JP6192055B2 - 車両用ブレーキシステム - Google Patents

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Description

本発明は、車両用ブレーキシステムに関する。
ホールICを使用したセンサ(ホールセンサ)の検出信号に基づいて電動機の電気角を算出することは、例えば、特許文献1に記載されるように広く実施されている。
また、例えば、特許文献2に記載されるように、電動機の駆動で発生したブレーキ液圧で制動力を発生させる車両用の電動ブレーキ装置(車両用ブレーキシステム)も広く知られている。
特開2000−201461号公報 特開2013−075605号公報
ホールセンサは、電動機の回転子(ロータ)の磁極を検出するとともに、検出した磁極の変化に応じて出力状態が変化する検出信号を出力する。電動機を制御する制御手段(CPU:Central Processing Unitなど)は、ホールセンサから出力される検出信号に基づいて電動機の電気角を算出可能である。
例えば、図2の(a)に示すように、ロータの外周が180度間隔で2極(S極とN極)に着磁され、3つのホールセンサが120度間隔でロータの周囲に配置されている場合、制御手段は60度間隔で電気角を算出可能になる。
電動機の電気角をホールセンサで検出する電動ブレーキ装置は、電動機の電気角をレゾルバで検出する電動ブレーキ装置よりも安価に構成可能になる。
しかしながら、レゾルバは、電動機の電気角を連続的に検出できる。これに対し、ホールセンサは電動機の電気角を断続的(図2の(a)に示す構成では60度間隔)にしか検出できない。したがって、ホールセンサはレゾルバよりも電動機の電気角の検出精度が低い。
特に、処理能力の低い制御手段(駆動周波数が低く、演算速度が低いCPUを有する制御手段)は、ロータの回転速度が高くなるとホールセンサで断続的に検出される電気角を好適に検知できず、電気角の算出精度が低下する。制御手段による電気角の算出精度が低下すると、電動ブレーキ装置で発生するブレーキ液圧の精度が低下する。
このように、ホールセンサで電気角を検出する電動ブレーキ装置は、電動機(ロータ)の回転速度が高くなると、発生するブレーキ液圧の精度が低くなる場合があるという問題がある。
そこで、本発明は、ホールセンサで電気角を検出する電動機を備え、精度よくブレーキ液圧を発生可能な車両用ブレーキシステムを提供することを課題とする。
前記課題を解決するため本発明は、電動機が駆動してブレーキ液圧を発生する液圧発生手段と、前記電動機の電気角を検出する複数のホールセンサと、運転者が操作子を操作する操作量に応じたブレーキ液圧が発生するように前記電動機を制御する制御手段と、を備え、複数の前記ホールセンサは、それぞれが、前記電動機内で回転するロータの磁極を検出して、検出した磁極の変化に応じて出力状態が変化する検出信号を出力する車両用ブレーキシステムとする。そして、前記制御手段は、前記検出信号の出力状態の組み合わせが変化するごとに前記電気角を算出するとともに当該電気角に基づいて前記電動機の回転速度を算出し、算出した前記電動機の回転速度が上限回転速度より高いときに前記電動機が制御可能状態ではないと判定することを特徴とする。
本発明によると、ホールセンサが出力する信号による電気角の算出精度が低下する高速回転域になると、制御手段は電動機が制御可能状態ではないと判定する。換言すると、制御手段は、電気角の算出精度が低下する状態になると電動機が制御可能状態ではないと判定する。したがって、電気角の算出精度が低下した状態での電動機の駆動によるブレーキ液圧の発生を抑制する構成とすることが可能になる。ひいては、制御手段による電気角の算出精度が低下した状態での電動機の駆動で、不正確なブレーキ液圧が発生することが抑制される。
また、前記制御手段は、前記電動機を正転させて前記ブレーキ液圧を上昇させ、前記電動機を逆転させて前記ブレーキ液圧を低下させる。そして、前記制御手段が、前記電動機を正転させるときに当該電動機が制御可能状態ではないと判定するときの前記上限回転速度である正転上限速度と、前記電動機を逆転させるときに当該電動機が制御可能状態ではないと判定するときの前記上限回転速度である逆転上限速度と、が異なっていることを特徴とする。
本発明によると、電動機が正転するときと逆転するときで上限回転速度が異なる。したがって、電動機が正転するときには逆転するときよりも低い回転速度のときに電動機が制御可能状態ではないと制御手段が判定する構成(または、その逆の構成)も可能になる。
例えば、アンチロックブレーキ(ABS)の作動時などに液圧発生手段の下流でブレーキ液圧が変化する構成の場合、ブレーキ液圧の上昇で電動機に抵抗が生じるときには、制御手段が、早い段階で電動機が制御可能状態ではないと判定する構成も可能になる。これによって、上昇したブレーキ液圧が電動機に及ぼす影響を軽減できる。
また、前記制御手段は、車両挙動安定化装置を制御してアンチロックブレーキを作動するとき、アンチロックブレーキの作動状態に応じて前記上限回転速度を設定することを特徴とする。
本発明によると、アンチロックブレーキの作動によってブレーキ液圧が変化する構成であっても、アンチロックブレーキの作動状態(ブレーキ液圧の状態)に応じた好適な上限回転速度が設定される。これによって、アンチロックブレーキの作動で変化するブレーキ液圧による影響が軽減された状態で電動機が駆動され、電動機の負荷が軽減される。
また、前記上限回転速度は、前記検出信号の前記組み合わせが変化する周期が所定の周期以上となる回転速度に設定されることを特徴とする。
本発明によると、電動機が制御可能状態ではないと制御手段が判定するための上限回転速度は、ホールセンサが出力する検出信号が変化する周期に基づいて設定される。したがって、ホールセンサの数や配置に応じて好適な上限回転速度が設定される。
また、前記所定の周期は、前記制御手段が前記検出信号を取り込むサンプリング周期であることを特徴とする。
本発明によると、制御手段が検出信号を取り込むサンプリング周期に基づいて上限回転速度が設定される。したがって、制御手段の性能に応じた好適な上限回転速度が設定される。
また、前記制御手段は、前記電動機が制御可能状態ではないと判定した場合、回転速度が前記上限回転速度以下となるように前記電動機を制御することを特徴とする。
本発明によると、制御手段で制御される電動機は制御可能状態にある。したがって、制御手段は電動機の電気角を精度よく算出可能であり、ひいては、液圧発生手段で発生するブレーキ液圧を精度よく調節可能になる。
本発明によると、ホールセンサで電気角を検出する電動機を備え、精度よくブレーキ液圧を発生可能な車両用ブレーキシステムを提供できる。
車両用ブレーキシステムの概略構成図である。 (a)は電動モータの電気角を検出するホールセンサを示す図、(b)はホールセンサが出力する検出信号を示す図、(c)は制御手段が算出する電気角と実際の電気角を示す図である。 (a)は制御手段のサンプリング周期と信号変動周期の関係を示す図、(b)は信号変動周期がサンプリング周期よりも短くなった状態を示す図である。 電動モータの回転速度が変化する一例を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、車両用ブレーキシステムの概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態の車両用ブレーキシステム10は、入力装置14と、ペダルストロークセンサStと、電動ブレーキアクチュエータ(モータシリンダ装置16)と、車両挙動安定化装置18(以下、VSA(ビークルスタビリティアシスト)装置18という、VSA;登録商標)と、を備えて構成されている。
入力装置14は、運転者によってブレーキペダル12等の操作子が操作されたときにその操作の入力に応じた液圧(ブレーキ液圧)を、作動液であるブレーキ液に発生させる。ペダルストロークセンサStは、ブレーキペダル12が踏み込み操作されたときの操作量(ストローク)を計測する。モータシリンダ装置16は、各車輪(右側前輪WFR,左側後輪WRL,右側後輪WRR,左側前輪WFL)のホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLに供給される作動圧(ブレーキ液圧)を作動液(ブレーキ液)に発生する。VSA装置18は、車両挙動の安定化を支援する。
これらの入力装置14、モータシリンダ装置16、及び、VSA装置18は、例えば、ホースやチューブ等の管材で形成された管路(液圧路)によって接続されている。また、バイ・ワイヤ式のブレーキシステムとして、入力装置14とモータシリンダ装置16とは、図示しないハーネスで電気的に接続されている。
このうち、液圧路について説明すると、図1中(中央やや下)の連結点A1を基準として、入力装置14の接続ポート20aと連結点A1とが第1配管チューブ22aによって接続されている。また、モータシリンダ装置16の出力ポート24aと連結点A1とが第2配管チューブ22bによって接続されている。さらに、VSA装置18の導入ポート26aと連結点A1とが第3配管チューブ22cによって接続されている。
図1中の他の連結点A2を基準として、入力装置14の他の接続ポート20bと連結点A2とが第4配管チューブ22dによって接続されている。また、モータシリンダ装置16の他の出力ポート24bと連結点A2とが第5配管チューブ22eによって接続されている。さらに、VSA装置18の他の導入ポート26bと連結点A2とが第6配管チューブ22fによって接続されている。
VSA装置18には、複数の導出ポート28a〜28dが設けられる。第1導出ポート28aは、第7配管チューブ22gによって右側前輪WFRに設けられたディスクブレーキ機構30aのホィールシリンダ32FRと接続される。第2導出ポート28bは、第8配管チューブ22hによって左側後輪WRLに設けられたディスクブレーキ機構30bのホィールシリンダ32RLと接続される。第3導出ポート28cは、第9配管チューブ22iによって右側後輪WRRに設けられたディスクブレーキ機構30cのホィールシリンダ32RRと接続される。第4導出ポート28dは、第10配管チューブ22jによって左側前輪WFLに設けられたディスクブレーキ機構30dのホィールシリンダ32FLと接続される。
この場合、各導出ポート28a〜28dに接続される配管チューブ22g〜22jによってブレーキ液がディスクブレーキ機構30a〜30dの各ホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLに対して供給される。そして、各ホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FL内のブレーキ液圧が上昇する。これによって、各ホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLが作動し、対応する車輪(右側前輪WFR,左側後輪WRL,右側後輪WRR,左側前輪WFL)との摩擦力が高くなって制動力が付与される。
また、右側前輪WFR、左側後輪WRL、右側後輪WRR、左側前輪WFLのそれぞれには、車輪速を検出する車輪速センサ35a,35b,35c,35dがそれぞれ備わる。各車輪速センサ35a,35b,35c,35dが各車輪の車輪速を計測して発生する計測信号は制御手段150に入力される。
入力装置14は、運転者によるブレーキペダル12の操作によってブレーキ液に液圧(ブレーキ液圧)を発生可能なタンデム式のマスタシリンダ34と、マスタシリンダ34に付設されたリザーバ(第1リザーバ36)とを有する。このマスタシリンダ34のシリンダチューブ38内には、シリンダチューブ38の軸方向に沿って所定間隔離間する2つのピストン(セカンダリピストン40a,プライマリピストン40b)が摺動自在に配設される。セカンダリピストン40aは、ブレーキペダル12に近接して配置され、プッシュロッド42を介してブレーキペダル12と連結される。また、プライマリピストン40bは、セカンダリピストン40aよりもブレーキペダル12から離間して配置される。
また、シリンダチューブ38の内壁には、一対のカップシール44Pa,44Pb、及び、一対のカップシール44Sa,44Sbが装着されている。一対のカップシール44Pa,44Pbはリング状を呈し、プライマリピストン40bの外周に摺接する。一対のカップシール44Sa,44Sbはリング状を呈し、セカンダリピストン40aの外周に摺接する。さらに、セカンダリピストン40aとプライマリピストン40bの間には、ばね部材50aが配設される。プライマリピストン40bとシリンダチューブ38の閉塞端側の側端部38aと間には、他のばね部材50bが配設される。
また、シリンダチューブ38の側端部38aからプライマリピストン40bの摺動方向に沿ってガイドロッド48bが延設され、プライマリピストン40bは、ガイドロッド48bにガイドされて摺動する。
また、プライマリピストン40bのセカンダリピストン40a側の端部からセカンダリピストン40aの摺動方向に沿ってガイドロッド48aが延設され、セカンダリピストン40aは、ガイドロッド48aにガイドされて摺動する。
そして、セカンダリピストン40aとプライマリピストン40bはガイドロッド48aで連結されて直列に配置される。
また、マスタシリンダ34のシリンダチューブ38には、2つのサプライポート(第2サプライポート46a、第1サプライポート46b)と、2つのリリーフポート(第2リリーフポート52a、第1リリーフポート52b)と、2つの出力ポート54a、54bとが設けられる。この場合、第2サプライポート46a、第1サプライポート46b及び第2リリーフポート52a、第1リリーフポート52bは、それぞれ合流して第1リザーバ36内の図示しないリザーバ室と連通するように設けられる。
さらに、セカンダリピストン40aの外周に摺接する一対のカップシール44Sa,44Sbは、セカンダリピストン40aの摺動方向に第2リリーフポート52aを挟んで配置される。また、プライマリピストン40bの外周に摺接する一対のカップシール44Pa,44Pbは、プライマリピストン40bの摺動方向に第1リリーフポート52bを挟んで配置される。
また、マスタシリンダ34のシリンダチューブ38内には、運転者がブレーキペダル12を踏み込む踏力に対応したブレーキ液圧を発生する第2圧力室56a及び第1圧力室56bが設けられる。第2圧力室56aは、第2液圧路58aを介して接続ポート20aと連通するように設けられる。第1圧力室56bは、第1液圧路58bを介して他の接続ポート20bと連通するように設けられる。
第1圧力室56bと第2圧力室56aの間は、一対のカップシール44Pa,44Pbによって液密に封じられる。また、第2圧力室56aのブレーキペダル12側は、一対のカップシール44Sa,44Sbによって液密に封じられる。
第1圧力室56bは、プライマリピストン40bの変位に応じたブレーキ液圧を発生するように構成され、第2圧力室56aは、セカンダリピストン40aの変位に応じたブレーキ液圧を発生するように構成される。
また、セカンダリピストン40aはブレーキペダル12とプッシュロッド42を介して連結され、ブレーキペダル12の動作にともなってシリンダチューブ38内を変位する。さらに、プライマリピストン40bは、セカンダリピストン40aの変位によって第2圧力室56aに発生するブレーキ液圧によって変位する。つまり、プライマリピストン40bはセカンダリピストン40aに応動して変位する。
マスタシリンダ34と接続ポート20aとの間であって、第2液圧路58aの上流側には圧力センサPmが配設される。また、第2液圧路58aの下流側には、ノーマルオープンタイプ(常開型)のソレノイドバルブからなる第2遮断弁60aが設けられる。この圧力センサPmは、第2液圧路58a上において、第2遮断弁60aよりもマスタシリンダ34側である上流側のブレーキ液圧を計測するものである。
マスタシリンダ34と他の接続ポート20bとの間であって、第1液圧路58bの上流側には、ノーマルオープンタイプ(常開型)のソレノイドバルブからなる第1遮断弁60bが設けられる。また、第1液圧路58bの下流側には、圧力センサPpが設けられる。この圧力センサPpは、第1液圧路58b上において、第1遮断弁60bよりもホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FL側である下流側のブレーキ液圧を計測するものである。
この第2遮断弁60a及び第1遮断弁60bにおけるノーマルオープンとは、ノーマル位置(通電されていないときの弁体の位置)が開位置の状態(常時開)となるように構成されたバルブをいう。なお、図1において、第2遮断弁60a及び第1遮断弁60bは、ソレノイドが通電されて、図示しない弁体が作動した閉弁状態をそれぞれ示している。
マスタシリンダ34と第1遮断弁60bとの間の第1液圧路58bには、第1液圧路58bから分岐する分岐液圧路58cが設けられる。分岐液圧路58cには、ノーマルクローズタイプ(常閉型)のソレノイドバルブからなる第3遮断弁62と、ストロークシミュレータ64とが直列に接続される。この第3遮断弁62におけるノーマルクローズとは、ノーマル位置(通電されていないときの弁体の位置)が閉位置の状態(常時閉)となるように構成されたバルブをいう。なお、図1において、第3遮断弁62は、ソレノイドが通電されて、図示しない弁体が作動した開弁状態を示している。
このストロークシミュレータ64は、バイ・ワイヤ制御時に、ブレーキペダル12の踏み込み操作に対してストロークと反力を与えて、あたかも踏力によって制動力が発生しているかのように運転者に思わせる装置である。ストロークシミュレータ64は、第1液圧路58b上であって、第1遮断弁60bよりもマスタシリンダ34側に配置されている。ストロークシミュレータ64には、分岐液圧路58cに連通する液圧室65が設けられている。マスタシリンダ34の第1圧力室56bから導出されるブレーキ液は分岐液圧路58cを介して液圧室65に導入される。
また、ストロークシミュレータ64は、第1リターンスプリング66aと、第2リターンスプリング66bと、シミュレータピストン68とを備える。
第1リターンスプリング66aと第2リターンスプリング66bは、互いに直列に配置されている。第1リターンスプリング66aのばね定数は第2リターンスプリング66bのばね定数よりも高い。シミュレータピストン68は、第1及び第2リターンスプリング66a,66bによって付勢される。そして、ストロークシミュレータ64は、ブレーキペダル12の踏み込み前期時にペダル反力の増加勾配を低く設定し、踏み込み後期時にペダル反力を高く設定する。これによって、ブレーキペダル12のペダルフィーリングが、既存のマスタシリンダ34を踏み込み操作したときのペダルフィーリングと同等になる。
つまり、ストロークシミュレータ64は、第1圧力室56bから導出されるブレーキ液圧に応じた反力を発生し、この反力をマスタシリンダ34を介してブレーキペダル12に与えるように構成される。
液圧路は、大別すると、マスタシリンダ34の第2圧力室56aと複数のホィールシリンダ32FR,32RLとを接続する第2液圧系統70aと、マスタシリンダ34の第1圧力室56bと複数のホィールシリンダ32RR、32FLとを接続する第1液圧系統70bとから構成される。
第2液圧系統70aは、入力装置14の第2液圧路58aと、配管チューブ22a,22b,22c,22g,22hとによって構成される。
第1液圧系統70bは、入力装置14の第1液圧路58bと、配管チューブ22d,22e,22f,22i,22jとによって構成される。
モータシリンダ装置16は、電動機(電動モータ72)と、アクチュエータ機構74と、アクチュエータ機構74によって付勢されるシリンダ機構76と、を有し、本実施形態では液圧発生手段として機能する。
アクチュエータ機構74は、電動モータ72の出力軸72b側に設けられ、ギヤ機構(減速機構)78とボールねじ構造体80とを有する。ギヤ機構78は、複数のギヤが噛合して電動モータ72の回転駆動力を伝達する。ボールねじ構造体80は、ギヤ機構78を介して回転駆動力が伝達されることで軸方向に沿って進退動作するボールねじ軸80a及びボール80bを含む。
本実施形態においてボールねじ構造体80は、ギヤ機構78とともにアクチュエータハウジング172の機構収納部173aに収納される。
シリンダ機構76は、略円筒状のシリンダ本体82と、シリンダ本体82に付設された第2リザーバ84とを有する。第2リザーバ84は、入力装置14のマスタシリンダ34に付設された第1リザーバ36と配管チューブ86で接続され、第1リザーバ36内に貯留されたブレーキ液が配管チューブ86を介して第2リザーバ84内に供給されるように設けられる。なお、配管チューブ86に、ブレーキ液を貯留するタンクが備わっていてもよい。
そして、略円筒状を呈するシリンダ本体82の開放された端部(開放端)がハウジング本体172Fとハウジングカバー172Rからなるアクチュエータハウジング172に嵌合してシリンダ本体82とアクチュエータハウジング172が連結され、モータシリンダ装置16が構成される。
シリンダ本体82内には、シリンダ本体82の軸方向に沿って所定間隔離間する第2スレーブピストン88a及び第1スレーブピストン88bが摺動自在に配設される。第2スレーブピストン88aは、ボールねじ構造体80側に近接して配置され、ボールねじ軸80aの一端部に当接してボールねじ軸80aと一体的に矢印X1又はX2方向に変位する。また、第1スレーブピストン88bは、第2スレーブピストン88aよりもボールねじ構造体80側から離間して配置される。
以下、X1の側を前方、X2の側を後方とする。
また、本実施形態における電動モータ72は、シリンダ本体82と別体に形成されるモータケーシング72aで覆われて構成される。電動モータ72は、出力軸72bが第2スレーブピストン88a及び第1スレーブピストン88bの摺動方向(軸方向)と略平行になるように配置される。
そして、出力軸72bの回転駆動がギヤ機構78を介してボールねじ構造体80に伝達されるように構成される。
ギヤ機構78は、例えば、第1ギヤ78aと、第3ギヤ78cと、第2ギヤ78bと、の3つのギヤで構成される。第1ギヤ78aは、電動モータ72の出力軸72bに取り付けられる。第3ギヤ78cは、ボールねじ軸80aを軸方向に進退動作させるボール80bをボールねじ軸80aの軸線を中心に回転させる。第3ギヤ78cはボールねじ軸80aの軸線を中心に回転する。第2ギヤ78bは、第1ギヤ78aの回転を第3ギヤ78cに伝達する。
本実施形態におけるアクチュエータ機構74は、前記した構造によって、電動モータ72の出力軸72bの回転駆動力をボールねじ軸80aの進退駆動力(直線駆動力)に変換する。
第1スレーブピストン88bの外周面には、環状段部を介して、一対のスレーブカップシール90a,90bがそれぞれ装着される。一対のスレーブカップシール90a,90bの間には、後記するリザーバポート92bと連通する第1背室94bが形成される。
なお、第2及び第1スレーブピストン88a,88bの間には、第2リターンスプリング96aが配設され、第1スレーブピストン88bとシリンダ本体82の側端部と間には、第1リターンスプリング96bが配設される。
また、第2スレーブピストン88aの外周面と機構収納部173aとの間を液密にシールするとともに、第2スレーブピストン88aをその軸方向に対して移動可能にガイドする環状のガイドピストン90cが、第2スレーブピストン88aの後方に備わっている。ガイドピストン90cはシール部材として機能し、シリンダ本体82を閉塞する。第2スレーブピストン88aが貫通するガイドピストン90cの内周面には、図示しないスレーブカップシールが装着される。このスレーブカップシールによって、第2スレーブピストン88aとガイドピストン90cの間が液密に構成されることが好ましい。さらに、第2スレーブピストン88aの前方の外周面には、環状段部を介して、スレーブカップシール90bが装着される。
この構成によって、シリンダ本体82の内部に充填されるブレーキ液がガイドピストン90cによってシリンダ本体82に封入され、アクチュエータハウジング172の側に流れ込まないように構成されている。
なお、ガイドピストン90cとスレーブカップシール90bの間には、後記するリザーバポート92aと連通する第2背室94aが形成される。
シリンダ機構76のシリンダ本体82には、2つのリザーバポート92a,92bと、2つの出力ポート24a,24bとが設けられる。この場合、リザーバポート92a(92b)は、第2リザーバ84内の図示しないリザーバ室と連通するように設けられる。
また、シリンダ本体82内には、第2液圧室98aと、第1液圧室98bが設けられる。第2液圧室98aは、出力ポート24aからホィールシリンダ32FR,32RL側へ出力されるブレーキ液圧を制御する。第1液圧室98bは、他の出力ポート24bからホィールシリンダ32RR,32FL側へ出力されるブレーキ液圧を制御する。
この構成によると、ブレーキ液が封入される第2背室94a、第1背室94b、第2液圧室98a、及び第1液圧室98bは、シリンダ本体82におけるブレーキ液の封入部であり、シール部材として機能するガイドピストン90cによって、アクチュエータハウジング172の機構収納部173aと液密(気密)に区画される。
なお、ガイドピストン90cがシリンダ本体82に取り付けられる方法は限定するものではなく、例えば、図示しないサークリップで取り付けられる構成とすればよい。
第2スレーブピストン88aと第1スレーブピストン88bとの間には、規制手段100が設けられる。規制手段100は、第2スレーブピストン88aと第1スレーブピストン88bの最大ストローク(最大変位距離)と最小ストローク(最小変位距離)とを規制する。さらに、第1スレーブピストン88bには、ストッパピン102が設けられる。ストッパピン102は、第1スレーブピストン88bの摺動範囲を規制して、第2スレーブピストン88a側へのオーバーリターンを阻止する。これによって、特にマスタシリンダ34で制動するバックアップ時において、1つの系統が失陥したときに、他の系統の失陥が防止される。
VSA装置18は、公知のものからなり、第2ブレーキ系110aと、第1ブレーキ系110bとを有する。第2ブレーキ系110aは、右側前輪WFR及び左側後輪WRLのディスクブレーキ機構30a,30b(ホィールシリンダ32FR,32RL)に接続された第2液圧系統70aを制御する。第1ブレーキ系110bは、右側後輪WRR及び左側前輪WFLのディスクブレーキ機構30c、30d(ホィールシリンダ32RR,32FL)に接続された第1液圧系統70bを制御する。なお、第2ブレーキ系110aは、左側前輪WFL及び右側前輪WFRに設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統からなり、第1ブレーキ系110bは、右側後輪WRR及び左側後輪WRLに設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統であってもよい。さらに、第2ブレーキ系110aは、車体片側の右側前輪WFR及び右側後輪WRRに設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統からなり、第1ブレーキ系110bは、車体片側の左側前輪WFL及び左側後輪WRLに設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統であってもよい。
この第2ブレーキ系110a及び第1ブレーキ系110bは、それぞれ同一構造からなる。そこで、第2ブレーキ系110aと第1ブレーキ系110bで対応するものには同一の参照符号を付している。また、第2ブレーキ系110aの説明を中心にして、第1ブレーキ系110bの説明を括弧書きで付記する。
第2ブレーキ系110a(第1ブレーキ系110b)は、ホィールシリンダ32FR,32RL(32RR,32FL)に対して、共通する管路(第1共通液圧路112及び第2共通液圧路114)を有する。このうち、第1共通液圧路112は、ホィールシリンダ32FR,32RL(32RR,32FL)にブレーキ液圧を供給する供給路となる。
VSA装置18は、レギュレータバルブ116と、第1チェックバルブ118と、第1インバルブ120と、第2チェックバルブ122と、第2インバルブ124と、第3チェックバルブ126とを備える。
レギュレータバルブ116は、導入ポート26a(26b)と第1共通液圧路112との間に配置されたノーマルオープンタイプのソレノイドバルブからなる。第1チェックバルブ118は、レギュレータバルブ116と並列に配置され導入ポート26a(26b)側から第1共通液圧路112側へのブレーキ液の流通を許容する(第1共通液圧路112側から導入ポート26a(26b)側へのブレーキ液の流通を阻止する)。第1インバルブ120は、第1共通液圧路112と第1導出ポート28a(第4導出ポート28d)との間に配置されたノーマルオープンタイプのソレノイドバルブからなる。第2チェックバルブ122は、第1インバルブ120と並列に配置され第1導出ポート28a(第4導出ポート28d)側から第1共通液圧路112側へのブレーキ液の流通を許容する(第1共通液圧路112側から第1導出ポート28a(第4導出ポート28d)側へのブレーキ液の流通を阻止する)。第2インバルブ124は、第1共通液圧路112と第2導出ポート28b(第3導出ポート28c)との間に配置されたノーマルオープンタイプのソレノイドバルブからなる。第3チェックバルブ126は、第2インバルブ124と並列に配置され第2導出ポート28b(第3導出ポート28c)側から第1共通液圧路112側へのブレーキ液の流通を許容する(第1共通液圧路112側から第2導出ポート28b(第3導出ポート28c)側へのブレーキ液の流通を阻止する)。
なお、本実施形態のVSA装置18には圧力センサP1が備わる。圧力センサP1は、第1共通液圧路112におけるブレーキ液圧を計測する。圧力センサP1で計測された計測信号は、制御手段150に入力される。
第1インバルブ120及び第2インバルブ124は、ホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLに、ブレーキ液圧を供給する管路(第1共通液圧路112)を開閉する開閉手段である。そして、第1インバルブ120が閉弁すると、ホィールシリンダ32FR,32FLへの第1共通液圧路112からのブレーキ液圧の供給が遮断される。また、第2インバルブ124が閉弁すると、ホィールシリンダ32RR,32RLへの第1共通液圧路112からのブレーキ液圧の供給が遮断される。
さらに、VSA装置18は、第1アウトバルブ128と、第2アウトバルブ130と、リザーバ装置132と、第4チェックバルブ134と、ポンプ136と、吸入弁138及び吐出弁140と、モータMと、サクションバルブ142とを備える。
第1アウトバルブ128は、第1導出ポート28a(第4導出ポート28d)と第2共通液圧路114との間に配置されたノーマルクローズタイプのソレノイドバルブからなる。第2アウトバルブ130は、第2導出ポート28b(第3導出ポート28c)と第2共通液圧路114との間に配置されたノーマルクローズタイプのソレノイドバルブからなる。リザーバ装置132は、第2共通液圧路114に接続される。第4チェックバルブ134は、第1共通液圧路112と第2共通液圧路114との間に配置されて第2共通液圧路114側から第1共通液圧路112側へのブレーキ液の流通を許容する(第1共通液圧路112側から第2共通液圧路114側へのブレーキ液の流通を阻止する)。ポンプ136は、第4チェックバルブ134と第1共通液圧路112との間に配置されて第2共通液圧路114側から第1共通液圧路112側へブレーキ液を供給する。吸入弁138及び吐出弁140は、ポンプ136の前後に設けられる。モータMはポンプ136を駆動する。サクションバルブ142は、第2共通液圧路114と導入ポート26a(26b)との間に配置されたノーマルクローズタイプのソレノイドバルブからなる。
なお、第2ブレーキ系110aにおいて、導入ポート26aに近接する管路(液圧路)上には、圧力センサPhが設けられる。圧力センサPhは、モータシリンダ装置16の出力ポート24aから出力され、モータシリンダ装置16の第2液圧室98aで制御されたブレーキ液圧を計測する。各圧力センサPm、Pp、Phで計測された計測信号は、制御手段150に入力される。また、VSA装置18では、VSA制御のほか、ABS(アンチロックブレーキシステム)も制御可能である。
さらに、VSA装置18に代えて、ABS機能のみを搭載するABS装置が接続される構成であってもよい。
本実施形態に係る車両用ブレーキシステム10は、基本的に以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について説明する。
車両用ブレーキシステム10が正常に機能する正常時には、ノーマルオープンタイプのソレノイドバルブからなる第2遮断弁60a及び第1遮断弁60bが励磁されて弁閉状態となる。また、ノーマルクローズタイプのソレノイドバルブからなる第3遮断弁62が励磁されて弁開状態となる。従って、第2遮断弁60a及び第1遮断弁60bによって第2液圧系統70a及び第1液圧系統70bが遮断されている。このため、入力装置14のマスタシリンダ34で発生したブレーキ液圧がディスクブレーキ機構30a〜30dのホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLに伝達されることはない。
このとき、マスタシリンダ34の第1圧力室56bで発生したブレーキ液圧は、分岐液圧路58c及び弁開状態にある第3遮断弁62を経由してストロークシミュレータ64の液圧室65に供給される。この液圧室65に供給されたブレーキ液圧によってシミュレータピストン68が第1及び第2リターンスプリング66a,66bのばね力に抗して変位することにより、ブレーキペダル12のストロークが許容される。さらに、擬似的なペダル反力を発生させてブレーキペダル12に付与される。この結果、運転者にとって違和感のないブレーキフィーリングが得られる。
このようなシステム状態において、制御手段150は、運転者によるブレーキペダル12の踏み込みを検出すると制動時と判定する。そして制御手段150は、モータシリンダ装置16の電動モータ72を駆動させてアクチュエータ機構74を付勢し、第2リターンスプリング96a及び第1リターンスプリング96bのばね力に抗して第2スレーブピストン88a及び第1スレーブピストン88bを図1中の矢印X1方向に向かって変位させる。この第2スレーブピストン88a及び第1スレーブピストン88bの変位によって第2液圧室98a及び第1液圧室98b内のブレーキ液がバランスするように加圧されて所望のブレーキ液圧が発生する。
具体的に、制御手段150は、ペダルストロークセンサStの計測値に応じてブレーキペダル12の踏み込み操作量(以下、適宜「ブレーキ操作量」と称する)を算出する。そして制御手段150は、算出したブレーキ操作量に基づいて、回生制動力を考慮した上で目標となるブレーキ液圧を設定し、設定したブレーキ液圧をモータシリンダ装置16に発生させる。
本実施形態の制御手段150は、例えば、いずれも図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成されるマイクロコンピュータ及び周辺機器からなる。そして、制御手段150は、あらかじめROMに記憶されているプログラムをCPUで実行し、車両用ブレーキシステム10を制御するように構成される。
また、本実施形態における電気信号は、例えば、電動モータ72を駆動する電力や電動モータ72を制御するための制御信号である。
また、ブレーキペダル12の踏み込み操作量(ブレーキ操作量)を計測する操作量計測手段はペダルストロークセンサStに限定されるものではなく、ブレーキペダル12の踏み込み操作量を計測可能なセンサであればよい。例えば、操作量計測手段を圧力センサPmとして、圧力センサPmが計測するブレーキ液圧をブレーキペダル12の踏み込み操作量に変換する構成であってもよいし、図示しない踏力センサによってブレーキペダル12の踏み込み操作量(ブレーキ操作量)を計測する構成であってもよい。
モータシリンダ装置16における第2液圧室98a及び第1液圧室98bのブレーキ液圧は、VSA装置18の弁開状態にある第1、第2インバルブ120,124を介してディスクブレーキ機構30a〜30dのホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLに伝達される。このブレーキ液圧でホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLが作動する。このようにホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLが作動することによって各車輪(右側前輪WFR,左側後輪WRL,右側後輪WRR,左側前輪WFL)に所望の制動力が付与される。
換言すると、本実施形態に係る車両用ブレーキシステム10では、動力液圧源として機能するモータシリンダ装置16やバイ・ワイヤ制御する制御手段150等が作動可能な正常時において、運転者がブレーキペダル12を踏むことでブレーキ液圧を発生するマスタシリンダ34と各車輪を制動するディスクブレーキ機構30a〜30d(ホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FL)との連通が第2遮断弁60a及び第1遮断弁60bで遮断される。この状態で、モータシリンダ装置16が発生するブレーキ液圧でディスクブレーキ機構30a〜30dを作動させるという、いわゆるブレーキ・バイ・ワイヤ方式のブレーキシステムがアクティブになる。
一方、モータシリンダ装置16等が作動不能となる異常時では、第2遮断弁60a及び第1遮断弁60bをそれぞれ弁開状態、第3遮断弁62を弁閉状態としマスタシリンダ34で発生するブレーキ液圧をディスクブレーキ機構30a〜30d(ホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FL)に伝達し、ディスクブレーキ機構30a〜30d(ホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FL)を作動させるという、いわゆる旧来の液圧式のブレーキシステムがアクティブになる。
図2の(a)は電動モータの電気角を検出するホールセンサを示す図、(b)はホールセンサが出力する検出信号を示す図、(c)は制御手段が算出する電気角と実際の電気角を示す図である。なお、図2の(c)は縦軸が電気角θを示し、横軸が時間Tを示す。また、実線は制御手段が算出する電気角θの算出値θcalを示し、破線は電気角θの実際の値(実電気角θreal)を示す。
本実施形態の車両用ブレーキシステム10(図1参照)において、モータシリンダ装置16に備わる電動モータ72(図1参照)には、図2の(a)に示すように、3つのホールセンサ701U,701V,701Wが備わっている。各ホールセンサの検出信号は、制御手段150に入力される。制御手段150は各ホールセンサから入力される検出信号に基づいて、図2の(c)に示すように、電動モータ72の電気角θの算出値θcalを算出する。さらに、制御手段150は、電気角θ(算出値θcal)に基づいて、ボールねじ構造体80(図1参照)の動作量(ボールねじ軸80aの変位量)を算出する。
そして制御手段150は、電気角θから算出されるボールねじ軸80aの変位量に基づいて電動モータ72を制御し、ブレーキペダル12の踏み込み操作量(ブレーキ操作量)に応じたブレーキ液圧をモータシリンダ装置16に発生させる。
前記したように、制御手段150は、ペダルストロークセンサStの計測値に応じてブレーキ操作量を算出し、このブレーキ操作量に基づいて設定するブレーキ液圧をモータシリンダ装置16に発生させる。このとき制御手段150は、発生させるブレーキ液圧に対応した変位量だけ、第2スレーブピストン88a及び第1スレーブピストン88bが変位したか否か(つまり、ボールねじ軸80aが変位したか否か)を、電気角θで判定する。そして、制御手段150は、この判定に基づいて電動モータ72を制御(フィードバック制御)する。
また、制御手段150は、算出した電気角θに基づいて電動モータ72の回転速度を算出する。例えば制御手段150は、電気角θが所定角度(例えば60度)変化するのに要する時間を計測し、計測した時間で所定角度を除して電動モータ72の回転速度(deg/sec)を算出する。そして、制御手段150は、所定の回転速度を超えないように電動モータ72を制御する。
このように、制御手段150は、電気角θに基づいて電動モータ72を制御する。
図2の(a)に示すように、電動モータ72には、内部で回転するロータ702が備わっている。ロータ702は、出力軸72b(図1参照)を回転させる。このようなロータ702の周囲に120度間隔で3つのホールセンサ701U,701V,701Wが配置される。ロータ702は、軸線を含む1平面で区分される一方がN極に着磁され、他方がS極に着磁されている。つまり、ロータ702は外周が180度間隔で2極(S極とN極)に着磁される。そして、3つのホールセンサ701U,701V,701Wが120度間隔でロータ702の周囲に配置されている。
ホールセンサ701U,701V,701Wは、ロータ702の回転によって変化する磁極(N極とS極の変化)を検出して検出信号を出力する。
1つのホールセンサが検出する磁極は、ロータ702が180度回転するごとに変化する。このため、1つのホールセンサが出力する検出信号は、図2の(b)に示すように、ロータ702が180度回転するごとに出力波形が変化する矩形波になる。
ホールセンサ701U,701V,701Wが120度間隔で配置される場合、各ホールセンサが出力する検出信号の出力波形は位相が120度ずれる。
図2の(b)に示すように、ホールセンサ701Uが出力する検出信号(Sig_U)の変化に対し、ホールセンサ701Vが出力する検出信号(Sig_V)は位相が120度遅れて変化する。また、ホールセンサ701Wが出力する検出信号(Sig_W)は位相がさらに120度遅れて変化する。
制御手段150は、3つのホールセンサ701U,701V,701Wが出力する検出信号(Sig_U,Sig_V,Sig_W)の出力状態(ハイレベル,ローレベル)の組み合わせに基づいて、図2の(c)に階段状の実線で示すように、電気角θの算出値θcalを算出する。
なお、図2の(b)に示す検出信号(Sig_U,Sig_V,Sig_W)は、ハイレベルがN極の検出信号、ローレベルがS極の検出信号を示す一例であるが、検出信号の出力状態は限定されない。
図2の(b)に示すように、3つの検出信号(Sig_U,Sig_V,Sig_W)は、120度の位相差で出力状態(ローレベル,ハイレベル)が変化する。したがって、3つの検出信号の出力状態の組み合わせは60度ごとに変化する。このため、ロータ702が60度回転する間は、3つの検出信号の出力状態の組み合わせが変化せず、制御手段150は、電気角θの変化を検出できない。以下、3つの検出信号の出力状態の組み合わせが変化する時点を変化点Pとする。図2の(b)に示す0度,60度,・・・,360度は、3つの検出信号の出力状態の組み合わせが変化する変化点Pになる。
例えば、図2の(a),(b)に示すように、ホールセンサ701Uが「N極」を検出した瞬間を電気角θが0度の状態とする。このとき、ホールセンサ701Vは「S極」を検出し、ホールセンサ701Wは「N極」を検出する。この状態は、ホールセンサ701Wが「S極」を検出するまで継続される。つまり、この状態は、ロータ702が60度回転するまで継続される。そこで、制御手段150は、ホールセンサ701Uが「N極」を検出した瞬間、つまり、制御手段150は、検出信号Sig_Uがハイレベルになった時点で、電気角θの算出値θcalを30度と算出する。このように、制御手段150は、0度の電気角θを30度として算出する。すると、ロータ702が0度から60度回転する間、つまり、実際の電気角θの値(実電気角θreal)が0度から60度まで変化する間の算出値θcalが30度になる。そして、この間の最大誤差が30度になる。
このように、制御手段150は、実電気角θrealと、算出値θcalの最大誤差が30度となるように、算出値θcalを算出し、算出値θcalを電気角θの検出値とする。
検出信号(Sig_U,Sig_V,Sig_W)の出力状態は、ホールセンサ701U,701V,701Wが検出するロータ702の磁極の変化に応じて変化する。したがって、変化点Pは、ホールセンサ701U,701V,701Wが検出する磁極の組み合わせが変化する点である。また、制御手段150は、ホールセンサ701U,701V,701Wが検出する磁極の組み合わせが変化するごとに算出値θcalを算出して電気角θを検出する。
図2の(c)に破線で示すように実電気角θrealが変化する場合、制御手段150が算出する算出値θcalは、実線で示すように、最大で30度の誤差を生じながら階段状に変化する。つまり、制御手段150は、ホールセンサ701U,701V,701Wが検出する磁極の組み合わせが変化するごとに、誤差の最大が30度となるように電気角θの算出値θcalを算出する。
しかしながら、電動モータ72(図2の(a)に示すロータ702)の回転速度が高くなると、ホールセンサ701U,701V,701Wが検出する磁極の組み合わせが変化する周期が短くなる。つまり、ホールセンサ701U,701V,701Wが出力する検出信号(Sig_U,Sig_V,Sig_W)の組み合わせが変化する周期(信号変動周期Δtb)が短くなる。そして、信号変動周期Δtbが短くなると、制御手段150(図1参照)による電気角θの算出精度が低下する。
図3の(a)は制御手段のサンプリング周期と信号変動周期の関係を示す図、(b)は信号変動周期がサンプリング周期よりも短くなった状態を示す図である。なお、図3の(a),(b)では、制御手段のサンプリング周期を黒丸付き実線で示し、検出信号の組み合わせが変化する変化点Pを破線で示している。そして、破線と破線の間隔(変化点Pと変化点Pの間隔)が信号変動周期Δtbになる。
図3の(a)に示すように、制御手段150がホールセンサ701U,701V,701Wの検出信号(Sig_U,Sig_V,Sig_W)を取り込むサンプリング周期をΔtaとする。検出信号(Sig_U,Sig_V,Sig_W)の組み合わせが変化する信号変動周期Δtbがサンプリング周期Δta以上の場合、制御手段150は検出信号の組み合わせを全て取得できる(図3の(a)には、信号変動周期Δtbがサンプリング周期Δtaと等しい状態が一例として図示されている)。
つまり、検出信号の組み合わせが変化してから、次に変化するまでの間(変化点Pから次の変化点Pまでの間)に制御手段150は少なくとも一回は検出信号の組み合わせを取得できる。
これによって、制御手段150は、電動モータ72の電気角θを60度間隔で精度よく算出できる。
電動モータ72の回転速度が高くなると、図3の(b)に示すように、信号変動周期Δtbがサンプリング周期Δtaより短くなる。
例えば、図3の(b)に示す一例では、制御手段150(図1参照)が、時刻St1に検出信号を取り込んでから、次に検出信号を取り込む時刻St2までの間に検出信号の組み合わせが4回変化している。
このように、信号変動周期Δtbがサンプリング周期Δtaより短くなると、制御手段150は、時刻St1から時刻St2までの間で全ての検出信号の組み合わせを取得できない。このため、制御手段150による電動モータ72(図1参照)の電気角θの算出精度が低下する場合がある。
一例として、制御手段150(図1参照)のサンプリング周期Δtaの間に、ロータ702(図2の(a)参照)が約1回転するような場合、制御手段150が検出信号の同じ組み合わせを2回連続して取得することがある。このような場合、制御手段150は、サンプリング周期Δtaの間で電気角θが変化せず、電動モータ72が停止していると判定する。つまり、電動モータ72が駆動して電気角θが変化しているにもかかわらず、電動モータ72が停止している(電気角θが変化しない)と制御手段150が判定する場合がある。このように、制御手段150による電動モータ72の電気角θの算出精度が低下する場合がある。
因みに、ロータ702(図2の(a)参照)の回転速度が遅い場合にも、制御手段150が検出信号の同じ組み合わせを2回以上連続して取得することがある。しかしながら、ロータ702の回転速度が遅い場合に電動モータ72が停止していると制御手段150が判定してもその影響は小さい。
そして、このような高速回転域で電動モータ72が駆動しているときに、制御手段150によって電動モータ72が停止していると判定されると、モータシリンダ装置16(図1参照)でのブレーキ液圧の発生に影響が生じる。つまり、好適なブレーキ液圧がモータシリンダ装置16で発生しない状態になる。
また、制御手段150による電気角θの算出精度が低下すると、制御手段150による電動モータ72の回転速度の算出精度も低下する。このため、制御手段150が電動モータ72を好適に制御できなくなる場合もある。
そこで、本実施形態の制御手段150は、電動モータ72の回転速度が高くなったとき、電動モータ72の電気角θを精度よく算出できない状態になったとして、電動モータ72が制御可能状態ではないと判定する。
例えば、制御手段150のサンプリング周期Δtaよりも短い周期で検出信号(Sig_U,Sig_V,Sig_W)の組み合わせが変化するような高速回転域で電動モータ72が駆動する状態になったとき、制御手段150は電動モータ72が制御可能状態ではないと判定する。
本実施形態では、電動モータ72の回転速度が所定の上限値(上限回転速度)を超えたとき、制御手段150は電動モータ72の電気角θを精度よく算出できないと判定する(電動モータ72が制御可能状態ではないと判定する)。上限回転速度は、信号変動周期Δtbがサンプリング周期Δta以上となる回転速度に設定される。例えば、上限回転速度は、信号変動周期Δtbがサンプリング周期Δtaと等しくなる回転速度に設定される。
なお、図1に示す電動モータ72は、正転側と逆転側の2方向に回転する。本実施形態では、モータシリンダ装置16のボールねじ軸80aをX1方向に移動させてブレーキ液圧を上昇させる方向(加圧方向)への回転を「正転」とする。また、ボールねじ軸80aをX2方向に移動させてブレーキ液圧を低下させる方向(減圧方向)への回転を「逆転」とする。そして、制御手段150は、電動モータ72が正転側と逆転側のいずれに回転する場合でも、回転速度が上限回転速度を超えたと判定したときに電動モータ72が制御可能状態ではないと判定する。
本実施形態の制御手段150は、電動モータ72の回転速度が上限回転速度以上と判定した場合(電動モータ72が制御可能状態ではないと判定した場合)、さらなる回転速度の上昇を抑制する。たとえば、制御手段150は、上限回転速度となる回転速度(又は、それ以下の回転速度)で電動モータ72を駆動する。
このような構成によって、電気角θが精度よく算出されない高速回転域での電動モータ72の駆動(正転と逆転)が抑制される。そして、好適なブレーキ液圧がモータシリンダ装置16で発生する状態が維持される。
図4は、電動モータの回転速度が変化する一例を示す図である。なお、図4は、上方に向かうプラス側(+)が正転側を示し、下方に向かうマイナス側(−)が逆転側を示す。
図4に示すように、時刻t1でブレーキペダル12(図1参照)が踏み込み操作されると、制御手段150(図1参照)は、電動モータ72(図1参照)を正転させて回転速度を上昇させる。これによって、モータシリンダ装置16(図1参照)でブレーキ液圧が発生する。さらに、制御手段150は、ホールセンサ701U,701V,701W(図2の(a)参照)から入力される検出信号(Sig_U,Sig_V,Sig_W)に基づいて電動モータ72の電気角θを算出してモータシリンダ装置16(図1参照)で好適なブレーキ液圧を発生させる。
時刻t2で所定のブレーキ液圧が発生すると(電動モータ72の電気角θが所定値になると)制御手段150(図1参照)は電動モータ72(図1参照)を停止させる。電動モータ72の回転速度が低下して時刻t3でゼロになる。
時刻t4でブレーキペダル12(図1参照)が解放されると(踏み込み操作量がゼロになると)、制御手段150は、電動モータ72を逆転させて回転速度を上昇させる。これによって、モータシリンダ装置16(図1参照)で発生しているブレーキ液圧が低下する。そして、時刻t5でブレーキ液圧がゼロになると、制御手段150は電動モータ72を停止させる。電動モータ72の回転速度は低下して時刻t6でゼロになる。
例えば、時刻t7でブレーキペダル12(図1参照)が急速に踏み込み操作されると、制御手段150(図1参照)は、電動モータ72(図1参照)を正転させて回転速度を急速に上昇させる。このときに、時刻t7’で電動モータ72の回転速度が所定の上限回転速度(正転上限速度F_Lmt)に達すると、制御手段150は正転上限速度F_Lmtで電動モータ72を回転させる。正転上限速度F_Lmtは、信号変動周期Δtbがサンプリング周期Δta以上となる回転速度とする。このような正転上限速度F_Lmtは、あらかじめ設定されていることが好ましい。
時刻t8で所定のブレーキ液圧が発生すると制御手段150(図1参照)は電動モータ72(図1参照)を停止させる。電動モータ72の回転速度は低下して時刻t9でゼロになる。
時刻t10でブレーキペダル12(図1参照)が解放されると(踏み込み操作量がゼロになると)、制御手段150は、電動モータ72を逆転させて回転速度を上昇させる。
ブレーキペダル12(図1参照)の急速な踏み込みで高いブレーキ液圧が発生しているため、制御手段150は、電動モータ72の回転速度を急速に上昇させる。このときに、時刻t10’で電動モータ72の回転速度が所定の上限回転速度(逆転上限速度R_Lmt)に達すると、制御手段150は逆転上限速度R_Lmtで電動モータ72を回転させる。逆転上限速度R_Lmtは、正転上限速度F_Lmtと同様に、信号変動周期Δtbがサンプリング周期Δta以上となる回転速度とする。例えば、逆転上限速度R_Lmtは正転上限速度F_Lmtと同じ値に設定される。このような逆転上限速度R_Lmtは、あらかじめ設定されていることが好ましい。なお、逆転上限速度R_Lmtと正転上限速度F_Lmtが異なった値であってもよい。
モータシリンダ装置16(図1参照)で発生しているブレーキ液圧が時刻t11でゼロになると、制御手段150は電動モータ72を停止させる。電動モータ72の回転速度が低下して時刻t12でゼロになる。
このように、図1に示す本実施形態の車両用ブレーキシステム10は、ブレーキ液圧を発生するモータシリンダ装置16に備わる電動モータ72の電気角θを検出する検出手段として、3つのホールセンサ701U,701V,701W(図2の(a)参照)を備える。そして、電動モータ72を制御する制御手段150は、所定の正転上限速度F_Lmt及び逆転上限速度R_Lmt以下の回転速度で電動モータ72を駆動させる。
このような構成にすることで、制御手段150による電気角θの算出精度が低下する高速回転域での電動モータ72の駆動が抑制される。したがって、制御手段150は、精度よく電気角θを算出可能であり、モータシリンダ装置16で精度よくブレーキ液圧を発生させることができる。
また、高速回転域での電動モータ72の駆動が抑制される。このため、電動モータ72に過度の負荷がかかることが回避され、電動モータ72の耐久性に影響を与える状態での駆動が回避される。したがって、電動モータ72の寿命を延ばすことができる。
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
本実施形態では、正転上限速度F_Lmtと逆転上限速度R_Lmtを同じ回転速度とした。この構成に限定されず、正転上限速度F_Lmtと逆転上限速度R_Lmtが異なる回転速度であってもよい。
例えば、図1に示す制御手段150がVSA装置18を制御してABS(Anti locked Brake System)を作動する場合、ABSの作動によって発生するブレーキ液圧がモータシリンダ装置16(シリンダ機構76)に作用する。このような状態で電動モータ72が駆動すると、電動モータ72の駆動に反するブレーキ液圧がモータシリンダ装置16に作用することになり、電動モータ72に大きな負荷がかかる。特に、高速回転域で電動モータ72が正転してモータシリンダ装置16で発生するブレーキ液圧を加圧する状態のときにABSの動作によってブレーキ液圧が加圧されると、電動モータ72の正転に対する抗力が作用する。このため、電動モータ72にかかる負荷が増大する。
このような場合には、電動モータ72の回転速度を下げることによって電動モータ72にかかる負荷を軽減できる。
そこで、制御手段150がVSA装置18を制御してABSを作動するときに、正転上限速度F_Lmtが小さな値に変更される構成としてもよい。例えば、制御手段150は、ABSを作動するとき、ABSを作動しないときよりも正転上限速度F_Lmtを小さくする。このような構成であれば、ABSが作動するときに、電動モータ72の回転速度は小さくなった正転上限速度F_Lmtを超えることがなく電動モータ72にかかる負荷が軽減される。
この場合、逆転上限速度R_Lmtを正転上限速度F_Lmtに合わせて小さくする構成としてもよいし、逆転上限速度R_Lmtは変更しない構成であってもよい。
逆転上限速度R_Lmtが変更されない構成の場合、ABSが作動するときには、正転上限速度F_Lmtと逆転上限速度R_Lmtが異なった値になる。
ABSの作動時に制御手段150が正転上限速度F_Lmtを設定(変更)する方法は限定されない。例えば、VSA装置18に備わる圧力センサP1が計測するブレーキ液圧に対応する好適な正転上限速度F_Lmtがあらかじめ設定されていれば、制御手段150は圧力センサP1が計測するブレーキ液圧に応じて正転上限速度F_Lmtを設定(変更)できる。つまり、制御手段150は、ABSの作動状態(ABSの作動で設定されるブレーキ液圧)に応じて正転上限速度F_Lmtを設定できる。
一例として、圧力センサP1が計測するブレーキ液圧と正転上限速度F_Lmtの関係を示すマップがあらかじめ設定されていれば、制御手段150は圧力センサP1が計測するブレーキ液圧に基づいて当該マップを参照し、ABSの作動状態に応じた正転上限速度F_Lmtを設定できる。
又は、ABSを作動するときの目標のブレーキ液圧に対応して、制御手段150が好適な正転上限速度F_Lmtを設定する構成であってもよい。
例えば、ABSを作動するときの目標のブレーキ液圧に対応する好適な正転上限速度F_Lmtがあらかじめ設定されていれば、制御手段150はABSを作動するときの目標のブレーキ液圧に応じて正転上限速度F_Lmtを設定(変更)できる。このように、制御手段150が、ABSの作動状態(ABSの作動で設定されるブレーキ液圧)に応じて正転上限速度F_Lmtを設定する構成であってもよい。
この場合も、ABSの目標となるブレーキ液圧と正転上限速度F_Lmtの関係を示すマップがあらかじめ設定されていれば、制御手段150はABSの目標となるブレーキ液圧に基づいて当該マップを参照し、ABSの作動状態に応じた正転上限速度F_Lmtを設定できる。
なお、本実施形態は、図2の(a)に示すように、電動モータ72のロータ702の周囲に、120度間隔で3つのホールセンサ701U,701V,701Wが配置される構成とした。しかしながら、本発明を適用可能な車両用ブレーキシステム10はこのような構成に限定されない。電動モータ72に備わるホールセンサの数や配置は適宜設定可能である。
また、本実施形態の制御手段150(図1参照)は、所定のサンプリング周期でホールセンサ701U,701V,701W(図2の(a)参照)の検出信号(Sig_U,Sig_V,Sig_W)を取り込む構成とした。この構成に替えて、検出信号の組み合わせの変化をトリガ(割り込み要因)とする割り込み処理で、制御手段150が検出信号を取り込む構成としてもよい。このような構成では、取り込んだ検出信号の処理を制御手段150が終了する前に検出信号の組み合わせが変化しても(割り込み要因が発生しても)、制御手段150は割り込み処理を実行できない。よって、この場合には、取り込んだ検出信号を制御手段150が適宜処理するのに要する時間よりも信号変動周期Δtbが長くなる回転速度が上限回転速度に設定されればよい。
10 車両用ブレーキシステム
12 ブレーキペダル(操作子)
16 モータシリンダ装置(液圧発生手段)
18 車両挙動安定化装置
72 電動モータ(電動機)
150 制御手段
701U,701V,701W ホールセンサ
702 ロータ
F_Lmt 正転上限速度
R_Lmt 逆転上限速度

Claims (6)

  1. 電動機が駆動してブレーキ液圧を発生する液圧発生手段と、
    前記電動機の電気角を検出する複数のホールセンサと、
    運転者が操作子を操作する操作量に応じたブレーキ液圧が発生するように、前記電動機を制御する制御手段と、を備え、
    複数の前記ホールセンサは、それぞれが、前記電動機内で回転するロータの磁極を検出して、検出した磁極の変化に応じて出力状態が変化する検出信号を出力する車両用ブレーキシステムであって、
    前記制御手段は、前記検出信号の出力状態の組み合わせが変化するごとに前記電気角を算出するとともに当該電気角に基づいて前記電動機の回転速度を算出し、
    算出した前記電動機の回転速度が上限回転速度以上のときに前記電動機が制御可能状態ではないと判定するとともに、
    前記制御手段が、前記電動機を正転させるときに当該電動機が制御可能状態ではないと判定するときの前記上限回転速度である正転上限速度と、前記電動機を逆転させるときに該電動機が制御可能状態ではないと判定するときの前記上限回転速度である逆転上限速度と、が異なっていることを特徴とする車両用ブレーキシステム。
  2. 前記制御手段は、
    前記電動機を正転させて前記ブレーキ液圧を上昇させ、前記電動機を逆転させて前記ブレーキ液圧を低下させることを特徴とする請求項1に記載の車両用ブレーキシステム。
  3. 電動機が駆動してブレーキ液圧を発生する液圧発生手段と、
    前記電動機の電気角を検出する複数のホールセンサと、
    運転者が操作子を操作する操作量に応じたブレーキ液圧が発生するように、前記電動機を制御する制御手段と、を備え、
    複数の前記ホールセンサは、それぞれが、前記電動機内で回転するロータの磁極を検出して、検出した磁極の変化に応じて出力状態が変化する検出信号を出力する車両用ブレーキシステムであって、
    前記制御手段は、前記検出信号の出力状態の組み合わせが変化するごとに前記電気角を算出するとともに当該電気角に基づいて前記電動機の回転速度を算出し、
    算出した前記電動機の回転速度が上限回転速度以上のときに前記電動機が制御可能状態ではないと判定するとともに、
    前記制御手段は、
    車両挙動安定化装置を制御してアンチロックブレーキを作動するとき、アンチロックブレーキの作動状態に応じて前記上限回転速度を設定することを特徴とする車両用ブレーキシステム。
  4. 電動機が駆動してブレーキ液圧を発生する液圧発生手段と、
    前記電動機の電気角を検出する複数のホールセンサと、
    運転者が操作子を操作する操作量に応じたブレーキ液圧が発生するように、前記電動機を制御する制御手段と、を備え、
    複数の前記ホールセンサは、それぞれが、前記電動機内で回転するロータの磁極を検出して、検出した磁極の変化に応じて出力状態が変化する検出信号を出力する車両用ブレーキシステムであって、
    前記制御手段は、前記検出信号の出力状態の組み合わせが変化するごとに前記電気角を算出するとともに当該電気角に基づいて前記電動機の回転速度を算出し、
    算出した前記電動機の回転速度が上限回転速度以上のときに前記電動機が制御可能状態ではないと判定するとともに、
    前記上限回転速度は、
    前記検出信号の前記組み合わせが変化する周期が所定の周期以上となる回転速度に設定されることを特徴とする車両用ブレーキシステム。
  5. 電動機が駆動してブレーキ液圧を発生する液圧発生手段と、
    前記電動機の電気角を検出する複数のホールセンサと、
    運転者が操作子を操作する操作量に応じたブレーキ液圧が発生するように、前記電動機を制御する制御手段と、を備え、
    複数の前記ホールセンサは、それぞれが、前記電動機内で回転するロータの磁極を検出して、検出した磁極の変化に応じて出力状態が変化する検出信号を出力する車両用ブレーキシステムであって、
    前記制御手段は、前記検出信号の出力状態の組み合わせが変化するごとに前記電気角を算出するとともに当該電気角に基づいて前記電動機の回転速度を算出し、
    算出した前記電動機の回転速度が上限回転速度以上のときに前記電動機が制御可能状態ではないと判定するとともに、
    前記所定の周期は、前記制御手段が前記検出信号を取り込むサンプリング周期であることを特徴とする車両用ブレーキシステム。
  6. 前記制御手段は、
    前記電動機が制御可能状態ではないと判定した場合、
    回転速度が前記上限回転速度以下となるように前記電動機を制御することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の車両用ブレーキシステム。
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