JP2015078595A - 汚水排出システム - Google Patents

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Abstract

【課題】災害時に建物の排水設備から排出される汚水が外部に漏れにくい汚水排出システムを提供する。【解決手段】汚水排出システム1Aは、建物5の排水設備7に接続された第1流出管路11と、下水本管20に接続された第2流出管路12と、貯留手段70と、汚水ます40とを備えている。汚水ます40は、上方に開口する点検口51と、第1流出管路11が接続された流入口52と、第2流出管路12が接続された第1流出口53と、貯留手段70が接続された第2流出口54と、を有するます本体41と、流入口52から第2流出口54へ汚水が流れないように流入口52と第1流出口53とを連通させる第1の切替位置と、流入口52から第1流出口53へ汚水が流れないように流入口52と第2流出口54とを連通させる第2の切替位置との間で位置変更が可能な切替手段42と、を有し、建物5内に設けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、汚水排出システムに関する。
従来から、建物内の排水設備から建物の外へ汚水を排出する汚水排出システムが知られている。建物内の排水設備としては、例えば、トイレ、風呂、または台所の流し台などが挙げられる。この種の汚水排出システムは、建物内の排水設備と建物外の下水本管とをつなぐ流出管路を備えている。排水設備から流出する汚水は、流出管路を通じて下水本管へ排出される。
ところで、大規模な地震または津波などの災害が発生した際、下水本管が破損するおそれがある。下水本管が破損してしまった場合、下水本管から汚水が漏れてしまい、汚水から発生する悪臭が外部に漏れてしまうおそれがあった。
特許文献1には、排水設備と下水本管とをつなぐ流出管路と、汚水を貯留する貯留部と、流出管路の汚水を貯留部へ流すべく汚水の流路を切り替える流路切替手段とを備えた汚水排出システムが開示されている。流路切替手段は、流出管路のうち、建物外の地中に埋設された管路内に設置されている。この汚水排出システムでは、災害時に下水本管が破損した場合、流路切替手段によって汚水の流路を切り替えることで、汚水を貯留部へ流す。このことによって、汚水から発生する悪臭が下水本管の破損部分から外部に漏れにくくすることができる。
特許第4679412号公報
しかしながら、大規模な地震または津波などの災害が発生した場合、下水本管だけでなく、地中に埋設された流路切替手段にも大きな衝撃が加わり、流路切替手段が破損するおそれがある。ところが、流路切替手段が破損した場合、排水設備からの汚水を下水本管または貯留部に流しにくくなる。また、流路切替手段の破損個所から、汚水が外部に漏れるおそれがある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、災害時に建物の排水設備から排出される汚水が外部に漏れにくい汚水排出システムを提供することである。
本発明に係る汚水排出システムは、一端が建物内の排水設備に接続された第1流出管路と、一端が下水本管に接続された第2流出管路と、汚水を貯留する貯留手段と、汚水ますと、を備えている。前記汚水ますは、上方に開口する点検口と、前記第1流出管路の他端が接続された流入口と、前記第2流出管路の他端が接続された第1流出口と、前記貯留手段が接続された第2流出口と、を有するます本体と、前記ます本体に設けられ、前記流入口から前記第2流出口へ汚水が流れないように前記流入口と前記第1流出口とを連通させる第1の切替位置と、前記流入口から前記第1流出口へ汚水が流れないように前記流入口と前記第2流出口とを連通させる第2の切替位置との間で位置変更が可能な切替手段と、前記点検口に接続された点検筒と、を有している。前記建物の床には、孔が形成されている。汚水ますは、前記点検筒が前記孔に挿入された状態で前記建物の床に固定されている。
大規模な地震または津波などの災害が発生した場合、建物の内部では、建物の外部に比べて、地震または津波に起因する衝撃が緩和される。前記汚水排出システムによれば、流路切替機能を有する汚水ますは建物内に設けられているので、建物の外に設けられている場合に比べて、汚水ますは破損しにくくなる。よって、災害時に、排水設備から流出する汚水が外部に漏れることを防ぎやすくなる。
また、排水設備から排出される汚水には、異物等が含まれている場合がある。また、長年の使用により、流出管路に付着物が堆積する場合がある。そのため、異物または付着物により、汚水ますの流路切替機能が損なわれるおそれがある。しかし、前記汚水排出システムによれば、汚水ますは点検口を備えているため、メンテナンスが容易である。よって、汚水ます内に異物が詰まった場合または付着物が堆積した場合に、点検口から異物または付着物を容易に取除くことができる。したがって、災害時に、流路切替機能を十分に確保することができ、流路が切り替えられなくなる事態を回避しやすくなる。よって、災害時に、破損した下水本管に汚水が流出することを防ぐことができ、汚水が外部に漏れにくくすることができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記第2流出口は、前記ます本体の下部に設けられかつ下方に開口している。前記切替手段は、前記前記第2流出口に着脱自在に設けられた蓋体である。
上記態様によれば、蓋体を第2流出口に装着すると、流入口と第1流出口とが連通し、流入口と第2流出口との連通が遮断される。よって、流入口からます本体に流入した汚水は、第1流出口から流出し、第2流出口から流出しない。したがって、排水設備から流出した汚水は、下水本管に排出される。一方、災害時において、蓋体を第2流出口から取り外すと、流入口と第1流出口と第2流出口とが連通する。しかし、第2流出口は、流入口および第1流出口よりも低い位置に設けられている。よって、流入口からます本体に流入した汚水は、第1流出口から流出するのではなく、第2流出口から流出する。したがって、排水設備から流出した汚水は、貯留手段に排出される。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記汚水ますは、前記建物の床に吊り下げ支持されている。
上記態様によれば、汚水ますを地中に埋設する必要がない。汚水ますを容易に設置することができる。
本発明によれば、災害時に建物の排水設備から排出される汚水が外部に漏れにくい汚水排出システムを提供することができる。
第1実施形態に係る汚水排出システムの平面図である。 第1実施形態に係る汚水排出システムの側面図である。 第1実施形態に係る汚水排出システムの正面図である。 汚水ますの平面図である。 汚水ますの正面断面図である。 汚水ますの側面図である。 蓋体の平面図である。 蓋体の正面図である。 蓋体の側面図である。 第2実施形態に係る汚水排出システムの平面図である。 第3実施形態に係る汚水排出システムの側面図である。 第4実施形態に係る汚水排出システムの平面図である。 第4実施形態に係る汚水排出システムの正面図である。 第4実施形態の変形例に係る汚水排出システムの側面図である。 変形例における免震構造を示した図である。 変形例における免震構造を示した図である。 変形例における免震構造を示した図である。 変形例における免震構造を示した図である。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る汚水排出システムの各実施形態について説明する。ここで説明される各実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
<第1実施形態>
まず、第1実施形態に係る汚水排出システム1Aについて説明する。図1は、本実施形態に係る汚水排出システム1Aを示す平面図である。汚水排出システム1Aは、建物5内に配置された排水設備7,7Bから建物5の外部の下水本管20に汚水を排出するシステムである。ここで、「建物」とは、少なくとも壁を有する建築物のことを指し、住宅、商業施設、工場、校舎および倉庫などが含まれる。また、本実施形態では、「建物内」には、屋根および壁に囲まれた床上の空間はもちろんのこと、床下の空間も含まれる。平面視において、壁に囲まれた部分は「建物内」である。「汚水」とは、例えばトイレ、風呂および台所の流し台などから排出される水であり、そのままでは河川に放流させることができないものである。「排水設備」とは、汚水を排出する設備のことであり、トイレ、風呂または台所の流し台などが挙げられる。図1では、汚水排出システム1Aは、1つの建物5内に4つの排水設備7,7Bを備えているが、建物および排水設備の数は特に限定されない。汚水排出システム1Aが設置される建物5の数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。建物5内には、1つの排水設備7のみが設けられていてもよく、本実施形態のように、複数の排水設備7,7Bが設けられていてもよい。図1に示すように、汚水排出システム1Aは、流出管路10と、下水本管20と、流路切替機能を有する汚水ます40,40Bと、貯留槽70とを備えている。
図2は、汚水排出システム1Aの側面図である。図3は、汚水排出システム1Aの正面図である。なお、図2および図3において、建物5内の排水設備7および排水設備7に接続された流出管路10などは、1つのみ図示されており、その他の排水設備7,7Bおよび流出管路10などは省略している。
流出管路10は、下流に向かう程、下方に勾配している。図1に示すように、流出管路10は、第1流出管路11および第2流出管路12を備えている。第1流出管路11の上流端は排水設備7に接続され、第1流出管路11の下流端は汚水ます40の流入口52に接続されている。第2流出管路12の上流端は汚水ます40の第1流出口53に接続され、第2流出管路12の下流端は下水本管20に接続されている。第2流出管路12内には、公共ます21が設けられている。なお、「管路」とは、水を流通させる通路を意味する。「管路」は、一本の配管により構成されていてもよく、本実施形態のように、複数本の配管とそれらを接続する継手とにより構成されていてもよい。
また、流出管路10は、第1流出管路11Bおよび第2流出管路12Bを備えている。第1流出管路11Bの上流端は排水設備7Bに接続され、第1流出管路11Bの下流端は汚水ます40Bの流入口52に接続されている。第2流出管路12Bの上流端は汚水ます40Bの第1流出口53に接続され、第2流出管路12Bの下流端は第2流出管路12に接続されている。なお、第1流出管路11Bは、「他の第1流出管路」に対応し、第2流出管路12Bは、「他の第2流出管路」に対応する。
また、流出管路10は、汚水ます40と貯留槽70とを接続する第3流出管路13と、汚水ます40Bと貯留槽70とを接続する第3流出管路13Bとを備えている。第3流出管路13の上流端は汚水ます40の第2流出口54に接続され、第3流出管路13の下流端は貯留槽70に接続されている。第3流出管路13Bの上流端は汚水ます40Bの第2流出口54に接続され、第3流出管路13Bの下流端は貯留槽70に接続されている。
下水本管20は、汚水を汚水処理場(図示せず)に導く管である。下水本管20は建物5の外に配置されている。各建物5から流出する汚水は、下水本管20に排出される。
汚水ます40,40Bは、流路の切替が可能なますである。汚水ます40,40Bは、建物5内に設けられている。具体的には、建物5は、鉄筋コンクリート等からなる基礎5Aを備えている。基礎5Aは周回状に配置されており、平面視において、汚水ます40,40Bは基礎5Aによって囲まれている。汚水ます40,40Bは、平面視において基礎5Aの内側に配置されている。なお、基礎5Aの上には、壁が設けられる場合が多い。汚水ます40,40Bは基礎5Aにより囲まれていてもよく、基礎5Aよりも高い位置に配置され、上記壁により囲まれていてもよい。
次に、汚水ます40の構成について説明する。なお、本実施形態では、汚水ます40Bは汚水ます40と同様の構成を有している。以下では汚水ます40の構成のみを説明し、汚水ます40Bの構成の説明は省略する。ただし、汚水ます40と汚水ます40Bとの構成は必ずしも同一でなくてもよく、異なっていてもよい。
図4は、汚水ます40の平面図である。図5は、汚水ます40の正面断面図である。図6は、汚水ます40の側面図であり、第1流出口53側から見た図である。図5に示すように、汚水ます40は、ます本体41と蓋体42とを備えている。図6に示すように、ます本体41は、上部が拡径した略筒状に形成されている。図5に示すように、ます本体41の上部には、上方に開口する点検口51が形成されている。ます本体41の側部には、側方に開口する流入口52および第1流出口53が形成されている。ます本体41の下部には、下方に開口する第2流出口54が形成されている。図2に示すように、点検口51には、点検筒56が接続されている。作業者は、点検筒56を通じて、ます本体41の内部に破損または詰まりなどがないかを点検することができる。なお、点検筒56の上端には、蓋57が配置されている。点検筒56は、蓋57によって閉じられている。蓋57によって、汚水ます40内の汚水から発生する悪臭が点検口51を通じて外部に漏れることを防止することができる。
図5に示すように、流入口52は、ます本体41の側部に設けられている。本実施形態では流入口52は、配管が挿入される受口であるが、配管に挿入される差口であってもよい。前述の通り、流入口52には第1流出管路11が接続される。なお、本実施形態では流入口52には、第1流出管路11の一部をなす配管(図示せず)が直接接続されるが、流入口52に上記配管が他の部材などを介して間接的に接続されていてもよい。
第1流出口53は、ます本体41の側部であって、流入口52と反対側に配置されている。本実施形態では第1流出口53は受口であるが、第1流出口53は差口であってもよい。前述の通り、第1流出口53には、第2流出管路12が接続される。第1流出口53には、第2流出管路12の一部をなす配管が直接接続されていてもよく、上記配管が他の部材を介して間接的に接続されていてもよい。
第2流出口54は、ます本体41の下部に設けられており、下向きに開口している。第2流出口54は、平面視において、流入口52と第1流出口53との間に配置されている。前述の通り、第2流出口54には、第3流出管路13が接続されている。第2流出口54には、第3流出管路13を介して貯留槽70が間接的に接続されている。なお、第2流出口54には、貯留槽70が直接接続されていてもよい。例えば、貯留槽70を汚水ます40の下方に配置し、第2流出口54を貯留槽70に直接接続してもよい。
蓋体42は、ます本体41の流路を切り替える部材である。本実施形態では、蓋体42が「切替手段」に対応する。蓋体42は、第2流出口54に着脱自在に設けられている。蓋体42が第2流出口54に装着されると、第2流出口54は閉鎖される。蓋体42が第2流出口54から取り外されると、第2流出口54は開放される。図7は、蓋体42の平面図である。図8は、蓋体42の正面図である。図9は、蓋体42の側面図である。図8に示すように、蓋体42は、蓋本体61と、持ち手62と、嵌合凸部63とを備えている。
図7に示すように、蓋本体61は、流入口52から第1流出口53へと繋がる流路を形成する底面65を備えている。図9に示すように、底面65は、流入口52の底面および第1流出口53の底面と滑らかに連続するように、断面略Cの字状に形成されている。図7に示すように、持ち手62は、蓋本体61の上端から上方に延びるようにして蓋本体61に設けられている。図9に示すように、持ち手62は、断面Cの字状に形成されている。図8に示すように、嵌合凸部63は、第2流出口54を閉塞すべく、第2流出口54に嵌合可能な部位である。嵌合凸部63は略円筒状である。本実施形態では、嵌合凸部63の外周部には、ゴム製のシール部材64が設けられている。このシール部材64によって、第2流出口54と蓋体42の嵌合凸部63との間のシールが図られている。
図5に示すように、汚水ます40には、汚水が逆流すること、すなわち、汚水が第2流出管路12から第1流出管路11に向かって流れることを防ぐための逆流防止弁58が設けられていてもよい。本実施形態では、逆流防止弁58は、汚水ます40の第1流出口53に設けられている。逆流防止弁58は、流入口52から第1流出口53に向かう水の流れは許容し、第1流出口53から流入口52に向かう水の流れは阻止するように構成されている。逆流防止弁58は、上端部がピン59aにより回転可能に支持されている。第1流出口53の底部には、逆流防止弁58の下端部と接触するストッパ59bが設けられている。ストッパ59bは逆流防止弁58よりも流入口52側に設けられている。このような構成により、汚水が流入口52から第1流出口53に向かって流れると、逆流防止弁58は汚水の流れによって押され、ピン59aを中心として図5の反時計回りに回転する。これにより、逆流防止弁58は開かれる。一方、汚水が第1流出口53から流入口52に向かって流れようとすると、逆流防止弁58は汚水の流れによって押され、ピン59aを中心として図5の時計回り方向の力を受ける。しかし、逆流防止弁58の下端部はストッパ59bにより規制されるので、逆流防止弁58が流入口52側に開くことは阻止される。これにより、汚水の逆流が防止される。なお、逆流防止弁58は、流入口52に設けられていてもよいし、第2流出口54の上方に設けられていてもよい。逆流防止弁58の位置および構成は、何ら限定されない。また、汚水ます40には、逆流防止弁58を設けなくてもよい。この場合、逆流防止弁58、ピン59aおよびストッパ59bを省略することが可能である。
汚水ます40の点検口51には、識別手段が設けられているとよい。この識別手段は、汚水ます40がどこにあるかを簡単に見付けることができるようにするための手段である。識別手段を設けることにより、例えば暗闇であっても点検口51がどこにあるかを簡単に見付けることができるようになる。ここでは、識別手段として、点検口51に接続された点検筒56の上端部、および/または、この点検筒56の上端に配置された蓋57に、汚水ます40の他の部分に施されている色彩と識別容易な色彩が施されている。この識別手段で用いられる色彩は特に限定されないが、例えば、黄色である。上記色彩は蛍光色であってもよい。例えば、点検筒56の上端部および/または蓋57に、蛍光塗料を塗布してもよい。このことによって、作業者は暗闇でも簡単に汚水ます40の位置を把握することができる。ただし、上記識別手段は、上述した色彩によるものに限定されず、例えば、蓋57の上面に旗などの識別容易な物体が配置されていてもよい。
次に、汚水ます40の設置形態について説明する。図2に示すように、汚水ます40は、建物5の床6の下に配置されている。なお、建物5の床6とは、居住者が使用する部屋5Bの床のことである。本実施形態では、建物5の基礎5Aはいわゆるべた基礎であり、基礎5Aは建物5の全体に渡って設けられている。床6は基礎5Aの一部の上方に配置されている。ただし、基礎5Aはいわゆる布基礎であってもよく、床6と地面との間に基礎5Aが設けられていなくてもよい。
汚水ます40は、点検筒56の上端が建物5の床6とほぼ同じ高さに配置されるように、床6の下部に取り付けられている。ただし、点検筒56の上端が床6から上方に突出していてもよい。このことによって、点検筒56を識別しやすくなる。床6に対する汚水ます40の取り付け方法は特に限定されない。本実施形態では、汚水ます40は床6に吊り下げ支持されている。詳しくは、床6の下部には、吊り下げバンド66が取り付けられている。汚水ます40のうち流入口52および第1流出口53は、吊り下げバンド66に支持されている。汚水ます40は、吊り下げバンド66を介して床6に取り付けられている。
また、床6の下部には、吊り下げバンド68が取り付けられている。第1流出管路11および第2流出管路12は、吊り下げバンド68に支持されている。すなわち、第1流出管路11および第2流出管路12は、床6に吊り下げられている。ここでは、吊り下げバンド66および68は金属製であるが、吊り下げバンド66および68の材料は特に限定されない。
貯留槽70は、排水設備7から排出された汚水を貯留する槽である。貯留槽70は、建物5とは別体のタンクによって構成されている。この貯留槽70は、汚水ます40に接続された第3流出管路13と、汚水ます40Bに接続された第3流出管路13Bとに接続されている。本実施形態では、貯留槽70は「貯留手段」に対応する。図3に示すように、貯留槽70は建物5の外に配置されており、地中に埋設されている。図3の符号GLは、地表面を表している。貯留槽70は、内部に密封された空間を有している。貯留槽70が密封式であることにより、貯留槽70内の汚水から発生する悪臭が外部に漏れないようになっている。貯留槽70は、建物5に対して固定されている。貯留槽70は、建物5の基礎5Aに固定されていてもよい。この貯留槽70と建物5との固定方法は特に限定されるものではない。ここでは、貯留槽70は、ボルト(図示せず)によって建物5の基礎5Aに固定されている。なお、貯留槽70は、建物5に取り付けられておらず、建物5から離間していてもよい。また、貯留槽70は必ずしも地中に埋設されていなくてもよい。貯留槽70は、地上に設置されていてもよい。
次に、本実施形態に係る汚水排出システム1Aの利用方法について説明する。汚水排出システム1Aは、通常時は排水設備7,7Bから流出する汚水を下水本管20に排出し、地震または津波などの災害が発生して下水本管20が破損したときには、汚水ます40,40Bの流路を切り替えて、排水設備7,7Bから流出する汚水を貯留槽70に排出するように用いられる。以下の説明では、通常時の利用態様を通常時モードといい、災害時の利用態様を災害時モードということとする。
通常時モードでは、汚水ます40,40Bの第2流出口54は蓋体42によって塞がれる。図1に示すように、排水設備7から流出した汚水は、第1流出管路11を流れた後、汚水ます40の流入口52からます本体41に流入する。ます本体41に流入した汚水は、第2流出口54を閉塞している蓋体42(図5参照)の上方を通り、第1流出口53からます本体41の外へ流出する。第1流出口53から流出した汚水は、第2流出管路12を流れ、下水本管20に排出される。排水設備7Bから流出した汚水は、第1流出管路11Bを流れた後、汚水ます40の流入口52からます本体41に流入する。ます本体41に流入した汚水は、第1流出口53からます本体41の外へ流出し、第2流出管路12Bを流れる。第2流出管路12Bを流れる汚水は、第2流出管路12を流れる汚水と合流してから、下水本管20に排出される。そして、下水本管20に流れた汚水は、汚水処理場などに導かれ、浄化処理される。
災害時モードでは、汚水ます40,40Bの蓋体42が取り外され、第2流出口54が開放される。蓋体42は、例えば以下のようにして取り外すことができる。まず、作業者は、点検筒56に被せられた蓋57を取り外す。次に、蓋体42の持ち手62を持って蓋体42を引き上げる。これにより、第2流出口54が開放される。なお、持ち手62に手が届かないような場合は、例えば先端にフックを有する棒状体などを使用し、上記フックを持ち手62に引っ掛けて蓋体42を引き上げればよい。
災害時モードでは、排水設備7から流出された汚水は、第1流出管路11を流れた後、汚水ます40の流入口52からます本体41に流入する。第2流出口54は開放されており、また、第2流出口54はます本体41の下部に形成されているので、ます本体41に流入した汚水は、第2流出口54からます本体41の外へ流出する。第2流出口54から流出した汚水は、第3流出管路13を通じて貯留槽70へ排出される。排水設備7Bから流出した汚水は、第1流出管路11Bを流れた後、汚水ます40Bの流入口52からます本体41に流入する。ます本体41に流入した汚水は、第2流出口54からます本体41の外へ流出する。第2流出口54から流出した汚水は、第3流出管路13Bを通じて貯留槽70へ排出される。
以上のように、本実施形態では、汚水排出システム1Aは、図1に示すように、第1流出管路11の他端および第2流出管路12の他端に接続されると共に貯留槽70に接続され、第1流出管路11から第2流出管路12に汚水を流す第1の状態と、第1流出管路11から貯留槽70に汚水を流す第2の状態とに切替可能な汚水ます40を備えている。汚水ます40は、建物5内に設けられている。大規模な地震または津波などの災害が発生した場合、建物5の内部では、建物5の外部に比べて、地震または津波に起因する衝撃が緩和される。本実施形態によれば、汚水ます40は建物5内に設けられているので、建物5の外に設けられている場合に比べて、汚水ます40は破損しにくくなる。よって、災害時に、排水設備7から流出する汚水が外部に漏れることを防ぎやすくなる。
本実施形態では、図5に示すように、汚水ます40,40Bの第2流出口54は、ます本体41の下部に設けられ、かつ、下方に開口している。そして、汚水ます40,40Bでは、蓋体42を第2流出口54に着脱自在に設けることによって、ます本体41内の汚水の流路を切り替えている。蓋体42を第2流出口54に装着すると、流入口52と第1流出口53とが連通し、流入口52と第2流出口54との連通が遮断される。よって、流入口52からます本体41に流入した汚水は、第1流出口53から流出し、第2流出口54から流出しない。したがって、排水設備7,7Bから流出した汚水は、下水本管20に排出される。一方、災害時において、蓋体42を第2流出口54から取り外すと、流入口52と第1流出口53と第2流出口54とが連通する。しかし、第2流出口54は、流入口52および第1流出口53よりも低い位置に設けられている。よって、流入口52からます本体41に流入した汚水は、第1流出口53から流出するのではなく、第2流出口54から流出する。したがって、災害時、排水設備7,7Bから流出した汚水は、貯留槽70に排出される。
また、本実施形態では、ます本体41は、上方に開口する点検口51を有している。排水設備7,7Bから排出される汚水には、異物等が含まれている場合がある。また、長年の使用により、流出管路10に付着物が堆積する場合がある。そのため、異物または付着物により、汚水ます40,40Bの流路切替機能が損なわれるおそれがある。しかし、本実施形態によれば、汚水ます40,40Bは点検口51を備えているため、メンテナンスが容易である。よって、汚水ます40,40B内に異物が詰まった場合または付着物が堆積した場合に、点検口51から異物または付着物を容易に取り除くことができる。したがって、災害時に、流路切替機能を十分に確保することができ、流路が切り替えられなくなる事態を回避しやすくなる。よって、災害時に、破損した下水本管20に汚水が流出することを防ぐことができ、汚水が外部に漏れにくくすることができる。
なお、本発明の汚水ます40,40Bの替わりに切替弁を用いてもよいが、切替弁には、異物または付着物が詰まり易く、切替弁による流路切替機能が不能になる場合がある。しかし、本実施形態のように、点検口51を有する汚水ます40,40Bを用いることで、異物または付着物を容易に取り除くことができる。特に、災害時は、流路切替機能の信頼性が重要になるため、汚水ます40,40Bを用いることは有用である。
汚水ます40,40Bの点検口51から汚水排出システム1Aのメンテナンスを行う手順としては、例えば以下の通りである。点検口51から流入口52または第1流出口53に向かって、点検用の器具を挿入することで、第1流出管路11,11Bおよび第2流出管路12,12Bの内部の状況を把握することができる。仮に、第1流出管路11,11Bまたは第2流出管路12,12Bの内部に異物または堆積物などが見つかった場合、取り出し用の器具を利用して、その異物または堆積物などを取り除くことができる。また、点検口51から第2流出口54に向かって、吸引用のホースを挿入することで、ホースを通じて貯留槽70内の汚水を貯留槽70から排出することができる。
図1に示すように、本実施形態では、汚水ます40,40Bは、建物5の基礎5Aに囲まれている。建物5の基礎5Aに囲まれた部分は、地震等の災害時に、建物5の基礎5Aの外部よりも衝撃を受けにくい。よって、災害時に汚水ます40,40Bの破損を生じにくくすることができる。
本実施形態では、図2に示すように、汚水ます40,40Bは、点検口51に接続された点検筒56の上端が建物5の床6に配置されるように、建物5の床6の下に配置されている。このことによって、建物5の床6の下のスペースを汚水ます40,40Bの設置スペースとして有効活用することができる。また、床6の上にいながら、点検筒56に手を挿入して蓋体42の位置を変更することが可能となる。そのため、災害時に、流路の切替作業を容易に行うことができる。
本実施形態では、汚水ます40,40Bは、建物5の床6に吊り下げ支持されている。このことによって、汚水ます40,40Bを地中に埋設する必要がない。よって、汚水ます40,40Bを容易に設置することができる。
なお、汚水ます40,40Bは、床6の下方に配置された基礎5A(図2参照)の上に配置されていてもよいが、床6と床6の下方に配置された基礎5Aとの間の距離が長い場合、床6の上から流路の切替作業をすることが容易ではない。しかし、本実施形態では、汚水ます40,40Bは、建物5の床6に吊り下げ支持されているので、床6の上から流路の切り替え作業を容易に行うことができる。
流出管路10は、下流に向かう程、下方に勾配するように設置されている。汚水ます40,40Bが基礎5Aの上に配置された場合、第2流出管路12,12Bおよび公共ます21をより深い位置に設置しなければならず、設置するコストがかかる。しかし、本実施形態では、床6の下方に配置された基礎5Aの上に汚水ます40,40Bが配置された場合と比べて、汚水ます40,40Bは高い位置に配置される。よって、第2流出管路12,12Bおよび公共ます21をより浅い位置に設置することが可能になり、設置するコストを削減することができる。
また、本実施形態では、点検口51には、点検口51を識別するための識別手段が設けられている。この識別手段として、点検口51に接続された点検筒56の上端、および、この点検筒56の上端に配置された蓋57には、汚水ます40に施されている色彩と識別可能な色彩が施されている。このことによって、作業者が容易に点検口51を見付けることができる。特に、震災時に蓋体42を第2流出口54から取り外して、汚水の流路を切り替える場合、作業者は素早く点検口51を見付けて、点検口51に手を挿入し、汚水の流路を切り替える作業を行うことができる。
本実施形態では、図1に示すように、排水設備7には、第1流出管路11の一端が接続され、汚水ます40は、第1流出管路11の他端および第2流出管路12の他端に接続されている。また、複数の排水設備7Bには、それぞれ第1流出管路11Bの一端が接続され、複数の汚水ます40Bは、それぞれ第1流出管路11Bの他端および第2流出管路12Bの他端に接続されている。このことによって、排水設備7,7Bごとに汚水の流路を切り替えることができる。そのため、状況に応じて、汚水を下水本管20に流すか、または、貯留槽70に流すかを排水設備7,7Bごとに選択することができる。よって、災害時の様々な状況において適切な対応がし易くなる。
本実施形態では、図5に示すように、汚水ます40には、汚水が第2流出管路12,12Bから第1流出管路11,11Bに向かって流れることを防ぐ逆流防止弁58が第1流出口53に設けられている。このことによって、汚水が逆流することを防ぐことができるので、災害時に、下水本管20から建物5内の排水設備7,7Bに汚水が流れ込むことを防止することができる。
本実施形態では、図1に示すように、貯留槽70は、建物5の外に配置されており、建物5に対して固定されている。このことによって、地震または津波などの災害時であっても、貯留槽70は建物5と共に動くため、貯留槽70が建物5と独立に配置されている場合と比べて、貯留槽70は破損しにくい。
以上、第1実施形態に係る汚水排出システム1Aについて説明した。しかし、本発明に係る汚水排出システムは、第1実施形態に係る汚水排出システム1Aに限らず、他の種々の形態で実施することができる。次に、他の実施形態について簡単に説明する。なお、以下の説明では、既に説明した構成と同様の構成は同じ符号を付し、その説明は省略することとする。
<第2実施形態>
第1実施形態では、汚水ます40は、排水設備7に接続された第1流出管路11の他端に接続され、汚水ます40Bは、排水設備7Bに接続された第1流出管路11Bの他端に接続されていた。すなわち、汚水排出システム1Aは、複数の汚水ます40,40Bを備えていた。しかし、第2実施形態では、汚水排出システム1Bは、1つの汚水ます40を備えている。
図10は、第2実施形態に係る汚水排出システム1Bの平面図である。図10に示すように、建物5内には、排水設備7,7Bが複数(本実施形態では、4つ)ある。流出管路10は、第1流出管路11,11Bおよび第2流出管路12を備えている。第1流出管路11の上流端は排水設備7に接続され、第1流出管路11の下流端は汚水ます40の流入口52に接続されている。第2流出管路12の上流端は汚水ます40の第1流出口53に接続され、第2流出管路12の下流端は下水本管20に接続されている。また、第1流出管路11Bの上流端は排水設備7Bに接続され、第1流出管路11Bの下流端は第1流出管路11に接続されている。
本実施形態では、排水設備7,7Bから流出した汚水は、汚水ます40に流れる。排水設備7から流出した汚水は、第1流出管路11を通じて汚水ます40に流入する。排水設備7Bから流出した汚水は、第1流出管路11Bおよび第1流出管路11を通じて汚水ます40に流入する。このことによって、災害時に、汚水ます40を切り替えることにより、排水設備7,7Bから流出した汚水を、貯留槽70にまとめて排出することができる。排水設備7,7Bごとに汚水ますを設ける場合に比べて、汚水ますの数を減らすことができる。よって、コストを削減することができる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る汚水排出システム1Cについて説明する。上記各実施形態では、貯留槽70は、建物5の外に配置されていた。しかし、第3実施形態では、貯留槽70は、建物5の床6の下に配置されている。
図11は、第3実施形態に係る汚水排出システム1Cの側面図である。なお、図11において、建物5内の排水設備7および排水設備7に接続された流出管路10などは、1つのみ図示されており、その他の排水設備7および流出管路10などは省略している。本実施形態では、図11に示すように、建物5の床6の下に汚水ます40が吊り下げられて支持されている。そして、汚水ます40の下に、貯留槽70が設けられている。具体的には、汚水ます40の第2流出口54に貯留槽70が接続されている。貯留槽70は、建物5の床6の下に設けられている。本実施形態では、建物5の基礎5Aはいわゆるべた基礎であり、基礎5Aは建物5の全体に渡って設けられている。貯留槽70は、床6の下に配置された基礎5Aの上に設けられている。災害時モードでは、汚水ます40のます本体41内の汚水は、第2流出口54を通じて貯留槽70に落下する。
ただし、第2流出口54は、接続管などを介して間接的に貯留槽70に接続されていてもよい。また、貯留槽70の位置は、汚水ます40の下に限定される訳ではない。例えば、貯留槽70は、汚水ます40の横に配置されていてもよい。
本実施形態によれば、大規模な地震または津波などの災害が発生した場合、地震または津波に起因する外部からの衝撃は建物5によって緩和されるため、貯留槽70は破損しにくくなる。よって、災害時に汚水が外部に漏れ出すことを防ぎやすくなる。
<第4実施形態>
次に、第4実施形態に係る汚水排出システム1Dについて説明する。上記各実施形態では、汚水排出システムは、汚水を貯留する貯留手段として貯留槽を備えていた。しかし、第4実施形態では、汚水を貯留する貯留手段は、上記貯留槽とは異なるものである。
図12は、第4実施形態に係る汚水排出システム1Dの平面図である。図13は、汚水排出システム1Dの正面図である。なお、図13において、建物5内の排水設備7および排水設備7に接続された流出管路10などは、1つのみ図示されており、その他の排水設備7および流出管路10などは省略している。図13に示すように、建物5の床6の下には、複数の区画された空間があり、その空間の1つずつを配管ピット80という。ここでは、配管ピット80は、建物5の基礎5Aによって囲まれている。本実施形態では、貯留手段は、建物5の床6の下に設けられた配管ピット80である。排水設備7からの汚水が流れる汚水ます40と配管ピット80とは、第3流出管路13によって接続されている。排水設備7Bからの汚水が流れる汚水ます40Bと配管ピット80とは、第3流出管路13Bによって接続されている。
災害時モードの際、排水設備7から流出した汚水は、第1流出管路11を通じて汚水ます40に流入する。汚水ます40内に流入した汚水は、第2流出口54から流出し、第3流出管路13を通じて配管ピット80に排出される。排水設備7Bから流出した汚水は、第1流出管路11Bを通じて汚水ます40Bに流入する。汚水ます40B内に流入した汚水は、第2流出口54から流出し、第3流出管路13Bを通じて配管ピット80に排出される。
なお、汚水ます40は、図14に示すように、汚水が貯留される配管ピット80内に設けられていてもよい。この場合、第2流出口54は、配管ピット80に直接繋がっている。
以上のように、本実施形態では、上記各実施形態のように貯留槽を設ける必要がなく、コストの削減となる。配管ピット80を災害時の汚水の貯留手段として有効利用することができる。
<変形例>
上記各実施形態では、汚水を貯留する貯留槽70または配管ピット80は、1つであった。しかし、貯留槽70または配管ピット80の数は複数あってもよい。例えば、汚水ます40,40Bごとに異なる貯留槽70または配管ピット80が汚水ます40,40Bの第2流出口54に接続されていてもよい。また、建物5ごとに異なる貯留槽70または配管ピット80が設けられていてもよいし、排水設備7,7Bの種類ごとに異なる貯留槽70または配管ピット80が設けられていてもよい。また、貯留槽70と配管ピット80とを組み合わせてもよい。
汚水ます40,40Bは、建物5の壁と壁との間に配置されていてもよい。このことによって、災害時、建物5の壁が外部からの衝撃を緩和するため、汚水ます40,40Bを破損しにくくすることができる。
上記各実施形態では、汚水ます40,40Bは、建物5の床6に吊り下げ支持されていた。しかし、建物5の基礎5Aがべた基礎の場合、汚水ます40,40Bは、床6の下に配置された基礎5Aの上に支持されていてもよい。建物5Aの基礎5Aが布基礎の場合、汚水ます40,40Bは、床6の下の地面に支持されていてもよい。
上記各実施形態では、汚水ます40,40Bの点検口51に接続された点検筒56の上端は、床6に配置されていたが、点検筒56の上端は、床6に配置されていなくてもよい。点検筒56の上方の床に、開閉可能な他の蓋が設けられていてもよい。
汚水ます40,40Bは、トイレ室の下に設置されていてもよい。トイレ室には、排尿などの臭いが残っていることが多い。そのため、仮に、汚水ます40,40Bから悪臭が漏れた場合であっても、その悪臭はトイレ室に漏れるため、他の場所(例えば、リビングなど)に漏れた場合と比べて悪臭が気になりにくい。また、汚水ます40,40Bは、普段は人が歩かない場所(例えば、押入れなど)の下に設置されていてもよい。
なお、上記各実施形態では、汚水排出システムは、免震構造を備えていてもよい。例えば、図15に示すように、流出管路10は、免震構造を有する部材として、可撓性を有するフレキシブルジョイント16を備えていてもよい。ここでは、第1流出管路11,11Bと汚水ます40,40Bの流入口52とは、フレキシブルジョイント16を介して接続されている。また、図16に示すように、流出管路10は、免震構造を有する部材として、免震継手17を備えていてもよい。この場合、第1流出管路11,11Bと汚水ます40,40Bとは、免震継手17を介して接続されている。免震継手17は、互いに対向するフランジ17aと、対向するフランジ17aを取り付けるボルト17bとを備えている。対向するフランジ17aの間には、ゴム製のシール部材(図示せず)が設けられていてもよい。
なお、フレキシブルジョイント16または免震継手17は、汚水ます40,40Bの第2流出口54と、第3流出管路13との間に設けられていてもよい。すなわち、第2流出管路54は、免震構造を有する部材であるフレキシブルジョイント16または免震継手17を介して貯留槽70に接続されていてもよい。また、フレキシブルジョイント16または免震継手17は、汚水ます40,40Bの第1流出口53と第2流出管路12,12Bとの間に設けられていてもよいし、第1流出管路11,11Bおよび第2流出管路12,12Bを構成する配管同士の間に設けられていてもよい。フレキシブルジョイント16または免震継手17は、特に、少なくとも第1流出管路11,11Bと流入口52との間、および、第2流出口54と第3流出管路13(貯留槽70)との間に設けられていることが好ましい。このことによって、地震などの災害が発生した場合、流出管路10が破損することを防止することができ、排水設備7,7Bから流出する汚水を確実に貯留槽70に排出することができる。
また、図17に示すように、流出管路10は、免震構造を有する部材として、伸縮継手18を備えていてもよい。この場合、第1流出管路11,11Bを構成する配管同士は、伸縮継手18を介して接続されていてもよい。伸縮継手18の内部に上記配管(典型的には下流側の配管)を嵌め込み、この嵌め込む長さを調節することで伸縮自在としている。また、伸縮継手18は、下流側の配管と接続される端部にリング状のゴム製の緩衝部材が設けられていることが好ましい。このことによって、第1流出管路11,11Bが破損することを好適に防止することができる。また、伸縮継手18は、内部の状態が確認できるように透明な部材で構成されていることが好ましい。このことによって、メンテナンスがより容易になる。なお、第2流出管路12,12Bを構成する配管同士も、伸縮継手18を介して接続されていてもよいし、第3流出管路13を構成する配管同士も、伸縮継手18を介して接続されていてもよい。また、フレキシブルジョイント16、免震継手17、伸縮継手18を組み合わせて配置するように流出管路10を構成してもよい。
また、図18に示すように、吊り下げ部材66,68は、免震構造を有する部材として、ボールジョイント69を備えていてもよい。吊り下げ部材66,68は、ボールジョイント69を介して床6に取り付けられている。ボールジョイント66,68は、吊り下げ部材66,68の上端に設けられたボール69aと、床6の下面に取り付けられ、ボール69aを回転自在に支持する支持部材69bとを備えている。このことによって、地震などの災害が発生した場合、ボールジョイント69によって地震などの衝撃が吸収される。よって、地震などの災害時、第1流出管路11,11B、第2流出管路12,12Bおよび汚水ます40,40Bが破損することを防止することができる。
また、建物5が免震構造を備えていてもよい。この場合の免震構造は、従来公知のものを使用することができる。このことによって、地震または津波などの災害時、建物5の免震構造によって、建物5の外部からの衝撃を和らげることができる。よって、地震などの災害時、第1流出管路11,11B、第2流出管路12,12Bおよび汚水ます40,40Bが破損することを防止することができる。
以上、上記各実施形態のうち何れかの実施形態によれば、汚水ますは、建物の基礎に囲まれている。
建物の基礎に囲まれた部分は、地震等の災害時に、建物の基礎の外部よりも衝撃を受けにくい。このことによって、災害時に汚水ますの破損を生じにくくすることができる。
上記各実施形態のうち何れかの実施形態によれば、点検口には、点検筒が接続されている。汚水ますは、点検筒の上端が建物の床に配置されるように、建物の床下に配置されている。
このことによって、建物の床下のスペースを上記汚水ますの設置スペースとして有効活用することができる。また、床の上にいながら、点検筒に手を挿入して切替手段の位置を変更することが可能となる。そのため、災害時に、流路の切替作業を容易に行うことができる。
上記各実施形態のうち何れかの実施形態によれば、点検口には、点検口を識別するための識別手段が設けられている。
このことによって、作業者が容易に点検口を見付けることができる。
上記各実施形態のうち何れかの実施形態によれば、一端が建物内の他の排水設備に接続され、他端が第1流出管路に接続された他の第1流出管路を備えている。
このことによって、他の排水設備から流出した汚水は、他の第1流出管路を経由して、第1流出管路に流れ込む。よって、災害時に、汚水ますによって流路を切り替えることにより、前記排水設備から流出した汚水および他の排水設備から流出した汚水を、貯留手段にまとめて排出することができる。排水設備ごとに流路切替機能を有する汚水ますを設ける場合に比べて、汚水ますの数を減らすことができる。よって、コストを削減することができる。
上記各実施形態のうち何れかの実施形態によれば、一端が建物内の他の排水設備に接続された他の第1流出管路と、一端が第2流出管路に接続された他の第2流出管路と、他の第1流出管路の他端および他の第2流出管路の他端に接続されると共に貯留手段に接続され、他の第1流出管路から他の第2流出管路に汚水を流す第1の状態と、他の第1流出管路から貯留手段に汚水を流す第2の状態とに切替可能な他の汚水ますと、を備えている。他の汚水ますは建物内に設けられている。
このことによって、排水設備ごとに汚水の流路を切り替えることができる。そのため、状況に応じて、汚水を下水本管に流すか、または、貯留手段に流すかを排水設備ごとに選択することができる。よって、災害時の様々な状況において適切な対応がし易くなる。
上記各実施形態のうち何れかの実施形態によれば、汚水ますには、汚水が第2流出管路から第1流出管路に向かって流れることを防ぐ逆流防止手段が設けられている。
このことによって、汚水が逆流することを防ぐことができるので、災害時に、下水本管から建物内の排水設備に汚水が流れ込むことを防止することができる。
上記各実施形態のうち何れかの実施形態によれば、貯留手段は建物の床下に配置された貯留槽である。
このことによって、大規模な地震または津波などの災害が発生した場合、地震または津波に起因する外部からの衝撃は建物によって緩和されるため、貯留槽は破損しにくくなる。よって、災害時に汚水が外部に漏れ出すことを防ぎやすくなる。
上記各実施形態のうち何れかの実施形態によれば、貯留手段は建物の床下に設けられた配管ピットである。
このことによって、貯留槽を設ける必要がなく、コストの削減となる。配管ピットを災害時の汚水の貯留手段として有効利用することができる。
1A、1B、1C、1D 汚水排出システム
5 建物
5A 基礎
7 排水設備
10 流出管路
11、11B 第1流出管路
12、12B 第2流出管路
20 下水本管
40、40B 汚水ます
41 ます本体
42 蓋体(切替手段)
51 点検口
52 流入口
53 第1流出口
54 第2流出口
58 逆流防止弁(逆流防止手段)
70 貯留槽(貯留手段)
80 配管ピット(貯留手段)
本発明に係る汚水排出システムは、一端が建物内の排水設備に接続された第1流出管路と、一端が下水本管に接続された第2流出管路と、汚水を貯留する貯留手段と、汚水ますと、を備えている。前記汚水ますは、上方に開口する点検口と、前記第1流出管路の他端が接続された流入口と、前記第2流出管路の他端が接続された第1流出口と、前記貯留手段が接続された第2流出口と、を有するます本体と、前記ます本体に設けられ、前記流入口から前記第2流出口へ汚水が流れないように前記流入口と前記第1流出口とを連通させる第1の切替位置と、前記流入口から前記第1流出口へ汚水が流れないように前記流入口と前記第2流出口とを連通させる第2の切替位置との間で位置変更が可能な切替手段と、前記点検口に接続された点検筒と、を有している。前記建物の床には、孔が形成されている。汚水ますは、前記点検筒が前記孔に挿入された状態で前記建物の床配置されている。

Claims (3)

  1. 一端が建物内の排水設備に接続された第1流出管路と、
    一端が下水本管に接続された第2流出管路と、
    汚水を貯留する貯留手段と、
    汚水ますと、を備え、
    前記汚水ますは、
    上方に開口する点検口と、前記第1流出管路の他端が接続された流入口と、前記第2流出管路の他端が接続された第1流出口と、前記貯留手段が接続された第2流出口と、を有するます本体と、
    前記ます本体に設けられ、前記流入口から前記第2流出口へ汚水が流れないように前記流入口と前記第1流出口とを連通させる第1の切替位置と、前記流入口から前記第1流出口へ汚水が流れないように前記流入口と前記第2流出口とを連通させる第2の切替位置との間で位置変更が可能な切替手段と、
    前記点検口に接続された点検筒と、
    を有し、
    前記建物の床には、孔が形成され、
    前記汚水ますは、前記点検筒が前記孔に挿入された状態で前記建物の床に固定されている、汚水排出システム。
  2. 前記第2流出口は、前記ます本体の下部に設けられかつ下方に開口し、
    前記切替手段は、前記前記第2流出口に着脱自在に設けられた蓋体である、請求項1に記載された汚水排出システム。
  3. 前記汚水ますは、前記建物の床に吊り下げ支持されている、請求項1または2に記載された汚水排出システム。
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