JP6183236B2 - 熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、ポリエステルエラストマー樹脂組成物に関するもので、詳しくは該ポリエステルエラストマー樹脂組成物を用いて成形した成形品が、摺動性、耐ブリード性に優れているという特徴を有するポリエステルエラストマー樹脂組成物に関するものである。
熱可塑性ポリエステルエラストマーに、固体潤滑剤、並びに高級アルコール高級脂肪酸、それらの誘導体及び長鎖炭化水素化合物から選ばれた1種以上の化合物を配合して摺動性を改良することは知られている(特許文献1)。これまで摺動剤として使用されていたアマイド化合物は、摺動性を改良する性能を有するものの、ブルーミング現象がある。従って外観を重視する用途には不向きであった。
特開昭52−65552号公報
本発明の目的は、熱可塑性ポリエステルエラストマーとの相溶性が良好な成分を配合することにより、成形品表面へのブリードがなく、摺動性良好な熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物を提供することにある。
上記課題を達成する本発明に係る組成物としては、以下のようになる。
[1] ポリエステルエラストマー樹脂、ポリエチレン系樹脂、及びシリコーン系樹脂を含有してなる熱可塑性樹脂組成物であって、ポリエステルエラストマー樹脂100質量部に対して、ポリエチレン系樹脂3〜7質量部、シリコーン系樹脂1〜4質量部であり、ポリエチレン系樹脂が高密度ポリエチレン樹脂及び酸変性ポリエチレン樹脂からなり、高密度ポリエチレン樹脂より酸変性ポリエチレン樹脂の含有量が多いことを特徴とする、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
[2] ポリエステルエラストマー樹脂100質量部に対して、高密度ポリエチレン樹脂が0.5〜3質量部である、[1]に記載の、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
[3] ポリエステルエラストマー樹脂100質量部に対して、酸変性ポリエチレン樹脂が2〜5質量部である、[1]または[2]に記載の、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
[4] 酸変性ポリエチレン樹脂が、無水マレイン酸を有する不飽和モノマーを共重合したポリエチレンであることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載の、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
[5] ポリエステルエラストマー樹脂100質量部に対して、R−CONH−Rなる構造を持つ置換アマイド類(R及びRは、炭素数6以上の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数6以上の不飽和脂肪族炭化水素基のいずれかの基であり、RとRは同一であっても、異なっていてもよい)0.01〜5質量部を含有することを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
[6] ポリエステルエラストマー樹脂100質量部に対して、R−CONH−C―NHCO―Rなる構造を持つビスアマイド類(R及びRは炭素数6以上の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数6以上の不飽和脂肪族炭化水素基のいずれかの基であり、RとRは同一であっても、異なっていてもよい)0.01〜5質量部を含有することを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物を用いた摺動部品。
本発明の組成物によれば、高摺動性を有した上で、摺動性付与のための配合物(脂肪酸アマイド等)のブリードアウトを抑制する事が可能であるため、良外観部品など、より幅広い範囲での使用が可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、本発明におけるポリエステルエラストマー樹脂とは、高融点ポリエステルセグメントと低融点重合体セグメントとからなるブロック共重合体であり、高融点ポリエステルセグメント構成部分だけで高重合体を形成した場合の融点が150℃以上であり、低融点重合体セグメント構成成分のみで測定した場合の融点ないし軟化点が80℃以下であるような構成成分からなるポリエステルエラストマー樹脂であり、そのポリエステルエラストマー樹脂の融点は80℃以上である。
高融点ポリエステルセグメントを構成するポリエステルは、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸,ビ安息香酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、4,4−スルホニルジ安息香酸などから選ばれる芳香族ジカルボン酸の残基と、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、テトラメチレングリコ−ル、ペンタメチレングリコ−ル、2,2−ジメチルトリメチレングリコ−ル、ヘキサメチレングリコ−ル、デカメチレングリコ−ル、p−キシレングリコ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ル等から選ばれるジオール残基とからなるポリエステル、あるいはこれら2種類以上のジカルボン酸あるいは2種類以上のジオールを用いた共重合ポリエステル、あるいはp−(β−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、p−オキシ安息香酸等のオキシ酸、およびそれらの残基から誘導されるポリエステル、ポリピバロラクトンなどのポリラクトン、1,4−ビス(4,4’−ジカルボキシジフェノキシ)エタンなどの芳香族エーテルジカルボンの残基と前述のジオール残基とからなるポリエーテルエステル、さらに以上述べたジカルボン酸、オキシ酸、ジオール類などを組み合わせた共重合ポリエステルなどのうち、融点が150℃以上のものをあげることができる。これらの中では、テレフタル酸とテトラメチレングリコ−ルからなるポリブチレンテレフタレート、2,6−ナフタレンジカルボン酸とテトラメチレングリコ−ルからなるポリブチレンナフタレートが好ましく、特にポリブチレンテレフタレートが好ましい。
代表的な低融点重合体セグメント構成成分としては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等のポリエーテルグリコール、及びこれらの混合物さらにこれらのエーテル構成成分を共重合した共重合ポリエーテルグリコール等が挙げられる。さらに炭素数2〜12の脂肪族または脂環族ジカルボン酸と炭素数2〜10の脂肪族または脂環族グリコールからなるポリエステル、例えばポリエチレンアジペート、ポリテトラメチレンアジペート、ポリエチレンセバケート、ポリネオペンチルセバケート、ポリテトラメチレンドデカネート、ポリテトラメチレンアゼレート、ポリヘキサメチレンアゼレート、ポリ−ε−カプロラクトン等の脂肪族ポリエステル、及び2種の脂肪族ジカルボン酸あるいは2種のグリコールを用いてできる脂肪族共重合ポリエステル等をあげることができる。さらに1,6−ヘキサンカーボネートジオールなどの脂肪族ポリカーボネートをあげることもできる。さらに低融点重合体セグメント構成成分として上記脂肪族ポリエステルと脂肪族ポリエーテルとを組み合わせたポリエステルポリエーテルブロック共重合体などをあげることができる。これらの中では、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリ−ε−カプロラクトンが好ましい。
低融点重合体セグメント構成成分は、ポリエステルエラストマー樹脂のなかで、実質的に非晶の状態を示すものであり、そのセグメント構成成分だけで測定した場合の融点あるいは軟化点が80℃以下のものをいう。その数平均分子量は400〜6000が好ましい。より好ましい数平均分子量は1000〜2000である。またポリエステルエラストマー樹脂の全構成成分のなかでの低融点重合体セグメント成分の比率は3〜50mol%であることが好ましい。
本発明における、ポリエステルエラストマー樹脂の溶液粘度は1.1〜2.6dl/gが好ましく、より好ましくは、1.2〜2.4dl/gである。溶液粘度は、後記する実施例の項目で説明する方法により測定されるものである。溶液粘度が1.1dl/g未満では加熱時に形状を保持することが難しく、2.6dl/g超では流動性が著しく低下する。
これらのポリエステルエラストマー樹脂は、通常の重合方法によって製造することができる。好適な方法としては、芳香族ジカルボン酸またはそのジメチルエステル化合物と、低分子ジオール、低融点セグメント形成性ジオールとを触媒の存在下に約150〜260℃に加熱し、エステル化反応またはエステル交換反応を行い、次いで真空下に過剰の低分子ジオールを除去しつつ重縮合反応を行うことにより、ポリエステルエラストマー樹脂を得る方法、あらかじめ調整した高融点ポリエステルセグメント形成性プレポリマー及び低融点重合体セグメント形成性プレポリマーに、それらのプレポリマーの末端と反応する2官能性の鎖延長剤を混合して、反応させた後、系を高真空に保ち揮発分を除去することにより、ポリエステルエラストマー樹脂を得る方法、高重合度の高融点ポリエステルとラクトン類とを加熱混合し、ラクトンを開環重合させつつエステル交換反応させることにより、ポリエステルエラストマー樹脂を得る方法などがある。
本発明において、ポリエステルエラストマー樹脂100質量部に対して、ポリエチレン系樹脂(高密度ポリエチレン樹脂及び酸変性ポリエチレン樹脂)の総量は3〜7質量部であり、4〜6質量部であることが好ましい。3質量部未満では摺動性の改良が弱く、7質量部超では機械物性が大きく低下する可能性がある。
本発明の組成物を構成する高密度ポリエチレン樹脂は、エチレン単独重合体あるいはエチレンとα−オレフィンとの共重合体である。α−オレフィンとしては、直鎖または分岐鎖状の炭素数3〜20のオレフィンが好ましく、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンを挙げることができる。また、それらを2種類以上組み合わせて使用しても良い。これら共重合体の中でも、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体が経済性の観点から好適である。また、低密度ポリエチレン樹脂を用いた場合では、耐熱性や機械物性の低下が考えられるため、高密度ポリエチレン樹脂が好ましい。
高密度ポリエチレン樹脂の密度は、0.94g/cm以上であれば特に限定されるものではない。ここで、密度はJIS K6922−2に準拠し測定する値である。
高密度ポリエチレン樹脂の量としては、ポリエステルエラストマー樹脂100質量部に対して、高密度ポリエチレン樹脂が0.5〜3質量部であることが好ましく、0.5〜2質量部であることがより好ましい。0.5質量部未満では摺動性の改良が低く、3質量部超では機械物性が大きく低下する可能性がある。
本発明の組成物を構成する酸変性ポリエチレン樹脂は、酸無水物基を有する不飽和モノマーを共重合させたものである。酸無水物基を有する不飽和モノマーとしては、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられるが、特に無水マレイン酸が好ましい。一方、変性されたポリエチレン樹脂として、メタクリル酸グリシジルエステルやアクリル酸グリシジルエステル等に代表されるグリシジルエステル基を有する不飽和モノマーを共重合させたものも一般によく用いられるが、これらの変性ポリエチレン樹脂を使用した場合、耐衝撃性などの特性向上に大きく寄与するものの、摺動性の改良には寄与度が低いため本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物には好ましくない。
酸変性ポリエチレン樹脂の量としては、ポリエステルエラストマー樹脂100質量部に対して、酸変性ポリエチレン樹脂が2〜5重量部が好ましく、3〜5質量部がより好ましい。2質量部未満ではポリエステルエラストマー樹脂との相溶性が低下し、5質量部超では機械物性が大きく低下する可能性がある。
本発明において、高密度ポリエチレン樹脂と比べて酸変性ポリエチレン樹脂の含有量(質量割合)が多い事が好ましい。高密度ポリエチレン樹脂の含有量が多い場合では、ポリエステルエラストマー樹脂との相溶性が悪くなり、層間剥離等の問題が発生する可能性があるため好ましくない。
本発明の組成物を構成するシリコーン系樹脂は、ポリプロピレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂などに反応性ポリオルガノシロキサンをグラフト重合させたものである。樹脂とシリコーンが化学的に結合していることから、厳しい環境下でもその効果を持続でき、ブリードを低減させる事ができる。シリコーン系樹脂の量としては、ポリエステルエラストマー樹脂100質量部に対して1〜4質量部である。1質量部未満ではブリードを十分に低減させる事が出来ず、4質量部超ではポリエステルエラストマー樹脂との相溶性が低下する。
本発明においては、摺動性をより改良するため、置換アマイド類もしくはビスアマイド類を用いても良い。
本発明に用いる置換アマイド類とは、R−CONH−Rなる構造を有し、ビスアマイド類とは、R−CONH−C―NHCO―Rなる構造を有する。この化学式のうちR,Rは炭素数6以上の飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基のいずれかの基であり、好ましくは少なくともR及びRのうちの一方には1個以上の2重結合を有している。R,Rの炭素数は、8〜22が好ましく、14〜20がより好ましい。また、R,Rは炭素数6以上の飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基のいずれかの基である。R,Rの炭素数は、8〜22が好ましく、14〜20がより好ましい。例えば飽和脂肪族炭化水素基としては、カプリル基、ラウリル基、パルミチル基、ステアリル基、イソステアリル基、ベヘリル基があり、不飽和脂肪族炭化水素基としてはオレイル基、エルカリル基などがある。これらのうち、置換アマイド類としてはオレイルステアリン酸アマイド、ビスアマイド類としてはエチレンビスステアリン酸アマイドが、特に摺動剤として良好な性能を示す。置換アミド類もしくはビスアマイド類の量としては、0.01〜5質量部が好ましく、0.01〜1質量部がより好ましい。0.01質量部未満では摺動性の改良が低く、5質量部超ではブリードアウトが激しく発生する可能性がある。
本発明のポリエステルエラストマー樹脂組成物は、必須成分であるポリエステルエラストマー樹脂、ポリエチレン系樹脂(高密度ポリエチレン樹脂及び酸変性ポリエチレン樹脂)、及びシリコーン系樹脂の合計で90質量%以上を占めることが好ましく、95質量%以上を占めることがより好ましい。
本発明の組成物は、多くの望ましい特性を有するが、さらに紫外線に対する安定剤、熱酸化に対する安定剤、加水分解に対する安定剤等を配合することにより、極めて容易に上記性質を著しく安定化させることができる。安定剤として有用な代表的なものは、紫外線に対する安定剤としては置換ベンゾフェノン類または置換ベンゾトリアゾール類など、熱酸化に対する安定剤としてはフェノール誘導体、例えばテトラキス[メチレン−3(3,5−ジタ−シャリブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジタ−シャリブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、4,4’−ブチリデンビス(6−ターシャリブチルメタクレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−ターシャリブチルフェノ−ル)等があり、芳香族アミン類例えば、N,N’−ビス(β−ナフチル)パラフェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチルヘプチル)−パラフェニレンジアミン等があり、チオプロピオン酸エステル類、例えばジラウリルジチオプロピネ−ト、ジステアリルジプロピオネート等がある。またこれらの組合せも有効である。加水分解に対する安定剤としてはカルボジイミド類、モノあるいはポリエポキシがある。またこれら以外にも、離型剤、増粘剤、硬化促進剤、光に対する安定剤等公知の添加剤を配合しても良い。これらの配合は溶融混練時または別に任意の段階で行うことができる。
本発明のポリエステルエラストマー樹脂組成物は、公知の成形方法を用いて、摺動部品に成形することが可能である。
以下、実施例を挙げて本発明の構成及び作用効果をより詳細に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前後記の趣旨に適合しうる範囲で変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。実施例中、単に部あるいは%とあるのは質量部あるいは質量%を示す。
<ポリエステルエラストマー樹脂の製造例>
ポリブチレンテレフタレート100質量部とε−カプロラクトン25質量部とを250℃で加熱混合し、60分間反応缶内でラクトンを開環重合させつつエステル交換反応させることによって、ポリエステル・ポリエステルブロック共重合体(ポリマーA)をポリエステルエラストマー樹脂として製造した。溶液粘度ηsp/Cは、1.20dl/gであった。
また、ジメチルテレフタレートと1,4−ブタンジオール及び数平均分子量が約1000であるポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)を用い、PTMGの単位がそれぞれ12mol%と25mol%を占めるポリエステル・ポリエーテルブロック共重合体(ポリマ−B及びC)をポリエステルエラストマー樹脂として常法によって製造した。溶液粘度ηsp/Cは、ポリマーBが1.33dl/g、ポリマーCが1.45dl/gであった。
溶液粘度測定法:
ポリエステルエラストマー樹脂共重合体0.05gを25mLの混合溶媒(フェノール/テトラクロロエタン=60/40(質量比))に溶かし、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。
<評価方法>
〔摩擦係数〕
摺動時の摩擦係数を、KES-SE摩擦感テスター(カトーテック株式会社製)を用いて測定した。測定条件としては、相手材はピアノ線、接触面積が5mm×5mm(0.25cm)、面圧が25g/cmで、1mm/sのすべり速度で電圧を測定した。得られた電圧を、同装置を用いて摩擦係数に変換した。測定試料は、100mm×100mm×2mmtのプレート状に成形し測定した。成形条件としては、シリンダー温度を融点+(15〜25)℃、金型温度を常温で成形した。
〔表層状態〕
サンプルを100mm×100mm×2mmtのプレートに成形し、ブリードを目視で確認し、下記の基準で評価した。サンプルの成形条件としては、シリンダー温度を融点+(15〜25)℃、金型温度を常温で成形した。
○:ブリードなし ×:ブリードあり
〔実施例1、2〕
ポリエステルエラストマー樹脂としてポリマーAを100質量部、増粘剤としてエピクロン830(エポキシ樹脂、DIC株式会社製)を4.3質量部、硬化促進剤トリフェニルフォスフィンを0.15質量部、光安定剤チヌビン622LD(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を1質量部混合して得たポリマー組成物に対し、酸変性ポリエチレン樹脂としてアドテックスDH0200(日本ポレチレン株式会社製)を4質量部、高密度ポリエチレン樹脂としてHIZEX6203B(プライムポリマー株式会社製)を1質量部、シリコーン系樹脂としてBY27−202H(東レ・ダウコーニング株式会社製・低密度ポリエチレン樹脂にポリオルガノシロキサンをグラフト重合させたもの)を3質量部、置換アマイド類としてオレイルステアリン酸アミドを0.1質量部(実施例1)、0.3質量部(実施例2)、混合した後、混合物を40mmφ同方向回転押出機を用いて、240℃で混練りして、水槽中にストランド状に吐出させて、冷却させながらストランドカッターでカッティングして樹脂組成物のチップを得た。
〔実施例3、4〕
実施例1,2において、置換アマイド類の代わりに、ビスアマイド類としてエチレンビスステアリン酸アミドを用いた以外は実施例1,2と同様にして樹脂組成物のチップを得た。
〔実施例5〕
実施例1において、置換アマイド類を除いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物のチップを得た。
〔実施例6〕
ポリエステルエラストマー樹脂としてポリマーBを100質量部、紫外線吸収剤としてシーソーブ702(シプロ化成株式会社製)を0.5質量部、酸化防止剤としてイルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.5質量部、イルガノックス1098(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.2質量部、HOSTANOX P−EPQ(クラリアント社製)を0.2質量部、離型剤としてリコモントCav102(クラリアント社製)を0.3質量部混合してポリマー組成物を得た以降は、置換アマイド類としてオレイルステアリン酸アミドを0.2質量部に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物のチップを得た。
〔実施例7〕
ポリエステルエラストマー樹脂としてポリマーCを100質量部、紫外線吸収剤としてシーソーブ702(シプロ化成株式会社製)を0.5質量部、酸化防止剤としてイルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.5質量部、イルガノックス1098(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.2質量部、HOSTANOX P−EPQ(クラリアント社製)を0.2質量部、離型剤としてリコモントCav102(クラリアント社製)を0.3質量部混合してポリマー組成物を得た以降は、置換アマイド類としてオレイルステアリン酸アミドを0.2質量部に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物のチップを得た。
〔比較例1〜11〕
ポリマー組成物を得た以降、表2記載の配合成分・量に変更した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物のチップを得た。
実施例、比較例で得られた樹脂組成物を用いて、各種の評価を行った。結果を表1、2に示す。
実施例で得られた樹脂組成物を用いた評価では、摩擦係数が低く、表層状態も問題ないことが分かる。特に、置換アマイド類もしくはビスアマイド類を用いた実施例1〜4、6、7では、静摩擦係数も低い値となっている。一方、比較例で得られた樹脂組成物を用いた評価では、摩擦係数を低くすることと表層状態を良好にすることを両立させることは出来ていないことが分かる。
本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物は、摺動特性、耐ブリード性に優れた成形品を得ることができ、より幅広い範囲での使用が可能となるところから、産業上寄与すること大である。

Claims (7)

  1. ポリエステルエラストマー樹脂、ポリエチレン系樹脂、及びシリコーン系樹脂を含有してなる熱可塑性樹脂組成物であって、ポリエステルエラストマー樹脂100質量部に対して、ポリエチレン系樹脂3〜7質量部、シリコーン系樹脂1〜4質量部であり、ポリエチレン系樹脂が高密度ポリエチレン樹脂及び酸変性ポリエチレン樹脂からなり、高密度ポリエチレン樹脂より酸変性ポリエチレン樹脂の含有量が多いことを特徴とする、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
  2. ポリエステルエラストマー樹脂100質量部に対して、高密度ポリエチレン樹脂が0.5〜3質量部である、請求項1に記載の、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
  3. ポリエステルエラストマー樹脂100質量部に対して、酸変性ポリエチレン樹脂が2〜5質量部である、請求項1または2に記載の、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
  4. 酸変性ポリエチレン樹脂が、無水マレイン酸を有する不飽和モノマーを共重合したポリエチレンであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
  5. ポリエステルエラストマー樹脂100質量部に対して、R−CONH−Rなる構造を持つ置換アマイド類(R及びRは、炭素数6以上の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数6以上の不飽和脂肪族炭化水素基のいずれかの基であり、RとRは同一であっても、異なっていてもよい)0.01〜5質量部を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
  6. ポリエステルエラストマー樹脂100質量部に対して、R−CONH−C―NHCO―Rなる構造を持つビスアマイド類(R及びRは炭素数6以上の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数6以上の不飽和脂肪族炭化水素基のいずれかの基であり、RとRは同一であっても、異なっていてもよい)0.01〜5質量部を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物を用いた摺動部品。
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