JP6183031B2 - リチウム電池用外装材 - Google Patents
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Description
リチウム電池用外装材(以下、単に「外装材」ということがある。)としては、軽量でかつ電池の形状を自由に選択できる点から、多層構成のラミネートタイプの外装材が広く使用されている。例えば、深絞り成形等の冷間成形によってラミネートタイプの外装材に凹部を形成し、電解液、正極、負極等を該凹部内に収容して密封することで、リチウム電池が形成される。
基材層/接着層/(腐食防止処理層)/金属箔層/腐食防止処理層/接着層/シーラント層が順次積層されたラミネートタイプの外装材(特許文献1)。
電池内部に水分が浸入するとリチウム塩が加水分解され、金属の腐食やラミネート強度の低下を招くフッ酸が生じるため、水分の浸入を防止する目的で金属薄層が設けられる。金属箔層としては、防湿性、展延性等の加工性、コスト等の点からアルミニウム箔が広く用いられている。また、アルミニウム箔における少なくともシーラント層側には、アルミニウム箔が電解液によって腐食することを抑制する目的で、クロメート処理等によって腐食防止処理層が形成される。
より薄い外装材とする方法としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の基材の表面にシリカ等を蒸着したバリア基材を用いることが考えられる。しかし、本発明者等が、バリア基材の蒸着層側に接着層を介してシーラント層を積層した外装材について検討したところ、該外装材は電解液によってバリア基材と接着層の間のラミネート強度が著しく低下することが判明した。
[1]基材層の第1の面側に蒸着層が設けられ、前記基材層と前記蒸着層の間にプライマー層が形成され、前記蒸着層の前記基材層と反対側にオーバーコート層が形成されたバリア基材と、前記バリア基材の蒸着層側に設けられた腐食防止処理層と、前記腐食防止処理層における前記蒸着層と反対側に設けられた接着層と、前記接着層における前記腐食防止処理層と反対側に設けられたシーラント層と、を有し、
前記蒸着層が、アルミニウム、シリカ、アルミナ及びダイヤモンドライクカーボンからなる群から選ばれる少なくとも1種が蒸着された層であり、
前記腐食防止処理層が、希土類元素酸化物を含有する層、又は化成処理により形成された層を含む、リチウム電池用外装材。
[2]前記腐食防止処理層が、前記希土類元素酸化物とアニオン性ポリマーを含有する層である、[1]に記載のリチウム電池用外装材。
[3]前記腐食防止処理層が、前記希土類元素酸化物とカチオン性ポリマーを含有する層である、[1]に記載のリチウム電池用外装材。
[4]前記腐食防止処理層が、前記希土類元素酸化物とアニオン性ポリマーとカチオン性ポリマーとを含有する層である、[1]に記載のリチウム電池用外装材。
[5]前記腐食防止処理層が、前記化成処理により形成された層上に、アニオン性ポリマーで形成された層が積層された複層である、[1]に記載のリチウム電池用外装材。
[6]前記腐食防止処理層が、前記化成処理により形成された層上に、カチオン性ポリマーで形成された層が積層された複層である、[1]に記載のリチウム電池用外装材。
[7]前記腐食防止処理層が、前記化成処理により形成された層上に、アニオン性ポリマーで形成された層と、カチオン性ポリマーで形成された層が積層された複層である、[1]に記載のリチウム電池用外装材。
[8]前記バリア基材が2層以上積層されている、[1]〜[7]のいずれかに記載のリチウム電池用外装材。
本実施形態の外装材1は、図1に示すように、バリア基材11と、腐食防止処理層12と、接着層13と、シーラント層14とがこの順に積層された積層体である。
バリア基材11は、基材層15と、基材層15の第1の面15a側に設けられた蒸着層16と、を有する。また、バリア基材11は、蒸着層16が基材層15よりも腐食防止処理層12側に位置するようになっている。
基材層15は、リチウム電池を製造する際のヒートシール工程における耐熱性の付与、成形加工や流通の際に起こり得るピンホールの発生の抑制等の役割を果たす。特に大型用途のリチウム電池の外装材の場合等は、耐擦傷性、耐薬品性、絶縁性等も付与できる。
該樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム等の延伸又は未延伸フィルムが挙げられる。
基材層15は、これらの樹脂フィルムのいずれか1種からなる単層でもよく、これらの樹脂フィルムを2種以上積層した複層でもよい。基材層15の具体例としては、例えば、延伸または無延伸ポリアミドフィルム、延伸または無延伸ポリエステルフィルム、延伸ポリアミドフィルムと延伸ポリエステルフィルムとの2層フィルム等が挙げられる。
スリップ剤としては、例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド等の脂肪酸アミド等が挙げられる。
アンチブロッキング剤としては、シリカ等の各種フィラー系のアンチブロッキング剤が好ましい。
これらの添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
蒸着層16は、リチウム電池内に水分が浸入することを抑制する役割を果たす。
蒸着層16は、アルミニウム、シリカ、アルミナ及びダイヤモンドライクカーボンからなる群から選ばれる少なくとも1種が蒸着された層である。なかでも、防湿性、ラミネート強度の点では、シリカ蒸着が好ましい。また、透明な外装材1とすることで電池内を可視化することができ、研究・開発用途に有利な点では、シリカ、アルミナ及びダイヤモンドライクカーボンからなる群から選ばれる少なくとも1種が蒸着された層が好ましい。電解液などの耐薬品性を考慮すると、ダイヤモンドライクカーボンが好ましい。
腐食防止処理層12は、バリア基材11の蒸着層16側に設けられている。腐食防止処理層12は、基本的には、蒸着層16が電解液に侵食されてラミネート強度が低下することを抑制する役割を果たす層である。
腐食防止処理層12は、以下の処理層(α)及び処理層(β)の2種類に分類される。
(α)希土類元素酸化物を含有する層を含む。
(β)化成処理により形成された層を含む。
処理層(α)は、希土類元素酸化物を含有する層を含む。処理層(α)は、処理層(α)を形成する処理剤がpH条件の制約があまりないことから作業環境に配慮できる点、環境衛生性の点で有利である。
希土類元素酸化物としては、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ネオジウム、酸化ランタン等が挙げられる。なかでも、電解液耐性の点から、酸化セリウムが好ましい。
希土類元素酸化物ゾルの液体分散媒としては、例えば水系、アルコール系、炭化水素系、ケトン系、エステル系、エーテル系等の各種溶媒が挙げられ、水系溶媒が好ましい。
分散安定化剤としては、リン酸又はリン酸塩等のリン酸化合物が好ましい。リン酸化合物は、「ゾルの分散安定化」に加えて、低温でもリン酸の脱水縮合が起きやすいことによる「処理層(α)の凝集力向上」等の効果が期待できる。凝集力が向上することで、外装材1の強度物性が良好になる傾向にある。
特に、希土類元素酸化物ゾルを用いて処理層(α)を形成する場合、乾燥造膜性(すなわち、乾燥能力や熱量)を考慮すると、低温での反応性に優れる分散安定化剤が好ましい。このことから、リン酸塩を形成する塩としては、低温での脱水縮合性に優れるナトリウム塩が好ましい。また、リン酸化合物は、水溶性の塩が好ましい。
アニオン性ポリマーとしては、例えば、カルボキシ基を有するポリマーが挙げられる。具体的には、ポリ(メタ)アクリル酸もしくはその塩、又は(メタ)アクリル酸を主成分とするモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体等が挙げられる。
前記単量体混合物に(メタ)アクリル酸とともに用いられるモノマーとしては、以下の化合物が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルコキシ(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー;
グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有モノマー;
(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシラン等のシラン含有モノマー;
(メタ)アクリロキシプロピルイソシアネート等のイソシアネート基含有モノマー等。
前記した化合物におけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等が挙げられる。
トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートもしくはその水素添加物、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートもしくはその水素添加物、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート類;
前記ジイソシアネート類を、多価アルコール(トリメチロールプロパン等。)と反応させて得られたアダクト体、水と反応させて得られたビューレット体、もしくは三量体であるイソシアヌレート体等のポリイソシアネート類;
又は、前記ポリイソシアネート類をアルコール類、ラクタム類、オキシム類等でブロック化したブロックポリイソシアネート等。
グリコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。
多価アルコール類としては、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。
ジカルボン酸としては、フタル酸、テレフタル酸、シュウ酸、アジピン酸等が挙げられる。
オキサゾリン基を有する化合物としては、オキサゾリンユニットを2つ以上有する低分子化合物等が挙げられる。イソプロペニルオキサゾリンのように重合性モノマーを用いる場合には、アクリル系モノマー((メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル等。)と共重合させたものを用いてもよい。
シランカップリング剤の具体例としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
また、アニオン性ポリマーは、チタニウムやジルコニウム化合物を用いてイオン架橋してもよい。
カチオン性ポリマーとしては、エチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフトさせた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミン、又はこれらの誘導体、アミノフェノール等が挙げられる。なかでも、ポリアリルアミン又はその誘導体が好ましい。
ポリアリルアミンの共重合体に用いる共重合成分としては、マレイン酸、二酸化イオウ等が挙げられる。また、1級アミンを部分メトキシ化して熱架橋性を付与したポリアリルアミンを用いてもよい。
該ポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸もしくはそのイオン塩等のポリカルボン酸(塩)、前記ポリカルボン酸(塩)にコモノマーを共重合させたコポリマー、又はカルボキシメチルセルロースもしくはそのイオン塩等のカルボキシル基を有する多糖類が挙げられる。
(α1)希土類元素酸化物を含有する層、
(α2)希土類元素酸化物とアニオン性ポリマーとの混合層、
(α3)希土類元素酸化物とカチオン性ポリマーとの混合層、
(α4)希土類元素酸化物とアニオン性ポリマーとカチオン性ポリマーとの混合層、
(α5)前記(α1)の層上にアニオン性ポリマーで形成した層が積層された複層、
(α6)前記(α1)の層上にカチオン性ポリマーで形成した層が積層された複層、
(α7)前記(α2)の混合層上にカチオン性ポリマーで形成した層が積層された複層、
(α8)前記(α3)の混合層上にアニオン性ポリマーで形成した層が積層された複層、
(α9)希土類元素酸化物ゾルで形成した層上に、アニオン性ポリマーで形成した層と、カチオン性ポリマーで形成した層が順次積層された複層、
(α10)希土類元素酸化物ゾルで形成した層上に、カチオン性ポリマーで形成した層と、アニオン性ポリマーで形成した層が順次積層された複層等。
また、カチオン性ポリマーは、後述する接着層13で挙げる変性ポリオレフィン樹脂との接着性が良好である。そのため、接着層13に変性ポリオレフィン樹脂を用いる場合は、処理層(α3)、処理層(α4)、処理層(α5)、処理層(α7)がより好ましく、処理層(α3)、処理層(α7)がさらに好ましい。
処理層(β)は、化成処理によって形成される層を含む。
化成処理としては、クロメート処理、ジルコニウム処理、チタニウム処理、バナジウム処理、モリブデン処理、リン酸カルシウム処理、水酸化ストロンチウム処理、セリウム処理及びルテニウム処理からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。なかでも、化成処理としては、耐電解液性の点から、クロメート処理が好ましい。
処理層(β)は、アニオン性ポリマー又はカチオン性ポリマーのいずれか一方を含んでもよく、アニオン性ポリマー及びカチオン性ポリマーの両方を含んでもよい。
(β1)化成処理で形成した層、
(β2)化成処理で形成した層上に、カチオン性ポリマーで形成した層が積層された複層、
(β3)化成処理で形成した層上に、アニオン性ポリマーで形成した層が積層された複層、
(β4)化成処理剤で形成され、アニオン性ポリマーを含有する層、
(β5)化成処理剤で形成され、カチオン性ポリマーを含有する層、
(β6)化成処理剤で形成され、アニオン性ポリマー及びカチオン性ポリマーを含有する層、
(β7)前記(β4)の層上にカチオン性ポリマーで形成した層が積層された複層、
(β8)前記(β5)の層上にアニオン性ポリマーで形成した層が積層された複層、
(β9)化成処理で形成した層上に、アニオン性ポリマーで形成した層とカチオン性ポリマーで形成した層が順次積層された複層、
(β10)化成処理で形成した層上に、カチオン性ポリマーで形成した層とアニオン性ポリマーで形成した層が順次積層された複層等。
処理層(β4)〜(β6)は、アニオン性ポリマー及びカチオン性ポリマーの少なくとも一方を配合した化成処理剤で形成することができる。
接着層13は、腐食防止処理層12における蒸着層16側とは反対側に設けられている。接着層13は、腐食防止処理層12とシーラント層14とを接着する層である。接着層13は、用いる接着成分の種類によって接着層(γ)と接着層(δ)の2種類に分類される。
(γ)熱ラミネートに適した熱接着性樹脂を用いて形成した層。
(δ)ドライラミネートに適した接着剤を用いて形成した層。
接着層(γ)を形成する熱接着性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂に対し、不飽和カルボン酸もしくはその酸無水物、又は不飽和カルボン酸もしくはその酸無水物のエステルをラジカル開始剤の存在下でグラフト変性してなる変性ポリオレフィン樹脂が挙げられる。以下、不飽和カルボン酸もしくはその酸無水物と、不飽和カルボン酸もしくはその酸無水物のエステルを合わせてグラフト化合物ということがある。
前記変性ポリオレフィン樹脂は、グラフト化させたグラフト化合物が有する官能基と、各種金属又は官能基を含有するポリマーとの反応性を利用して接着性を付与する。
不飽和カルボン酸の酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物等が挙げられる。
不飽和カルボン酸もしくはその酸無水物のエステルとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、フマール酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロ無水フタル酸ジメチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸ジメチル等が挙げられる。
グラフト反応の温度条件は、50〜250℃が好ましく、60〜200℃がより好ましい。
反応時間は製造方法にも左右されるが、二軸押出機による溶融グラフト反応の場合、押出機の滞留時間内が好ましい。具体的には、2〜30分が好ましく、5〜10分がより好ましい。
グラフト反応は、常圧、加圧いずれの条件下においても実施できる。
有機過酸化物としては、例えば、アルキルパーオキサイド、アリールパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシカーボネート、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイド等が挙げられる。これらの有機過酸化物は、温度条件と反応時間によって適宜選択できる。前記した二軸押出機による溶融グラフト反応の場合、アルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシエステルが好ましく、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシ−ヘキシン−3、ジクミルペルオキシドがより好ましい。
熱可塑性エラストマーとしては、三井化学製タフマー、三菱化学製ゼラス、モンテル製キャタロイ、三井化学製ノティオ、スチレン系エラストマーが好ましい。スチレン系エラストマーとしては、水添スチレン系エラストマー(AKエラストマー製タフテック、クラレ製セプトン/ハイブラー、JSR製ダイナロン、住友化学製エスポレックス、クレイトンポリマー製クレイトンG等。)がより好ましい。
接着層(δ)を形成する接着剤としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、カーボネートポリオール等のポリオールからなる主剤と、2官能以上のイソシアネート化合物からなる硬化剤とを含有するポリウレタン系接着剤が挙げられる。
クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸等のモノ不飽和脂肪酸;
リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸等のジ不飽和脂肪酸;
リノレン酸、ビノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ−γ−リノレン酸、エイコサトリエン酸等のトリ不飽和脂肪酸;
ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸等のテトラ不飽和脂肪酸;
ボセオペンタエン酸、エイコサベンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサベンタエン酸等のペンタ不飽和脂肪酸;
ドコサヘキサエン酸、ニシン酸等のヘキサ不飽和脂肪酸等。
エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール等の脂肪族系ジオール;
シクロヘキサンジオール、水添キシリレングリーコル等の脂環式系ジオール;
キシリレングリーコル等の芳香族系ジオール等。
2官能以上のイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート等が挙げられる。また、これらイソシアネート化合物のアダクト体、ビューレット体、イソシアヌレート体を用いて鎖伸長したポリエステルウレタンポリオールでもよい。
電解液耐性(特に電解液に対する溶解性、膨潤性)が向上する点から、硬化剤としては、クルードトリレンジイソシアネート、クルードジフェニルメタンジイソシアネート及びポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種のジイソシアネート(ε)、又は前記ジイソシアネート(ε)のアダクト体が好ましい。これにより、接着層(δ)は、架橋密度が向上し、電解液に対する溶解性、膨潤性が低くなると共に、ウレタン基濃度が向上して密着性が向上する。
また、主剤として、ポリエステルポリオールを鎖伸長したポリエステルウレタンポリオールを用いる場合、鎖伸長剤としてジイソシアネート(ε)を用いることが好ましい。
接着性樹脂を各種有機溶剤に溶解又は分散させた材料に対し、上述した、イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、リン化合物、シランカップリング剤などを配合したドライラミネート用接着剤。前記接着性樹脂としては、熱ラミネート構成の接着層(γ)で記載した無水マレイン酸変性ポリオレフィンや、無水マレイン酸変性スチレン系共重合体エラストマーなどが挙げられる。
シーラント層14は、接着層13における腐食防止処理層12側とは反対側に設けられている。シーラント層14は、外装材1にヒートシールによる封止性を付与する層である。
シーラント層14を構成する材質としては、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体又はそのエステル化物もしくはイオン架橋物等が挙げられる。
シーラント層14に用いるポリオレフィン樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、プロピレン−αオレフィン共重合体等が挙げられる。
外装材1は、例えば、以下の工程(X1)〜工程(X3)を有する方法により製造できる。
(X1)基材層15上に蒸着層16を形成してバリア基材11を得る工程。
(X2)バリア基材11の蒸着層16側に腐食防止処理層12を形成する工程。
(X3)腐食防止処理層12上に接着層13を介してシーラント層14を貼り合わせる工程。
基材層15上に蒸着層16を形成する方法としては、公知の蒸着方法を用いることができ、例えば、化学蒸着(CVD)であってもよく、物理蒸着(PVD)であってもよい。
腐食防止処理層12を形成する方法としては、腐食防止処理層12が処理層(α)の場合、例えば、希土類元素酸化物を必須として含み、必要に応じてアニオン系ポリマー及びカチオン系ポリマーの少なくとも一方を含むコーティング剤(処理剤)を塗工、乾燥する方法が挙げられる。アニオン系ポリマー又はカチオン系ポリマーを含む層を積層する場合は、それらを含むコーティング剤(処理剤)をさらに塗工、乾燥する。
コーティング剤(処理剤)の塗布量は、前述した腐食防止処理層12の単位面積当たりの質量を満たす範囲内が好ましい。
また、乾燥キュアが必要な場合は、例えば、母材温度として60〜300℃の範囲とすることで行える。
接着層13が接着層(γ)の場合、ドライプロセスでは、例えば、熱接着性樹脂を用いて、腐食防止処理層12上に押出ラミネート法によって接着層13を形成し、サンドイッチラミネーションによってシーラント層14を積層する。
ウェットプロセスでは、例えば、熱接着性樹脂を溶媒に分散させた接着樹脂液を腐食防止処理層12上に塗工する。その後、熱接着性樹脂の融点以上の温度で溶媒を揮発させ、熱接着性樹脂を溶融軟化させて焼き付けを行って接着層13を形成した後、接着層13上にシーラント層14を熱ラミネーション等の熱処理により積層する。
この熱処理温度は、積層体の最高到達温度が、40℃〜220℃となるように設定することが好ましく、80℃〜200℃となるように設定することがより好ましい。
処理時間は処理温度に依存するが、低温で行うほど長時間、高温で行うほど短時間の処理を施すことが好ましい。
なお、本発明の外装材は、前記した外装材1には、限定されない。
例えば、図2に例示したリチウム電池用外装材2(以下、「外装材2」という。)であってもよい。図2における図1と同じ部分は同符号を付して説明を省略する。
外装材2は、基材層15と蒸着層16の間にプライマー層17を形成し、蒸着層16上にオーバーコート層18を形成しているバリア基材11Aを有する以外は、外装材1と同じである。
プライマー層17を形成することで、基材層15と蒸着層16の密着性が向上する。
プライマー層17としては、フィルム表面に蒸着層を形成する際に形成される通常のプライマー層が挙げられる。
プライマー層17としては、例えば、オキサゾリン基を含有するオキサゾリン基含有樹脂と、ポリ(メタ)アクリル酸、及び/又はポリ(メタ)アクリル酸とコモノマーの共重合体からなるアクリル系樹脂とを反応させて得られる、アミドエステル部位を有する樹脂からなる層が挙げられる。また、下記記載の水酸基含有アクリルモノマーを共重合させたアクリルポリオールに対し、多官能イソシアネートやシランカップリング剤を配合した化合物なども用いることが可能である。
オキサゾリン基含有樹脂は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
アルキル基がメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、又はシクロヘキシル基であるアルキル(メタ)アクリレート等のモノマー;
2−ヒドキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリルモノマー;
(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。)、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルコキシ(メタ)アクリルアミド、(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等が挙げられる。)、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー等。
オーバーコート層18を形成することで、防湿性が向上する。
オーバーコート層18としては、フィルム表面に蒸着層を形成する際に形成される通常のオーバーコート層が挙げられる。
オーバーコート層18としては、例えば、成分(A1)と成分(A2)とを必須成分とする2種以上の化合物を含むコーティング組成物により形成された層が挙げられる。
成分(A1)は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
成分(A2)は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
成分(a21)は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
成分(a22)は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
オーバーコート層18における成分(A2)は、防湿性や成分(A1)の分子間拘束性等の効果が十分に得られるように適宜配合量を決定すればよい。
オーバーコート層18の厚さが下限値以上であれば、蒸着層16との密着性及び成分(A1)の分子間拘束性が十分に得られやすく、また優れた防湿性が得られやすい。オーバーコート層18の厚さが上限値以下であれば、クラックを防止しやすい。
本実施例で用いた材料を以下に示す。
[バリア基材]
(基材層)
基材A−1:ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ12μm)。
(プライマー層)
コーティング剤B−1:オキサゾリン含有アクリルポリマーと、ポリアクリル酸からなる組成物。
(蒸着層)
成分C−1:シリカ。
(オーバーコート層)
コーティング剤D−1:ポリビニルアルコールとシランカップリング剤からなる組成物。
処理剤E−1:酸化セリウム100質量部にリン酸ナトリウム塩を10質量部配合し、蒸留水を用いて固形分濃度を10質量%に調整した「ポリリン酸ナトリウム安定化酸化セリウムゾル」。
処理剤E−2:「ポリアクリル酸アンモニウム塩(東亞合成社製)」と「アクリル−イソプロペニルオキサゾリン共重合体(日本触媒社製)」を質量比90:10で混合し、蒸留水を用いて固形分濃度を5質量%に調整した処理剤。
処理剤E−3:「ポリアリルアミン(日東紡社製)」と「ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製)」を質量比90:10で混合し、蒸留水を用いて固形分濃度を5質量%に調整した処理剤。
処理剤E−4:1質量%リン酸水溶液によって、水溶フェノール樹脂(住友ベークライト社製)の固形分濃度を1質量%に調整した溶液に、フッ化クロム(CrF3)を最終乾燥皮膜中に存在するCr量が10mg/m2となるように加えた処理剤。
接着剤F−1:トルエン分散型無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(固形分17質量%焼付けタイプ)に、トリレンジイソシアネートのアダクト体(固形分75質量%)と、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(固形分100質量%)とを、72/6/22(固形分換算の質量比)になるように配合した組成物。
フィルムG−1:無延伸ポリプロピレンフィルム(厚さ40μm)。
グラビアコート法により、コーティング剤B−1を基材A−1の第1の面に塗工し、150〜180℃で乾燥して、ドライ厚0.05μmのプライマー層を形成した。次いで、プライマー層上に、PVD法により成分C−1を蒸着して、厚さ350nmの蒸着層を形成した。次いで、グラビアコート法により、コーティング剤D−1を蒸着層上に塗工し、160〜200℃で乾燥して、ドライ厚0.2μmのオーバーコート層を形成してバリア基材を得た。
得られたバリア基材のオーバーコート層上に、グラビアコート法によって、ドライ塗工量が70mg/m2となるように処理剤E−1を塗工し、170〜200℃で乾燥して腐食防止処理層を形成した。
次いで、腐食防止処理層上に、グラビアリバースコート法によって、ドライ塗工量が3g/m2となるように接着剤F−1を塗工し、ラミネートを行ってフィルムG−1を貼り合せた。その後、エージング処理を施して接着剤F−1を熱架橋させ、外装材を得た。
腐食防止処理層を形成する際、処理剤E−1を塗工、乾燥した後に、さらに表1に示すように処理剤E−2、処理剤E−3を塗工、乾燥して腐食防止処理層を形成した以外は、実施例1と同様にして外装材を得た。例えば実施例4では、処理剤E−1、処理剤E−2、処理剤E−3を順次塗工、乾燥して腐食防止処理層を形成した。
腐食防止処理層は、いずれの場合も最終的なドライ塗工量が70mg/m2となるようにした。
処理剤E−1の代わりに、処理剤E−4を用いた以外は、実施例1〜4と同様にして外装材を得た。
腐食防止処理層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして外装材を得た。
各例で得られた外装材を200mm×100mmの矩形に切断し、シーラント層を内側にして長辺の中央で折り返し、両方の側縁をヒートシールして、100mm×100mmのパウチとした。エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート及びジメチルカーボネートを質量比1:1:1で混合し、LiPF6を濃度が1Mとなるように溶解させた電解液を前記パウチ内に注入し、残りの1辺をヒートシールして密封した。
得られたサンプルを85℃で4時間保管した後、該サンプルの外装材から15mm幅の試験片を切り出した。該試験片を用いて、引張速度300mm/分のT型剥離を行って、バリア基材と接着層の間のラミネート強度を測定した。
また、外装材のラミネート強度は、前記したような電解液を封入した状態での保管を行っていない初期の状態でも測定した。
各例の測定結果を表2に示す。
一方、腐食防止処理層を設けなかった比較例1の外装材は、電解液を収容した状態で高温保管した後にはデラミネーションが生じていた。
11 バリア基材
12 腐食防止処理層
13 接着層
14 シーラント層
15 基材層
16 蒸着層
17 プライマー層
18 オーバーコート層
Claims (8)
- 基材層の第1の面側に蒸着層が設けられ、前記基材層と前記蒸着層の間にプライマー層が形成され、前記蒸着層の前記基材層と反対側にオーバーコート層が形成されたバリア基材と、前記バリア基材の蒸着層側に設けられた腐食防止処理層と、前記腐食防止処理層における前記蒸着層と反対側に設けられた接着層と、前記接着層における前記腐食防止処理層と反対側に設けられたシーラント層と、を有し、
前記蒸着層が、アルミニウム、シリカ、アルミナ及びダイヤモンドライクカーボンからなる群から選ばれる少なくとも1種が蒸着された層であり、
前記腐食防止処理層が、希土類元素酸化物を含有する層、又は化成処理により形成された層を含む、リチウム電池用外装材。 - 前記腐食防止処理層が、前記希土類元素酸化物とアニオン性ポリマーを含有する層である、請求項1に記載のリチウム電池用外装材。
- 前記腐食防止処理層が、前記希土類元素酸化物とカチオン性ポリマーを含有する層である、請求項1に記載のリチウム電池用外装材。
- 前記腐食防止処理層が、前記希土類元素酸化物とアニオン性ポリマーとカチオン性ポリマーとを含有する層である、請求項1に記載のリチウム電池用外装材。
- 前記腐食防止処理層が、前記化成処理により形成された層上に、アニオン性ポリマーで形成された層が積層された複層である、請求項1に記載のリチウム電池用外装材。
- 前記腐食防止処理層が、前記化成処理により形成された層上に、カチオン性ポリマーで形成された層が積層された複層である、請求項1に記載のリチウム電池用外装材。
- 前記腐食防止処理層が、前記化成処理により形成された層上に、アニオン性ポリマーで形成された層と、カチオン性ポリマーで形成された層が積層された複層である、請求項1に記載のリチウム電池用外装材。
- 前記バリア基材が2層以上積層されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載のリチウム電池用外装材。
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