JP6178814B2 - サスペンション用基板、サスペンション、素子付サスペンションおよびハードディスクドライブ - Google Patents

サスペンション用基板、サスペンション、素子付サスペンションおよびハードディスクドライブ Download PDF

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Description

本発明は、金属支持基板の一部を配線層のジャンパー部として用いたサスペンション用基板に関し、より詳しくは、配線層とジャンパー部の周囲に存在する金属支持基板との絶縁性が高いサスペンション用基板に関する。
近年、インターネットの普及等によりパーソナルコンピュータの情報処理量の増大や情報処理速度の高速化が要求されてきており、それに伴って、パーソナルコンピュータに組み込まれているハードディスクドライブ(HDD)も大容量化や情報伝達速度の高速化が必要となってきている。そのため、HDDに用いられるサスペンション用基板(フレキシャー)にも高機能化が求められている。
サスペンション用基板の高機能化の一例としては、配線層と金属支持基板とをビアを介して電気的に接続し、金属支持基板をグランドとして機能させる技術が知られている。例えば特許文献1においては、配線と同じ金属層からなる金属パッドを配線とは独立して形成し、その金属パッドの一部から絶縁層を貫通して金属薄板に至る開口を設け、その開口に金属めっきによる導通部分を設けることにより、金属パッドと金属薄板とを電気的に接続した磁気ヘッドサスペンションが開示されている。また、サスペンション用基板の高機能化の他の例としては、素子と外部回路基板とを電気的に接続する配線層に、いわゆるインターリーブ構造を採用することが知られている(特許文献2)。
特開2006−202359号公報 特開平10−124837号公報
従来の配線層は、金属支持基板上に絶縁層を介して積層されるため、配線層と金属支持基板との絶縁性は高い。一方、サスペンション用基板の高機能化に伴い、配線層と絶縁層を貫通するビアとを電気的に接続し、金属支持基板の一部を配線層のジャンパー部として用いることが想定される。ジャンパー部としては、例えば浮島状のものを挙げることができる。
一方、金属支持基板および絶縁層の間には、製造段階での加熱処理により、両者の成分が相互拡散した拡散層が生じる場合がある。この拡散層は、金属支持基板の成分を含有するため、絶縁層よりも導電性が高い。また、拡散層は絶縁層成分を含有するため金属支持基板のエッチング工程では除去することが困難である。このため、金属支持基板をエッチング除去しジャンパー部を形成する際、ジャンパー部の周囲に、導電性が比較的高い拡散層が残存し、配線層と金属支持基板との絶縁性が低下するという問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、金属支持基板の一部を配線層のジャンパー部として用いたサスペンション用基板であって、配線層とジャンパー部の周囲に存在する金属支持基板との絶縁性が高いサスペンション用基板を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明においては、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された絶縁層と、上記絶縁層上に形成された配線層とを有するサスペンション用基板であって、上記金属支持基板および上記絶縁層の間には、上記金属支持基板および上記絶縁層の成分が相互拡散した拡散層が形成され、上記配線層が、上記絶縁層を貫通するビアと電気的に接続されたビア接続配線層を有し、二以上の上記ビアが、上記金属支持基板の一部であるジャンパー部により電気的に接続され、上記ジャンパー部を囲む上記拡散層が除去され、上記ジャンパー部と上記金属支持基板とが絶縁されていることを特徴とするサスペンション用基板を提供する。
本発明によれば、ジャンパー部を囲む拡散層が除去され、ジャンパー部と金属支持基板とが絶縁されていることから、配線層(ビア接続配線層)とジャンパー部の周囲に存在する金属支持基板との絶縁性が高いサスペンション用基板とすることができる。
上記発明においては、上記ビア接続配線層が、リード配線層またはライト配線層として機能する第一配線層および第二配線層であり、上記第一配線層および第二配線層は、それぞれ、一または二以上の分岐配線層を有し、第一配線層に属する配線層と、上記第二配線層に属する配線層とが交互に配置されたインターリーブ構造が形成されていることが好ましい。低インピーダンス化を図ることができるからである。
上記発明においては、上記ビア接続配線層がノイズシールド用配線層であり、上記ノイズシールド用配線層がリード配線層およびライト配線層の外側に配置されていることが好ましい。外部からの輻射によるノイズの発生を効果的に抑制することができるからである。
上記発明においては、上記ビア接続配線層が、上記ノイズシールド用配線層の他に、クロストーク防止用配線層を有し、上記クロストーク防止用配線層が上記リード配線層および上記ライト配線層の間に配置され、上記ノイズシールド用配線層のビアと、上記クロストーク防止用配線層のビアとが、同一の上記ジャンパー部により電気的に接続されていることが好ましい。リード配線層およびライト配線層のクロストークを防止することができるからである。
また、本発明においては、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された絶縁層と、上記絶縁層上に形成された配線層とを有し、上記金属支持基板および上記絶縁層の間には上記金属支持基板および上記絶縁層の成分が相互拡散した拡散層が形成され、上記配線層が上記絶縁層を貫通するビアと電気的に接続されたビア接続配線層を有し、二以上の上記ビアが上記金属支持基板の一部であるジャンパー部により電気的に接続されたサスペンション用積層体を準備する積層体準備工程と、上記サスペンション用積層体の上記ジャンパー部を囲む上記拡散層をエッチングにより除去し、上記ジャンパー部と上記金属支持基板とを絶縁する拡散層除去工程と、を有することを特徴とするサスペンション用基板の製造方法を提供する。
本発明によれば、サスペンション用積層体に対して、拡散層除去工程を行うことにより、配線層(ビア接続配線層)とジャンパー部の周囲に存在する金属支持基板との絶縁性が高いサスペンション用基板を得ることができる。
上記発明においては、上記サスペンション用積層体が、上記金属支持基板を形成するためのレジストパターンを有し、上記拡散層除去工程において、上記レジストパターンから露出する上記拡散層を除去することが好ましい。工程の簡略化を図ることができるからである。
上記発明においては、上記エッチングが、ドライエッチングであることが好ましい。異方性エッチングを容易に行うことができ、サイドエッチングが生じないという利点があるからである。
上記発明においては、上記ドライエッチングが、プラズマエッチングであることが好ましい。
上記発明においては、上記エッチングが、ウェットエッチングであることが好ましい。ドライエッチングに比べてエッチングレートが高いという利点があるからである。
また、本発明においては、上述したサスペンション用基板を含むことを特徴とするサスペンションを提供する。
本発明によれば、上述したサスペンション用基板を用いることで、配線層(ビア接続配線層)とジャンパー部の周囲に存在する金属支持基板との絶縁性が高いサスペンションとすることができる。
また、本発明においては、上述したサスペンションと、上記サスペンションの素子実装領域に実装された素子と、を有することを特徴とする素子付サスペンションを提供する。
本発明によれば、上述したサスペンションを用いることで、配線層(ビア接続配線層)とジャンパー部の周囲に存在する金属支持基板との絶縁性が高い素子付サスペンションとすることができる。
また、本発明においては、上述した素子付サスペンションを含むことを特徴とするハードディスクドライブを提供する。
本発明によれば、上述した素子付サスペンションを用いることで、より高機能化されたハードディスクドライブとすることができる。
本発明のサスペンション用基板は、配線層(ビア接続配線層)とジャンパー部の周囲に存在する金属支持基板との絶縁性を高くすることができるという効果を奏する。
一般的なサスペンション用基板の一例を示す模式図である。 インターリーブ構造を説明する概略平面図である。 図2(a)の断面図である。 本発明の効果を説明する概略平面図である。 本発明における拡散層を説明する概略断面図である。 本発明のサスペンション用基板を説明する概略断面図である。 本発明におけるジャンパー部の周囲を例示する概略平面図である。 本発明のサスペンション用基板を説明する模式図である。 本発明のサスペンション用基板の製造方法の一例を示す概略断面図である。 サブトラクティブ法によるサスペンション用積層体の製造方法の一例を示す概略断面図である。 本発明のサスペンションの一例を示す概略平面図である。 本発明の素子付サスペンションの一例を示す概略平面図である。 本発明のハードディスクドライブの一例を示す概略平面図である。 実施例1で得られたサスペンション用基板における、拡散層除去処理時間に対する配線間抵抗の変化を示すグラフである。 実施例2で得られたサスペンション用基板における、拡散層除去処理時間に対する配線間抵抗の変化を示すグラフである。 実施例3で得られたサスペンション用基板における、拡散層除去処理時間に対する配線間抵抗の変化を示すグラフである。 実施例1で得られたサスペンション用基板における、Fe+Cr量に対する配線間抵抗の変化を示すグラフである。 実施例1で得られたサスペンション用基板における、Cr量に対する配線間抵抗の変化を示すグラフである。 実施例1で得られたサスペンション用基板における、拡散層除去部および拡散層残存部を示すSEM写真である。
以下、本発明のサスペンション用基板、サスペンション用基板の製造方法、サスペンション、素子付サスペンションおよびハードディスクドライブについて詳細に説明する。
A.サスペンション用基板
まず、本発明のサスペンション用基板について説明する。本発明のサスペンション用基板は、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された絶縁層と、上記絶縁層上に形成された配線層とを有するサスペンション用基板であって、上記金属支持基板および上記絶縁層の間には、上記金属支持基板および上記絶縁層の成分が相互拡散した拡散層が形成され、上記配線層が、上記絶縁層を貫通するビアと電気的に接続されたビア接続配線層を有し、二以上の上記ビアが、上記金属支持基板の一部であるジャンパー部により電気的に接続され、上記ジャンパー部を囲む上記拡散層が除去され、上記ジャンパー部と上記金属支持基板とが絶縁されていることを特徴とするものである。
図1は、一般的なサスペンション用基板の一例を示す模式図である。図1(a)はサスペンション用基板の概略平面図であり、図1(b)は図1(a)のA−A断面図である。なお、図1(a)では、便宜上、カバー層の記載は省略している。図1(a)に示されるサスペンション用基板20は、一方の先端部分に形成された素子実装領域11と、他方の先端部分に形成された外部回路基板接続領域12と、素子実装領域11および外部回路基板接続領域12を電気的に接続する複数の配線層13a〜13dとを有するものである。配線層13aおよび配線層13bは一対の配線層であり、同様に、配線層13cおよび配線層13dも一対の配線層である。これらの2つの配線層は、一方がライト用の配線層であり、他方がリード用の配線層である。一方、図1(b)に示されるように、サスペンション用基板は、金属支持基板1と、金属支持基板1上に形成された絶縁層2と、絶縁層2上に形成された配線層3と、配線層3を覆うカバー層4とを有するものである。
本発明のサスペンション用基板は、配線層が、絶縁層を貫通するビアと電気的に接続されたビア接続配線層を有することを一つの特徴とする。ビア接続配線層の一例について、図2を用いて説明する。図2(a)は、インターリーブ構造を有するビア接続配線層を配線層側から観察した概略平面図であり、図2(b)は、図2(a)を金属支持基板側から観察した概略断面図である。図2(a)に示すように、第一配線層3aは分岐配線層3a´を有し、第一配線層3aおよび分岐配線層3a´はそれぞれ絶縁層を貫通するビア5を有する。その2つのビア5は、図2(b)に示すように、金属支持基板1の一部であるジャンパー部6aにより電気的に接続されている。同様に、第二配線層3bも分岐配線層3b´を有し、第二配線層3bおよび分岐配線層3b´はそれぞれ絶縁層を貫通するビア5を有し、その2つのビア5は、金属支持基板1の一部を配線に用いたジャンパー部6bにより電気的に接続されている。また、図2(a)に示すように、第一配線層に属する配線層(3a、3a´)と、第二配線層に属する配線層(3b、3b´)とは、交互に配置され、インターリーブ構造が形成されている。
図3(a)〜(c)は、それぞれ図2(a)のA−A断面図、B−B断面図、C−C断面図である。図3(a)〜(c)に示すように、金属支持基板1および絶縁層2の間には、金属支持基板1および絶縁層2の成分が相互拡散した拡散層7が形成されている。この拡散層7は、通常、製造段階での加熱処理により生じるものである。製造段階での加熱処理の一例としては、絶縁層2およびカバー層(図示せず)を形成する際の加熱処理を挙げることができる。例えば、絶縁層またはカバー層の材料がポリイミド樹脂である場合、イミド化を行うために加熱処理が行われる。この加熱処理の際に、金属支持基板1および絶縁層2の成分が相互拡散し、拡散層7が形成される。なお、配線層の応力緩和のための加熱処理によっても、同様に拡散層が生じ得る。また、拡散層の厚さは、加熱処理の条件によって異なるものであるが、通常5nm〜50nmの範囲内である。拡散層の存在は、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、X線光電子分光(XPS)、エネルギー分散型X線分光(EDX)、オージェ電子分光(AES)等により確認することができる。また、本発明における拡散層は、金属支持基板の構成成分を2at%以上30at%以下の範囲で含有する層であることが好ましい。金属支持基板の成分が30at%以下になると金属支持基板のエッチング工程で拡散層を除去するのが困難になり、金属支持基板の成分が2at%以上になると絶縁性を著しく低下させるからである。金属成分の含有量(金属支持基板の成分量)はXPS、AES等により確認することができる。例えば金属支持基板がSUSである場合、拡散成分として、Fe、Cr、Ni、Mg、Mo等が挙げられる。
また、図3(a)に示すように、ジャンパー部6aは、通常、ジャンパー部6aの周囲に存在する金属支持基板1とは独立するように(絶縁されるように)形成されている。さらに、本発明のサスペンション用基板は、ジャンパー部6aを囲む拡散層7が除去され、ジャンパー部6aと金属支持基板1とが絶縁されていることを大きな特徴とする。
このように、本発明によれば、ジャンパー部を囲む拡散層が除去され、ジャンパー部と金属支持基板とが絶縁されていることから、配線層(ビア接続配線層)とジャンパー部の周囲に存在する金属支持基板との絶縁性が高いサスペンション用基板とすることができる。ここで、ジャンパー部を囲む拡散層を除去しない場合、図4(a)に示すように、ジャンパー部6と、その周囲に存在する金属支持基板1との絶縁性が、拡散層7の影響によって低くなってしまう。このように絶縁性が低くなると、電気信号のロスが大きくなる、電気信号のノイズが大きくなる、絶縁信頼性が低下する等の問題が生じる。これに対して、本発明においては、図4(b)に示すように、ジャンパー部6を囲む拡散層が除去されていることから、ジャンパー部6と、その周囲に存在する金属支持基板1との絶縁性を高くすることができ、上記の問題を解決することができる。
以下、本発明のサスペンション用基板について、サスペンション用基板の部材と、サスペンション用基板の構成とに分けて説明する。
1.サスペンション用基板の部材
まず、本発明のサスペンション用基板の部材について説明する。本発明のサスペンション用基板は、金属支持基板、絶縁層、ビアおよび配線層を有するものである。
本発明における金属支持基板は、サスペンション用基板の支持体として機能するものである。金属支持基板の材料は、ばね性を有する金属であることが好ましく、具体的にはSUS等を挙げることができる。また、金属支持基板の厚さは、その材料の種類により異なるものであるが、例えば10μm〜20μmの範囲内である。
本発明における絶縁層は、金属支持基板上に形成されるものである。絶縁層の材料は、絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば樹脂を挙げることができる。上記樹脂としては、例えばポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂およびポリ塩化ビニル樹脂を挙げることができ、中でもポリイミド樹脂が好ましい。絶縁性、耐熱性および耐薬品性に優れているからである。また、絶縁層の材料は、感光性材料であっても良く、非感光性材料であっても良い。絶縁層の厚さは、例えば5μm〜30μmの範囲内であることが好ましく、5μm〜18μmの範囲内であることがより好ましく、5μm〜12μmの範囲内であることがさらに好ましい。
本発明における配線層は、絶縁層上に形成されるものである。配線層の材料は、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば金属を挙げることができ、中でも銅(Cu)が好ましい。また、配線層は、電解めっき法により形成されたものであることが好ましい。配線層の厚さは、例えば5μm〜18μmの範囲内であることが好ましく、9μm〜12μmの範囲内であることがより好ましい。また、配線層の表面には、めっき部が形成されていても良い。めっき部を設けることにより、配線層の劣化(腐食等)を防止できるからである。中でも、本発明においては、端子となる配線層の部分にめっき部が形成されていることが好ましい。めっき部の種類は特に限定されるものではないが、例えばNiめっき、Auめっき等を挙げることができる。めっき部の厚さは、例えば0.1μm〜4.0μmの範囲内である。
本発明におけるビアは、絶縁層を貫通し、ビア接続配線層およびジャンパー部を電気的に接続するものである。本発明におけるビアは、めっき法により形成されたビアめっき部であることが好ましい。ビアめっき部としては、例えばNiめっき部、Agめっき部、Auめっき部およびCuめっき部等を挙げることができ、中でもNiめっき部であることが好ましい。導電性および耐腐食性に優れ、かつ、安価だからである。
また、本発明のサスペンション用基板は、図1(b)に示すように、配線層3を覆うカバー層4を有することが好ましい。カバー層を設けることにより、配線層の劣化(腐食等)を防止できるからである。カバー層の材料としては、例えば、上述した絶縁層の材料として記載した樹脂を挙げることができ、中でもポリイミド樹脂が好ましい。また、カバー層の材料は、感光性材料であっても良く、非感光性材料であっても良い。カバー層の厚さは、例えば2μm〜30μmの範囲内であることが好ましく、2μm〜10μmの範囲内であることがより好ましい。
2.サスペンション用基板の構成
次に、本発明のサスペンション用基板の構成について説明する。本発明のサスペンション用基板は、図4に示したように、ジャンパー部6を囲む拡散層7が除去され、ジャンパー部6と金属支持基板1とが絶縁されていることを大きな特徴とする。本発明において、「拡散層が除去された」とは、拡散層が完全に除去された状態のみならず、拡散層が薄化された状態をも含む。拡散層が薄化された状態である場合、所望の絶縁性を発揮し得る程度に拡散層が薄化されていることが好ましい。この場合、ジャンパー部とその周囲に存在する金属支持基板との間の抵抗値は、1×10Ω以上であることが好ましい。上記抵抗値が1×10Ωよりも小さいと、十分な絶縁信頼性が得られず、結果として、他の配線層に悪影響(例えばノイズ)を与える可能性があるからである。このように、絶縁信頼性の観点から、1×10Ω以上の抵抗値は一つの重要な指標となる。さらに、上記抵抗値は、1×1010Ω以上であることがより好ましく、1×1011Ω以上であることがさらに好ましく、1×1012Ω以上であることが特に好ましい。
本発明において、拡散層が除去されたことは、例えば、金属支持基板が存在しない位置の拡散層の厚さと、金属支持基板が存在する位置の拡散層の厚さとを比較することにより、確認することができる。拡散層の厚さは、例えばSEM、TEM等により測定することができる。また、拡散層が除去されたことは、拡散層が除去された絶縁層の表面の元素分析を行うことによっても確認することができる。例えば、金属支持基板の材料がSUSである場合、拡散層には、通常、CrおよびFe等の金属成分が検出される。これらの金属成分を、拡散層を除去していない部分と比較し、これらの金属成分の割合に違いがあれば、拡散層が除去されたことを確認することができる。特に、本発明においては表面分析の方法として、ガスによるエッチングを伴う深さ方向の分析を用いることが好ましい。深さ方向における金属成分のピークの位置を比較することによって、拡散層が除去されたことを確認することができる。なお、拡散層を除去していない部分として、例えば、金属支持基板を剥離することにより露出させた拡散層の一部を用いることができる。特に、金属支持基板がSUSである場合には、塩化第二鉄系エッチング液を用いて金属支持基板をエッチング除去し、露出させた拡散層の一部を、拡散層を除去していない部分として用いることができる。
特に、金属支持基板の材料がSUSである場合、拡散層除去後の絶縁層表面における、FeおよびCrの合計の割合が、16at%以下であることが好ましい。1×10Ω以上の抵抗値を得ることができ、絶縁信頼性を十分に高くすることができるからである。同様に、金属支持基板の材料がSUSである場合、拡散層除去後の絶縁層表面におけるCrの割合が、10at%以下であることが好ましい。1×10Ω以上の抵抗値を得ることができ、絶縁信頼性を十分に高くすることができるからである。図5に示すように、例えば金属支持基板の材料がSUSであり、絶縁層の材料がポリイミド樹脂(PI)である場合、SUS側にCrをリッチに含む領域(Cr−PI領域)が形成され、PI側にFeをリッチに含む領域(Fe−PI領域)が形成された拡散層が得られる。このような場合、まずCr−PI領域から除去されるため、特に、Crの割合が10at%以下であることが好ましい。
また、本発明においては、ジャンパー部を囲む拡散層が除去され、さらに、拡散層が除去された位置の絶縁層も除去されていることが好ましい。拡散層を完全に除去することができるからである。具体的には、図6(a)に示すように、拡散層5が除去された位置の絶縁層2も除去されていることが好ましい。絶縁層2は、厚さ方向において、例えば0.01μm以上除去されていることが好ましく、0.1μm〜1μmの範囲内で除去されていることがより好ましい。また、本発明においては、ジャンパー部と、その周囲に存在する金属支持基板とが絶縁されていれば良いことから、図7(a)に示すように、ジャンパー部6の周囲の全ての拡散層が除去されたものであっても良く、図7(b)、(c)、(d)に示すように、ジャンパー部6の周囲の一部の拡散層が除去されたものであっても良い。なお、ジャンパー部の形状は、ジャンパー部の周囲の金属支持基板から独立していれば、特に限定されるものではない。
また、本発明のサスペンション用基板は、配線層が、絶縁層を貫通するビアと電気的に接続されたビア接続配線層を有することを一つの特徴とする。ビア接続配線層の種類は、その機能によって異なるものであるが、例えば、ライト配線層、リード配線層、ノイズシールド用配線層、クロストーク防止用配線層、電源用配線層、グランド用配線層、フライトハイトコントロール用配線層、センサー用配線層、アクチュエータ用配線層、熱アシスト用配線層等を挙げることができる。
また、本発明においては、ビア接続配線層が第一配線層および第二配線層であり、第一配線層および第二配線層は、それぞれ一または二以上の分岐配線層を有し、第一配線層に属する配線層と、第二配線層に属する配線層とが交互に配置されたインターリーブ構造が形成されていることが好ましい。低インピーダンス化を図ることができるからである。特に、このインターリーブ構造は、リード配線層またはライト配線層として機能するビア接続配線層に形成されていることが好ましく、ライト配線層として機能するビア接続配線層に形成されていることがより好ましい。ライト配線層側では、特に低インピーダンス化が求められているからである。なお、インターリーブ構造の具体的な構造については、上述した図2に記載した通りである。
また、本発明においては、ビア接続配線層がノイズシールド用配線層であり、ノイズシールド用配線層がリード配線層およびライト配線層の外側に配置されていることが好ましい。外部からの電磁波の輻射によるノイズの発生を効果的に抑制することができるからである。ここで、図8(a)はサスペンション用基板の概略平面図であり、図8(b)〜(d)はそれぞれ図8(a)のA−A断面図、B−B断面図、C−C断面図である。本発明においては、図8(a)、(b)に示すように、ノイズシールド用配線層33がリード配線層31およびライト配線層32の外側に配置され、図8(c)に示すように、ノイズシールド用配線層33と電気的に接続されるビア(図中の左右の2つのビア)5が、ジャンパー部6により電気的に接続されていることが好ましい。
さらに、本発明においては、図8(a)、(d)に示すように、ビア接続配線層が、ノイズシールド用配線層33の他に、クロストーク防止用配線層34を有し、クロストーク防止用配線層34がリード配線層31およびライト配線層32の間に配置され、図8(c)に示すように、ノイズシールド用配線層33のビア5と、クロストーク防止用配線層34のビアとが、同一のジャンパー部6により電気的に接続されていることが好ましい。リード配線層31およびライト配線層32のクロストークを防止することができるからである。なお、クロストークは、リード配線層31およびライト配線層32が近接する領域(配線密度が高い領域、例えば素子実装領域の周辺)で生じやすい。また、ノイズシールド用配線層33およびクロストーク防止用配線層34は、電源用配線層、グランド用配線層またはその他の配線層の機能を兼ね備えていても良い。
B.サスペンション用基板の製造方法
次に、本発明のサスペンション用基板の製造方法について説明する。本発明のサスペンション用基板の製造方法は、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された絶縁層と、上記絶縁層上に形成された配線層とを有し、上記金属支持基板および上記絶縁層の間には上記金属支持基板および上記絶縁層の成分が相互拡散した拡散層が形成され、上記配線層が上記絶縁層を貫通するビアと電気的に接続されたビア接続配線層を有し、二以上の上記ビアが上記金属支持基板の一部であるジャンパー部により電気的に接続されたサスペンション用積層体を準備する積層体準備工程と、上記サスペンション用積層体の上記ジャンパー部を囲む上記拡散層をエッチングにより除去し、上記ジャンパー部と上記金属支持基板とを絶縁する拡散層除去工程と、を有することを特徴とするものである。
図9は、本発明のサスペンション用基板の製造方法の一例を示す概略断面図である。図9は図3(a)と同様に、図2(a)のA−A断面図に相当するものである。図9においては、まず、金属支持基板1と、金属支持基板1上に形成された絶縁層2と、絶縁層2上に形成された配線層3と、配線層3を覆うカバー層4とを有し、金属支持基板1および絶縁層2の間には金属支持基板1および絶縁層2の成分が相互拡散した拡散層7が形成され、配線層3が絶縁層2を貫通するビア5と電気的に接続されたビア接続配線層3Aを有し、二以上のビア5が、金属支持基板1の一部であるジャンパー部6により電気的に接続されたサスペンション用積層体21を準備する(図9(a))。このサスペンション用積層体21は、拡散層を除去する前のサスペンション用基板に相当するものである。また、図9(a)では、金属支持基板1を形成するためのレジストパターン8を剥離せずにサスペンション用積層体21に残している。次に、金属支持基板1側から、露出する拡散層7をドライエッチング9により除去する(図9(b))。最後に、レジストパターン8を剥離し、サスペンション用基板20を得る(図9(c))。
本発明によれば、サスペンション用積層体に対して、拡散層除去工程を行うことにより、配線層(ビア接続配線層)とジャンパー部の周囲に存在する金属支持基板との絶縁性が高いサスペンション用基板を得ることができる。
以下、本発明のサスペンション用基板の製造方法について、工程ごとに説明する。
1.積層体準備工程
本発明における積層体準備工程は、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された絶縁層と、上記絶縁層上に形成された配線層とを有し、上記金属支持基板および上記絶縁層の間には上記金属支持基板および上記絶縁層の成分が相互拡散した拡散層が形成され、上記配線層が上記絶縁層を貫通するビアと電気的に接続されたビア接続配線層を有し、二以上の上記ビアが上記金属支持基板の一部であるジャンパー部により電気的に接続されたサスペンション用積層体を準備する工程である。
本発明におけるサスペンション用積層体は、拡散層を除去する前のサスペンション用基板に相当するものである。サスペンション用積層体の製造方法は特に限定されるものではなく、アディティブ法を用いても良く、サブトラクティブ法を用いても良い。
図10は、サブトラクティブ法によるサスペンション用積層体の製造方法の一例を示す概略断面図である。なお、図10の左の列はジャンパー部を形成する部分を示し、図10の中央の列は、例えば素子との接続を行う第一端子部を形成する部分を示し、図10の右の列は、例えば外部回路基板との接続を行う第二端子部(フライングリード部)を形成する部分を示す。
図10においては、まず、金属支持部材1Xと、金属支持部材1X上に形成された絶縁部材2Xと、絶縁部材2X上に形成された導体部材3Xとを有する積層部材を準備する(図10(a−1)〜(a−3))。この積層部材は、製造段階での加熱処理により、拡散層7が生じている。次に、金属支持部材1Xおよび導体部材3Xの両面に、DFRを用いてレジストパターンを作製し、そのレジストパターンから露出する金属支持部材1Xおよび導体部材3Xをウェットエッチングする。これにより、ビア接続配線層3Aを含む配線層3を形成する(図10(b−1)〜(b−3))。この際、第二端子部を形成する位置の金属支持部材1Xも同時にエッチングする(図10(b−3))。
その後、配線層3を覆うカバー層4を形成する(図10(c−1)〜(c−3))。この際、ジャンパー部のビア、第一端子部および第二端子部を形成する位置のカバー層4に開口を設ける。次に、カバー層4を形成した部材の両面に所定のレジストパターンを形成し、そのレジストパターンから露出する絶縁部材2Xをウェットエッチングし、絶縁層2を形成する(図10(d−1)〜(d−3))。この際、ジャンパー部のビアおよび第二端子部を形成する位置の絶縁部材2Xをエッチングし除去する(図10(d−1)、(d−3))。次に、ビア接続配線層3Aの表面、ならびに、第一端子部および第二端子部を形成する位置の配線層3の表面に、めっき部10を形成する(図10(e−1)〜(e−3))。次に、ジャンパー部に電解めっき法によりビア5を形成する(図10(f−1)〜(f−3))。次に、ビア5を形成した部材の両面に所定のレジストパターンを形成し、そのレジストパターンから露出する金属支持部材1Xをウェットエッチングし、外形加工を行い、金属支持基板1を形成する(図10(g−1)〜(g−3))。これにより、サスペンション用積層体を得る。なお、図示していないが、金属支持部材1Xをウェットエッチングする際のレジストパターンが、上述した図9におけるレジストパターン8に該当する。
また、図10においては、種々のウェットエッチングを行っているが、ウェットエッチングに用いられるエッチング液は、各材料の特性を考慮して、適宜選択することが好ましい。例えば、金属支持基板にSUSを用いている場合、および、配線層に銅を用いている場合には、エッチング液として、例えば塩化鉄系エッチング液を用いることができる。また、絶縁層およびカバー層にポリイミド樹脂を用いている場合は、エッチング液として、例えばアルカリ系エッチング液(例えば有機アミン化合物および水酸化ナトリウムを含むエッチング液)を用いることができる。
また、上述した積層部材を用いてサスペンション用積層体を製造する場合、積層体準備工程は、例えば、(i)金属支持部材、絶縁部材および導体部材がこの順に積層した積層部材を準備する積層部材準備工程と、(ii)上記導体部材をエッチングし、ビア接続配線層を有する配線層を形成する配線層形成工程と、(iii)上記配線層から露出する上記絶縁部材をエッチングし、絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、(iv)上記絶縁層の開口に、上記ビア接続配線層および金属支持基板を電気的に接続するビアを形成するビア形成工程と、(v)上記金属支持部材をエッチングし、ジャンパー部を有する金属支持基板を形成する金属支持基板形成工程と、を少なくとも有する。さらに、積層体準備工程は、配線層を覆うカバー層を形成するカバー層形成工程、および、配線層の表面にめっき部を形成するめっき部形成工程の少なくとも一方をさらに有していても良い。
2.拡散層除去工程
次に、本発明における拡散層除去工程について説明する。本工程は、上記サスペンション用積層体の上記ジャンパー部を囲む上記拡散層をエッチングにより除去し、上記ジャンパー部と上記金属支持基板とを絶縁する工程である。
本発明においては、上述した図9に示すように、サスペンション用積層体21が、金属支持基板1を形成するためのレジストパターン8を有し、拡散層除去工程において、レジストパターン8から露出する拡散層7を除去することが好ましい。工程の簡略化を図ることができるからである。
拡散層を除去するためのエッチングとしては、例えばドライエッチングおよびウェットエッチングを挙げることができる。ドライエッチングには、異方性エッチングを容易に行うことができ、サイドエッチングが生じないという利点がある。また、ドライエッチングでは、エッチング時間とエッチング量とが線形的な関係を有することから、膜厚管理(エッチング量の管理)が容易であるという利点がある。一方、ウェットエッチングには、ドライエッチングに比べてエッチングレートが高いという利点がある。また、拡散層を除去する際に、拡散層の奥に存在する絶縁層を粗面化させるように、エッチングを行っても良い。絶縁層を粗面化させることにより、表面積が増え、抵抗値の増加を図ることができるからである。絶縁層を粗面化する方法は、ドライエッチングであっても良く、ウェットエッチングであっても良い。
本工程におけるドライエッチングは、拡散層を除去可能な方法であれば特に限定されるものではないが、例えばプラズマエッチングを挙げることができる。プラズマエッチング(反応性イオンエッチング)は、プラズマによりガスをイオン化・ラジカル化してエッチングを行うものである。プラズマエッチングに用いられるガスの種類は、特に限定されるものではないが、例えばOガス等を挙げることができる。さらに本発明においては、Oガスに、CFガス、NFガス、SFガス等のフッ素含有ガスを混合して、プラズマエッチングを行うことが好ましい。Oガスとフッ素含有ガスとの体積流量比は、特に限定されるものではないが、例えばOガス:フッ素含有ガス=60:40〜95:5の範囲内であることが好ましい。プラズマエッチング時の圧力は、例えば300mTorr以下であることが好ましく、100mTorr〜250mTorrの範囲内であることがより好ましい。
また、プラズマエッチング以外のドライエッチングとしては、例えば反応性ガスエッチング(例えばXeFガスを用いたエッチング)等を挙げることができる。
また、本発明においては、図9(b)に示したように、金属支持基板1を形成するためのレジストパターン8を有するサスペンション用積層体21に対して、ドライエッチングを行っても良いが、金属支持基板1のエッチングレートが十分に低い場合は、レジストパターン8を剥離した後に、ドライエッチングを行うことが好ましい。レジストパターンを剥膜してからドライエッチングを行うと、レジストからのアウトガスの影響がなくなり、真空排気時間を短縮できるからである。実際に真空排気時間を検討したところ、例えば50mTorrまで排気した場合、レジストを剥膜しない状態では10分程度必要であったのに対し、レジストを剥膜したものについては5分程度で排気可能であった。また、レジストパターンが有機物である場合、剥膜せずに有機物除去性の高い反応性ガスを用いたドライエッチングを行うと、反応性ガスがドライフィルムとの反応でも消費され、相対的に拡散層の除去に消費される反応性ガスの量が減少する。その結果、所望の抵抗値を得るための処理時間が長くなる。実際に処理時間を検討したところ、例えば抵抗値1×1011Ωを得るのに、レジストを剥膜しない状態では12分程度必要であるのに対し、レジストを剥膜したものについては2分程度まで短縮できた。
一方、本工程におけるウェットエッチングは、拡散層を除去可能な方法であれば特に限定されるものではない。本工程におけるウェットエッチングに用いられるエッチング液は、拡散層に含まれる成分によって異なるものであるが、アルカリ系エッチング液(例えば有機アミン化合物および水酸化ナトリウムを含むエッチング液)、酸系エッチング液(例えば過マンガン酸を含むエッチング液)等を挙げることができる。また、金属支持基板の材料がSUSである場合には、フェリシアン化カリウムを含むエッチング液を用いることが好ましい。クロム成分を効果的にエッチングできるからである。また、本工程でウェットエッチングを行う場合は、所定のレジストパターンを設けることが好ましく、図9(a)に示したように、レジストパターン6を有するサスペンション用積層体21に対して、ウェットエッチングを行うことが好ましい。また、本発明により得られるサスペンション用基板については、上記「A.サスペンション用基板」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
C.サスペンション
次に、本発明のサスペンションについて説明する。本発明のサスペンションは、上述したサスペンション用基板を含むことを特徴とするものである。
本発明によれば、上述したサスペンション用基板を用いることで、配線層(ビア接続配線層)とジャンパー部の周囲に存在する金属支持基板との絶縁性が高いサスペンションとすることができる。
図11は、本発明のサスペンションの一例を示す概略平面図である。図11に示されるサスペンション40は、上述したサスペンション用基板20と、素子実装領域11が形成されている表面とは反対側のサスペンション用基板20の表面に備え付けられたロードビーム30とを有するものである。
本発明のサスペンションは、少なくともサスペンション用基板を有し、通常は、さらにロードビームを有する。サスペンション用基板については、上記「A.サスペンション用基板」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、ロードビームは、一般的なサスペンションに用いられるロードビームと同様のものを用いることができる。
D.素子付サスペンション
次に、本発明の素子付サスペンションについて説明する。本発明の素子付サスペンションは、上述したサスペンションと、上記サスペンションの素子実装領域に実装された素子と、を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、上述したサスペンションを用いることで、配線層(ビア接続配線層)とジャンパー部の周囲に存在する金属支持基板との絶縁性が高い素子付サスペンションとすることができる。
図12は、本発明の素子付サスペンションの一例を示す概略平面図である。図12に示される素子付サスペンション50は、上述したサスペンション40と、サスペンション40の素子実装領域11に実装された素子41とを有するものである。
本発明の素子付サスペンションは、少なくともサスペンションおよび素子を有するものである。サスペンションについては、上記「C.サスペンション」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、素子実装領域に実装される素子としては、例えば、磁気ヘッドスライダ、アクチュエータ、半導体等を挙げることができる。また、上記アクチュエータは、磁気ヘッドを有するものであっても良く、磁気ヘッドを有しないものであっても良い。
E.ハードディスクドライブ
次に、本発明のハードディスクドライブについて説明する。本発明のハードディスクドライブは、上述した素子付サスペンションを含むことを特徴とするものである。
本発明によれば、上述した素子付サスペンションを用いることで、より高機能化されたハードディスクドライブとすることができる。
図13は、本発明のハードディスクドライブの一例を示す概略平面図である。図13に示されるハードディスクドライブ60は、上述した素子付サスペンション50と、素子付サスペンション50がデータの書き込みおよび読み込みを行うディスク51と、ディスク51を回転させるスピンドルモータ52と、素子付サスペンション50の素子を移動させるアーム53およびボイスコイルモータ54と、上記の部材を密閉するケース55とを有するものである。
本発明のハードディスクドライブは、少なくとも素子付サスペンションを有し、通常は、さらにディスク、スピンドルモータ、アームおよびボイスコイルモータを有する。素子付サスペンションについては、上記「D.素子付サスペンション」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、その他の部材についても、一般的なハードディスクドライブに用いられる部材と同様のものを用いることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を用いて、本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
まず、厚さ18μmのSUS304(金属支持部材)、厚さ10μmのポリイミド樹脂層(絶縁部材)、厚さ5μmの電解銅層(導体部材)を有する積層部材を準備した。次に、SUS側で位置精度が重要な治具孔と、電解銅側でビア接続配線層を含む配線層とを形成できるように、ドライフィルムを用いて同時にパターニングし、パターン状のレジストを形成した。その後、塩化第二鉄液を用いてエッチングし、エッチング後レジスト剥膜を行った。この際、2本のライト配線層がインターリーブ構造となるように、パターニングを行った。
次に、パターニングされた配線層上に、ポリイミド前駆体溶液をダイコーターでコーティングし、乾燥後、レジスト製版し現像と同時にポリイミド前駆体膜をエッチングし、その後、窒素雰囲気下、加熱することにより硬化(イミド化)させ、カバー層を形成した。カバー層は配線層を覆うように形成され、配線層上に形成されたカバー層の厚さは10μmであった。次に、配線層下の絶縁部材をパターニングするために、レジスト製版し、露出する部位のポリイミド樹脂をエッチング処理した。
次に、ライト配線層および金属支持部材を電気的に接続するビアを、Ni電解めっき法に形成した。次に、レジストパターンから露出する金属支持部材のエッチングを行い、ジャンパー部を有する金属支持基板を形成した。次に、レジストパターンを剥膜した後に、ジャンパー部の周囲の拡散層を、プラズマエッチングにより除去した。プラズマエッチングには、NFガスおよびOガスの混合ガス(体積流量比:NF/O=15/85)を用い、150mTorr、出力6000Wの条件で行った。これにより、サスペンション用基板を得た。
[実施例2]
プラズマエッチングの代わりに、フェリシアン化カリウムを含むエッチング液(30℃)を用いたウェットエッチングを行ったこと以外は、実施例1と同様にしてサスペンション用基板を得た。
[実施例3]
プラズマエッチングの代わりに、過マンガン酸カリウムを含むエッチング液(45℃)を用いたウェットエッチングを行ったこと以外は、実施例1と同様にしてサスペンション用基板を得た。
[比較例1]
プラズマエッチングを行わなかったこと以外は、実施例1と同様にしてサスペンション用基板を得た。
[評価1]
実施例1〜3で得られたサスペンション用基板において、拡散層除去処理時間に対する配線間抵抗の変化を測定した。ここで、配線間抵抗は、ライト配線層Wとライト配線層Wとの抵抗値である。拡散層が存在すると、ライト配線層Wのジャンパー部とその周囲に存在する金属支持基板との絶縁性、および、ライト配線層Wのジャンパー部とその周囲に存在する金属支持基板との絶縁性が、共に低くなることから、結果として、ライト配線層Wおよびライト配線層Wの配線間抵抗が小さくなる。配線間抵抗の拡散層除去処理時間に対する変化の結果を図14〜図16に示す。
図14〜図16に示されるように、エッチングの処理時間が長くなる程、配線間抵抗の値が大きくなり、配線層とジャンパー部の周囲に存在する金属支持基板との絶縁性が高くなることが確認された。なお、比較例1では、拡散層を除去していないため、配線間抵抗は1×10Ωであった。
次に、実施例1で得られたサスペンション用基板において、金属割合に対する配線間抵抗の変化を測定した。金属割合は、XPSにより測定した。その結果を図17および図18に示す。図17に示すように、FeおよびCrの合計の割合が16at%以下である場合に、1×10Ω以上の抵抗値を得られた。同様に、図18に示すように、Crの合計の割合が10at%以下である場合に、1×10Ω以上の抵抗値を得られた。
また、図19は、実施例1で得られたサスペンション用基板における、拡散層除去部および拡散層残存部を示すSEM写真である。図19に示されるように、拡散層除去部は、チャージアップの影響により、拡散層残存部よりも暗く見えた。このように、SEMを用いることにより、拡散層が除去されているか否かを判断することができた。
1…金属支持基板、 2…絶縁層、 3…配線層、3A…ビア接続配線層、 4…カバー層、 5…ビア、 6…ジャンパー部、 7…拡散層、 8…レジストパターン、 9…ドライエッチング、 10…めっき部、 11…素子実装領域、 12…外部回路基板接続領域、 13…配線層、 20…サスペンション用基板、 21…サスペンション用積層体

Claims (8)

  1. 金属支持基板と、前記金属支持基板上に形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成された配線層とを有するサスペンション用基板であって、
    前記金属支持基板および前記絶縁層の間には、前記金属支持基板および前記絶縁層の成分を含む拡散層が存在し、
    前記配線層が、前記絶縁層を貫通するビアと電気的に接続されたビア接続配線層を有し、
    二以上の前記ビアが、前記金属支持基板の一部であるジャンパー部により電気的に接続され、
    前記ジャンパー部を囲む位置には、前記拡散層が存在しない、若しくは、前記ジャンパー部とその周囲に存在する前記金属支持基板との間の抵抗値が1×10Ω以上を示す厚さまで薄化された拡散層が存在し、
    前記ジャンパー部と前記金属支持基板とが絶縁されていることを特徴とするサスペンション用基板。
  2. 前記ジャンパー部を囲む前記拡散層が存在しない位置の前記絶縁層が、前記ジャンパー部を囲む位置以外の位置の前記絶縁層よりも、厚さ方向において0.01μm以上薄いことを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用基板。
  3. 前記ビア接続配線層が、リード配線層またはライト配線層として機能する第一配線層および第二配線層であり、
    前記第一配線層および第二配線層は、それぞれ、一または二以上の分岐配線層を有し、
    第一配線層に属する配線層と、前記第二配線層に属する配線層とが交互に配置されたインターリーブ構造が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のサスペンション用基板。
  4. 前記ビア接続配線層がノイズシールド用配線層であり、前記ノイズシールド用配線層がリード配線層およびライト配線層の外側に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のサスペンション用基板。
  5. 前記ビア接続配線層が、前記ノイズシールド用配線層の他に、クロストーク防止用配線層を有し、前記クロストーク防止用配線層が前記リード配線層および前記ライト配線層の間に配置され、前記ノイズシールド用配線層のビアと、前記クロストーク防止用配線層のビアとが、同一の前記ジャンパー部により電気的に接続されていることを特徴とする請求項4に記載のサスペンション用基板。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板を含むことを特徴とするサスペンション。
  7. 請求項6に記載のサスペンションと、前記サスペンションの素子実装領域に実装された素子と、を有することを特徴とする素子付サスペンション。
  8. 請求項7に記載の素子付サスペンションを含むことを特徴とするハードディスクドライブ。
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