本発明においては、側面の一部を折り曲げて水平にすることにより積み重ね容易とするトレーであって、側面の一部を水平に係止するための部材や水平とされた側面の一部が突出して邪魔になることがなく、また、側面の一部を水平に係止するための部材が容易に損傷することがなく、さらには、側面の一部を強く水平に係止することができるものを提供するという目的を以下のようにして実現した。
本発明に基づくトレー(「紙製トレー」、「トレー状箱体」としてもよい)5は、図1〜図7に示すように構成され、底面部10と、底面部10の相対する辺部からそれぞれ連設された側面部20と、底面部10の他の相対する辺部からそれぞれ連設された側面部30と、側面部20と側面部30間に設けられた折込み片部40とを有している。
トレー5は、1枚の紙製のシート状のブランク(具体的には段ボール製(特に、両面段ボール製)であり、厚紙等でもよい)により形成されている。なお、両面段ボールにおける中芯の段の方向は、図5に示す円内に示す方向(底面部10と側面部30間の折れ線と平行な方向)である。なお、中芯の段の方向は、他の方向としてもよいが、図5に示す円内に示す方向とすることにより、中芯の段の方向を爪部24−2の本体部24−1からの突出方向として、爪部24−2の強度を強く保つことができる。
ここで、底面部10は、方形状(具体的には、長方形状)を呈している。なお、底面部10は、正方形であってもよい。底面部10は、互いに平行な相対する2つの辺部10a、10bと、辺部10a、10bと直角をなす互いに平行な他の相対する辺部10c、10dとを有している。辺部10aと辺部10bとで第1辺部群が構成され、辺部10cと辺部10dとで第2辺部群が構成される。
また、側面部(第1側面部)20は、左右両側の辺部(X1側の辺部とX2側の辺部)から折れ線(第1折れ線)C11、C12を介して連設されている。左側面側(X1側)の側面部20と右側面側(X2側)の側面部20とは左右対称である以外は同一の構成であるので、左側面側の側面部20を例にとって説明すると、側面部20は、底面部10から折れ線を介して連設された下側領域22と、下側領域22から折れ線(第2折れ線)C20を介して連設された上側領域24とを有している。折れ線C20は、折れ線C11と平行に形成されている。
ここで、下側領域22は、底面部10の左側面側の辺部と一致して形成された直線状の辺部22aと、辺部22aの両側の端部(すなわち、底面部10の左側面側の2つの角部)から形成された直線状の辺部22bと、辺部22bの辺部22aとは反対側の端部から連設され、略円弧状に形成された辺部22cと、辺部22cの辺部22bとは反対側の端部から形成され、下側領域22と上側領域24間の切込みK11に沿って形成された辺部22dと、一対の辺部22dの辺部22cとは反対側の端部間に形成された直線状の辺部22eとにより囲まれた形状を呈している。なお、下側領域22においては、辺部22b〜辺部22dは一対ずつ設けられている。
ここで、辺部22aは、底面部10と側面部20間の折れ線C11と一致して形成されている。また、1つの下側領域22における一対の辺部22bは、該一対の辺部22b間の間隔が辺部22aから離れるに従い長くなるようにテーパ状に形成されている。つまり、辺部22aと辺部22b間の角度α11は、鈍角を形成する。
また、辺部22cは、辺部22bと辺部22d間の角部に扇状の切欠きを形成することにより形成され、辺部22c側にいくほど上側に向けてカーブしている。つまり、辺部22cを構成する略円弧状における中心は、下側領域22の外側に位置するといえる。この辺部22cが形成されていることにより、上側領域24における辺部24bと辺部24c間の角部は、辺部22bの延長線よりもやや内側に位置する。
また、辺部22dは、辺部22cの端部から連設された直線状の辺部22d−1と、該直線状の辺部22d−1の辺部22cとは反対側の端部から連設された略円弧状の辺部22d−2とを有し、略円弧状の辺部22d−2は、辺部22e側にいくほど上側に向けてカーブしている。
また、辺部22eは、下側領域22と上側領域24間の折れ線C20と一致して形成されている。
また、上側領域24は、下側領域22の辺部22eと一致して形成された直線状の辺部24aと、辺部24aの両側の端部から形成され、切込みK11に沿って形成された辺部24bと、辺部24bの辺部24aとは反対側の端部から連設され、略円弧状を呈する辺部24cと、辺部24cの辺部24bとは反対側の端部から連設され、直線状を呈する辺部24dと、辺部24dの辺部24cとは反対側の端部から連設され、略円弧状を呈する辺部24eと、一対の辺部24eの辺部24dとは反対側の端部間に形成された直線状の辺部24fとにより囲まれた形状を呈している。なお、上側領域24においては、辺部24b〜辺部24eは一対ずつ設けられている。上側領域24は、折れ線C20の延長線を介して、本体部24−1と爪部24−2とに区画され、爪部24−2は、本体部24−1の両側の端部から下方に突出して形成されている。つまり、上側領域24が、折れ線C20よりも折れ線C11側に突出して形成された爪部24−2を上側領域24の横方向両側の端部領域(Y1側の端部領域とY2側の端部領域)に有している。なお、爪部24−2は、辺部24bと辺部24cと辺部24d(辺部24dの一部)と折れ線C20の延長線により囲まれた領域である。
ここで、辺部24aは、下側領域22と上側領域24間の折れ線C20と一致して形成されている。また、辺部24bは、辺部24aの端部から形成された略円弧状の辺部24b−1と、略円弧状の辺部24b−1の辺部24aとは反対側の端部から連設された直線状の辺部24b−2とを有し、略円弧状の辺部24b−1は、辺部24a側の端部位置では下方に形成され、辺部24c側にいくほど外側横方向(一対の辺部24a−1において、正面側の辺部24a−1は、正面側への横方向、背面側の辺部24a−1は、背面側への横方向)に向けてカーブしている。なお、ここでいう外側横方向における「外側」とは、側面部20における外側を意味する。
なお、下側領域22と上側領域24間に形成された切込みK11は、折れ線C20の端部と側面部20の側端の間に形成され、切込みK11は、側面部20の外側の端部(側面部20の側端)から直線状に形成された直線状部K11−1と、直線状部K11−1の内側の端部から形成され、折れ線C20側にいくほど上側に向けてカーブした円弧状部K11−2とを有している。なお、直線状部K11−1は、側面部20の外側から内側にいくに従い上側となるように、折れ線C11に対して傾斜して形成されている。また、円弧状部K11−2は、切込みK11における内側への破断を防止するために形成されている。爪部24−2は、切込みK11を介して下側領域22と隣接している。
また、辺部24cは、爪部24−2の先端(つまり、辺部24bと辺部24dとにより形成される角部の先端)に形成され、該爪部24−2の先端に丸みを形成している。なお、辺部24cは、辺部22bの延長線よりも内側に形成されている(つまり、トレー5の展開状態では、辺部24cは、辺部22bの延長線よりも内側に形成されている)。また、トレー5の組立て状態(特に、通常状態(後述))において、爪部24−2の先端は、側面部30の内側の面と前後方向(Y1−Y2方向)に間隔を介して形成されている。
また、辺部24dは、トレー5の展開状態で、辺部22b(つまり、折れ線C41)の延長線よりも内側に形成され、辺部24dと該延長線間には、隙間S1が形成されている。また、トレー5の組立て状態(すなわち、組立て状態における通常状態(後述))において(通常状態では、側面部20は、折れ線C20を介して折曲されておらず平板状の状態となっている)、辺部24dは、側面部30の内側の面と略平行に形成され、辺部24dは、側面部30の内側の面と間隔S2を介して形成されている(図4参照)。つまり、上側領域24の両側の辺部24d(上側領域の第2側面部側の辺部)は、側面部30の内側の面よりも内側に間隔S2を介して設けられている。これにより、上側領域24を下側領域22に対して回動させる際に、上側領域24が側面部30に接触して、上側領域24の回動に支障を来すことがない。
また、辺部24fは、折れ線C11、C20と平行(略平行としてもよい)に形成されている。辺部24fは、側面部20の上辺とともに、上側領域24の上辺となる。
また、上側領域24の折れ線C20の方向の長さ(最大長さ)は、底面部10の折れ線C11、C12の方向の長さよりも長く形成されている。
また、右側面側の側面部20は、左側面側の側面部20とは左右対称に形成されている以外は同様の構成であるので、詳しい説明を省略する。
また、側面部(第2側面部)30は、前後両側の辺部(Y1側の辺部とY2側の辺部)から折れ線(第3折れ線)C13、C14を介して連設され、正面側(Y1側)の側面部30と背面側(Y2側)の側面部30とは前後対称である以外は同一の構成であるので、正面側の側面部30を例にとって説明すると、側面部30は、台形形状に形成され、底面部10の正面側の辺部と一致して形成された直線状の辺部30aと、辺部30aの両側の端部(すなわち、底面部10の正面側の2つの角部)から形成された直線状の辺部30bと、一対の辺部30bの辺部30aとは反対側の端部間に形成された直線状の辺部30cとにより囲まれた形状を呈している。なお、側面部30においては、辺部30bは一対設けられている。
ここで、辺部30aは、底面部10と側面部30間の折れ線C13と一致して形成されている。また、一対の辺部30bは、該一対の辺部30b間の間隔が辺部30aから離れるに従い長くなるようにテーパ状に形成されている。つまり、辺部30aと辺部30b間の角度α13は、鈍角を形成する。なお、角度α11と角度α13とは、同一(略同一としてもよい)に形成されている。
また、側面部30の折れ線C13と直角方向の長さL30は、側面部20の折れ線C11と直角方向の長さL20よりも短く形成されるとともに、下側領域22の折れ線C11と直角方向の長さL22よりも長く形成されていて、これにより、トレー5の組立て状態(すなわち、組立て状態における通常状態(後述))において、図4に示すように、高さ方向において、側面部30の上辺(辺部30c)は、側面部20の上辺(辺部24f)よりも低い位置にあるとともに、折れ線C20よりも高い位置にある。これにより、上側領域24を下側領域22に対して回動させて、上側領域24を底面部10に対して平行にして水平方向にした場合(つまり、積重ね可能状態(後述)の場合)には、側面部30の上端は、図11に示すように、上側領域10よりも高い位置にある。
また、折込み片部40は、側面部20と側面部30間に折れ線を介して連設され、具体的には、折込み片部40は、側面部20における下側領域22の辺部22bから折れ線(第4折れ線)C41を介して連設されるとともに、側面部30における辺部30bから折れ線(第5折れ線)C42を介して連設されている。
折込み片部40は底面部10の角部に応じて4つ設けられ、前後方向に位置する折込み片部40は互いに前後対称であり、左右方向に位置する折込み片部40は互いに左右対称となる以外は同様の構成であるので、正面及び左側面側の角部に位置する折込み片部40を例にとって説明すると、図5、図7等に示すように、折込み片部40は、底面部10の角部から形成された折れ線(第6折れ線)C43を介して区画され、折れ線C43よりも側面部20側の領域が内側片部42となり、折れ線C43よりも側面部30側の領域が外側片部44となる。なお、折れ線C41と折れ線C43間の角度は、折れ線C42と折れ線C43間の角度と同一であり、トレー5の展開状態において、折れ線C43と折れ線C11間の角度(鈍角)と折れ線C43と折れ線C13間の角度(鈍角)とは、同一(135度)に形成されている。
ここで、内側片部42は、折れ線C41と一致した直線状の辺部42aと、折れ線C43と一致した直線状の辺部42cと、辺部42aの上端(底面部10の角部側とは反対側の端部)と辺部42cの上端(底面部10の角部側とは反対側の端部)間に形成された直線状の辺部42bとにより囲まれた形状を呈し、この辺部42bは、トレー5の組立て状態(通常状態及び積重ね可能状態(後述))において、切込みK11の直線状部K11−1と平行(略平行としてもよい)となる。つまり、高さ方向において、辺部42bは、直線状部K11−1の下側に位置し、爪部24−2の切込みK11−1に沿った辺部24b−1は、内側片部42の上辺である辺部42bよりも高さ方向において上側に位置していて、爪部24−2は、上側領域24が回動させる際に爪部24−2が内側片部42に接触しないように、内側片部42よりも高さ方向において上側に位置している。つまり、通常状態において、爪部24−2は、横方向において、内側片部42と対向せず外側片部44と対向し(例えば、図4に示すように、側面部20の内側から底面部10と平行な方向で折れ線C13、C14の方向から透視した場合に、内側片部42は爪部24−2と重なっていない。逆の方向(側面部20の外側)から透視した場合も同様である。)、上側領域24が下側領域22に対して回動した際には、爪部24−2は内側片部42と接触しないようになっている。なお、側面部20の面と直角の方向から透視した場合に、内側片部42は爪部24−2と重なっていないものとしてもよい。
また、外側片部44は、折れ線C42と一致した直線状の辺部44aと、辺部44aの底面部10の角部側とは反対側の端部から連設された直線状の辺部44bと、辺部44bの辺部44aとは反対側の端部から連設された直線状の辺部44cと、辺部44cの辺部44bとは反対側の端部から連設されるとともに、折れ線C43と一致した直線状の辺部44dとにより囲まれた形状を呈し、トレー5の組立て状態(通常状態及び積重ね可能状態(後述))において、辺部44bは、辺部44a側から辺部44c側にいくほど下側となるように傾斜し、辺部44cは、辺部44b側から辺部44d側にいくほど下側となるように傾斜し、水平方向(折れ線C11の方向)に対する傾斜角度は、辺部44cの方が辺部44bよりも大きくなっている。
外側片部44は、高さ方向において折れ線C20よりも上側の領域44−1を有している(図2参照)。
なお、トレー5の組立て状態(通常状態及び積重ね可能状態(後述))において、折込み片部40は、トレー5の外側から見て折れ線C43を介して山折りにされ、内側片部42が下側領域22の外側の面に接着されている。つまり、折れ線C41は、トレー5の外側から見て谷折りとなって、内側片部42が下側領域22の外側の面に接着し、外側片部44は、内側片部42の外側に位置している。なお、折れ線C42は、トレー5の外側から見て山折りとなっている。なお、内側片部42の下側領域22への接着に際しては、内側片部42の下側領域22側の全面が下側領域22に接着されたものとするのが好ましい。
また、背面及び左側面側の角部に位置する折込み片部40は、正面及び左側面側の角部に位置する折込み片部40と前後対称である以外は同様の構成であり、正面及び右側面側の角部に位置する折込み片部40は、正面及び左側面側の角部に位置する折込み片部40と左右対称である以外は同様の構成であり、さらに、背面及び右側面側の角部に位置する折込み片部40は、背面及び左側面側の角部に位置する折込み片部40と左右対称である以外は同様の構成であるので、詳しい説明を省略する。
4つの折込み片部40において、内側片部42が下側領域42の外側の面に接着されていることにより、2つの側面部20と2つの側面部30とが底面部10に対して立設した状態となっている。つまり、通常状態(下側領域22と上側領域24とを面一とした状態(つまり、側面部20を折れ線C20で折曲されておらず1枚の平板状とした状態)で、図1〜図3に示す状態)において、側面部20と側面部30の内側の面とは、底面部10の上面に対して鈍角をなし、2つの側面部20間の間隔は、上側にいくほど長くなり、2つの側面部30間の間隔は、上側にいくほど長くなる。つまり、トレー5においては、上方にいくほど横断面積が大きくなるように形成されている。
上記構成のトレー5の使用方法について説明する。まず、通常状態においては、トレー5は、図1〜図3に示すように構成されるので、積み重ねた状態で保管や運搬を行なうことができ、この通常状態では、上下に隣接するトレー5の底面部10は互いに近接した状態となっている。つまり、通常状態では、後述する積重ね可能状態と比べて、上下に隣接するトレー5の底面部10同士の距離が短くなっている。
この通常状態のトレー5においては、通常のトレーの場合と同様に、内部に被収納物を収納して使用する。通常のトレーの場合と比べると、側面部20の上端が側面部30の上端よりも上方に突出している以外は同様の構成であるので、トレー5を構成するいずれかの部分が突出して邪魔になることがない。特に、上側領域24を水平に係止するための部材である爪部24−2は、切込みK11を介して下側領域22と隣接しており、爪部24−2を含む側面部20は、全体に1枚のシート状に形成されているので、爪部24−2が突出して露出することがなく、よって、爪部24−2が邪魔になることがなく、また、爪部24−2が容易に損傷することがない。
次に、トレー5を積重ね可能状態にするには、上側領域24を該上側領域24から連設された下側領域22に対して内側に折曲し、爪部24−2を外側片部44に係止させて、上側領域24を底面部10に対して平行(略平行としてもよい)とする。すなわち、図8に示すように、側面部20に両手をつかんだ状態で、親指で上側領域24を内側に押し込むことにより上側領域24を下側領域22に対して内側に折り曲げる。すると、爪部24−2が外側に回動して、爪部24−2の先端(辺部24cの位置)が外側片部44に接触し、爪部24−2が回動するに従い、爪部24−2の先端が外側(下側領域22よりも外側)に徐々に突出する。すると、爪部24−2の下側領域22よりも外側への水平方向の長さが長くなるに従い(つまり、爪部24−2が水平方向に近づくに従い)、内側片部42が外側片部44に対して内側に回動し(つまり、外側片部44と内側片部42の折れ線C43を介した角度が大きくなる)、下側領域22が底面部10に対する直角方向となる方向に立ち上がってくる(つまり、下側領域22と底面部10間の鈍角の角度が小さくなり、直角に近くなる)。下側領域22は内側片部42と接着されているので、下側領域22が立ち上がってくるに従い、下側領域22が元の状態(通常状態における状態)に復帰しようとする力が強くなる。
その後、上側領域24が底面部10と平行な状態に近くなってくると、爪部24−2の先端が外側片部44に係止するようになり、上側領域24が底面部10と平行な状態に近くなるほど、爪部24−2先端の外側片部44への係止が強くなり、上側領域24が底面部10と平行になった位置(上側領域24が水平方向となった位置)で、爪部24−2はの先端は最も外側に突出するので、爪部24−2が、最も強い力で係止し、爪部24−2を強い力で固定することができる。
特に、上側領域24を底面部10と平行な位置(つまり、水平状態)でよりもさらに内側に回動させることにより、爪部24−2の先端を折れ線C20よりも高さ方向において若干上側に位置させた状態で、上側領域24を回動させた手を離すと、爪部24−2は復帰しようとして、爪部24−2は、上側領域24が水平の状態で固定される。
以上のように、上側領域24を水平方向(略水平方向としてもよい)にすることにより、図9〜図11に示す状態なり、トレー5を積重ね可能状態とすることができる。
積重ね可能状態では、爪部24−2は外側片部44に内側から接し、爪部24−2は、外側片部44と上側領域24の本体部24−1の間に存在するので、爪部24−2は突出して露出することがなく、よって、爪部24−2が邪魔になることがなく、また、爪部24−2が容易に損傷することがない。
積重ね可能状態では、上側領域24が底面部10と平行(略平行としてもよい)となっているので、上側領域24の上に他のトレー5の底面部10を載せることにより、図12に示すように、2つのトレー5を積み重ねることができる。つまり、2つの上側領域24が、他のトレー5の底面部10を載置するための台部となる。
なお、トレー5においては、上方にいくほど横断面積が大きくなるように形成されていて、また、上側領域24の折れ線C20の方向の長さ(最大長さ)は、底面部10の折れ線C11、C12の方向の長さよりも長く形成されているので、上側のトレー5を下側のトレー5に積み重ねる際に上側のトレー5の位置を厳密にする必要がなく、トレー5を容易に積み重ねることができる。
また、側面部30の上端は折れ線C20よりも高い位置にあり、外側片部44は、高さ方向において折れ線C20よりも上側の領域44−1を有しているので、積重ね可能状態においては、側面部30と外側片部44が上側領域44よりも上方に突出し、上側に積み重ねたトレー5は、前後方向にスライドした場合には側面部30に接触し、左右方向にスライドした場合には外側片部44に接触し、上側のトレー5が下側のトレー5から脱落するのを防止することができる。
また、側面部20の上辺(辺部24f)は、側面部30の上辺(辺部30c)よりも高い位置にあるので、上側領域24の折れ線C20から辺部24fまでの長さを長く確保することができ、上側領域24が、上側のトレー5を載置するためのスペースを十分確保することができる。
なお、積重ね可能状態では、下側領域22は底面部10に対して直角(略直角としてもよい)となるようにするのが好ましい。つまり、下側領域22は底面部10に対して直角(略直角としてもよい)とすることにより、水平方向の上側領域24の底面部10に対する高さ方向の長さを長く確保できるので、トレー5を積み重ねた場合の収納空間を大きく確保することができるとともに、下側領域22が底面部10に対して内側に傾斜することにより被収納物に接触するおそれを防止することができる。
積重ね可能状態のトレー5の上にトレー5を積み重ねることにより、通常状態のトレー5を積み重ねた場合に比べて、下側のトレー5の底面部10と上側のトレー5の底面部10間の長さを長く確保することができ、下側のトレー5に収納空間を確保した状態で、トレー5を積み重ねることができる。
なお、実際には、通常状態のトレー5(1番目のトレー5とする)に被収納部を収納し、その後、上側領域24を下側領域22に対して折曲して積重ね可能状態とし、その後、通常状態のトレー5(2番目のトレー5とする)を1番目のトレー5に積み重ねた状態で、被収納物を収納して、該2番目のトレー5を積重ね可能状態にするという操作を繰り返して、トレー5を積み重ねていけばよい。なお、通常状態のトレー5を積重ね可能状態のトレー5に積み重ねた状態で被収納物を収納するとしたが、被収納物を収納した後に積重ね可能状態としたトレー5を積み重ねてもよい。また、被収納物を収納してから上側領域24を折曲して積重ね可能状態とするとしたが、積重ね可能状態としてから被収納物を収納してもよい。
以上のように、本実施例のトレー5によれば、通常状態及び積重ね可能状態において、爪部24−2(つまり、側面部20の一部を水平に係止するための部材)が邪魔になることがなく、また、爪部24−2が容易に損傷することがない。これに対して、特許文献2における切欠き9の上側部分や係止用つめ11は、外側に露出して突出しているので、邪魔となり(つまり、通常の使用に際して、手、周辺物品(棚、テーブル等)にぶつける可能性があり、邪魔となる)損傷のおそれがあるが、本実施例における爪部24−2はそのようなおそれがない。
また、上側領域24は、積重ね可能状態では、内側に突出した状態にはなるが、トレー5の外側に突出するものではないため、邪魔にはならない。これに対して、特許文献1のフランジ3は、フランジ3を水平にした状態では、外側に突出するので、邪魔となる(つまり、通常の使用に際して、手、周辺物品(棚、テーブル等)にぶつける可能性があり、邪魔となる)。
また、爪部24−2の先端を外側片部44の内側の面に係止させることにより、爪部24−2を底面部10と平行に固定するので、爪部24−2を強く固定させることができる。つまり、上側領域24は折れ線C20を回動軸として回動し、爪部24−2が係止する外側片部44は折れ線C20と略平行な面であることから、爪部24−2の先端(回動軸である折れ線C20の側から見て反対側)が外側片部44に係止されるため、爪部24−2の先端と外側片部44とを強固に係止させることができる。つまり、上記特許文献1ののトレー状容器の場合に比べて、上側領域24(他のトレー5を載置する部材)を強固に係止させることができる。
また、爪部24−2が折れ線C20と直角の方向に突出する長さを長くすることにより、爪部24−2を強く外側片部44に係止させることができる。なお、爪部24−2の突出長さを必要以上に長くしてしまうと、内側片部42と下側領域22との接着が剥がれてしまうおそれや、下側領域22が底面部10に対して内側に傾斜してしまうおそれがある(下側領域22が内側に傾斜すると、下側領域22が被収納物に接触するおそれがあり、水平方向の上側領域24の高さが低くなってしまうおそれがある)ので、爪部24−2の突出長さは、積重ね可能状態で下側領域22が底面部10に対して直角(略直角としてもよい)となるように定めるのが好ましく、また、内側片部42と下側領域22との接着が剥がれることがないように定めるものとする。
また、積重ね可能状態において、上側領域24(水平とされた側面部20の一部)は、トレー5の外側に突出することがないので、水平とされた部分が邪魔になることがない。
また、側面部20において、下側領域22と上側領域24とは、折れ線C20と切込みK11により区画された構成であるので、側面部20を通常のトレーと同様の見栄えとすることができ、トレー5全体としても、側面部20が側面部30よりも突出している以外は、通常のトレーと同様の見栄えとすることができる。また、側面部20は、下側領域22と上側領域24とは、折れ線C20と切込みK11により区画された構成であるので、側面部20の製造コストは大きくなく、トレー5全体としても製造コストが大きくない。