JP6178063B2 - 荷電粒子偏向装置、荷電粒子照射装置、荷電粒子加速器、及び、荷電粒子偏向装置の製造方法 - Google Patents

荷電粒子偏向装置、荷電粒子照射装置、荷電粒子加速器、及び、荷電粒子偏向装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、荷電粒子偏向装置、荷電粒子照射装置、荷電粒子加速器、及び、荷電粒子偏向装置の製造方法に関する。
荷電粒子偏向装置は、偏向電磁石を構成する一対の磁極の間に真空ダクトが設置されており、偏向電磁石により形成される磁場によって、真空ダクトの内部を進行する荷電粒子ビームの進行方向を変化させる。
荷電粒子偏向装置は、たとえば、癌患者を治療する粒子線治療装置の照射部(荷電粒子照射装置)に備えられており、癌患者の治療部位に荷電粒子ビームを照射するために、荷電粒子ビームを偏向させる。
また、荷電粒子偏向装置は、たとえば、粒子線治療装置に設けられたシンクロトロンなどの荷電粒子加速器に設置されており、環状の真空ダクトの内部において荷電粒子ビームが周回するように、荷電粒子ビームを偏向させる。荷電粒子加速器は、粒子線治療装置の他に、物理研究などの分野で用いられている。
荷電粒子偏向装置において、真空ダクトは、磁場の変動によって渦電流が発生して、偏向が不安定になることを抑制するために、肉厚が薄く形成されている。そして、真空ダクトは、外圧によって変形することを防止するために、複数の補強リブが外周面に設けられている(たとえば、特許文献1,2,3参照)。
特開平5−326191号公報 特開2010−80062号公報 特開2010−49965号公報
しかしながら、上記のように、荷電粒子偏向装置では、真空ダクトに補強リブが設けられているために、一対の磁極の間は、距離が長くなる。その結果、一対の磁極の間の距離に比例して偏向電磁石のコイルに流す電流を大きくすることが必要になるので、コイルにおいて消費される消費電力量は、一対の磁極間の距離の二乗に比例して増える。
このような事情により、荷電粒子偏向装置においては、真空ダクトの変形を防止して装置の信頼性を向上することと、消費電力を低減することとを両立させることが容易でない。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、高い信頼性を実現することができ、消費電力を低減することができる、荷電粒子偏向装置、荷電粒子照射装置、荷電粒子加速器、及び、荷電粒子偏向装置の製造方法を提供することである。
本実施形態の荷電粒子偏向装置は、真空ダクトの内部を荷電粒子ビームが進行する。偏向電磁石において鉄心に設けられた第1磁極と第2磁極との間に、真空ダクトが設置されている。鉄心は、第1鉄心部材の側方鉄心部と第2鉄心部材の側方鉄心部とが接して構成され、第1鉄心部材の第1磁極と第2鉄心部材の第2磁極との間において第1磁極面と第2磁極面とが空間を形成して対面している。真空ダクトは、第1磁極面と第2磁極面によって形成された空間に設置され、第1磁極面および第2磁極面に接着されている。
本発明によれば、高い信頼性を実現することができ、消費電力を低減することができる、荷電粒子偏向装置、荷電粒子照射装置、荷電粒子加速器、及び、荷電粒子偏向装置の製造方法を提供することができる。
図1は、第1実施形態において、粒子線治療装置を模式的に示す図である。 図2は、第1実施形態に係る粒子線治療装置において、照射部に備えられた偏向部を示す斜視図である。 図3は、第1実施形態に係る粒子線治療装置において、照射部に備えられた偏向部を示す断面図である。 図4は、第1実施形態に係る粒子線治療装置において、照射部に備えられた偏向部を製造する方法について示す断面図である。 図5は、第1実施形態に係る粒子線治療装置において、照射部に備えられた偏向部を製造する方法について示す断面図である。 図6は、第1実施形態に係る粒子線治療装置において、照射部に備えられた偏向部を製造する方法について示す断面図である。 図7は、第1実施形態に係る粒子線治療装置において、照射部に備えられた偏向部を製造する方法について示す断面図である。 図8は、第2実施形態に係る粒子線治療装置において、照射部に備えられた偏向部を示す断面図である。 図9は、第2実施形態に係る粒子線治療装置において、偏向部を構成する真空ダクトを分解して示す斜視図である。 図10は、第2実施形態に係る粒子線治療装置において、照射部に備えられた偏向部を製造する方法について示す断面図である。 図11は、第2実施形態に係る粒子線治療装置において、照射部に備えられた偏向部を製造する方法について示す断面図である。 図12は、第3実施形態に係る粒子線治療装置において、照射部に備えられた偏向部を示す上面図である。 図13は、第3実施形態に係る粒子線治療装置において、照射部に備えられた偏向部を示す断面図である。 図14は、第3実施形態に係る粒子線治療装置において、照射部に備えられた偏向部を示す断面図である。 図15は、第3実施形態に係る粒子線治療装置において、偏向部に備えられた真空ダクトを示す図である。図15において、(a)は、上面図であり、(b)は、正面図であり、(c)は、側面図である。 図16は、第3実施形態に係る粒子線治療装置において、照射部に備えられた偏向部を製造する方法について示す断面図である。 図17は、第3実施形態に係る粒子線治療装置において、照射部に備えられた偏向部を製造する方法について示す断面図である。 図18は、第4実施形態に係る粒子線治療装置において、照射部に備えられた偏向部を示す断面図である。 図19は、第5実施形態に係る粒子線治療装置において、照射部に備えられた偏向部を示す断面図である。
<第1実施形態>
[A]全体構成
図1は、第1実施形態において、粒子線治療装置を模式的に示す図である。
粒子線治療装置は、図1に示すように、入射部1、主加速部2(荷電粒子加速器)、及び照射部3(荷電粒子照射装置)を備えている。
粒子線治療装置では、入射部1から入射された荷電粒子を主加速部2が加速させて照射部3へ出射し、照射部3が荷電粒子を、治療台(図示省略)に固定された患者(図示省略)に照射する。粒子線治療装置を構成する各部は、制御部(図示省略)から出力された制御信号に応じて動作する。
以下より、粒子線治療装置を構成する各部の詳細について順次説明する。
[A−1]入射部1
粒子線治療装置において、入射部1は、図1に示すように、イオン源11と入射用加速器12とを備えている。
入射部1では、イオン源11が荷電粒子を生成し、そのイオン源11によって生成された荷電粒子を入射用加速器12が加速して、主加速部2に荷電粒子ビームとして供給する。
[A−2]主加速部2
粒子線治療装置において、主加速部2は、シンクロトロンであって、図1に示すように、真空ダクト20と入射用電磁石21と高周波加速装置22と偏向電磁石23と四極電磁石24と出射用電磁石25とを備えている。
主加速部2のうち、真空ダクト20は、環状の管状体であって、入射部1から入射された荷電粒子ビームが真空状態の内部を進行する。
入射用電磁石21は、真空ダクト20の直線部分に設置されており、入射部1から荷電粒子ビームを真空ダクト20の内部に導く。
高周波加速装置22は、真空ダクト20の直線部分に設置されており、真空ダクト20の内部を進行する荷電粒子ビームを加速させる。
偏向電磁石23は、真空ダクト20の湾曲部分に設置されており、真空ダクト20の内部を進行する荷電粒子ビームを偏向させる。
四極電磁石24は、真空ダクト20の直線部分において、偏向電磁石23を一対で挟むように設置されており、真空ダクト20の内部を進行する荷電粒子ビームを収束または発散させる。
出射用電磁石25は、真空ダクト20の直線部分に設置されており、主加速部2から荷電粒子ビームを照射部3へ導く。
[A−3]照射部3
粒子線治療装置において、照射部3は、図1に示すように、偏向部31(荷電粒子偏向装置)を備えており、主加速部2から出射された荷電粒子ビームの進行方向を偏向部31が変化させて、患者の治療部位に荷電粒子ビームを照射する。
また、照射部3では、照射した荷電粒子ビームの線量を線量モニタ(図示省略)が計測し、その計測結果に応じてビームシャッタ(図示省略)の動作が制御される。
[B]偏向部31の詳細構成
図2,図3は、第1実施形態に係る粒子線治療装置において、照射部に備えられた偏向部を示す図である。
図2は、斜視図であり、図3は、断面図であって、荷電粒子ビームの進行方向に対して垂直な面を示している。
図2,図3に示すように、偏向部31は、真空ダクト4と偏向電磁石5とを備えている。偏向部31では、主加速部2(図1参照)から出射された荷電粒子ビームが、真空ダクト4の内部を進行する。そして、偏向部31では、真空ダクト4の内部を進行する荷電粒子ビームに対して、偏向電磁石5が磁場を印加することによって、荷電粒子ビームを偏向させる。
[B−1]真空ダクト4
偏向部31において、真空ダクト4は、図2,図3に示すように、直線状に延在した管状体であって、真空状態にされる。真空ダクト4では、主加速部2(図1参照)から入射された荷電粒子ビームが、真空状態の内部を進行する。
真空ダクト4は、断面がレーストラック形状であって、一対の平面部41と一対の湾曲面部42とを含み、一対の平面部41と一対の湾曲面部42とが一体に形成されている。真空ダクト4において、平面部41は、一対が垂直方向にて間を隔てて対面している。そして、湾曲面部42は、円弧状であって、水平方向にて間を隔てて対面している。
本実施形態では、真空ダクト4は、平面部41と湾曲面部42との両者の厚みが互いに同じである。
[B−2]偏向電磁石5
偏向部31において、偏向電磁石5は、H型電磁石であって、図2,図3に示すように、鉄心6と励磁部7とを備えている。
[B−2−1]鉄心6
偏向電磁石5のうち、鉄心6は、図2,図3に示すように、第1磁極63Aと第2磁極63Bとを有し、第1磁極63Aと第2磁極63Bとの間に真空ダクト4が設置されている。
本実施形態では、鉄心6は、第1鉄心部材6Aと第2鉄心部材6Bとを備えており、第1鉄心部材6Aと第2鉄心部材6Bとの組み合わせ体である。
鉄心6において、第1鉄心部材6Aは、第1磁極63Aの他に、下方鉄心部61Aと側方鉄心部62Aとを含み、下方鉄心部61Aの上面に側方鉄心部62Aと第1磁極63Aとが設けられている。
具体的には、下方鉄心部61Aの上面において両側端に位置する部分に、一対の側方鉄心部62Aが上方へ突き出るように設けられている。そして、下方鉄心部61Aの上面において中央に位置する部分に、第1磁極63Aが上方へ突き出るように設けられている。第1磁極63Aは、一対の側方鉄心部62Aから間を隔てられており、一対の側方鉄心部62Aよりも高さが低い。
一方で、第2鉄心部材6Bは、第2磁極63Bの他に、上方鉄心部61Bと側方鉄心部62Bとを含み、上方鉄心部61Bの下面に側方鉄心部62Bと第2磁極63Bとが設けられている。
具体的には、上方鉄心部61Bの下面において両側端に位置する部分に、一対の側方鉄心部62Bが下方へ突き出るように設けられている。そして、上方鉄心部61Bの下面において中央に位置する部分に、第2磁極63Bが下方へ突き出るように設けられている。第2磁極63Bは、一対の側方鉄心部62Bから間を隔てられており、一対の側方鉄心部62Bよりも高さが低い。
鉄心6においては、第1鉄心部材6Aの側方鉄心部62Aと、第2鉄心部材6Bの側方鉄心部62Bとが接している。そして、第1鉄心部材6Aの第1磁極63Aと、第2鉄心部材6Bの第2磁極63Bとの間においては、第1磁極面64Aと第2磁極面64Bとが間を隔てて対面している。そして、第1磁極面64Aと第2磁極面64Bとの間に設けられた空間には、真空ダクト4が設置されている。
本実施形態では、第1磁極面64Aと第2磁極面64Bとのそれぞれに真空ダクト4の外側の面が接している。具体的には、第1鉄心部材6Aに設けられた第1磁極63Aの第1磁極面64Aに、真空ダクト4において下側に位置する平面部41の下面が接している。また、第2鉄心部材6Bに設けられた第2磁極63Bの第2磁極面64Bに、真空ダクト4において上側に位置する平面部41の上面が接している。
[B−2−2]励磁部7
偏向電磁石5のうち、励磁部7は、図2,図3に示すように、第1コイル7Aと第2コイル7Bとを備えており、鉄心6の第1磁極63Aと第2磁極63Bとのそれぞれに設置されている。
具体的には、第1コイル7Aは、第1鉄心部材6Aに設けられた第1磁極63Aの側部の周りを囲っている。一方で、第2コイル7Bは、第2鉄心部材6Bに設けられた第2磁極63Bの側部を囲っている。
励磁部7では、第1コイル7Aと第2コイル7Bとに外部から電流が供給されることによって、第1磁極63Aと第2磁極63Bとの間に磁場を形成する。
[C]偏向部31の製造方法
図4から図7は、第1実施形態に係る粒子線治療装置において、照射部に備えられた偏向部を製造する方法について示す図である。
図4から図7では、図3と同様に、荷電粒子ビームの進行方向に対して垂直な断面を示しており、各図に示す工程を順次実施することによって、上記の偏向部31を製造する。以下より、偏向部31を製造する各工程について順次説明する。
[C−1]第1鉄心部材6Aと第2鉄心部材6Bとの準備
まず、図4に示すように、第1鉄心部材6Aと第2鉄心部材6Bとを準備する。
本工程では、たとえば、図4に示す断面形状に加工された珪素鋼板を、複数、積み重ねることによって形成された積層体を、第1鉄心部材6A及び第2鉄心部材6Bとして準備する。珪素鋼板は、たとえば、厚みが0.5mm程度であり、渦電流の低減のために、絶縁性の接着樹脂を用いて複数が接着されて積層されている。
[C−2]第1コイル7Aと第2コイル7Bとの設置
つぎに、図5に示すように、第1コイル7Aと第2コイル7Bとを設置する。
本工程では、第1鉄心部材6Aに設けられた第1磁極63Aの側部の周りに、第1コイル7Aを設置する。そして、第2鉄心部材6Bに設けられた第2磁極63Bの側部の周りに、第2コイル7Bを設置する。
[C−3]第1鉄心部材6Aと第2鉄心部材6Bとの突き合わせ
つぎに、図6に示すように、第1鉄心部材6Aと第2鉄心部材6Bとを互いに突き合わせる。
本工程では、第1鉄心部材6Aの下方鉄心部61Aにおいて側方鉄心部62A及び第1磁極63Aが設けられた面と、第2鉄心部材6Bの上方鉄心部61Bにおいて側方鉄心部62B及び第2磁極63Bが設けられた面とを対面させ、その後、両者を接近させる。そして、第1鉄心部材6Aと第2鉄心部材6Bとを接合することによって、鉄心6(図3参照)を形成する。
[C−4]真空ダクト4の設置
つぎに、図7に示すように、真空ダクト4を設置する。
ここでは、鉄心6に設けられている第1磁極63Aと第2磁極63Bとの間に、真空ダクト4を挿入し、設置する。
本工程では、渦電流の発生を抑制するために、真空ダクト4として、厚みが、たとえば、0.3mm程度の薄肉であって、ステンレス鋼などの非磁性金属材料で形成されたものを準備する。
そして、真空ダクト4において第1磁極63Aの第1磁極面64Aに接する面、及び、第2磁極63Bの第2磁極面64Bに接する面に、熱硬化性の接着樹脂を塗布する。つまり、真空ダクト4において平面部41の外側の面に接着樹脂を塗布する。接着樹脂については、平面部41の外側の面の全体を塗布する必要はなく、接着強度が十分である場合には、一部のみに塗布してもよい。
そして、熱硬化性の接着樹脂が塗布された真空ダクト4を、第1磁極面64Aと第2磁極面64Bとの間に挿入して設置する。
そして、第1磁極面64Aと第2磁極面64Bとの間において真空ダクト4の内部を加圧することによって、真空ダクト4を第1磁極面64Aと第2磁極面64Bとに密着させる。
その後、真空ダクト4の内部を加圧した状態で熱処理を行うことによって、熱硬化性の接着樹脂を熱硬化させる。本工程においては、たとえば、下記の熱硬化性接着樹脂を用いて、下記の熱処理条件で熱処理を行う。熱処理の実施においては、初期温度から熱処理温度に一定の割合で高めた後に、所定時間、熱処理温度を一定に保持する。そして、熱処理温度から初期温度へ一定の割合で温度を低下させる。
・熱硬化性接着樹脂:熱可塑性エポキシ樹脂(エポキシ系)、無機接着剤(たとえば、金属アルコキシドをバインダーとしたもの)
・熱処理温度:100〜120℃
・熱処理時間:2〜5時間
このようにして、図3に示したように、真空ダクト4を第1磁極面64Aと第2磁極面64Bとに固定して、偏向部31を完成させる。
[D]まとめ
以上のように、本実施形態の偏向部31においては、真空ダクト4の内部を荷電粒子ビームが進行する。そして、偏向電磁石5において、鉄心6に設けられた第1磁極63Aと第2磁極63Bとの間に、真空ダクト4が設置されている。真空ダクト4は、第1磁極63Aにおいて第2磁極63Bに対面する第1磁極面64A、および、第2磁極63Bにおいて第1磁極63Aに対面する第2磁極面64Bの両者に接している。ここでは、真空ダクト4は、断面がレーストラック形状であって、平面部41が第1磁極面64Aおよび第2磁極面64Bに接して固定されている。
したがって、本実施形態は、真空ダクト4の内部が真空状態になったときでも、真空ダクト4が変形することを防止できる。そして、真空ダクト4に補強リブを設ける必要がないので、第1磁極面64Aと第2磁極面64Bとの間の距離を短くすることができる。その結果、第1コイル7Aと第2コイル7Bとにおいて消費される消費電力量を低減することができる。
本実施形態においては、真空ダクト4は、熱硬化性接着樹脂を用いて、第1磁極面64Aおよび第2磁極面64Bに接着されている。このため、真空ダクト4が高温になった場合でも、接着樹脂が軟化せず、真空ダクト4が第1磁極面64Aおよび第2磁極面64Bに強固に固定された状態を保持できる。
本実施形態において偏向部31を製造する際には、真空ダクト4において第1磁極面64Aと第2磁極面64Bとに接する面に熱硬化性接着樹脂を塗布した後に、その真空ダクト4を第1磁極面64Aと第2磁極面64Bとの間に設置する。そして、第1磁極面64Aと第2磁極面64Bとの間において真空ダクト4の内部を加圧した状態で熱処理を行うことによって、熱硬化性接着樹脂を熱硬化させる。このため、本実施形態では、真空ダクト4を第1磁極面64Aおよび第2磁極面64Bに対して強固に固定できる。
[E]変形例
本実施形態では、断面がレーストラック形状である真空ダクト4において、平面部41と湾曲面部42との両者が、同じ厚みである場合について示したが、これに限らない。真空ダクト4として、平面部41よりも湾曲面部42の方が厚いものを用いてもよい。この場合には、湾曲面部42は、第1磁極63Aと第2磁極63Bとの間に発生する磁場に対して鎖交する面の面積が小さく、渦電流の影響が小さい。このため、偏向部31では、湾曲面部42が平面部41よりも厚い場合であっても、荷電粒子ビームを正確に偏向させることができる。そして、湾曲面部42が厚いので、真空ダクト4の機械的強度を向上することができる。
本実施形態では、真空ダクト4の断面がレーストラック形状である場合について示したが、これに限らない。真空ダクト4の断面が、他の形状であってもよい。
本実施形態では、図1に示す粒子線治療装置のうち、照射部3に備えられた偏向部31の詳細について示したが、これに限らない。図1に示す主加速部2において、真空ダクト20に偏向電磁石23が設けられた部分を、上記と同様に構成してもよい。
本実施形態では、粒子線治療装置の場合について示したが、これに限らない。物理研究に用いる装置の偏向部について、上記と同様に構成してもよい。
<第2実施形態>
[A]偏向部31の詳細構成
図8は、第2実施形態に係る粒子線治療装置において、照射部に備えられた偏向部を示す図である。
図8は、図3と同様に、断面図であって、荷電粒子ビームの進行方向に対して垂直な面を示している。
図8に示すように、本実施形態においては、真空ダクト4が第1実施形態の場合(図3参照)と異なる。本実施形態は、上記の点、および、関連する点を除き、第1実施形態の場合と同様である。このため、本実施形態において上記の実施形態と重複する個所については、適宜、記載を省略する。
真空ダクト4は、図8に示すように、第1ダクト部材4Aと第2ダクト部材4Bとを備えている。真空ダクト4は、第1ダクト部材4Aと第2ダクト部材4Bとが互いに組み合された組合せ体であって、断面がレーストラック形状である。
図9は、第2実施形態に係る粒子線治療装置において、偏向部を構成する真空ダクトを分解して示す斜視図である。
真空ダクト4のうち、第1ダクト部材4Aは、図9に示すように、平面部41Aと、一対の湾曲面部42Aと、一対の接合部43Aとを含み、各部が一体に形成されている。第1ダクト部材4Aにおいては、平面部41Aの端部に円弧状の湾曲面部42Aが設けられている。そして、湾曲面部42Aにおいて平面部41Aが位置する一端部に対して反対に位置する他端部には、接合部43Aが設けられている。接合部43Aは、平面部41Aの上方において平面部41Aに沿って延在している。
真空ダクト4のうち、第2ダクト部材4Bは、図9に示すように、第1ダクト部材4Aと同様に、平面部41Bと、一対の湾曲面部42Bと、一対の接合部43Bとを含み、各部が一体に形成されている。第2ダクト部材4Bにおいては、平面部41Bの端部に円弧状の湾曲面部42Bが設けられている。そして、湾曲面部42Bにおいて平面部41Bが位置する一端部に対して反対に位置する他端部には、接合部43Bが設けられている。接合部43Bは、平面部41Bの下方において平面部41Bに沿って延在している。
真空ダクト4では、第1ダクト部材4Aの平面部41Aと、第2ダクト部材4Bの平面部41Bとが、空間を隔てて対面している。これと共に、第1ダクト部材4Aの湾曲面部42Aと、第2ダクト部材4Bの湾曲面部42Bとが、空間を隔てて対面している。そして、第1ダクト部材4Aの接合部43Aと、第2ダクト部材4Bの接合部43Bとが、互いに対面して接合されている(図8参照)。
[B]偏向部31の製造方法
図10,図11は、第2実施形態に係る粒子線治療装置において、照射部に備えられた偏向部を製造する方法について示す図である。
図10,図11では、図8と同様に、荷電粒子ビームの進行方向に対して垂直な断面を示しており、各図に示す工程を順次実施することによって、上記の偏向部31を製造する。以下より、偏向部31を製造する各工程について順次説明する。
[B−1]第1ダクト部材4Aと第2ダクト部材4Bとの設置
本実施形態では、図10に示すように、第1ダクト部材4Aと第2ダクト部材4Bとを設置する。
ここでは、本工程を行う前に、第1実施形態の場合と同様に、第1鉄心部材6A及び第2鉄心部材6Bの準備(図4参照)、第1コイル7A及び第2コイル7Bの設置(図5参照)を、順次、行う。この他に、第1ダクト部材4A及び第2ダクト部材4Bを準備する。
そして、図10に示すように、第1ダクト部材4Aを第1鉄心部材6Aに設置する。具体的には、第1実施形態の場合と同様に、熱硬化性の接着樹脂を用いて、第1鉄心部材6Aの第1磁極面64Aに、第1ダクト部材4Aの平面部41Aを接着する。
これと同様に、第2ダクト部材4Bを第2鉄心部材6Bに設置する。つまり、熱硬化性の接着樹脂を用いて、第2鉄心部材6Bの第2磁極面64Bに、第2ダクト部材4Bの平面部41Bを接着する。
[B−2]第1ダクト部材4Aと第2ダクト部材4Bとの接合
つぎに、図11に示すように、第1ダクト部材4Aと第2ダクト部材4Bとを接合する。
本工程では、第1鉄心部材6Aの下方鉄心部61Aにおいて側方鉄心部62A及び第1磁極63Aが設けられた面と、第2鉄心部材6Bの上方鉄心部61Bにおいて側方鉄心部62B及び第2磁極63Bが設けられた面とを対面させ、その後、両者を接近させて組み合わせる。これにより、第1ダクト部材4Aと第2ダクト部材4Bとが互いに接近して組み合わされ、第1ダクト部材4Aの接合部43Aと、第2ダクト部材4Bの接合部43Bとが接する。
この状態で、第1鉄心部材6Aと第2鉄心部材6Bとの間を接合することによって、鉄心6(図8参照)を形成する。
そして、第1ダクト部材4Aと第2ダクト部材4Bとの間を接合することによって、真空ダクト4を形成する。ここでは、第1ダクト部材4Aの接合部43Aと第2ダクト部材4Bの接合部43Bとの間を溶接する。
このようにして、図8に示したように、偏向部31を完成させる。
[C]まとめ
以上のように、本実施形態の偏向部31では、真空ダクト4は、第1磁極面64Aに接する第1ダクト部材4Aと、第2磁極面64Bに接する第2ダクト部材4Bとを含む。そして、第1ダクト部材4Aと第2ダクト部材4Bとの間が溶接によって接合されている。第1ダクト部材4Aは、第1鉄心部材6Aに設けられた第1磁極63Aの第1磁極面64Aに接して固定されている。また、第2ダクト部材4Bは、第2鉄心部材6Bに設けられた第2磁極63Bの第2磁極面64Bに接して固定されている。
本実施形態においては、第1実施形態と同様に、真空ダクト4は、第1磁極63Aの第1磁極面64Aおよび第2磁極63Bの第2磁極面64Bに接している。したがって、本実施形態は、第1実施形態の場合と同様に、真空ダクト4の変形を防止できると共に、消費電力量の低減を実現できる。
本実施形態において偏向部31を製造する際には、第1磁極面64Aに第1ダクト部材4Aを設置すると共に、第2磁極面64Bに第2ダクト部材4Bを設置する。その後、第1鉄心部材6Aと第2鉄心部材6Bとを組み合わせて接合することによって鉄心6を形成すると共に、第1ダクト部材4Aと第2ダクト部材4Bとを組み合わせて接合することによって真空ダクト4を形成する。このため、本実施形態では、第1ダクト部材4Aおよび第2ダクト部材4Bを正確な位置に合わせて設置することが容易にできる。
<第3実施形態>
[A]偏向部31の詳細構成
図12から図14は、第3実施形態に係る粒子線治療装置において、照射部に備えられた偏向部を示す図である。
図12は、上面図である。図13は、図3と同様に、断面図であって、図12のX−X部分の断面を示している。図14は、断面図であって、図12のY−Y部分の断面を示している。
図15は、第3実施形態に係る粒子線治療装置において、偏向部に備えられた真空ダクトを示す図である。図15において、(a)は、上面図であり、(b)は、正面図であり、(c)は、側面図である。
各図に示すように、本実施形態では、鉄心6に第1貫通口65Aと第2貫通口65Bが設けられている。また、真空ダクト4に第1固定部44Aと第2固定部44Bが設置されている。この他に、第1締結部材45Aと第2締結部材45Bとを備える。本実施形態は、上記の点、および、関連する点を除き、第1実施形態の場合と同様である。このため、本実施形態において上記の実施形態と重複する個所については、適宜、記載を省略する。
[A−1]第1貫通口65A及び第2貫通口65Bについて
第1貫通口65Aと第2貫通口65Bとのそれぞれは、図12から図14に示すように、鉄心6に形成されており、複数が真空ダクト4の軸方向に沿って等間隔に並んでいる。
具体的には、第1貫通口65Aは、第1鉄心部材6Aのうち、第1磁極63Aが設けられた部分において、第1磁極面64Aと下面との間を貫通するように形成されている。また、第2貫通口65Bは、第2鉄心部材6Bのうち、第2磁極63Bが設けられた部分において、第2磁極面64Bと上面との間を貫通するように形成されている。
本実施形態では、第1貫通口65Aと第2貫通口65Bとの両者が、真空ダクト4の軸方向において、同じ位置に設けられている。
[A−2]第1固定部44A及び第2固定部44Bについて
第1固定部44Aと第2固定部44Bとのそれぞれは、図15に示すように、矩形形状の固定金具であって、真空ダクト4に設置されており、複数が真空ダクト4の軸方向に沿って等間隔に並んでいる。
具体的には、第1固定部44Aは、真空ダクト4において下方に位置する平面部41の下面に設置されており、平面部41の下面から凸状に突き出ている。第2固定部44Bは、真空ダクト4において上方に位置する平面部41の上面に設置されており、平面部41の上面から凸状に突き出ている。また、第1固定部44Aと第2固定部44Bとの両者は、メネジ部44Mが複数設けられている。
本実施形態では、第1固定部44Aと第2固定部44Bとの両者は、真空ダクト4の上面と下面とのそれぞれにおいて、真空ダクト4の軸方向において同じ位置に設置されている。
また、図12から図14に示すように、複数の第1固定部44Aは、真空ダクト4の軸方向において、複数の第1貫通口65Aと同じピッチで並んでおり、第1貫通口65Aの内部に挿入されている。同様に、複数の第2固定部44Bは、真空ダクト4の軸方向において、複数の第2貫通口65Bと同じピッチで並んでおり、第2貫通口65Bの内部に挿入されている。
[A−3]第1締結部材45A及び第2締結部材45Bについて
第1締結部材45Aと第2締結部材45Bとのそれぞれは、図12から図14に示すように、オネジであって、円柱状の軸の一端(ネジ先側)にネジ山が形成されており、他端に頭部が設けられている。第1締結部材45Aおよび第2締結部材45Bは、第1貫通口65Aおよび第2貫通口65Bの内部に設置されている。そして、第1締結部材45Aおよび第2締結部材45Bは、頭部が第1座金46Aおよび第2座金46Bを介して、鉄心6の外側の面に位置し、軸の一端が第1固定部44Aおよび第2固定部44Bのメネジ部44Mに取付けられている。
具体的には、第1鉄心部材6Aの下面において第1貫通口65Aの一部を覆うように第1座金46Aが設置されており、第1締結部材45Aは、その第1座金46Aに形成された孔に軸が貫通された後に、軸の一端が第1固定部44Aのメネジ部44Mに締結されている。また、第2鉄心部材6Bの上面において第2貫通口65Bの一部を覆うように第2座金46Bが設置されており、第2締結部材45Bは、その第2座金46Bに形成された孔に軸が貫通された後に、軸の一端が第2固定部44Bのメネジ部44Mに締結されている。
[B]偏向部31の製造方法
図16,図17は、第3実施形態に係る粒子線治療装置において、照射部に備えられた偏向部を製造する方法について示す図である。
図16,図17では、図13と同様に、荷電粒子ビームの進行方向に対して垂直な断面を示しており、各図に示す工程を順次実施することによって、上記の偏向部31を製造する。以下より、偏向部31を製造する各工程について順次説明する。
[B−1]真空ダクト4の設置
本実施形態では、図16に示すように、真空ダクト4を第1鉄心部材6Aに設置する。
ここでは、本工程を行う前に、第1実施形態の場合と同様に、第1鉄心部材6A及び第2鉄心部材6Bの準備(図4参照)を行う。本実施形態では、第1鉄心部材6A及び第2鉄心部材6Bにおいて、第1貫通口65A及び第2貫通口65Bが形成される部分については、図13に示した断面形状の珪素鋼板を用いる。このようにして、第1貫通口65Aが形成された第1鉄心部材6A、及び、第2貫通口65Bが形成された第2鉄心部材6Bを準備する。その後、第1実施形態の場合と同様に、第1コイル7A及び第2コイル7Bの設置(図5参照)を行う。
そして、上述したように、真空ダクト4の外側の面に第1固定部44Aと第2固定部44Bとの両者を設置する。
その後、図16に示すように、真空ダクト4に設置された第1固定部44Aを、第1鉄心部材6Aの第1貫通口65Aに第1磁極面64Aの側から挿入する。その後、第1鉄心部材6Aにおいて第1磁極面64Aに対して反対側の面に、第1座金46Aを設置する。ここでは、第1座金46Aが第1貫通口65Aの一部を覆うように、第1座金46Aを設置する。そして、第1座金46Aに形成された孔に第1締結部材45Aの軸を貫通させた後に、第1締結部材45Aを第1固定部44Aのメネジ部44Mに取り付けて固定する。
[B−2]第2鉄心部材6Bの設置
つぎに、図17に示すように、第2鉄心部材6Bを設置する。
本工程では、第1鉄心部材6Aの下方鉄心部61Aにおいて側方鉄心部62A及び第1磁極63Aが設けられた面と、第2鉄心部材6Bの上方鉄心部61Bにおいて側方鉄心部62B及び第2磁極63Bが設けられた面とを対面させ、その後、両者を接近させる。このとき、真空ダクト4に設置された第2固定部44Bを、第2鉄心部材6Bの第2貫通口65Bに第2磁極面64Bの側から挿入する。
その後、図13に示したように、第2鉄心部材6Bにおいて第2磁極面64Bに対して反対側の面に、第2座金46Bを設置する。ここでは、第2座金46Bが第2貫通口65Bの一部を覆うように、第2座金46Bを設置する。そして、第2座金46Bに形成された孔に第2締結部材45Bの軸を貫通させた後に、第2締結部材45Bを第2固定部44Bのメネジ部44Mに取り付けて固定する。
このようにして、図13に示したように、偏向部31を完成させる。
[C]まとめ
以上のように、本実施形態では、真空ダクト4は、第1磁極面64Aに接する面に第1固定部44Aが設置されていると共に、第2磁極面64Bに接する面に第2固定部44Bが設置されている。鉄心6は、第1磁極面64Aを貫通する第1貫通口65Aが第1鉄心部材6Aに形成されていると共に、第2磁極面64Bを貫通する第2貫通口65Bが第2鉄心部材6Bに形成されている。そして、第1固定部44Aは、第1貫通口65Aに挿入されると共に、その第1貫通口65Aに挿入された第1締結部材45Aが取り付けられている。第2固定部44Bは、第2貫通口65Bに挿入されると共に、その第2貫通口65Bに挿入された第2締結部材45Bが取り付けられている。
本実施形態においては、第1実施形態と同様に、真空ダクト4は、第1磁極面64Aおよび第2磁極面64Bに接している。したがって、本実施形態は、第1実施形態の場合と同様に、真空ダクト4の変形を防止できると共に、消費電力量の低減を実現できる。
本実施形態では、第1固定部44A及び第2固定部44Bは、真空ダクト4の軸方向に沿って、複数が等しい間隔で並んでいる。ここでは、第1固定部44A及び第2固定部44Bは、真空ダクト4の軸方向において同じ位置に設置されている。このため、本実施形態は、真空ダクト4を鉄心6に強固に固定することができる。
また、本実施形態では、上記のように、接着樹脂を用いずに、第1締結部材45A及び第2締結部材45Bを用いて、真空ダクト4を鉄心6に固定している。このため、各部の分解が容易であり、メンテナンスを容易に行うことができる。
[D]変形例
本実施形態では、第1貫通口65Aおよび第2貫通口65Bの形成部分以外の部分のみに珪素鋼板を積層させることによって、第1鉄心部材6Aおよび第2鉄心部材6Bを形成したが、これに限らない。この部分については、珪素鋼板でなく、非磁性材料の板状体を用いてもよい。つまり、第1鉄心部材6Aについては、ビーム進行方向において第1貫通口65Aと同じ位置にある部分を非磁性材料で形成してもよい。また、第2鉄心部材6Bについては、ビーム進行方向において第2貫通口65Bと同じ位置にある部分を非磁性材料で形成してもよい。この場合には、第1貫通口65Aおよび第2貫通口65Bの存在に関わらず、正確なBL積を求めることができるので、好適である。
<第4実施形態>
[A]偏向部31の詳細構成
図18は、第4実施形態に係る粒子線治療装置において、照射部に備えられた偏向部を示す図である。
図18は、図14と同様に、断面図である。
図18に示すように、本実施形態では、第1貫通口65Aおよび第2貫通口65B、第1固定部44Aおよび第2固定部44Bが、第3実施形態の場合と異なる。本実施形態は、上記の点、および、関連する点を除き、第3実施形態の場合と同様である。このため、本実施形態において上記の実施形態と重複する個所については、適宜、記載を省略する。
図18に示すように、鉄心6においては、第1貫通口65Aと第2貫通口65Bとが、真空ダクト4の軸方向にて、交互に並んでいる。
同様に、真空ダクト4においては、第1固定部44Aと第2固定部44Bとが、真空ダクト4の軸方向にて、交互に並んでいる。
そして、第1締結部材45A及び第2締結部材45Bを用いて、真空ダクト4が第1磁極面64Aおよび第2磁極面64Bに接した状態で鉄心6に固定されている。
[B]まとめ
以上のように、本実施形態においては、真空ダクト4は、第1磁極面64Aおよび第2磁極面64Bに接している。したがって、本実施形態は、真空ダクト4の変形を防止できると共に、消費電力量の低減を実現できる。
本実施形態では、第3実施形態の場合と同様に、接着樹脂を用いずに、第1締結部材45A及び第2締結部材45Bを用いて、真空ダクト4を鉄心6に固定している。このため、第3実施形態の場合と同様に、真空ダクト4を鉄心6に強固に固定することができると共に、各部の分解が容易であり、メンテナンスを容易に行うことができる。
<第5実施形態>
[A]偏向部31の詳細構成
図19は、第5実施形態に係る粒子線治療装置において、照射部に備えられた偏向部を示す図である。
図19は、図3と同様に、断面図である。
図19に示すように、本実施形態では、樹脂固定部47が更に設けられている。本実施形態は、上記の点、および、関連する点を除き、第1実施形態の場合と同様である。このため、本実施形態において上記の実施形態と重複する個所については、適宜、記載を省略する。
樹脂固定部47は、図19に示すように、鉄心6の内部空間において、真空ダクト4の湾曲面部42を覆うことよって、真空ダクト4を鉄心6に固定している。樹脂固定部47は、たとえば、熱硬化性樹脂を用いて形成されている。
[B]まとめ
本実施形態においては、第1実施形態と同様に、真空ダクト4は、第1磁極面64Aおよび第2磁極面64Bに接している。したがって、本実施形態は、第1実施形態の場合と同様に、真空ダクト4の変形を防止できると共に、消費電力量の低減を実現できる。
この他に、本実施形態では、真空ダクト4の湾曲面部42を樹脂固定部47が覆っている。このため、真空ダクト4を鉄心6に強固に固定することができる。
[C]変形例
本実施形態では、樹脂固定部47は、鉄心6の内部空間の一部に設けているが、これに限らない。鉄心6の内部空間の全てを埋め込むように、樹脂固定部47を形成してもよい。
<その他>
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…入射部、2…主加速部、3…照射部、4…真空ダクト、4A…第1ダクト部材、4B…第2ダクト部材、5…偏向電磁石、6…鉄心、6A…第1鉄心部材、6B…第2鉄心部材、7…励磁部、7A…第1コイル、7B…第2コイル、11…イオン源、12…入射用加速器、20…真空ダクト、21…入射用電磁石、22…高周波加速装置、23…偏向電磁石、24…四極電磁石、25…出射用電磁石、31…偏向部、41…平面部、41A…平面部、41B…平面部、42…湾曲面部、42A…湾曲面部、42B…湾曲面部、43A…接合部、43B…接合部、44A…第1固定部、44B…第2固定部、44M…メネジ部、45A…第1締結部材、45B…第2締結部材、46A…第1座金、46B…第2座金、47…樹脂固定部、61A…下方鉄心部、61B…上方鉄心部、62A…側方鉄心部、62B…側方鉄心部、63A…第1磁極、63B…第2磁極、64A…第1磁極面、64B…第2磁極面、65A…第1貫通口、65B…第2貫通口

Claims (13)

  1. 荷電粒子ビームが内部を進行する真空ダクトと、
    鉄心に設けられた第1磁極と第2磁極との間に前記真空ダクトが設置されている偏向電磁石と
    を備え、
    前記鉄心は、第1鉄心部材の側方鉄心部と第2鉄心部材の側方鉄心部とが接して構成され、前記第1鉄心部材の前記第1磁極と前記第2鉄心部材の前記第2磁極との間において第1磁極面と第2磁極面とが空間を形成して対面し、
    前記真空ダクトは、前記第1磁極面と前記第2磁極面によって形成された空間に設置され、前記第1磁極面および前記第2磁極面に接着されていることを特徴とする、
    荷電粒子偏向装置。
  2. 前記真空ダクトは、断面がレーストラック形状であって、一対の平面部が間を隔てて対面すると共に、前記一対の平面部の対面方向に対して直交する方向において一対の湾曲面部が間を隔てて対面しており、
    前記一対の平面部が前記第1磁極面および前記第2磁極面に接していることを特徴とする、
    請求項1に記載の荷電粒子偏向装置。
  3. 前記真空ダクトは、前記平面部よりも前記湾曲面部の方が厚いことを特徴とする、
    請求項に記載の荷電粒子偏向装置。
  4. 前記真空ダクトの前記湾曲面部を覆っている樹脂固定部
    を有することを特徴とする、
    請求項2または3に記載の荷電粒子偏向装置。
  5. 前記真空ダクトは、
    前記第1磁極面に接する第1ダクト部材と、
    前記第2磁極面に接する第2ダクト部材と
    を含み、前記第1ダクト部材と前記第2ダクト部材との間が溶接されていることを特徴とする、
    請求項1からのいずれかに記載の荷電粒子偏向装置。
  6. 前記真空ダクトは、
    前記第1磁極面に接する面に設置されている第1固定部と、
    前記第2磁極面に接する面に設置されている第2固定部と
    を有し、
    前記第1鉄心部材は、前記第1磁極面を貫通する第1貫通口が形成されており、
    前記第2鉄心部材は、前記第2磁極面を貫通する第2貫通口が形成されており、
    前記第1固定部は、前記第1貫通口に挿入されると共に、前記第1貫通口に挿入された第1締結部材が取り付けられており、
    前記第2固定部は、前記第2貫通口に挿入されると共に、前記第2貫通口に挿入された第2締結部材が取り付けられていることを特徴とする、
    請求項1からのいずれかに記載の荷電粒子偏向装置。
  7. 前記第1固定部及び前記第2固定部は、前記真空ダクトの軸方向に沿って、複数が等しい間隔で並んでいることを特徴とする、
    請求項に記載の荷電粒子偏向装置。
  8. 前記第1固定部及び前記第2固定部は、前記真空ダクトの軸方向において同じ位置に設置されていることを特徴とする、
    請求項に記載の荷電粒子偏向装置。
  9. 前記第1固定部及び前記第2固定部は、前記真空ダクトの軸方向において交互に並んでいることを特徴とする、
    請求項に記載の荷電粒子偏向装置。
  10. 前記第1鉄心部材は、前記真空ダクトの軸方向において前記第1貫通口と同じ位置にある部分が非磁性材料で形成されており、
    前記第2鉄心部材は、前記真空ダクトの軸方向において前記第2貫通口と同じ位置にある部分が非磁性材料で形成されていることを特徴とする、
    請求項からのいずれかに記載の荷電粒子偏向装置。
  11. 請求項1から10のいずれかに記載の荷電粒子偏向装置を備えることを特徴とする、
    荷電粒子照射装置。
  12. 請求項1から10のいずれかに記載の荷電粒子偏向装置を備えることを特徴とする、
    荷電粒子加速器。
  13. 偏向電磁石において鉄心に設けられた第1磁極と第2磁極との間に、荷電粒子ビームが内部を進行する真空ダクトが設けられている荷電粒子偏向装置の製造方法であって、
    前記鉄心は、第1鉄心部材の側方鉄心部と第2鉄心部材の側方鉄心部とが接して構成され、前記第1鉄心部材の前記第1磁極と前記第2鉄心部材の前記第2磁極との間において第1磁極面と第2磁極面とが空間を形成して対面し、
    熱硬化性接着樹脂を用いて前記第1磁極の第1磁極面と前記第2磁極の第2磁極面とのそれぞれ前記真空ダクトに接着することで、前記第1磁極面と前記第2磁極面によって形成された空間に前記真空ダクトを前記偏向電磁石に設置することを特徴とする、
    荷電粒子偏向装置の製造方法。
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