JP6193792B2 - ロールイン用油脂組成物、層状穀粉膨化食品用生地及び層状穀粉膨化食品 - Google Patents
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Description
ロールイン用油脂組成物は、これらの層状穀粉膨化食品の製造時に、穀粉生地の間に挟み込まれ、折り畳み、圧延を繰り返すことにより、生地中に薄い油脂の層を多数作る。これらの油脂の層は、圧延時に穀粉生地層の相互の付着を防止し、また、焼成中にはこれらの油脂の層が、生地から発生する水蒸気や炭酸ガスの拡散をさえぎることにより、生地を層状に膨張させる。その結果、層状穀粉膨化食品には、独特の層構造が形成されると共にサクサクとした食感が付与される。
また、層状穀粉膨化食品のソフトな食感を改善させる方法として、アミラーゼ等の酵素を穀粉生地中に添加する方法が知られており、例えば、アミラーゼ含有油脂を生地に練り込む方法(特許文献3、特許文献4)等が提案されている。
(2)前記ロールイン用油脂組成物中に、前記マルトース生成αアミラーゼ及びαアミラーゼが、酵素活性として、2:1〜15:1となる量で添加されていることを特徴とする(1)に記載のロールイン用油脂組成物。
(3)穀粉100gに対して、前記(1)又は前記(2)に記載のロールイン用油脂組成物が20〜60g折り込まれたことを特徴とする層状穀粉膨化食品用生地。
(4)(3)に記載の層状穀粉膨化食品用生地を焼成した層状穀粉膨化食品。
(5)前記層状穀粉膨化食品が、クロワッサン、デニッシュ又はパイである(4)に記載の層状穀粉膨化食品。
(6)次の油脂A及び油脂Bを含有することを特徴とする(1)又は(2)に記載のロールイン用油脂組成物。
油脂A:全構成脂肪酸中に、炭素数8〜14の脂肪酸を15〜45質量%及び炭素数16以上の脂肪酸を55〜85質量%含有し、ヨウ素価が0〜50であるエステル交換油脂。
油脂B:全構成脂肪酸中に、飽和脂肪酸を20〜45質量%及び炭素数16以上の脂肪酸を86質量%以上含有するエステル交換油脂。
(7)前記油脂A及び前記油脂Bの質量比が、3:1〜1:1であることを特徴とする(1)、(2)、又は(6)のいずれかに記載のロールイン用油脂組成物。
本発明のロールイン用油脂組成物は、マルトース生成αアミラーゼ及びαアミラーゼを含有し、該ロールイン用油脂組成物100g中に、125〜840Uのマルトース生成αアミラーゼ及び11〜115Uのαアミラーゼが添加されていることを特徴とするロールイン用油脂組成物である。以下、各成分について説明する。
本発明に使用するマルトース生成αアミラーゼは、アミロースとアミロペクチンのα−1,4グリコシド結合を非還元末端からマルトース単位で加水分解するエキソ型の酵素である。マルトース生成αアミラーゼとしては、酵素製剤を使用することもできる。マルトース生成αアミラーゼ酵素製剤1g中のマルトース生成αアミラーゼの酵素活性は、好ましくは2000〜12000U、より好ましくは3000〜7500U、さらに好ましくは3500〜5000Uである。市販のマルトース生成αアミラーゼ酵素製剤としては、例えば、ノボザイムジャパン(株)の商品名:NovamylL等を使用することができる。
前記マルトース生成αアミラーゼの添加量が上記範囲にあると、本発明の層状穀粉膨化食品が、ソフト感の優れたものになる。
本発明に使用するαアミラーゼは、アミロースとアミロペクチンをランダムに加水分解し、二糖類、三糖類、デキストリンを生成するエンド型の酵素である。αアミラーゼとしては、酵素製剤を使用することもできる。αアミラーゼ酵素製剤1g中のαアミラーゼの酵素活性は、好ましくは200〜3000U、より好ましくは500〜1500U、さらに好ましくは700〜900Uである。市販のαアミラーゼ酵素製剤としては、例えば、ナガセケムテックスジャパン(株)のスピターゼCP3及びスピターゼL、ノボザイムジャパン(株)のFungamyl800L、天野エンザイム(株)のクライスターゼL1等を使用することができる。
前記αアミラーゼの添加量が上記範囲にあると、本発明の層状穀粉膨化食品が、ソフト感の優れたものになる。
前記マルトース生成αアミラーゼと該αアミラーゼの添加量が上記範囲にあると、本発明の層状穀粉膨化食品が、ソフト感のより優れたものになる。
本発明のロールイン用油脂組成物は、油脂中に油脂A及び油脂Bを含有することができる。油脂Aは、該油脂Aを構成する全脂肪酸中に炭素数8〜14の脂肪酸を15〜45質量%、好ましくは20〜40質量%、更に好ましくは25〜35質量%含有し、炭素数16以上の脂肪酸を55〜85質量%、好ましくは60〜80質量%、更に好ましくは65〜75量%含有し、且つヨウ素価が0〜50、好ましくは10〜40、更に好ましくは15〜30であるエステル交換油脂である。なお、炭素数8〜14の脂肪酸と炭素数16以上の脂肪酸が上記を満たす範囲で、油脂Aを構成する脂肪酸には、その他の脂肪酸が含まれてもよい。
また、ヨウ素価は、水素添加により適宜調整することができる。なお、水素添加の方法は、特に制限はなく、例えば、ニッケル触媒の下、160〜200℃の条件にて行うことができる。さらに、エステル交換と水素添加の順序は逆であってもよく、例えば、ラウリン系油脂及び/又はパーム系油脂を水素添加した後に、エステル交換を行ってもよい。
また、本発明のロールイン用油脂組成物は、油脂中に上記液体油を、1〜50質量%、好ましくは1〜30質量%、更に好ましくは5〜25質量%含有することができる。
本発明のロールイン用油脂組成物の製造方法を説明する。本発明のロールイン用油脂組成物の製造方法は、アミラーゼを失活させない(酵素活性を下げない)ために、アミラーゼを添加する工程以降は、55℃以下の品温で製造することが好ましい。
具体的には、ショートニングを製造する場合は、先ず、上記油脂と、必要に応じて乳化剤等の油溶性原料とを加熱溶解する。次に前記加熱溶解した油脂組成物を55℃以下まで冷却した後、アミラーゼを添加する。また、マーガリンを製造する場合は、別途調製した水相(55℃以下)にアミラーゼを添加後、油相と55℃以下で混合乳化する。
冷却する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えば、ボテーター、コンビネーター、パーフェクター等のマーガリン製造機やプレート型熱交換機等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターとの組合せが挙げられる。
本発明のロールイン用油脂組成物をシート状とした場合の好ましい大きさは、その幅が50〜1000mm、その長さが50〜1000mm、その厚さが1〜50mmである。
本発明の層状穀粉膨化食品用生地は、クロワッサン、デニッシュ、パイ等に使用される生地として、公知の製造方法で得ることができる。具体的には、小麦粉、砂糖、練り込み用油脂、イースト、卵、水等を混合して調製した穀粉生地を薄く延ばし、同様に薄く延ばした本発明のロールイン用油脂組成物をのせて穀粉生地で包みこむ。次に、前記穀粉生地をさらに圧延し、折り畳む工程を2〜4回繰り返すことによって得られる。
本発明のロールイン用油脂組成物の折り込み量が上記範囲にあると、本発明の層状穀粉膨化食品が、ボリューム感とソフト感の優れたものになる。
そして、本発明のロールイン用油脂組成物に由来するαアミラーゼの添加量が、穀粉100gに対して5〜58Uであることが好ましく、5〜45Uであることがより好ましく、8〜35Uであることがさらに好ましい。
本発明の層状穀粉膨化食品用生地に添加される各種アミラーゼの添加量が上記範囲にあると、本発明の層状穀粉膨化食品が、ソフト感の優れたものになる。また、生地の成型時の作業性も優れたものになる。
本発明の層状穀粉膨化食品は、本発明の層状穀粉膨化食品用生地を用いて、公知の製造条件及び製造方法により製造することができる。本発明の層状穀粉膨化食品の具体例としては、クロワッサン、デニッシュ、パイ等が挙げられる。
パーム核油(日清オイリオグループ(株)製造品、ラウリン酸含量46質量%)40質量部と、パーム油(日清オイリオグループ(株)製造品)60質量部を混合した混合油を、減圧下120℃に加熱することにより十分に乾燥させた後、前記混合油に対し、0.2質量%のナトリウムメチラートを添加し、減圧下、110℃で0.5時間撹拌しながらエステル交換反応を行った。反応終了後、ナトリウムメチラートを水洗除去し、常法の精製方法に従って、脱色、脱臭処理して、油脂A−1を得た。得られた油脂A−1のヨウ素価は39であった。
パームステアリン(日清オイリオグループ(株)製造品)50質量部と、パーム核オレイン(日清オイリオグループ(株)製造品、ラウリン酸含量41質量%)50質量部を混合した混合油を、減圧下120℃に加熱することにより十分に乾燥させた後、前記混合油に対し、0.2質量%のナトリウムメチラートを添加し、減圧下、110℃で0.5時間撹拌しながらエステル交換反応を行った。反応終了後、ナトリウムメチラートを水洗除去し、脱色した後、ニッケル触媒を用いて160〜200℃にて水素添加を行い、ヨウ素価が2以下になったのを確認した後、温度を100℃以下に下げ、ニッケル触媒をろ過により除去し、常法の精製方法に従って、脱色、脱臭処理して、油脂A−2を得た。得られた油脂A−2のヨウ素価は0.3であった。
パーム油(日清オイリオグループ(株)製造品)65質量部と、菜種油(商品名:日清菜種サラダ油、日清オイリオグループ(株)製)35質量部を混合し、前記混合油に対し、1.2質量%の1,3位特異性リパーゼ(商品名:リポザイムTLIM、ノボザイムズ社製)を添加した後、40℃で20時間攪拌しながらエステル交換反応を行った。反応終了後、リパーゼをろ過によって除去し、常法の精製方法に従って、脱色、脱臭処理して、油脂Bを得た。なお、反応前の混合油の飽和脂肪酸中のパルミチン酸含量は、85質量%であった。
液体油は、菜種油(商品名:日清菜種サラダ油、日清オイリオグループ(株)製)を使用した。
マルトース生成αアミラーゼは、マルトース生成αアミラーゼ酵素製剤(商品名:NovamylL(酵素活性:4108U/酵素製剤g)、ノボザイムズジャパン(株)製
)を使用した。
αアミラーゼは、αアミラーゼ酵素製剤(商品名:Fungamyl800L(酵素活性:880U/酵素製剤g)、ノボザイムズジャパン(株)製)を使用した。
本願実施例における、ロールイン用油脂組成物の油脂中の各構成脂肪酸含量は、ガスクロマトグラフィー法、また、ヨウ素価は「社団法人 日本油化学会 基準油脂分析試験法2.3.4.−1996」に準じて測定した。
はじめに、以下の表1に示す配合で各油脂を溶解混合して、配合例1及び2の油脂を調製した。続いて、以下の表2及び3に示す配合でロールイン用油脂組成物を調製した。すなわち、各配合例の油脂、レシチン、乳化剤を混合することで油相を調製した。次に、水、アミラーゼ製剤、食塩を混合することで水相を調製し、調製した油相と水相を混合して予備乳化を行った。得られた予備乳化物を、コンビネーターを用いて急冷可塑化した後、レスティングチューブを通してシート状に成型することで、厚さ10mmのロールイン用油脂組成物を得た。なお、前記調製において、アミラーゼを添加する工程以降は、55℃以下の品温でロールイン用油脂組成物を調製した。
下記の表4及び5の配合で穀粉生地を製造(捏上げ温度:24℃)し、得られた穀粉生地にシート状に成型した各種のロールイン用油脂組成物をのせ(生地1925gに対してロールイン用油脂組成物500g)、常法に従い、ロールイン用油脂組成物を生地に3回折り込んで、層状穀粉膨化食品用生地を製造した。層状穀粉膨化食品用生地を一辺9cmの正方形に切断した後、焼成してデニッシュを製造した。なお、実施例1〜4のロールイン用油脂組成物を使用したデニッシュを実施例5〜8、比較例1及び2のロールイン用油脂組成物を使用したデニッシュを比較例4及び5とした。
○:生地ダレが起きず、良好
△:若干の生地ダレが起こり、やや不良
×:生地ダレが起こり、不良
○:ロールイン用油脂組成物と穀粉生地が均一に伸び、良好
△:ロールイン用油脂組成物に若干のひび割れが起こり、やや不良であるか、又は、穀粉生地が軟化して均一に伸びにくく、やや不良
×:ロールイン用油脂組成物にひび割れが起こり、不良であるか、又は、穀粉生地が軟化しすぎて均一に伸びず、不良
○:大きい
△:やや小さい
×:小さい
◎:ソフトであり、くちゃつきもなく、良好
○:◎よりも若干劣るが、良好
△:やや硬い、又はソフト過ぎて若干くちゃつき、やや不良
×:硬い、又はソフト過ぎてくちゃつき、不良
上記の4種類の評価結果(穀粉生地製造時の作業性、ロールイン時の作業性、ボリューム感、及びソフト感)に基づき、各デニッシュについて総合評価を行った。
◎:ソフト感が◎であり、且つ、その他の評価結果が○以上である
○:ソフト感が○であり、且つ、その他の評価結果が×を含まず、△が1つ以下である
×:評価結果のいずれかが×である、又は、△が2つ以上ある
上記の配合例1の油脂を使用し、以下の表7に示す配合で、上記の“ロールイン用油脂組成物の調製−1”に記載の方法と同様に製造して、アミラーゼ製剤を添加しないロールイン用油脂組成物(比較例6)を得た。
下記の表8の配合で穀粉生地を調製し、得られた穀粉生地にシート状に成型したアミラーゼを含有しない比較例6のロールイン用油脂組成物をのせ、上記の“デニッシュの製造−1”に記載の方法と同様にデニッシュ(比較例7)を製造した。
そして、上記の実施例5〜8及び比較例4、5と同様に、デニッシュの製造における穀粉生地製造時の作業性、及びロールイン時の作業性、並びに焼成したデニッシュのボリューム感(生地浮き)、及びソフト感を比較評価した。結果を以下の表11に示した。
表4で使用したマーガリン(商品名:日清ロイヤルシャープ180、日清オイリオグループ(株)製)200gを40℃に加温し、表2で使用したマルトース生成αアミラーゼを0.83g、及びαアミラーゼを0.52g添加し、撹拌して各種アミラーゼを均一に分散させた後、室温まで放冷して、アミラーゼ添加マーガリンを調製した。
下記の表9の配合で穀粉生地を調製し、得られた穀粉生地にシート状に成型したアミラーゼを含有しない比較例6のロールイン用油脂組成物をのせ、上記の“デニッシュの製造−1”に記載の方法と同様にデニッシュ(比較例8)を製造した。
そして、上記の実施例5〜8及び比較例4、5と同様に、デニッシュの製造における穀粉生地製造時の作業性、及びロールイン時の作業性、並びに焼成したデニッシュのボリューム感(生地浮き)、及びソフト感を比較評価した。結果を以下の表11に示した。
下記の表10の配合で穀粉生地を調製し、得られた穀粉生地にシート状に成型した実施例2のロールイン用油脂組成物をのせ、上記の“デニッシュの製造−1”に記載の方法と同様にデニッシュ(実施例9及び10)を製造した。
そして、上記の実施例5〜8及び比較例4、5と同様に、デニッシュの製造における穀粉生地製造時の作業性、及びロールイン時の作業性、並びに焼成したデニッシュのボリューム感(生地浮き)、及びソフト感を比較評価した。結果を以下の表11に示した。
また、表11に示すように、本発明のロールイン用油脂組成物を使用せずに、マルトース生成αアミラーゼ及びαアミラーゼを、穀粉生地に直接添加した場合(比較例7)や、練り込み用マーガリンに添加した場合(比較例8)は、デニッシュ生地の成形時に生地ダレを起こした。
Claims (5)
- マルトース生成αアミラーゼ及びαアミラーゼを含有するロールイン用油脂組成物であり、前記ロールイン用油脂組成物100g中に、125〜840Uのマルトース生成αアミラーゼ及び11〜115Uのαアミラーゼが添加されていることを特徴とするロールイン用油脂組成物。
- 前記ロールイン用油脂組成物中に、前記マルトース生成αアミラーゼ及びαアミラーゼが、酵素活性として、2:1〜15:1となる量で添加されていることを特徴とする請求項1に記載のロールイン用油脂組成物。
- 穀粉100gに対して、請求項1又は2に記載のロールイン用油脂組成物が20〜60g折り込まれたことを特徴とする層状穀粉膨化食品用生地。
- 請求項3に記載の層状穀粉膨化食品用生地を焼成した層状穀粉膨化食品。
- 前記層状穀粉膨化食品が、クロワッサン、デニッシュ又はパイである請求項4に記載の層状穀粉膨化食品。
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