JP6183236B2 - 熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物 - Google Patents
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Description
[1] ポリエステルエラストマー樹脂、ポリエチレン系樹脂、及びシリコーン系樹脂を含有してなる熱可塑性樹脂組成物であって、ポリエステルエラストマー樹脂100質量部に対して、ポリエチレン系樹脂3〜7質量部、シリコーン系樹脂1〜4質量部であり、ポリエチレン系樹脂が高密度ポリエチレン樹脂及び酸変性ポリエチレン樹脂からなり、高密度ポリエチレン樹脂より酸変性ポリエチレン樹脂の含有量が多いことを特徴とする、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
[2] ポリエステルエラストマー樹脂100質量部に対して、高密度ポリエチレン樹脂が0.5〜3質量部である、[1]に記載の、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
[3] ポリエステルエラストマー樹脂100質量部に対して、酸変性ポリエチレン樹脂が2〜5質量部である、[1]または[2]に記載の、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
[4] 酸変性ポリエチレン樹脂が、無水マレイン酸を有する不飽和モノマーを共重合したポリエチレンであることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載の、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
[5] ポリエステルエラストマー樹脂100質量部に対して、R1−CONH−R2なる構造を持つ置換アマイド類(R1及びR2は、炭素数6以上の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数6以上の不飽和脂肪族炭化水素基のいずれかの基であり、R1とR2は同一であっても、異なっていてもよい)0.01〜5質量部を含有することを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
[6] ポリエステルエラストマー樹脂100質量部に対して、R3−CONH−C2H4―NHCO―R4なる構造を持つビスアマイド類(R3及びR4は炭素数6以上の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数6以上の不飽和脂肪族炭化水素基のいずれかの基であり、R3とR4は同一であっても、異なっていてもよい)0.01〜5質量部を含有することを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物を用いた摺動部品。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における、ポリエステルエラストマー樹脂の溶液粘度は1.1〜2.6dl/gが好ましく、より好ましくは、1.2〜2.4dl/gである。溶液粘度は、後記する実施例の項目で説明する方法により測定されるものである。溶液粘度が1.1dl/g未満では加熱時に形状を保持することが難しく、2.6dl/g超では流動性が著しく低下する。
高密度ポリエチレン樹脂の密度は、0.94g/cm3以上であれば特に限定されるものではない。ここで、密度はJIS K6922−2に準拠し測定する値である。
高密度ポリエチレン樹脂の量としては、ポリエステルエラストマー樹脂100質量部に対して、高密度ポリエチレン樹脂が0.5〜3質量部であることが好ましく、0.5〜2質量部であることがより好ましい。0.5質量部未満では摺動性の改良が低く、3質量部超では機械物性が大きく低下する可能性がある。
酸変性ポリエチレン樹脂の量としては、ポリエステルエラストマー樹脂100質量部に対して、酸変性ポリエチレン樹脂が2〜5重量部が好ましく、3〜5質量部がより好ましい。2質量部未満ではポリエステルエラストマー樹脂との相溶性が低下し、5質量部超では機械物性が大きく低下する可能性がある。
本発明に用いる置換アマイド類とは、R1−CONH−R2なる構造を有し、ビスアマイド類とは、R3−CONH−C2H4―NHCO―R4なる構造を有する。この化学式のうちR1,R2は炭素数6以上の飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基のいずれかの基であり、好ましくは少なくともR1及びR2のうちの一方には1個以上の2重結合を有している。R1,R2の炭素数は、8〜22が好ましく、14〜20がより好ましい。また、R3,R4は炭素数6以上の飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基のいずれかの基である。R3,R4の炭素数は、8〜22が好ましく、14〜20がより好ましい。例えば飽和脂肪族炭化水素基としては、カプリル基、ラウリル基、パルミチル基、ステアリル基、イソステアリル基、ベヘリル基があり、不飽和脂肪族炭化水素基としてはオレイル基、エルカリル基などがある。これらのうち、置換アマイド類としてはオレイルステアリン酸アマイド、ビスアマイド類としてはエチレンビスステアリン酸アマイドが、特に摺動剤として良好な性能を示す。置換アミド類もしくはビスアマイド類の量としては、0.01〜5質量部が好ましく、0.01〜1質量部がより好ましい。0.01質量部未満では摺動性の改良が低く、5質量部超ではブリードアウトが激しく発生する可能性がある。
ポリブチレンテレフタレート100質量部とε−カプロラクトン25質量部とを250℃で加熱混合し、60分間反応缶内でラクトンを開環重合させつつエステル交換反応させることによって、ポリエステル・ポリエステルブロック共重合体(ポリマーA)をポリエステルエラストマー樹脂として製造した。溶液粘度ηsp/Cは、1.20dl/gであった。
また、ジメチルテレフタレートと1,4−ブタンジオール及び数平均分子量が約1000であるポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)を用い、PTMGの単位がそれぞれ12mol%と25mol%を占めるポリエステル・ポリエーテルブロック共重合体(ポリマ−B及びC)をポリエステルエラストマー樹脂として常法によって製造した。溶液粘度ηsp/Cは、ポリマーBが1.33dl/g、ポリマーCが1.45dl/gであった。
溶液粘度測定法:
ポリエステルエラストマー樹脂共重合体0.05gを25mLの混合溶媒(フェノール/テトラクロロエタン=60/40(質量比))に溶かし、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。
〔摩擦係数〕
摺動時の摩擦係数を、KES-SE摩擦感テスター(カトーテック株式会社製)を用いて測定した。測定条件としては、相手材はピアノ線、接触面積が5mm×5mm(0.25cm2)、面圧が25g/cm2で、1mm/sのすべり速度で電圧を測定した。得られた電圧を、同装置を用いて摩擦係数に変換した。測定試料は、100mm×100mm×2mmtのプレート状に成形し測定した。成形条件としては、シリンダー温度を融点+(15〜25)℃、金型温度を常温で成形した。
〔表層状態〕
サンプルを100mm×100mm×2mmtのプレートに成形し、ブリードを目視で確認し、下記の基準で評価した。サンプルの成形条件としては、シリンダー温度を融点+(15〜25)℃、金型温度を常温で成形した。
○:ブリードなし ×:ブリードあり
ポリエステルエラストマー樹脂としてポリマーAを100質量部、増粘剤としてエピクロン830(エポキシ樹脂、DIC株式会社製)を4.3質量部、硬化促進剤トリフェニルフォスフィンを0.15質量部、光安定剤チヌビン622LD(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を1質量部混合して得たポリマー組成物に対し、酸変性ポリエチレン樹脂としてアドテックスDH0200(日本ポレチレン株式会社製)を4質量部、高密度ポリエチレン樹脂としてHIZEX6203B(プライムポリマー株式会社製)を1質量部、シリコーン系樹脂としてBY27−202H(東レ・ダウコーニング株式会社製・低密度ポリエチレン樹脂にポリオルガノシロキサンをグラフト重合させたもの)を3質量部、置換アマイド類としてオレイルステアリン酸アミドを0.1質量部(実施例1)、0.3質量部(実施例2)、混合した後、混合物を40mmφ同方向回転押出機を用いて、240℃で混練りして、水槽中にストランド状に吐出させて、冷却させながらストランドカッターでカッティングして樹脂組成物のチップを得た。
実施例1,2において、置換アマイド類の代わりに、ビスアマイド類としてエチレンビスステアリン酸アミドを用いた以外は実施例1,2と同様にして樹脂組成物のチップを得た。
実施例1において、置換アマイド類を除いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物のチップを得た。
ポリエステルエラストマー樹脂としてポリマーBを100質量部、紫外線吸収剤としてシーソーブ702(シプロ化成株式会社製)を0.5質量部、酸化防止剤としてイルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.5質量部、イルガノックス1098(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.2質量部、HOSTANOX P−EPQ(クラリアント社製)を0.2質量部、離型剤としてリコモントCav102(クラリアント社製)を0.3質量部混合してポリマー組成物を得た以降は、置換アマイド類としてオレイルステアリン酸アミドを0.2質量部に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物のチップを得た。
ポリエステルエラストマー樹脂としてポリマーCを100質量部、紫外線吸収剤としてシーソーブ702(シプロ化成株式会社製)を0.5質量部、酸化防止剤としてイルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.5質量部、イルガノックス1098(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.2質量部、HOSTANOX P−EPQ(クラリアント社製)を0.2質量部、離型剤としてリコモントCav102(クラリアント社製)を0.3質量部混合してポリマー組成物を得た以降は、置換アマイド類としてオレイルステアリン酸アミドを0.2質量部に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物のチップを得た。
ポリマー組成物を得た以降、表2記載の配合成分・量に変更した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物のチップを得た。
Claims (7)
- ポリエステルエラストマー樹脂、ポリエチレン系樹脂、及びシリコーン系樹脂を含有してなる熱可塑性樹脂組成物であって、ポリエステルエラストマー樹脂100質量部に対して、ポリエチレン系樹脂3〜7質量部、シリコーン系樹脂1〜4質量部であり、ポリエチレン系樹脂が高密度ポリエチレン樹脂及び酸変性ポリエチレン樹脂からなり、高密度ポリエチレン樹脂より酸変性ポリエチレン樹脂の含有量が多いことを特徴とする、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
- ポリエステルエラストマー樹脂100質量部に対して、高密度ポリエチレン樹脂が0.5〜3質量部である、請求項1に記載の、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
- ポリエステルエラストマー樹脂100質量部に対して、酸変性ポリエチレン樹脂が2〜5質量部である、請求項1または2に記載の、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
- 酸変性ポリエチレン樹脂が、無水マレイン酸を有する不飽和モノマーを共重合したポリエチレンであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
- ポリエステルエラストマー樹脂100質量部に対して、R1−CONH−R2なる構造を持つ置換アマイド類(R1及びR2は、炭素数6以上の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数6以上の不飽和脂肪族炭化水素基のいずれかの基であり、R1とR2は同一であっても、異なっていてもよい)0.01〜5質量部を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
- ポリエステルエラストマー樹脂100質量部に対して、R3−CONH−C2H4―NHCO―R4なる構造を持つビスアマイド類(R3及びR4は炭素数6以上の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数6以上の不飽和脂肪族炭化水素基のいずれかの基であり、R3とR4は同一であっても、異なっていてもよい)0.01〜5質量部を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物を用いた摺動部品。
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