JP6182379B2 - 積層フィルムおよび粘着テープ - Google Patents

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Description

本発明は、積層フィルムおよび粘着テープに関する。
金属板の表面保護に用いられる粘着テープは、金属板の切断時や保管時に、金属板の表面に貼り合せる場合が多い。
このような場合、切断などの作業中や保管の際に、粘着テープで表面を保護した金属板を積み重ねて置いておくと、金属板の自重や固定による負荷が加わることにより、粘着テープの基材(フィルム)同士、あるいは、粘着テープの基材と金属板とが密着し過ぎることがある。また、このような負荷が無くても、雰囲気温度が高い(例えば、35℃以上)場合には、粘着テープの基材中の分子の熱運動によって基材が変形し、粘着テープの基材(フィルム)同士、あるいは、粘着テープの基材と金属板とが密着し過ぎることがある。
上記のような状態で積み重ねてある金属板から任意の一つを取り出そうとすると、密着する別の金属板も取り出してしまうことになり、操作性が悪くなるなどの不具合を生じ、最悪の場合には、切断、保管を含めた金属板加工プロセスが止まってしまうという問題が生じる。
なお、上記のように、粘着テープの基材が他の粘着テープの基材あるいは被着体に密着して貼り付いたような状態になることを「ブロッキング」という。
上記のような問題を解消するため、密着する基材の表面の中心線表面粗さRaを所定の大きさに制御するなどして、基材の表面を粗くすることが知られている(特許文献1)。
ところで、金属板の表面保護に用いられる粘着テープの基材には、金属板加工プロセス特有の耐油性および耐熱性が要求されることが多い。
金属板の表面保護に用いられる粘着テープは、加工プロセスにおいて、加工油による膨潤や加工や保存の際に生じる熱などの影響を受ける環境で使用される。このとき、基材の表面を粗くすると、粗くする前よりも基材の表面の表面面積が大きくなっているため、油の浸潤が起こりやすくなっている。さらに、油が浸潤することによって、制御したはずの基材の表面の粗さが変化してしまうという問題が生じる。また、加工時の温度も、基材の表面の粗さを変化させる原因となる。したがって、所定の大きさに制御された基材の表面の粗さが大きく変化してしまい、ブロッキング防止効果が減少する、あるいは、発現できないという問題が生じる。
また、粘着テープの基材が他の粘着テープの基材に密着して貼り付いたブロッキング、すなわち、テープ背面同士のブロッキングを防止する技術として、粘着テープの基材表面に長鎖アルキル系離型剤を塗布する方法が知られている(特許文献2)。
しかし、このような粘着テープを金属板加工などに使おうとすると、例えば、金属板を加工装置に保持した場合、離型剤の滑剤としての効果によって、保持が十分にできなくなってしまい、加工での不具合が生じるという問題がある。
また、粘着テープの基材表面に離型剤を塗布する方法では、離型剤が基材の表面に付着しているだけで、基材の表面に十分に保持されていない場合があり、基材の表面から離型剤が脱離してブロッキング防止効果が経時で低下する問題が生じたり、脱離した離型剤が被着体に付着して汚れとなる不具合が生じたりする。
また、絞り加工や曲げ加工などの粘着テープ延伸を伴う加工を行う場合、塗布によって形成した離型剤層は粘着テープ延伸による変形にうまく追随できず、離型剤層が破砕されてしまい、粘着テープの基材の表面に離型剤が存在しない部位が発生するという問題が生じたり、破砕されて脱落した離型剤が汚染の原因となるという問題が生じたりする。
特開平11−048335号公報 特開2005−154641号公報
本発明の課題は、金属板等の加工時に好ましく用いられる粘着テープおよび該粘着テープの材料として用い得る積層フィルムであって、延伸等の変形に対する追随性が良好であり、負荷がかかった状態での保管や高温環境下での保管を行った場合においても、粘着テープの基材が他の粘着テープの基材あるいは被着体に密着してブロッキングすることを抑制することができる粘着テープおよび該粘着テープの材料として用い得る積層フィルムを提供することにある。
本発明の積層フィルムは、
プラスチックフィルムの少なくとも一方の表面に離型剤層が設けられた積層フィルムであって、
該離型剤層がエチレン−酢酸ビニル共重合体と長鎖アルキル系離型剤を含み、
該エチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニルモノマーに由来する酢酸ビニル骨格の含有割合が30重量%以下である。
好ましい実施形態においては、上記長鎖アルキル系離型剤が炭素数12以上の直鎖アルキル基を含む。
好ましい実施形態においては、上記離型剤層の表面に対する水の接触角が90.0°〜130.0°である。
好ましい実施形態においては、上記離型剤層の厚みが0.01μm〜10.0μmである。
好ましい実施形態においては、上記プラスチックフィルムがポリ塩化ビニルまたはポリオレフィン系樹脂を含む。
好ましい実施形態においては、上記プラスチックフィルムが軟質ポリ塩化ビニルを含む。
本発明の粘着テープは、本発明の積層フィルムの離型剤層が設けられていない側の表面上に粘着剤層が設けられたものである。
好ましい実施形態においては、上記粘着剤層が、(メタ)アクリル系ポリマーまたはゴム系粘着剤を含む。
好ましい実施形態においては、上記粘着テープの粘着剤層を上記粘着テープの離型剤層に貼り合せて引張速度0.3m/分で剥離した場合の粘着力が0.1N/20mm〜3.0N/20mmである。
好ましい実施形態においては、本発明の粘着テープは、ステンレス板、アルミ板、塗装鋼板から選ばれる少なくとも1種の被着体の表面保護に用いられる。
好ましい実施形態においては、本発明の粘着テープは、厚みが5.0mm以上のアルミ板の表面保護に用いられる。
好ましい実施形態においては、本発明の粘着テープは、金属板加工に用いられる。
本発明によれば、金属板等の加工時に好ましく用いられる粘着テープおよび該粘着テープの材料として用い得る積層フィルムであって、延伸等の変形に対する追随性が良好であり、負荷がかかった状態での保管や高温環境下での保管を行った場合においても、粘着テープの基材が他の粘着テープの基材あるいは被着体に密着してブロッキングすることを抑制することができる粘着テープおよび該粘着テープの材料として用い得る積層フィルムを提供することができる。
本発明の積層フィルムの一例の概略断面図である。 本発明の粘着テープの一例の概略断面図である。 ブロッキング試験においてハンマーで板の側面を叩く様子を示す写真図である。
≪積層フィルム≫
本発明の積層フィルムは、プラスチックフィルムの少なくとも一方の表面に離型剤層が設けられた積層フィルムである。
図1に、本発明の積層フィルムの一例の概略断面図を示す。図1においては、本発明の積層フィルム10は、プラスチックフィルム1と離型剤層2との積層構造からなる。また、本発明の積層フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の層を有していても良い。
<プラスチックフィルム>
プラスチックフィルムは、そのJIS−K−7127(1999)に従って測定される最大伸びが、好ましくは100%以上であり、より好ましくは100%〜1000%である。このようなプラスチックフィルムを採用することにより、本発明の積層フィルムおよび本発明の粘着テープは、延伸等の変形に対する追随性がより良好なものとなり得る。また、このようなプラスチックフィルムを採用することにより、被着体(例えば、金属板)に後述する粘着テープを貼り付けて長期あるいは高温環境下で保存を行っても、粘着テープの基材が他の粘着テープの基材あるいは被着体に密着してブロッキングを起こすことをより抑制し得る。
プラスチックフィルムは、任意の適切なプラスチックフィルムを採用し得る。このようなプラスチックフィルムとしては、好ましくはポリ塩化ビニルまたはポリオレフィン系樹脂を含む。ポリ塩化ビニルまたはポリオレフィン系樹脂を採用する場合、離型剤層との化学的親和性に優れ得る。
プラスチックフィルムがポリ塩化ビニルを含む場合、プラスチックフィルム中のポリ塩化ビニルの含有割合は、好ましくは50重量%〜100重量%であり、より好ましくは60重量%〜100重量%であり、さらに好ましくは70重量%〜100重量%であり、特に好ましくは80重量%〜100重量%であり、最も好ましくは90重量%〜100重量%である。プラスチックフィルム中のポリ塩化ビニルの含有割合を上記範囲内に調整することにより、本発明の積層フィルムおよび本発明の粘着テープは、成膜性が良く且つ柔軟で破断し難いものとなり得る。
プラスチックフィルムがポリオレフィン系樹脂を含む場合、プラスチックフィルム中のポリオレフィン系樹脂の含有割合は、好ましくは50重量%〜100重量%であり、より好ましくは60重量%〜100重量%であり、さらに好ましくは70重量%〜100重量%であり、特に好ましくは80重量%〜100重量%であり、最も好ましくは90重量%〜100重量%である。プラスチックフィルム中のポリオレフィン系樹脂の含有割合を上記範囲内に調整することにより、本発明の積層フィルムおよび本発明の粘着テープは、成膜性が良く且つ柔軟で破断し難いものとなり得る。
ポリ塩化ビニルとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なポリ塩化ビニルを採用し得る。ポリ塩化ビニルは、例えば、塩化ビニルモノマーのホモポリマーであっても良いし、塩化ビニルモノマーと1種以上の他のモノマーとの共重合体であっても良いし、これらホモポリマーや共重合体と他のポリマーとの混合物であっても良い。また、ポリ塩化ビニルは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
ポリ塩化ビニルとしては、好ましくは、軟質ポリ塩化ビニルである。ポリ塩化ビニルとして、軟質ポリ塩化ビニルを採用することにより、本発明の積層フィルムおよび本発明の粘着テープは、延伸等の変形に対する追随性がより良好なものとなり得るとともに、成膜性がより良く且つより柔軟で破断し難いものとなり得る。また、軟質ポリ塩化ビニルを採用する場合、離型剤層との化学的親和性に優れ得る。
ポリ塩化ビニルの重合度は、好ましくは500〜2000であり、より好ましくは500〜1500であり、さらに好ましくは800〜1500である。ポリ塩化ビニルの重合度を上記範囲内に調整することにより、本発明の積層フィルムおよび本発明の粘着テープは、柔軟で破断し難いものとなり得る。
ポリオレフィン系樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なポリオレフィン系樹脂を採用し得る。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体などが挙げられる。また、ポリオレフィン系樹脂は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
プラスチックフィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤を含有し得る。このような添加剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。このような添加剤としては、好ましくは、可塑剤が挙げられる。プラスチックフィルムが可塑剤を含有することにより、一層優れた柔軟性を付与し得る。
可塑剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な可塑剤を採用し得る。このような可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤(大日本インキ(株)製、W−700、トリメリット酸トリオクチル等)、アジピン酸エステル系可塑剤((株)ジェイプラス製、D620、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル等)、リン酸エステル系可塑剤(リン酸トリクレシル等)、クエン酸エステル系可塑剤(アセチルクエン酸トリブチル等)、セバシン酸エステル系可塑剤、アセライン酸エステル系可塑剤、マレイン酸エステル系可塑剤、安息香酸エステル系可塑剤、ポリエーテルポリエステル系可塑剤、エポキシポリエステル系可塑剤(エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等)、ポリエステル系可塑剤(カルボン酸とグリコールからなる低分子ポリエステル等)などが挙げられる。本発明においては、これらのようなエステル系可塑剤を用いることが好ましい。可塑剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
プラスチックフィルムが可塑剤を含有する場合、可塑剤の含有割合としては、目的に応じて任意の適切な含有割合を採用し得る。このような可塑剤の含有割合としては、プラスチックフィルム中の樹脂成分に対して、好ましくは0.5重量%〜50重量%であり、より好ましくは1.0重量%〜40重量%である。可塑剤の含有割合を上記範囲内に調整することにより、延伸等の変形に対する本発明の積層フィルムおよび本発明の粘着テープの追随性が一層良好なものとなる。
プラスチックフィルムの厚みとしては、目的に応じて任意の適切な厚みを採用し得る。このような厚みとしては、好ましくは40μm〜200μmであり、より好ましくは50μm〜150μmであり、さらに好ましくは60μm〜130μmである。プラスチックフィルムの厚みを上記範囲内に調整することにより、本発明の積層フィルムおよび本発明の粘着テープとした際に十分な加工性が得られ得る。
プラスチックフィルムは、本発明の効果を発現できる範囲内で、任意の適切な製造方法によって製造し得る。このような製造方法としては、例えば、射出成形、押出成形、インフレーション成形、カレンダー成形、ブロー成形などが挙げられる。これらの中でも、本発明の効果をより効果的に発現させ得る点で、カレンダー成形が好ましい。
<離型剤層>
離型剤層は、エチレン−酢酸ビニル共重合体と長鎖アルキル系離型剤を含む。離型剤層がエチレン−酢酸ビニル共重合体と長鎖アルキル系離型剤を含むことにより、被着体(例えば、金属板)に後述する粘着テープを貼り付けて長期あるいは高温環境下で保存を行っても、粘着テープの基材が他の粘着テープの基材あるいは被着体に密着してブロッキングを起こすことを抑制し得る。
離型剤層は、エチレン−酢酸ビニル共重合体と長鎖アルキル系離型剤を、合計量で、好ましくは50重量%〜100重量%含み、より好ましくは60重量%〜100重量%含み、さらに好ましくは70重量%〜100重量%含み、特に好ましくは80重量%〜100重量%含み、最も好ましくは90重量%〜100重量%含む。離型剤層中の、エチレン−酢酸ビニル共重合体と長鎖アルキル系離型剤の合計量の含有割合を上記範囲内に調整することにより、プラスチックフィルムとの化学的親和性がより高く、延伸等の変形に対する追随性がより良好で、被着体の汚染もより抑制できる離型剤によって離型処理された積層フィルムを提供することができる。また、離型剤層中の、エチレン−酢酸ビニル共重合体と長鎖アルキル系離型剤の合計量の含有割合を上記範囲内に調整することにより、被着体(例えば、金属板)に後述する粘着テープを貼り付けて長期あるいは高温環境下で保存を行っても、粘着テープの基材が他の粘着テープの基材あるいは被着体に密着してブロッキングを起こすことを一層抑制し得る。
エチレン−酢酸ビニル共重合体は、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体であれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なエチレン−酢酸ビニル共重合体を採用し得る。
エチレン−酢酸ビニル共重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000〜200,000であり、より好ましくは30,000〜190,000である。エチレン−酢酸ビニル共重合体の重量平均分子量(Mw)を上記範囲内に調整することにより、有機溶媒へのエチレン−酢酸ビニル共重合体の溶解性が良くなり、離型剤層を形成するために塗工する際に均一な層を形成し得る。
エチレン−酢酸ビニル共重合体の融点は、好ましくは30℃〜120℃であり、より好ましくは40℃〜100℃であり、さらに好ましくは50℃〜95℃である。エチレン−酢酸ビニル共重合体の融点が上記範囲内から外れると、例えば、プラスチックフィルムの離型剤層が設けられていない側の表面上に粘着剤層を設けて粘着テープとし、ロール状にした場合、粘着テープの粘着剤層が粘着テープ背面に過度に貼り付いてしまったり、あるいは、離型剤層が他の被着体に貼り付いてしまったりするおそれがある。
エチレン−酢酸ビニル共重合体の硬度は、好ましくは10〜100であり、より好ましくは20〜100であり、さらに好ましくは30〜100である。エチレン−酢酸ビニル共重合体の硬度が上記範囲内から外れると、例えば、プラスチックフィルムの離型剤層が設けられていない側の表面上に粘着剤層を設けて粘着テープとし、ロール状にした場合、粘着テープの粘着剤層が粘着テープ背面に過度に貼り付いてしまったり、あるいは、離型剤層が他の被着体に貼り付いてしまったりするおそれがある。
エチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニルモノマーに由来する酢酸ビニル骨格の含有割合は、30重量%以下であり、好ましくは5.0重量%〜30重量%であり、より好ましくは7.0重量%〜30重量%であり、さらに好ましくは7.0重量%〜25重量%であり、特に好ましくは10重量%〜25重量%である。エチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニルモノマーに由来する酢酸ビニル骨格の含有割合を上記範囲内に調整することにより、離型剤層の軟化点が上昇するため、被着体(例えば、金属板)に粘着テープを貼り付けて長期あるいは高温環境下で保存を行っても、粘着テープの基材が他の粘着テープの基材あるいは被着体に密着してブロッキングを起こすことを抑制し得る。
長鎖アルキル系離型剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な長鎖アルキル系離型剤を採用し得る。このような長鎖アルキル系離型剤は、好ましくは、炭素数12以上の直鎖アルキル基を含む。また、このような長鎖アルキル系離型剤は、好ましくは、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミド結合から選ばれる少なくとも1種を有する。長鎖アルキル系離型剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
すなわち、長鎖アルキル系離型剤としては、より好ましくは、分子内に、低極性の炭素数12以上の直鎖アルキル基と、高極性のエーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミド結合から選ばれる少なくとも1種とを有する。このとき、高極性部位は、エチレン−酢酸ビニル共重合体中の高極性部位であるアセトキシ基(エステル基)と親和性を示して吸着することになり、離型剤がプラスチックフィルムから脱離することを抑制するものと推察される。他方、低極性部位は、相分離により空気面に対して配向し、離型剤としての機能を果たすことになると推察される。
長鎖アルキル系離型剤としては、具体的には、例えば、長鎖アルキルアクリレートの重合物、長鎖アルキルアクリレートと他のビニルモノマーとの共重合物、ポリビニルアルコールに長鎖アルキルイソシアネート等の長鎖アルキル成分を反応させて得られる長鎖アルキル変性高分子などが挙げられる。
上記共重合物としては、例えば、ステアリルアクリレートとアクリル酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル等の共重合物;ステアリルアクリルアミド・アクリロニトリル・アクリル酸等の共重合物;ステアリルビニルエーテル・アクリル酸、無水マレイン酸、アクリロニトリル等の共重合物;等が挙げられる。また、上記長鎖アルキル変性高分子としては、例えば、セルロース、ポリビニルアルコール等と塩化ステアロイルとの反応物;ポリビニルアルコール、部分アセタール化ポリビニルアルコール、セルロース誘導体やポリエステル等の活性水素を持つポリマーをステアリルイソシアネート等の脂肪族イソシアネートでアルキル変性したもの;等が挙げられる。
長鎖アルキル系離型剤は、市販品を使用することができる。例えば、アシオレジンRA−30(アシオ産業株式会社製)、ピーロイル1010やピーロイル1050(一方社油脂工業株式会社製)などが挙げられる。
離型剤層中の長鎖アルキル系離型剤の含有割合は、離型剤層中のエチレン−酢酸ビニル共重合体に対して、好ましくは1.0重量%〜80重量%であり、より好ましくは10重量%〜80重量%であり、さらに好ましくは15重量%〜80重量%であり、特に好ましくは20重量%〜80重量%である。離型剤層中の長鎖アルキル系離型剤の含有割合を上記範囲内に調整することにより、プラスチックフィルムとの化学的親和性がより高く、延伸等の変形に対する追随性がより良好で、被着体の汚染もより抑制できる離型剤によって離型処理された積層フィルムを提供することができる。離型剤層中の長鎖アルキル系離型剤の含有割合が、離型剤層中のエチレン−酢酸ビニル共重合体に対して少な過ぎると、離型性が十分に発現できないおそれがあり、一方、離型剤層中の長鎖アルキル系離型剤の含有割合が、離型剤層中のエチレン−酢酸ビニル共重合体に対して多過ぎると、長鎖アルキル系離型剤がエチレン−酢酸ビニル共重合体から脱落したりするおそれがある。
離型剤層は、本発明の効果を損なわない範囲で、長鎖アルキル系離型剤とエチレン−酢酸ビニル共重合体以外の、任意の適切な添加剤を含有していても良い。
離型剤層の厚みは、好ましくは0.01μm〜10.0μmであり、より好ましくは0.01μm〜3.0μmであり、さらに好ましくは0.05μm〜1.0μmである。離型剤層の厚みを上記範囲内に調整することにより、プラスチックフィルムとの化学的親和性がより高く、延伸等の変形に対する追随性がより良好で、被着体の汚染もより抑制できる離型剤によって離型処理された積層フィルムを提供することができる。離型剤層の厚みが小さ過ぎると、離型剤層の離型効果が十分に得られ難いおそれがあり、例えば、プラスチックフィルムの離型剤層が設けられていない側の表面上に粘着剤層を設けて粘着テープとし、ロール状にした場合、粘着テープの粘着剤層が粘着テープ背面に過度に貼り付いてしまい、巻き戻すことが困難となり、巻き戻す際に粘着テープ自体が裂けたり破れたりするおそれがある。また、離型剤層の厚みが大き過ぎると、不経済であるだけでなく、粘着テープそのものの厚みが増すため、粘着テープの剛性が上昇し、ロール形状にする際に巻き付け難くなり、また巻き戻しに余計な外力が必要となるほか、巻き戻し時に離型剤層そのもの、あるいは、その成分が粘着剤層に転写しやすくなり、被着体汚染の原因になるおそれがある。
離型剤層は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法によって形成し得る。このような方法としては、例えば、長鎖アルキル系離型剤と粒状のエチレン−酢酸ビニル共重合体を混合しておき、熱溶融させながら押し出しによって、ポリ塩化ビニルを主成分とするフィルム上に形成する方法や、長鎖アルキル系離型剤と粒状のエチレン−酢酸ビニル共重合体を溶解する溶剤にこれらを溶かして溶液とし、これをコーター等でポリ塩化ビニルを主成分とするフィルム上に塗布して乾燥する方法が挙げられる。
離型剤層の表面に対する水の接触角は、離型処理機能上において重要である。なぜならば、離型処理機能は、離型剤と樹脂を単に混合するだけでは十分に発現するものではなく、離型剤が樹脂に均一に分散されて十分に発現されるものであり、離型剤層の表面に対する水の接触角はその分散の度合いを示す重要な指標となるからである。本発明においては、長鎖アルキル系離型剤がエチレン−酢酸ビニル共重合体に均一に分散できることによって、離型剤層表面全面において十分な離型処理機能が発現される。
本発明において、離型剤層の表面に対する水の接触角は、好ましくは90.0°〜130.0°であり、より好ましくは90.0°〜105°である。離型剤層の表面に対する水の接触角を上記範囲内に調整することにより、プラスチックフィルムとの化学的親和性がより高く、延伸等の変形に対する追随性がより良好で、被着体の汚染もより抑制できる離型剤によって離型処理された積層フィルムを提供することができる。離型剤層の表面に対する水の接触角が上記範囲を外れて小さ過ぎると、長鎖アルキル系離型剤がエチレン−酢酸ビニル共重合体に微分散されすぎ、十分な離型処理機能が発現できないおそれがある。他方、離型剤層の表面に対する水の接触角が上記範囲を外れて大き過ぎると、長鎖アルキル系離型剤とエチレン−酢酸ビニル共重合体との相分離が過度に生じ、離型剤層の表面には、長鎖アルキル系離型剤が多く凝集した部位と、長鎖アルキル系離型剤が疎に凝集した部位あるいは長鎖アルキル系離型剤が無い部位とが生じてしまうおそれがある。このような状態では、例えば、プラスチックフィルムの離型剤層が設けられていない側の表面上に粘着剤層を設けて粘着テープとし、ロール状にした場合、容易に巻き戻すことが可能な場所と、巻き戻すことが困難となって巻き戻す際に粘着テープ自体が裂けたり破れたりするおそれがある場所とが併存することになってしまう。
≪粘着テープ≫
本発明の粘着テープは、本発明の積層フィルムの離型剤層が設けられていない側の表面上に粘着剤層が設けられたものである。図2に、本発明の粘着テープの一例の概略断面図を示す。図2においては、本発明の粘着テープ100は、離型剤層2とプラスチックフィルム1と粘着剤層3との積層構造からなる。離型剤層2とプラスチックフィルム1との積層体は、積層フィルム10である。また、本発明の粘着テープは、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の層を有していても良い。
粘着剤層としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な粘着剤層を採用し得る。粘着剤層は、1層のみであっても良いし、2層以上であっても良い。
粘着剤層の厚みは、好ましくは1.0μm〜30μmであり、より好ましくは1.0μm〜20μmであり、さらに好ましくは3.0μm〜15μmである。粘着剤層の厚みが1.0μm未満の場合、十分な粘着力を発現できないおそれがある。粘着剤層の厚みが30μmより大きい場合、用途によっては粘着力が大きくなりすぎて、剥離等の際に被着体を破砕するおそれがある。
粘着剤層の材料としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な粘着剤を採用し得る。
粘着剤層の材料としては、例えば、(メタ)アクリル系ポリマー、ゴム系粘着剤などが挙げられる。ゴム系粘着剤としては、天然ゴム;メタクリル酸メチルなどのモノマーをグラフトした特殊天然ゴム;SBS、SBR、SEPS、SIS、SEBS、ポリブテン、ポリイソブテン、ポリイソブチレン、ブチルゴムなどの合成ゴム;などが挙げられる。これらの中でも、剥離後の被着体への糊残りが少なく、高凝集性を有し、透明性に優れる点で、(メタ)アクリル系ポリマーが好ましい。また、粘着剤層の材料として(メタ)アクリル系ポリマーを採用すると、被着体(例えば、金属板)に粘着テープを貼り付けて長期あるいは高温環境下で保存を行っても、粘着テープの基材が他の粘着テープの基材あるいは被着体に密着してブロッキングを起こすことを一層抑制し得る。
粘着剤層の材料は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。例えば、(メタ)アクリル系ポリマーが選択される場合は、そのポリマーは1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。
粘着剤層が(メタ)アクリル系ポリマーを含む場合、粘着剤層中の(メタ)アクリル系ポリマーの含有割合は、目的に応じて適宜設定し得る。
(メタ)アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル系モノマーを主モノマーとして含むモノマー成分から構成される樹脂である。(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分中の(メタ)アクリル系モノマーの含有割合は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%〜100重量%、さらに好ましくは90重量%〜100重量%、特に好ましくは95重量%〜100重量%である。上記モノマー成分中のモノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
(メタ)アクリル系モノマーとしては、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、炭素数が1〜30のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
炭素数が1〜30のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の、炭素数が1〜30のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルの中でも、好ましくは、炭素数が2〜20のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、より好ましくは炭素数が4〜18のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。
水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、粘着剤としての効果を十分に発現させるために、好ましくは、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマーから選ばれる少なくとも1種を含む。より好ましくは、カルボキシル基含有モノマーである。
(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、粘着剤としての効果を十分に発現させるために、アクリロニトリルを含有し得る。
水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アリルアルコールなどが挙げられる。水酸基含有モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。カルボキシル基含有モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分が水酸基含有モノマーを含む場合、(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分中の水酸基含有モノマーの含有割合は、好ましくは0.1重量%〜20重量%であり、より好ましくは0.1重量%〜10重量%である。(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分がカルボキシル基含有モノマーを含む場合、(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分中のカルボキシル基含有モノマーの含有割合は、好ましくは0.1重量%〜20重量%であり、より好ましくは0.1重量%〜10重量%である。このように、(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分が、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマーから選ばれる少なくとも1種を含むことにより、架橋剤を用いた場合に、該架橋剤との架橋反応を効率的に生じさせることが可能となり、粘着剤としての効果を十分に発現させることができる。さらに、(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分中の水酸基含有モノマーの含有割合や、(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分中のカルボキシル基含有モノマーの含有割合を、上記の範囲内に収まるように調整することによって、剥離操作の際の被着体の破砕を効果的に防止できる。また、(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分中の水酸基含有モノマーの含有割合や、(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分中のカルボキシル基含有モノマーの含有割合を、上記の範囲内に収まるように調整することによって、被着体(例えば、金属板)に粘着テープを貼り付けて長期あるいは高温環境下で保存を行っても、粘着テープの基材が他の粘着テープの基材あるいは被着体に密着してブロッキングを起こすことを一層抑制し得る。(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分中の水酸基含有モノマーの含有割合や、(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分中のカルボキシル基含有モノマーの含有割合が、上記の範囲よりも多すぎる場合には、粘着力が大きくなりすぎてしまい、ブロッキングが生じやすくなるおそれがあり、また、剥離操作の際に被着体の破砕が発生しやすくなるおそれがある。
粘着剤層は、好ましくは、架橋剤を含む。粘着剤層が架橋剤を含む場合、粘着剤層中の架橋剤の含有割合は、目的に応じて適宜設定し得るが、主たる樹脂成分(好ましくは、(メタ)アクリル系ポリマー)100重量部に対して、好ましくは0.1重量部〜30重量部であり、より好ましくは1.0重量部〜27重量部であり、さらに好ましくは3.0重量部〜25重量部であり、特に好ましくは5.0重量部〜23重量部である。粘着剤層中の架橋剤の含有割合を上記範囲内に収めることによって、粘着力の経時上昇を抑制でき、ハンドリングが容易であり、かつ、被着体への糊残りが抑制できる、粘着テープを提供し得る。また、粘着剤層中の架橋剤の含有割合を上記範囲内に収めることによって、適度な架橋反応を生じさせることができ、剥離操作の際の被着体の破砕を効果的に防止できる。また、粘着剤層中の架橋剤の含有割合を上記範囲内に収めることによって、被着体(例えば、金属板)に粘着テープを貼り付けて長期あるいは高温環境下で保存を行っても、粘着テープの基材が他の粘着テープの基材あるいは被着体に密着してブロッキングを起こすことを一層抑制し得る。
架橋剤としては、例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤などが挙げられる。架橋剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
架橋剤は、好ましくは、エポキシ系架橋剤を含む。架橋剤としてエポキシ系架橋剤が必須に含まれることにより、粘着力の経時上昇を抑制でき、ハンドリングが容易であり、かつ、被着体への糊残りが抑制できる、粘着テープを提供し得る。
架橋剤としてエポキシ系架橋剤が必須に含まれる場合、粘着剤層中のエポキシ系架橋剤の含有割合は、目的に応じて適宜設定し得るが、主たる樹脂成分(好ましくは、(メタ)アクリル系ポリマー)100重量部に対して、好ましくは0.1重量部〜30重量部であり、より好ましくは0.2重量部〜25重量部であり、さらに好ましくは0.5重量部〜20重量部であり、特に好ましくは0.7重量部〜15重量部である。粘着剤層中のエポキシ系架橋剤の含有割合を上記範囲内に収めることによって、粘着力の経時上昇を抑制でき、ハンドリングが容易であり、かつ、被着体への糊残りが抑制できる、粘着テープを提供し得る。
エポキシ系架橋剤としては、任意の適切なエポキシ系架橋剤を採用し得る。市販品としては、例えば、三菱ガス化学(株)製の「テトラッドC」、(株)ADEKA製の「アデカレジンEPUシリーズ」や「アデカレジンEPRシリーズ」、(株)ダイセル製の「セロキサイド」などが挙げられる。特に、これらのような液状エポキシ樹脂は、粘着剤層を製造する際の粘着剤混合操作が容易になる点で、好ましい。
架橋剤としてエポキシ系架橋剤が必須に含まれる場合、他の架橋剤が併用されていても良い。このような架橋剤としては、上記のイソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤などが挙げられる。これらの架橋剤の中でも、本発明の効果を十分に発現できる点で、メラミン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤が好ましく、メラミン系架橋剤がより好ましい。
粘着剤層は、可塑剤を含んでいても良い。粘着剤層が可塑剤を含む場合、粘着剤層中の可塑剤の含有割合は、目的に応じて適宜設定し得るが、主たる樹脂成分(好ましくは、(メタ)アクリル系ポリマー)100重量部に対して、0.1重量部〜70重量部である。粘着剤層中の可塑剤の含有割合を上記範囲内に収めることによって、本発明の効果をより一層効果的に発現することが可能となる。粘着剤層中の可塑剤の含有割合が、主たる樹脂成分(好ましくは、(メタ)アクリル系ポリマー)100重量部に対して、70重量部より大きいと、粘着剤層が柔軟になりすぎてしまい、糊残りや被着体汚染が発生しやすくなるおそれがある。
上記可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル系、トリメリット酸エステル系(大日本インキ(株)製、W−700、トリメリット酸トリオクチル等)、アジピン酸エステル系((株)ジェイプラス製、D620、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル等)、リン酸エステル系(リン酸トリクレシル等)、アジピン酸系エステル、クエン酸エステル(アセチルクエン酸トリブチル等)、セバシン酸エステル、アセライン酸エステル、マレイン酸エステル、安息香酸エステル、ポリエーテル系ポリエステル、エポキシ系ポリエステル(エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等)、ポリエステル(カルボン酸とグリコールからなる低分子ポリエステル等)などが挙げられる。本発明においては、エステル系可塑剤を用いることが好ましい。可塑剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
粘着剤層は、架橋反応等を促進させるために、任意の適切な触媒を含んでいても良い。粘着剤層が触媒を含む場合、粘着剤層中の触媒の含有割合は、目的に応じて適宜設定し得るが、主たる樹脂成分(好ましくは、(メタ)アクリル系ポリマー)100重量部に対して、0.01重量部〜20重量部である。粘着剤層中の触媒の含有割合を上記範囲内に収めることによって、本発明の効果をより一層効果的に発現することが可能となる。
このような触媒としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、オクチル酸スズ、オクチル酸鉛、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸カルシウム、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート等の有機金属化合物;ブチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、t−ブチルアミン、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、イミダゾール、水酸化リチウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート等の塩基性化合物;p−トルエンスルホン酸、トリクロル酢酸、燐酸、モノアルキル燐酸、ジアルキル燐酸、β−ヒドロキシエチルアクリレートの燐酸エステル、モノアルキル亜燐酸、ジアルキル亜燐酸等の酸性化合物;などが挙げられる。触媒は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
本発明の粘着テープは、該粘着テープの粘着剤層を該粘着テープの離型剤層に貼り合せて引張速度0.3m/分で剥離した場合の粘着力が、好ましくは0.1N/20mm〜3.0N/20mmであり、より好ましくは0.2N/20mm〜3.0N/20mmであり、さらに好ましくは0.3N/20mm〜2.9N/20mmであり、特に好ましくは0.4N/20mm〜2.8N/20mmである。なお、ここでいう「該粘着テープの粘着剤層を該粘着テープの離型剤層に貼り合せ」とは、本発明の粘着テープの粘着剤層を、同一の粘着テープにおける離型剤層に貼り合せることであっても良いし、本発明の粘着テープの粘着剤層を、別途用意した本発明の粘着テープの離型剤層に貼り合せることであっても良い。上記粘着力を上記範囲内に収めることによって、例えば、本発明の粘着テープをロール状にした場合、ロール状の巻き取り粘着テープから該粘着テープを巻き戻す際に該粘着テープ自体が裂けたり破れたりすることなく、また、粘着剤層の粘着剤の粘着テープ背面に対する粘着力が粘着テープ背面に糊残りを起こさない程度に良好にコントロールされ、さらに、離型剤による被着体の汚染も抑制された、粘着テープを提供することができる。また、上記粘着力を上記範囲内に収めることによって、被着体(例えば、金属板)に粘着テープを貼り付けて長期あるいは高温環境下で保存を行っても、粘着テープの基材が他の粘着テープの基材あるいは被着体に密着してブロッキングを起こすことを一層抑制し得る。
粘着剤層には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤が含まれていても良い。このような添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、充填剤、老化防止剤、粘着付与剤、顔料、染料、シランカップリング剤などが挙げられる。
本発明の粘着テープは、粘着剤層の表面に剥離ライナーを備えていても良い。
剥離ライナーとしては、任意の適切なセパレータを採用し得る。このような剥離ライナーとしては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙等の剥離層を有する基材;ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素系ポリマーからなる低接着性基材;オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)等の無極性ポリマーからなる低接着性基材;などが挙げられる。
粘着剤層を、本発明の積層フィルムの離型剤層が設けられていない側の表面上に設ける方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な手段を採用し得る。このような手段として、好ましくは、粘着剤層を形成する塗工液を、本発明の積層フィルムの離型剤層が設けられていない側の表面上に塗工することによって粘着剤層を設ける方法である。
塗工方式としては、本発明の効果を損なわない範囲内で、任意の適切な塗工方式を採用し得る。このような塗工方式としては、例えば、リバース方式、ダイレクト方式、メタリングロールを組み合わせた各種方式などが挙げられる。
≪用途≫
本発明の積層フィルムおよび本発明の粘着テープは、任意の適切な用途に用い得る。好ましい用途としては、例えば、金属板の表面保護が挙げられ、具体的には、好ましくは、ステンレス板、アルミ板、塗装鋼板から選ばれる少なくとも1種の被着体の表面保護に用いられる。特に好ましくは、本発明の粘着テープは、厚みが5.0mm以上のアルミ板の表面保護に用いられる。また、本発明の粘着テープは、好ましくは、金属板加工に用いられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。
≪接触角測定≫
測定対象の粘着テープを5.0cm×5.0cmの大きさに切り取り、粘着剤層の無い面側に水を10ml設置した後、23.0℃、湿度50%の環境下、接触角測定装置(「CA−X」、協和界面科学社製)を用いて1種の粘着テープ試料につき任意10箇所で接触角を測定し、その平均値を接触角とした。なお、10箇所中1箇所でも接触角が90°未満、もしくは130°を超えるものとなったものは離型処理効果が現れないものとして不具合判定とした(表中では横棒で表記)。
≪粘着テープの粘着剤層を粘着テープの離型剤層に貼り合わせた際の粘着力≫
測定対象の粘着テープを、23.0℃、湿度50%の環境下、1時間放置した後、その粘着テープの一部を20mm幅×100mm長さに切断し、そのテープの粘着剤層を、100mm×100mmに切断した同一の粘着テープの背面側(粘着剤層と反対側)に流れ方向が一致するように線圧78.5N/cm、速度0.3m/分で貼り合せた後、23.0℃、湿度50%の環境下で30分間放置し、剥離角度180°、引張速度0.3m/分で粘着テープを剥離し、その時の剥離力を測定した。
≪離型剤層のテープへの追従性≫
測定対象の粘着テープを23℃、湿度50%の環境下で1時間放置した後、粘着テープを長さ150mm×幅10mmにカットした。そのサンプルを、チャック間50mm、引張速度300mm/分で200%引っ張った際、チャック間にあった粘着テープの背面側(粘着剤層と反対の表面側)の離型剤層のひび割れを目視で確認した。
○:ひび割れなし。
×:ひび割れあり。
≪ブロッキング力測定≫
測定対象の粘着テープの粘着剤面にルミラーS10 #38(東レ社製)を貼り合せたものを100mm×100mmサイズで2枚作製し、それらの離型剤層面同士を接触させた状態で33kg/cmの荷重をかけ、その状態で50℃×3日保存した。その後、荷重を除荷し、サンプルを23℃、50%RH環境下で2hr放置したのち、サンプルをテープの幅方向に20mm幅に切断し、両面テープNo.531 #25(日東電工社製)を貼り付けたSUS430BA板にハンドローラー1往復で仮固定し、剥離角度180°、引張速度0.3m/minでSUS板に仮固定していない側のテープ片方の粘着テープを剥離し、その時の剥離力を測定した。
≪ブロッキング試験≫
測定対象の粘着テープを23℃、50%RH環境下で1hr放置した後、100mm×100mmで厚さ10mmのアルミ板に貼り合せたものを2枚作製し、それらの離型剤層面同士が接触するように重ね合わせ、50g/cmの荷重を加えた状態で50℃×72hr保管した。その後、サンプルを23℃、50%RH環境下で2hr保管した後、アルミ板同士を手で剥がし、その時の剥がれやすさを比較した。ハンマーで板の側面を叩く様子は図3に示す通りである。
◎:手で容易に剥離可能。
○:ハンマーで板の側面を叩くことで容易に剥離可能。
×:ハンマーで板の側面を叩くことでも剥離不可能。
≪酢酸ビニル含有量測定≫
分析方法:FT−IR
分析装置:Nicolet8700、Continuum(Thermo Fisher Scientific製)
GoldenGATE(SPECAC製)
測定方法:ATR法(ダイヤモンド45°)
検出器:DTGS
分解能:4.0cm−1
積算回数:64回
所定の1回反射型ATRアクセサリーのプリズムに一定トルクで圧力を掛けて、サンプルとプリズムを密着させ、FT−IR測定を行い、多変量解析であるPLS(部分最少二乗回帰)解析を用いて、各成分の含有量を求めた。PLS解析には、1480−1−1800cm−1と2770−1−3100cm−1のスペクトルを用いた。
〔製造例1〕:プラスチックフィルムの製造
重合度P=1050のポリ塩化ビニル100重量部に対してDOP可塑剤(フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、ジェイプラス製)27重量部を含んだ軟質ポリ塩化ビニルフィルムをカレンダー法によって製造した。この軟質ポリ塩化ビニルフィルムの厚みは70μmであり、JIS−K−7127(1999)に従って測定される弾性率(MD)が250MPa、JIS−K−7127(1999)に従って測定される最大伸び(MD)が400%であった。また、製造直後の表面粗さ(算術平均表面粗さRa)は0.1μmであった。
〔実施例1〕
長鎖アルキル系離型剤(ピーロイル1010、直鎖アルキル基の鎖長=炭素数18、一方社油脂製、オクタデシルイソシアナートとポリビニルアルコールの付加物)20重量部、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(エバフレックスEV−450、三井デュポン社製)100重量部を、溶液状態で混合して、混合溶液(1A)を得た。混合溶液(1A)中の長鎖アルキル系離型剤とエチレン−酢酸ビニル共重合体の混合比は、重量比で、長鎖アルキル系離型剤:エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)=1:5であった。
製造例1で製造した軟質ポリ塩化ビニルフィルムの片方の面に、上記混合溶液(1A)を塗布して、厚さ1.0μm、算術平均表面粗さRa=0.5μmの離型剤層を形成させた。
このようにして、積層フィルム(1B)を得た。
続いて、ブチルアクリレート(BA)/アクリロニトリル(AN)/アクリル酸(AA)/ヒドロキシエチルアクリレート=92/5/2/0.3(重量比)から構成されるアクリル共重合ポリマー100重量部、メラミン系架橋剤(ブタノール変性メラミンホルムアルデヒド樹脂、「スーパーベッカミンJ−820−60N」、日本ポリウレタン製)1重量部、エポキシ系架橋剤(1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)ジクロルヘキサン、「テトラッドC」、三菱瓦斯化学製)0.5重量部からなる粘着剤をトルエン溶液とした粘着剤溶液を、積層フィルム(1B)の離型剤層と反対側の面に塗布した後、130℃×90秒で乾燥し、厚み10μmの粘着剤層を積層フィルム(1B)の離型剤層と反対側の面に形成した。
このようにして、粘着テープ(1C)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例2〕
長鎖アルキル系離型剤(ピーロイル1010、直鎖アルキル基の鎖長=炭素数18、一方社油脂製)20重量部、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(エバフレックスEV−550、三井デュポン社製)100重量部を、溶液状態で混合して、混合溶液(2A)を得た。混合溶液(2A)中の長鎖アルキル系離型剤とエチレン−酢酸ビニル共重合体の混合比は、重量比で、長鎖アルキル系離型剤:エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)=1:5であった。
製造例1で製造した軟質ポリ塩化ビニルフィルムの片方の面に、上記混合溶液(2A)を塗布して、厚さ1.0μm、算術平均表面粗さRa=0.5μmの離型剤層を形成させた。
このようにして、積層フィルム(2B)を得た。
続いて、ブチルアクリレート(BA)/アクリロニトリル(AN)/アクリル酸(AA)/ヒドロキシエチルアクリレート=92/5/2/0.3(重量比)から構成されるアクリル共重合ポリマー100重量部、メラミン系架橋剤(ブタノール変性メラミンホルムアルデヒド樹脂、「スーパーベッカミンJ−820−60N」、日本ポリウレタン製)1重量部、エポキシ系架橋剤(1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)ジクロルヘキサン、「テトラッドC」、三菱瓦斯化学製)0.5重量部からなる粘着剤をトルエン溶液とした粘着剤溶液を、積層フィルム(2B)の離型剤層と反対側の面に塗布した後、130℃×90秒で乾燥し、厚み10μmの粘着剤層を積層フィルム(2B)の離型剤層と反対側の面に形成した。
このようにして、粘着テープ(2C)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例3〕
長鎖アルキル系離型剤(ピーロイル1010、直鎖アルキル基の鎖長=炭素数18、一方社油脂製)20重量部、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(エバフレックスEV−260、三井デュポン社製)100重量部を、溶液状態で混合して、混合溶液(3A)を得た。混合溶液(3A)中の長鎖アルキル系離型剤とエチレン−酢酸ビニル共重合体の混合比は、重量比で、長鎖アルキル系離型剤:エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)=1:5であった。
製造例1で製造した軟質ポリ塩化ビニルフィルムの片方の面に、上記混合溶液(3A)を塗布して、厚さ1.0μm、算術平均表面粗さRa=0.5μmの離型剤層を形成させた。
このようにして、積層フィルム(3B)を得た。
続いて、ブチルアクリレート(BA)/アクリロニトリル(AN)/アクリル酸(AA)/ヒドロキシエチルアクリレート=92/5/2/0.3(重量比)から構成されるアクリル共重合ポリマー100重量部、メラミン系架橋剤(ブタノール変性メラミンホルムアルデヒド樹脂、「スーパーベッカミンJ−820−60N」、日本ポリウレタン製)1重量部、エポキシ系架橋剤(1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)ジクロルヘキサン、「テトラッドC」、三菱瓦斯化学製)0.5重量部からなる粘着剤をトルエン溶液とした粘着剤溶液を、積層フィルム(3B)の離型剤層と反対側の面に塗布した後、130℃×90秒で乾燥し、厚み10μmの粘着剤層を積層フィルム(3B)の離型剤層と反対側の面に形成した。
このようにして、粘着テープ(3C)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例4〕
長鎖アルキル系離型剤(ピーロイル1010、直鎖アルキル基の鎖長=炭素数18、一方社油脂製)20重量部、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(ウルトラセン541、東ソー社製)100重量部を、溶液状態で混合して、混合溶液(4A)を得た。混合溶液(4A)中の長鎖アルキル系離型剤とエチレン−酢酸ビニル共重合体の混合比は、重量比で、長鎖アルキル系離型剤:エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)=1:5であった。
製造例1で製造した軟質ポリ塩化ビニルフィルムの片方の面に、上記混合溶液(4A)を塗布して、厚さ1.0μm、算術平均表面粗さRa=0.5μmの離型剤層を形成させた。
このようにして、積層フィルム(4B)を得た。
続いて、ブチルアクリレート(BA)/アクリロニトリル(AN)/アクリル酸(AA)/ヒドロキシエチルアクリレート=92/5/2/0.3(重量比)から構成されるアクリル共重合ポリマー100重量部、メラミン系架橋剤(ブタノール変性メラミンホルムアルデヒド樹脂、「スーパーベッカミンJ−820−60N」、日本ポリウレタン製)1重量部、エポキシ系架橋剤(1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)ジクロルヘキサン、「テトラッドC」、三菱瓦斯化学製)0.5重量部からなる粘着剤をトルエン溶液とした粘着剤溶液を、積層フィルム(4B)の離型剤層と反対側の面に塗布した後、130℃×90秒で乾燥し、厚み10μmの粘着剤層を積層フィルム(4B)の離型剤層と反対側の面に形成した。
このようにして、粘着テープ(4C)を得た。
結果を表1に示した。
〔比較例1〕
長鎖アルキル系離型剤(ピーロイル1010、直鎖アルキル基の鎖長=炭素数18、一方社油脂製)20重量部、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(エバフレックスEV−150、三井デュポン社製)100重量部を、溶液状態で混合して、混合溶液(C1A)を得た。混合溶液(C1A)中の長鎖アルキル系離型剤とエチレン−酢酸ビニル共重合体の混合比は、重量比で、長鎖アルキル系離型剤:エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)=1:5であった。
製造例1で製造した軟質ポリ塩化ビニルフィルムの片方の面に、上記混合溶液(C1A)を塗布して、厚さ1.0μm、算術平均表面粗さRa=0.5μmの離型剤層を形成させた。
このようにして、積層フィルム(C1B)を得た。
続いて、ブチルアクリレート(BA)/アクリロニトリル(AN)/アクリル酸(AA)/ヒドロキシエチルアクリレート=92/5/2/0.3(重量比)から構成されるアクリル共重合ポリマー100重量部、メラミン系架橋剤(ブタノール変性メラミンホルムアルデヒド樹脂、「スーパーベッカミンJ−820−60N」、日本ポリウレタン製)1重量部、エポキシ系架橋剤(1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)ジクロルヘキサン、「テトラッドC」、三菱瓦斯化学製)0.5重量部からなる粘着剤をトルエン溶液とした粘着剤溶液を、積層フィルム(C1B)の離型剤層と反対側の面に塗布した後、130℃×90秒で乾燥し、厚み10μmの粘着剤層を積層フィルム(C1B)の離型剤層と反対側の面に形成した。
このようにして、粘着テープ(C1C)を得た。
結果を表1に示した。
本発明の積層フィルムおよび本発明の粘着テープは、例えば、金属板の表面保護に用いられる。また、本発明の積層フィルムおよび本発明の粘着テープは、金属板を加工する際に用いられる。
1 プラスチックフィルム
2 離型剤層
3 粘着剤層
10 積層フィルム
100 粘着テープ

Claims (11)

  1. プラスチックフィルムの少なくとも一方の表面に離型剤層が設けられた積層フィルムであって、
    該離型剤層がエチレン−酢酸ビニル共重合体と長鎖アルキル系離型剤を含み、
    該エチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニルモノマーに由来する酢酸ビニル骨格の含有割合が30重量%以下であり、
    該離型剤層の表面に対する水の接触角が90.0°〜130.0°である、
    積層フィルム。
  2. 前記長鎖アルキル系離型剤が炭素数12以上の直鎖アルキル基を含む、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記離型剤層の厚みが0.01μm〜10.0μmである、請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 前記プラスチックフィルムがポリ塩化ビニルまたはポリオレフィン系樹脂を含む、請求項1からまでのいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 前記プラスチックフィルムが軟質ポリ塩化ビニルを含む、請求項に記載の積層フィルム。
  6. 請求項1からまでのいずれかに記載の積層フィルムの離型剤層が設けられていない側の表面上に粘着剤層が設けられた、粘着テープ。
  7. 前記粘着剤層が、(メタ)アクリル系ポリマーまたはゴム系粘着剤を含む、請求項に記載の粘着テープ。
  8. 前記粘着テープの粘着剤層を前記粘着テープの離型剤層に貼り合せて引張速度0.3m/分で剥離した場合の粘着力が0.1N/20mm〜3.0N/20mmである、請求項またはに記載の粘着テープ。
  9. ステンレス板、アルミ板、塗装鋼板から選ばれる少なくとも1種の被着体の表面保護に用いられる、請求項からまでのいずれかに記載の粘着テープ。
  10. 厚みが5.0mm以上のアルミ板の表面保護に用いられる、請求項に記載の粘着テープ。
  11. 金属板加工に用いられる、請求項からまでのいずれかに記載の粘着テープ。
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