JP6180696B2 - 電力変換装置 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体デバイスをスイッチング素子に使用した電力変換装置に関するもので、特に、非対称波形の信号をキャリア信号として使用する電力変換装置に関するものである。
従来から、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)や金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)やサイリスタといった半導体デバイスをスイッチングさせることにより入力電力を任意の形態の出力電力へと変換する電力変換装置が、様々な用途で使用されている。
この電力変換装置において、入出力電力に歪が含まれていると、機器類の騒音や振動の原因となるため、この入出力電力の歪を抑制する対策が行われてきた。この一つとして、パルス幅変調方式が用いられ、高速に制御を行い、出力をできるだけ正弦波に近づけるようにしている。また、ここでは、スイッチング信号を生成するために、キャリア比較方式という手法が行われている。
このキャリア比較方式とは、キャリア信号あるいは搬送波と呼ばれる高周波信号と、電圧または電流による指令値とを比較してスイッチング信号を決定するもので、具体的には、キャリア信号よりも指令値が、大きい場合には、スイッチング信号を「ハイ」とし、小さい場合にはスイッチング信号を「ロウ」とするものである。
このキャリア信号には、通常、対称三角波が用いられている。この「対称三角波」とは、特に、最大値から最小値に単調減少するのに要する信号減少期間と、最小値から最大値に単調増加するまでの信号増加期間が等しい左右対称な三角波波形である。
対称三角波を使用する理由は、対称三角波の持つ高調波成分と非対称三角波の持つ高調波成分との比較から、前者に比べて後者の方が、低次高調波が多くなるからである。
しかし、対称三角波を生成する回路構成よりも、非対称三角波を生成する回路構成の方がシンプルであるため、対称三角波に代えて、信号増加期間と信号減少期間が等しくない三角波波形、すなわち「非対称三角波」を使用することが考えられるが、非対称三角波をキャリア信号として用いた場合には、低次高調波が出力の歪を引き起こすことから、特許文献1に提案されている内容のように、非対称三角波を使用するにしても、非対称三角波をそのまま指令値との比較信号として使用するのではなく、鋸歯波形の信号に補正を加えて対称三角波に整え、この整った対称三角波をキャリア信号とし、指令値との比較を行うようにしたもので、非対称三角波をそのままキャリア信号として使用するものではなかった。
特許第3326790号公報
従来の電力変換装置では、非対称波形の信号をキャリア信号として使用した場合には高調波の問題が想定されることから、キャリア信号として対称三角波を使用することが当然と考えられていたため、非対称波形の信号をキャリア信号として使用するような電力変換装置は検討されていなかった。
この発明は、非対称波形の信号をキャリア信号として使用し、出力波形の高調波を抑制できる電力変換装置を提供することを目的とするものである。
本発明の電力変換装置は、半導体デバイスのスイッチング動作によって電力変換を行う電力変換回路、キャリア信号が最大値から最小値へと変化するのに要する信号減少期間と最小値から最大値へと変化するのに要する信号増加期間が異なる非対称波形のキャリア信号を発生する非対称キャリア信号発生手段、指令値を発生する指令値発生手段、前記非対称キャリア信号発生手段からの前記非対称キャリア信号と前記指令値発生手段の前記指令値を受け、前記指令値を前記非対称キャリア信号に基づいて補正して補正後指令値を出力する指令値補正手段、および前記指令値補正手段からの前記補正後指令値と前記非対称キャリア信号とを比較して前記電力変換回路の前記スイッチング動作のゲート信号を決定する比較手段を備えたものである。
この発明による電力変換装置によれば、除去したい次数の高調波信号が重畳されるように指令値を補正してから非対称キャリア信号によりパルス幅変調を行うことにより、歪の小さい出力波形を得ることが可能である。このため、非対称波形の信号をキャリア信号として用いても、電力変換装置の出力電力の波形の高調波を抑制できる。
この発明の実施の形態1の電力変換装置を示す構成図である。 この発明の実施の形態1に対する比較例の電力変換装置の構成を示す構成図である。 この発明の実施の形態1の電力変換装置の動作状態を示す信号波形図である。 この発明の実施の形態1に対する比較例の電力変換装置の動作状態を示す波形図である。 この発明の実施の形態1の電力変換装置においてキャリア信号として鋸歯波形の信号を使用した場合のキャリアスペクトルを示す図である。 対称三角波と非対称三角波のフーリエ係数を比較した図である。 この発明の実施の形態2に係る電力変換装置の構成図である。 この発明の実施の形態3に係る電力変換装置の構成図である。 この発明の実施の形態3に係る電力変換装置の高調波参照手段の振幅スペクトルの説明図である。 この発明の実施の形態3に係る電力変換装置の高調波電圧歪補正手段の効果を示す説明図である。 この発明の実施の形態4の電力変換装置の構成図である。 この発明の実施の形態5の電力変換装置の構成図である。 この発明の実施の形態6の電力変換装置の構成図である。 この発明の実施の形態7に係る電力変換装置の構成図である。 この発明の実施の形態7に係る相電流復元方法の原理を説明する説明図である。
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1による電力変換装置を、図1に基づいて説明する。
図1は、実施の形態1に係る電力変換装置110の概略的な構成図であって、パルス幅変調制御を実現するキャリア比較方式の構成を表している。
この電力変換装置110には、半導体デバイスをスイッチング素子に使用した電力変換回路3を備えており、電力変換回路3には比較手段5が接続され、比較手段5から電力変換回路3に、スイッチング動作を制御するゲート信号が供給される。
比較手段5は、キャリア比較方式によってゲート信号を生成するもので、比較手段5には、非対称キャリア信号発生手段4と指令値補正手段16が接続されている。また、指令値補正手段16には所望の波形の指令値を供給する指令値発生手段15が接続されている。指令値発生手段15から所望の波形の指令値信号が指令値補正手段16に供給され、この指令値補正手段16において指令値信号は補正され、補正後指令値信号が生成される。この補正は、非対称キャリア信号発生手段4において生成される非対称三角波の状態に応じて行われる。
この発明の実施の形態1と従来の技術との相違を明確にするために、従来技術の概略的な構成を図2に示す。図2に示す構成は、従来のパルス幅変調制御を実現する電力変換装置で、図において、同一又は相当する部分には同じ符号を付けている。図に示すように、本願発明と異なっているところは、比較手段5に接続されている構成である。すなわち、この図2に示すものでは、比較手段5には、対称キャリア信号発生手段140と指令値発生手段15が接続され、対称キャリア信号発生手段140から対称三角波信号がキャリア信号として供給され、指令信号がそのまま指令値発生手段15から供給されている。
この図1と図2とを比較すれば明らかなように、本願発明ではキャリア信号として非対称波形の信号を使用して、その非対称キャリア信号の状態に応じて指令値信号に補正を加えて補正後指令値信号を生成し、補正後指令値信号とキャリア信号とを比較するようにしている。
図1に示した実施の形態1の動作状態を信号波形図によって表すと図3の通りである。
図3(a)は、信号の状態を表しており、図において、aはキャリア信号であって、非対称三角波信号である。bは所望の電圧波形の指令値信号である。cは指令値信号bに非対称三角波信号aの2次高調波を重畳した補正後指令値信号を表している。なお、図3(a)中の階段状の波形は、補正後指令値信号cをゼロ次ホールドした信号を表している。図3(b)は、図3(a)に示した非対称三角波信号aと補正後指令値信号cとを用いてパルス幅変調制御して得られた出力信号(ゲート信号)を表している。図3(c)は、図3(b)に示した出力信号を周波数解析した結果であって、ここに示す通り、指令値信号に対して補正を行ったことにより2次高調波スペクトルがほとんど立っていない。この例では、2次高調波だけを指令値に重畳してから変調を行ったが、他の次数の高調波を抑制したい場合にはその次数の高調波を指令値に重畳すれば良い。次数の異なる2つ以上の高調波を同時に重畳することももちろん可能である。この方法では、重畳する高調波の振幅と位相が極めて重要であるが、これを求めることはさほど難しくない。
図2に示した比較例における信号の状態を、図3と同様に、図4に示す。
図4(a)は、信号の状態を表しており、a0は、キャリア信号であって、対称三角波信号である。bは、所望の電圧波形の指令値信号である。なお、図4(a)中の階段状の波形は、補正後指令値信号cをゼロ次ホールドした信号を表している。図4(b)は、図4(a)に示した対称三角波信号a0と指令値信号bとを用いてパルス幅変調制御して得られた出力信号(ゲート信号)を表している。図4(c)は、図4(b)に示した出力信号を周波数解析した結果であって、ここに示す通り、出力波形にキャリア波のスペクトルが含まれているものの、低次高調波のスペクトルはほとんど立っていない。これは対称三角波が偶数次のスペクトルを持っていないためである。
この対称三角波信号に対して、非対称三角波の一種である鋸歯波形信号をキャリア信号として用いてパルス幅変調制御を行った場合の出力信号を周波数解析した結果を、図5に示す。図5に示すように、キャリア周波数と指令値の振幅および周波数を、図4に示した場合と同条件としたにも関わらず、鋸歯波形信号の場合には、2次高調波(2f)スペクトルが顕著に大きくなっており、さらに3次高調波(3f)スペクトルも増加している。キャリア周波数と指令値の周波数が接近した場合や、キャリア振幅と指令値の振幅の比率である変調度が大きくなった場合には、これらの高調波スペクトルが大きくなる。
実施の形態1と比較例から理解できるように、キャリア信号に使用する信号によっては高調波が存在し、この高調波によって騒音などの問題が発生することから高調波の少ない状態のキャリアを使用するのが、比較例に示した構成であるのに対して、この実施の形態1においては、高調波の存在するキャリア信号であっても、指令値信号を補正することによって高調波による影響を抑制した出力電圧信号を形成できることが明らかである。
図6に、対称三角波と非対称三角波の持つ高調波成分の違いを示す。ここでは、対称三角波と三種類の非対称三角波のフーリエ係数を比較している。信号増加期間と信号減少期間の比率が1:1(対称三角波)(1)、1:3(2)、1:9(3)、1:無限大(鋸歯波形)(4)の四種類の波形のスペクトルを比べてみると、波形が左右対称に近いほうが基本波のスペクトルが大きく、高調波スペクトルも小さいことがわかる。このため、指令値信号の周波数がキャリア信号の周波数に対して十分低い場合を除いて、通常は、対称三角波信号をキャリア信号に用いることが好ましいことになる。しかし、予め高調波成分の存在を承知して、この高調波の存在するキャリア信号であることを前提として、指令値信号を補正し、補正後指令値信号を使用することによって高調波の影響を抑制した出力電圧信号を得ることができることになる。このことによって、設計の自由度が大きくなり、回路構成の原価低減に結び付けることができることになる。
実施の形態2
次に、実施の形態2として、指令値信号を補正する具体的な構成について説明する。
図7は、実施の形態2に係る電力変換装置の構成図である。図7において、図1に示した構成と各々同一又は相当部分にはそれぞれ同一の符号を付けて説明する。図7では、電力変換装置110として、電圧型単相インバータを示している。電力変換装置110は、電力変換回路3、電力変換回路3の制御装置100および上位コントローラ103を備えている。上位コントローラ103は電力変換回路3の制御装置100に対して、電圧や電流の指令値を送信する。負荷1がモータである場合には、上位コントローラ103は速度指令や位置指令を制御装置100へ与えることもある。電力変換装置110はこの指令値に基づいて動作する。
電力変換回路の制御装置100は、ハードウエアとして、非対称キャリア信号発生手段4、比較手段5、プロセッサ101およびメモリ102を備える。メモリ102は、図示していないが、ランダムアクセスメモリ等の揮発性記憶装置と、フラッシュメモリ等の不揮発性の補助記憶装置とを備えている。なお、メモリ102は、図示していないが、ランダムアクセスメモリ等の揮発性記憶装置と、不揮発性の補助記憶装置の代わりにハードディスク等の補助記憶装置とを具備してもよい。プロセッサ101は、メモリ102から入力されたプログラムを実行する。メモリ102が補助記憶装置と揮発性記憶装置とを具備するため、プロセッサ101に、補助記憶装置から揮発性記憶装置を介してプログラムが入力される。また、プロセッサ101は、演算結果等のデータをメモリ102の揮発性記憶装置に出力しても良いし、揮発性記憶装置を介して補助記憶装置に前記データを保存しても良い。
ここでは図示していないが、この装置はさらに電力変換回路に流れる電流を検出する電流検出手段や電力変換回路に印加されている電圧を検出する電圧検出手段を有しても良い。これらの電流検出手段や電圧検出手段によって取得した数値をプロセッサ101やメモリ102へ送信しても良い。
非対称キャリア信号発生手段4は非対称キャリア信号を発生する。なお、最大値から最小値に単調減少するのに要する信号減少期間と、最小値から最大値に単調増加するまでの信号増加期間が等しくない、左右非対称なキャリア信号を「非対称キャリア信号」と呼んでいる。非対称三角波の代表例は鋸歯波形である。
プロセッサ101は非対称キャリア信号によって生じる高調波を抑制するために電圧指令に補正を加えた補正後電圧指令を決定する。すなわち、前述の実施の形態1において示した指令値補正手段16に相当し、図示していないが、非対称キャリア信号発生手段4から発生された非対称キャリア信号に関する情報を入手して、補正後電圧指令を決定するものである。
比較手段5は非対称キャリア信号と補正後電圧指令を比較して、電力変換回路3のゲート信号を決定する。この実施例では、電力変換回路3は単相インバータ回路であるので、電源2の直流電圧を任意の電圧に変換して、負荷1へ印加するために、半導体スイッチ3a、3bを相補的にスイッチングする。プロセッサの入出力インターフェースには大容量の半導体スイッチをドライブする能力が備わっていないことも多いので、その場合にはゲートドライバ回路3cを用いる。図7では半導体スイッチ3a、3bをIGBTとしたが、これには発明を限定する意図はなく、パワートランジスタやFETでも良い。
実施の形態3
図8は、この発明の実施の形態3に係る電力変換装置の構成を示す図である。電力変換回路の制御装置100は、非対称キャリア信号発生手段4、比較手段5、高調波電圧歪補正手段6を備えている。図8に示した高調波電圧歪補正手段6は、図7に示したメモリ102に記憶されたプログラムを実行するプロセッサ101、または図示していないシステムLSI等の処理回路によって実現される。また、複数のプロセッサ101および複数のメモリ102が連携して前述の機能を実行しても良いし、複数の処理回路が連携して前述の機能を実行してもよい。また、複数のプロセッサ101および複数のメモリ102と、複数の処理回路との組み合わせにより連携して前述の機能を実行しても良い。
図8の高調波電圧歪補正手段6は、減算器6aと電圧指令から非対称キャリア信号によって発生する高調波を参照する高調波参照手段6bから構成され、電圧指令から高調波信号を差し引くことで補正後電圧指令を決定するもので、実施の形態1に示した指令値補正手段16に相当し、前の実施の形態において説明したように、非対称キャリア信号に関する情報を受けて電圧指令値を補正し、補正後電圧指令を決定するものである。
非対称キャリア信号を用いて正弦波状の指令値信号をそのままパルス幅変調すると、指令値信号の周波数がキャリア信号の周波数に接近した際に、出力信号に含まれる高調波が増大することは既に説明した通りであるが、このことを数式的に表現すると以下のように説明できる。
電圧指令Vrefが式(1)のように与えられ、非対称キャリア信号によって変調を行った場合、負荷1に印加される電圧Vloadは、式(2)のように表現できる。
Figure 0006180696
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ここで、Vfは電圧指令の振幅、ωは電圧指令の角周波数、θ1は電圧指令の位相、expはネピアの数を底とする指数関数、jは複素数、V2h、V3hは2次高調波および3次高調波の振幅、θ2、θ3は2次高調波および3次高調波の位相、Vcarrierはキャリアスペクトルの電圧の総和をそれぞれ表す。
指令値信号を予め歪ませてからパルス幅変調を行うことで、出力信号に含まれる高調波を除去することが可能であって、式(3)のように、電圧指令値の補正を行い、この補正後指令値Vref2を非対称キャリア信号によって変調する。式(3)では2次高調波成分の補正を行っており、これにより式(4)に示すように、負荷1に印加される電圧Vloadから2次高調波成分が除去されることになる。
Figure 0006180696
Figure 0006180696
なお、ここで、2次高調波の振幅V2hおよび位相θ2は、補正を行わなかった場合に負荷1に印加されるであろう電圧を基に決定することになる。
図9は、この発明の実施の形態3に係る電力変換装置において示した高調波参照手段6bの振幅スペクトルについて説明するための説明図である。これは正弦波信号をある非対称キャリア信号でパルス幅変調したときに発生する2次高調波の振幅スペクトルについて計算した結果の一例である。例えば、キャリア信号の周波数を5kHzとして、正弦波信号とキャリア信号の振幅比である変調率と正弦波信号の周波数を変化させていくと、パルス幅変調制御信号に含まれる2次高調波成分は図9のように変化する。
図9の計算では高速フーリエ変換のアルゴリズムを用いているが、高速フーリエ変換を行うと高調波の振幅スペクトルと位相スペクトルが同時に求まるので、求めた高調波信号を電圧指令から差し引いて補正を行う。この図9のような計算結果を計算機シミュレーションで得ることによって、実施の形態3では、図9に示される計算結果をもとに電圧指令値信号の補正を行っている。
図8の高調波参照手段6bは、例えば、図9に示される計算結果を、例えば、実施の形態2に示したメモリ102のような記憶装置に格納したルックアップテーブルで、電圧指令値信号の周波数と変調率をもとに非対称キャリア信号によって生じる高調波成分を参照して、減算器6aへ高調波成分を補正信号として出力する。減算器6aにおいて電圧指令値から補正信号すなわち前記高調波成分を差し引くことで、電圧指令値を予め歪ませる補正を行う。補正後電圧指令を非対称キャリア信号によりパルス幅変調することで、結果的に負荷1に印加される電圧からは高調波歪が除去される。
図10は、この発明の実施の形態3に係る電力変換装置110の高調波電圧歪補正手段6の効果を示す説明図で、本発明を実施した場合の出力信号をフーリエ変換した結果についてまとめたものである。図9では条件によっては基本波振幅の大きさの10%を超える2次高調波歪が発生していたが、本発明を実施することにより、出力信号の2次高調波歪を1%程度まで抑えこむことが可能となる。
このように、この発明の実施の形態3では、キャリア信号に非対称三角波を用いても、出力波形の高調波を抑制でき、非常に簡単な手段で非対称キャリア信号のデメリットである高調波に関する問題を解決することができる。また、ここでは単純な正弦波信号を非対称キャリア信号でパルス幅変調した場合について説明したが、電圧形三相インバータ回路では電圧利用率を改善するために、正弦波信号に3次高調波信号を重畳することもでき、高調波スペクトルを計算し直して、指令値信号を補正すれば、実効のある対応が可能になる。
実施の形態3では、電圧指令の補正を行うために事前に高調波スペクトルを計算し、ルックアップテーブルへ格納することについて説明したが、計算機の演算性能に余裕があるのならば、実施の形態2のプロセッサ101内部でリアルタイムに高調波スペクトルを計算しても良い。非対称キャリア信号の周波数や信号増加期間と信号減少期間の比率が頻繁に変更するようなケースでは、メモリ102に格納しておくべきデータ量が増えてしまうので、プロセッサ101内部でリアルタイムに高調波スペクトルを計算したほうが良い場合もあり得る。
実施の形態4
図11は、この発明の実施の形態4の電力変換装置110の構成図である。実施の形態3との相違点として、高調波電圧歪補正手段6は、減算器6aと、電圧指令を非対称キャリア信号によってパルス幅変調する比較手段6dと、この比較手段6dによって生成されたパルス列をフーリエ変換して高調波スペクトルを計算する高調波演算手段6cから構成されているところである。この高調波電圧歪補正手段6においては、電圧指令から高調波信号を差し引くことで補正後電圧指令を決定している。
高調波スペクトルを計算する方法としては、一例としては、パルス幅変調の結果得られるパルスを実際にフーリエ変換する方法がある。その他には、複素二重フーリエ級数やスイッチング関数を用いる計算法がある。実際には、パルスを実際にフーリエ変換するほうが簡単に高調波を求められるので、この高調波演算手段6cでは単に高調波を演算して出力するものとする。
ここでは、非対称キャリア信号発生手段4の出力と電圧指令とを比較手段6dにおいて比較してパルス幅変調の出力を得て、この出力信号に基づいて高調波演算手段6cにおいて高調波を演算して高調波信号を算出し、減算器6aにおいて、算出された高調波信号を電圧指令信号から差し引いて補正後指令信号を生成している。実施の形態3では、高調波参照手段6bを使用して、高調波を設定していたのに対して、ここでは、高調波演算手段6cにおいてリアルタイムに計算することによって高調波を算出している。このため、キャリア信号波形が頻繁に変更されたとしても、保存するデータ量を少なくすることができる。
実施の形態5
実施の形態2から4ではフィードフォワード制御的な構成を示したが、フィードバック制御で非対称キャリア信号による高調波歪を抑制することも可能である。
図12は、この発明の実施の形態5に係る電力変換装置の構成図である。図12では電流検出手段7を新たに備え、電流検出手段7によって得られる検出電流または検出電圧から、非対称キャリア信号によって生じる高調波電流歪を、高調波抽出手段6eで抽出し、これをもとに電圧指令に対して補正を加える構成となっている。具体的な高調波の抽出方法としてはフーリエ変換を使う方法を使用できる。
電流検出手段7の代わりに電圧検出手段を備えても良い。もちろん、電流検出手段7と電圧検出手段の両方を備えても良く、電力変換回路3の電圧と電流の両方を用いて電圧指令に補正を加えても良い。補正値は、高調波電圧歪補正手段6の中に設けた制御手段6fにおいて決定するが、これは例えばPID制御器により構成する。PID制御器は、eを偏差として、指令値rと検出値xの偏差eが零になるように、制御量yを自動調整する制御器の一種である。PID制御器の制御式は一般に式(5)および式(6)によって表される。
Figure 0006180696
Figure 0006180696
ここで、Kpは比例ゲイン、KIは積分ゲイン、KDは微分ゲインである。PID制御器ではゲインを変更することによって指令値への収束の早さや安定性が変化する。ゲインの調整法については様々な方法が提案されている。
例えば、電流検出手段7と高調波抽出手段6eにより、負荷1に流れる電流に含まれる2次高調波の余弦成分I2cと正弦成分I2sが分かった場合(これは電流に含まれる2次高調波の振幅と位相が分かったということに相当する)の制御手段6fの構成法について詳述する。これらの2次高調波は両方とも零になるのが望ましいのだが、電圧指令に補正を加えることにあたり、電圧指令にどのような2次高調波を重畳するかが問題になる。
負荷1のインピーダンスが既知であれば、重畳すべき2次高調波電圧を逆算することは容易である。しかし、インピーダンスが未知の場合や温度変動などの外乱要因によってインピーダンスが変動する場合は、そういった手段を取ることができない。
このような場合に関しては、二つのPID制御器を用いて補正電圧を決定するのが良い。一つ目のPID制御器は2次高調波電流の余弦成分I2cを零にするためものであり、重畳する2次高調波電圧の余弦成分を決定する。二つ目のPID制御器は正弦成分I2sを零にするためのものであり、重畳する2次高調波電圧の正弦成分を決定する。余弦成分と正弦成分が判れば、式(3)に示される2次高調波の振幅V2hと位相θ2を計算することができるので、あとは実施の形態2および3と同様の補正を加えれば良い。
この方法は、電流や電圧を検出しながら、高調波歪が小さくなるように指令値を操作するので、非対称キャリア信号以外にも高調波歪が増大する外乱要因があるような場合にも有効である。
実施の形態6
実施の形態2および3では、フィードフォワード補償とフィードバック補償を個別に説明してきたが、もちろん、フィードフォワード補償とフィードバック補償を併用することも可能である。
図13は、この発明の実施の形態6の電力変換装置の構成図である。図13では、電流検出手段7と高調波電圧歪補正手段6を備えており、高調波電圧歪補正手段6の内容として、高調波参照手段6b、高調波抽出手段6eおよび制御手段6fを備え、実施の形態3で説明したフィードフォワード補償と、実施の形態5で説明したフィードバック補償の両方を行っている。すなわち、実施の形態3において説明したように、指令信号に基づいてこの二通りの制御系を組み合わせて使用することにより指令信号の補正をより確実に行うことができるため、高調波をより効果的に低減することが可能となる。
実施の形態7
図14は、この発明の実施の形態7に係る電力変換装置の構成を示す図である。
この実施の形態7は、前述の実施の形態1から6に説明した非対称キャリア信号を使用したパルス幅変調を行う電力変換装置を使用し、さらに、1シャント電流検出を行うようにしたものである。このため、多相電力変換回路31は直流電力と多相交流電力とを双方向に供給可能なDC−AC変換器であり、直流母線側に流れる直流母線電流を検出する直流母線電流検出手段7bと、DC−AC変換器のスイッチングパターンと前記直流母線電流から多相交流側に流れる多相交流電流を復元する相電流復元部8を備えている。
すなわち、図14に示すように、第一の電圧指令作成手段9において、別途供給される電流指令および周波数指令に基づいて第一の電圧指令が作成される。この第一の電圧指令は、高調波電圧歪補正手段6において、高調波による電圧歪分が補正されて補正後の第一の電圧指令が設定される。
一方、第二の電圧指令作成手段10においては、多相交流電流を復元するために必要な電流検出待ち時間が確保された第二の電圧指令を出力する。
そして、補正後の第一の電圧指令と、確実に電流を復元するために用意された第二の電圧指令を交互に出力するにあたって、非対称キャリア信号の信号増加期間と信号減少期間のうち、長い方の期間で第一の電圧指令を出力し、短い方の期間で多相交流電流を復元するために必要な電流検出待ち時間が確保された第二の電圧指令を出力するように構成している。
負荷に供給される電力を制御するのは前述の第一の電圧指令の役割だが、インバータの最終的な出力電圧は第一の電圧指令と第二の電圧指令の両方を加味した時間平均によって決定される。多くの場合、第一の電圧指令と第二の電圧指令のベクトルの方向は一致しないため、前述の第二の電圧指令を出力する期間が長ければ長いほど、インバータが出力可能な最大電圧は減少する。
この実施の形態7では非対称キャリア信号を用いることで、第二の電圧指令の出力期間を極力短くし、電源電圧の利用率を向上させている。
この実施の形態7においては、多相モータ1bを負荷として、この多相モータ1bを所望の状態に駆動するため、多相電力変換回路31のスイッチング動作をゲートドライバ回路3cによって制御するとともに、直流母線電流検出手段7bにより検出した直流母線電流と多相電力変換回路31のゲート信号から、多相モータ1bに流れる相電流を復元する。相電流の復元は相電流復元部8で行う。
第一の電圧指令は、多相モータ1bの相電流の振幅および周波数を所望の値に制御するための指令信号で、電流指令および周波数指令に基づいて第一の電圧指令作成手段9において決定される。この決定は、例えばベクトル制御のような、一般的な電流制御法で決定することができる。この第一の電圧指令は、高調波電圧歪補正手段6によって補正され、補正後の第一の電圧指令が生成される。そして、電圧指令選択手段11では、補正後の第一の電圧指令と第二の電圧指令のどちらの電圧指令を比較手段5へ送信するか選択する。
補正後の第一の電圧指令が比較手段5に送られると、非対称キャリア信号発生手段4からの非対称キャリア信号により、ゲート信号が決定され、多相電力変換回路31が動作して、多相モータ1bに電力が供給されて駆動される。
第二の電圧指令が比較手段5に送られると、比較手段5から多相電力変換回路31と相電流復元部8に対して直流母線電流の検出の指令が出される。
つぎに、この実施の形態7における相電流復元の基本的な仕組みについて説明する。
電圧形三相インバータの上下スイッチは基本的には相補的に動作する。つまり、多相電力変換回路31の、上側のスイッチがオンのときは下側のスイッチがオフ、下側のスイッチがオンのときは上側のスイッチがオフとなる。また、電圧形三相インバータの電流経路は、ゲート信号によって決定され、例えば、u相上側のゲート信号がオン、v相上側およびw相上側のゲート信号がオフであった場合、インバータは、V1という電圧ベクトルを出力するが、インバータの直流母線部に流れる電流は、三相モータのu相電流に等しくなる。したがって、電圧ベクトルV1を出力しているときに直流母線電流を検出すると、u相電流の値を得ることができる。また、u相上側およびv相上側のゲート信号がオン、w相上側のゲート信号がオフであった場合、インバータはV2という電圧ベクトルを出力するが、インバータの直流母線部に流れる電流は三相モータのw相電流に等しくなる。
したがって、電圧ベクトルV2を出力しているときに直流母線電流を検出すると、w相電流の値を得ることができる。電圧形三相インバータにおいてスイッチの状態の組合せは8通り存在するが、そのうちの6種類の組合せではいずれかの相の電流を検出可能である。相電流の検出が不可能なスイッチの組合せは、u相上側、v相上側、w相上側のゲート信号がすべて同じとなる組合せで、上側スイッチが全てオフとなる場合と、全てオンとなる場合の2種類がある。このときに出力される電圧ベクトルはそれぞれV0、V7と呼ばれるが、V0もしくはV7が出力されている場合、モータに流れる相電流はモータ内を還流するので、基本的にインバータの直流母線部に電流は流れない。そして、2相分の相電流が復元できれば、もう一相の電流はキルヒホッフの電流則によって計算することが可能である。このことを利用して、タイミング良く直流母線電流を検出すれば、単一の電流センサでモータに流れる三相の相電流全てを検出することが可能となる。
図15は、この発明の実施の形態7に係る相電流復元方法の原理を説明する説明図である。この実施の形態では、電流制御のための第一の電圧指令に、高調波電圧歪補正を施した補正後の第一の電圧指令Vu1*、Vv1*、Vw1*と電流検出に適した第二の電圧指令Vu2*、Vv2*、Vw2*を適宜選択しながら制御を行う。
図15においては、非対称キャリア信号の信号減少期間のほうが信号増加期間よりも短いので、信号減少期間で第二の電圧指令Vu2*、Vv2*、Vw2*を出力し、信号増加期間で第一の電圧指令Vu1*、Vv1*、Vw1*を出力している。
信号減少期間よりも信号増加期間のほうが短い場合には、 信号増加期間で第二の電圧指令Vu2*、Vv2*、Vw2*を出力し、信号減少期間で第一の電圧指令Vu1*、Vv1*、Vw1*を出力するようにする。
図15において、インバータの電圧ベクトルはV1、V2、V7、V2、V1の順に変化する。三相電流を復元するには、 V0とV7以外の電圧ベクトルを所定の期間、出力し続ける必要がある。ここでは電流検出に必要な待ち時間をTwとしている。なお、Twをどの程度の長さに設定すれば良いかについては、直流母線電流の波形から判断することができる。
補正後の第一の電圧指令Vu1*、Vv1*、Vw1*は、電流制御の都合によってほぼ定まる。図15において、信号増加期間におけるV1の出力期間をt1、V2の出力期間をt2とした場合、t1とt2の両方が待ち時間Twよりも大きくなるとは限らないので、第二の電圧指令Vu2*、Vv2*、Vw2*と非対称キャリア信号を適切に設定することで、電圧ベクトルを待ち時間Twの期間、固定する。
図15の信号減少期間では、まず電圧ベクトルをV1に固定し、電流検出に必要な待ち時間が経過した後、直流母線電流を検出する。前述の通り、V1を出力しているとき、直流母線電流はu相電流iuに等しい。一度目の直流母線電流検出が終わった後、電圧ベクトルをV2へ変化させ、その状態で電流検出に必要な待ち時間が経過するのを待つ。待ち時間経過後、再度、直流母線電流を検出する。V2を出力しているときの直流母線電流はw相電流iwに等しい。u相電流iuとw相電流iwが分かれば、v相電流ivはキルヒホッフの電流則(iu+iv+iw=0)で求めることができる。
前述の通り、第一の電圧指令は一般的な制御法で求まり、高調波歪の補正については実施の形態6までに説明した方法で行うことができる。
この実施の形態において重要なのは、第二の電圧指令をどのように設定するかである。
前述の通り、インバータの最終的な出力電圧は第一の電圧指令と第二の電圧指令の両方を加味した時間平均によって決定される。第二の電圧指令を平均値が零の高周波電圧信号とすれば、出力電圧はおおよそ第一の電圧指令に等しくなるのだが、そうした場合、2つのデメリットが生じる。1つは第二の電圧指令を出力している期間の分だけ、出力可能な最大電圧が下がるということである。もう1つは高周波電圧を印加することによってトルク脈動や振動、騒音と言った問題が生じる恐れがあることである。このようなデメリットを回避するため、この実施の形態では第二の電圧指令の平均値が零になることにはこだわらず、第二の電圧指令を以下のように決定する。
まず、第一の電圧指令Vu1*、Vv1*、Vw1*の大小関係を調べる。そして、第二の電圧指令は第一の電圧指令が大きい相の順番で、キャリア信号の最大値、キャリア信号の中間値、キャリア信号の最小値に設定する。例えば、図15の場合、第一の電圧指令が最も大きいのはu相で、次に大きいのはv相、最も小さいのはw相となるので、第二のu相電圧指令Vu2*はキャリア信号の最大値、第二のv電圧指令Vv2*はキャリア信号の中間値、第二のw相電圧指令Vw2*はキャリア信号の最小値とする。
このように第二の電圧指令を決定すると、第一の電圧指令と第二の電圧指令のベクトルの位相差が小さくなる。これにより、第二の電圧指令による最大電圧の低下が小さく抑えられるので、電源電圧を有効に活用できる。高周波電圧を印加するわけでもないので、トルク脈動や振動、騒音といった問題も生じにくい。
この方法では、第二の電圧指令の平均値が零ではないので、第一の電圧指令と最終的な出力電圧の間に多少の誤差が生じるが、この誤差を補正するのは容易である。この誤差を計算して、第一の電圧指令に対して逆向きに足し込めば良い。なお、この誤差は、第二の電圧指令Vu2*、Vv2*、Vw2*と第一の電圧指令Vu1*、Vv1*、Vw1*の差を相ごとに計算し、キャリア信号一周期間のうち第一の電圧指令を出力する時間を掛け、第二の電圧指令を出力する時間で除することで求めることができる。
また、非対称キャリア信号を積極活用して、補正後の第一の電圧指令を出力している時間に比べて第二の電圧指令を出力している時間を相対的に短くすると、誤差自体が小さくなるので、場合によっては誤差補正が不要になる。
次に、非対称キャリア信号の決定方法について説明する。まず、インバータの発熱の観点からキャリア信号の周波数fcを決定する。キャリア信号の周期Tcは、Tc=1/fcで求められる。信号増加期間と信号減少期間のうち短い方の期間を、2Twと同じか、2Twよりもわずかに長い値に設定するのが良い。図15では、信号減少期間をほぼ2Tw、信号増加期間をほぼTc−2Twに設定している。
この実施の形態において説明した第二の電圧指令と非対称キャリア信号の設定法は、相電流復元を確実かつ簡単に行い、かつ電流検出タイミングのズレと制御遅延を最小限にするために行ったものである。
キャリア信号が最大値となった瞬間から制御を開始するとして、ほぼ最短のタイミングで2回の直流母線電流を検出し、三相電流を復元する。電圧指令の更新は通常、キャリア信号の頂点で行われるので、次にキャリア信号が最大となるタイミングまでに制御演算を終える必要があるが、このように最短のタイミングで三相電流を復元すれば、制御演算を行う時間が確保しやすい。そのため、1サンプリング前の電流を使わずに制御ができるので、その分、制御遅延を増やさずに済む。また、電流検出タイミングのズレも極力小さく抑えられるので、電流復元誤差も小さく抑えられる。さらに、前述の通り、第二の電圧指令Vu2*、Vv2*、Vw2*の出力時間を短くすることにはインバータの電圧利用率改善の効果もあるのだが、それに加えて、本実施例での第二の電圧指令は、平均値が零ではないので、より大きな電圧が出力可能である。これにより、多相モータの回転数−トルク特性を改善することが可能である。
これらのことから、このケースではキャリア信号の信号増加期間と信号減少期間の長さに差があるほうが良いと思われる。しかしながら、非対称キャリア信号を用いると、モータの周波数とキャリア信号の周波数が接近した際に低次高調波が顕著に顕れる。信号増加期間と信号減少期間の長さに差があればあるほど、低次高調波の問題は深刻になる。
また、この発明は一般的な計算機による実装が容易である。この発明は、非対称キャリア信号を用いた1シャント電流復元技術と併用可能であり、安価な装置構成で振動や騒音の小さいモータ駆動システムを提供する。また、キャリア信号の周波数を高めずとも非対称三角波による高調波を抑制することが可能となるため、スイッチング損失が低減されて放熱部品を小型化することが可能となる。
なお、実施の形態7においては、多相モータ1bを三相モータ、多相電力変換回路31を電圧形三相インバータとして説明したが、四相以上のモータや電力変換回路についても同様のことが問題なくできる。また、図14では、高調波電圧歪補正手段6は、第一の電圧指令のみに対して補正しているが、第一の電圧指令に加えて第二の電圧指令に対しても同様に補正しても良い。
また、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を自由に組み合わせたり、実施の形態の任意の構成要素を適宜、変更または省略したりすることが可能である。

Claims (8)

  1. 半導体デバイスのスイッチング動作によって電力変換を行う電力変換回路、キャリア信号が最大値から最小値へと変化するのに要する信号減少期間と最小値から最大値へと変化するのに要する信号増加期間が異なる非対称キャリア信号を発生する非対称キャリア信号発生手段、指令値を発生する指令値発生手段、前記非対称キャリア信号発生手段からの前記非対称キャリア信号と前記指令値発生手段の前記指令値を受け、前記指令値を前記非対称キャリア信号に基づいて補正して補正後指令値を出力する指令値補正手段、および前記指令値補正手段からの前記補正後指令値と前記非対称キャリア信号とを比較して前記電力変換回路の前記スイッチング動作のゲート信号を決定する比較手段を備えたことを特徴とする電力変換装置。
  2. 前記指令値補正手段は、前記非対称キャリア信号によって生じる高調波を用いて前記電力変換回路の出力の指令値を補正する高調波電圧歪補正手段であって、前記高調波電圧歪補正手段は、前記高調波のうち2次高調波を抑制するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記高調波電圧歪補正手段は、減算器を備え、前記減算器において前記指令値から前記高調波を差し引いて前記補正後指令値を前記比較手段に出力することを特徴とする請求項2に記載の電力変換装置。
  4. 前記高調波電圧歪補正手段は、前記指令値をもとに前記非対称キャリア信号によって生じる高調波成分を参照して補正信号を出力する高調波参照手段を備え、前記補正信号を用いて前記指令値を補正して前記補正後指令値を出力することを特徴とする請求項3に記載の電力変換装置。
  5. 前記高調波電圧歪補正手段は、前記指令値と前記非対称キャリア信号から高調波を演算する高調波演算手段を備え、算出された高調波信号を前記指令値から差し引いて前記補正後指令値を出力することを特徴とする請求項3に記載の電力変換装置。
  6. 前記電力変換回路の出力を検出する検出手段と、前記検出手段から取得した検出値から前記非対称キャリア信号によって生じる高調波歪を抽出する高調波抽出手段と、前記高調波抽出手段の出力によって補正信号を設定する制御手段とを備えたことを特徴とする請求項3に記載の電力変換装置。
  7. 前記高調波電圧歪補正手段は、前記指令値をもとに前記非対称キャリア信号によって生じる高調波成分を参照して補正信号を出力する高調波参照手段を備え、前記補正信号を用いて前記指令値を補正して第一の補正信号を設定すると共に、前記制御手段にて設定される補正信号を第二の補正信号とし、前記第一の補正信号と前記第二の補正信号とを用いて前記指令値を補正して前記補正後指令値を出力することを特徴とする請求項6に記載の電力変換装置。
  8. 前記電力変換回路が、直流電力と多相交流電力とを双方向に供給可能な多相電力変換回路であって、
    前記指令値発生手段は、指令値として第一の指令を発生し、
    前記多相電力変換回路に設けられた直流母線電流検出手段、前記多相電力変換回路のスイッチングパターンと前記直流母線電流検出手段によって検出された直流母線電流から多相交流側に流れる相電流を復元する相電流復元部、前記相電流の復元のための第二の指令を出力する第二の指令作成手段、および前記指令値補正手段からの前記補正後指令値と前記第二の指令のどちらの指令を前記比較手段へ送信するか選択する電圧指令選択手段を備え、前記電圧指令選択手段は前記非対称キャリア信号の前記信号増加期間と前記信号減少期間のうち、短い方の期間で前記第二の指令を出力することを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
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