曲げなどにより、蒸着薄膜の割れや、剥離が生じやすく
なるので好ましくない。
【0048】本発明の蒸着フィルムは、無機薄膜の蒸着
面の上に、他の樹脂を積層することもできる。積層され
る他の樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ナイロン
樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などが好まし
く、二軸延伸フィルムの積層でも無延伸フィルムの積層
でも構わない。ヒートシール層として積層する場合は、
ポリオレフィン系樹脂の無延伸フィルムが好ましく、こ
れらのフィルムを押出ラミネート法または接着剤などで
積層することが好ましい。この場合の蒸着フィルムは、
ヒートシール層同士を重ね合わせてシールされて包装袋
として使用される。
【0049】本発明において、無機薄膜を形成する前の
積層フィルムは、従来公知の任意の方法を用いて製造す
ることができる。基材フィルム層(A層)、ポリマー層
(B層)およびポリアミドフィルム層(C層)のそれぞ
れを構成する樹脂として、ポリエステルA、ポリマーB
およびポリアミドCを用い、二軸延伸フィルムとする場
合を例にとって、以下説明する。
【0050】ポリエステルA、ポリマーBおよびポリア
ミドCをそれぞれ、通常のホッパドライヤー、パドルド
ライヤー、真空乾燥機等を用いて乾燥した後、別々の押
出機にそれぞれ供給して、200〜320℃で溶融し、
スリット状の3層口金に導き、3層積層されたシート状
にして押出し、急冷してポリエステルA/ポリマーB/
ポリアミドCの積層未延伸フィルムを得る。Tダイ法を
用いた場合、急冷時にいわゆる静電印加密着法を用いる
ことにより、厚みの均一なフィルムを得ることができる
ので好ましい。次いでこの未延伸フィルムを同時または
逐次に二軸延伸する。逐次二軸延伸の場合、その延伸順
序はフィルムを長手方向および幅方向の順とすればよい
が、この逆の順としてもよい。さらに、逐次二軸延伸に
おいては、長手方向または幅方向の延伸をそれぞれ2回
以上行うことも可能である。延伸方法については特に制
限はなく、ロール延伸、テンター延伸等の方法が適用さ
れ、形状面においてはフラット状、チューブ状等どのよ
うなものであってもよい。フィルムの長手方向および幅
方向の延伸倍率は目的とする蒸着適性、配向性などに応
じて任意に設定することができるが、好ましくは1.5
〜6.0倍である。延伸温度はポリエステルのガラス転
移温度以上、結晶化温度以下の範囲であれば任意の温度
とすることができるが、通常は30〜150℃が好まし
い。さらに、二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行うこ
とができる。熱処理温度はポリエステルAの融点以下の
任意の温度とすればよいが、好ましくは200〜240
℃である。熱処理はフィルムを長手方向および/または
幅方向に弛緩させつつ行ってもよい。
【0051】このようにして得られた積層フィルムは、
次に、蒸着処理されるが、この蒸着処理の前に、蒸着を
施す表面を公知の接着促進処理、例えば空気中やその他
の雰囲気下でのコロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理
等を施してもよい。コロナ放電処理の場合、雰囲気ガス
としては、空気、炭酸ガス、または窒素/炭酸ガスの混
合系のいずれでもよく、特に炭酸ガスまたは窒素/炭酸
ガスの混合ガス(体積比=95/5〜50/50)中で
コロナ処理すると、フィルム表面の濡れ張力が35mN
/m以上に上がるので好ましい。
【0052】次に、接着促進処理されたフィルムを、フ
ィルム走行装置を具備した真空蒸着装置内にセットし、
冷却金属ドラムを介して走行させる。この時、アルミニ
ウム金属を加熱蒸発させながら、蒸発した金属蒸気によ
って蒸着を行う。または、金属蒸気の存在する箇所に酸
素ガスを供給し、アルミニウムを酸化させながら走行フ
ィルム面に凝集堆積させ、酸化アルミニウム蒸着層を形
成し、巻き取る。この時のアルミニウムの蒸発量と供給
酸素ガス量の比率を変更することで、酸化アルミニウム
蒸着フィルムの光線透過率を変更することができる。蒸
着後、真空蒸着装置内を常圧に戻して巻き取ったフィル
ムをスリットする。この後、30℃以上の温度で1日以
上放置してエージングするとガスバリア性が安定化する
ので好ましい。
【0053】
【実施例】次に、本発明の効果を実施例により説明する
が、本発明がこれらの実施例に限定されるものではな
い。まず、特性値の測定方法および評価方法を以下に示
す。
【0054】[特性値の測定方法・評価方法]本発明の
特性値は次の測定法による。
【0055】(1)ガラス転移温度(Tg) Seiko Instrument(株)製の熱分析装置DSCII型を用
い、サンプル5mgを300℃で5分間保持し、液体窒
素で急冷した後、昇温速度20℃/分で昇温した際の転
移点の中心温度を測定し、ガラス転移温度(Tg)とし
た。
【0056】(2)融点(Tm) Seiko Instrument(株)製の熱分析装置DSCII型を用
い、サンプル5mgを室温より20℃/分の昇温速度で
昇温していった際の吸熱融解曲線のピーク温度を測定
し、融点(Tm)とした。
【0057】(3)極限粘度 ポリエステルをオルソクロロフェノールに溶解し、25
℃において測定した。
【0058】(4)相対粘度(ηr) ポリアミド1gを精秤し、96%硫酸100mlに20
℃〜30℃で攪拌溶解した。完全に溶解した後、速やか
にキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5mlを取り、2
5℃±0.03℃の恒温槽中で10分間放置後、落下時
間(t)を測定した。また、96%硫酸そのものの落下
時間(t0)も同様に測定した。tおよびt0から次式
(A)により相対粘度を求めた。 相対粘度=t/t0 ・・・・・・・・(A)
【0059】(5)面配向係数fn アタゴ(株)製アッベ屈折計を用い、光源をナトリウム
ランプとして、フィルムの屈折率の測定を行った。フィ
ルム面内の長手方向の屈折率nγ、それに直行する横方
向の屈折率nβおよび厚み方向の屈折率nαを求め、下
記式 fn=(nγ+nβ)/nα により面配向係数fnを求めた。
【0060】(6)平均粒子径 フィルム中に含まれる粒子の粒径を求める際には、次の
方法を用いることができる。フィルムから樹脂をプラズ
マ低温灰化処理法で除去し、粒子を露出させる。処理条
件は樹脂が灰化するするが、粒子がダメージを受けない
条件を選択する。これを走査型顕微鏡で粒子数5,00
0〜10,000個を観察し、粒子画像を画像処理装置
により円相当径から平均粒子径を求めた。
【0061】粒子が内部粒子の場合、ポリマー断面を切
断し厚さ0.1〜1μm程度の超薄切片を作製し、透過
型電子顕微鏡を用いて倍率5,000〜20,000程
度で写真を撮影(10枚:25cm×25cm)し、内
部粒子の平均分散径を円相当径より計算した。
【0062】(7)中心線平均粗さ(Ra) 小坂研究所製の高精度薄膜段差測定器ET−10を用い
て表面粗さを測定した。条件は次の通りであり、20回
の測定の平均値を中心線平均粗さ(Ra)とした。 ・触針先端半径:0.5μm ・触針荷重 :5mg ・測定長 :1mm ・カットオフ :0.08mm なお、Raの定義は、例えば、奈良次郎著「表面粗さの
測定・評価法」(総合センター、1983)に示されて
いるものである。
【0063】(8)熱収縮率 フィルムサンプルの表面に、標線間距離200mmで表
線を描き、フィルム幅10mmで切断した。このサンプ
ルを長さ方向に吊し、1gの荷重を長さ方向に加えて、
150℃の熱風を用い30分間加熱した後、標線間の長
さを測定し、フィルムの収縮量を原寸法に対する割合
(百分率(%))で求めた。なお、フィルムが伸長した
場合はマイナス(−)値で表示した。
【0064】(9)光学濃度(OD) 蒸着フィルムをJIS-K-7605に従い、マクベス社
製の透過濃度計TR927を用いて、フィルターをVisu
alとしたときの透過濃度を測定し、光学濃度とした。
【0065】(10)光線透過率 蒸着フィルムを日立製作所社製分光々度計324型を用
いて、波長550nmでの透過率を求めた。
【0066】(11)ガスバリア性 A.水蒸気透過率(防湿性) モダンコントロール社製の水蒸気透過率計“PERMA
TRAN”W3/31を用いて、温度37.8℃、相対
湿度100%の条件下で測定した値を、g/m 2・日の
単位で示した。
【0067】B.酸素透過率 モダンコントロール社製の酸素透過率計“OXTRA
N”−100を用いて、温度23℃、相対湿度80%の
条件下で測定した値を、ml/m2・日・MPaの単位
で示した。
【0068】(12)フィルムの厚み構成および無機薄
膜層の厚み フィルムの断面を透過型電子顕微鏡(TEM)にて下記
の条件で写真撮影し、フィルムの厚み構成および無機薄
膜層の厚みを測定した。 装 置:日本電子(株)製JEM-1200EX 観察倍率:フィルムの厚み構成の場合、1000倍 無機薄膜層の厚みの場合、40万倍 加速電子:100kV
【0069】(13)蒸着膜密着性 蒸着フィルムの蒸着面上にポリウレタン系接着剤を用い
て無延伸プロピレンフィルム(CPP)(東レ合成フィ
ルム(株)製3529T、25μm)を貼り合わせ、4
0℃で48時間エージング後15mm幅に切断して、
“テンシロン”を用いてCPPと蒸着無機薄膜の180
゜剥離を剥離速度100mm/分で行った。ドライ(2
5℃、50%RH雰囲気下)での剥離強力を測定した。
剥離強力が2N/cm以上のものを○、1N/cm未満
のものを×、その中間のものを△として蒸着膜密着性を
評価した。
【0070】(14)ハンドリング性 蒸着および加工時のフィルムの取扱性(滑り性など)に
ついて、取扱性が優れるものを○、取扱性が劣るが実用
性問題ないものを△、取扱性が劣るものを×として評価
した。次に、本発明のフィルムの製造方法について、フ
ィルム/表面処理/無機薄膜の順に積層した一例を挙げ
て説明するが、本発明がこの例に限定されるものではな
いことはもちろんである。
【0071】次に本発明の効果を実施例により説明す
る。
【0072】実施例1 基材フィルム層(A層)の原料として、ポリエチレンテ
レフタレート(融点256℃、極限粘度0.64dl/
g)に平均粒径1.2μmの湿式法シリカ粒子を0.0
3重量%含有させたポリエステル樹脂を用い、ポリマー
層(B層)の原料として、平均粒径1.2μmの湿式法
シリカ粒子を0.05重量%含有するポリエチレンテレ
フタレート(融点256℃、極限粘度0.64dl/
g)と芳香族ポリアミド{三菱ガス化学(株)製MXD
ナイロン6007、ガラス転移温度85℃、融点237
℃、相対粘度(ηr)2.6}とを重量比50/50の
割合で混合して用い、また、ポリアミドフィルム層(C
層)の原料として、芳香族ポリアミド{三菱ガス化学
(株)製MXDナイロン6007、ガラス転移温度85
℃、融点237℃、相対粘度(ηr)2.6}に平均粒
径1.2μmの湿式法シリカ粒子を0.05重量%含有
させたポリアミド樹脂を用いた。
【0073】それぞれのペレットを十分に真空乾燥した
後、別々の押出機に供給して280℃で溶融させ、それ
ぞれの濾過フィルターで濾過した後、スリット状の3層
口金に導き、基材フィルムA層/ポリマーB層/ポリア
ミドC層の順に積層した状態で押出し、これを表面温度
25℃の冷却ドラムに巻き付けて冷却固化した。この間
のシートと冷却ドラム表面との密着性を向上させるため
に、シート側にワイヤー電極を配して6kVの直流電圧
を印加した。このようにして得られた未延伸フィルムを
105℃に加熱して長手方向に3.1倍延伸し、一軸延
伸フィルムとした。該フィルムをクリップで把持して1
00℃に加熱されたテンター内に導き、連続的に110
℃に加熱された領域で幅方向に4.0倍延伸し、さらに
238℃の雰囲気下で5秒間の熱処理を施し、フィルム
厚み12μmの原反フィルム(基材フィルムA/ポリマ
ーB/ポリアミドCの積層厚み=9/1/2μm)を得
た。
【0074】次に、得られた原反フィルムを50℃に加
熱したゴムロールを介して、基材フィルム(A層)の表
面を、窒素/炭酸ガスの混合ガス(窒素/炭酸ガス=8
5/15)の雰囲気中で、40W・min/m2の処理
条件でコロナ放電処理を施し、フィルムの濡れ張力を4
5mN/m以上にしてロール状に巻き取った。その時の
フィルムの温度は30℃であり、10時間放置した後に
小幅にスリットした。次に、小幅にスリットしたフィル
ムをフイルム走行装置を具備した真空蒸着装置内にセッ
トし、1.00×10-2Paの高真空にした後に、−2
0℃の冷却金属ドラムを介して走行させた。この時、ア
ルミニウム金属を加熱蒸発させながら、走行フィルムの
コロナ放電処理面に凝集堆積させ、アルミニウムの蒸着
薄膜層を形成して巻取った。蒸着後、真空蒸着装置内を
常圧に戻して、巻取ったフィルムを巻き返し、40℃の
温度で2日間エージングして、蒸着フィルムを得た。こ
の蒸着フィルムの無機薄膜の厚みは45nmであった。
【0075】実施例2 基材フィルム層(A層)の原料として、ポリエチレンナ
フタレート(融点270℃、極限粘度0.69dl/
g)に平均粒径0.8μmの炭酸カルシウム粒子を0.
03重量%含有させたポリエステル樹脂を用い、ポリア
ミドフィルム層(C層)の原料として、実施例1で用い
たMXD6ナイロンを粒子添加せずに用いた。それぞれ
のペレットを十分に真空乾燥した後、別々の押出機に供
給して290℃で溶融させ、それぞれの濾過フィルター
で濾過した後、スリット状の3層口金に導き、基材フィ
ルムA/ポリアミドC/基材フィルムAの順に積層した
状態で押出し、これを表面温度25℃の冷却ドラムに巻
き付けて冷却固化した。この間のシートと冷却ドラム表
面との密着性を向上させるために、シート側にワイヤー
電極を配して6kVの直流電圧を印加した。
【0076】このようにして得られた未延伸フィルムを
135℃に加熱して長手方向に3.1倍延伸し、一軸延
伸フィルムとした。該フィルムをクリップで把持して1
00℃に加熱されたテンター内に導き、連続的に140
℃に加熱された領域で幅方向に4.0倍延伸し、さらに
238℃の雰囲気下で5秒間の熱処理を施し、フィルム
厚み12μmの原反フィルム(基材フィルムA/ポリア
ミドC/基材フィルムAの積層厚み=5/2/5μm)
を得た。蒸着フィルムは実施例1と同様に蒸着して無機
薄膜の厚み45nmの蒸着フィルムを得た。
【0077】実施例3〜5、比較例1〜2 基材フィルム層(A層)の原料、ポリマー層(B層)の
原料、及び、ポリアミドフィルム層(C層)の原料とし
て、それぞれ表1に示す組成、粒子添加の樹脂を用い、
表1に示す基材フィルムA/ポリマーB/ポリアミドC
の積層比となるように、製膜条件を各々変更した以外は
実施例1と同様にして、平均厚み12μmの原反フィル
ムおよび無機薄膜の厚み45nmの蒸着フィルムを製造
した。
【0078】実施例6 芳香族ポリアミドとして、1,3−ビス(アミノメチ
ル)シクロヘキサンとアジピン酸との重縮合から得られ
るポリアミド{ガラス転移温度106℃、融点231
℃、相対粘度(ηr)3.1}を用いた以外は、実施例
1と同様にして、フィルム厚み12μmの原反フィルム
(ポリエステルA/ポリマーB/ポリアミドCの積層厚
み=10/1/1μm)および無機薄膜の厚み45nm
の蒸着フィルムを製造した。
【0079】実施例7 実施例1で得られた原反フィルムを、50℃に加熱した
ゴムロールを介して、基材フィルム層(A層)の表面
に、窒素/炭酸ガスの混合ガス(窒素/炭酸ガス=85
/15)の雰囲気中で40W・min/m2の処理条件
でコロナ放電処理を施し、フィルムの濡れ張力を45m
N/m以上にしてロール状に巻き取った。その時のフィ
ルムの温度は30℃であり、10時間放置した後に小幅
にスリットした。次に、小幅にスリットしたフィルムを
フイルム走行装置を具備した真空蒸着装置内にセット
し、1.00×10−2Paの高真空にした後に、−2
0℃の冷却金属ドラムを介して走行させた。この時、ア
ルミニウム金属を加熱蒸発させながら、蒸気箇所に酸素
ガスを供給し、アルミニウム金属を酸化させながら走行
フィルムのコロナ放電処理面に凝集堆積させ、酸化アル
ミニウムの蒸着薄膜層を形成して巻取った。蒸着後、真
空蒸着装置内を常圧に戻して、巻取ったフィルムを巻き
返し、40℃の温度で2日間エージングして、透明蒸着
フィルムを得た。この透明蒸着フィルムは無機薄膜の厚
みが45nm、光線透過率が78%であった。
【0080】以上の蒸着フィルムの品質評価結果をまと
めたのが表2である。
【0081】表2の結果からわかるように、実施例1〜
7で得られた蒸着フィルムはガスバリア性、ハンドリン
グ性、及び蒸着密着性に優れたものであった。
【0082】また、実施例7で得られた透明蒸着フィル
ムの蒸着面に、直鎖状ポリエチレン(LLD−PE)を
押出ラミネートし、15cm×30cmに切り出し、L
LD−PE面同士を重ね合わせ、富士インパルス社製イ
ンパルスシーラーで三方シールし、包装体を作製したと
ころ、透明性に優れるとともに、酸素、水蒸気などのガ
スバリア性に優れた包装体であった。
【0083】一方、比較例1〜2で得られた蒸着フィル
ムは、ガスバリア性が劣るフィルムであった。特に比較
例2で得られた蒸着フィルムは、ポリアミドC層が剥離
し密着性が悪いフィルムであった。いずれの蒸着フィル
ムもフィルム包装用として好ましくなかった。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
【発明の効果】本発明による蒸着フィルムは、蒸着加工
性およびガスバリア性がともに優れたものであり、酸素
や水蒸気の遮断性が要求される包装材として有用であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AA00C AA17C AB10C AK01D AK41A AK41D AK46D AK47A AK47B AL05D BA03 BA04 BA07 BA10B BA10C BA13 GB15 GB23 GB66 JA03 JA05B JA20A JA20B JD02 JD03 JD04 JK15A JM02C YY00A YY00B 4K029 AA11 AA25 BA02 BA03 BA18 BA35 BA43 CA01 CA03 CA05 FA02 4K030 BA01 BA02 BA21 BA29 BA42 BA43 BA44 BA47 CA07 CA12

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフィルムおよび脂肪族ポリ
    アミドフィルムから選択された基材フィルム層(A層)
    の片面側に、ガラス転移温度が60℃以上の芳香族ポリ
    アミドを主成分とするポリアミドフィルム層(C層)が
    厚み0.01〜5μmで積層され、かつ、基材フィルム
    層(A層)の他の片面側の表面に蒸着による無機薄膜が
    形成されてなることを特徴とする蒸着フィルム。
  2. 【請求項2】 基材フィルム層(A層)がポリエステル
    フィルムであり、かつ、該フィルムを構成するポリエス
    テルが、テレフタル酸および/または2,6−ナフタレ
    ンジカルボン酸を主成分とするジカルボン酸成分と、エ
    チレングリコールを主成分とするグリコール成分とから
    重合されるポリエステルである請求項1に記載の蒸着フ
    ィルム。
  3. 【請求項3】 さらにポリマー層(B層)が、基材フィ
    ルム層(A層)とポリアミドフィルム層(C層)との間
    に介在する請求項1または2に記載の蒸着フィルム。
  4. 【請求項4】 ポリマー層(B層)が、ポリエステルと
    ポリアミドとを主成分として含有するポリマー組成物か
    らなる層である請求項3に記載の蒸着フィルム。
  5. 【請求項5】 無機薄膜を形成する前の積層フィルムに
    おける無機薄膜形成側の表面の中心線平均表面粗さ(R
    a)が0.005〜0.03μmの範囲である請求項1
    〜4のいずれかに記載の蒸着フィルム。
  6. 【請求項6】 無機薄膜を形成する前の積層フィルムの
    面配向係数(fn)が0.155〜0.180の範囲で
    ある請求項1〜5のいずれかに記載の蒸着フィルム。
  7. 【請求項7】 無機薄膜を形成する前の積層フィルムの
    150℃、30分の熱収縮率が、フィルムの長手方向で
    0.5〜2%、幅方向で−1.2〜0.5%の範囲であ
    る請求項1〜6のいずれかに記載の蒸着フィルム。
  8. 【請求項8】 無機薄膜がアルミニウム薄膜および/ま
    たは金属酸化物薄膜である請求項1〜7のいずれかに記
    載の蒸着フィルム。
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