以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る収納用間仕切壁は、地震や津波、火災等の災害発生時に使用される災害関係物を含む収納物を内部の収納スペースに収納するためのものであって、この災害関係物が使用される建築物である学校の内部の2つの空間となっている教室と廊下を仕切るために用いられる。
図1において、学校内の教室と廊下は壁1で仕切られており、非耐力壁となっているこの壁1は、本実施形態に係る複数個の収納用間仕切壁10と、出入口11Aを有する出入口用間仕切壁11とが、これらの間仕切壁10,11の幅方向に連結されることによって形成されている。これらの収納用間仕切壁10と出入口用間仕切壁11のそれぞれは、工場で予めユニットとして製造されて施工現場に搬入され、この施工現場で設置及び連設施工されており、収納用間仕切壁10の上下端部と出入口用間仕切壁11の上下端部は、コンクリート製の天井2と床3に埋設されている配筋材にアンカー部材が溶接で結合されることにより、天井2と床3に固定され、あるいは、天井2と床3に埋設されているナットとこのナットに螺入されるボルトにより、天井2と床3に固定されている。
出入口用間仕切壁11には、出入口11Aを開閉するための引き違い式の2個の引戸12が設けられている。また、収納用間仕切壁10は、左右両側の縦枠部材13,14と、これらの縦枠部材13,14の上端間に架設された上枠部材15と、縦枠部材13,14の下端間に架設された下枠部材16と、縦枠部材13,14の上下方向2箇所の間に架設された横枠部材17,18とが構造部材となって形成されており、縦枠部材13,14と上枠部材15と横枠部材17とで囲まれる空間が、引き違い式の2個のガラス障子19Aで開閉される窓となっているとともに、縦枠部材13,14と横枠部材18と下枠部材16で囲まれる空間が、引き違い式の2個の不透明障子19Bで開閉される地窓となっている。
そして、縦枠部材13,14と横枠部材17,18とで囲まれる空間が、収納物20を収納するための収納スペースSとなっている。図2は、収納用間仕切壁10の内部に設けられている収納スペースSの構造を、収納物20を省略して示す図1のS2−S2線断面図である。この図2に示されているように、収納スペースSは、左右両側の縦枠部材13,14と、収納用間仕切壁10の厚さ方向両側の表面部材21,22とで囲まれた空間となっており、このため、収納スペースSは、左右方向については左右両側の縦枠部材13,14まで、収納用間仕切壁10の厚さ方向については、この収納用間仕切壁10の厚さ方向両側の外面を形成している表面部材21,22まで、それぞれ達する大きなスペースとなっている。
表面部材21,22のうち、前述の教室側に向いている表面部材21は、鉛直方向を軸方向とする図2の回動中心軸23を中心に回動自在となっている2個の扉25,26によって形成されており、板金の折り曲げ品であるこれらの扉25,26は、観音開き式の扉となっている。
このように表面部材21となっている本実施形態の扉25,26は、収納用間仕切壁10によって仕切られる2つの空間となっている教室と廊下のうち、廊下よりも大きい空間となっている教室側に向いているため、これらの扉25,26を開くことにより、この大きい空間へ収納スペースSに収納されている収納物20を直ちに取り出すことができるようになっていて、この教室で収納物20の前述した災害関係物を用いることができるようになっている。
図1に示されているように、2個の扉25,26のうち、一方の扉26の上下部には2個の施錠装置33が設けられ、これらの施錠装置33は、収納用間仕切壁10の側断面図を示している図4にも示されている。それぞれの施錠装置33は、収納スペースSに突出した状態で配置された板状の係止部材33Aを有し、この係止部材33Aは、施錠装置33における収納スペースS側とは反対側の表面に形成されたキー穴にキーを差し込んで回動操作することにより、上下に回動する。横枠部材17,18のうち、横枠部材17の下面には、収納用間仕切壁10の厚さ方向である幅方向の両端部に下向きに垂下した垂下部40A,40Bが形成されている縦断面チャンネル形状の横長部材40が、挟着部材61を介して溶接等で結合され、また、横枠部材18の上面には、収納用間仕切壁10の厚さ方向である幅方向の両端部に上向きに立ち上がった立上り部41A,41Bが形成されている縦断面チャンネル形状の横長部材41が、挟着部材62を介して溶接等で結合されている。上述のキー操作によりそれぞれの施錠装置33の係止部材33Aを180度回動させて、これらの係止部材33Aを横長部材40,41の垂下部40Aと立上り部41Aとに、収納スペースSの内側で収納用間仕切壁10の厚さ方向に対面させると、扉26を前述の回動中心軸23を中心に開き回動させることは、係止部材33Aが垂下部40Aと立上り部41Aに当接することにより、不可能となる。このため、扉26は、施錠装置33で施錠された状態になる。
また、図2に示されているように、扉26における扉25側の端部には、この端部の折り曲げによる被当たり部26Aが形成されているとともに、扉25における扉26側の端部には、この端部の折り曲げによる当たり部25Aが形成されており、2個の扉25,26が閉じているときには、当たり部25Aは、被当たり部26Aに、この被当たり部26Aよりも収納スペースSの内側で収納用間仕切壁10の厚さ方向に対面している。このため、扉26が上述のように施錠装置33で施錠された状態になっているときには、扉25を回動中心軸23を中心に開き回動させることは、当たり部25Aが被当たり部26Aに当たることにより、不可能となるため、扉25も施錠された状態になっている。
一方、施錠装置33の係止部材33Aをキー操作により回動させて、係止部材33Aを垂下部40Aと立上り部41Aとに、収納用間仕切壁10の厚さ方向に対面させない状態にすると、上述の施錠状態が解除されるため、扉26を回動中心軸23を中心に開き回動させることができ、また、扉25も回動中心軸23を中心に開き回動させることができる。
図2に示されているように、それぞれの扉25,26には、これらの扉25,26の収納スペースS側の面において、収納スペースS側への突出量を有する第1補強部材35が取り付けられ、また、これらの扉25,26と収納用間仕切壁10の厚さ方向に対向して配置されている表面部材22にも、この表面部材22の収納スペースS側の面において、収納スペースS側への突出量を有する第2補強部材36が取り付けられている。上下方向を長手方向としているこれらの補強部材35,36は、収納用間仕切壁10の幅方向に間隔をあけて複数個並設されており、また、これらの補強部材35,36は、収納スペースSの上下寸法より少し短い上下長さを有し、また、施錠装置33に近くに配置されている1個の第1補強部材35を除き、複数個の第1補強部材35と複数個の第2補強部材36は、互いに収納用間仕切壁10の厚さ方向に対向している。
なお、この実施形態では、第1補強部材35の収納スペースS側への突出量と、第2補強部材36の収納スペースS側への突出量は、同じになっている。これらの突出量を異ならせてもよい。
また、第1補強部材35の突出量は、表面部材22及び第2補強部材36まで達しておらず、第2補強部材36の突出量は、扉25,26及び第1補強部材35まで達していない。したがって、第1補強部材35と第2補強部材36との間には、収納物20を収納するための間隔が確保されており、このような間隔を確保することができれば、第1及び第2補強部材35,36により扉25,26と表面部材22の強度を充分に大きくしてもよい。
以上のように本実施形態では、収納用間仕切壁10の内部に収納スペースSを形成するために、この収納用間仕切壁10の厚さ方向に間隔をあけて互いに対面している2個の扉25,26と表面部材22には、収納用間仕切壁10の幅方向にそれぞれ複数個の補強部材35,36が間隔をあけて取り付けられているため、これらの扉25,26と表面部材22についての収納用間仕切壁10の厚さ方向の強度は大きくなっている。このため、これらの扉25,26と表面部材22により形成される収納スペースSについての収納用間仕切壁10の厚さ方向の強度は、確保されている。
すなわち、内部に収納スペースが設けられない通常の間仕切壁では、この間仕切壁の厚さ方向両側に配置される表面部材の間に断熱材や防音材等の充填材が充填され、これにより、それぞれの表面部材についての間仕切壁厚さ方向の強度が維持されて、間仕切壁自体の間仕切壁厚さ方向強度が確保されるようになっているが、このような充填材が充填されていないこの実施形態の収納用間仕切壁10では、一方の表面部材21を形成している2個の扉25,26と、他方の表面部材22とに補強部材35,36が取り付けられているため、これらの扉25,26と表面部材22についての収納用間仕切壁10の厚さ方向の強度を大きくすることができて、収納スペースSについての収納用間仕切壁10の厚さ方向の強度を確保することができる。
また、補強部材35,36は、扉25,26と表面部材22における収納スペースS側のそれぞれの面に、この収納スペースS側への突出量をもって取り付けられているため、収納用間仕切壁10全体の厚さ寸法は大きくならず、図1で説明したように、出入口用間仕切壁11等の他の間仕切壁を収納用間仕切壁10の幅方向の端部に連結することにより、所定厚さ寸法となっている図1の壁1を形成することができる。
さらに、それぞれ複数個の補強部材35,36が収納用間仕切壁10の幅方向に並設されて扉25,26と表面部材22に取り付けられているため、これらの扉25,26と表面部材22についての収納用間仕切壁10の厚さ方向の強度を充分大きくすることができる。
図2から分かるように、この実施形態における表面部材22は、収納用間仕切壁10の幅方向に並設された2枚の第1及び第2面状部材45,46を結合部47で結合することにより形成されており、正面視で四角形の部材となっていて、4つの辺部を有しているこれらの面状部材45,46は、板金の折り曲げ品である。図5に示されているように、第1面状部材45における第2面状部材46側の端部は、収納スペースS側に延出した第1延出部45Aと、この第1延出部45Aの先端から第2面状部材46側へ折れ曲がって延出した第2延出部45Bとにより形成され、第2面状部材46における第1面状部材45側の端部は、収納スペースS側に延出した第1延出部46Aと、この第1延出部46Aの先端から第2面状部材46の内側へ折れ曲がって延出した第2延出部46Bとにより形成されている。
これらの第1延出部45A,46A及び第2延出部45B,46Bは、収納スペースSの上下寸法である第1及び第2面状部材45,46の高さの全長又は略全長に渡って形成されており、第2延出部45B,46B同士がリベットや溶接等で結合されることにより、2枚の面状部材45,46同士が結合されている結合部47が形成されている。
このため、2枚の第1及び第2面状部材45,46におけるこの結合部47を含んで形成されている結合箇所には、上述の第1延出部45A,46Aが設けられており、これらの第1延出部45A,46Aは、正面視で四角形の部材となっている面状部材45,46における収納スペースS側へ突出する寸法を有する第1部分となっている。これらの第1部分は、補強部材36と同様に、収納スペースS側へ突出しているため、補強部材36による補強効果と共に、面状部材45,46についての収納用間仕切壁10の厚さ方向の強度を大きくしており、そして、収納用間仕切壁10全体の厚さ寸法を大きくするものにはなっていない。
なお、第1及び第2補強部材35,36は、同じ断面形状が補強部材35,36の長手方向である上下方向に連続している平断面ハット形状の板金折り曲げ製品であるため、第2補強部材36について示している図5のとおり、それぞれの補強部材35,36は、左右両側のフランジ部50と、これらのフランジ部50の内端部から収納スペースS側へ、言い換えると、収納スペースSの内側へ立ち上がった左右一対の立上り部51と、これらの立上り部51同士を連結し、フランジ部50と平行になっている連結部52とからなる。これらのフランジ部50と、左右一対の立上り部51と、連結部52とのうち、左右一対の立上り部51と連結部52とにより、補強部材35,36における収納スペースS側への突出量を有する突出部59が形成されている。
図3は、図2の一部を拡大した図であって、2枚の第1及び第2面状部材45,46の縦枠部材13,14への取付構造を示すものとして、第1面状部材45の縦枠部材13への取付構造を示したものである。面状部材45,46の縦枠部材13,14側の端部は、言い換えると、面状部材45,46における前記第1延出部45A,46A側とは収納用間仕切壁10の幅方向反対側の箇所となっている端部は、収納スペースSの内側へ延出した第3延出部53になっており、この第3延出部53の先端からは、第4延出部54が収納用間仕切壁10の幅方向外側へ延出している。縦枠部材13,14には、チャンネル材による挟着部材60が溶接等で結合されており、この挟着部材60における収納用間仕切壁10の幅方向内側へ延びるフランジ部60Aと縦枠部材13,14とで第4延出部54が挟着されることにより、面状部材45,46は、収納用間仕切壁10の厚さ方向に不動となって縦枠部材13,14に取り付けられている。
なお、第3及び第4延出部53,54は、収納スペースSの上下寸法である第1及び第2面状部材45,46の高さの全長又は略全長に渡って形成されている。
この実施形態では、第3延出部53が、面状部材45,46に収納スペースS側へ突出する寸法を有して形成されている第2部分となっており、この第2部分により、面状部材45,46についての収納用間仕切壁10の厚さ方向の強度が一層大きくなっている。
図4には、2枚の面状部材45,46の横枠部材17,18への取付構造を示すため、第2面状部材46の横枠部材17,18への取付構造が示されている。面状部材46の上端部は、収納スペースSの内側へ延出した第5延出部55と、この第5延出部55の先端から下方へ垂下した第6延出部56とにより形成され、面状部材46の下端部は、収納スペースSの内側へ延出した第7延出部57と、この第7延出部57の先端から上方へ立ち上がった第8延出部58とにより形成されている。横枠部材17の下面には挟着部材61が溶接等で結合されており、この挟着部材61の下方へ延びるフランジ部61Aと、前述した横長部材40の垂下部40Bとで第5延出部55が挟着され、また、横枠部材18の上面には挟着部材62が溶接等で結合されており、この挟着部材62の上方へ延びるフランジ部62Aと、前述した横長部材41の立上り部41Bとで第7延出部57が挟着され、これにより、表面部材22を形成している面状部材45,46は、収納用間仕切壁10の厚さ方向に不動となって横枠部材17,18に取り付けられている。
なお、第5〜第8延出部55〜58は、面状部材45,46の左右の幅方向の全長又は略全長に渡って形成されており、このため、これらの面状部材45,46からなる前述の表面部材22には、第5〜第8延出部55〜58が収納スペースSの左右の幅方向の全長又は略全長に渡り形成されていることになる。
この実施形態では、第5延出部55が、面状部材45,46に収納スペースS側へ突出する寸法を有して形成されている第3部分となっており、また、第7延出部57が、面状部材45,46に収納スペースS側へ突出する寸法を有して形成されている第4部分となっている。
このため、正面視で四角形となっているそれぞれの面状部材45,46の4つの辺部の全部に、前述の第1部分となっている第1延出部45A,46Aと、前述の第2部分となっている第3延出部53と、第3部分となっている第5延出部55と、第4部分となっている第7延出部57とが設けられていることになり、これらの部分は、収納スペースS側へ突出しているため、収納用間仕切壁10全体の厚さ寸法が大きくならずに、面状部材45,46についての収納用間仕切壁10の厚さ方向の強度をさらに一層大きくすることができ、これにより、収納スペースSについての収納用間仕切壁10の厚さ方向の強度を充分に確保することができる。
また、第1〜第4部分は、面状部材45,46の端部の折り曲げ加工により形成されており、面状部材45,46は板金の折り曲げ品であるため、第1〜第4部分を、面状部材45,46を板金の折り曲げ加工によって製造するときに、容易に形成することができる。
また、面状部材45,46からなる表面部材22と、この表面部材22と収納用間仕切壁10の厚さ方向に収納スペースSを介して対面し、2個の扉25,26で形成されている表面部材21とに、これらの表面部材21,22の強度を大きくするために取り付けられている補強部材35,36も、断面ハット形状となっている板金の折り曲げ品であるため、これらの補強部材35,36も、板金の折り曲げ加工により容易に製造することができる。
図6には、2個の扉25,26を省略した収納スペースSの正面図が示されており、この図6には、収納スペースSに上下に複数段積みされて収納されている収納物20A〜20Dも示されている。これらの収納物20A〜20Dは、前述したように、地震や津波、火災等の災害発生時に使用される災害関係物を含むものを箱等で梱包したものとなっており、災害発生時に、前述の2個の扉25,26を開くことにより、これらの扉25,26が向いていた前述の教室に収納物20A〜20Dを収納スペースSから取り出し、この教室において、災害関係物を用いることができるようになっている。
なお、収納物20Aは、多数の棒状部材70の上下部だけを、上下面の一方が開口している上下2個の浅底状箱71の内部に挿入したものになっている。
また、収納物20A〜20Dのうち、収納物20Cの幅寸法L1は、扉25,26及び表面部材22に収納用間仕切壁10の幅方向にそれぞれ複数個が並設されている第1及び第2補強部材35,36のうち、互いに隣接しているそれぞれ2個ずつの第1補強部材35、第2補強部材36の図5で説明した突出部59同士の間隔L2と同じ又はこの間隔L2よりも若干小さくなっている。また、この収納物20Cについての収納用間仕切壁10の厚さ方向の寸法は、図2から分かるように表面部材21と表面部材22の間隔と同じ又はこの間隔よりも小さいが、表面部材21と表面部材22の間隔から補強部材35,36の収納スペースS側への突出量(前述の突出部59の突出量)を差し引いた寸法よりも大きくなっている。そして、収納物20Cについての収納用間仕切壁10の厚さ方向の寸法は、他の収納物20A,20B,20Dについての収納用間仕切壁10の厚さ方向の寸法よりも大きくなっており、これらの収納物20A,20B,20Dについての収納用間仕切壁10の厚さ方向の寸法は、表面部材21と表面部材22の間隔から補強部材35,36の収納スペースS側への突出量を差し引いた寸法と同じ又はこの寸法よりも小さくなっている。
図7は、2個の扉25,26のうち、一部を省略して示した扉26の正面図である。この図7から分かるように、図2で説明した扉25,26の回動中心軸23は上下2個の軸部材23A,23Bからなる。これらの軸部材23A,23Bのうち、下側の軸部材23Bは、扉25,26に取り付けられた保持部材65に包持状態で結合され、扉25,26の下面から下方へ突出している軸部材23Bの下部は、横枠部材18に設けられた孔18Aに回動自在に上から挿入されている。また、上側の軸部材23Aは、扉25,26に取り付けられた保持部材66に包持状態で上下動可能に保持されているとともに、保持部材66の内部に収納された弾性部材であるコイルばね67により、常時上方へ付勢されており、扉25,26の上面から上方へ突出している軸部材23Aの上部は、横枠部材17に形成された孔17Aに回動自在に下から挿入されている。
これにより、扉25,26は、これらの扉25,26における縦枠部材13,14側の端部に配置された上下2個の軸部材23A,23Bによる回動中心軸23を中心として開閉自在となっている。
また、上側の軸部材23Aのうち、保持部材66から下側へ露出している下端には、摘み部68が設けられており、この摘み部68を摘むことにより、軸部材23Aをコイルばね67の弾圧力に抗して下へ引き下げることができ、この引き下げを行うと、軸部材23Aの上部を横枠部材17の孔17Aから引き抜くことができる。そして、この後に、扉25,26を上方へ持ち上げると、下側の軸部材23Bの下部を横枠部材18の孔18Aから引き抜くことができるため、扉25,26全体は、収納用間仕切壁10における扉25,25の配置箇所に対して取り付け、取り外し可能となっている。
このため、収納スペースSに収納されている収納物20A〜20Dを前述の教室に取り出すことは、扉25,26を回動中心軸23を中心に開き回動させることによって実施できるとともに、これらの扉25,26を取り外すことによっても実施できる。扉25,26を取り外した場合には、収納スペースSの開口面積を収納用間仕切壁10の幅方向に大きくすることができるため、収納スペースSに収納された収納物が、収納用間仕切壁10の幅方向に大きい寸法を有しているものであっても、この収納物の取り出しを容易に行うことができる。
扉25,26及び表面部材22にそれぞれ複数個が並設されている第1及び第2補強部材35,36は、扉26について示している図7から分かるとおり、長手方向の両端部である上下端部において、位置決め部材80により位置決めされて扉25,26及び表面部材22に配置されており、扉25,26及び表面部材22における配置箇所が補強部材35,36の上下端部となっているこれらの位置決め部材80は、扉25,26及び表面部材22に固定されている。図8は、図7のS8−S8線断面図であり、図8には、補強部材35と位置決め部材80の側面図が示され、図9には、位置決め部材80だけの側面図が示されており、図10には、位置決め部材80の平面図が示されている。
板金の折り曲げ品である位置決め部材80は、収納用間仕切壁10の厚さ方向に延びているベース部80Aと、このベース部80Aにおける収納用間仕切壁10の厚さ方向外端部から直角又は略直角に屈曲した屈曲部80Bと、この屈曲部80Bの先端から収納用間仕切壁10の厚さ方向内側へベース部80Aと平行又は略平行に延びている位置決め用テーパー部80Cと、この位置決め用テーパー部80Cの先端からベース部材80A側とは反対側へ直角又は略直角に屈曲した結合部80Dとからなる。
図8から分かるように、板金の折り曲げ品である扉25,26の上下端部には、収納スペースSの内側へ延出した内側延出部81,82が折り曲げ加工により設けられており、扉25,26に上下2個で一組をなして配置される位置決め部材80は、上側の位置決め部材80については結合部80Dを下向きとして、下側の位置決め部材80については結合部80Dを上向きとして、それぞれのベース部80Aが内側延出部81,82にリベット等の結合具83で結合されることにより、扉25,26に固定されている。また、図4で説明したように、表面部材22を形成している第1及び第2面状部材45,46の上下端部には、収納スペースSの内側へ延出した延出部55,57が設けられているため、表面部材22に上下2個で一組をなして配置される位置決め部材80は、上側の位置決め部材80については結合部80Dを下向きとして、下側の位置決め部材80については結合部80Dを上向きとして、それぞれのベース部80Aが延出部55,57にリベット等の結合具で結合されることにより、表面部材22に固定されている。
図10に示されているように、位置決め部材80の位置決め用テーパー部80Cの全体形状は、平面視で台形となっており、この位置決め用テーパー部80Cの最大幅寸法はW1であり、最小幅寸法はW2である。そして、同じ断面形状が長手方向である上下方向に連続している補強部材35,36の左右一対の立上り部51についての内幅間隔は、W3であり、最大幅寸法W1は内幅間隔W3よりも大きく、最小幅寸法W2は内幅間隔W3よりも小さい。また、最大幅寸法W1の部分と前述の屈曲部80Bとが接続され、最小幅寸法W2の部分と前述の結合部80Dとが接続されている。
以上のそれぞれの位置決め部材80は、扉25,26及び表面部材22における補強部材35,36を配置すべき位置と対応する位置に正確に前述のリベット等の結合具により固定されており、この固定時において、位置決め部材80の位置決め用テーパー部80Cは、最大幅寸法W1側が収納用間仕切壁10の厚さ方向外側で、最小幅寸法W2側が収納用間仕切壁10の厚さ方向内側となっている。また、補強部材35,36の全長は、図4から分かるように、扉25,26及び表面部材22に上下2個で一組をなして配置されたときの位置決め部材80の位置決め用テーパー部80C同士の上下間隔と同じ又はこの上下間隔よりも若干短いものになっている。
図11には、補強部材35,36を上下2個で一組をなす位置決め部材80により位置決めして扉25,26及び表面部材22に配置するための作業を代表するものとして、補強部材35を扉26に配置するための作業が示されている。この作業を行う前に、補強部材35,36の左右一対のフランジ部50における扉25,26及び表面部材22と対面する面には、予め両面粘着テープが取り付けられ、この後に、図11に示すとおり、補強部材35,36の長手方向の両端部のうち、一方の端部を扉25,26、表面部材22に近づけ、他方の端部を扉25,26、表面部材22から遠ざけることにより、補強部材35,36を扉25,26、表面部材22に対し傾ける。次いで、扉25,26、表面部材22に近づけた補強部材35,36の端部を位置決め部材80側へ移動させ、これにより、補強部材35,36の左右一対の立上り部51の内側部分を位置決め部材80の位置決め用テーパー部80Cの外面に斜め上側から当てる(図10も参照)。
これにより、補強部材35,36の長手方向の一方の端部は、上下2個で一組をなす位置決め部材80のうち、一方の位置決め部材80の位置決め用テーパー部80Cにより位置決めされることになり、次いで、扉25,26、表面部材22から遠ざけていた補強部材35,36の端部を扉25,26、表面部材22に近づけることにより、補強部材35,36を扉25,26及び表面部材22と平行又は略平行とし、この作業の途中で補強部材35,36の長手方向の他方の端部においても、他方の位置決め部材80の位置決め用テーパー部80Cの外面に補強部材35,36の左右一対の立上り部51の内側部分を斜め上側から当てる。これによって補強部材35,36の長手方向の両端部は、図12に示されているように、上下2個で一組をなす位置決め部材80により位置決めされるため、補強部材35,36全体が位置決めされることなる。
この後に、上述した両面粘着テープにより補強部材35,36を扉25,26及び表面部材22に取り付ける。なお、この取り付けは、両面粘着テープではなく、例えば、ビス等の結合具や、溶接等で行ってもよい。
また、このときには、図11及び図12から分かるように、それぞれ位置決め部材80の結合部80Dは、補強部材35,36の図5で説明した突出部59の内側に挿入された状態になっているため、これらの結合部80Dを補強部材35,36の連結部52に、この連結部52に上下に長く形成された長孔52Aと、結合部80Dに設けた孔80Eとに挿通されるリベット等の結合具84により結合する。
なお、結合具84を省略し、補強部材35,36と位置決め部材80とを結合しなくてもよい。
また、このときには、図4及び図8から分かるように、それぞれの位置決め部材80の位置決め用テーパー部80Cは、補強部材35,36の長手方向の端面と平行又は略平行になっている。
以上説明した本実施形態によると、収納用間仕切壁10の厚さ方向両側のうち、一方の表面部材21を形成している2個の扉25,26と、他方の表面部材22とに補強部材35,36が設けられているとともに、これらの補強部材35,36は位置決め部材80によって位置決めされて表面部材21,22に取り付けられているため、補強部材35,36を表面部材21,22の所定位置に配置できることになり、このため、表面部材21,22に必要とされる大きさの強度を付与することができる。
また、図6で説明した収納用間仕切壁10の収納スペースSに収納される収納物20A〜20Dのうち、収納物20Cの幅寸法L1が、前述したように、互いに隣接しているそれぞれ2個ずつの第1補強部材35、第2補強部材36の突出部59同士の間隔L2と同じ又はこの間隔L2よりも若干小さくなっていて、この収納物20Cについての収納用間仕切壁10の厚さ方向の寸法が、前述したように、図2で示す表面部材21と表面部材22の間隔と同じ又はこの間隔よりも小さく、かつ、表面部材21と表面部材22の間隔から補強部材35,36の収納スペースS側への突出量(前述の突出部59の突出量)を差し引いた寸法よりも大きくなっていても、上述の互いに隣接しているそれぞれ2個ずつの第1補強部材35、第2補強部材36は、位置決め部材80により所定位置に配置されているため、収納用間仕切壁10の厚さ方向の寸法が他の収納物20A,20B,20Dよりも大きくなっている収納物20Cを、これらの補強部材35,36と干渉させることなく、収納スペースSに収納することができる。
また、位置決め部材80は、同じ断面形状が長手方向に連続している補強部材35,36の端部に配置されているとともに、上下2個で一組をなす位置決め部材80は、補強部材35,36の長手方向の両端部に配置されているため、補強部材35,36全体を一層正確に位置決めして表面部材21,22の所定位置に配置することができる。
さらに、補強部材35,36が位置決め部材80で位置決めされて表面部材21,22に取り付けられたときには、それぞれの位置決め部材80の位置決め用テーパー部80Cは、補強部材35,36の長手方向の端面と平行又は略平行になっているため、補強部材35,36の長さを充分に長くすることができ、これにより、補強部材35,36が取り付けられる表面部材21,22の強度を充分に大きくすることができる。
すなわち、補強部材35,36が位置決め部材80で位置決めされて表面部材21,22に取り付けられたときにおいて、それぞれの位置決め部材80の位置決め用テーパー部80Cが補強部材35,36の長手方向内側へ倒れ傾斜したものとなっていると、この倒れ傾斜した分だけ補強部材35,36の全長が短くなるが、本実施形態では、それぞれの位置決め部材80の位置決め用テーパー部80Cは、補強部材35,36の長手方向の端面と平行又は略平行になっているため、補強部材35,36の長さを充分に長くすることが可能となり、このため、補強部材35,36が取り付けられる表面部材21,22の強度を充分に大きくすることができるようになる。
また、本実施形態では、2個の位置決め部材80が補強部材35,36の長手方向の両方の端部に配置されているため、これらの補強部材35,36を扉25,26、表面部材22に対し傾けて、補強部材35,36の一方の端部において、左右一対の立上り部51の内側部分を位置決め用テーパー部80Cの外面に当てることは、2個の位置決め部材80のどちらについても行えることになる。このため、これらの位置決め部材80のうちから、補強部材35,36に対する作業者の位置関係等による作業のしやすさ等に基づき、作業者は補強部材35,36を先に位置決めするために用いる位置決め部材80を、前記2個の位置決め部材80から任意に選択できることになり、このため、補強部材35,36の位置決め作業を容易に行うことができるようになる。
なお、以上説明した実施形態では、図4に示されているように、表面部材21に配置された補強部材35及びこの補強部材35を位置決めするための位置決め部材80は、表面部材22まで達する間仕切壁10の厚さ方向の寸法を有していないとともに、表面部材22に配置された補強部材36及びこの補強部材36を位置決めするための位置決め部材80も、表面部材21まで達する間仕切壁10の厚さ方向の寸法を有していないが、これらの補強部材35,36及びこれらの補強部材35,36を位置決めするための位置決め部材80を、表面部材22,21まで達する間仕切壁10の厚さ方向の寸法を有するものとしてよい。
また、表面部材21に配置される位置決め部材80を表面部材22まで達する間仕切壁10の厚さ方向の寸法を有するものとし、表面部材22に配置される位置決め部材80を表面部材21まで達する仕切壁10の厚さ方向の寸法を有するものとする場合には、これの位置決め部材80に、例えば、仕切壁10の厚さ方向外側に窪んだ位置決め用窪み部を形成し、この位置決め用窪み部により補強部材35,36の位置決めを行うようにしてもよく、あるいは、補強部材35,36と位置決め部材80とを、例えば、間仕切壁10の幅方向に隣接して配置し、補強部材35,36を位置決め部材80より表面部材21,22の所定位置に位置決めして配置するようにしてもよい。
さらに、補強部材35,36及び位置決め部材80についての間仕切壁10の幅方向の寸法や上下寸法等は、任意である。
また、本実施形態では、初めに表面部材21,22に位置決め部材80を取り付ける作業を行い、次いで、位置決め部材80により補強部材35,36を位置決めして表面部材21,22に配置する作業を行うが、これらの作業を行う場所は任意であり、これらの作業を予め間仕切壁10等を生産する工場で行ってもよく、間仕切壁10を設置する間仕切壁設置現場で行ってもよい。前者によると、補強部材35,36の位置決め部材80による正確な位置決め作業を行え、また、補強部材35,36及び位置決め部材80を表面部材21,22と一体化にして間仕切壁設置現場に搬送できるという効果を得られる。