JP6192962B2 - 非常時水管理構造 - Google Patents
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Description
これを解消するために、建物の敷地内あるいは地域の避難待機所の敷地内に汚水貯留槽を埋設し、当該汚水貯留槽にマンホールを設け、非常時にはマンホールの上部に仮設トイレを設置するなどの対策が提案されている。
しかしながら、こうした仮設トイレは、非常時とは言えプライバシーの保護が不十分となる。また仮設トイレが1階にしか設置されないこととなり、高層集合住宅の居住者は、エレベータが停止していても利用の度に1階まで足を運ばなければならず、不便を強いられていた。
上述の問題点を解消するものとして、特許文献1では、集合住宅等の建物1を免震構造とし、当該建物1の敷地内に貯留槽2を設け、放流調整手段3を介して当該貯留槽2と下水道Aを連結している。そして図1(A)に示すように、通常時に当該建物1から発生した汚水を一旦貯留槽2に導き、貯留槽2から下水道Aに放流している。また図1(B)に示すように、非常時には、放流調整手段3を遮断することで、建物1から発生した汚水を一時的に貯留槽2に貯留可能とし、非常時でも建物1のトイレ等を使用可能としている。
図2は、特許文献2の水処理システム10の説明図である。(A)は水処理システム10の全体の説明図、(B)は流路接続部材13がパイプ状部材であるときの説明図、(C)は流路接続部材13がねじ込み式の管継手であるときの説明図である。
特許文献2では、下水管の上流側配管11と下流側配管12とを連通する流路接続部材13、それらの接続部位の下に設けられた排水枡14、排水枡14内に貯留した排水をくみ上げるポンプ15、及び排水枡14からくみ上げた排水を浄化処理する浄化処理部16が開示されている。
また災害時には、流路接続部材13を手動操作で挿設を解除して、もしくは流路接続部材13を切断ないし破壊して上流側配管11と下流側配管12との連通を解除し、排水を上流側配管11から排水枡14へ流入させ、貯留する。
特許文献2には、流路接続部材13として、上流側配管11や下流側配管12の管外径に対応した管内径を有するパイプ状部材やねじ込み式の管継手が使用されている。
また貯水部14aから直接開口しているので、蓋を閉めても排水の悪臭が周囲に出てきやすかった。
しかし特許文献2の排水枡14で貯留した排水を排出するには、ポンプ15を使用することになる。しかし排水枡14に固定されたポンプ15では、排水全てをくみ上げることはできなかった。また、くみ上げた排水は全て浄化処理部16で浄化処理される。そのため、洗浄水に対して不必要な浄化処理をすることとなり、効率が悪かった。また、洗浄水の中の界面活性剤や消毒剤が、浄化処理部16の生物処理槽内の微生物に悪影響を及ぼすおそれがあった。
その上、排水枡14の上部開口にそれぞれのパイプを交互に複数回出し入れすることとなるため、上流側配管11や下流側配管12、流路接続部材13を損傷しやすかった。
また、災害により液状化現象等が起きた際に、排水枡14が浮き上がるおそれがあった。
建物本体で発生した汚水を流す複数の排水管に連通する第1汚水配管と、
地盤強化範囲の外側を通る下水道に遠位端が連通する第2汚水配管と、
地中に設けられた壷状の地中埋設桝と、
第1汚水配管と第2汚水配管とを連結し地中埋設桝内に収められ災害時に汚水を地中埋設桝内に排出する経路切換管と、
地中に埋設して設けられ地上に開口する連結孔を有し前記汚水を貯留する汚水貯留槽と、
一端が地中埋設桝の底面に開口し、他端が汚水貯留槽に開口する第3汚水配管と、を備え、
経路切換管は、第1汚水配管の遠位端に連通して連結する第1開口部と、
第2汚水配管の近位端に連通して連結する第2開口部と、を有する中空の三又の管であり、
さらに経路切換管は、第1開口部と第2開口部との間の壁面に設けられ該壁面の外と前記中空とを連通させる第3開口部と、
第3開口部に連結し第3開口部の開口を開閉できる開閉手段と、を有し、
通常時には第3開口部を上方に向けて固定され開閉手段で開口を閉じ、
災害時には第3開口部を下方に向けて固定され開閉手段で開口を開く、ことを特徴とする非常時水管理構造が提供される。
地盤強化範囲は、互いに隣接するモルタル柱を重複させて形成したモルタル柱列で矩形に囲まれた範囲である。
第1汚水配管、第2汚水配管、及び第3汚水配管は、モルタル柱列の上に配管される。
前記飲料水を建物本体に供給する上水配管と、
前記余剰水を建物本体に供給する余剰水配管と、を備える。
すなわち、まず汚水貯留槽内の汚水をバキューム車で吸い上げ、地中埋設桝内と、地中埋設桝から通じる第3汚水配管内を高圧水で清掃し、洗浄水を汚水貯留槽に流し、その後汚水貯留槽に溜まった洗浄水をバキューム車で吸い上げるだけで、地中埋設桝、第3開口部、及び汚水貯留槽を一度に容易に洗浄、消毒できる。
本発明の非常時水管理構造40は、地盤強化処理を施された地盤強化範囲20内に、建物本体22に近接して設けられ、第1汚水配管26、第2汚水配管28、及び第3汚水配管38を有する下水管と、経路切換管30、地中埋設桝34、及び汚水貯留槽36を備える。
第1汚水配管26の遠位端には、経路切換管30の第1開口部30aに連結するためのフランジ26aが設けられていることが好ましい。また第1汚水配管26の遠位端と経路切換管30の第1開口部30aとの連結は、ボルトとナットで固定することが好ましいが、その他の手段でもよい。
また第1汚水配管26には、汚水の流れを調節するためのバルブ48が設置されることが好ましい。
第2汚水配管28の近位端には、経路切換管30の第2開口部30bに連結するためのフランジ28aが設けられていることが好ましい。また第2汚水配管28の近位端と経路切換管30の第2開口部30bとの連結は、ボルトとナットで固定することが好ましいが、その他の手段でもよい。
また第3開口部30cは、第1汚水配管26と第2汚水配管28とを清掃するための清掃口としても兼用される。
地中埋設桝34の底面は、第3開口部30cの一端の開口に汚水が流れるように、第3開口部30cの一端の開口に向けて傾斜していることが好ましい。
また地中埋設桝34にはマンホール等の蓋を設ける。なお、地中埋設桝34の蓋には、施錠を施すことが好ましい。
汚水貯留槽36は、地上に開口する連結孔36aを有する。汚水貯留槽36の底面は、連結孔36aの真下にあたる箇所が最も低くなるように形成されていることが好ましい。それにより、連結孔36aの真下にバキューム車のホースを下し、汚水を吸い上げるだけで、汚水貯留槽36内の汚水を全て吸い上げることができる。
本発明の非常用飲料水生成装置50は、井戸Cからくみ上げた井戸水を濾過して飲料水を生成する。また非常用飲料水生成装置50は、飲料水の生成過程でできる不純物を含む水を余剰水として生成する。
図5に示すように、地盤強化処理は深層混合処理であり、具体的には棒状の杭芯42を地盤に圧入しながら鉛直軸41を中心に回転し杭芯42の先端部から注出したセメントミルクと地盤中の土砂とを混合することにより地中にモルタル柱44を形成する処理である。
すなわち、地盤強化範囲20は、互いに隣接するモルタル柱44を重複させたモルタル柱列46で矩形に地盤を囲まれた範囲である。
さらに汚水貯留槽36は、鉄筋とコンクリートからなる鉄筋コンクリート造であり、汚水貯留槽36の形状に合わせて深層混合処理工法によるモルタル柱列46を構築して地盤強化範囲20を液状化対策すると共に、モルタル柱列46を汚水貯留槽36の基礎として兼用することが好ましい。
これにより、地盤強化範囲20の外の地盤が液状化するような災害時でも、地盤強化範囲20内の建物本体22、汚水貯留槽36、及び地中埋設桝34とモルタル柱列46の上に配管された第1汚水配管26、第2汚水配管28、及び第3汚水配管38の損傷を回避することができる。
図6は、本発明の非常時水管理構造40の非常時の構成の説明図である。
なお居住者には通常時から浴槽に常時水を溜めてもらう。
これにより、建物本体22で排出された汚水は、第3開口部30cから地中埋設桝34内に排出される。そして地中埋設桝34内に排出された汚水は、第3汚水配管38を通過して汚水貯留槽36に貯留される。そのため、公共の下水道A等のインフラが災害で遮断されたとしても、通常時に使用する排水管24に汚水を流すことができる。
なお、トイレ用水として使用する水は、浴槽に溜めた水の他に、非常用飲料水生成装置50により余剰水を利用してもよい。
これにより、容易に元の公共の下水道Aに下水管を切り替えることができる。
本発明の非常時水管理構造40を洗浄する際は、次の手順で行うことが好ましい。
(1)汚水貯留槽36内の汚水をバキューム車で吸い上げる。
(2)汚水貯留槽36内、地中埋設桝34内、及び第3汚水配管38内を清掃し消毒する。
具体的には、地中埋設桝34内と、地中埋設桝34から通じる第3汚水配管38内を高圧水で清掃し、洗浄水を汚水貯留槽36に流す方法が好ましい。
(3)その後、汚水貯留槽36に溜まった洗浄水をバキューム車で吸い上げる。
なお、非常時水管理構造40の消毒も(1)から(3)の洗浄と同様の手順で行うことが好ましい。
すなわち、仮に第1汚水配管26及び第2汚水配管28と第3汚水配管38とを連通させた構成にしてしまうと、第3汚水配管38の清掃や消毒は汚水貯留槽36側から行わなければならないため、作業員が汚水貯留槽36内に入って清掃や消毒をしなければならない。
すなわち、まず汚水貯留槽36内の汚水をバキューム車で吸い上げ、地中埋設桝34内と、地中埋設桝34から通じる第3汚水配管38内を高圧水で清掃し、洗浄水を汚水貯留槽36に流し、その後汚水貯留槽36に溜まった洗浄水をバキューム車で吸い上げるだけで、地中埋設桝34、第3開口部30c、及び汚水貯留槽36を一度に容易に洗浄、消毒できる。
3 放流調整手段、4 汚水貯留構造、
10 水処理システム、11 上流側配管、
11a 上流側配管の遠位端、
12 下流側配管、12a 下流側配管の近位端、
13 流路接続部材、
14 排水枡、14a 貯水部、
15 ポンプ、16 浄化処理部、
20 地盤強化範囲、22 建物本体、
24 排水管、
26 第1汚水配管、26a フランジ、
28 第2汚水配管、28a フランジ、
30 経路切換管、30a 第1開口部、
30b 第2開口部、30c 第3開口部、
30d フランジ、
32 開閉手段、34 地中埋設桝、
36 汚水貯留槽、36a 連結孔、
38 第3汚水配管、40 非常時水管理構造、
41 鉛直軸、42 杭芯、44 モルタル柱、
46 モルタル柱列、48 バルブ、
50 非常用飲料水生成装置、
52 上水配管、54 余剰水配管、
A 下水道、C 井戸
Claims (7)
- 地盤強化処理を施された地盤強化範囲の内側に建てられた建物本体に近接して地盤強化範囲内に設けられ、
建物本体で発生した汚水を流す複数の排水管に連通する第1汚水配管と、
地盤強化範囲の外側を通る下水道に遠位端が連通する第2汚水配管と、
地中に設けられた壷状の地中埋設桝と、
第1汚水配管と第2汚水配管とを連結し地中埋設桝内に収められ災害時に汚水を地中埋設桝内に排出する経路切換管と、
地中に埋設して設けられ地上に開口する連結孔を有し前記汚水を貯留する汚水貯留槽と、
一端が地中埋設桝の底面に開口し、他端が汚水貯留槽に開口する第3汚水配管と、を備え、
経路切換管は、第1汚水配管の遠位端に連通して連結する第1開口部と、
第2汚水配管の近位端に連通して連結する第2開口部と、を有する中空の三又の管であり、
さらに経路切換管は、第1開口部と第2開口部との間の壁面に設けられ該壁面の外と前記中空とを連通させる第3開口部と、
第3開口部に連結し第3開口部の開口を開閉できる開閉手段と、を有し、
通常時には第3開口部を上方に向けて固定され開閉手段で開口を閉じ、
災害時には第3開口部を下方に向けて固定され開閉手段で開口を開く、ことを特徴とする非常時水管理構造。 - 第3開口部は、第1汚水配管と第2汚水配管とを清掃するための清掃口として兼用される、ことを特徴とする請求項1に記載の非常時水管理構造。
- 開閉手段は第3開口部を塞ぐ開口部蓋である、ことを特徴とする請求項1に記載の非常時水管理構造。
- 地盤強化処理は、棒状の杭芯を地盤に圧入しながら鉛直軸を中心に回転し杭芯の先端部から注出したセメントミルクと地盤中の土砂とを混合することにより地中にモルタル柱を形成する深層混合処理であり、
地盤強化範囲は、互いに隣接するモルタル柱を重複させて形成したモルタル柱列で矩形に囲まれた範囲である、ことを特徴とする請求項1に記載の非常時水管理構造。 - 地中埋設桝と汚水貯留槽とは、地盤強化範囲内に埋設され、
第1汚水配管、第2汚水配管、及び第3汚水配管は、モルタル柱列の上に配管される、ことを特徴とする請求項4に記載の非常時水管理構造。 - 汚水貯留槽は、鉄筋とコンクリートからなる鉄筋コンクリート造であり、モルタル柱列を基礎として使用する、ことを特徴とする請求項5に記載の非常時水管理構造。
- 井戸からくみ上げた井戸水を濾過した飲料水と、飲料水の生成過程でできる不純物を含む余剰水とを生成する非常用飲料水生成装置と、
前記飲料水を建物本体に供給する上水配管と、
前記余剰水を建物本体に供給する余剰水配管と、を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の非常時水管理構造。
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