JP6183108B2 - 流体式減速装置 - Google Patents

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Description

本発明は、トラックやバスなどの車両に補助ブレーキとして搭載される流体式減速装置に関する。
一般に、車両の補助ブレーキには、流体式減速装置と渦電流式減速装置がある。
流体式減速装置は、例えば特許文献1、2に開示されるように、トランスミッションの後端に連結された作動容器の内部に、流体継手で用いられるような一対の羽根車が対向して配置される。一対の羽根車はいずれも放射状に延び出す羽根を有し、そのうちの一方は、作動容器に固定されたステータとしての固定羽根車であり、他方は、トランスミッションの出力軸(回転軸)に直接固定されたり、増速歯車機構を介して固定されたりしたロータとしての回転羽根車である。これらの固定羽根車と回転羽根車とによってトーラス状の作動室が形成される。
制動時には、油圧ポンプやエア圧によって作動室内に作動流体(油、水、またはそれらの混合流体)が供給されて充満する。すると、回転羽根車が回転している一方で固定羽根車が静止した状態にあることから、両者の間に相対的な回転速度差が生じ、作動室内では、回転羽根車と固定羽根車との間を作動流体が循環し、作動流体の循環流が起こる。このとき、作動流体が回転羽根車の回転を妨げる抵抗となり、これにより回転羽根車に制動力が発生し、回転羽根車を介して回転軸の回転を減速させることができる。
その際、制動力の発生に伴って回転軸の運動エネルギーが熱エネルギーに変換されることにより、作動流体は温度が上昇し高温になる。このため、特許文献1に開示される流体式減速装置では、高温になった作動流体を作動容器の外部へ排出し、熱交換器によって冷却する外部冷却システムを必要としている。この減速装置の場合、高い制動力を安定的に長時間発生させることが可能である反面、制動力の発生に直接寄与する一対の羽根車のみならず、作動流体の供給・排出装置、さらには熱交換器が不可欠となり、装置構成が複雑で、装置の重量が重くなることは否めない。また、車両が本来備える冷却水系を利用するにしても、車両の大幅な改造が必要であることから、車両重量が比較的軽く、コンパクトで、簡便な組込みが望まれる中小型の車両への搭載には適さない。
これに対し、特許文献2に開示される流体式減速装置では、作動室の径方向外側にリング状熱交換器を配設するとともに、電気や作動流体の圧力を利用して駆動するファンを回転軸に取り付けた内部冷却システムを採用している。この内部冷却システムでは、高温になった作動流体をリング状熱交換器に導入し、これをファンによる送風で空冷するとしている。この減速装置の場合、外部の熱交換器を必要とすることなく、その外部熱交換器とをつなぐ配管を省略することができ、さらに、車両の冷却水系とは別個独立しているため、組込み性に優れる。
しかし、特許文献2に開示される流体式減速装置は、特許文献1に開示されるものと同様に、非制動時には作動流体を作動室から排出し、制動時には作動流体を作動室に供給する必要があることから、作動流体を作動室に対して供給・排出するために空圧機構や油圧ポンプや遮蔽弁などの格別な機構が不可欠であり、さらに作動流体を蓄える貯蔵容器も不可欠となる。これは、より一層の部品点数の削減、軽量化、コンパクト化が望まれる中小型車両への搭載には、大きな障害となる。また、制動と非制動との切り替え時、作動室に対し作動流体を供給・排出する必要があるため、非制動状態から所望の制動力を発揮するまでや、制動状態から完全に非制動状態となるまでに、ある程度の時間を要し、応答遅れが生じるという不都合もある。
一方、渦電流式減速装置は、例えば特許文献3〜6に開示されるように、回転軸に固定した制動部材を有し、制動時に、永久磁石や電磁石からの磁界の作用で、磁石と対向する制動部材の表面に渦電流を発生させ、これにより、回転軸と一体で回転する制動部材に回転方向と逆向きの制動力が生じ、回転軸の回転を減速させるものである。
渦電流式減速装置の場合、制動時に制動部材に発生した渦電流により、回転軸の運動エネルギーが熱エネルギーに変換され、この熱エネルギーによって制動部材が発熱する。制動部材に発生した熱は、高速で回転する制動部材に設けられたフィンによって放熱されるため、流体式減速装置のように作動流体を作動室から排出して、熱交換器で冷却する必要が無く、装置構成が簡素である。特に、強力な永久磁石を使用したものは、同じ磁力を発生する電磁石に比べ、大幅に小さく、軽い永久磁石で済むため、軽量化、コンパクト化を実現することができ、大型車両のみならず、中小型車両への適用も有望である。
しかし、強力な磁力を発揮する永久磁石は、ネオジムなどの希土類金属を多く含有するため、非常に高価であり、さらに、需給バランスの影響による価格変動が大きい。このため、永久磁石を用いた渦電流式減速装置には、永久磁石の仕様に依存してコストが不安定になるという問題がある。
特開2002−87222号公報 国際公開WO2006/027056号パンフレット 特開平1−234043号公報 特開平1−298948号公報 特開2002−51533号公報 特開2011−97696号公報
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、装置構成が簡素で、軽量化、コンパクト化を実現することができ、しかもコストの安定化が可能な流体式減速装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、流体式減速装置を採用することを前提として鋭意検討を重ねた結果、以下のことを知見した。
上記目的を達成するには、回転軸にディスクを固定し、この回転ディスクの全体を包囲するように一対の円板部および円筒部からなるハウジングを回転軸に回転可能に支持し、さらに、回転ディスクの両面のうち少なくとも一方の面とそれに対向する円板部の内面との間を作動流体の作動室として機能させるべく、それらの各面に放射状に延び出す羽根を設けるとともに、回転ハウジングの内部に作動流体を充満させ、その上で、制動時にその回転ハウジングに直接摩擦部材を押し付けて回転ハウジングを静止させる摩擦ブレーキを採用するのが有効である。
また、回転ハウジングおよび回転ディスクに設けた羽根を、回転軸に対して傾斜させることにより、傾斜させない場合よりも大きな制動力を得られる。以上の知見に基づき、本発明を完成させた。
本発明の流体式減速装置は、
車両の回転軸に固定された回転ディスクと、
前記回転ディスクを包囲するように一対の円板部およびこれらの円板部同士の外周部を連結する円筒部からなり、前記回転軸に回転可能に支持された回転ハウジングと、
制動時に前記回転ハウジングに摩擦部材を押し付けて前記回転ハウジングを静止させる摩擦ブレーキと、を備え、
前記一対の円板部と対向する前記回転ディスクの両面のうち少なくとも一方の面に放射状に延び出す羽根を設けるとともに、前記回転ディスクの前記羽根が設けられた面と対向する前記円板部の内面に放射状に延び出す羽根を設け、前記回転ハウジングの内部に作動流体が充満しており、
前記回転ディスクおよび前記円板部に設けられた羽根が、前記回転軸に対して傾斜している。
上記の減速装置において、前記回転ディスクの回転方向を正回転方向としたとき、前記回転ディスクに設けられた羽根は、前記回転ディスクに接続された基部が前記回転ディスクに接続されない先端縁部よりも先行するように傾斜して配置され、前記円板部に設けられた羽根は、前記回転ディスクに設けられた羽根に追従し、同一方向に傾斜して配置されることが好ましい。さらに、これらの羽根の傾斜角は、20°以下とすることが好ましい。
また、上記の減速装置において、前記回転ディスクおよび前記円板部に設けられた羽根を、矩形とすることが好ましい。
本発明の流体式減速装置によれば、制動時に高温になった作動流体を冷却するための外部熱交換器が不要となるだけでなく、作動流体を作動室に対して供給・排出するための格別な機構や作動流体を蓄える貯蔵容器も不要となるため、装置構成が簡素で、軽量化、コンパクト化を実現することができる。しかも、永久磁石が必須ではないため、コストの安定化が可能である。
本発明の第1実施形態である流体式減速装置の構成を示す模式図であり、同図(a)は全体の斜視図を、同図(b)は同図(a)のA―A断面図をそれぞれ示す。 第1実施形態の減速装置におけるハウジング羽根およびディスク羽根の構成を示す模式図であり、同図(a)はハウジング羽根を回転軸に沿って見たときの平面図を、同図(b)はディスク羽根を回転軸に沿って見たときの平面図を、同図(c)はハウジング羽根およびディスク羽根を回転軸と直交する方向から見たときの平面図をそれぞれ示す。 本発明の第2実施形態である流体式減速装置の構成を模式的に示す断面図である。 数値解析に用いた作動室の領域におけるディスク羽根とハウジング羽根の模式図であり、同図(a)はCase1を、同図(b)はCase2を、同図(c)はCase3を、同図(d)はCase4を、同図(e)はCase5をそれぞれ示す。 数値解析の結果に基づいて作成した制動時の作動流体の流速ベクトル図であり、同図(a)はCase1を、同図(b)はCase2を、同図(c)はCase3を、同図(d)はCase4を、同図(e)はCase5をそれぞれ示す。 羽根の傾斜角と制動トルクとの関係を示す図である。
以下に、本発明の流体式減速装置の実施形態について詳述する。
〈第1実施形態〉
図1は、本発明の第1実施形態である流体式減速装置の構成を示す模式図であり、同図(a)は全体の斜視図を、同図(b)は同図(a)のA―A断面図をそれぞれ示す。同図に示す第1実施形態の減速装置は、回転ディスク3と、この回転ディスク3の全体を包囲する回転ハウジング1とを備える。
第1実施形態では、回転ディスク3は、プロペラシャフトなどの回転軸11と一体で回転するように構成される。具体的には、回転ディスク3は、回転軸11に圧入されたスリーブ13を介して回転軸11に固定されている。これにより、回転ディスク3は、回転軸11と一体で回転するようになる。
回転ハウジング1は、回転ディスク3を包囲しつつ、回転軸11に対し回転可能に構成される。具体的には、回転ハウジング1は、回転ディスク3の両面それぞれと対向するように前後に一対からなるドーナツ形の円板部1a、1bと、回転ディスク3の外周面と対向するように円板部1a、1b同士の外周部を連結する円筒部1cとから構成される。各円板部1a、1bは、回転軸11と一体化されたスリーブ13に軸受15a、15bを介して支持され、これにより回転ハウジング1は、一対の円板部1a、1bおよび円筒部1cが一体で、回転軸11に対し自由に回転が可能になる。図1では、前側の円板部1aと円筒部1cが一体成形され、これが後側の円板部1bとボルトなどによって一体化された態様を示している。
ここで、第1実施形態では、回転ディスク3の両面のそれぞれと各円板部1a、1bの内面との空間のうち一方のみを作動流体の作動室として機能させるため、以下のように構成される。すなわち、回転ディスク3の両面のうち、前側の円板部1aと対向する回転ディスク3の前面に、放射状に延び出す羽根(以下「ディスク羽根」という。)4aが設けられている(図1(b)および後述する図2(b)、(c)参照)。同様に、回転ディスク3のディスク羽根4aが設けられた面と対向する前側の円板部1aの内面にも、放射状に延び出す羽根(以下「ハウジング羽根」という。)5aが設けられている(図1(b)および後述する図2(a)、(c)参照)。ディスク羽根4aと、ハウジング羽根5aは、流体継手で用いられるように対向して配置され、ディスク羽根4aとハウジング羽根5aとの間の円周方向にわたる領域によって1つのトーラス状の作動室が形成される。第1実施形態の減速装置は、ディスク羽根4aを回転ディスク3の前面に代えて後面に設け、ハウジング羽根5aを前側の円板部1aに代えて後側の円板部1bの内面に設けた構成でも構わない。
図1では、ディスク羽根4aは、回転ディスク3と一体成形された態様を示しているが、羽根車として回転ディスク3とは別体で成形され、これが回転ディスク3に取り付けられたものであっても構わない(後述する図3参照)。一方、ハウジング羽根5aは、羽根車として円板部1aとは別体で成形され、これが円板部1aに取り付けられた態様を示しているが、円板部1aと一体成形されたものであっても構わない。
回転ハウジング1の内部には、図示しない作動流体(油、水、またはそれらの混合流体)が充満している。この作動流体は、各円板部1a、1bを支持する軸受15a、15bに隣接して配置された図示しないリング状のシール部材により、漏出を防止されている。こうして、回転ハウジング1内は、ディスク羽根4aとハウジング羽根5aとの間の作動室を含め、常に作動流体で満たされている。
回転ハウジング1には、その外周に円筒部1cと一体成形された放熱フィン2が設けられる。なお、回転ハウジング1の円板部1a、1bにおいて、放熱フィン2は、後述する摩擦ブレーキの摩擦部材の配設に支障が無い領域、例えば、外面の内周部の領域に設けてもよい。この放熱フィン2は、回転ハウジング1そのものを冷却し、ひいては回転ハウジング1内の作動流体を冷却する役割を担う。
図1に示す減速装置は、制動時に回転ハウジング1を静止させる摩擦ブレーキを備える。この摩擦ブレーキは、回転ハウジング1の外周部、すなわち円板部1a、1bそれぞれの外面の外周部を間に挟む摩擦部材としてのブレーキパッド8a、8bを有するブレーキキャリパ7と、このブレーキキャリパ7を駆動させる、不図示の電動式アクチュエータとから構成される。
ブレーキキャリパ7は、前後で一対のブレーキパッド8a、8bを有しており、ブレーキパッド8a、8bの間に回転ハウジング1を配置し所定の隙間を設けて挟んだ状態で、バネを搭載したボルトなどによりブラケット17に付勢支持される。このブラケット17は、車両の非回転部(例えばトランスミッションカバー)に取り付けられる。
ブレーキキャリパ7には、アクチュエータが固定されており、制動時にはアクチュエータが後側のブレーキパッド8bを後側の円板部1bに向け直線移動させる。これにより、後側のブレーキパッド8bが後側の円板部1bを押圧し、これに伴う反力の作用で、前側のブレーキパッド8aが前側の円板部1aに向け移動し、その結果、回転ハウジング1を前後のブレーキパッド8a、8bで強力に挟み込む。
このような構成の第1実施形態の減速装置では、非制動時は、摩擦ブレーキを作動させない状態にある。このとき、回転ハウジング1が回転軸11に対し自由に回転が許容されているので、回転軸11と一体で回転ディスク3が回転するのに伴い、ディスク羽根4aとハウジング羽根5aが流体継手として機能し、回転ハウジング1が回転ディスク3と同期して一体的に回転する。このため、ディスク羽根4aとハウジング羽根5aとの間に相対的な回転速度差が生じることなく、制動力は発生しない。
一方、制動時は、摩擦ブレーキを作動させ、回転ハウジング1が摩擦部材であるブレーキパッド8a、8bによって挟み込まれ、これにより回転ハウジング1の回転が停止し、回転ハウジング1が静止する。回転ディスク3が回転している際に回転ハウジング1のみが静止すると、回転ハウジング1の円板部1aにおけるハウジング羽根5aと、回転ディスク3におけるディスク羽根4aとの間の相対的な回転速度差が生じるため、作動室内では、ディスク羽根4aとハウジング羽根5aとの間を作動流体が循環し、作動流体の循環流が起こる。このとき、作動流体がディスク羽根4aに衝突しこれと一体の回転ディスク3の回転を妨げる抵抗となり、これにより回転ディスク3に制動力が発生し、回転ディスク3を介して回転軸11の回転を減速させることができる。
その際、制動力の発生に伴って回転軸11の運動エネルギーが熱エネルギーに変換されることにより、作動流体は温度が上昇するが、その作動流体に与えられた熱は回転ハウジング1に伝導し、主に放熱フィン2を通じて放熱される。また、制動時に発熱した熱は、作動流体の温度上昇と回転ハウジング1の温度上昇としてある程度蓄熱しておき、非制動時に摩擦ブレーキの作動を解除することによって回転ハウジング1を高速回転させ、積極的に放熱する。
図2は、第1実施形態の減速装置におけるハウジング羽根およびディスク羽根の構成を示す模式図であり、同図(a)はハウジング羽根を回転軸に沿って見たときの平面図を、同図(b)はディスク羽根を回転軸に沿って見たときの平面図を、同図(c)はハウジング羽根およびディスク羽根を回転軸と直交する方向から見たときの平面図をそれぞれ示す。同図では、ハウジング羽根およびディスク羽根の配置形態の理解を容易にするため、回転ハウジングおよび回転ディスクも表示している。
第1実施形態の減速装置では、図2に示すように、ディスク羽根4aおよびハウジング羽根5aが、回転軸に対して傾斜して配置される。ディスク羽根4aおよびハウジング羽根5aを傾斜させることにより、制動時に作動室内で生じる作動流体の旋回流の流速が、傾斜の無い場合(図2(c)に示す傾斜角θが0°の場合、すなわち回転軸に沿う場合)と比べて大きくなり、それに伴って制動力が増大する。
ここで、図2(b)に示すように、ディスク羽根4aは、回転ディスク3に接続された基部4a1と、回転ディスク3に接続されない先端縁部4a2を有する。回転ディスク3(回転軸)の回転方向を正回転方向(図2中の矢印B方向)としたとき、図2(b)に示すディスク羽根4aは、基部4a1が先端縁部4a2よりも先行するように傾斜して配置される。また、ハウジング羽根5aも、ディスク羽根4aの傾斜に追従し、同一方向に傾斜して配置される(図2(c)参照)。ディスク羽根4aおよびハウジング羽根5aの傾斜角は、20°以下とすることが好ましい。傾斜角θが20°を超えると、制動力を増大させる効果が飽和するとともに、傾斜したディスク羽根4aハウジング羽根5aをそれぞれ回転ディスク3および回転ハウジング1に設けるのが困難となるからである。
第1実施形態の減速装置によれば、制動時に高温になった作動流体を冷却するための外部熱交換器が不要となるだけでなく、作動流体を作動室に対して供給・排出するための格別な機構や作動流体を蓄える貯蔵容器も不要となるため、装置構成が簡素で、軽量化、コンパクト化を実現することができる。しかも、永久磁石が必須ではないので、コストの安定化が可能である。さらに、制動と非制動との切り替え時を問わず、回転ハウジング1内の作動室が常に作動流体で満たされているため、作動室に対し作動流体を供給・排出する必要がなく、切り替えの応答性が優れる。また、ディスク羽根4aおよびハウジング羽根5aが回転軸に対して傾斜しているため、大きな制動力を得ることができる。
〈第2実施形態〉
図3は、本発明の第2実施形態である流体式減速装置の構成を模式的に示す断面図である。同図は前記図1(a)のA―A断面と同じ位置での断面図を表す。第2実施形態の減速装置は、外観は上記第1実施形態の減速装置の外観と同様であり、内部構造が相違する。第1実施形態の減速装置では作動室が1つであるのに対して、第2実施形態の減速装置では作動室が前後に一対の2つである。
具体的には、第2実施形態の減速装置は、各円板部1a、1bと対向する回転ディスク3の両面それぞれにディスク羽根4a、4bが設けられている。また、回転ディスク3の両面それぞれと対向する各円板部1a、1bの内面にハウジング羽根5a、5bが設けられている。ディスク羽根4a、4bとハウジング羽根5a、5bは、回転ディスク3を間に挟む前後の位置で対を成し、それぞれ流体継手で用いられるように対向して配置され、それらのディスク羽根4a、4bとハウジング羽根5a、5bとの間の円周方向にわたる領域によって前後に一対のトーラス状の作動室が形成される。また、回転ディスク3の内周部には、貫通穴3aが設けられている。作動流体は、この貫通穴3aを通じて回転ディスク3の前側と後側を相互に移動可能である。
第2実施形態の減速装置においても、第1実施形態と同様に、ディスク羽根4a、4bとハウジング羽根5a、5bは、いずれも回転軸11に対して傾斜して配置される。ディスク羽根4a、4bは、回転ディスク3(回転軸11)の回転方向を正回転方向としたとき、その基部が先端縁部よりも先行するように傾斜して配置される。また、ハウジング羽根5a、5bは、それぞれディスク羽根4a、4bの傾斜と追従し、同一方向に傾斜して配置される。
また、前側の作動室のディスク羽根4aおよびハウジング羽根5aと、後側の作動室のディスク羽根4bおよびハウジング羽根5bの傾斜角は同じとすることが好ましい。これにより、制動時に回転ディスク3の両面に生じる負荷が均衡し、減速装置の耐久性を高めることができる。
なお、減速装置の搭載スペースを一定とした場合、図3に示す第2実施形態の減速装置(作動室が2つ)よりも、前記図1(b)に示す第1実施形態の減速装置(作動室が1つ)の方が大きな制動トルクを得ることができる。例えば、数値解析を行うと、回転軸の回転数が1200rpmである場合において、第1実施形態の減速装置の制動トルクは、第2実施形態の減速装置の制動トルクの1.4倍である。これは、減速装置の搭載スペースを一定とした場合には、第2実施形態の減速装置が有する2つの作動室の合計断面積が、第1実施形態の減速装置が有する1つの作動室の断面積よりも小さいことに起因する。
第1および第2実施形態では、図1〜3において、ディスク羽根4a、4bおよびハウジング羽根5a、5bのいずれも半円形である態様を示している。ただし、ディスク羽根4a、4bおよびハウジング羽根5a、5bの形状は半円形に限られず、矩形としてもよい。ディスク羽根4aおよびハウジング羽根5aの形状を矩形とし、作動室の横断面形状を矩形(正方形を含む)とした方が、ディスク羽根4a、4bおよびハウジング羽根5a、5bの形状を半円形とし、作動室の横断面形状を円形とした場合と比べて、大きい制動力が得られるため好ましい。
本発明の効果を確認するため、以下の数値解析を行った。
〈第1解析〉
1.解析条件
数値解析の対象とする減速装置は、作動室が1つである前記図1に示す第1実施形態の減速装置に準ずるものとした。表1には解析条件として、減速装置の作動室の横断面形状、ならびにディスク羽根およびハウジング羽根の傾斜角を示した。作動室の横断面形状は、回転ディスク側と回転ハウジング側について示した。作動室の横断面形状は、ディスク羽根とハウジング羽根の形状に対応する。Case1、Case3およびCase5はディスク羽根とハウジング羽根が傾斜していない比較例であり、Case2およびCase4はディスク羽根とハウジング羽根が傾斜している本発明例である。
図4は、数値解析に用いた作動室の領域におけるディスク羽根とハウジング羽根の模式図であり、同図(a)はCase1を、同図(b)はCase2を、同図(c)はCase3を、同図(d)はCase4を、同図(e)はCase5をそれぞれ示す。同図には、回転ディスクの回転方向を矢印で示した。数値解析には、作動室のうち、前記図2(b)に示す中心角10°の領域を用いた。
Case1およびCase2では、作動室の横断面形状を、回転ディスク側と回転ハウジング側のいずれも半円形とし、横断面全体で直径25mmの円形とした。また、ディスク羽根とハウジング羽根の傾斜角は、Case1では0°とし、Case2では30°とした。
Case3およびCase4では、作動室の横断面形状を、回転ディスク側と回転ハウジング側のいずれも矩形とし、横断面全体で一辺25mmの正方形とした。ディスク羽根とハウジング羽根の傾斜角は、Case3では0°とし、Case4では30°とした。
Case5では、作動室の横断面形状を、回転ディスク側で矩形、回転ハウジング側で半円形とした。すなわち、Case1の回転ディスク側の作動室と、Case3の回転ハウジング側の作動室を組み合わせた形状とし、これら両側の作動室の寸法は、それぞれCase1およびCase3と同様とした。ディスク羽根とハウジング羽根の傾斜角は0°とした。
また、Case1〜5では、ディスク羽根とハウジング羽根はいずれも厚さを1mmとし、これらの羽根同士の隙間は1mmとした。また、作動室全体の大きさは、いずれも外径288mm、内径238mmとした。
2.解析結果
図5は、数値解析の結果に基づいて作成した制動時の作動流体の流速ベクトル図であり、同図(a)はCase1を、同図(b)はCase2を、同図(c)はCase3を、同図(d)はCase4を、同図(e)はCase5をそれぞれ示す。同図では、矢印の色が濃いほど作動流体の流速が大きいことを表す。また、表1には、Case1〜5の減速装置について、数値解析により算出した制動トルクを解析条件と併せて示した。
作動室の横断面形状が円形である場合(Case1およびCase2)および正方形である場合(Case3およびCase4)のいずれも、羽根が傾斜している本発明例(Case2およびCase4)の方が、羽根が傾斜していない比較例(Case1およびCase3)よりも作動流体の流速が大きく、制動トルクも大きかった。
また、本発明例(Case2およびCase4)で比較すると、作動室の横断面形状が正方形であるCase4の方が、円形であるCase2よりも作動流体の流速が大きく、制動トルクも大きかった。
〈第2解析〉
第1解析で作動室の断面形状が円形である場合(Case2)について、羽根の傾斜角および傾斜方向を変化させてさらに数値解析を行った。その解析条件を表2に示す。表2において、羽根の傾斜方向の「正方向」とは、回転軸の回転方向を正回転方向としたとき、基部が先端縁部よりも先行するようにディスク羽根を傾斜して配置することを意味する。また、「逆方向」とは、回転軸の回転方向を正回転方向としたとき、先端縁部が基部よりも先行するようにディスク羽根を傾斜して配置することを意味する。
図6は、羽根の傾斜角と制動トルクとの関係を示す図である。表2には、数値解析により算出した制動トルクを解析条件と併せて示した。また、表2には、比較のため試験番号1として、羽根を傾斜させなかった第1解析のCase1の結果も示した。
図6および表2に示すように、羽根の傾斜方向が正方向である場合(試験番号2〜4)には、羽根を傾斜させなかった場合(試験番号1)よりも制動トルクが大きかった。また、傾斜角10°、20°および30°のうち、20°の場合が最も制動トルクが大きかった。
一方、羽根の傾斜方向が逆方向である場合(試験番号5〜7)には、傾斜させなかった場合(試験番号1)よりも制動トルクが小さかった。また、傾斜角が大きいほど制動トルクが小さかった。
本発明の流体式減速装置は、あらゆる車両の補助ブレーキとして有用である。
1:回転ハウジング、 1a、1b:円板部、 1c:円筒部、
2:放熱フィン、 3:回転ディスク、 3a:貫通穴、
4a、4b:羽根(ディスク羽根)、 4a1:基部、 4a2:先端縁部、
5a、5b:羽根(ハウジング羽根)、 7:ブレーキキャリパ、
8a、8b:ブレーキパッド、 11:回転軸、 13:スリーブ、
15a、15b:軸受、 17:ブラケット

Claims (2)

  1. 車両の回転軸に固定された回転ディスクと、
    前記回転ディスクを包囲するように一対の円板部およびこれらの円板部同士の外周部を連結する円筒部からなり、前記回転軸に回転可能に支持された回転ハウジングと、
    制動時に前記回転ハウジングに摩擦部材を押し付けて前記回転ハウジングを静止させる摩擦ブレーキと、を備え、
    前記一対の円板部と対向する前記回転ディスクの両面のうち少なくとも一方の面に放射状に延び出す羽根を設けるとともに、前記回転ディスクの前記羽根が設けられた面と対向する前記円板部の内面に放射状に延び出す羽根を設け、前記回転ハウジングの内部に作動流体が充満しており、
    前記回転ディスクおよび前記円板部に設けられた羽根が、前記回転軸に対して傾斜しており、
    前記回転ディスクの回転方向を正回転方向としたとき、前記回転ディスクに設けられた羽根は、前記回転ディスクに接続された基部が前記回転ディスクに接続されない先端縁部よりも先行するように傾斜して配置され、
    前記円板部に設けられた羽根は、前記回転ディスクに設けられた羽根に追従し、同一方向に傾斜して配置され、
    前記回転ディスクおよび前記円板部に設けられた羽根の前記回転軸に対する傾斜角が10°以上20°以下である、ことを特徴とする流体式減速装置。
  2. 前記回転ディスクおよび前記円板部に設けられた羽根が、矩形であることを特徴とする請求項1に記載の流体式減速装置。
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