JP6187857B2 - 転写装置、及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
この移動手段には、中間転写ベルトに向けて2次転写ローラを付勢する付勢手段と、この付勢手段の付勢力に抗して中間転写ベルトから離間させたり、付勢手段の付勢力により接触させたりするように2次転写ローラを移動させるカムとを設けている。このカムは、2次転写ローラと中間転写ベルトを介して対向する2次転写対向ローラを回転自在に支持する回転軸に設けられた板カムである。そして、2次転写ローラの回転軸に設けられた従節(コロ)に対向、又は接触する位置の外周面とカムの回転中心との距離(以下、カム半径という)を回転して変化させ、カムに接触した従節の位置を移動させる。このように従節を移動させることで、2次転写ローラと2次転写対向ローラとの軸間距離を変えて2次転写ローラを移動させている。
移動手段は、上記のように構成したカムを回転させて従節に対向する外周面のカム半径を変化させ、2次転写ローラと2次転写対向ローラとの軸間距離を変えて2次転写ローラを移動させ、中間転写ベルトと2次転写ローラとを接離させている。
したがって、ニップ圧が生じた状態の2次転写ニップ部に記録媒体を進入させる転写装置よりも、厚紙が進入する際のニップ圧の急激な上昇を低減してショックジターの発生を抑制するとともに、転写圧不足に起因した画質低下も抑制できるというものである。
中間転写ベルトと2次転写ローラを当接させて2次転写ニップ部にニップ圧を生じさせ始める動作時と、その後、必要ニップ圧位置まで2次転写ローラを中間転写ベルトに向け移動させる加圧動作時とのカムの角速度が目標角速度で一定である。そして、これらの動作時の2次転写ローラの移動速度は、上記した特許文献1の構成に対応したタイミングチャート(特許文献1の図11)に記載されたカム半径の時間変化と、カムの角速度が一定であることから、ほぼ一定の移動速度であるものと考えられる。
以下、本発明を適用した画像形成装置の第1の実施形態(以下、実施形態1という)について説明する。
図1は、本実施形態1に係る画像形成装置である複写機500の概略構成図である。
この複写機500は、複写機本体100と、複写機本体100を載置する給紙テーブル200と、複写機本体100上に取り付けられたスキャナ300と、このスキャナ300上に取り付けられた原稿自動搬送装置(ADF)400とから主として構成されている。
まず、図1の原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットするか、又は原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じて原稿を押さえる。この状態で、図示省略した起動スイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動した後、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは直ちにスキャナ300が駆動する。そして、第1走行体33及び第2走行体34を走行し、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光を受け、これを第2走行体34に向けて反射し、第2走行体34のミラーで反射光を更に反射する。この反射した反射光を結像レンズ35を通して読取センサ36に入射させ、読取センサ36で原稿内容を読み取る。
次に本実施形態1の複写機500の特徴部である、中間転写ベルト20に対して2次転写ローラ22を接離させるように、移動させる移動手段を有した転写装置である2次転写装置21について、複数の実施例を挙げて説明する。
まず、本実施形態1における2次転写装置21の実施例1について図を用いて説明する。
図2は、本実施例に係る複写機本体100の2次転写装置21とその周囲構成の説明図である。
同図において、中間転写ベルト20の内周面側で自らの周面に中間転写ベルト20を部分的に掛け回している2次転写対向ローラ16は、変形自在な中間転写ベルト20を自らの周面でバックアップして一定の曲率に沿った形状に維持する役割を担っている。中間転写ベルト20における2次転写対向ローラ16に対する掛け回し箇所には、2次転写ローラ22が中間転写ベルト20の外周面側から当接して2次転写ニップ部を形成される。
同図において、2次転写ローラ22は、ローラ部22Aと、これの軸線方向の両端面からそれぞれ突出して回転軸線方向に延在する第1軸部材22B及び第2軸部材22Cと、後述する従節として機能する第1空転コロ22D及び第2空転コロ22Eとを有している。また、ローラ部22Aは、円筒状の中空芯金22aと、これの周面に固定された弾性材料からなる弾性層22bと、これの周面に固定された表面層22cとを具備している。
弾性層22bについては、JIS−A硬度で70[°]以下にすることが望ましいが、ローラ部22Aには、クリーニングブレード64を当接させていることから、弾性層22bが柔らかすぎると様々な不具合を引き起こしてしまう。このため、弾性層22bについては、JIS−A硬度で40[°]以上にすることが望ましい。
なお、複写機500では、上記したように、2次転写ローラ22にクリーニングブレード64を当接させる都合上、2次転写ローラ22のローラ部22Aの材料として、弾性に富む材料を使用することが困難である。そこで、2次転写ローラ22の代わりに、2次転写対向ローラ16のローラ部16Bを弾性変形させるようにしている。
図4は、シートPとして普通紙P1を進入させる直前の2次転写ニップ部の状態を示す模式図、図5は、シートPとして厚紙P2を進入させる直前の2次転写ニップ部の状態を示す模式図である。
本実施例の2次転写装置21では、図4に示すように中間転写ベルト20に2次転写ローラ22が当接した状態と、図5に示すように中間転写ベルト20から2次転写ローラ22が離間した状態とを、各カム75,76を回転させることで切り替えている。
そして、中間転写ベルト20に向けた2次転写ローラ22の接触動作時の移動速度を、少なくとも加圧動作時の移動速度よりも遅くなるように構成し、接触動作時に厚紙P2を転写ニップ部に進入させるように構成した。
よって、加圧動作時と接触動作時の2次転写ローラの移動速度が同じ従来の2次転写装置よりも、2次転写ニップ部に厚紙P2が進入する際の衝撃を低減でき、ショックジター等の画質低下を抑制する抑制効果を、さらに高めることができる。
すなわち、中間転写ベルト20に対して2次転写ローラ22を接離させる2次転写装置であって、2次転写ニップ部に厚紙P2等のシートPを進入させる際の衝撃を低減し、従来よりもショックジター等の画質低下を抑制できる2次転写装置21を提供できる。
また、第1カム75や第2カム76を、2次転写対向ローラ16を回転自在に支持する貫通軸部材16Aに保持させているので、次のような効果も奏する。2次転写ローラ22を移動させる第1カム75や第2カム76を保持する部材を、2次転写対向ローラ16の回転軸である貫通軸部材16Aとは別に設ける構成よりも、転写装置をコンパクト化できる。また同時に、部品点数を減らして転写装置の低コスト化が可能となる。
ここで、図6、図7では、中間転写ベルト20に接触した際の2次転写ローラ22の位置を基準として、図中、縦軸の0とし、上側の範囲が離間、下側の範囲が当接を表している。そして、離間時には中間転写ベルト20に対する2次転写ローラ22の離間距離が縦軸の値となり、当接時には中間転写ベルト20に対する2次転写ローラ22の食い込み量が縦軸の値となる。すなわち、上側に行くほど中間転写ベルト20に対する2次転写ローラ22の離間距離が広がり、下側に行くほど中間転写ベルト20に対する2次転写ローラ22の食い込み量が増加する。
図6に示すように、この例では2次転写ローラ22を中間転写ベルト20に向けて移動させる、接触動作時(2次転写ローラ22と中間転写ベルト20とが厚紙P2を介して接触する瞬間)の移動速度を、接触動作後の加圧動作時の移動速度よりも遅くした。すなわち、図6に示す2次転写ローラ22の位置を示した線分の傾きがa1<a2となるように構成した。
このように構成することで、上記したように2次転写ニップ部に厚紙P2が進入する際の衝撃を低減でき、ショックジター等の画質低下を抑制する抑制効果を、さらに高めることができる。
厚紙P2の画像形成領域Gが、2次転写ニップ部を通過したら、中間転写ベルト20から2次転写ローラ22を離間させる離間動作に移行し、上記した一連の接触動作、加圧動作、及び離間動作を、厚紙P2が通紙される毎に繰り返す。
また、当接動作時において接触動作時の移動速度のみを、他の近接動作時、及び加圧動作時の移動速度よりも遅くしている。このように接触動作時の移動速度のみを遅くすることで、ショックジター等を抑制する高画質化に加え、当接動作時に要する時間を、他の接近動作、及び加圧動作を速くすることで短することができ、高速化が可能な2次転写装置を提供できる。
図8は、当接動作を近接動作、接触動作、及び加圧動作に分けた場合のカム線図の例である。図9は、第1カム75の回転位置が0[deg]付近の2次転写対向ローラと2次転写ローラとが離間した状態の斜視説明図、図10は、第1カム75の回転位置が0[deg]付近の第1カム75とコロ、及び2次転写対向ローラと2次転写ローラの状態説明図。図11は、カムの回転位置が70[deg]付近の2次転写対向ローラと2次転写ローラとが離間した状態の斜視説明図、図12は、カムの回転位置が70[deg]付近のカムとコロ、及び2次転写対向ローラと2次転写ローラの状態説明図である。
次に、本実施形態1における2次転写装置21の実施例2について図を用いて説明する。
本実施例と上記した実施例1の2次転写装置21では、移動手段に設けたカムを回転させる際の角速度と、カムの形状に係る点のみ異なる。したがって、上記した実施例1の2次転写装置21と同様な構成動作については、適宜、省略して説明する。
図19は、本実施例に係る厚紙P2を進入させる直前の2次転写ニップ部の状態を示す模式図である。
加えて、ステッピングモータからなるカム駆動モータ79を用いて、狙った2次転写ローラの移動速度を容易に得ることができるので、各偏心カム85,86等の単純な形状のカムを用いいてカムの低コスト化も図れる。
また、2次転写ローラ22を移動させる移動手段に、第1カム75や第1偏心カム85等のカムを用いた構成について説明したが、本発明はものような構成に限定されるものではない。例えば、リンク機構の駆動源にステップングモータやソレノイド等を用いた構成にも適用可能である。
表面にトナー画像を担持する感光体ドラム等の像担持体と転写ローラとを備え、像担持体と転写ローラとの間の転写ニップ部に進入した記録媒体に、像担持体上に担持したトナー画像を転写する装置、所謂直接転写方式の画像形成装置においても同様の課題がある。このような直接転写方式の画像形成装置にも、本発明は適用可能であり、本発明を適用することで、転写ニップ部に記録媒体を進入させる際の衝撃を低減し、従来よりもショックジター等の画質低下を抑制できる転写装置を提供できる。また、この転写装置を備えることで、転写ニップ部に記録媒体を進入させる際の衝撃を低減し、従来よりもショックジター等の画質低下を抑制できる直接転写方式の画像形成装置を提供することができる。
以下、本発明を適用した画像形成装置の第2の実施形態(以下、実施形態2という)について説明する。
本実施形態2に係る画像形成装置である複写機500は、上記した実施形態1の複写機とは、以下の構成に係る点のみ異なり、他の構成は実施形態1の複写機と同様であるので、本実施形態2では、複写機500の全体構成や動作等については、その説明を省略する。
また、実施形態1と同様な構成、及び、その作用・効果については、適宜、省略して説明する。また、実施形態1の複写機の構成部材と同様な機能を果す構成部材、及び同一な構成部材については、特に区別する必要がない限り、同一の符号を付して説明する。
以下に、上記した本実施形態2が実施形態1と異なる点について、図を用いて説明する。
像担持体である中間転写ベルト20上のトナー像を記録媒体であるシートPに2次転写するときに、2次転写ニップ部の入口近傍でシートPと中間転写ベルト20との間で放電が発生し、転写チリや転写ブレという異常画像が発生することがある。
例えば、特許文献2には、2次転写ニップ部にシートを案内するガイド部材の先端を、シートの後端が通過する際に、シートと中間転写ベルトとが衝突する衝撃により発生するトナー像乱れを良好に抑制するために、次のような構成が記載されている。中間転写ベルトを内周側から押圧する押下げローラを押圧方向に関して変位可能に設け、シートの後端がガイド部材の先端を通過するタイミングで押下げローラが変位するように制御する。このように中間転写ベルトを押下げることで、2次転写ニップ部の入口近傍で、中間転写ベルトとシートとの近接により発生する転写チリや転写ブレという異常画像を抑止することができるというものである。
押下げローラを押圧方向に変位させる際に、中間転写ベルトのテンションが急激に変化し中間転写ベルトに振動が発生することで転写チリとは異なる異常画像が発生するという不具合である。
そこで、本実施形態2では、2次転写ニップ部の入口近傍で、中間転写ベルト20とシートPの近接により発生する転写チリや転写ブレという異常画像を抑止することができる2次転写装置21を提供することを目的として、2次転写装置21を次のように構成した。
なお、本実施形態2では、上ガイド部材92を2次転写装置21の支持側板(不図示)に支持させているが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、複写機本体100の側板等に支持させても良い。
よって、中間転写ベルト20からシートPへのトナー像の2次転写は、両ローラの回転軸の軸間を結ぶ位置(以下、軸間位置という)で行われる。そして、この軸間位置よりも僅かに中間転写ベルト20の移動方向上流側において、中間転写ベルト20の表面と、2次転写ローラ22との間に空隙が形成されていると、空隙(以下、ギャップという)で放電が発生する。これにより、2次転写ニップ部に進入する前の中間転写ベルト20の領域に担持されたトナー像中のトナーが散って転写チリを引き起こしてしまう。
押下げローラ91が、中間転写ベルト20の内周側から中間転写ベルト20を2次転写ローラ22に向けて押下げることで、中間転写ベルト20を2次転写ローラ22に強制的に巻き掛けている。この巻き掛けにより、2次転写ローラ22と2次転写対向ローラ16による2次転写ニップ部よりも中間転写ベルト20のベルト移動方向上流で、中間転写ベルト20と2次転写ローラ22とでプレニップ部を形成している。そして、この結果として、2次転写ニップ部をベルト移動方向上流側に広げている。
しかし、シートPの後端が上ガイド部材92の先端を通過するとシートPは復元力により中間転写ベルト20と近接し、微小ギャップによる放電で転写チリを引き起こしてしまう。そこで、本実施形態2の2次転写装置21では、詳細は後述するが、2次転写ローラ22をシートPの後端で任意の量だけ押下げることで転写チリを抑制するように構成している。
同図において、2次転写ローラ22は、ローラ部22Aと、これの軸線方向の両端面からそれぞれ突出して回転軸線方向に延在する第1軸部材22B及び第2軸部材22Cと、後述する従節として機能する第1空転コロ22D及び第2空転コロ22Eとを有している。また、ローラ部22Aは、円筒状の中空芯金22aと、これの周面に固定された弾性材料からなる弾性層22bとを具備している。
2次転写ローラ22に図示しないクリーニングブレードを当接させる場合は、弾性層22bが柔らかすぎると様々な不具合を引き起こしてしまう。よって、弾性層22bについては、JIS−A硬度で40[°]以上にすることが望ましい。
2次転写ローラ22にクリーニングを持たせない場合は、弾性層22bを柔らかくすることができ、柔らかくすることで2次転写ニップ部にシートPが突入脱出する際の衝撃による異常画像を低減できる。
また、2次転写ローラ22の弾性層22bは、導電性を発揮するゴム材料として、導電性のエピクロルヒドリンゴムや、カーボンを分散せしめたEPDMやSiゴム、イオン導電機能を有するNBR、ウレタンゴムなどが使用されてもよい。中空芯金22aの周面上に固定された弾性層22bは、7.5[LogΩ]程度の抵抗を発揮するように、抵抗値が調整された導電性ゴム材料から構成されている。
また、弾性層22bは、両端部の外径よりも中央部の外径が大きいタイコ形状にしている。このようなタイコ形状にすることにより、付勢コイルバネ65(図22参照)によって、2次転写ローラ22が中間転写ベルト20に向けて付勢されて2次転写ニップ部を形成するときに、撓みが発生して中央部の圧が抜けるのを防止することも可能となる。
そして、上記のような構成の2次転写ローラ22は、2次転写対向ローラ16に掛け回されている中間転写ベルト20に向けて付勢コイルバネ65の付勢力により付勢されている。
中空芯金16aの周面上に固定された弾性層16bは、6.0[LogΩ]以下の抵抗となるようなEPゴム材料から構成されている。また、弾性層16bを構成するゴム材料としては、JIS−A硬度で70[°]程度の弾性を発揮するようにEPゴムを用いている。
上記構成にすることで、カム駆動モータ79を駆動することにより、貫通軸部材16Aを回転させることが可能である。この際、貫通軸部材16Aを回転させても、ローラ部16Bについては貫通軸部材16A上で自在に空転させることが可能であるので、中間転写ベルト20によるローラ部16Bの連れ回りを阻害することはない。
貫通軸部材16Aが所定の回転角度で回転を停止させると、第1カム75及び第2カム76はそれぞれ、そのカム部が2次転写ローラ22の軸上に配置された第1空転コロ22D及び第2空転コロ22Eに突き当たる。そして、2次転写ローラ22をローラユニット保持体60(図22参照)を上方へ付勢する付勢コイルバネ65の付勢力に抗して押し返す。これにより、2次転写ローラ22を2次転写対向ローラ16(ひいては中間転写ベルト20)から遠ざける方向に移動させることで、2次転写対向ローラ16と2次転写ローラ22との軸間(回転軸)距離を調整する。
上記のように構成することで、高圧電源94から出力される2次転写バイアスは、導電性の第1軸受73を介して2次転写対向ローラ16に導かれる。そして、2次転写対向ローラ16内では、金属製の貫通軸部材16Aと、金属製の玉軸受け16cと、金属製の中空芯金16aと、導電性の弾性層16bとを順に伝わっていく。
以下、2次転写対向ローラ16の回転軸と2次転写ローラ22の回転軸との距離が増すように、第1カム75及び第2カム76の回転位置を変更する動作を押し下げ動作という。
上記したように、2次転写対向ローラ16の貫通軸部材16Aに固定された第1カム75及び第2カム76は所定の回転角度位置で、第1空転コロ22D及び第2空転コロ22Eに突き当たるようになっている。
図22は、シートPを上ガイド部材92で案内しながら2次転写を行っているときの説明図、図23は、シートPの後端が上ガイド部材の先端を通過するタイミングの説明図、図24は、シートPの後端が2次転写ニップ部を通過した後の説明図である。図25は、当接動作を接触動作、及び加圧動作に分け、上ガイド部材92の先端をシートPの後端が通過するときに押し下げ動作を行う場合の、2次転写ローラ22位置の移動と上ガイド部材92の先端を通過するシートPのタイミングの一例である。
なお、本実施形態2では、操作パネル等の入力手段により利用者が入力した各給紙カセット44毎の紙種や紙厚の情報を本体制御部から取得するが、複写機本体100や2次転写装置21に、紙厚や紙種(紙のコシ)を検知するセンサを設けてもよい。
一方、通紙するシートPの紙厚が厚くない場合や、シートPがコシが強い紙種でない場合には、シートPの後端が上ガイド部材92の先端を通過するタイミングでの押下げ動作は行わない。このようにな場合は、図22に示した通常の2次転写圧を与えて2次転写を行なっている状態から、図24に示す中間転写ベルト20と2次転写ローラ22とが離間する離間位置までへ各カム75,76を回転させる。もしくは、2次転写を行うときに、図22に示す通常印刷状態を保つ。
例えば、中間転写ベルト20にシートPを介して2次転写ローラ22を当接させる当接動作を接触動作、及び加圧動作に分けた場合には、中間転写ベルト20に向けた2次転写ローラ22の移動速度を、実施形態1で図6を用いて説明したように変化させる。すなわち、中間転写ベルト20にシートPを介して2次転写ローラ22を接触させる接触動作時の移動速度を、接触動作後さらに2次転写ローラ22を移動して所定のニップ圧を生じさせる加圧動作時の移動速度よりも遅なるように各カム75,76を回転させる。そして、接触動作時に、2次転写ニップ部へシートPを進入させる。このように構成することで、2次転写ニップ部にシートPを進入させる際の衝撃を低減し、従来よりもショックジター等の画質低下を抑制できる。
その後、シートPの搬送にともない、2次転写ニップ部でのシートPへの2次転写が進行し、シートPの後端が上ガイド部材の先端を通過するタイミングに合わせて、図22の状態から図23に示す状態まで各カム75,76を回転させた後、停止させる。すなわち、各カム75,76のカム位置:Aと2次転写ローラ22の各空転コロ22D,22Eとが当接する位置で、各カム75,76の回転を停止する。
この各カム75,76が回転を停止した状態(カム位置)を、シートPの後端が上ガイド部材92の先端を通過した後、シートPの後端又はシートPの画像形成領域:Gが2次転写ニップ部を通過するまで維持する。その後、シートPの後端又はシートPの画像形成領域:Gが2次転写ニップ部を通過したら、図24に示す各カム75,76のカム位置:Bと2次転写ローラ22の各空転コロ22D,22Eとが当接する位置まで各カム75,76を回転させて停止させる。そして、次の2次転写、つまり画像形成に備える。
なお、図24に示す中間転写ベルト20と2次転写ローラ22との隙間は、1〜3mm程度であることが望ましい。
(態様A)
トナー画像を担持する中間転写ベルト20などの像担持体と、2次転写ローラ22などの転写ローラと、前記像担持体に対して当接して2次転写ニップ部などの転写ニップ部を形成する状態と離間した状態とに、前記転写ローラを移動させるローラユニット保持体60や付勢コイルバネ65などから構成される移動手段とを有し、前記転写ニップ部に進入した厚紙P2などの記録媒体に、前記像担持体上に担持されたトナー画像を転写する2次転写装置21などの転写装置において、前記移動手段は、前記像担持体に前記記録媒体を介して前記転写ローラを接触させる接触動作時に、前記転写ローラが前記像担持体に向けて移動する移動速度を、前記接触動作後、前記像担持体に向けて、さらに前記転写ローラが移動して所定のニップ圧を生じさせる加圧動作時に、前記転写ローラが前記像担持体に向けて移動する移動速度よりも遅くし、前記接触動作時に、前記転写ニップ部へ前記記録媒体を進入させることを特徴とするものである。
ニップ圧が生じ始める接触動作時に、記録媒体を転写ニップ部に進入させるので、ニップ圧が生じた状態の転写ニップ部に記録媒体を進入させる転写装置よりも、厚紙が進入する際に生じるニップ圧の急激な上昇を低減できる。したがって、ニップ圧が生じた状態の転写ニップ部に記録媒体を進入させる転写装置よりも、記録媒体を転写ニップ部に進入させる際のショックジターの発生を抑制できる。
よって、トナー画像を担持する像担持体に対して転写ローラを接離させる転写装置であって、転写ニップ部に記録媒体を進入させる際の衝撃を低減し、従来よりもショックジター等の画質低下を抑制できる転写装置を提供できる。
(態様A)において、前記像担持体は、中間転写ベルト20などの中間転写体であることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態1(又は実施形態2)で説明したように、複写機500などの中間転写方式の画像形成装置に用いる転写装置で、(態様A)の効果を得ることが可能となる。
(態様A)又は(態様B)において、ローラユニット保持体60や付勢コイルバネ65などから構成される前記移動手段は、第1カム75や第2カム76などのカムを有しており、前記カムの回転により2次転写ローラ22などの前記転写ローラを移動させることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態1(又は実施形態2)で説明したように、転写ローラの移動手段としてカムを用いることで簡易な構成で転写ローラを移動させることが可能となり、(態様A)の効果を得ることができる転写装置の低コスト化が可能となる。
(態様C)において、2次転写ローラ22などの前記転写ローラに中間転写ベルト20などの前記像担持体を介して対向する2次転写対向ローラ16などの2次転写対向ローラを有し、第1カム75や第2カム76などの前記カムは、前記2次転写対向ローラを回転自在に支持する貫通軸部材16Aなどの回転軸に保持されていることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態1(又は実施形態2)で説明したように、次のような転写装置を提供できる。2次転写ローラを移動させるカムを保持する部材を、2次転写対向ローラの回転軸とは別に設ける構成よりも、転写装置をコンパクト化できるとともに、部品点数を減らして転写装置の低コスト化が可能となる。
(態様C)又は(態様D)において、第1カム75や第2カム76などの前記カムは、回転する角速度が一定であり、貫通軸部材16Aなどのその回転中心から2次転写ローラ22などの前記転写ローラを移動させる第1空転コロ22Dや第2空転コロ22Eなどの従節に接触する箇所までの距離の単位時間当りの変化量を、前記加圧動作時に比べて、前記接触動作時に小さくなるように構成されていることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態1(又は実施形態2)で説明したように、回転させる際の角速度を一定にするカムのカム半径を変化させることで、加圧動作時と接触動作時との中間転写体に向かう転写ローラの移動速度を変更することができる。したがって、中間転写ベルト20などの像担持体の駆動部と同一の駆動源を用いてカムを回転駆動することが可能となり、カム駆動モータ79などの専用の駆動源を減らして複写機500などの画像形成装置のコンパクト化、及び低コスト化が可能となる。
(態様C)又は(態様D)において、ローラユニット保持体60や付勢コイルバネ65などから構成される前記移動手段は、第1偏心カム85や第2偏心カム86などの前記カムを回転させるステッピングモータからなるカム駆動モータ79などのモータを有しており、前記モータは、前記カムを回転させる角速度を、前記加圧動作時に比べて、前記接触動作時に遅くすることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態1(又は実施形態2)で説明したように、次のような転写装置を提供できる。ステッピングモータなどのモータを用いて、カムを回転させる回転位置と、回転させる際の角速度を高精度に制御でき、従節に接触するカム半径の単位時間当りの変化量を高精度に制御して2次転写ローラ22などの2次転写ローラの移動速度を高精度に制御できる。したがって、狙った2次転写ローラの移動速度を容易に得ることが可能となる。また、狙った2次転写ローラの移動速度を容易に得ることができるので、偏心カムなどの単純な形状のカムを用いいてカムの低コスト化も図れる。
(態様A)乃至(態様F)のいずれかにおいて、ローラユニット保持体60や付勢コイルバネ65などから構成される前記移動手段は、前記接触動作時に2次転写ローラ22などの前記転写ローラを移動させる移動速度が、それ以外の前記転写ローラを中間転写ベルト20などの前記像担持体に向けて移動させる接近動作や加圧動作などの動作時の移動速度よりも遅くすることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態1(又は実施形態2)で説明したように、次のような転写装置を提供できる。像担持体に対して転写ローラを当接させて所定のニップ圧を生じさせる当接動作時に、接触動作時のみ移動速度を遅くすることで、転写ローラへの影響を小さくすることが可能となるため、高画質化及び、高速化が可能な転写装置を提供することができる。
(態様D)乃至(態様G)のいずれかにおいて、中間転写ベルト20などの前記中間転写体と2次転写ローラ22などの前記転写ローラとの間にシートPなどの前記記録媒体を進入させる際に前記記録媒体をガイドする上ガイド部材92などのガイド部材を備え、ローラユニット保持体60や付勢コイルバネ65などから構成される前記移動手段は、前記記録媒体の後端が前記ガイド部材のシート搬送方向などの記録媒体搬送方向下流側端を通過するタイミングに合わせ、2次転写対向ローラ16などの前記2次転写対向ローラの貫通軸部材16Aなどの回転軸と前記転写ローラの第1軸部材22Bや第2軸部材22Cなどの回転軸との距離が増すように第1カム75や第2カム76などの前記カムの回転位置を変更する押し下げ動作を行うことを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態2で説明したように、ガイド部材の記録媒体搬送方向下流側端を通過した記録媒体の転写ニップ部の入口上流側での姿勢を、中間転写体から離れる方向に変えることができる。
よって、転写ニップの入口近傍で、像担持体と記録媒体の近接により発生する転写チリや転写ブレという異常画像を抑止することができる2次転写装置21などの転写装置を提供することができる。
(態様H)において、シートPなどの前記記録媒体の紙種及び紙厚の一方、又は両方に応じて、前記押し下げ動作の実行の可否を判断することを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態2で説明したように、転写チリや転写ブレが発生する可能性がある紙種や紙厚のみで押し下げ動作を行うことができ、効率的に転写チリや転写ブレなどの異常画像を抑制できる2次転写装置21などの転写装置を提供することができる。
(態様H)又は(態様I)において、シートPなどの前記記録媒体の紙厚の情報を取得するシート情報取得手段などの記録媒体情報取得手段を備え、前記記録媒体情報取得手段により記録媒体の紙厚が所定の厚さ以上であるとの情報が取得された場合に、前記押し下げ動作を実行することを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態2で説明したように、転写チリや転写ブレは厚紙で発生しやすいため、発生しやすい厚紙のみ行うため効率的に異常画像を抑制することができる。
(態様H)乃至(態様J)のいずれかにおいて、第1カム75や第2カム76などの前記カムの回転位置を変更して2次転写対向ローラ16などの前記2次転写対向ローラの貫通軸部材16Aなどの回転軸の軸心と2次転写ローラ22などの前記転写ローラの第1軸部材22Bや第2軸部材22Cなどの回転軸の軸心との距離を増す量を、シートPなどの前記記録媒体の紙種及び紙厚の一方、又は両方に応じて変更することを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態2で説明したように、紙種や紙厚に応じて押下げ量を変更することで、最適な条件で効率的に異常画像を抑制することができる。
トナー画像を担持する中間転写ベルト20などの像担持体と、2次転写ローラ22などの転写ローラと、前記像担持体に対して当接して2次転写ニップ部などの転写ニップ部を形成する状態と離間した状態とに、前記転写ローラを移動させるローラユニット保持体60や付勢コイルバネ65などから構成される移動手段とを有した転写装置を備えた複写機500などの画像形成装置において、前記転写装置として、(態様A)乃至(態様K)のいずれかの2次転写装置21などの転写装置を備えたことを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態1(又は実施形態2)で説明したように、(態様A)乃至(態様K)のいずれかの転写装置と同様な効果を奏することができる画像形成装置を提供できる。
11 画像形成ユニット
12 感光体ドラム
13 1次転写ローラ
14,15 支持ローラ
16 2次転写対向ローラ
16A 貫通軸部材
16B ローラ部
16a 中空芯金
16b 弾性層
16c 玉軸受け
17 クリーニング装置
18 露光装置
20 中間転写ベルト
21 2次転写装置
22 2次転写ローラ
22A ローラ部
22B 第1軸部材
22C 第2軸部材
22D 第1空転コロ
22E 第2空転コロ
22a 中空芯金
22b 弾性層
22c 表面層
23 張架ローラ
24 搬送ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
30 原稿台
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取センサ
42 給紙ローラ(給紙テーブル)
43 ペーパーバンク
44 給紙カセット
45 分離ローラ(給紙テーブル)
46 給紙路(給紙テーブル)
47 搬送ローラ
48 給紙路(複写機本体)
49 レジストローラ
50 給紙ローラ(手差しトレイ)
51 手差しトレイ
52 分離ローラ(手差しトレイ)
53 手差し給紙路
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排紙トレイ
60 ローラユニット保持体
60a 回動軸
61 固形潤滑剤
62 コイルバネ(潤滑剤押し当て器)
63 潤滑剤押し当て器
64 クリーニングブレード
65 付勢コイルバネ
71 第1側板
72 第2側板
73 第1軸受け
74 第2軸受け
75 第1カム
75a カム部
75b コロ部
75c ネジ
76 第2カム
77A 駆動出力プーリ
77B 駆動受入プーリ
78 タイミングベルト
79 カム駆動モータ
85 第1偏心カム
86 第2偏心カム
91 押し下げローラ
92 上ガイド部材
93 下ガイド部材
94 高圧電源
95 カム角度検知手段
96 光学センサ
97 被検知円盤
98 被検部
99 センサブラケット
100 複写機本体
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置
500 複写機
G 画像形成領域
L 書込み光
P シート
P1 普通紙
P2 厚紙
Claims (12)
- トナー画像を担持する像担持体と、転写ローラと、前記像担持体に対して当接して転写ニップ部を形成する状態と離間した状態とに、前記転写ローラを移動させる移動手段とを有し、前記転写ニップ部に進入した記録媒体に、前記像担持体上に担持されたトナー画像を転写する転写装置において、
前記移動手段は、前記像担持体に前記記録媒体を介して前記転写ローラを接触させる接触動作時に、前記転写ローラが前記像担持体に向けて移動する移動速度を、前記接触動作後、前記像担持体に向けて、さらに前記転写ローラが移動して所定のニップ圧を生じさせる加圧動作時に、前記転写ローラが前記像担持体に向けて移動する移動速度よりも遅くし、
前記接触動作時に、前記転写ニップ部へ前記記録媒体を進入させ、
前記記録媒体の画像形成領域が前記転写ニップ部に到達する前に前記接触動作から前記加圧動作に移行することを特徴とする転写装置。 - 請求項1に記載の転写装置において、
前記像担持体は、中間転写体であることを特徴とする転写装置。 - 請求項1又は2に記載の転写装置において、
前記移動手段は、カムを有しており、
前記カムの回転により前記転写ローラを移動させることを特徴とする転写装置。 - 請求項3に記載の転写装置において、
前記転写ローラに前記像担持体を介して対向する2次転写対向ローラを有し、
前記カムは、前記2次転写対向ローラを回転自在に支持する回転軸に保持されていることを特徴とする転写装置。 - 請求項3又は4に記載の転写装置において、
前記カムは、回転する角速度が一定であり、その回転中心から前記転写ローラを移動させる従節に接触する箇所までの距離の単位時間当りの変化量を、前記加圧動作時に比べて、前記接触動作時に小さくなるように構成されていることを特徴とする転写装置。 - 請求項3又は4に記載の転写装置において、
前記移動手段は、前記カムを回転させるモータを有しており、
前記モータは、前記カムを回転させる角速度を、前記加圧動作時に比べて、前記接触動作時に遅くすることを特徴とする転写装置。 - 請求項1乃至6のいずれか一に記載の転写装置において、
前記移動手段は、前記接触動作時に前記転写ローラを移動させる移動速度が、それ以外の前記転写ローラを前記像担持体に向けて移動させる動作時の移動速度よりも遅くすることを特徴とする転写装置。 - 請求項4乃至7のいずれか一に記載の転写装置において、
前記像担持体は中間転写体であり、
当該転写装置は、前記転写ローラに前記中間転写体を介して対向する2次転写対向ローラと、前記中間転写体と前記転写ローラとの間に前記記録媒体を進入させる際に前記記録媒体をガイドするガイド部材とを備え、
前記移動手段は、カムの回転により前記転写ローラを移動させるものであり、前記記録媒体の後端が前記ガイド部材の記録媒体搬送方向下流側端を通過するタイミングに合わせ、前記2次転写対向ローラの回転軸と前記転写ローラの回転軸との距離が増すように前記カムの回転位置を変更する押し下げ動作を行うことを特徴とする転写装置。 - 請求項8に記載の転写装置において、
前記記録媒体の紙種及び紙厚の一方、又は両方に応じて、前記押し下げ動作の実行の可否を判断することを特徴とする転写装置。 - 請求項8又は9に記載の転写装置において、
前記記録媒体の紙厚の情報を取得する記録媒体情報取得手段を備え、
前記記録媒体情報取得手段により前記記録媒体の紙厚が所定の厚さ以上であるとの情報が取得された場合に、前記押し下げ動作を実行することを特徴とする転写装置。 - 請求項8乃至10のいずれか一に記載の転写装置において、
前記カムの回転位置を変更して前記2次転写対向ローラの回転軸の軸心と前記転写ローラの回転軸の軸心との距離を増す量を、前記記録媒体の紙種及び紙厚の一方、又は両方に応じて変更することを特徴とする転写装置。 - トナー画像を担持する像担持体と、転写ローラと、前記像担持体に対して当接して転写ニップ部を形成する状態と離間した状態とに、前記転写ローラを移動させる移動手段とを有した転写装置を備えた画像形成装置において、前記転写装置として、請求項1乃至11のいずれか一に記載の転写装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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