図1は、ネットワークの構成を示す構成図である。ネットワークは、伝送路8を介して直列に接続された複数のノード#1〜#Nを含む。各ノード#1〜#Nには、光信号Sを伝送する伝送装置が設けられている。伝送装置の一例として、本明細書ではWDM装置を挙げるが、これに限定されることはなく、他の伝送装置であってもよい。
光信号Sは、複数の波長光を含み、始点ノード#1から終点ノード#Nに向かって伝送される。ノード#1には、波長が異なる複数の光信号λin(1)〜λin(m)をそれぞれ送信する光送信器90と、複数の光信号λin(1)〜λin(m)を多重する多重部91とが設けられている。多重部91としては、例えば光導波路格子(AWG:Array Waveguide Grating)、波長選択スイッチ(WSS:Wavelength Selective Switch)を用いることができる。これにより、ノード#1の伝送装置に、光信号λin(1)〜λin(m)の多重光信号が挿入され、光信号Sとしてノード#1〜#N間を伝送される。
一方、ノード#Nには、光信号Sを、波長が異なる複数の光信号λout(1)〜λout(m)に分離する分離部93と、複数の光信号λout(1)〜λout(m)をそれぞれ受信する複数の受信器94とが設けられている。分離部93としては、例えば光導波路格子または波長選択スイッチを用いることができる。これにより、ノード#Nの伝送装置が受信した光信号Sから、任意の波長の光信号λout(1)〜λout(m)を取り出すことができる。
通信に先立って、ネットワーク内の各ノード#1〜#Nの伝送装置は、一定の伝送品質を確保するため、波長単位で光信号Sの出力レベルの調整を行う。出力レベルの調整は、例えば、伝送装置に設けられた減衰器(後述する実施例では波長選択スイッチ)の減衰量を制御することにより行われる。減衰量は、制御の開始前、光信号Sを遮断するために、十分に大きな値に設定されている。
全ノード#1〜#Nにおける調整の完了後、送信端ノード#1と受信端ノード#Nの間において主信号が疎通し、通信が可能な状態となる。したがって、速やかに通信を開始するために、光レベルの調整の所要時間の短縮が望まれる。なお、以降の説明では、光信号Sに含まれる1つの波長光について述べることとし、該波長光を光信号Sと簡単に表記する。
図2は、比較例1におけるノード#1〜#3の光信号の出力レベルの変化を示すタイムチャートである。図2において、縦軸は、複数の光送信器90がノード#1の伝送装置に出力する光信号Sのレベル、及びノード#1〜#3の伝送装置が出力する光信号Sのレベルを示し、横軸は、時刻を示す。
図2は、各ノード#1〜#3が、光レベルを調整して所定の目標値T1〜T3に到達させる様子を表す。時刻t1においてノード#1の伝送装置に入力される光レベルがT0に増加すると、ノード#1の伝送装置は、光レベルの制御を開始し、時刻t5において光レベルが目標値T1に到達する。ここで、時刻t1及びt2の間における光レベルの増加は、光の遮断状態を解除したことにより生ずる。
ノード#1の光信号のレベルが目標値T1に達すると、次に、ノード#2の伝送装置が、時刻t5において光レベルの制御を開始する。そして、時刻t9においてノード#2の光信号Sのレベルが目標値T2に達すると、ノード#3の伝送装置が、時刻t9において、光レベルの制御を開始する。ここで、時刻t5及びt6の間におけるノード#2の光レベルの増加と、時刻t9及びt10の間におけるノード#3の光レベルの増加は、光の遮断状態を解除したことにより生ずる。なお、ノード#4〜#Nの伝送装置も、同様に、順次に光レベルを制御する。
本比較例において、各ノード#1〜#3の光レベルの制御は、順次に行われるため、前段のノード#1,#2における光レベルの制御が、後段のノード#2,#3における光レベルの制御に影響を与えることはない。例えば、ノード#2における光レベルの制御は、ノード#1における光レベルの調整が完了した後に開始され、ノード#3における光レベルの制御は、ノード#2における光レベルの調整が完了した後に開始される。このため、各ノード#1〜#Nの伝送装置は、他ノードにおける制御による光レベルの変化がない状態で、光レベルを制御することができる。
また、本比較例では、ノード#2,#3の伝送装置は、前段のノード#1,#2における調整が完了するまで、制御を開始せずに待機する。このため、ネットワーク全体で調整に要する時間は、各ノード#1〜#Nにおける調整期間C1〜Cnの合計となり、ノード数Nに応じて増加する。
ネットワーク全体での調整の所要時間を低減するために、ノード#2〜#Nの制御の開始時刻を、前段のノード#1〜#N−1における光レベルが所定の閾値th1〜th(N−1)に到達した時刻とすることもできる。図3は、比較例2におけるノード#1〜#3の光信号の出力レベルの変化を示すタイムチャートである。
時刻t1において、ノード#1の伝送装置に入力される光レベルがT0に増加すると、ノード#1の伝送装置は、光レベルの制御を開始する。時刻t2において、ノード#1の光レベルが、閾値th1(<T1)に到達すると、ノード#2の伝送装置は、光レベルの制御を開始する。そして、時刻t3において、ノード#2の光レベルが、閾値th2(<T2)に到達すると、ノード#3の伝送装置は、光レベルの制御を開始する。なお、他のノード#4〜#Nの伝送装置も、同様に、前段のノード#3〜#Nにおける光レベルが所定の閾値th4〜th(N−1)に達すると、制御を開始する。
本比較例では、ノード#2,#3は、前段のノード#1,#2の光レベルが目標値T1,T2に達する前に、光レベルの制御を開始するので、ノード#2,#3の各伝送装置が、並行して制御を行うことになる。このため、各ノード#1〜#3における調整期間C1〜C3が重複し、ネットワーク全体での調整の所要時間が短縮されるが、一方で、ノード#2,#3は、前段のノード#1,#2における光レベルの制御の影響を受ける。
例えば、ノード#2の伝送装置は、ノード#1の調整期間C1内に制御を開始するので、ノード#2の光レベルは、ノード#2における光レベルの制御値n2に、ノード#1の光レベルの制御値n1が加算された値となる。また、ノード#3の伝送装置は、ノード#1,#2の調整期間C1,C2内に制御を開始するので、ノード#3の光レベルは、ノード#3における光レベルの制御値n3に,ノード#1,#2の光レベルの制御値n1,n2が加算された値となる。ここで、ノード#3の光レベルは、時刻t5において目標値T3を超えるため、光サージが発生する可能性がある。光サージは、伝送装置に設けられた受光デバイスを破壊する恐れがある。
このような制御の誤差が発生しないように、比較例2の方式により制御の開始時刻を早めつつ、各ノード#1〜#N−1の伝送装置が、後段のノード#2〜#Nの光レベルの制御を一時停止させてもよい。図4は、比較例3におけるノード#1〜#3の光信号の出力レベルの変化を示すタイムチャートである。
時刻t1において、ノード#1の伝送装置に入力される光レベルがT0に増加すると、ノード#1の伝送装置は、光レベルの制御を開始し、また、ノード#2に制御の一時停止を指示するメッセージを送信する。時刻t2において、ノード#1の光レベルが、閾値th1に到達すると、ノード#2の伝送装置は、光レベルの制御を開始し、また、ノード#3に制御の一時停止を指示するメッセージを送信する。
ノード#2,#3の伝送装置は、前段のノード#1,#2から一時停止のメッセージを受けても、光レベルが閾値th2,th3に達するまで制御を停止しない。したがって、ノード#2,#3の伝送装置は、光レベルが閾値th2,th3に達する時刻t3,t4において、制御を停止する。
時刻t5において、ノード#1の光レベルが、目標値T1に到達すると、ノード#1の伝送装置は、ノード#2の伝送装置に、一時停止の解除を指示するメッセージを送信する。これにより、ノード#2の伝送装置は、制御を再開する。
時刻t8において、ノード#2の光レベルが、目標値T2に到達すると、ノード#2の伝送装置は、ノード#3の伝送装置に、一時停止の解除を指示するメッセージを送信する。これにより、ノード#3の伝送装置は、制御を再開する。なお、他のノード#4〜#Nにおいても、同様に制御が行われる。
本比較例では、光レベルが閾値th1〜th3に達するまでの時間を除き、各ノード#1〜#3の調整期間C1〜C3が互いに重なることがないため、ノード#2,#3の伝送装置は、前段のノード#1,#2の制御による影響を受けず、制御の誤差が低減される。しかし、ノード#2,#3の伝送装置は、前段のノード#1,#2の伝送装置により制御を一時的に停止されるため、光レベルが目標値T2,T3に到達するまでの所要時間が増加する。このように、比較例1〜3によれば、各ノード#1〜#Nの光レベルの調整において、誤差の低減と全体の所要時間の短縮は、トレードオフの関係となる。
また、比較例3の方式は、ノード間のメッセージ通信を用いるため、急激な光レベルの変動に対応することが難しい。図5は、比較例3におけるノード#1〜#3の光信号の出力レベルの変化(入力光レベル変動時)を示すタイムチャートである。図5は、光レベルが目標値T1〜T3に調整された後の安定状態において、光送信器90からの入力光レベルが急激に変動したときの様子を表す。
時刻t1において、光送信器90または光ファイバなどの障害のため、光送信器90からノード#1の伝送装置に入力される光信号Sのレベルが、急激に低下したと仮定する。各ノード#1〜#3は、光レベルの変動を即時に検出し、時刻t2において、光レベルを目標値T1〜T3に戻すために、制御量V1〜V3に基づいて光レベルをそれぞれ制御する。
このとき、ノード#1,#2の伝送装置は、光レベルの制御の一時停止を指示するメッセージを、後段のノード#2,#3の伝送装置にそれぞれ送信するが、メッセージは、伝送時間及び内部の送受信処理の時間により遅延する。例えば、時刻t2においてノード#1,#2の伝送装置が送信したメッセージは、時刻t3においてノード#2,#3の伝送装置によりそれぞれ処理される。
すなわち、メッセージの処理は、時刻t2における光レベルの制御後に行われるため、時刻t2における制御の誤差を防止することができない。例えば、ノード#2の光レベルは、ノード#1における制御量V1のため、目標値T2を上回り、また、ノード#3の光レベルは、ノード#1,#2における制御量V1,V2のため、目標値T3を上回るため、光サージが発生する可能性がある。なお、他のノード#4〜#Nも、同様に制御が行われる。
また、一時停止解除を指示するメッセージは、各ノード#1〜#Nの光レベルが目標値T1〜T3になった後、順次に後段のノード#2,#3に送信されるため、全ノード#1〜#Nの光レベルが目標値T1〜T(N)となるまでに多くの時間がかかる。
図6は、実施例に係る伝送システムの構成を示す構成図である。図6には、ノード#1,#2にそれぞれ設けられた伝送装置2,1の構成のみが示されているが、他ノード#3〜#Nの伝送装置の構成は、伝送装置1と同様であるものとする。
ノード#1に設けられた伝送装置(第1伝送装置)2は、自装置2における光信号Sのレベルの制御量V1を示す制御情報を、光信号Sに含めて伝送する。ノード#2に設けられた伝送装置(第2伝送装置)1は、ノード#1の伝送装置1から入力された光信号Sから制御情報を取得して、取得した制御情報が示す制御量V1に基づいて、自装置1における光信号Sのレベルの制御量V2を補正する。そして、伝送装置1は、補正された制御量に従って、光信号Sのレベルを制御する。
ノード#1,#2の伝送装置2,1は、部分的に共通の構成を有する。まず、ノード#1の伝送装置2について説明する。伝送装置2は、プロセッサ21と、メモリ29と、光レベル検出部22と、制御光生成部23と、増幅器25と、波長選択スイッチ(WSS)26と、分波器27と、合波器28とを有する。
プロセッサ21は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、波長選択スイッチ26に制御信号A1を出力することにより、光送信器90から入力された光信号Sの光レベルを制御する。メモリ19は、プロセッサ21を駆動するプログラム、及び光レベルの制御に用いられる各種のパラメータなどが記録されている。
光送信器90から入力された光信号Sは、波長選択スイッチ26に入力される。波長選択スイッチ26は、プロセッサ21の制御信号A1に基づいて、入力された光信号Sに含まれる複数の波長光から1以上の波長光を選択し、光信号Sとして出力する。また、波長選択スイッチ26は、プロセッサ21の制御信号A1に基づいて、波長単位で光レベル(強度)の減衰量を設定し、各波長光を減衰させる。
波長選択スイッチ26から出力された光信号Sは、分波器27により分波され、増幅器25及び光レベル検出部22に入力される。分波器27は、例えば光スプリッタである。
光レベル検出部22は、入力された光信号SのレベルP1を波長単位で検出し、プロセッサ21に通知する。検出されたレベルP1は、光レベルの制御量V1の決定に用いられる。光レベル検出部22は、例えばフォトダイオードである。
第1増幅器150は、光信号Sを増幅して合波器28に出力する。第1増幅器150は、例えば、励起光によりエルビウム添加ファイバを励起状態とすることによって、光信号Sを増幅する。
合波器28は、制御光生成部23が生成した制御光信号So1を、装置外に出力される光信号Sに合波する。合波器28は、例えば光カプラである。
制御光生成部23は、光信号Sのレベルの制御量V1を示す第1制御情報を含む制御光信号So1を生成する。制御光信号So1は、光信号Sに含まれる他の波長光とは異なる波長の信号である。制御量V2は、プロセッサ21から制御光生成部23に通知される。合波器28から出力された光信号Sは、伝送路8を介して、ノード#2の伝送装置1に入力される。
次に、実施例に係る伝送装置1について説明する。伝送装置1は、プロセッサ(制御部)11と、メモリ19と、制御光受信部(取得部)10と、光レベル検出部(検出部)12と、制御光生成部(生成部)13とを有する。また、伝送装置1は、第1及び第2増幅器150,151と、波長選択スイッチ16と、第1及び第2分波器14,17と、合波器(合波部)18とを有する。
プロセッサ11は、例えばCPUであり、波長選択スイッチ16に制御信号A2を出力することによって、ノード#1の伝送装置2から入力された光信号Sの光レベルを制御する。メモリ19は、プロセッサ11を駆動するプログラム、及び光レベルの制御に用いられる各種のパラメータなどが記録されている。
伝送装置2からの光信号Sは、第1分波器14により分波され、第1増幅器150及び制御光受信部10にそれぞれ入力される。第1分波器14は、例えば光スプリッタである。
制御光受信部10は、ノード#1における光信号Sのレベルの制御量V1を取得する。ノード#1から入力された光信号Sは、ノード#1における光信号Sのレベルの制御量V1を示す第1制御情報を含む。制御光受信部10は、入力された光信号S(制御光信号So1)から第1制御情報を取得し、第1制御情報が示す制御量V1をプロセッサ11に通知する。
このように、光信号Sは、ノード#1の制御量V1を含むので、制御光受信部10は、は、制御量V1を簡単かつ迅速に取得することができる。なお、制御量の取得手段は、これに限定されず、他の通信インターフェースを用いてもよい。
第1増幅器150は、光信号Sを増幅して波長選択スイッチ16に出力する。第1増幅器150は、例えば、励起光によりエルビウム添加ファイバを励起状態とすることによって、光信号Sを増幅する。
波長選択スイッチ16は、ノード#1の波長選択スイッチ26と同様に、プロセッサ11の制御信号A2に基づいて、波長の選択及び減衰量の設定を行う。なお、波長選択スイッチ16は、制御光信号So1の波長を選択しない。
波長選択スイッチ16から出力された光信号Sは、第2分波器17により分波され、第2増幅器151及び光レベル検出部12に入力される。第2分波器17は、例えば光スプリッタである。
光レベル検出部12は、入力された光信号SのレベルP2を波長単位で検出し、プロセッサ11に通知する。検出されたレベルP2は、光レベルの制御量V2の決定に用いられる。光レベル検出部12は、例えばフォトダイオードである。
第2増幅器151は、光信号Sを増幅して合波器18に出力する。第2増幅器151は、例えば、励起光によりエルビウム添加ファイバを励起状態とすることによって、光信号Sを増幅する。
合波器18は、制御光生成部13が生成した制御光信号So2を、装置外に出力される光信号Sに合波する。合波器18は、例えば光カプラである。
制御光生成部13は、ノード#1から入力された光信号Sのレベルの制御量V2を示す第2制御情報を含む制御光信号So2を生成する。制御光信号So2は、光信号Sに含まれる他の波長光とは異なる波長の信号である。制御量V2は、プロセッサ11から制御光生成部13に通知される。このように、ノード#2の伝送装置1から出力される光信号Sは、ノード#2の制御量V2を含むので、次段のノード#3の伝送装置1は、制御量V2を、簡単かつ迅速に取得することができる。これは、ノード#4〜#Nの伝送装置1についても同様である。
プロセッサ11は、制御光受信部10が取得した制御量V1に基づいて、ノード#1から入力された光信号Sのレベルの制御量V2を補正し、補正された制御量Vr2に従って、光信号Sのレベルを制御する。以下に、各ノード#1〜#Nにおける制御量の決定方法について説明する。
図7には、ノード#1〜#3における光レベルの目標値T1〜T3及び制御量V1〜V3が表されている。なお、図7は、ノード#1〜#3について例示するが、他ノード#4〜#Nについても同様である。
ノード#1において、プロセッサ21は、光信号Sのレベルの目標値T1と、光レベル検出部22が検出したレベルP1との差分を、光信号Sのレベルの制御量V1として決定する。ノード#2において、プロセッサ11は、光信号Sのレベルの目標値T2と、光レベル検出部12が検出したレベルP2との差分を、光信号Sのレベルの制御量V2として決定する。ノード#3の伝送装置も、光信号Sの目標値T3と検出したレベルP3の差分を、光信号Sのレベルの制御量V3として決定する。目標値T1〜T3は、例えば、次段のノードとの間の伝送路8の伝送損失などに従って、予め決定され、メモリ29,19に記録されている。
ノード#1の伝送装置2は、上述したように、自装置2における光信号Sのレベルの制御量V1を示す第1制御情報を、光信号Sに含めて伝送する。より具体的には、ノード#1において、制御光生成部23は、光信号Sのレベルの制御量V1を示す第1制御情報を含む制御光信号So1を生成する。制御光信号So1は、合波器28により光信号Sと合波され、ノード#2の伝送装置1に伝送される。
ノード#2において、制御光信号So1は、制御光受信部10により受信される。制御光受信部10は、制御光信号So1に含まれる第1制御情報からノード#1の制御量V1を取得して、プロセッサ11に通知する。そして、プロセッサ11は、自装置1の制御量V2から、制御光受信部10が取得した制御量V1を差し引くことにより、制御量V2を補正する。
より具体的には、プロセッサ11は、目標値T2から制御量V1を差し引くことにより、補正値Tr2を算出する。そして、プロセッサ11は、補正値Tr2に基づく制御信号A2を、波長選択スイッチ16に出力して減衰量を設定する。すなわち、ノード#2における光信号Sのレベルは、補正された制御量Vr2(=V2−V1)に従って制御される。
このとき、以下の式(1)が成立するので、ノード#2における光レベルの制御は、目標値T2に従って適正に行われる。
T2 = Tr2 + V1 (1)
このように、ノード#2の伝送装置1は、ノード#1の伝送装置2から入力された光信号Sから第1制御情報を取得する。そして、ノード#2の伝送装置1は、取得した第1制御情報が示す制御量V1に基づいて、自装置1における光信号Sのレベルの制御量V2を補正し、補正された制御量Vr2に従って、光信号Sのレベルを制御する。したがって、ノード#2の伝送装置1は、前段のノード#1の伝送装置2の制御による光レベルの変化の影響を抑制して、光レベルを制御することができる。
また、ノード#3の伝送装置1も、ノード#2と同様に、自装置1の制御量V3から、ノード#2の伝送装置1から取得した制御量V2を差し引くことにより、制御量V3を補正し、補正された制御量Vr3に従って、光信号Sのレベルを制御する。より具体的には、ノード#3の伝送装置1は、光レベルの目標値T3から制御量V2を差し引くことにより、補正値Tr3を算出し、補正値Tr3に従って波長選択スイッチ16の減衰量を設定する。すなわち、ノード#3において、光信号Sのレベルは、補正された制御量Vr3(=V3−V2)に従って制御される。
このとき、以下の式(2)が成立するので、ノード#3における光レベルの制御は、目標値T3に従って適正に行われる。
T3 = Tr3 + V2 = Tr3 + V1 + Vr2 (2)
このように、ノード#3の伝送装置1は、ノード#2の伝送装置1から入力された光信号Sから第2制御情報を取得する。そして、ノード#3の伝送装置1は、取得した第2制御情報が示す制御量V2に基づいて、自装置1における光信号Sのレベルの制御量V3を補正し、補正された制御量Vr3に従って、光信号Sのレベルを制御する。したがって、ノード#3の伝送装置1は、前段のノード#1,#2の伝送装置2,1の制御による光レベルの変化の影響を抑制して、光レベルを制御することができる。なお、これは、他ノード#4〜#Nについても同様である。
この方法によると、通信開始前の光レベルの調整において、ノード#1〜#N−1の制御量V1〜V(N)が、後段のノード#2〜#Nに通知されるため、各ノード#1〜#Nは、光レベルの制御の誤差を抑制しつつ、並行して光レベルを制御することができる。図8は、実施例におけるノード#1〜#3の光信号Sの出力レベルの変化を示すタイムチャートである。
ノード#1の伝送装置2は、時刻t1において光レベルの制御を開始する。ノード#1の光レベルは、時刻t5においてが目標値T1に到達する。また、ノード#2の伝送装置2は、時刻t2において光レベルの制御を開始する。
ノード#1の伝送装置2及びノード#2の伝送装置1は、時刻t3及びt5の間において、並行して光レベルを制御する。このとき、ノード#2の伝送装置1は、前段のノード#1の制御量V1を取得して、自装置2の制御量V2を補正するため、ノード#1の制御の影響を抑制し、高精度に光レベルを制御できる。
また、ノード#2の光レベルは、時刻t6において目標値T2に到達する。ノード#3の伝送装置1は、時刻t3において光レベルの制御を開始する。
ノード#2及び#3の伝送装置1は、時刻t4及びt6の間において、並行して光レベルを制御する。このとき、ノード#3の伝送装置1は、前段のノード#2の制御量V2に基づいて自装置1の制御量V3を補正するため、ノード#1,#2の制御の影響を抑制し、高精度に光レベルを制御できる。なお、ノード#4〜#Nの伝送装置1も、同様に光レベルを制御する。
また、ノード#1〜#3における光レベルが目標値T1〜T3に到達するまでの時間TCは、各ノード#1〜#3における制御が、待機時間なく、平行して行われるために、上述した比較例1,3と比べると短縮される。したがって、ネットワーク全体で、光レベルの調整に要する時間が短縮される。
次に、実施例に係る光レベル制御方法について説明する。図9は、ノード#1の伝送装置2の光レベルの制御動作を示すフローチャートである。
プロセッサ21は、メモリ29から、光レベルの目標値T1及び処理周期Tpを読み出す(ステップSt1)。光レベルの目標値T1は、例えば−20.6(dBm)である。光レベルの目標値T1は、例えば自装置2による伝送路8の損失の測定結果に基づいて設定される。また、処理周期Tpは、光レベルの制御が行われる周期であり、例えば2(秒)である。この処理周期Tpは、各ノード#1〜#Nにおいて共通である。
次に、プロセッサ21は、時間Tpのタイマによる計時を開始する(ステップSt2)。プロセッサ21は、このタイマにより光レベルの制御の周期を管理する。次に、光レベル検出部22は、光信号SのレベルP1を検出する(ステップSt3)。検出されたレベルP1は、プロセッサ21に通知される。
次に、プロセッサ21は、制御量V1(=T1−P1(図7参照))を算出する(ステップSt4)。次に、制御光生成部23は、制御量V1を示す第1制御情報を含む制御光信号So1を生成し、合波器28により光信号Sに合波してノード#2の伝送装置1に送信する(ステップSt5)。このとき、制御量V1は、プロセッサ21から制御光生成部23に通知される。
次に、プロセッサ21は、目標値T1に従って、波長選択スイッチ26の減衰量を制御する(ステップSt6)。プロセッサ21は、例えば、光レベル検出部22が検出したレベルP1に基づき、PID制御(PID:Proportional Integral Differential)を行う。これにより、プロセッサ21は、レベルP1が目標値T1に到達するために、当該周期における最適な減衰量を算出し、制御信号A1として波長選択スイッチ26に出力する。波長選択スイッチ26は、制御信号A1に従って減衰量が設定される。したがって、ノード#1の光レベルは、制御量V1に従って制御される。
次に、プロセッサ21は、タイマが満了したか否かを判定する(ステップSt7)。タイマが満了していない場合(ステップSt7のNO)、再度、タイマの満了判定(ステップSt7)を行う。一方、タイマが満了している場合(ステップSt7のYES)、処理を継続するとき(ステップSt8のNO)、プロセッサ21は、再度、ステップ2の処理を行う。このようにして、ノード#1の伝送装置2は、光レベルの制御を行う。
また、図10は、ノード#2の伝送装置1の光レベルの制御動作を示すフローチャートである。プロセッサ11は、メモリ19から、光レベルの目標値T2及び処理周期Tpを読み出す(ステップSt11)。光レベルの目標値T2は、例えば−20.6(dBm)である。光レベルの目標値T2は、例えば。自装置1による伝送路8の損失の測定結果に基づいて設定される。なお、本例では、目標値T1及びT2は、互いに等しいものとするが、異なっていてもよい。
次に、プロセッサ11は、時間Tpのタイマによる計時を開始する(ステップSt12)。次に、プロセッサ11は、制御光受信部10により、ノード#1の制御量V1を取得する(ステップSt13)。このとき、制御光受信部10は、光信号Sから第1制御情報を取得して、第1制御情報が示す制御量V1をプロセッサ11に通知する。なお、ノード#3の伝送装置1の場合、ノード#2の伝送装置1の制御量V2を示す第2制御情報が取得される。
次に、プロセッサ11は、取得した制御量V1を用いて、補正値Tr2(=T2−V1(図7参照))を算出する(ステップSt14)。次に、光レベル検出部12は、光信号SのレベルP2を検出する(ステップSt15)。検出されたレベルP2は、プロセッサ11に通知される。
次に、プロセッサ11は、制御量V2=T2−P2(図7参照)を算出する(ステップSt16)。すなわち、プロセッサ11は、光信号Sのレベルの目標値T2と、検出したレベルP2との差分を、ノード#1から入力された光信号Sのレベルの制御量V2として決定する。
次に、制御光生成部13は、制御量V2を示す第2制御情報を含む制御光信号So2を生成し、合波器18により光信号Sに合波してノード#3の伝送装置1に送信する(ステップSt17)。このとき、制御量V2は、プロセッサ11から制御光生成部13に通知される。
次に、プロセッサ11は、補正値Tr2に従って、波長選択スイッチ26の減衰量を制御する(ステップSt18)。プロセッサ11は、例えば、光レベル検出部12が検出したレベルP2に基づき、PID制御を行う。これにより、プロセッサ11は、レベルP2が補正値Tr2に到達するために、当該周期における最適な減衰量を算出し、制御信号A2として波長選択スイッチ16に出力する。波長選択スイッチ16は、制御信号A2に従って減衰量が設定される。したがって、ノード#2の光レベルは、ノード#1から取得された制御量V1に基づいて補正された制御量Vr2に従って制御される。
次に、プロセッサ11は、タイマが満了したか否かを判定する(ステップSt19)。タイマが満了していない場合(ステップSt19のNO)、再度、タイマの満了判定(ステップSt19)を行う。一方、タイマが満了している場合(ステップSt19のYES)、処理を継続するとき(ステップSt20のNO)、プロセッサ21は、再度、ステップ2の処理を行う。このようにして、ノード#2の伝送装置1は、光レベルの制御を行う。
上述した実施例において、光信号Sのレベルの制御量V1〜V(N−1)は、光信号Sに含まれる制御情報、つまりメッセージとして、各ノード#1〜#N間において送受信される。したがって、図5を参照して述べたように、光レベルが安定した状態(目標値に達した状態)において、複数の光送信器90から入力される光信号Sのレベルが、急激に変動した場合、ノード間において制御情報の遅延が発生する可能性がある。
制御情報の遅延が生じた場合、ノード#2〜#Nの伝送装置1は、光レベルの変動前の時点の前段のノード#1〜#N−1の制御量V1〜V(N−1)に基づいて、自装置1の制御量V2〜V(N)を補正したとき、制御の誤差が生ずる可能性がある。このため、各ノード#1〜#Nの伝送装置2,1は、光信号Sの一定値以上のレベルの変動を検出し、検出した場合、制御情報が適切に更新されるまで、光レベルの制御を停止すると好ましい。以下に、この場合の実施例について述べる。
本実施例において、ノード#1の伝送装置2は、処理周期Tpごとの更新の前後の制御量V1の変化に応じて、所定期間、光信号Sのレベルの制御を停止する。停止期間は、各ノード#1〜#N−1において、制御量V1〜V(N−1)が光信号Sのレベル変動に応じた値に更新され、後段のノード#2〜#Nに制御情報として送信されるために十分な時間として決定される。
|V1−V1_pre| > THv (3)
|V1_pre| < THg (4)
ノード#1において、プロセッサ21は、上記の式(3)及び(4)が満たされることを条件として、光信号Sのレベルの変動を検出する。ここで、V1_preは、更新前、つまり1つ前の周期における制御量V1である。また、THv,THgは、所定の閾値である。
光信号Sのレベルが変動すると、検出されるレベルP1も変動するため、算出した制御量V1が変動する。したがって、式(3)の成否を判定することにより、閾値THvを超える光レベルの変動が検出される。
また、光レベルが安定する前の光レベルの調整(図8参照)において、制御量V1または検出レベルP1は、光レベルを目標値T1に到達させるために、処理周期Tpごとの更新によって閾値THvを超えて変化し得る。このとき、上述した制御情報の遅延による誤差は発生しないので、制御の停止は不要であるが、式(3)の条件が満たされる。そこで、プロセッサ21は、に、式(3)の条件だけでなく、式(4)の条件を判定することにより、誤って制御が停止されることを防止する。
光レベルが安定した状態では、制御量V1は、閾値THgより小さくなる。したがって、式(4)の成否を判定することにより、光レベルが安定した状態であるか否かが判定される。なお、光レベルの安定状態を、プロセッサ21による状態管理などの他の手段により判定可能である場合、式(3)のみに基づいて、レベル変動を検出してもよい。
また、ノード#2〜#Nの伝送装置1は、処理周期Tpごとの更新の前後の補正された制御量V2の変化に応じて、所定期間、光信号Sのレベルの制御を停止する。停止期間は、ノード#1と同様に決定される。
|Vr2−Vr2_pre| > THv (5)
|Vr2_pre| < THg (6)
ノード#2において、プロセッサ11は、上記の式(5)及び(6)が満たされることを条件として、光信号Sのレベルの変動を検出する。ここで、Vr2_preは、更新前、つまり1つ前の周期における、補正された制御量Vr2である。式(5)及び(6)の内容については、上述した式(3)及び(4)とそれぞれ同様である。
図11は、本実施例におけるノード#1〜#3の光信号の出力レベルの変化(入力光レベル変動時)を示すタイムチャートである。図11において、時刻t1〜t12は、処理周期Tpが到来する時刻であるものとする。また、停止期間Kは、処理周期Tpの2周期分の期間とする。
図11は、各ノード#1〜#3の光レベルが目標値T1〜T3となる安定状態において、レベル変動が発生したときの様子を表す。時刻t1において光レベルが低下すると、各ノード#1〜#3の伝送装置2,1は、時刻t2において、上記の式(3)〜(6)によりレベル変動を検出し、光レベルの制御を停止する。このため、時刻t2及びt3において、各ノード#1〜#3の伝送装置2,1は、光レベルを制御しない。
停止期間Kにおいて、ノード#1,#2の伝送装置2,1は、光レベルP1,P2を検出して制御量V1,V2を算出し、自装置2,1における光レベルの制御量V1,V2を示す制御情報を次段のノード#2,#3の伝送装置1に送信する。したがって、光レベルの制御が再開される時刻t4において、ノード#2,#3の伝送装置1は、光レベルの変動後に更新された制御量V1,V2を取得済みである。また、停止期間Kにおいて、ノード#2,#3の伝送装置1は、補正された制御量Vr2,Vr3の算出も行う。
これにより、時刻t4において、ノード#1〜#3の伝送装置2,1は、光レベルの変動分と等しい制御量V1に従って、光レベルを制御する。また、後段のノード#2,#3における光レベルは、ノード#1における光レベルの制御により制御量V1分だけ増加するので、ノード#2,#3における制御量V2,V3は、およそ0となる。したがって、各ノード#1〜#3の光レベルは、図5に示された比較例とは異なり、制御の誤差を生ずることなく、速やかに目標値T1〜T3に戻る。
次に、本実施例に係る光レベルの制御方法について説明する。図12は、本実施例におけるノード#1の伝送装置2の光レベルの制御動作を示すフローチャートである。なお、図12において、図9と共通する処理St32〜St35,St40,St42,St43については、その説明を省略する。
ステップSt31の処理において、プロセッサ21は、メモリ29から、光レベルの目標値T1、処理周期Tp、閾値THv,THg、カウンタC、及び制御量V1_preを読み出す。カウンタCは、停止期間Kを管理するための変数であり、初期値を0とする。また、閾値THv,THgは、それぞれ、例えば0.5(dB)及び2(dB)である。前回の周期における制御量V1_preの初期値は、例えば3(dB)である。
ステップSt36の処理において、プロセッサ21は、上記の式(3)及び(4)の条件の成否を判定する。式(3)及び(4)の両方の条件が満たされる場合(ステップSt36のYES)、プロセッサ21は、レベル変動が発生したものと認識し、カウンタCを2にセットする(ステップSt37)。これにより、制御の停止期間Kが、2周期分の時間にセットされる。なお、停止期間K中に式(3)及び(4)の条件が満たされた場合(ステップSt36のYES)、カウンタCは、再度、2にセットされることにより(ステップSt37)、新たに2周期分の停止期間Kが開始される。
次に、ステップSt38の処理において、プロセッサ21は、カウンタCが0であるか否かを判定する。カウンタCが0ではない場合(ステップSt38のNO)、プロセッサ21は、カウンタCの値を1つ減らし(ステップSt39)、ステップSt40の制御処理を実行することなく、ステップSt41の処理を実行する。すなわち、プロセッサ21は、カウンタC>0である場合、現在の周期が停止期間K内であると判定し、光レベルの制御を行わない。
一方、カウンタCが0である場合(ステップSt38のYES)、プロセッサ21は、ステップSt40の制御処理を実行した後、ステップSt41の処理を実行する。すなわち、プロセッサ21は、カウンタC=0である場合、現在の周期が停止期間K外であると判定し、光レベルの制御を行う。
ステップSt41の処理において、プロセッサ21は、現在の周期における制御量V1を、1つ前の周期の制御量V1_preとして決定し、当該周期内の処理を終了する。このようにして、ノード#1の伝送装置2は、光レベルを制御する。なお、初回の制御周期において、V1_preの初期値が3(dB)であるため、ステップSt36の判定結果は偽(「NO」)となり、また、Cの初期値が0であるため、ステップSt38の判定結果は真(「YES」)となる。このため、初回の周期において、ステップSt40の光レベルの制御処理は、実行される。
このように、ノード#1の伝送装置1は、光信号Sのレベルの制御量V1を、処理周期Tpに従って周期的に更新し、該更新前後の制御量V1の変化に応じて、所定期間K、光信号Sのレベルの制御を停止する。したがって、ノード#1の伝送装置1は、レベル変動後の時点の制御量V1を、後段のノード#2に送信する十分な時間を確保することができる。
また、図13は、本実施例におけるノード#2の伝送装置1の光レベルの制御動作を示すフローチャートである。なお、図13において、図10と共通する処理St52〜St58,St63,St65,St66については、その説明を省略する。
ステップSt51の処理において、プロセッサ11は、メモリ19から、光レベルの目標値T2、処理周期Tp、閾値THv,THg、カウンタC、及び制御量Vr2_preを読み出す。カウンタC及び閾値THv,THgは、図12に示されたノード#1の処理と共通である。前回の周期における制御量Vr2_preの初期値は、例えば3(dB)である。
ステップSt59の処理において、プロセッサ11は、上記の式(5)及び(6)の条件の成否を判定する。式(5)及び(6)の両方の条件が満たされる場合(ステップSt59のYES)、プロセッサ11は、レベル変動が発生したものと認識して、カウンタCを2にセットする(ステップSt60)。これにより、制御の停止期間Kが、2周期分の時間にセットされる。なお、停止期間K中に式(5)及び(6)の条件が満たされた場合(ステップSt59のYES)、カウンタCは、再度、2にセットされることにより(ステップSt60)、新たに2周期分の停止期間Kが開始される。
次に、ステップSt61の処理において、プロセッサ11は、カウンタCが0であるか否かを判定する。カウンタCが0ではない場合(ステップSt61のNO)、プロセッサ11は、カウンタCの値を1つ減らし(ステップSt62)、ステップSt63の制御処理を実行することなく、ステップSt64の処理を実行する。すなわち、プロセッサ11は、カウンタC>0である場合、現在の周期が停止期間K内であると判定し、光レベルの制御を行わない。
一方、カウンタCが0である場合(ステップSt61のYES)、プロセッサ11は、ステップSt63の制御処理を実行した後、ステップSt64の処理を実行する。すなわち、プロセッサ11は、カウンタC=0である場合、現在の周期が停止期間K外であると判定し、光レベルの制御を行う。
ステップSt64の処理において、プロセッサ11は、現在の周期における補正された制御量Vr2を、1つ前の周期の制御量Vr2_preとして決定し、周期内の処理を終了する。このようにして、ノード#2の伝送装置1は、光レベルを制御する。なお、初回の周期において、Vr2_preの初期値が3(dB)であるため、ステップSt59の判定結果は偽(「NO」)となり、また、Cの初期値が0であるため、ステップSt61の判定結果は真(「YES」)となる。このため、初回の周期において、ステップSt63の光レベルの制御処理は、実行される。
このように、ノード#2の伝送装置1は、ノード#1の伝送装置2から入力された光信号Sのレベルの制御量V2を、処理周期Tpに従って周期的に更新し、該更新前後の補正された制御量Vr2の変化に応じて、所定期間K、光信号Sのレベルの制御を停止する。ここで、ノード#2の伝送装置1は、更新前の補正された制御量Vr2_preが所定値THgより大きいとき、光信号Sのレベルの制御を停止しない
したがって、ノード#2の伝送装置1は、一定値以上の光レベルの変動を検出し、検出した場合、所定期間K、光信号Sのレベルの制御を停止する。このため、ノード#2の伝送装置1は、ノード#1からの制御情報の受信に十分な時間を確保することができ、レベル変動前の時点ではなく、レベル変動後の時点におけるノード#1の制御量V1を用いて光レベルを制御できる。よって、光レベルの制御の誤差が低減される。なお、これは、他ノード#3〜#Nについても同様である。
これまで述べたように、実施例に係る伝送装置1は、制御光受信部10と、プロセッサ11とを有する。制御光受信部10は、他ノード#1における光信号Sのレベルの制御量V1を取得する。プロセッサ11は、制御光受信部10が取得した制御量V1に基づいて、他ノード#1から入力された光信号Sのレベルの制御量V2を補正し、補正された制御量Vr2に従って、光信号Sのレベルを制御する。
すなわち、実施例に係る伝送装置1は、他ノード#1における光信号Sのレベルの制御量V1を用いて光レベルの制御量V2を調整するので、他ノード#1の制御による光信号Sのレベルの変化の影響を抑制して、高精度に制御を行うことができる。
したがって、実施例に係る伝送装置1は、他ノード#1における光レベルの制御と並行して光レベルを制御することができる。これにより、伝送装置1は、ノード#1における光レベルの調整が完了するまで待機することがないので、光レベルの調整の所要時間が短縮される。よって、実施例に係る伝送装置1によると、光信号のレベル制御の誤差が効果的に低減される。
また、実施例に係る伝送システムは、ノード#1の伝送装置2と、ノード#2の伝送装置1とを有する。ノード#1の伝送装置2は、自装置2における光信号Sのレベルの制御量V1を示す制御情報を、光信号Sに含めて伝送する。ノード#2の伝送装置1は、ノード#1の伝送装置2から入力された光信号Sから制御情報を取得する。そして、ノード#2の伝送装置1は、取得した制御情報が示す制御量V1に基づいて、自装置1における光信号Sのレベルの制御量V2を補正し、補正された制御量Vr2に従って、光信号Sのレベルを制御する。
したがって、実施例に係る伝送システムによると、上述した内容と同様の作用効果を得ることができる。
また、実施例に係る光レベル制御方法は、他ノード#1における光信号Sのレベルの制御量V1を取得し、取得した制御量V1に基づいて、他ノード#1から入力された光信号Sのレベルの制御量V2を補正する方法である。
したがって、実施例に係る光レベル制御方法によると、上述した内容と同様の作用効果を得ることができる。
図14は、実施例について、光レベルの制御動作のサイクル数に対する光レベルの変化を示すグラフである。また、図15は、上述した比較例3について、光レベルの制御動作のサイクル数に対する光レベルの変化を示すグラフである。図14及び図15において、横軸は、制御動作のサイクル数、つまり処理周期Tpが到来した回数を示し、縦軸は、周期ごとの光信号Sのレベルを示す。図14及び図15には、全ノード数を4とした場合における光送信器90の出力レベル、ノード#1〜#4の出力レベル、及びノード#2の入力レベルが示されている。
図14及び図15を比較すると理解されるように、実施例において、最終段のノード#4の光レベルが目標値に到達するまでの所要サイクル数は、47サイクルであるのに対し、比較例3における所要サイクル数は、57サイクルである。したがって、実施例によると、所要サイクル数を、比較例3に対して、およそ18(%)低減することができる。なお、図示しないが、全ノード数を11とした場合、実施例において、ノード#11の光レベルが目標値に到達するまでの所要サイクル数は、比較例3に対して、およそ15(%)低減される。
以上、好ましい実施例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1) 他ノードにおける光信号のレベルの制御量を取得する取得部と、
前記取得部が取得した制御量に基づいて、前記他ノードから入力された光信号のレベルの制御量を補正し、補正された制御量に従って、前記光信号のレベルを制御する制御部とを有することを特徴とする伝送装置。
(付記2) 前記他ノードから入力された光信号は、前記他ノードにおける光信号のレベルの制御量を示す第1制御情報を含み、
前記取得部は、前記光信号から前記第1制御情報を取得することを特徴とする付記1に記載の伝送装置。
(付記3) 前記光信号のレベルを検出する検出部を、さらに有し、
前記制御部は、前記光信号のレベルの目標値と、前記検出部が検出したレベルとの差分を、前記他ノードから入力された光信号のレベルの制御量として決定し、決定した制御量から、前記取得部が取得した制御量を差し引くことにより、制御量を補正することを特徴とする付記1または2に記載の伝送装置。
(付記4) 前記他ノードから入力された光信号のレベルの制御量を示す第2制御情報を含む制御光信号を生成する生成部と、
前記生成部が生成した制御光信号を、装置外に出力される前記光信号に合波する合波部とを、さらに有することを特徴とする付記1乃至3の何れかに記載の伝送装置。
(付記5) 前記制御部は、前記他ノードから入力された光信号のレベルの制御量を、周期的に更新し、該更新前後の前記補正された制御量の変化に応じて、所定期間、前記光信号のレベルの制御を停止することを特徴とする付記1乃至4の何れかに記載の伝送装置。
(付記6) 前記制御部は、更新前の前記補正された制御量が所定値より大きいとき、前記光信号のレベルの制御を停止しないことを特徴とする付記5に記載の伝送装置。
(付記7) 自装置における光信号のレベルの制御量を示す制御情報を、光信号に含めて伝送する第1伝送装置と、
前記第1伝送装置から入力された前記光信号から前記制御情報を取得して、取得した前記制御情報が示す制御量に基づいて、自装置における前記光信号のレベルの制御量を補正し、補正された制御量に従って、前記光信号のレベルを制御する第2伝送装置とを有することを特徴とする伝送システム。
(付記8) 前記第2伝送装置は、前記光信号のレベルを検出し、前記光信号のレベルの目標値と、検出したレベルとの差分を、前記他ノードから入力された光信号のレベルの制御量として決定し、決定した制御量から、前記取得部が取得した制御量を差し引くことにより、制御量を補正することを特徴とする付記7に記載の伝送システム。
(付記9) 前記第2伝送装置は、前記第1伝送装置から入力された光信号のレベルの制御量を示す第2制御情報を含む制御光信号を生成し、生成した制御光信号を、装置外に出力される前記光信号に合波することを特徴とする付記7または8に記載の伝送システム。
(付記10) 前記第2伝送装置は、前記第1伝送装置から入力された光信号のレベルの制御量を、周期的に更新し、該更新前後の前記補正された制御量の変化に応じて、所定期間、前記光信号のレベルの制御を停止することを特徴とする付記7乃至9の何れかに記載の伝送システム。
(付記11) 前記第2伝送装置は、更新前の前記補正された制御量が所定値より大きいとき、前記光信号のレベルの制御を停止しないことを特徴とする付記10に記載の伝送システム。
(付記12) 他ノードにおける光信号のレベルの制御量を取得し、取得した制御量に基づいて、前記他ノードから入力された光信号のレベルの制御量を補正することを特徴とする光レベル制御方法。
(付記13) 前記他ノードから入力された光信号は、前記他ノードにおける光信号のレベルの制御量を示す第1制御情報を含み、
前記光信号から前記第1制御情報を取得することを特徴とする付記12に記載の光レベル制御方法。
(付記14) 前記光信号のレベルを検出し、
前記光信号のレベルの目標値と、検出したレベルとの差分を、前記他ノードから入力された光信号のレベルの制御量として決定し、決定した制御量から、前記取得部が取得した制御量を差し引くことにより、制御量を補正することを特徴とする付記12または13に記載の光レベル制御方法。
(付記15) 前記他ノードから入力された光信号のレベルの制御量を示す第2制御情報を含む制御光信号を生成し、
生成した制御光信号を、装置外に出力される前記光信号に合波することを特徴とする付記12乃至14の何れかに記載の光レベル制御方法。
(付記16) 前記他ノードから入力された光信号のレベルの制御量を、周期的に更新し、該更新前後の補正された制御量の変化に応じて、所定期間、前記光信号のレベルの制御を停止することを特徴とする付記12乃至15の何れかに記載の光レベル制御方法。
(付記17) 更新前の補正された制御量が所定値より大きいとき、前記光信号のレベルの制御を停止しないことを特徴とする付記16に記載の光レベル制御方法。