JP6179016B2 - 熱処理装置及び熱処理方法 - Google Patents
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Description
また加圧部は、ワークを付勢するようにスライドロッドに設けられたローラと、スライドロッドをワーク側に付勢するスプリングと、スライドロッドのスライド位置を規制するストッパと、を備えていてもよい。
本実施形態では、大型の円環形状の加熱対象を加熱及び冷却して焼入れするための旋回型焼入装置の例を用いて説明する。
ワークWは、鋼材のような焼入可能な材料からなり、直径が1m以上、ここでは3m以上の円環形状を有する部材であり、軸方向に沿う断面形状が全周で略一定に形成されている。ワークWは、表面側のみが加熱されるものであっても、内部まで加熱されるものであってもよいが、ここでは軸方向の一方側と他方側とで形状が異なる非対称形状を有し、ワークWの外側表面に無端帯状に設けられた被加熱領域Waを有している。
熱処理装置10は、図1(a)及び図2に示すように、ワークWを支持する治具11と、治具11に支持されたワークWを環形状に沿って回転させるための回転駆動部13と、治具11に載置されたワークWを加熱する加熱部15と、加熱部15の下方に設けられた冷却部17と、を備える。
治具11は、ワークWを載置するワーク支持部21と、ワーク支持部21の中央に設けられた中央構造部22と、中央構造部22から駆動力をワーク支持部21へ伝達し、ワーク支持部21に載置されたワークWを環形状に沿って回転させる回転駆動機構23と、ワーク支持部21に載置されたワークWの内周又は外周を径方向に加圧する加圧部30と、を備える。
加圧部30は、ワークWを径方向に加圧するもので、周方向の略均等となる位置に複数設けられている。ここでは4個の放射架台24の先端側に配設されており、図3に示すように、ワークWの外側に配置される外側加圧部30aとワークWの内側に配置される内側加圧部30bとが互いに対向して設けられている。
なお、スライドロッド33はスプリング36により前進側に付勢されているが、ストッパ37によりスライド位置が規制されることで所定範囲に配置されている。
また、アウターローラ34a又はインナーローラ34bを低温時などにワークWから離間して配置しておき、ワークWの変位や変形、膨張等が生じた際にアウターローラ34a又はインナーローラ34bがワークWに接触して加圧するように配置することも可能である。その場合、各アウターローラ34a又はインナーローラ34bに予圧を負荷しておくことも可能である。
加熱部15は、図1(a)(b)、図2に示すように、所定高さに配置された治具11の互いに隣接する放射架台24の各間隙に設けられている。各加熱部15は、ワークWの回転中心に対して周方向に略均等に配設されるのが好適である。
加熱コイル41の形状は特に限定されるものではなく、本実施形態では、ワークWの所定区間の被加熱領域Waの弧形状に対応した形状であって、ワークWの縦断面形状に対応した縦断面形状となっている。
冷却部17は、図2に示すように、加熱部15の下方に設けられており、冷却液吐出部42が水槽43内に配設されている。複数の冷却液吐出部42は、冷却部17に下降する治具11における互いに隣接する放射架台24の各間隙となるように配置されている。
次に、このような熱処理装置10を用いてワークWを焼入処理する方法について説明する。
まず治具11を所定位置に配置して、ワーク支持部21の複数の回転ローラ25上にワークWを載置する。
治具11を搬送或いは昇降してワークWを所定位置に配置する。そして、各加加熱コイル41を移動させて、ワークWの被加熱領域Waに対向配置する。この状態で加圧部30によりワークWを加圧すると共に、治具11の回転ローラ25によりワークWを環形状に沿って回転させつつ、加熱コイル41に給電して誘導加熱することで、帯状の被加熱領域Wa全体を略均一に加熱する。この加熱時には、特に加圧部30によりワークWの外周を加圧するのが特に好適である。
冷却後、再び治具11を所定の搬出位置に搬送し、ワークWを搬出することで、焼入処理を終了する。
以上のような熱処理装置10を用いて熱処理を行えば、周方向の複数箇所で加圧部30により環形状のワークWの内周又は外周を径方向に加圧しつつ加熱部15で加熱し、或いは、周方向の複数箇所で加圧部30により環形状のワークWの内周又は外周を径方向に加圧しつつ冷却することができる。
その際、各加圧部30では、ワークWの回転中心からの距離の変化に応じて付勢力が変化するため、ワークWの位置ずれや変形などによりワークWの内周又は外周の各部とワークWの回転中心との距離の変化をより少なく抑えることが可能で、これによりワークの中心をワークWの回転中心とを合わせる作用が得られる。
そのため、加熱時又は冷却時の熱膨張や熱収縮によりワークWが径方向に拡大縮小した際、複数の回転ローラ25上で不均一に位置ずれを生じてワークWの中心が複数の回転ローラ25の中心から偏心することを防止して、自動で求心できる。
そして加圧部30の加圧力を大きくすることで、加熱時又は冷却時の熱膨張や熱収縮によりワークWが径方向に不均一に変形することを抑制又は防止することが可能である。
例えば上記では、加熱対象物のワークWを加熱して冷却することで焼入処理する熱処理装置について説明したが、冷却を行わない加熱装置であっても本発明は適用可能である。またワークWの表面の焼入れだけでなくワークWの深部まで加熱してもよい。
上記では、ワークWとして断面が略三角形形状のものを用いたが、断面が四角形状や異形形状など他の形状であってもよい。
上記では、加圧部30として、インナーローラ34bとアウターローラ34aとの両方を用いた例について説明したが、何れか一方だけを用いて加熱や冷却を行うことは可能であり、更に加圧部30により加熱時のみ加圧し、或いは冷却時のみ加圧するようにしてもよい。
上記では、インナーローラ34bとアウターローラ34aとを互いに対向配置したが、インナーローラ34bとアウターローラ34aとを周方向にずらして配置してもよい。
上記では、加圧部30の付勢手段としてスプリング36を用いたが、油圧や空圧等の流体圧シリンダ等、他の付勢手段を用いて加圧してもよい。
Wa 被加熱領域
10 熱処理装置
11 治具
13 回転駆動部
15 加熱部
17 冷却部
21 ワーク支持部
22 中央構造部
23 回転駆動機構
24 放射架台
25 回転ローラ
26 駆動軸
27 従動軸
30 加圧部
30a 外側加圧部
30b 内側加圧部
31 固定ブラケット
32 筒状ガイド
33 スライドロッド
33a 凹部
34a アウターローラ
34b インナーローラ
35 キャップ
36 スプリング
37 ストッパ
41 加熱コイル
42 冷却液吐出部
43 水槽
Claims (7)
- 環形状のワークを載置するように周方向に配列した複数の回転ローラを有するワーク支持部と、該ワーク支持部に載置された前記ワークを前記環形状に沿って回転させる回転駆動部と、前記ワークを加熱する加熱部とを備えた熱処理装置であって、
前記ワーク支持部に載置された前記ワークの内周又は外周を径方向に加圧する加圧部を前記環形状に沿う周方向の複数箇所に備え、
前記複数の加圧部は回転する前記ワークを複数位置で加圧するとともに、前記複数の加圧部の付勢力がそれぞれ前記ワークの回転中心からの距離の変化に応じて変化する、熱処理装置。 - 前記ワークは、軸方向の一方側と他方側とで形状が異なる非対称形状を有し、前記ワークの内周と外周とを軸方向に異なる位置で付勢する、請求項1に記載の熱処理装置。
- 前記加熱部は、前記ワークの表面に無端帯状に設けられた被加熱領域を加熱する、請求項1又は2に記載の熱処理装置。
- 前記加熱部は、前記ワーク支持部により支持されて前記回転駆動部により回転駆動された前記ワークを加熱し、前記加圧部は加熱時に前記ワークを加圧する、請求項1乃至3の何れかに記載の熱処理装置。
- 前記ワーク支持部により支持されて前記回転駆動部により回転駆動された前記ワークに冷却液を接触させる冷却部を備え、前記加圧部は冷却時に該ワークを加圧する、請求項1乃至4の何れかに記載の熱処理装置。
- 前記加圧部は、前記ワークを付勢するようにスライドロッドに設けられたローラと、前記スライドロッドをワーク側に付勢するスプリングと、前記スライドロッドのスライド位置を規制するストッパと、を備えている、請求項1乃至5の何れかに記載の熱処理装置。
- 周方向に配列した複数の回転ローラに環形状のワークを載置し、該ワークを前記複数の回転ローラにより環形状に沿って回転させつつ加熱する熱処理方法であって、
加熱時及び加熱後の冷却時の少なくとも一方で、前記ワークの内周又は外周を前記環形状に沿う周方向の複数箇所で、ワークの中心をワークの回転中心に合わせるように径方向に加圧するとともに、前記複数箇所で前記ワークを加圧する付勢力をそれぞれ前記ワークの回転中心からの距離の変化に応じて変化させることで、前記ワークの径方向の不均一な変形を抑制する、熱処理方法。
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