図1〜図7は、本発明の第1実施形態を示す。各図中、矢印により乗物用シート10を乗物のフロアに取り付けたときの乗物の各方向を示している。以下の説明において、方向に関する記述は、この方向を基準として行うものとする。
図1には、乗物用シート10の外形が2点鎖線にて示されている。乗物用シート10は、乗員が着座するシートクッション20と、乗員の背もたれとなるシートバック30と、乗員の頭部を支持するヘッドレスト50(図3参照)を備えている。シートバック30は、シートクッション20の後端部に連結され、この連結部に設けられた一対のリクライナ40によりシートバック30に対してなす角度を調節することが可能となっている。一対のリクライナ40は、連動させるためにロッド41で連結されている。
シートバック30は、その骨格を形成する部材として、図1に実線にて示すように正面視で概略長方形枠形状を有する金属製のバックフレーム31を有している。さらにシートバック30は、背もたれ面を含む外形(図1において2点鎖線で示す)を形成する部材として、バックフレーム31を覆うクッション材であるパッド材と、パッド材に覆い被せられる表皮材を有している。またシートバック30の上部には、着座者の後頭部を支持するヘッドレスト50が取り付けられている。
バックフレーム31は、主としてアッパフレーム32と、サイドフレーム33と、ロアパネル34とから構成される。これらの構成部材は溶接により互いに一体的に結合されて概略長方形枠形状をなしている。サイドフレーム33は、左右に縦方向に配設された板形状の部材であって、前後の端部にはシートの内側方向に向かうリブ(立ち壁)が設けられている。アッパフレーム32は、円形断面のパイプを略コの字状に曲げ加工した部材で、両側辺部分32b及び上辺部分32aを有する。アッパフレーム32の両側辺部分32bが両サイドフレーム33の上端部に結合されている。ロアパネル34は長手の板形状を有する部材で、両サイドフレーム33の下部の内側に横方向に取り付けられている。この上辺部分32aが特許請求の範囲記載の「上部支持フレーム」に相当する。
アッパフレーム32の両側辺部分32b間には、補強部材35が取り付けられている。補強部材35は、長手の帯板形状の部材であり、その幅方向が上下方向となる向きで、配設されており、アッパフレーム32とは互いに平行となっている。補強部材35は、その長手方向両端部がそれぞれアッパフレーム32の両側辺部分32bの後側に溶接固定されている。また、補強部材35は、幅方向における両側の縁が、長手方向にわたり前側に向かって折り曲げられリブを構成している。この補強部材35が特許請求の範囲記載の「下部支持フレーム」に相当する。
アッパフレーム32の前部には左右方向中心からヘッドレスト50のステー51間の距離の半分だけ離れた位置を中心としてフラット部分32a1が設けられている。このフラット部分32a1に、ロ字断面のブラケット37が溶接で取り付けられている。ブラケット37は、台形状の側壁部分37bの上底部同士を矩形状の前壁部分37aで連結すると共に、側壁部分37bの下底部の図示上部領域から部分的に後方側に延出して内側に折り曲げられた矩形状の後壁部分37c同士が互いに突き当てられたロ字断面形状を有し、側壁部分37bの下底部の図示下部領域がアッパフレーム32のフラット部分32a1に溶接固定されている。アッパフレーム32のフラット部分32a1と、ブラケット37の前壁部分37aと、ブラケット37の両側壁部分37bとで囲まれた内側部分の断面は、後述するホルダ36bの断面より大きいものとされている。すなわち、ブラケット37とアッパフレーム32のフラット部分32a1で形成される上下方向の筒状部は、ホルダ36bが遊挿される寸法とされている。
図1及び図5に示すように、ホルダ部材36は、角筒形状の金属製部材である一対のホルダ36bの下端部同士を連結部材36aで連結した部材である。ホルダ36bは、一対の側壁部分36b2を前壁部分36b1と後壁部分36b3で連結した部材であり、ヘッドレスト50のステー51を挿入して支持する樹脂製のヘッドレストサポート38を挿入して支持できるようになっている。連結部材36aは、L字状断面の板状部材であり、その左右方向端末部を折り曲げて両ホルダ36bの側壁部分36b2下端部に当接させて溶接固定されている。図2に示すように、連結部材36aの左右方向両端部にはホルダ部材36を補強部材35に取り付けるための孔36a1が設けられている。このホルダ部材36が、特許請求の範囲記載の「取付部材」に相当する。
図1、図2及び図4に示すように、ホルダ部材36は、段付きボルト60及びナット64等を用いて補強部材35に取り付けられている。このときホルダ部材36の両ホルダ36bの上部は、アッパフレーム32に取り付けられたブラケット37とアッパフレーム32のフラット部分32a1で形成される上下方向の筒状部に下方側から挿入されている。この挿入に際しては、ブラケット37が台形状の側壁部分37bと前壁部分37aとによって前下方向に斜めに開いた広い下側の筒口を形成していることから、両ホルダ36bをブラケット37の筒内に下側から簡単に差し込むことができるようになっている。この状態でホルダ部材36の両ホルダ36bはアッパフレーム32と補強部材35の間に橋渡し状に配置されている。補強部材35にあけられたホルダ部材36取り付け用の2つの孔35aに段付きボルト60を通し、その段付きボルト60に防振ゴム61、連結部材36aの孔36a1、防振ゴム62、ワッシャ63をさらに通してナット64を締め付ける。これによってホルダ部材36が補強部材35に取り付けられる。
図4に示すように、段付きボルト60は、頭部60aと、ねじが切られていない大径の軸部60bと、ねじが切られた小径の軸部60cからなる。防振ゴム61は、クロロプレンゴム製のリング状の部品で、大径部61aと小径部61bを有する。大径部61aは、その外径が段付きボルト60の頭部60aの直径より3割ほど大きく、その内径はボルト60の大径の軸部60bの直径よりわずかに大きく、その厚さは連結部材36a板厚の4倍程度である。小径部61bは、その外径が連結部材36aの孔36a1の直径よりわずかに小さく、その内径はボルト60の大径の軸部60bの直径よりわずかに大きく、その厚さは連結部材36aの板厚とほぼ同一である。防振ゴム62は、クロロプレンゴム製のリング状の部品で、その外径、内径、厚さとも防振ゴム61の大径部61aと同じである。補強部材35に対して連結部材36aを段付きボルト60、防振ゴム61、防振ゴム62、ワッシャ63、ナット64を用いて締付け固定したとき、連結部材36aは段付きボルト60の軸方向にもそれと直角方向にも防振ゴム61及び62を介して補強部材35に取り付けられることになる。この状態でホルダ部材36の下部をバックフレーム31に対して粘弾性支持する。また、段付きボルト60の大径の軸部60bの長さにより、ナット64を用いて締付け固定したときの防振ゴム61及び防振ゴム62の圧縮率を制御できる。
図5に示すように、ホルダ部材36の両ホルダ36bの上部は、アッパフレーム32のフラット部分32a1と、ブラケット37の前壁部分37aと両側壁部分37bとで囲まれた内側部分で形成される筒状部に挿入されている。そして、両ホルダ36bの上部は、図5〜図6に示すように、防振ゴム70を介してブラケット37の前壁部分37aと両側壁部分37bと後壁部分37cとで囲まれた上部領域のロ字断面形状の内側部分で形成される筒状部において支持されている。防振ゴム70は、防振ゴム61及び62と同じくクロロプレンゴム製で、角筒形状の部材である。その断面の外形は、ブラケット37の前壁部分37aと両側壁部分37bと後壁部分37cとで囲まれた上部領域のロ字断面形状の内側部分で形成される筒状部断面とほぼ等しく、その内形は両ホルダ36bの外形断面よりわずかに小さいものとされている。組み付けは、両ホルダ36bの上部をアッパフレーム32のフラット部分32a1と、ブラケット37の前壁部分37aと両側壁部分37bとで囲まれた内側部分で形成される筒状部に挿入した状態で、両ホルダ36bの上部に防振ゴム70の内筒部を挿入することにより行う。この状態でホルダ部材36の上部をバックフレーム31に対して粘弾性支持する。この防振ゴム70が、特許請求の範囲記載の「防振材」に相当する。
図5〜図6に示すように、上述した両ホルダ36bの上部は、その外周部の全周が、防振ゴム70によって外周側からあてがわれた状態とされている。そして、防振ゴム70も、その外周部の全周が、ブラケット37の前壁部分37aと両側壁部分37bと後壁部分37cとによって外周側からあてがわれた状態とされている。詳しくは、図6に示すように、上記ブラケット37の後壁部分37cは、アッパフレーム32のフラット部分32a1よりも後ろ上方側の位置で、防振ゴム70の後面部を後側からあてがえた状態となっている。このような構成となっていることにより、防振ゴム70は、そのブラケット37の後壁部分37cによって後側から支持される部位が、両ホルダ36bとアッパフレーム32のフラット部分32a1との間に形成される前後方向の隙間T1よりも大きな肉厚T2を備えて両ホルダ36bの後面部に後側からあてがわれた状態とされている。
以上のように構成される実施形態は、以下のような作用効果を奏する。一般的に乗物のフロアパネルはアイドリング状態のエンジン等と特定の周波数において共振を起こし、この振動はシートに乗員が着座しているか否かに関わらずフロアパネルに固定されたクッションフレーム、バックフレーム31を介してヘッドレスト50にも伝えられる。ヘッドレスト50は、バックフレーム31による支持剛性が高いほど共振振動数が高くなる。そして、図7に示すように、ヘッドレスト50は、この共振振動数が上記フロアパネルの共振点近傍にあるほどフロアパネルの振動レベルを増幅して振動するようになる。図7に示す線図において、一般的なエンジンアイドリング時のフロアパネルの共振振動数をf1とする。一点鎖線で示す従来の第1のバックフレームである、ホルダ36bをアッパフレーム32と補強部材35に固定したもののヘッドレスト50の共振振動数は上記f1とほぼ同じ位置になってフロアパネルの振動がヘッドレスト50に最も増幅して伝えられる。次に、破線で示す他の従来の第2のバックフレームである、ホルダ36bを補強部材35のみに固定したもののヘッドレスト50の共振周波数は、上記f1より低いf2となり、周波数f1におけるヘッドレスト50の振動倍率を従来のa点からb点まで下げることができる。従来の第2のバックフレームが特許文献1に開示された技術であり、ホルダ36bが補強部材35のみに固定されていることにより支持剛性が低下しているためこの効果が生じるものである。
これに対して、本実施形態は、ホルダ部材36下部が補強部材35に防振ゴム61及び62を介して取り付けられ、ホルダ部材36上部がアッパフレーム32に防振ゴム70を介して取り付けられているので支持剛性が低下するとともに防振ゴム61、62及び70による減衰効果が働く。これによって、図7の線図において実線で示すように本実施形態のヘッドレスト50の共振振動数は、上記f1より低いf2となるとともに、振動倍率が破線の従来の第2のバックフレームより低いものとなる。そして振動数f1におけるヘッドレスト50の振動倍率を従来の第2のバックフレームのb点からc点まで下げることができる。また、本実施形態では前後方向のみならず上下左右方向の振動倍率を低減できる。これは、ホルダ部材36下部を補強部材35に段付きボルト60で取り付ける場合に、連結部材36aの孔36a1と段付きボルト60との間に防振ゴム61の小径部61bが介在し、ホルダ部材36上部とアッパフレーム32、ブラケット37との間に防振ゴム70が全周に介在していることによる。さらに、本実施形態ではホルダ36bの上部が防振ゴム70を介して全周をアッパフレーム32とブラケット37とによって支持されているので衝突時等において過大な力がヘッドレスト50に対して前後方向もしくは左右方向に加えられても着座者の頭部を着実に支持できる。以上により、衝突時等における着座者の頭部支持性能を確保しつつ、通常時のヘッドレスト50の振動抑制が図られる。
詳しくは、図6に示すように、上記ホルダ部材36の上部を防振ゴム70を介して後側から支える各ブラケット37の後壁部分37cは、アッパフレーム32の各フラット部分32a1よりも後ろ上方側の位置で、各防振ゴム70の後面部を後側からあてがえた状態となっている。このような構成となっていることにより、各防振ゴム70は、それらのブラケット37の後壁部分37cによって後側から支持される部位が、両ホルダ36bとアッパフレーム32の各フラット部分32a1との間に形成される前後方向の隙間T1よりも大きな肉厚T2を備えて両ホルダ36bの後面部に後側からあてがわれた状態とされている。したがって、各防振ゴム70によって高い減衰効果を発揮させることができる。
以上をまとめると、本実施形態にかかるバックフレーム31は、次のような構成となっている。すなわち、本実施形態にかかるバックフレーム31は、ヘッドレスト50を取り付け可能なホルダ部材36(取付部材)を備える構成となっており、ホルダ部材36の上端箇所(所定箇所)を支えるアッパフレーム32の上辺部分32a(上部支持フレーム)と、ホルダ部材36の下端箇所(上記所定箇所より下側の箇所)を支える補強部材35(下部支持フレーム)と、ホルダ部材36の外周部にあてがわれる防振ゴム70(防振材)と、バックフレーム31に取り付けられて防振ゴム70を支えるブラケット37と、を有する。ホルダ部材36は、補強部材35(両支持フレームのうちの一方)には取り付けられているが、アッパフレーム32の上辺部分32a(他方)に対しては補強部材35への取り付け箇所を中心にヘッドレスト50を後傾させるときに当接してその傾動が抑制される状態として設けられている。防振ゴム70は、ホルダ部材36からホルダ部材36がアッパフレーム32の上辺部分32aと当接する間の距離(隙間T1)よりも離れた位置でブラケット37により支えられ、上記当接する間の距離(隙間T1)よりも大きな肉厚T2を備えてホルダ部材36の外周部にあてがわれている。
このような構成となっていることにより、ホルダ部材36は、バックフレーム31に対して、片持ち支持による低い支持剛性で支えられると共に、防振ゴム70により外周部があてがわれて変位が減衰される状態とされる。上記防振ゴム70は、ホルダ部材36がヘッドレスト50の後傾によってアッパフレーム32の上辺部分32aと当接する間の距離(隙間T1)よりも大きな肉厚T2を備えてホルダ部材36の外周部にあてがわれている。したがって、上記ホルダ部材36とアッパフレーム32の上辺部分32aとの当接間領域に防振ゴム70を介在させるような構成と比べて、防振ゴム70の肉厚T2を大きくすることができ、防振ゴム70による減衰効果を高く発揮させることができる。したがって、通常時に、バックフレーム31に対するヘッドレスト50の共振振動数が下がると同時に振動倍率も低下しヘッドレスト50の振動抑制が図られる。さらに、ホルダ部材36は、ヘッドレスト50が後傾する時にはアッパフレーム32の上辺部分32aと当接してその傾動が抑制されるようになっている。したがって、衝突時においては着座者から後方へ力を受けたヘッドレスト50が傾動しすぎることを防止し着座者の頭部の支持性能を確保することができる。
また、ホルダ部材36が補強部材35の前面部に取り付けられ、かつ、ヘッドレスト50の後傾によりアッパフレーム32の上辺部分32aの前面部(フラット部分32a1)に当接して受け止められる構成とされている。ブラケット37がアッパフレーム32の上辺部分32aに結合されて防振ゴム70を上辺部分32aより後側の位置で後側から支えて防振ゴム70をホルダ部材36の後面部にあてがえた構成となっている。このような構成となっていることにより、ホルダ部材36がヘッドレスト50の後傾によりアッパフレーム32の上辺部分32aの前面部(フラット部分32a1)に当接して強く受け止められるようになる。なおかつ、これらの狭い当接間領域に、これらの当接間距離(隙間T1)よりも肉厚(肉厚T2)の大きな防振ゴム70を介在させて、ヘッドレスト50の振動抑制をより良好に行うことができる。
また、ブラケット37がアッパフレーム32の上辺部分32aより上側の位置で防振ゴム70を外周側から支えて防振ゴム70をホルダ部材36の外周部全周にあてがえた構成となっている。このような構成となっていることにより、ホルダ部材36が防振ゴム70によって振動中心(補強部材35との取り付け箇所)から大きく離れた箇所で全周に亘ってあてがわれる構成となるため、ヘッドレスト50の振動抑制をより良好に行うことができる。
続いて、本発明の第2実施形態について、図8を用いて説明する。なお、図8は、実施形態1で示した図6と同じ断面で見た図である。本実施形態では、各防振ゴム70の前面部を前側からあてがえる各ブラケット37の前壁部分37aが、各防振ゴム70の前面部にあてがわれる上部領域が下部領域に対して前方側に段差状に張り出した形に形成されている。そして、上記各前壁部分37aの上部領域が前方側に張り出した分、各防振ゴム70の前側の部位が厚肉化された形に形成されている(肉厚T3)。具体的には、各防振ゴム70の前側の部位の肉厚T3は、各ホルダ36bとアッパフレーム32の各フラット部分32a1との間に形成される前後方向の隙間T1よりも大きな寸法に設定されている。したがって、このような厚手の肉厚T3を有する各防振ゴム70が各ホルダ36bに前側からあてがわれた状態として設けられることで、通常時に、各防振ゴム70によって各ホルダ36bの変位を減衰させる効果を高く発揮させることができる。このような構成によっても、通常時に、バックフレーム31に対するヘッドレスト50の共振振動数を下げることができると同時に振動倍率も低下させてヘッドレスト50の振動抑制を図ることができる。その他の構成は、実施形態1で示したバックフレーム31と同じ構成となっている。実施形態1で示した構成と同じ構成となっているものには、同一の符号が付されている。
続いて、本発明の第3実施形態について、図9を用いて説明する。なお、図9は、実施形態1で示した図6と同じ断面で見た図である。本実施形態では、各防振ゴム70の前面部を前側からあてがえる各ブラケット37の前壁部分37aが、上方側に向かって前方側に傾斜状に張り出した形に形成されている。そして、上記各前壁部分37aの各防振ゴム70の前面部にあてがわれる上部領域が前方側に張り出した分、各防振ゴム70の前側の部位が厚肉化された形に形成されている(肉厚T4)。具体的には、各防振ゴム70の前側の部位の肉厚T4は、その最も肉厚の薄い底面でも、各ホルダ36bとアッパフレーム32の各フラット部分32a1との間に形成される前後方向の隙間T1よりも大きな寸法となる大きさに設定されている。したがって、このような厚手の肉厚T4を有する各防振ゴム70が各ホルダ36bに前側からあてがわれた状態として設けられることで、通常時に、各防振ゴム70によって各ホルダ36bの変位を減衰させる効果を高く発揮させることができる。このような構成によっても、通常時に、バックフレーム31に対するヘッドレスト50の共振振動数を下げることができると同時に振動倍率も低下させてヘッドレスト50の振動抑制を図ることができる。その他の構成は、実施形態1で示したバックフレーム31と同じ構成となっている。実施形態1で示した構成と同じ構成となっているものには、同一の符号が付されている。
続いて、本発明の第4実施形態について、図10〜図11を用いて説明する。本実施形態では、図10に示すように、シートバック30の上部骨格を成すアッパフレーム33が、円形断面のパイプ材ではなく、横断面略コ字状に折り曲げられた鋼板材によって形成されている。ここで、上記アッパフレーム33が本発明の「上部支持フレーム」に相当する。上記アッパフレーム33は、その高さ方向に対面する上板部分33aと下板部分33bとに、ホルダ部材36の各ホルダ36bを下方側から貫通して差し込めるようにするための貫通孔33a1,33b1が左右2箇所ずつに高さ方向に貫通して形成されている(図11参照)。上記上板部分33aに形成された各貫通孔33a1と下板部分33bに形成された各貫通孔33b1とは、それぞれ、これらに差し込まれる各ホルダ36bよりもひとまわり大きな孔形状に形成されている。
図11に示すように、上述した上板部分33aの下面部には、各ホルダ36bに挿通されて組み付けられた各防振ゴム70を後方側から支えるための保持片33a2が一体的に垂下した形となって形成されている。これら保持片33a2は、上板部分33aの各貫通孔33a1を形成する際に下方側に切り起こされた各片が、上板部分33aの下面部に折り重ねられた後、下方側へ延びる形に折り曲げられることによって形成されている。各防振ゴム70は、それらの前面部がアッパフレーム33のコ字の前板部分の後面部にあてがわれ、それらの後面部が上記各保持片33a2の前面部にあてがわれて支えられた状態とされている。各ホルダ36bは、ヘッドレスト50が後傾する時には、アッパフレーム33の上板部分33aの各貫通孔33a1の後面部と当接して、その傾動が抑制されるようになっている。各防振ゴム70は、各ホルダ36bが上板部分33aの各貫通孔33a1の後面部と当接する間の距離(隙間T1)よりも離れた位置で各保持片33a2により後方側から支えられ、上記当接する間の距離(隙間T1)よりも大きな肉厚T2を備えて各ホルダ36bの外周部にあてがわれている。その他の構成は、実施形態1で示したバックフレーム31と同じ構成となっている。実施形態1で示した構成と同じ構成となっているものには、同一の符号が付されている。
以上、本発明の実施形態を4つ説明したが、本発明は上記実施形態のほかにも本発明の要旨を変更しない範囲で各種の形態で実施することができるものである。例えば、本発明が対象とする「乗物用シート」は、自動車のシートの他、鉄道等の自動車以外の車両や、航空機、船舶等の様々な乗物用に供されるシートにも広く適用することができるものである。
また、上記各実施形態では、防振材としてクロロプレンゴムを材料としたものを用いたが、これに限らずウレタンエラストマーやフェルト材等の比較的顕著な粘弾性を有する弾性体を用いることもできる。
また、上記各実施形態では、取付部材(ホルダ部材36)が下部支持フレーム(補強部材35)に取り付けられ、上部支持フレーム(アッパフレーム32の上辺部分32a)に対しては下部支持フレームへの取り付け箇所を中心にヘッドレストを後傾させるときに当接してその傾動が抑制される状態として設けられたものを例示した。しかし、取付部材は、上部支持フレーム(例えば各実施形態におけるアッパフレーム32の上辺部分32a)に取り付けられて、下部支持フレーム(例えば各実施形態における補強部材35)に対して上部支持フレームの取り付け箇所を中心にヘッドレストを後傾させるときに当接してその傾動が抑制される状態として設けられたものであってもよい。すなわち、取付部材が取り付けられる両支持フレームのうちの「一方」が「上部支持フレーム」となり、ヘッドレストの後傾時に取付部材と当接する両支持フレームのうちの「他方」が「下部支持フレーム」となる構成であってもよい。
また、取付部材は、上部支持フレームや下部支持フレームの前側に取り付けられていても、後側に取り付けられていても、或いは、上部フレームの前側から下部フレームの後側に斜めに通された状態に取り付けられていても、上部フレームの後側から下部フレームの前側に斜めに通された状態に取り付けられていてもよい。
また、上記各実施形態では、取付部材(ホルダ部材36)の所定箇所(上端部箇所)を支える上部支持フレームとしてアッパフレーム32の上辺部分32aを例示し、取付部材(ホルダ部材36)の所定箇所より下側の箇所(下端部箇所)を支える下部支持フレームとして補強部材35を例示した。しかし、これら上部支持フレームや下部支持フレームは、バックフレームを構成するフレーム材であれば特定のフレーム材に限定されることなく様々なフレーム材を上部支持フレームや下部支持フレームとして適用することができるものである。また、上部支持フレームや下部支持フレームが取付部材を支える箇所は、取付部材の上端部箇所や下端部箇所でなくてもよく、中間部箇所であってもよい。
また、防振材は、取付部材の外周部にあてがわれるように設けられていれば減衰効果を発揮することができ、必ずしも上記実施形態で示したように、取付部材(ホルダ部材36)が両支持フレームのうちの他方(アッパフレーム32の上辺部分32a)に当接する方向から防振材が取付部材の外周部にあてがわれる構成となっていなくてもよい。また、防振材を支えるブラケットは、バックフレームを構成するいずれかのフレーム材に取り付けられていればよい。また、ブラケットが防振材を支える位置も、取付部材の外周部に防振材をあてがえた状態に支えることができる箇所であればどこでも構わない。但し、ブラケットが防振材を支える位置は、取付部材の振動中心から離れた箇所に防振材をあてがえられる位置であることが好ましい。防振材による減衰効果を高く発揮させることができるからである。
また、上記各実施形態では、取付部材の両支持フレームのうちの一方への取り付け方について、防振ゴムを介した弾性支持の取り付けとしたものを例示したが、ボルトナットやリベットのかしめなどによる剛支持の取り付けとしたものであってもよい。但し、弾性支持の取り付けとした方が、高い減衰効果や振動倍率の低下効果を得ることができる。