JP6190537B2 - 電流センサ - Google Patents

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Description

本発明は、磁気センサを用いて電流を検出する電流センサに係り、特に、検出可能な電流の範囲が異なる複数の測定レンジを切り換えることが可能な電流センサに関するものである。
電流センサの測定レンジを広げる方法として、検出可能な電流の範囲が異なる複数の測定レンジを切り換える方法が一般的に知られている。下記の特許文献に記載される感度切換型センサ回路では、シャント抵抗の電圧が高ゲインの小電流用アンプと低ゲインの大電流用アンプとにおいてそれぞれ増幅される。各アンプの出力信号は、ローパスフィルタによって低周波成分を抽出された後、A/Dコンバータにおいてそれぞれデジタル値の検出データx,yに変換されて、マイクロコンピュータに取り込まれる。マイクロコンピュータでは、小電流用アンプの検出データxがしきい値iLより小さい場合、検出データxに基づいて電流値が算出され、大電流用アンプの検出データyがしきい値iH(>iL)より大きい場合、データyに基づいて電流値が算出される。
特開2006−266738号公報
上記特許文献1では、電流検出素子としてシャント抵抗が使用されているが、磁電変換素子やカレントトランスなどの磁気センサを用いても、同様な回路を実現可能である。磁気センサは、特に測定系を被測定系から絶縁することが要求される用途、例えば電気自動車・ハイブリッド自動車等の高電圧回路において多く使用されている。
一般に磁気センサは磁性材料を含んでおり、大電流による高い磁場を受けると磁性材料が磁気飽和を生じるため、検出結果に誤差が生じる。図11は、磁気式の電流センサの特性を示す図である。横軸は電流Iを示し、縦軸は磁気センサの出力信号Soutを示す。図11の例では、電流値Isを超える電流が流れると、磁気センサの感度が磁気飽和によって低下し、電流Iに対する出力信号Soutのリニアリティが劣化する。通常は、感度(出力信号レベル/電流)が大きいほど小さな電流で磁気飽和が生じるので、大電流用には低感度の磁気センサ、小電流用には高感度の磁気センサを用いることが好ましい。
従って、上記特許文献1と同様な回路を磁気センサで実現する場合、低感度の磁気センサと高感度の磁気センサを2つ用意して、小電流用アンプに高感度の磁気センサを接続し、大電流用アンプに低感度の磁気センサを接続する方式が考えられる。これにより、大電流用アンプと小電流用アンプを同一の磁気センサに接続する方式に比べて、小電流の測定レンジにおけるS/N比やリニアリティを向上できる。
ところで、低感度の磁気センサを用いる大電流用の測定レンジと、高感度の磁気センサを用いる小電流用の測定レンジとを備えた電流センサでは、高感度の磁気センサの磁気飽和が生じない電流の範囲で小電流用の測定レンジを使用しなければならない。磁気飽和が生じると、上述したように磁気センサの出力レベルが低下するため、電流の測定結果に誤差を生じるからである。従って、測定レンジの切り換えを自動的に行う場合には、高感度の磁気センサにおいて磁気飽和が生じているか否かを判定する必要がある。
磁気センサの磁気飽和の有無を判定する方法として、磁気センサの出力と所定の閾値とを比較する方法が挙げられる。この方法では、磁気センサの出力が磁気飽和によって歪みを生じない所定の閾値より小さい場合に、磁気センサに磁気飽和が生じていないと判定される。
しかしながら、磁気センサの性能には、個体ばらつきや温度によるばらつきや、経年ばらつき等が存在する。そのため、このような性能のばらつきに対するマージンを確保するため、上記の閾値は、磁気センサの出力が磁気飽和によって歪みを生じない実際の最大値よりも低くする必要がある。性能のばらつきが大きい場合には、マージンを大きくしなければならず、閾値が更に低くなる。閾値が低くなると、小電流用の測定レンジが狭くなるため、小電流における測定精度や分解能が低下するという問題がある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、測定レンジを切り換えることができるダイナミックレンジの広い電流センサにおいて、感度の高い小電流の測定レンジを広くすることである。
上述した従来技術の問題を解決し、上述した目的を達成するために、本発明の電流センサは、被測定電流に応じて生じる磁場を測定する第1の磁気センサと、前記被測定電流に応じて生じる磁場を測定する第2の磁気センサと、前記第1の磁気センサの出力及び前記第2の磁気センサの出力のうち、何れか一方の出力を選択する選択部と、前記第1の磁気センサの出力が示す前記被測定電流の第1の電流レベルと、前記第2の磁気センサの出力が示す前記被測定電流の第2の電流レベルとを比較する比較部とを備える。前記第1の磁気センサは、磁場の測定が可能な前記被測定電流の最大値が前記第2の磁気センサよりも大きく、前記第2の磁気センサは、前記被測定電流に応じて生じる磁場の測定感度が前記第1の磁気センサよりも高い。前記比較部は、前記第2の電流レベルと前記第1の電流レベルとが所定の範囲内で一致する場合、前記選択部において前記第2の磁気センサの出力を選択させ、前記第2の電流レベルと前記第1の電流レベルとが前記所定の範囲内で一致しない場合、前記選択部において前記第1の磁気センサの出力を選択させる第1の制御信号を出力する。
上記の構成によれば、前記第2の磁気センサにおいて磁場の測定が可能な前記被測定電流の最大値より前記被測定電流が小さい場合、前記第1の磁気センサ及び前記第2の磁気センサの両方において前記被測定電流の磁場の測定が可能である。この場合、前記第1の磁気センサの出力が示す前記被測定電流の前記第1の電流レベルと、前記第2の磁気センサの出力が示す前記被測定電流の前記第2の電流レベルとがほぼ等しくなる。これにより、前記第2の電流レベルと前記第1の電流レベルとが前記所定の範囲内で一致するため、前記比較部から出力される前記第1の制御信号により、前記選択部において前記第2の磁気センサの出力が選択される。
他方、前記第2の磁気センサにおいて磁場の測定が可能な前記被測定電流の最大値より前記被測定電流が大きくなると、磁気飽和などの影響によって前記第2の磁気センサの出力に歪みが生じ、前記第1の電流レベルと前記第2の電流レベルとの間にレベル差が生じる。前記第2の電流レベルと前記第1の電流レベルとが前記所定の範囲内で一致しなくなる程に当該レベル差が大きくなると、前記比較部から出力される前記第1の制御信号により、前記選択部において前記第1の磁気センサの出力が選択される。
このように、上記電流センサでは、前記第1の電流レベルと前記第2の電流レベルとの相対的な比較に基づいて、前記第2の磁気センサにおいて磁場の測定が可能な前記被測定電流の最大値より前記被測定電流が大きくなったか否かが判定され、前記選択部における磁気センサの選択が切り換えられる。そのため、マージンを持たせた固定の閾値と電流測定値との比較に基づいて高感度の磁気センサの出力に歪みが生じているか否か判定する方法に比べて、高感度の磁気センサの測定レンジが広くなる。
好適に、前記比較部は、前記第1の電流レベルと前記第2の電流レベルとの差若しくは比が所定の範囲内に含まれる場合、前記選択部において前記第2の磁気センサの出力を選択させる前記第1の制御信号を出力してよく、前記差若しくは前記比が前記所定の範囲から外れる場合、前記選択部において前記第1の磁気センサの出力を選択させる前記第1の制御信号を出力してよい。
上記の構成によれば、前記第1の電流レベルと前記第2の電流レベルとの差若しくは比が前記所定の範囲内に含まれるか否かに応じて、前記第2の磁気センサにおいて磁場の測定が可能な前記被測定電流の最大値より前記被測定電流が大きくなったか否かが判定され、前記制御部における前記選択が制御される。
好適に、上記電流センサは、前記選択部において選択される前記第1の磁気センサの出力が通過する第1のローパスフィルタと、前記選択部において選択される前記第2の磁気センサの出力が通過する第2のローパスフィルタとを備えてよい。前記比較部は、前記第1のローパスフィルタを通過した前記第1の磁気センサの出力が示す前記被測定電流の第1の電流レベルと、前記第2のローパスフィルタを通過した前記第2の磁気センサの出力が示す前記被測定電流の第2の電流レベルとを比較してよい。
上記の構成によれば、前記第1のローパスフィルタを通過した前記第1の磁気センサの出力が示す前記第1の電流レベルと、前記第2のローパスフィルタを通過した前記第2の磁気センサの出力が示す前記第2の電流レベルとの相対的な比較により、前記第2の磁気センサにおいて磁場の測定が可能な前記被測定電流の最大値より前記被測定電流が大きくなったか否かが判定される。
好適に、上記電流センサは、前記選択部において選択される前記第1の磁気センサの出力が通過する第1のローパスフィルタと、前記選択部において選択される前記第2の磁気センサの出力が通過する第2のローパスフィルタと、前記第1の制御信号に応じた第2の制御信号を前記選択部に出力するオフディレイタイマとを備えてよい。前記比較部は、前記第1のローパスフィルタを通過する前の前記第1の磁気センサの出力が示す前記被測定電流の第1の電流レベルと、前記第2のローパスフィルタを通過する前の前記第2の磁気センサの出力が示す前記被測定電流の第2の電流レベルとを比較してよい。前記オフディレイタイマは、前記第1の電流レベルと前記第2の電流レベルとの差若しくは比が前記所定の範囲から外れたことを示す前記第1の制御信号を入力すると、直ちに前記選択部において前記第1の磁気センサの出力を選択させる前記第2の制御信号を出力してよく、前記第1の電流レベルと前記第2の電流レベルとの差若しくは比が前記所定の範囲内に入ったことを示す前記第1の制御信号の入力が一定時間続いた場合、前記選択部において前記第2の磁気センサの出力を選択させる前記第2の制御信号を出力してよい。
上記の構成によれば、前記第1のローパスフィルタを通過する前の前記第1の磁気センサの出力が示す前記被測定電流の第1の電流レベルと、前記第2のローパスフィルタを通過する前の前記第2の磁気センサの出力が示す前記被測定電流の第2の電流レベルとの差若しくは比が所定の範囲内を外れた場合、直ちに前記選択部において前記第1の磁気センサの出力が選択される。そのため、前記被測定電流が急速に増大した場合でも、前記被測定電流が前記最大値を超えている状態で前記第2の磁気センサの出力が前記選択部により選択されることが起こり難くなる。
また、前記第1の電流レベルと前記第2の電流レベルとの差若しくは比が所定の範囲にある状態が一定時間続いた場合に、前記選択部において前記第2の磁気センサの出力が選択される。そのため、前記被測定電流が前記最大値を超えた状態における前記第2の磁気センサの出力の影響が前記第2のローパスフィルタに残っている間は、前記選択部において前記第1の磁気センサの出力が選択され、当該影響が減少した後、前記選択部において前記第2の磁気センサの出力が選択される。
好適に、前記比較部は、前記第1の磁気センサの出力信号を増幅する増幅部と、前記増幅部において増幅された前記第1の磁気センサの出力信号と、前記第2の磁気センサの出力信号との差が所定の範囲内であるか否かを判定する一致判定部とを有してよい。この場合、前記増幅部は、前記第2の磁気センサにおいて磁場の測定が可能な前記被測定電流の最大値よりも前記被測定電流が小さい場合に、前記第1の磁気センサの出力信号を増幅した信号と前記第2の磁気センサの出力信号とが等しくなるように設定された増幅率を有してよい。
上記の構成によれば、前記第2の磁気センサにおいて磁場の測定が可能な前記被測定電流の最大値よりも前記被測定電流が小さい場合、前記増幅部により増幅された前記第1磁気センサの出力信号と前記第2の磁気センサの出力信号とが略等しくなり、これらの信号の差が前記所定の範囲内であると前記一致判定部において判定される。
他方、前記第2の磁気センサにおいて磁場の測定が可能な前記被測定電流の最大値より前記被測定電流が大きくなって、前記第2の磁気センサの出力に歪みが生じると、前記増幅部により増幅された前記第1磁気センサの出力信号と前記第2の磁気センサの出力信号との間に差が生じる。前記被測定電流が更に大きくなって前記第2の磁気センサの出力の歪みが増すと、当該差が前記所定の範囲から外れたと前記一致判定部において判定される。
好適に、前記増幅部は、前記選択部に入力される前記第1の磁気センサの出力信号を増幅してよい。
これにより、前記第1の磁気センサからの出力及び前記第2の磁気センサからの出力のどちらが前記選択部において選択されても、前記選択部から出力される信号の前記被測定電流に対する比率は同じになる。
好適に、上記電流センサは、前記第1の磁気センサの出力信号をデジタル信号に変換する第1のアナログ−デジタル変換回路と、前記第2の磁気センサの出力信号をデジタル信号に変換する第2のアナログ−デジタル変換回路と、前記第1のアナログ−デジタル変換回路の前記デジタル信号及び前記第2のアナログ−デジタル変換回路の前記デジタル信号をそれぞれ入力するデジタル信号処理回路とを備えてよい。前記デジタル信号処理回路は、前記比較部及び前記選択部を含んでよい。
好適に、上記電流センサは、前記第2の磁気センサにおいて磁場の測定が可能な前記被測定電流の最大値よりも小さい所定の閾電流に比べて前記被測定電流が小さいか否かを、前記第1の磁気センサの出力信号、前記第2の磁気センサの出力信号、又は、前記選択部の出力信号に基づいて判定し、前記被測定電流が前記閾電流に比べて小さいときに、前記第1の電流レベルと前記第2の電流レベルとの前記差若しくは前記比が前記所定の範囲から外れたことを示す前記第1の制御信号が前記比較部から出力された場合、故障の検出を示す信号を出力する故障検出部を有してよい。
上記の構成によれば、前記被測定電流が前記閾電流に比べて小さい場合、前記被測定電流は、前記第2の磁気センサにおいて磁場の測定が可能な前記被測定電流の最大値よりも小さくなる。この場合、故障のない正常な状態であれば、前記第1の電流レベルと前記第2の電流レベルとの前記差若しくは前記比がほぼ等しくなる。そのため、前記比較部では、前記第2の電流レベルと前記第1の電流レベルとが所定の範囲内で一致すると判定される。他方、前記被測定電流が前記閾電流に比べて小さい場合に、前記差若しくは比が前記所定の範囲から外れたと前記比較部において判定されると、前記故障検出部において故障の検出を示す信号が出力される。
本発明によれば、測定レンジを切り換えることができるダイナミックレンジの広い電流センサにおいて、感度の高い小電流の測定レンジを広くすることができる。
図1は、第1の実施形態に係る電流センサの構成の一例を示す図である。 図2は、電流センサに用いられる磁気センサの構成の一例を示す図である。図2Aは大電流用の第1の磁気センサの構成例を示し、図2Bは小電流用の第2の磁気センサの構成例を示す。 図3は、一致判定回路の構成の一例を示す図である。 図4は、第2の実施形態に係る電流センサの構成の一例を示す図である。 図5は、第3の実施形態に係る電流センサの構成の一例を示す図である。 図6は、オフディレイタイマの構成の一例を示す図である。 図7は、第4の実施形態に係る電流センサの構成の一例を示す図である。 図8は、故障検知部の構成の一例を示す図である。 図9は、信号処理系の一部をデジタル回路に置き換えた電流センサの一例を示す図である。 図10は、故障検知部に入力される磁気センサの信号の例を示す図である。図10Aは、ローパスフィルタを通過した磁気センサの信号が故障検知部に入力される例を示す。図10B及び図10Cは、ローパスフィルタ及び増幅部を通過した磁気センサの信号が故障検知部に入力される例を示す。 図11は、磁気式の電流センサの特性を示す図である。
以下、本発明の実施形態に係る電流センサについて説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電流センサの構成の一例を示す図である。この電流センサは、電流路9に流れる被測定電流Iに応じて生じる磁場)を磁気センサ(1,2)によって検出する磁気式の電流センサであり、電流Iに対する感度が異なる2つの磁気センサ(1,2)を測定レンジに応じて切り換えて使用する。
図1に示す電流センサは、被測定電流Iに応じて生じる磁場を測定する第1の磁気センサ1及び第2の磁気センサ2と、第1の磁気センサ1及び第2の磁気センサ2の各出力が示す被測定電流Iの電流を比較する比較部3と、第1の磁気センサ1の出力S1及び第2の磁気センサ2の出力S2のうち何れか一方の出力を、比較部3が出力する第1の制御信号S3に応じて選択する選択部4とを有する。
[第1の磁気センサ1及び第2の磁気センサ2]
第1の磁気センサ1及び第2の磁気センサ2は、電流路9に流れる被測定電流Iに応じて生じる磁場を測定するセンサであり、例えばホール素子や磁気抵抗効果素子(GMR素子,TMR等)、カレントトランスなど、磁場を電気的な信号に変換する種々のセンサ素子の何れかを含んで構成される。第1の磁気センサ1は、磁場の測定が可能な被測定電流Iの最大値(例えば、被測定電流Iの磁場によって磁気飽和を生じない条件における被測定電流Iの最大値)が第2の磁気センサ2に比べて大きい。また、第2の磁気センサ2は、被測定電流Iに応じて生じる磁場の測定感度が第1の磁気センサ1よりも高い。
本実施形態では、例えば図1に示すように、電流路9から第1の磁気センサ1までの距離に比べて、電流路9から第2の磁気センサ2までの距離が短い。すなわち、第2の磁気センサ2は、第1の磁気センサ1に比べて被測定電流Iによる磁場が大きい位置に配置される。また、第1の磁気センサ1と第2の磁気センサ2とは、同一特性を持った素子である。
第2の磁気センサ2は、第1の磁気センサ1に比べて被測定電流Iによる磁場が大きい位置にあるため、第1の磁気センサ1と同一の特性を有していても、第1の磁気センサ1に比べて被測定電流Iに対する測定感度が高くなるとともに、磁気飽和を生じ始める被測定電流Iの電流値が第1の磁気センサ1より小さくなる。
第1の磁気センサ1及び第2の磁気センサ2を同一特性の素子にすることで、部品の種類を少なくすることができる。
なお、本実施形態の他の例においては、第1の磁気センサ1と第2の磁気センサ2とが同一特性の素子でなくとも良い。例えば、図2は、感度の異なる2つの磁気センサの例である。図2Aは第1の磁気センサ1の構成例を示し、図2Bは第2の磁気センサ2の構成例を示す。図2Aに示す第1の磁気センサ1は、基板1Bに配置された磁気抵抗効果素子1Aの上に絶縁層1Dを介して磁気シールド1Eが設けられ、磁気シールド1Eの上に絶縁層1Cが形成されている。他方、図2Bに示す第2の磁気センサ2は、基板2Bに配置された磁気抵抗効果素子2Aの上に絶縁層2Cが形成されているが、磁気シールドは設けられていない。磁気シールド1Eを有する第1の磁気センサ1は磁場に対する感度が相対的に低く、磁気シールドを持たない第2の磁気センサ2は磁場に対する感度が相対的に高い。このような感度の違いがある場合、電流路9から第1の磁気センサ1までの距離と電流路9から第2の磁気センサ2までの距離とが同じでもよい。
第2の磁気センサ2は、第1の磁気センサ1に比べて同一の磁界強度に対する感度が高いため、電流路9からの距離が第1の磁気センサ1と同じであっても、被測定電流Iに対する測定感度は第1の磁気センサ1より高くなるとともに、磁気飽和を生じ始める被測定電流Iの電流値が第1の磁気センサ1より小さくなる。
電流路9から第1の磁気センサ1までの距離と電流路9から第2の磁気センサ2までの距離を同じにすることで、装置サイズを小型化できる。
また、電流路9の磁場の方向に対する感度軸の角度を変えることにより、被測定電流Iの磁場に対する第1の磁気センサ1と第2の磁気センサ2の感度が異なるようにすることも可能である。
[比較部3]
比較部3は、第1の磁気センサ1の出力が示す被測定電流Iの電流レベル(第1の電流レベル)と、第2の磁気センサ2の出力が示す被測定電流Iの電流レベル(第2の電流レベル)とを比較し、当該比較結果に応じて選択部4を制御する。すなわち、比較部3は、第2の電流レベルと第1の電流レベルとが所定の範囲内で一致する場合、選択部4において第2の磁気センサ2の出力を選択させ、第2の電流レベルと第1の電流レベルとが所定の範囲内で一致しない場合、選択部4において第1の磁気センサ1の出力を選択させる第1の制御信号S3を選択部4に出力する。
例えば、比較部3は、第1の電流レベルと第2の電流レベルとの差若しくは比が所定の範囲内に含まれる場合、選択部4において第2の磁気センサ2の出力を選択させる第1の制御信号S3を出力し、当該差若しくは比が所定の範囲から外れる場合は、選択部4において第1の磁気センサ1の出力を選択させる第1の制御信号S3を出力する。
図1の例において、比較部3は、一致判定部31と増幅部32を有する。
増幅部32は、第1の磁気センサ1の出力信号を増幅する。増幅部32は、第2の磁気センサ2において磁場の測定が可能な被測定電流Iの最大値よりも被測定電流Iが小さい場合に、第1の磁気センサ1の出力信号を増幅した信号と第2の磁気センサ2の出力信号とが等しくなるように設定された増幅率を有する。
一致判定部31は、増幅部32において増幅された第1の磁気センサ1の出力信号、及び、第2の磁気センサ2の出力信号を入力し、入力した2つの信号の差が所定の範囲内であるか否かを判定する。入力した2つの信号の差が所定の範囲内である場合、一致判定部31は、選択部4において第2の磁気センサ2の出力を選択させる第1の制御信号S3を出力する。入力した2つの信号の差が所定の範囲から外れている場合、一致判定部31は、選択部4において第1の磁気センサ1を選択させる第1の制御信号S3を出力する。
図3は、一致判定回路31の構成の一例を示す図である。
図3に示す一致判定部31は、第1の差動増幅器311と、第2の差動増幅器312と、第1の比較器313と、第2の比較器314と、論理ゲート315とを有する。
第1の差動増幅器311は、非反転入力端子IN1+と反転入力端子IN1−とのレベル差を増幅する。第1の差動増幅器311の反転入力端子IN1−に増幅部32の出力端が接続され、第1の差動増幅器311の非反転入力端子IN1+に第2の磁気センサ2の出力端が接続される。
第1の差動増幅器311は、例えば図3に示すように、オペアンプOP11と抵抗R11〜R14を有する。オペアンプOP11の非反転入力端子は、抵抗R11を介して反転入力端子IN1−に接続されるとともに、抵抗R13を介してオペアンプOP11の出力端子に接続される。オペアンプOP11の反転入力端子は、抵抗R12を介して非反転入力端子IN1+に接続されるとともに、抵抗R14を介してグランドに接続される。
第2の差動増幅器312は、非反転入力端子IN2+と反転入力端子IN2−とのレベル差を増幅する。第2の差動増幅器312の反転入力端子IN2−に第2の磁気センサ2の出力端が接続され、第2の差動増幅器312の非反転入力端子IN2+に増幅部32の出力端が接続される。
第2の差動増幅器312は、例えば図3に示すように、オペアンプOP21と抵抗R21〜R24を有する。オペアンプOP21の非反転入力端子は、抵抗R21を介して反転入力端子IN2−に接続されるとともに、抵抗R23を介してオペアンプOP21の出力端子に接続される。オペアンプOP21の反転入力端子は、抵抗R22を介して非反転入力端子IN2+に接続されるとともに、抵抗R24を介してグランドに接続される。
第1の比較器313は、第1の差動増幅器311の出力レベルと第1の閾値Vref1'とを比較する。
第2の比較器314は、第2の差動増幅器312の出力レベルと第2の閾値Vref2'とを比較する。
論理ゲート315は、第1の比較器313の出力と第2の比較器314の出力との否定論理和を演算する。
第2の磁気センサ2の出力レベルが増幅部32の出力レベルより高くなり、その出力レベル差が大きくなると、第1の差動増幅器311の出力レベルが上昇する。そして、当該出力レベル差が所定のレベル差を超えると、第1の差動増幅器311の出力レベルが第1の閾値Vref1'より高くなり、第1の比較器313からハイレベルの信号が出力され、論理ゲート315の出力信号S3がローレベルとなる。
また、増幅部32の出力レベルが第2の磁気センサ2の出力レベルより高くなり、その出力レベル差が大きくなると、第2の差動増幅器312の出力レベルが上昇する。そして、当該出力レベル差が所定のレベル差を超えると、第2の差動増幅器312の出力レベルが第2の閾値Vref2'より高くなり、第2の比較器314からハイレベルの信号が出力され、論理ゲート315の出力信号S3がローレベルとなる。
このように、論理ゲート315の出力信号S3は、第2の磁気センサ2の出力レベルと増幅部32の出力レベルとのレベル差が所定のレベル差より大きくなるとローレベルになる。一方、論理ゲート315の出力信号S3は、第2の磁気センサ2の出力レベルと増幅部32の出力レベルとのレベル差が所定のレベル差より小さくなるとハイレベルとなる。
なお、図3の例では、第1の比較器313の出力と第2の比較器314の出力との否定論理和を演算する論理ゲート315を設けているが、否定論理和の代わりに論理和を演算する論理ゲート315を設けてもよい。また、差動出力を有する差動増幅器の後段に所定のヒステリシス幅を有したヒステリシスコンパレータを接続した回路でも、図3に示す一致判定部31と同様の動作を実現可能である。
以上が一致判定部31の説明である。
[選択部4]
選択部4は、第2の電流レベルと第1の電流レベルとが所定の範囲内で一致していることを示す第1の制御信号S3(図3の例ではハイレベルの第1の制御信号S3)が比較部3から出力されている場合、第2の磁気センサ2の出力を選択して通過させる。他方、選択部4は、第2の電流レベルと第1の電流レベルとが所定の範囲内から外れていることを示す第1の制御信号S3(図3の例ではローレベルの第1の制御信号S3)が比較部3から出力されている場合、第1の磁気センサ1の出力を選択して通過させる。選択部4は、例えばSPDT(Single Pole, Dual Throw;単極双投)スイッチにより構成される。
上述した構成を有する電流センサの動作を説明する。
第2の磁気センサ2において磁場の測定が可能な程度に被測定電流Iが小さい場合、第2の磁気センサ2において磁気飽和等は生じないため、第1の磁気センサ1の出力が示す被測定電流Iの電流レベル(第1の電流レベル)と、第2の磁気センサ2の出力が示す被測定電流Iの電流レベル(第2の電流レベル)はほぼ等しくなる。この場合、一致判定部31の2つの入力信号(第1の磁気センサ1の出力信号を増幅した信号、及び、第2の磁気センサ2の出力信号)は略等しくなる。一致判定部31は、2つの入力信号の差が所定の範囲内にあることを示す第1の制御信号S3(図3の例ではハイレベルの第1の制御信号S3)を選択部4に出力する。この第1の制御信号S3を受けた選択部4は、第2の磁気センサ2の出力を選択する。
従って、第2の磁気センサ2において磁場の測定が可能な程度に被測定電流Iが小さい場合(第2の磁気センサ2の出力が磁気飽和等の影響によって歪んでいない場合)、選択部4は、感度の高い第2の磁気センサ2の出力を選択する。
一方、第2の磁気センサ2において磁場の測定が可能な被測定電流Iの最大値より被測定電流Iが大きくなると、第2の磁気センサ2において磁気飽和等が起こり、第2の磁気センサ2の出力が歪む。そのため、第1の磁気センサ1の出力が示す被測定電流Iの電流レベル(第1の電流レベル)と、第2の磁気センサ2の出力が示す被測定電流Iの電流レベル(第2の電流レベル)との間に差が生じる。この場合、一致判定部31の2つの入力信号(第1の磁気センサ1の出力信号を増幅した信号、及び、第2の磁気センサ2の出力信号)にも差が生じる。被測定電流Iが大きくなると、第2の磁気センサ2の出力の歪みが大きくなり、一致判定部31の2つの入力信号における差も大きくなる。そして、2つの入力信号の差が所定の範囲から外れると、一致判定部31はそのことを示す第1の制御信号S3(図3の例ではローレベルの第1の制御信号S3)を選択部4に出力する。この第1の制御信号S3を受けた選択部4は、第1の磁気センサ1の出力を選択する。
従って、第2の磁気センサ2において磁場の測定が可能な被測定電流Iの最大値より被測定電流Iが大きくなると、選択部4は、感度の低い第1の磁気センサ1の出力を選択する。
図示しない後段の回路では、第1の制御信号S3に応じて、選択部4から出力される信号Soutを被測定電流Iの電流値に換算する処理における換算比率が切り換えられる。
例えば、第1の磁気センサ1の感度が第2の磁気センサ2の感度に対して1/3になっているとすると、後段の回路では、第1の磁気センサ1からの出力が選択部4において選択された場合の出力信号Sout(若しくは、これをAD変換した後のデータ)に3倍のゲインが乗ぜられる。これにより、第1の磁気センサ1と第2の磁気センサ2の感度の違いによる出力信号Soutの違いが補正される。第1の制御信号S3は、このような処理において、選択部4の選択状態を示す信号として使用される。
以上説明したように、本実施形態に係る電流センサによれば、感度の低い第1の磁気センサ1の出力と感度の高い第2の磁気センサ2の出力とを比較することによって、第2の磁気センサ2において磁場の測定が可能な最大値よりも被測定電流Iが大きくなったか否かが判定される。被測定電流Iが当該最大値より小さい場合、選択部4において第2の磁気センサ2の出力が選択され、被測定電流Iが当該最大値を超えた場合、選択部4において第1の磁気センサ1の出力が選択される。
すなわち、感度の異なる2つの電流センサが示す被測定電流Iの電流レベル(第1の電流レベル,第2の電流レベル)の相対的な比較に基づいて、感度の高い第2の磁気センサ2における被測定電流Iの測定可能範囲が判定されて、測定レンジが切り換えられる。
一定の閾値と磁気センサの出力とを比較する方法では、磁気センサの性能の個体的なばらつきや温度ばらつき、経年的なばらつき等が存在するため、第2の磁気センサ2の測定レンジを余分に狭くする必要がある。これに対し、本実施形態に係る電流センサでは、このようなばらつきの影響を受けることなく、第2の磁気センサ2において磁場の測定が可能な最大値よりも被測定電流Iが大きくなったか否かを正確に判定できる。そのため、高感度な第2の磁気センサ2の測定レンジを広げることができる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図4は、第2の実施形態に係る電流センサの構成の一例を示す図である。図4に示す電流センサは、図1に示す電流センサと同様な構成を有するとともに、第1のローパスフィルタ11と第2のローパスフィルタ12を有する。
第1のローパスフィルタ11は、第1の磁気センサ1の出力に含まれるノイズ等の高周波成分を減衰させる。第1の磁気センサ1の出力は、第1のローパスフィルタ11を通過して選択部4及び比較部3に入力される。
第2のローパスフィルタ12は、第2の磁気センサ2の出力に含まれるノイズ等の高周波成分を減衰させる。第2の磁気センサ2の出力は、第2のローパスフィルタ12を通過して選択部4及び比較部3に入力される。
第1のローパスフィルタ11及び第2のローパスフィルタ12は、それぞれアナログ回路でもデジタル回路でも実現可能である。
図4に示す電流センサにおいても、図1に示す電流センサと同様な動作が可能であり、同様な効果を奏することができる。ローパスフィルタの出力は、暫く前の入力の影響を受ける。この為、ローパスフィルタの出力レベルが低くても、暫く前の入力が歪んでいると、正しい大きさを出力しない。本発明では、信号の大きさで歪みを判断せず、第1のローパスフィルタ11の出力の大きさと、第2のローパスフィルタ12の出力の大きさとを比較して、歪みの有無を判断する。よって、ローパスフィルタの出力レベルに拘わらず、正しく歪みを判断できる。また、比較部3に入力される信号がローパスフィルタ(11,12)を通過するため、比較部3の入力信号に含まれるノイズ成分が減少し、比較動作を安定に行うことができる。更に、比較部3の入力信号の周波数が低くなり、比較部3の比較動作が低い周波数で行われるため、比較動作の精度を向上できる。
なお、第1のローパスフィルタ11及び第2のローパスフィルタ12は、同一の周波数特性を有していることが望ましい。これにより、これらのローパスフィルタを通過する信号の時間的な変化が一致し易くなるため、第2の磁気センサ2において磁気飽和が生じているか否かを比較部3においてより正確に判定できる。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図5は、第3の実施形態に係る電流センサの構成の一例を示す図である。図5に示す電流センサは、図1に示す電流センサと同様な構成を有するとともに、第1のローパスフィルタ11及び第2のローパスフィルタ12と、オフディレイタイマ5を有する。
第1のローパスフィルタ11及び第2のローパスフィルタ12は、図4に示す電流センサにおける同一符号の構成要素と同じである。ただし、第1の磁気センサ1及び第2の磁気センサ2の出力が、これらのローパスフィルタ(11,12)を通過せずに比較部3へ入力されている点が、図4に示す電流センサと異なっている。すなわち、比較部3は、第1のローパスフィルタ11を通過する前の第1の磁気センサ1の出力が示す被測定電流Iの電流レベル(第1の電流レベル)と、第2のローパスフィルタ2を通過する前の第2の磁気センサ2の出力が示す被測定電流Iの電流レベル(第2の電流レベル)とを比較する。
オフディレイタイマ5は、比較部3から出力される第1の制御信号S3に応じた第2の制御信号S2を選択部4に出力して、選択部4の選択動作を制御する。オフディレイタイマ5は、第1の電流レベルと第2の電流レベルとの差若しくは比が所定の範囲から外れたことを示す第1の制御信号S3(図3の例ではローレベルの第1の制御信号S3)を入力すると、直ちに選択部4において第1の磁気センサ1の出力を選択させる第2の制御信号S5(ローレベルの第2の制御信号S5)を出力する。他方、オフディレイタイマ5は、第1の電流レベルと第2の電流レベルとの差若しくは比が所定の範囲内に入ったことを示す第1の制御信号S3(図3の例ではハイレベルの第1の制御信号S3)の入力が一定時間続いた場合、選択部4において第2の磁気センサ2の出力を選択させる第2の制御信号S5(ハイレベルの第2の制御信号S5)を出力する。なお、前記「一定時間」は、第2のローパスフィルタ12の時定数に応じて決められる。
図6は、オフディレイタイマ5の構成の一例を示す図であり、パルスストレッチャ回路を用いる例を示す。
図6の例において、オフディレイタイマ5(パルスストレッチャ回路)は、オペアンプOP1,OP2と、ダイオードD1と、抵抗R1,R2と、キャパシタC1と、インバータ回路50,51とを有する。オペアンプOP1の非反転入力端子には、比較器3の第1の制御信号S3をインバータ回路50において反転した信号が入力される。キャパシタC1の一方の端子は、抵抗R1及びダイオードD1を介してオペアンプOP1の出力に接続されるとともに、オペアンプOP1の反転入力端子に接続される。キャパシタC1の他方の端子は、グランドに接続される。抵抗R2は、キャパシタC1と並列に接続される。オペアンプOP2の非反転入力端子はキャパシタC1の一方の端子に接続され、反転入力端子はオペアンプOP2の出力に接続される。インバータ回路51は、オペアンプOP2の後段に接続される。インバータ回路51から第2の制御信号S5が出力される。
キャパシタC1の電圧がローレベルの状態で第1の制御信号S3がローレベルになり、インバータ回路50の出力信号がハイレベルになると、オペアンプOP1の出力電圧が上昇し、抵抗R1及びダイオードD1を介してキャパシタC1に電流が流れ、キャパシタC1の電圧が上昇する。キャパシタC1の電圧がインバータ回路50の出力信号と同じハイレベルになると、オペアンプOP1の出力からキャパシタC1へ流れる電流がゼロとなり、キャパシタC1の電圧上昇が止まる。第1の制御信号S3がローレベルに留まり、インバータ回路50の出力信号がハイレベルに留まると、キャパシタC1の電圧もハイレベルに保たれる。キャパシタC1の電圧がハイレベルの場合、オペアンプOP2の出力はハイレベルになるため、インバータ回路51から出力される第2の制御信号S5はローレベルとなる。
キャパシタC1の電圧がハイレベルの状態で第1の制御信号S3がハイレベルになり、インバータ回路50の出力信号がローレベルになると、キャパシタC1を放電するようにオペアンプOP1の出力電圧が低下する。このとき、ダイオードD1には逆方向電圧が加わるため、ダイオードD1はオフ状態となる。ダイオードD1がオフすると、キャパシタC1の電荷はオペアンプOP1によって急速に放電されず、抵抗R2によってゆっくり放電される。この場合、キャパシタC1の電圧は、キャパシタC1の静電容量値と抵抗R2の抵抗値とに応じた一定の時定数で低下する。
オペアンプOP2は、高入力インピーダンスかつ低出力インピーダンスのバッファ回路を構成しており、キャパシタC1の電圧とほぼ同じレベルを有する信号を後段のインバータ回路51に入力する。キャパシタC1の電圧がハイレベルから一定の時定数で低下し、その電圧がインバータ回路51の論理閾値より低くなると、インバータ回路51の出力(すなわち第2の制御信号S5)がローレベルからハイレベルに反転する。
図6に示すオフディレイタイマ5(パルスストレッチャ回路)によれば、比較部3の第1の制御信号S3がハイレベルからローレベルへ変化した場合、その変化の直後から第2の制御信号S5としてローレベルの信号が出力される。比較部3の第1の制御信号S3がローレベルに維持される場合、第2の制御信号S5としてローレベルの信号が出力される。比較部3の第1の制御信号S3がローレベルからハイレベルへ変化し、そのハイレベルの状態が一定時間続くと、キャパシタC1の電圧がインバータ回路51の論理閾値より低くなり、第2の制御信号S5はローレベルからハイレベルに変化する。
なお、オフディレイタイマ5は、図6に示すようなパルスストレッチャ回路の他にも、例えばタイマICを用いた回路によって実現可能である。また、オフディレイタイマ5は、デジタル回路やアナログ回路を含んだ集積回路により構成してもよい。既存の集積回路を用いることで、設計が容易になる。
上述した構成を有する図5に示す電流センサの動作を説明する。
第1の磁気センサ1の出力が示す被測定電流Iの電流レベル(第1の電流レベル)と第2の磁気センサ2の出力が示す被測定電流Iの電流レベル(第2の電流レベル)とが所定の範囲内で一致する場合(増幅部32で増幅された第1の磁気センサ1の出力信号と第2の磁気センサ2の出力信号との差が所定の範囲内にある場合)、比較部3の第1の制御信号S3はハイレベルとなり、オフディレイタイマ5の第2の制御信号S5もハイレベルとなる。そのため、選択部4においては、第2のローパスフィルタ2を通過した第2の磁気センサ2の出力が選択され、出力信号Soutとして出力される。
他方、第1の電流レベルと第2の電流レベルとが所定の範囲内で一致しない場合(増幅部32で増幅された第1の磁気センサ1の出力信号と第2の磁気センサ2の出力信号との差が所定の範囲から外れた場合)、比較部3の第1の制御信号S3及びオフディレイタイマ5の第2の制御信号S5がローレベルとなる。この場合、選択部4においては、第1の磁気センサ1を通過した第1の磁気センサ1の出力が選択され、出力信号Soutとして出力される。すなわち、第2の磁気センサ2の出力が磁気飽和等の影響で歪み始めると、選択部4では第1の磁気センサ1の出力が選択される。
また、第1の電流レベルと第2の電流レベルとが一時的に所定の範囲内で一致しなくなった場合、比較部3の第1の制御信号S3は一時的にローレベルとなった後で直ぐにハイレベルへ戻るが、オフディレイタイマ5の第2の制御信号S5は第1の制御信号S3がローレベルへ戻った後も一定時間ローレベルのままとなる。この場合、選択部4においては、第1の磁気センサ1の出力が一定時間選択され続けた後、第2の磁気センサ2の出力に切り換わる。そのため、第2の磁気センサ2の一時的な磁気飽和が終了した後も第2のローパスフィルタ12の出力にしばらくの間残存している誤差成分は、選択部4から出力され難くなる。
以上説明したように、本実施形態に係る電流センサによれば、第1の磁気センサ1の出力及び第2の磁気センサ2の出力にそれぞれローパスフィルタ(11,12)を設けることにより、周波数の高いノイズの影響による測定結果の変動を抑制できる。ローパスフィルタ(11,12)の出力信号の周波数が低くなるため、比較的低速のA/D変換器を用いて精度の高い被測定電流Iのデジタル値を得ることができる。
また、本実施形態に係る電流センサによれば、第1の磁気センサ1及び第2の磁気センサ2の出力が示す電流レベル(第1の電流レベル及び第2の電流レベル)が所定の範囲内で一致しなくなると、直ちに選択部4において第1の磁気センサ1の出力が選択される。これにより、第2の磁気センサ2の磁気飽和を生じる程被測定電流Iが一時的に大きくなって第2の磁気センサ2の出力が歪んだ場合、磁気飽和を生じ難い低感度の第1の磁気センサ1の出力が選択部4において速やかに選択される。従って、第2の磁気センサ2の磁気飽和の影響で誤差を生じた信号Soutが選択部4から出力され難くなるため、測定精度を向上できる。
更に、本実施形態に係る電流センサによれば、第1の磁気センサ1及び第2の磁気センサ2の出力が示す電流レベル(第1の電流レベル及び第2の電流レベル)が所定の範囲内で一致し、その状態が一定時間続いた場合、選択部4において第2の磁気センサ2の出力が選択される。これにより、第2の磁気センサ2の一時的な磁気飽和が終了した後も、第2のローパスフィルタ12の出力に残存している誤差成分が十分に小さくなるまでの間は、第1の磁気センサ1の出力が選択部4において選択され続ける。そのため、第2の磁気センサ2の磁気飽和に起因した出力信号Soutの精度の低下を有効に防止できる。
また、本実施形態に係る電流センサでは、選択部4において第1の磁気センサ1の出力が一旦選択されると、第2の磁気センサ2の出力に歪みを生じない電流レベルが一定時間以上続かない限りと、選択部4の選択は切り換わらない。そのため、第2の磁気センサ2の出力に歪みを生じ始める電流レベルの付近で被測定電流Iがノイズにより変動した場合に、選択部4において第1の磁気センサ1の出力と第2の磁気センサ2の出力とが不必要に切り換わることを有効に防止できる。
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図7は、第4の実施形態に係る電流センサの構成の一例を示す図である。図7に示す電流センサは、第1の磁気センサ1及び第2の磁気センサ2と、比較部3Aと、選択部4と、第3のローパスフィルタ13と、故障検知部6を有する。
第1の磁気センサ1及び第2の磁気センサ2は、図1における同一符号の構成要素と同じである。
比較部3Aは、図1における比較部3と同様な比較動作を行う。比較部3Aは、図7において示すように、一致判定部31と増幅部33を有する。一致判定部31は、図1における比較部3の一致判定部31と同じである。増幅部33は、第1の磁気センサ1の出力を増幅して選択部4に入力する点を除いて、図1における比較部3の増幅部32と同じである。
選択部4は、比較部3Aから出力される第1の制御信号S3に応じて、第2の磁気センサ2の出力、又は、増幅部33で増幅された第1の磁気センサ1の出力の何れか一方を選択する。
第3のローパスフィルタ13は、選択部4において選択された信号に含まれる高周波成分を減衰させる。第3のローパスフィルタ13は、アナログ回路でもデジタル回路でも実現可能である。
故障検知部6は、選択部4から第3のローパスフィルタ13を介して出力される信号Soutと、比較部3において出力される第1の制御信号S3とに基づいて、故障の有無を検知する。
具体的には、故障検知部6は、第2の磁気センサ2において磁場の測定が可能な被測定電流Iの最大値よりも小さい所定の閾電流に比べて被測定電流Iが小さいか否かを、選択部4から第3のローパスフィルタ13を介して出力される信号Soutに基づいて判定する。被測定電流Iが所定の閾電流に比べて小さいときに、第1の磁気センサ1及び第2の磁気センサ2の出力が示す電流レベル(第1の電流レベル及び第2の電流レベル)が所定の範囲内で一致しないことを示す第1の制御信号S3(図3の例ではローレベルの第1の制御信号S3)が比較部3から出力された場合、故障検知部6は、故障の検出を示す信号S6を出力する。
図8は、故障検知部6の一例を示す図である。
図8に示す故障検知部6は、比較器61と論理ゲート63を有する。
比較器61は、第3のローパスフィルタ13の出力信号Soutと第3の閾値Vref3とを比較し、出力信号Soutが第3の閾値Vref3より高い場合にハイレベルの信号S61を出力し、出力信号Soutが第3の閾値Vref3より低い場合にローレベルの信号S61を出力する。第3の閾値Verfは、上述した所定の閾電流と等しい被測定電流Iが流れた場合の出力信号Soutのレベルに相当する。
論理ゲート63は、比較器61の出力信号S61と比較部3の第1の制御信号S3との否定論理和を演算し、その演算結果を信号S6として出力する。
出力信号Soutが第3の閾値Vref3より高い場合(被測定電流Iが所定の閾電流より大きい場合)、比較器61の出力信号S61がハイレベルになるため、論理ゲート63からローレベルの信号S6が出力される。また、比較部3の第1の制御信号S3がハイレベルの場合(第1の磁気センサ1の出力が示す第1の電流レベルと第2の磁気センサ2の出力が示す第2の電流レベルとが所定の範囲内で一致する場合)も、論理ゲート63からローレベルの信号S6が出力される。
他方、出力信号Soutが第3の閾値Vref3より小さく(被測定電流Iが所定の閾電流より小さく)、かつ、比較部3の第1の制御信号S3がローレベルの場合(第1の磁気センサ1の出力が示す第1の電流レベルと第2の磁気センサ2の出力が示す第2の電流レベルとが所定の範囲内で一致していない場合)、論理ゲート63からハイレベルの信号S6が出力される。
被測定電流Iが所定の閾電流より小さい場合、第2の磁気センサ2において磁気飽和は生じてないため、磁気センサ等が正常に動作していれば、第1の磁気センサ1の出力が示す第1の電流レベルと第2の磁気センサ2の出力が示す第2の電流レベルとが略等しくなる。すなわち、第2の磁気センサ2の出力信号S2と増幅部33で増幅された第1の磁気センサ1の出力信号S1Bとが略等しくなる。この場合、一致判定部31から出力される第1の制御信号S3はハイレベルになり、論理ゲート63からローレベルの信号S6が出力される。論理ゲート63からハイレベルの信号S6が出力されることは、磁気センサ等が正常に動作していないこと、すなわち、なんらかの故障があることを示す。
以上説明したように、本実施形態に係る電流センサでは、第1の磁気センサ1の出力S1が増幅部33において増幅されて選択部4に入力されており、2つの磁気センサ(1,2)のどちらの出力が選択部4において選択されても、選択部4から出力される信号の被測定電流Iに対する比率が同じになる。そのため、図示しない後段の回路において信号Soutを被測定電流Iの電流値に換算する場合に、選択部4の選択状態に応じて換算比率を切り換える必要がなくなり、処理を簡略化できる。
また、本実施形態に係る電流センサによれば、選択部4の後段に第3のローパスフィルタ13が設けられているため、周波数の高いノイズの影響による測定結果の変動を抑制できるとともに、比較的低速のA/D変換器を用いて精度の高い被測定電流Iのデジタル値を得ることができる。
更に、本実施形態に係る電流センサによれば、選択部4から第3のローパスフィルタ13を介して出力される信号Soutと、比較部3の比較結果を示す第1の制御信号S3とに基づいて、磁気センサ等における故障の有無を検知できる。これにより、図示しない外部の機器等に対して被測定電流Iの測定値の異常を通知できるため、測定システムの信頼性を向上できる。
本発明は上述した実施形態には限定されない。
すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
例えば、上述した各実施形態において、第1の磁気センサ1や第2の磁気センサ2は増幅器を内蔵していてもよい。特に第2の磁気センサ2が増幅器を内蔵することによって、微小な電流に対する測定感度を高めることができる。
本発明の電流センサは、磁気センサからの信号の処理に関わる部分を全てアナログ回路で実現してもよいし、その少なくとも一部をデジタル回路によって実現してもよい。
図9は、信号処理系の一部をデジタル回路に置き換えた電流センサの一例を示す図である。図9に示す電流センサは、図4に示す電流センサにおける比較部3及び選択部4をデジタル信号処理回路8によって構成したものであり、第1のローパスフィルタ11の出力信号S1Aをデジタル信号に変換する第1のA/D変換回路71、及び、第2のローパスフィルタ12の出力信号S1Bをデジタル信号に変換する第2のA/D変換回路72を有する。デジタル信号処理回路8は、専用のロジック回路やCPUが構成された1以上の集積回路を含む。
図9に示す電流センサのように、ローパスフィルタ(11,12)の出力においてA/D変換を行うことにより、比較的低速で精度の高いA/D変換回路を用いることが可能である。なお、被測定電流Iの周波数が比較的低く、ノイズの混入が少ない場合には、磁気センサ(1,2)の出力においてA/D変換を行い、ローパスフィルタ処理を含む他の信号処理をデジタル化してもよい。
上述した実施形態において、比較部は、2つの入力信号の差が所定の範囲内に含まれるか否かの判定を行う一致判定回路31(図3)を備えているが、本発明はこの例に限定されない。本発明の他の実施形態において、比較部は、例えば2つの入力信号の比に応じた信号を生成する演算回路(割り算回路等)と、その演算回路の出力信号が所定の範囲内に含まれているか否か判定する判定回路(ウィンドウコンパレータ等)を有するものでもよい。このような2つの入力信号の比を判定する比較部を設けた場合、判定回路における判定の範囲を適切に設定することにより、第1の磁気センサ1の出力を増幅する増幅部を省略することも可能である。
図7に示す電流センサの故障検知部6では、被測定電流Iが所定の閾電流に比べて小さいか否かの判定が選択部4の出力信号に基づいて行われているが、本発明はこの例に限定されない。本発明の他の実施形態では、図10において示すように種々の経路を通過した磁気センサからの信号に基づいて当該判定を行ってもよい。
図10Aは、ローパスフィルタ10を通過した磁気センサ(第1の磁気センサ1又は第2の磁気センサ2)からの信号が故障検知部6に入力される例を示す。
図10Bは、増幅部30による増幅後、ローパスフィルタ10を通過した磁気センサからの信号が故障検知部6に入力される例を示す。
図10Cは、ローパスフィルタ10を通過した後、増幅部30により増幅された磁気センサからの信号が故障検知部6に入力される例を示す。
なお、図10におけるローパスフィルタ10は、図11における第1のローパスフィルタ11や第2のローパスフィルタ12でもよいし、これとは別に設けたものでもよい。
また、図10における増幅部30は、図1,図4,図5における増幅部32や図7における増幅部33でもよいし、これとは別に設けたものでもよい。
図10の例では、磁気センサ(第1の磁気センサ1又は第2の磁気センサ2)からの信号がローパスフィルタ10の通過後に故障検知部6へ入力される例を挙げているが、本発明はこれに限定されない。故障検知部6による被測定電流Iの判定は、ノイズによる誤判定を防止するため、ローパスフィルタを通過した信号に基づいて行われることが好ましいが、ノイズの影響を無視できる場合には、ローパスフィルタを通過していない磁気センサからの信号に基づいて行われてもよい。
図7に示す電流センサにおける故障検知部6は、図1,図4,図5に示す電流センサにも設けることが可能である。この場合、故障検知部6における故障の検出は、磁気センサ(1,2)からの信号と、比較部3から出力される第1の制御信号S3とに基づいて行えばよい。
本発明は、車載用の電流センサ等に適用可能である。
1…第1の磁気センサ、2…第2の磁気センサ、3,3A…比較部、31…一致判定部、32,33…増幅部、4…選択部、5…オフディレイタイマ、6…故障検知部、8…デジタル信号処理回路、11…第1のローパスフィルタ、12…第2のローパスフィルタ、13…第3のローパスフィルタ、9…電流路、I…被測定電流、S3…第1の制御信号、S5…第2の制御信号。

Claims (8)

  1. 被測定電流に応じて生じる磁場を測定する第1の磁気センサと、
    前記被測定電流に応じて生じる磁場を測定する第2の磁気センサと、
    前記第1の磁気センサの出力及び前記第2の磁気センサの出力のうち、何れか一方の出力を選択する選択部と、
    前記第1の磁気センサの出力が示す前記被測定電流の第1の電流レベルと、前記第2の磁気センサの出力が示す前記被測定電流の第2の電流レベルとを比較する比較部と
    を備え、
    前記第1の磁気センサは、磁場の測定が可能な前記被測定電流の最大値が前記第2の磁気センサよりも大きく、
    前記第2の磁気センサは、前記被測定電流に応じて生じる磁場の測定感度が前記第1の磁気センサよりも高く、
    前記比較部は、前記第2の電流レベルと前記第1の電流レベルとが所定の範囲内で一致する場合、前記選択部において前記第2の磁気センサの出力を選択させ、前記第2の電流レベルと前記第1の電流レベルとが前記所定の範囲内で一致しない場合、前記選択部において前記第1の磁気センサの出力を選択させる第1の制御信号を出力する
    ことを特徴とする電流センサ。
  2. 前記比較部は、前記第1の電流レベルと前記第2の電流レベルとの差若しくは比が所定の範囲内に含まれる場合、前記選択部において前記第2の磁気センサの出力を選択させる前記第1の制御信号を出力し、前記差若しくは前記比が前記所定の範囲から外れる場合、前記選択部において前記第1の磁気センサの出力を選択させる前記第1の制御信号を出力する
    ことを特徴とする請求項1に記載の電流センサ。
  3. 前記選択部において選択される前記第1の磁気センサの出力が通過する第1のローパスフィルタと、
    前記選択部において選択される前記第2の磁気センサの出力が通過する第2のローパスフィルタとを備え、
    前記比較部は、前記第1のローパスフィルタを通過した前記第1の磁気センサの出力が示す前記被測定電流の第1の電流レベルと、前記第2のローパスフィルタを通過した前記第2の磁気センサの出力が示す前記被測定電流の第2の電流レベルとを比較する
    ことを特徴とする請求項2に記載の電流センサ。
  4. 前記選択部において選択される前記第1の磁気センサの出力が通過する第1のローパスフィルタと、
    前記選択部において選択される前記第2の磁気センサの出力が通過する第2のローパスフィルタと、
    前記第1の制御信号に応じた第2の制御信号を前記選択部に出力するオフディレイタイマとを備え、
    前記比較部は、前記第1のローパスフィルタを通過する前の前記第1の磁気センサの出力が示す前記被測定電流の第1の電流レベルと、前記第2のローパスフィルタを通過する前の前記第2の磁気センサの出力が示す前記被測定電流の第2の電流レベルとを比較し、
    前記オフディレイタイマは、
    前記第1の電流レベルと前記第2の電流レベルとの差若しくは比が前記所定の範囲から外れたことを示す前記第1の制御信号を入力すると、直ちに前記選択部において前記第1の磁気センサの出力を選択させる前記第2の制御信号を出力し、
    前記第1の電流レベルと前記第2の電流レベルとの差若しくは比が前記所定の範囲内に入ったことを示す前記第1の制御信号の入力が一定時間続いた場合、前記選択部において前記第2の磁気センサの出力を選択させる前記第2の制御信号を出力する
    ことを特徴とする請求項2に記載の電流センサ。
  5. 前記比較部は、
    前記第1の磁気センサの出力信号を増幅する増幅部と、
    前記増幅部において増幅された前記第1の磁気センサの出力信号と、前記第2の磁気センサの出力信号との差が所定の範囲内であるか否かを判定する一致判定部とを有し、
    前記増幅部は、前記第2の磁気センサにおいて磁場の測定が可能な前記被測定電流の最大値よりも前記被測定電流が小さい場合に、前記第1の磁気センサの出力信号を増幅した信号と前記第2の磁気センサの出力信号とが等しくなるように設定された増幅率を有する
    ことを特徴とする請求項2乃至4の何れか一項に記載の電流センサ。
  6. 前記増幅部は、前記選択部に入力される前記第1の磁気センサの出力信号を増幅する
    ことを特徴とする請求項5に記載の電流センサ。
  7. 前記第1の磁気センサの出力信号をデジタル信号に変換する第1のアナログ−デジタル変換回路と、
    前記第2の磁気センサの出力信号をデジタル信号に変換する第2のアナログ−デジタル変換回路と、
    前記第1のアナログ−デジタル変換回路の前記デジタル信号及び前記第2のアナログ−デジタル変換回路の前記デジタル信号をそれぞれ入力するデジタル信号処理回路とを備え、
    前記デジタル信号処理回路は、前記比較部及び前記選択部を含む
    ことを特徴とする請求項5又は6に記載の電流センサ。
  8. 前記第2の磁気センサにおいて磁場の測定が可能な前記被測定電流の最大値よりも小さい所定の閾電流に比べて前記被測定電流が小さいか否かを、前記第1の磁気センサの出力信号、前記第2の磁気センサの出力信号、又は、前記選択部の出力信号に基づいて判定し、前記被測定電流が前記閾電流に比べて小さいときに、前記第1の電流レベルと前記第2の電流レベルとの前記差若しくは前記比が前記所定の範囲から外れたことを示す前記第1の制御信号が前記比較部から出力された場合、故障の検出を示す信号を出力する故障検出部を有する
    ことを特徴とする請求項2乃至7の何れか一項に記載の電流センサ。
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