以下に、本発明の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る水素含有液体生成装置の構造を示す模式図である。図1に示すように、水素含有液体生成装置1は、電極部10と、可変電源部20と、電流測定部30と、制御部40とを有する。水素含有液体生成装置1は、電極部10が水成分を有する液体100に浸漬され、可変電源部20により電極部10に電圧が印加されることにより、液体100を電気分解し、水素を含有する液体である水素含有液体100Hを生成する。本実施形態において、液体100は、水成分を含む飲料である。また、水素含有液体100Hは、水成分を含み、中性を示す飲料である。
図1に示すように、電極部10は、陽極部11と、陰極部12と、絶縁体13とを有する。詳しくは後述するが、電極部10は、自身を液体100に浸漬し、陽極部11と陰極部12との間に電位差を発生させることにより、液体100を電気分解して、水素含有液体100Hを生成する。陽極部11及び陰極部12は、いずれも筒状の導電体である。より詳しくは、陽極部11及び陰極部12は、円筒形状の導電体である。絶縁体13は、陽極部11の外周部に設けられて、陽極部11と接している。陰極部12は、絶縁体13の外周部に設けられて絶縁体13と接している。すなわち、絶縁体13は、陽極部11と、陽極部11の外側に設けられた陰極部12との間に配置されて、陽極部11及び陰極部12と接している。陽極部11、陰極部12及び絶縁体13は、いずれも網状の部材である。陽極部11、陰極部12及び絶縁体13の詳細な形状については後述する。
図1に示すように、電極部10、より具体的には陽極部11及び陰極部12は、両方の端部にそれぞれ端部側開口部10HA、10HBを有している。電極部10は、端部側開口部10HA、10HBを有していなくてもよいし、少なくとも一方の端部に端部側開口部10HA又は端部側開口部10HBを有していてもよい。
陽極部11は、端部側開口部10HAにおいて、棒状の導体である陽極用給電部材14が、電気的に接続されている。陰極部12は、端部側開口部10HAにおいて、棒状の導体である陰極用給電部材15が電気的に接続されている。陽極用給電部材14は、可変電源部20の陽極と電気的に接続されている。陰極用給電部材15は、可変電源部20の陰極と電気的に接続されている。このような構造により、陽極部11は、可変電源部20の陽極と陽極用給電部材14を介して電気的に接続され、陰極部12は、可変電源部20の陰極と陰極用給電部材15を介して電気的に接続される。ただし、陽極用給電部材14は、このような棒状の形状でなくてもよく、任意の形状にすることができる。また、陽極用給電部材14は、端部側開口部10HAにおいて陽極部11に接続されることに限られず、導体として陽極部11と電気的に接続されていれば、接続箇所は任意である。また、同様に、陰極用給電部材15は、このような棒状の形状でなくてもよく、任意の形状にすることができる。そして、陰極用給電部材15は、端部側開口部10HAにおいて陰極部12に接続されることに限られず、導体として陰極部12と電気的に接続されていれば、接続箇所は任意である。
陽極部11は、長手方向、すなわち筒状の部材である陽極部11が延びる方向に向かうスリット11SLを有している。陰極部12は、長手方向、すなわち筒状の部材である陰極部12が延びる方向に向かうスリット12SLを有している。図1に示すように、電極部10は、陰極部12の外側部であって、陽極用給電部材14及び陰極用給電部材15よりも端部側開口部10HB側に、拘束部材50が設けられている。拘束部材50は、陽極部11のスリット11SL及び陰極部12のスリット12SLを閉じて、陰極部12と絶縁体13と陽極部11とを陰極部12及び陽極部11の周方向から拘束する。
可変電源部20は、可変の直流電圧を発生させる電源である。上述のように、可変電源部20は、陽極側が陽極用給電部材14と電気的に接続され、陰極側が陰極用給電部材15と電気的に接続されている。可変電源部20は、電極部10が液体100に浸漬されている場合、電極部10に直流電圧を印加することにより、液体100を電気分解させる。この時、液体100及び電極部10は、閉回路を形成するため、液体100及び電極部10には共通する電流が流れる。
電流測定部30は、可変電源部20が印加した直流電圧により発生した電流の電流値を測定する。電流測定部30は、可変電源部20と直列に、電極部10と電気的に接続されている。
図2は、本実施形態に係る制御部の構成を示すブロック図である。制御部40は、可変電源部20及び電流測定部30と電気的に接続されることにより、可変電源部20及び電流測定部30と情報の送受信を行う。制御部40は、可変電源部20を制御し、電流測定部30から、電流測定結果を受け取る。図2に示すように、制御部40は、導電率算出部41と、電圧算出部42と、電圧制御部43とを有する。導電率算出部41と、電圧算出部42と、電圧制御部43とは、それぞれ互いに電気的に接続され、情報の送受信を行うことができる。詳しくは後述するが、制御部40は、導電率算出部41により液体100の導電率を算出したり、電圧算出部42及び電圧制御部43により可変電源部20が印加する電圧を制御したりする。本実施形態において、導電率算出部41と、電圧算出部42と、電圧制御部43とは、それぞれソフトウェアによりそれらの機能を実行するものであるが、これに限られず、例えば、それぞれ個別のハードウェアであってもよい。
導電率算出部41は、可変電源部20が印加した直流電圧の電圧値と、その直流電圧により発生した電流の電流値とに基づいて、液体100の導電率を算出する。導電率算出部41は、電圧制御部43から、可変電源部20が印可した直流電圧の電圧値を受信する。また、導電率出部41は、可変電源部20が印可した直流電圧により発生した電流の電流値を、電流測定部30から受信する。
直流電圧により発生した電流の電流値は、直流電圧の電圧値に比例する。すなわち、直流電圧の電圧値を大きくすると、それに比例して、電流値も大きくなる。そして、直流電圧の上昇値に対する電流の上昇値の比が、導電率となる。本実施形態では、次の式(1)により、液体100の導電率を算出している。
σ=(I2−I1)/(V2−V1) (1)
ここで、σは液体100の導電率である。また、V1及びV2は、可変電源部20が電極部10に印加した導電率測定用電圧の電圧値(V)である。V1及びV2は、それぞれ異なる値である。また、I1は、可変電源部20が電極部10に導電率測定用電圧V1を印加した場合に発生する電流値(A)である。また、I2は、可変電源部20が電極部10に導電率測定用電圧V2を印加した場合に発生する電流値である。
このように、導電率算出部41は、可変電源部20が印加した異なる2種類の電圧と、電流測定部30によるそれぞれの電圧に対応した電流値の測定結果とに基づき、液体100の導電率を算出する。ただし、導電率算出部41による導電率の算出方法は、これに限られず、導電率算出部41は、可変電源部20の直流電圧値と、その直流電圧により発生した電流の電流値に基づいて液体100の導電率を求めれば、その方法は任意である。例えば、導電率算出部41は、次の式(2)により、導電率を算出してもよい。
V3=A・I3/σ (2)
ここで、V3は、可変電源部20が電極部10に印加した導電率測定用電圧の電圧値である。I3は、可変電源部20が電極部10に導電率測定用電圧V3を印加した場合に発生する電流値である。Aは、所定の係数である。
式(2)を用いる場合、導電率算出部41は、導電率σを、電流測定部30による電流値の1点測定の結果で算出することができる。
電圧算出部42は、導電率算出部41が算出した液体100の導電率に基づいて、液体100に所定の電流を流すための所定の電圧を算出する。電圧算出部42は、液体100を電気分解するために流す所定の電流の電流値を記憶している。電圧算出部42は、導電率算出部41が算出した液体100の導電率に基づいて、その所定の電流の電流値を流すために必要な所定の電圧の電圧値を算出する。具体的には、電圧算出部42は、次の式(3)により、所定の電圧の電圧値を算出する。
V4=I4/σ (3)
ここで、V4は、所定の電圧の電圧値である。また、I4は、所定の電流の電流値である。また、σは、導電率算出部41が算出した液体100の導電率である。
なお、電圧算出部42による所定の電圧の算出方法は、上述の式(3)に限られず、電圧算出部42は、導電率算出部41が算出した液体100の導電率と、所定の電流の電流値とに基づいて所定の電圧を算出すれば、方法は任意である。例えば、電圧算出部42は、式(3)の右辺に所定の係数を乗じたり、加えたりすることにより、所定の電圧を算出してもよい。
電圧制御部43は、可変電源部20が電極部10に印加する電圧を制御する。電圧制御部43は、導電率測定用電圧の値を記憶している。そして、電圧制御部43は、液体100の導電率を算出する際、可変電源部20に、導電率測定用電圧を印加するように指令を出す。また、電圧制御部43は、液体100を電気分解する際、可変電源部20に、電圧算出部42が算出した所定の電圧を印加するように指令を出す。
次に、水素含有液体生成装置1による液体100の電気分解について説明する。図3は、本実施形態に係る水素含有液体装置による液体の電気分解について説明した模式図である。図3に示すように、水素含有液体生成装置1は、電極部10が液体100中に浸漬されることにより、液体100中で水素含有液体を生成する。図3に示すように、電極部10は、容器101に貯留された液体100に、端部側開口部10HA側から浸漬される。従って、電極部10は、端部側開口部10HAを鉛直方向下方に位置した状態で液体100中に浸漬する。ただし、電極部10の液体100中での位置は、これに限られず、例えば、電極部10は、端部側開口部10HAと端部側開口部10HBとが水平に位置するように配置されていてもよい。また、容器101は、例えば飲料を入れるグラスであるが、これに限られない。
本実施形態における水素含有液体生成装置1は、電極部10の陽極部11と陰極部12との間に可変電源部20から所定の電圧(直流電圧)が印加されると、陽極部11において、下記式(1)の反応が生じる。
2H2O→O2+4H++4e− ・・・(1)
また、本実施形態における水素含有液体生成装置1は、電極部10の陽極部11と陰極部12との間に電源部20から直流電圧が印加されると、陰極部12において、下記式(2)の反応が生じる。
4H++4e−→ 2H2・・・(2)
本実施形態における水素含有液体生成装置1は、電極部10の陽極部11と陰極部12との間に電源部20から所定の電圧(直流電圧)が印加されると、陽極部11及び陰極部13の全体において、下記式(3)の反応が生じる。
2H2O→O2+2H2・・・(3)
以上のように、本実施形態における水素含有液体生成装置1は、酸性液体の発生が抑制され、例えばpH7以上7.5以下程度の中性になる。このように、陽極部11で発生する電離した水素イオンH+は絶縁体13を通過して陰極部12側に集まり、陰極部12には水素ガス(H2)の気泡が生成される。この気泡は、直径がナノメートルオーダーの微小な気泡である。酸素ガス(O2)は、筒状の陽極部11の内側に気泡となって集まり、陽極部11の内側に沿って移動して、端部側開口部10HAから陽極部11の外部に放出される。
次に、電極部10の形状について、より詳細に説明する。図4は、本実施形態に係る電極部を示す側面図である。図4は、電極部10の陰極部12及び絶縁体13の一部を除いた状態を示している。図5は、本実施形態に係る電極部10の断面図である。
本実施形態において、円筒状の電極部10の長手方向Eにおける長さLHは、50mm以上90mm以下であることが好ましい。また、電極部10の外径LDは、10mm以上15mm以下であることが好ましい。電極部10の長さLH及び外径LDがこの範囲内であることにより、例えば容器101が飲料用の容器である場合にも、電極部10を容易に容器101内に投入することができる。
図4に示すように、陽極部11は、側部に複数の開口11Hを有しており、陰極部12は、側部に複数の開口12Hを有している。陽極部11が有する複数の開口11Hは、陽極部11の側部を陽極部11の厚み方向に貫通している。陰極部12が有する複数の開口12Hは、陰極部12の側部を陰極部12の厚み方向に貫通している。本実施形態において、陽極部11及び陰極部12は導電体で製造されており、本実施形態においては、チタン(Ti)に白金(Pt)をめっきしたものである。めっきは、例えば、白金(Pt)−イリジウム(Ir)めっきであってもよい。本実施形態において、チタンは純チタンである。陽極部11及び陰極部12は、チタンに白金をめっきしたものに限定されるものではないが、液体100に溶け出さない材料(例えば、バナジウム(V))であることが好ましい。本実施形態においては、陽極部11及び陰極部12の両方がめっきされているが、陽極部11のみをめっきし、陰極部12はめっきしなくてもよい。このようにすることで、電極部10の製造コストを低減することができる。
図5に示すように、陽極部11と、陽極部11の外側の側部(外側部)11Soと、陰極部12の内側の側部(内側部)12Siとの間に介在する絶縁体13は、陽極部11の外側部11Soと陰極部12の内側部12Siとに接している。絶縁体13は、図4に示すように、複数の開口13Hを有している。開口13Hは、絶縁体13をその厚み方向に貫通している。絶縁体13は、例えば、絶縁性を有する材料(例えば樹脂)の繊維で編まれた網を用いることができる。また、絶縁体13としては、イオン交換機能を有していてもよい。例えば、絶縁体13は、イオン交換膜(陽イオン交換膜)であってもよい。この場合、絶縁体13は、開口13Hを有していなくてもよい。
前述したように、絶縁体13は、イオン交換膜を用いてもよいが、電気的に中性である材料が用いられる。このようにすることで、絶縁体の製造コストを低減でき、また、加工も容易になる。また、イオン交換膜は、イオンは通過させるが水分子が通過させない程度の孔を有している。イオン交換膜を絶縁体13に用いると、この絶縁体13を備えた電極部10は、水素含有液体を生成する際に必要な電圧が高くなり、消費電力が大きくなる可能性を有している。本実施形態において、絶縁体13は、電気的に中性である網状の部材である。このため、イオン交換膜と比較して低い電圧で水素含有水を生成することができ、消費電力を抑制できる。
絶縁性を有する繊維で編まれた網を絶縁体13に用いる場合、絶縁体13の厚みは、0.1mm以上1mm以下であることが好ましい。本実施形態において、絶縁体13は、陽極部11の外側部11Soと陰極部12の内側部12Siとに接している。従って、陽極部11の外側部11Soと陰極部12の内側部12Siとの間の距離(電極間隙間)は、絶縁体13の厚みにより決定される。電極間隙間が0.1mm以上1mm以下であることにより、電極部10が水素含有液体を生成する際に、陽極部11と陰極部12とに印加する電圧の電位差が比較的小さくても、電極部10は、十分な量の水素を発生させることができる。電極間隙間が前述した範囲であれば、電極部10に印加される電圧が比較的低電圧でも、電極部10は、十分な量の水素を液体100に溶存させて多くの水素を溶存した水素含有液体100Hを生成することができる。また、水素含有液体100Hに溶存する水素の量が同一であれば、電極部10は、消費電力を抑制することができる。
本実施形態において、電極部10は、容器101等に直接浸漬して水素含有液体100Hを生成する。そして、水素含有液体100Hを生成後、電極部10は、容器101等から取り出される。このように、電極部10は、適宜移動されるため、振動及び衝撃の影響を受けやすい。電極部10は、絶縁体13を陽極部11と陰極部12との間に介在させ、両者に接触させると、陽極部11及び陰極部12の動きが規制される。その結果、電極部10は、振動及び衝撃に対する耐性が向上する。
また、絶縁体13を陽極部11と陰極部12との間に介在させ、両者に接触させると、絶縁体13によって、電極部10の全体にわたって陽極部11と陰極部12との間隔を一定にしやすくなる。その結果、電極部10は、陽極部11と陰極部12との間の電気抵抗のばらつきが抑制され、電流密度のばらつきが抑制されるので、全体から一様に水素の気泡を発生することができる。電極間隙間を、絶縁体13の厚みと同等とすることで、絶縁体13を陽極部11と陰極部12との両方に接触させやすくなるので好ましい。
本実施形態において、陽極用給電部材14及び陰極用給電部材15は、陽極部11及び陰極部12と同様に、チタンに白金をめっきした部材である。陽極用給電部材14及び陰極用給電部材15は、陽極部11及び陰極部12と同様に、チタンに白金をめっきしたものに限定されるものではないが、液体100に溶け出さない材料であることが好ましい。陽極用給電部材14と陰極用給電部材15とは、例えば、スポット溶接によって、それぞれ、陽極部11と陰極部12とに接合される。ただし、陽極用給電部材14と陰極用給電部材15とは、それぞれ陽極部11と陰極部12とに電気的に接続されれば、スポット溶接に限られず、任意の接合手段が用いられてよい。
陽極用給電部材14及び陰極用給電部材15に施されるめっきは、例えば、白金(Pt)−イリジウム(Ir)めっきであってもよい。本実施形態において、陰極部12はめっきを施さなくてもよいが、この場合、陰極用給電部材15もめっきを施さなくてもよい。
次に、陽極部11、陰極部12及び絶縁体13が有する開口11H、12H、13Hについて説明する。図6は、陽極及び陰極の一部を拡大して示す図である。図7は、陽極及び陰極が有する開口の拡大図である。図8は、図6のB−B断面図である。図9は、絶縁体の一部を拡大して示す図である。陽極部11及び陰極部12は、複数の線状の部分(線状部分)16が交差した、網状の部材である。複数の線状部分16で囲まれる部分が、陽極部11及び陰極部12の開口11H、12Hとなる。本実施形態において、陽極部11及び陰極部12が有する開口11H、12Hは、菱形形状である。開口11H、12Hは、一方の対角線(第1対角線)TLlが他方の対角線(第2対角線)TLsよりも長くなっている。開口11H、12Hは、第1対角線TLl上の頂部Pa、Pbでの角度が、第2対角線TLs上の頂部Pc、Pdでの角度よりも小さくなっている。
陽極部11及び陰極部12は、複数の開口11H、12Hを有するので、開口11H、12Hを通して電気力線を内側と外側とに回すことができる。このため、陽極部11及び陰極部12は、両面を電気分解に利用することができるので、水素を効率的に発生させることができる。また、陰極部12は、線状部分16で囲まれた開口12Hにより、自身が生成する水素の気泡のぬれ角を小さくすることができるので、水素の気泡を小さい状態で離脱させることができる。すなわち、生成される水素と陰極部12の表面との間に生じる吸着力が、点接触に近い状態になって表面張力が抑制されるので、結果として、陰極部12は、水素の気泡を小さい状態で離脱させて、多くの水素の気泡を溶存した水素含有水を生成することができる。
本実施形態において、陽極部11及び陰極部12の線状部分16は、図8に示すように、断面が長方形(図8の例では正方形)となっている。陰極部12は、線状部分16が有する角部16Tによって、水素の気泡のぬれ角をさらに小さくして表面張力を抑制することができるので、水素の気泡をより小さい状態で離脱させることができる。このため、陰極部12は、より小さい水素の気泡を溶存させた水素水を生成することができる。また、陰極部12は、断面が長方形の線状部分16を有するので、水素の発生に利用することができる表面積を大きくすることができる。これらの作用により、陰極部12は、水素を原水に溶存させる効率が向上する。
本実施形態において、開口11H、12Hは、図7に示すように、第1対角線TLlが、陽極部11及び陰極部12が延びる方向、すなわち長手方向Eに向かっている。第2対角線TLsは、円筒形状の陽極部11及び陰極部12の周方向Cに向かっている。陽極部11及び陰極部12は、図1に示すように、長手方向Eの両側に端部側開口部10HA、10HBを有している。陽極部11の内側に発生した酸素の気泡は、図3に示すように、端部側開口部10HBから電極部10の外部に放出される。このとき、酸素の気泡が移動する方向に、陽極部11の開口11Hの長手方向が揃っているので、酸素の気泡は端部側開口部10HBに移動しやすくなる。その結果、電極部10は、酸素の気泡を効率的に外部へ放出することができる。また、陽極部11の開口11Hは、第1対角線TLl上の頂部Pa、Pbの角度が鋭角になるので、酸素の気泡と線状部分16との接触面積を小さくすることができる。その結果、酸素の気泡は、線状部分16から離脱しやすくなるので、電極部10は、酸素の気泡を効率的に外部へ放出することができる。また、陽極部11は、線状部分16が角部16Tを有するので、この角部16Tによって、酸素の気泡のぬれ角をさらに小さくして表面張力を抑制することができる。その結果、陽極部11は、酸素の気泡を線状部分16から速やかに離脱させて端部側開口部10HA、10HBに移動させることができる。このため、電極部10は、酸素の気泡を効率的に外部へ放出することができる。さらに、酸素の気泡が陽極部11の内側に沿って移動する過程で、陽極部11側で新たに生成された酸素の気泡を取り込んで酸素の気泡が成長する。このため、酸素の気泡と液体100とが接触する面積を小さくして、液体100への酸素の溶存を抑制することができる。
図9に示すように、絶縁体13は、複数の線状部材17を交差させ、線状部材17で囲まれる部分が開口13Hとなる網状の部材である。開口13Hは、長方形形状(本実施形態では正方形形状)となっている。開口13Hは、一辺の長さがLaであり、この辺に隣接する辺の長さがLbである。本実施形態において、開口13Hは正方形形状なので、La=Lbである。長さがLaの辺は、陽極部11及び陰極部12の長手方向Eと平行であり、長さがLbの辺は、円筒形状の陽極部11及び陰極部12の周方向Cと平行である。
本実施形態において、陽極部11の開口11H及び陰極部12の開口12Hは、絶縁体13の開口13Hよりも大きい。開口11H、12Hの面積は、第1対角線TLlの長さをLl、第2対角線TLsの長さをLsとすると、Ll×Ls/2である。開口13Hの面積(開口面積)は、La×Lbである。このため、Ll×Ls/2>La×Lbとなる。本実施形態において、例えば、第1対角線TLlの長さLlは6mm、第2対角線TLsの長さLsは3mmであるので、開口11H、12Hの面積は、9mm2となる。開口13Hは、例えば、La=Lb=1.06mmである。すなわち、絶縁体13は、1inchあたり24個の開口13Hが配列されている。開口13Hの面積(開口面積)は、1.12mm2となる。このように、本実施形態において、陽極部11及び陰極部12の開口11H、12Hの面積は、開口13Hの面積の8倍程度である。
陽極部11及び陰極部12の開口11H、12Hよりも絶縁体13の開口13Hが大きい場合、絶縁体13の開口13Hを通して陽極部11と陰極部12とが接触する可能性が高くなる。電極部10は、陽極部11及び陰極部12の開口11H、12Hよりも絶縁体13の開口13Hを小さくすることにより、絶縁体13の開口13Hを通して陽極部11と陰極部12とが互いに接触することを回避できる。このように、電極部10は、陽極部11と陰極部12との距離を小さくしても、陽極部11と陰極部12との短絡を回避して、両者の絶縁を確保できる。
本実施形態において、絶縁体13は、複数の線状部材17を交差させた網状の部材である。このような網状の部材を用いると、絶縁体13は、厚み方向にある程度の変形が許容されるので、電極部10が振動又は衝撃を受けたとき、これを絶縁体13が吸収することができる。
電極部10は、絶縁体13の開口13Hが陽極部11の開口11H及び陰極部12の開口12Hよりも小さいので、陽極部11側で発生した酸素の気泡を絶縁体13の線状部材17で捕捉し、大きな気泡とすることができる。酸素の気泡が大きくなることで、液体100への酸素の溶存が抑制されるので、電極部10は、水素の気泡の溶存率が高い水素含有液体を生成することができる。また、酸素の気泡が大きくなることで浮力が大きくなる結果、酸素の気泡が陽極部11の内側を移動しやすくなり、また開口13Hを通過しやすくなるので、電極部10は、酸素の気泡を内部から放出しやすくなる。
次に、水素含有液体生成装置1が、水素含有液体100Hを生成するために、液体100を電気分解する方法を説明する。図10は、水素含有液体生成装置による液体の電気分解のプロセスを説明したフローチャートである。
液体100を電気分解する場合、最初に電極部10を、液体100に浸漬しておく。そして、最初に、図10に示すように、電圧制御部43は、可変電源部20に、導電率測定用電圧を陽極部11に印加させる(ステップS10)。電圧制御部43は、液体100の導電率を測定するために印加する導電率測定用電圧V1及びV2の値を記憶している。電圧制御部43は、可変電源部20に、導電率測定用電圧V1を印加するように指令を出し、可変電源部20は、その指令に基づき、陽極部11に導電率測定用電圧V1を印加する。また、電圧制御部43は、可変電源部20に、導電率測定用電圧V2を印加するように指令を出し、可変電源部20は、その指令に基づき、陽極部11に導電率測定用電圧V2を印加する。このように、電圧制御部43は、可変電源部20に、異なる電圧値を有する2種類の導電率測定用電圧を印加させる。なお、導電率測定用電圧の電圧値は、液体100の電気分解が激しく起こらない程度の低い電圧値であることが好ましい。例えば、導電率測定用電圧の電圧値は、4.5V以上6V以下であることが好ましい。
電圧制御部43が導電率測定用電圧を印加させたら、電流測定部30は、導電率測定用電圧により発生した導電率測定用電流を測定する(ステップS11)。上述のように、陽極部11に電圧が印加されたら、液体100及び電極部10(陽極部11及び陰極部12)に電流が流れる。電流測定部30は、ステップS10において陽極部11に印加された導電率測定用電圧V1に基づき、導電率測定用電流I1を測定する。また、電流測定部30は、ステップS10において陽極部11に印加された導電率測定用電圧V2に基づき、導電率測定用電流I2を測定する。このように、電流測定部30は、可変電源部20が印加した異なる電圧値を有する2種類の導電率測定用電圧について、それぞれに対応する導電率測定用電流を測定する。
電流測定部30が導電率測定用電流を測定したら、導電率算出部41は、導電率測定用電圧の電圧値と、導電率測定用電流の電流値とに基づき、液体100の導電率を算出する(ステップS12)。導電率算出部41は、導電率測定用電圧V1,V2と、導電率測定用電流I1,I2とに基づき、上述の式(1)により、液体100の導電率を算出する。なお、導電率算出部41は、式(1)により液体100の導電率を算出することに限られない。導電率算出部41は、導電率測定用電圧の電圧値と、その導電率測定用電圧により発生した導電率測定用電流の電流値とに基づいて液体100の導電率を算出すれば、その算出方法は任意である。例えば、導電率算出部41は、上述の式(2)により液体100の導電率を算出してもよい。この場合、ステップS10において、電圧制御部43は、導電率測定用電圧を1種類印加させればよい。そして、ステップS11において、電流測定部30は、1つの導電率測定用電圧に対してのみ、対応する導電率測定用電流を測定すればよい。
導電率算出部41が液体100の導電率を算出したら、電圧算出部42は、導電率算出部41が算出した液体100の導電率に基づいて、所定の電流を流すための所定の電圧を算出する(ステップS13)。電圧算出部42は、液体100を電気分解するために液体100に流す所定の電流の電流値を記憶している。電圧算出部42は、導電率算出部41が算出した液体100の導電率に基づいて、その所定の電流の電流値を流すために必要な所定の電圧の電圧値を算出する。具体的には、電圧算出部42は、上述の式(3)により、所定の電圧V4を算出する。なお、本実施形態において、所定の電流の電流値は、1Aである。また、電圧算出部42による所定の電圧の算出方法は、上述の式(3)に限られない。電圧算出部42は、導電率算出部41が算出した液体100の導電率と、所定の電流の電流値とに基づいて所定の電圧を算出すれば、所定の電圧の算出方法は任意である。
電圧算出部42が所定の電圧の電圧値を算出したら、電圧制御部43は、算出した所定の電圧V4が、基準電圧の範囲内であるかを判断する(ステップS14)。電圧制御部43は、電圧算出部42から、算出した所定の電圧V4の電圧値の情報を受け取る。また、電圧制御部43は、可変電源部20が陽極部11に印加する電圧値の範囲である基準電圧を記憶している。電圧制御部43は、電圧算出部42が算出した所定の電圧V4と、この基準電圧とを照合して、所定の電圧V4が基準電圧の範囲内であるかを判断する。基準電圧は、可変電源部20が安定して直流電流を供給できる電圧の範囲内という基準を有する電圧範囲である。本実施形態において、基準電圧は、12V以上24V以下である。ただし、基準電圧の範囲内は、これに限られず、任意に設定することができる。例えば、基準電圧は、可変電源部20が出力可能な電圧の下限以上、上限以下に設定されていてもよい。
所定の電圧V4が基準電圧の範囲内である場合(ステップS14でYes)、電圧制御部43は、可変電源部20に、時間の経過に従い電圧を上昇させながら、陽極部11に電圧を印加させる(ステップS15)。すなわち、電圧制御部43は、可変電源部20に対し、印加する電圧を0Vから徐々に上昇させるように指令を出し、可変電源部20は、陽極部11に、0Vから徐々に電圧値を上昇させながら電圧を印加する。図11は、可変電源部が陽極部に印加する電圧を示したグラフである。図11の横軸は、経過時間を示し、縦軸は、可変電源部20が陽極部11に印加する電圧の電圧値を示す。図11に示すように、電圧制御部43は、ステップ15において、ポイントX1からポイントX2に向けて、時間t0から時間が経過するに従って印加電圧が0Vから上昇するように、可変電源部20に電圧を印加させる。なお、電圧を上昇させる割合は、適宜選択してもよい。
時間の経過に従い電圧を上昇させながら電圧を印加させたら、電圧制御部43は、印加させた電圧が所定の電圧V4に到達したか判断する(ステップS16)。
印加させた電圧が所定の電圧V4に到達しなければ(ステップS16でNo)、ステップS15に戻り、電圧制御部43は、可変電源部20に、時間の経過に従い電圧を上昇させながら電圧を印加させることを続ける。すなわち、電圧制御部43は、可変電源部20に、所定の電圧V4に到達するまで、印加電圧を上昇させる。
印加させた電圧が所定の電圧V4に到達したら(ステップS16でYes)、電流測定部30は、所定の電圧V4により液体100に流れている電流の電流値を測定する(ステップS17)。所定の電圧V4は、所定の電流値を流すために算出された電圧値であるが、実際に所定の電圧V4を印加した場合に流れる電流は、所定の電流値と異なる場合がある。電流測定部30は、その実際に流れた電流の電流値を測定する。
実際に流れている電流値を測定したら、電圧制御部43は、流れている電流が基準電流値の範囲内にあるかを判断する(ステップS18)。より詳しくは、電圧制御部43は、電流測定部30から、測定した電流の電流値の情報を受け取る。また、電圧制御部は、基準電流値を記憶している。電圧制御部43は、電流測定部30が測定した実際に流れている電流と、この基準電流値とを照合して、流れている電流が基準電流値の範囲内であるかを判断する。基準電流値は、実際に電流が流れた場合に、水素含有液体生成装置1が許容できる電流値の範囲である。言い換えれば、基準電流値は、適切に電気分解を行い、適切に水素を発生させることが可能であると判断される電流値の範囲である。と本実施形態において、基準電流値は、0.5A以上2A以下である。ただし、基準電流値は、この範囲に限られず、水素含有液体生成装置1が許容できる電流値の範囲であれば、任意に設定することができる。なお、ステップS18は、制御部40によって行われれば、電圧制御部43によって行われなくてもよい。
流れている電流が基準電流の範囲内であれば、可変電源部20に、印加している電圧を所定の電圧V4に維持させる(ステップS19)。電圧制御部43は、時間t1において、可変電源部20が印加する電圧が所定の電圧V4であるポイントX2に達したら、ポイントX2からポイントX3に向けて、可変電源部20に所定の電圧V4を印加させ続ける。可変電源部20が陽極部11に所定の電圧V4を印加することにより、液体100は安定した電圧によって電気分解され続ける。なお、流れている電流が、所定の電流の電流値とは異なっていても、基準電流値の範囲内であれば、適切に電気分解を行うことができる。なお、陽極部11に印加される電圧が所定の電圧V4に到達する前においても(図11のポイントX1とポイントX2との間)、液体100の電気分解が開始され、液体100に電流が流れる場合もある。すなわち、液体100の電気分解は、陽極部11に印加される電圧が所定の電圧V4に上昇してから、初めて開始されなくてもよい。
印加している電圧を所定の電圧V4に維持させたら、電圧制御部43は、所定の電圧V4を維持してから所定の時間が経過したかを判断する(ステップS20)。本実施形態において、所定の時間は、時間t1から時間t2までの所定の時間Taであり、所定の時間Taは40秒であるが、これに限られず、所定の時間Taは任意に設定されてよい。
所定の電圧を維持してから所定の時間Taが経過していなければ(ステップS20でNo)、ステップS19に戻り、電圧制御部43は、可変電源部20に、印加している電圧を所定の電圧V4に維持させることを続ける。すなわち、電圧制御部43は、可変電源部20に、所定の時間Taが経過するまで所定の電圧V4を印加させ続ける。可変電源部20が所定の電圧V4を所定の時間印加し続けることで、液体100は、所定の時間、所定の電圧V4により電気分解される。
所定の電圧を維持してから所定の時間Taが経過すれば(ステップS20でYes)、電圧制御部43は、可変電源部20に、電圧の印加を停止させる(ステップS21)。電圧制御部43は、時間t2において、可変電源部20が所定の時間Taだけ所定の電圧V4を印加したら(ポイントX3)、ポイントX3からポイントX4に向けて、可変電源部20に印加する電圧を低下させる。そして、電圧制御部43は、時間t3において、可変電源部20の印加電圧を0Vにする(ポイントX4)。これにより、電圧制御部43は、液体100の電気分解処理を終了させる。例えば、電圧制御部43は、緑色等のランプを点灯させることにより、可変電源部20の印加電圧が0Vになったことを、使用者に通知する。なお、本実施形態においては、電圧制御部43は、可変電源部20に、時間の経過に従い電圧を低減させながら、電圧印加を停止させたが、これに限られない。電圧制御部43は、所定の時間が経過した時間t2において、すぐに可変電源部20の印加電圧を0Vにしてもよい。
所定の電圧が基準電圧の範囲外である場合も(ステップS14でNo)、電圧制御部43は、液体100の電気分解処理を中止させ、この処理を終了させる。言い換えれば、電圧制御部43は、所定の電圧が基準電圧の範囲外である場合、可変電源部20による所定の電圧の印加を中止させる。所定の電圧が基準電圧よりも高い場合、高電圧である所定の電圧を正電極11に印加することになり、例えば液体100が高温になる可能性がある。また、所定の電圧が基準電圧よりも低い場合、低電圧である所定の電圧を正電極11に印加することになり、可変電源部20による電圧のコントロールが困難となる等により、適切に液体100を電気分解できなくなる可能性がある。従って、電圧制御部43は、所定の電圧が基準電圧の範囲外にある場合は、適切に電気分解を行うことができないとして、液体100の電気分解処理を行わず、水素含有液体100Hの生成を行わない。例えば、電圧制御部43は、赤色等のランプを点灯させることにより、水素含有液体100Hの生成を行わないことを、使用者に通知する。
流れている電流が基準電流の範囲外である場合(ステップS18でNo)、電圧制御部43は、電圧の印加を中止させ、この処理を終了させる。言い換えれば、電圧制御部43は、流れている電流値が基準電流の範囲外である場合、可変電源部20による電圧の印加を中止させる。流れている電流が基準電流よりも高い場合、過電流となり、例えば液体100が高温になる可能性がある。また、流れている電流が基準電流より低い場合、電気分解の進行の程度が低くなり、適切に水素を発生させることができない。従って、電圧制御部43は、流れている電流値が基準電流の範囲外である場合、適切に電気分解ができないとして、電気分解処理を中止して水素含有液体100Hの生成を行わない。例えば、電圧制御部43は、赤色等のランプを点灯させることにより、水素含有液体100Hの生成を行わないことを、使用者に通知する。
このように、水素含有液体生成装置1は、制御部40が、液体100に入れられた電極部10に、液体100の導電率を測定するための導電率測定用電圧を印加させる。そして、制御部40は、導電率測定用電圧V1の印加により生じた電極部10を流れる導電率測定用電流の電流値の情報を受け取る。そして、制御部40は、導電率測定用電圧と導電率測定用電流値とに基づいて、液体100の導電率を算出する。そして、制御部40は、算出した液体100の導電率に基づいて、液体100に所定の電流を流すための所定の電圧V4を算出する。そして、制御部40は、電極部10に所定の電圧V4を印加させる。これらの処理により、水素含有液体生成装置1は、液体100を電気分解し、水素含有液体100Hを生成する。
水素含有液体生成装置1は、このようにして液体100を電気分解し、水素含有液体100Hを生成する。水素含有液体生成装置1は、電圧制御部43の制御により、可変電源部20が電極部10に導電率測定用電圧を印加し、電流測定部30が、導電率測定用電圧により生じた導電率測定用電流の電流値を測定する。そして、水素含有液体生成装置1は、導電率測定用電圧と導電率測定用電流値とに基づいて、導電率算出部41が、液体100の導電率を算出する。そして、水素含有液体生成装置1は、算出した液体100の導電率に基づいて、電圧算出部42が、液体100に所定の電流を流すための所定の電圧を算出する。そして、水素含有液体生成装置1は、電圧制御部43の制御により、可変電源部20が電極部10に所定の電圧を印加する。すなわち、水素含有液体生成装置1は、液体100の導電率を測定し、その導電率に基づき、所定の電流を発生させる所定の電圧の電圧値を算出し、その所定の電圧を電極部10に印加する。そして、液体100には、所定の電圧により発生した所定の電流が流れる。
ここで、液体を電気分解するために、電極部に同じ電圧を印加する電圧制御方式が採用されていた場合について記載する。液体内の成分が異なればその導電率が異なるため、液体に流れる電流は、液体によって異なる。電気分解による水素の発生量は、液体に流れる電流値に依存する。従って、電圧制御方式の場合、液体毎に流れる電流量が変化するため、液体毎に水素含有量に差が生じ、液体中に適切に水素を含有させることができない可能性がある。例えば、導電率が低い液体の場合、流れる電流が小さくなるため水素発生量が少なくなり、水素含有量が小さくなる。また例えば、導電率が高い液体の場合、流れる電流が過剰に大きくなるため水素含有液体生成装置の安全装置が作動し、水素の発生が停止する可能性がある。
しかし、本実施形態に係る水素含有液体生成装置1は、液体に流したい電流の電流値を予め定めておく。そして、水素含有液体生成装置1は、液体100の導電率を測定し、その導電率に基づき、所定の電流を発生させる所定の電圧の電圧値を算出し、その所定の電圧を電極部10に印加する。そのため、水素含有液体生成装置1は、印加する所定の電圧を変化させることにより、成分が異なる液体に対して、それぞれ一定の電流(所定の電流)を流す。従って、水素含有液体生成装置1は、成分が異なる液体に用いても、水素発生量の差が大きくなることを抑制することができる。また、水素含有液体生成装置1は、液体に過剰な電流が流れることを抑制することができる。従って、水素含有液体生成装置1は、成分の異なる種々の液体から適切に水素含有液体を生成することができる。また、本実施形態に係る水素含有液体生成装置1は、液体に流したい電流の電流値を予め定めておくため、例えば電流値を大きく設定することにより、種々の液体に対し、水素発生量をできるだけ多くすることができる。
特に、飲料は、多様な種類を有し、それぞれについて含有成分が異なるため、表1に示すように、導電率も種類によって大きく異なる。本実施形態に係る水素含有液体生成装置1は、導電率を測定してから一定の電流を印加するため、多様な飲料に対しても、適切に水素含有飲料を生成することができる。このように、水素含有液体生成装置1は、飲料に用いることが、特に有効である。
また、電圧制御部43は、電圧算出部42が算出した所定の電圧が基準電圧範囲外であれば、可変電源部20による所定の電圧の印加を中止させて、液体100の電気分解処理を行わない。上述のように、基準電圧範囲外の所定の電圧を印加した場合、適切に液体100を電気分解できなくなる可能性がある。水素含有液体生成装置1は、所定の電圧が基準電圧範囲外である場合は、液体100の電気分解処理を行わない。同様に、水素含有液体生成装置1は、流れている電流が基準電流の範囲外である場合は、電圧の印加を停止して、液体100の電気分解処理を中止する。従って、水素含有液体生成装置1は、適切に処理できる場合にのみ水素含有液体の生成を行うことができる。
また、電圧制御部43は、可変電源部20が印加する電圧を、時間の経過に伴って大きくすることにより、可変電源部20が印加する電圧を所定の電圧まで上昇させる。従って、水素含有液体生成装置1は、急激な電流及び電圧の上昇を抑制することができる。また、電圧制御部43は、可変電源部20が印加する電圧を所定の電圧まで上昇させた後、所定の時間、所定の電圧のまま保持し、所定の時間経過後に、電圧の印加を停止させる。従って、水素含有液体生成装置1は、成分の異なる種々の液体に対しても、同じ大きさの電流を同じ時間印加させることができる。従って、水素含有液体生成装置1は、成分の異なる種々の液体から、より適切に水素含有液体を生成することができる。
また、本実施形態に係る電極部10は、陽極は、筒状の導電体であり、側部に複数の開口を有する陽極部11と、陽極部11の外周部に設けられて陽極部11と接する絶縁体13と、絶縁体13の外周部に設けられて絶縁体13と接する筒状の導電体であり、側部に複数の開口を有する陰極部12とを有する。従って、本実施形態に係る水素含有液体生成装置1は、液体100に対する水素含有率を、より好適に上昇させることができる。また、本実施形態に係る電極部10は、最外周には陰極部12のみが露出しており、陽極部11は、外周に露出していない。従って、例えば、使用者が電極部10の外周部に触れた場合においても、陰極部12にのみ触れることになり、陽極部11には触れない。従って、本実施形態に係る水素含有液体生成装置1は、例えば作動中に使用者が電極部10に振れた場合においても、電極部10が短絡することを抑制し、その安全性を高めることができる。
(変形例)
次に、本実施形態の変形例について説明する。変形例に係る水素含有液体生成装置1Aは、電極部10Aの構成において、水素含有液体生成装置1と異なる。変形例に係る水素含有液体生成装置1Aのその他の点については、水素含有液体生成装置1と共通するため、説明を省略する。
図12は、変形例に係る水素含有液体生成装置の電極部を示す模式図である。変形例に係る水素含有液体生成装置1Aの有する電極部10Aは、陽極部11Aと、陰極部12Aとを有する。陽極部11Aと陰極部12Aとは、矩形状の平板である。また、陽極部11Aと陰極部12Aとは、所定の距離LAだけ離間されて、互いの表面が対向して使用される。電極部10Aは、絶縁体を有さない。
陽極部11Aは、可変電源部20の陽極側と電気的に接続されている。また、陰極部12Aは、可変電源部20の陰極側と電気的に接続されている。電極部10Aは、液体100に浸漬されて、可変電源部20に直流電圧を印加される、液体100を電気分解させる。この時、液体100には電流が流れる。このように、電極部10Aも、電極部10と同様に、液体100を電気分解することができる。
変形例に係る水素含有液体生成装置1Aは、水素含有液体生成装置1と同様に、液体100の導電率を測定し、その導電率に基づき、所定の電流を流すための所定の電圧を印加する。従って、水素含有液体生成装置1Aも、成分の異なる種々の液体から、適切に水素含有液体を生成することができる。なお、水素含有液体生成装置1Aの有する電極部10Aの構造は、これに限られない。水素含有液体生成装置1Aは、電極部10Aに所定の電圧を印加することにより液体100を電気分解することができれば、電極部10Aの構造は任意である。
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、これら実施形態の内容によりこの発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。