JP6178063B2 - 荷電粒子偏向装置、荷電粒子照射装置、荷電粒子加速器、及び、荷電粒子偏向装置の製造方法 - Google Patents
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Description
[A]全体構成
図1は、第1実施形態において、粒子線治療装置を模式的に示す図である。
粒子線治療装置において、入射部1は、図1に示すように、イオン源11と入射用加速器12とを備えている。
粒子線治療装置において、主加速部2は、シンクロトロンであって、図1に示すように、真空ダクト20と入射用電磁石21と高周波加速装置22と偏向電磁石23と四極電磁石24と出射用電磁石25とを備えている。
粒子線治療装置において、照射部3は、図1に示すように、偏向部31(荷電粒子偏向装置)を備えており、主加速部2から出射された荷電粒子ビームの進行方向を偏向部31が変化させて、患者の治療部位に荷電粒子ビームを照射する。
図2,図3は、第1実施形態に係る粒子線治療装置において、照射部に備えられた偏向部を示す図である。
偏向部31において、真空ダクト4は、図2,図3に示すように、直線状に延在した管状体であって、真空状態にされる。真空ダクト4では、主加速部2(図1参照)から入射された荷電粒子ビームが、真空状態の内部を進行する。
偏向部31において、偏向電磁石5は、H型電磁石であって、図2,図3に示すように、鉄心6と励磁部7とを備えている。
偏向電磁石5のうち、鉄心6は、図2,図3に示すように、第1磁極63Aと第2磁極63Bとを有し、第1磁極63Aと第2磁極63Bとの間に真空ダクト4が設置されている。
偏向電磁石5のうち、励磁部7は、図2,図3に示すように、第1コイル7Aと第2コイル7Bとを備えており、鉄心6の第1磁極63Aと第2磁極63Bとのそれぞれに設置されている。
まず、図4に示すように、第1鉄心部材6Aと第2鉄心部材6Bとを準備する。
つぎに、図5に示すように、第1コイル7Aと第2コイル7Bとを設置する。
つぎに、図6に示すように、第1鉄心部材6Aと第2鉄心部材6Bとを互いに突き合わせる。
つぎに、図7に示すように、真空ダクト4を設置する。
・熱硬化性接着樹脂:熱可塑性エポキシ樹脂(エポキシ系)、無機接着剤(たとえば、金属アルコキシドをバインダーとしたもの)
・熱処理温度:100〜120℃
・熱処理時間:2〜5時間
以上のように、本実施形態の偏向部31においては、真空ダクト4の内部を荷電粒子ビームが進行する。そして、偏向電磁石5において、鉄心6に設けられた第1磁極63Aと第2磁極63Bとの間に、真空ダクト4が設置されている。真空ダクト4は、第1磁極63Aにおいて第2磁極63Bに対面する第1磁極面64A、および、第2磁極63Bにおいて第1磁極63Aに対面する第2磁極面64Bの両者に接している。ここでは、真空ダクト4は、断面がレーストラック形状であって、平面部41が第1磁極面64Aおよび第2磁極面64Bに接して固定されている。
本実施形態では、断面がレーストラック形状である真空ダクト4において、平面部41と湾曲面部42との両者が、同じ厚みである場合について示したが、これに限らない。真空ダクト4として、平面部41よりも湾曲面部42の方が厚いものを用いてもよい。この場合には、湾曲面部42は、第1磁極63Aと第2磁極63Bとの間に発生する磁場に対して鎖交する面の面積が小さく、渦電流の影響が小さい。このため、偏向部31では、湾曲面部42が平面部41よりも厚い場合であっても、荷電粒子ビームを正確に偏向させることができる。そして、湾曲面部42が厚いので、真空ダクト4の機械的強度を向上することができる。
[A]偏向部31の詳細構成
図8は、第2実施形態に係る粒子線治療装置において、照射部に備えられた偏向部を示す図である。
図10,図11は、第2実施形態に係る粒子線治療装置において、照射部に備えられた偏向部を製造する方法について示す図である。
本実施形態では、図10に示すように、第1ダクト部材4Aと第2ダクト部材4Bとを設置する。
つぎに、図11に示すように、第1ダクト部材4Aと第2ダクト部材4Bとを接合する。
以上のように、本実施形態の偏向部31では、真空ダクト4は、第1磁極面64Aに接する第1ダクト部材4Aと、第2磁極面64Bに接する第2ダクト部材4Bとを含む。そして、第1ダクト部材4Aと第2ダクト部材4Bとの間が溶接によって接合されている。第1ダクト部材4Aは、第1鉄心部材6Aに設けられた第1磁極63Aの第1磁極面64Aに接して固定されている。また、第2ダクト部材4Bは、第2鉄心部材6Bに設けられた第2磁極63Bの第2磁極面64Bに接して固定されている。
[A]偏向部31の詳細構成
図12から図14は、第3実施形態に係る粒子線治療装置において、照射部に備えられた偏向部を示す図である。
第1貫通口65Aと第2貫通口65Bとのそれぞれは、図12から図14に示すように、鉄心6に形成されており、複数が真空ダクト4の軸方向に沿って等間隔に並んでいる。
第1固定部44Aと第2固定部44Bとのそれぞれは、図15に示すように、矩形形状の固定金具であって、真空ダクト4に設置されており、複数が真空ダクト4の軸方向に沿って等間隔に並んでいる。
第1締結部材45Aと第2締結部材45Bとのそれぞれは、図12から図14に示すように、オネジであって、円柱状の軸の一端(ネジ先側)にネジ山が形成されており、他端に頭部が設けられている。第1締結部材45Aおよび第2締結部材45Bは、第1貫通口65Aおよび第2貫通口65Bの内部に設置されている。そして、第1締結部材45Aおよび第2締結部材45Bは、頭部が第1座金46Aおよび第2座金46Bを介して、鉄心6の外側の面に位置し、軸の一端が第1固定部44Aおよび第2固定部44Bのメネジ部44Mに取付けられている。
図16,図17は、第3実施形態に係る粒子線治療装置において、照射部に備えられた偏向部を製造する方法について示す図である。
本実施形態では、図16に示すように、真空ダクト4を第1鉄心部材6Aに設置する。
つぎに、図17に示すように、第2鉄心部材6Bを設置する。
以上のように、本実施形態では、真空ダクト4は、第1磁極面64Aに接する面に第1固定部44Aが設置されていると共に、第2磁極面64Bに接する面に第2固定部44Bが設置されている。鉄心6は、第1磁極面64Aを貫通する第1貫通口65Aが第1鉄心部材6Aに形成されていると共に、第2磁極面64Bを貫通する第2貫通口65Bが第2鉄心部材6Bに形成されている。そして、第1固定部44Aは、第1貫通口65Aに挿入されると共に、その第1貫通口65Aに挿入された第1締結部材45Aが取り付けられている。第2固定部44Bは、第2貫通口65Bに挿入されると共に、その第2貫通口65Bに挿入された第2締結部材45Bが取り付けられている。
本実施形態では、第1貫通口65Aおよび第2貫通口65Bの形成部分以外の部分のみに珪素鋼板を積層させることによって、第1鉄心部材6Aおよび第2鉄心部材6Bを形成したが、これに限らない。この部分については、珪素鋼板でなく、非磁性材料の板状体を用いてもよい。つまり、第1鉄心部材6Aについては、ビーム進行方向において第1貫通口65Aと同じ位置にある部分を非磁性材料で形成してもよい。また、第2鉄心部材6Bについては、ビーム進行方向において第2貫通口65Bと同じ位置にある部分を非磁性材料で形成してもよい。この場合には、第1貫通口65Aおよび第2貫通口65Bの存在に関わらず、正確なBL積を求めることができるので、好適である。
[A]偏向部31の詳細構成
図18は、第4実施形態に係る粒子線治療装置において、照射部に備えられた偏向部を示す図である。
以上のように、本実施形態においては、真空ダクト4は、第1磁極面64Aおよび第2磁極面64Bに接している。したがって、本実施形態は、真空ダクト4の変形を防止できると共に、消費電力量の低減を実現できる。
[A]偏向部31の詳細構成
図19は、第5実施形態に係る粒子線治療装置において、照射部に備えられた偏向部を示す図である。
本実施形態においては、第1実施形態と同様に、真空ダクト4は、第1磁極面64Aおよび第2磁極面64Bに接している。したがって、本実施形態は、第1実施形態の場合と同様に、真空ダクト4の変形を防止できると共に、消費電力量の低減を実現できる。
本実施形態では、樹脂固定部47は、鉄心6の内部空間の一部に設けているが、これに限らない。鉄心6の内部空間の全てを埋め込むように、樹脂固定部47を形成してもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
Claims (13)
- 荷電粒子ビームが内部を進行する真空ダクトと、
鉄心に設けられた第1磁極と第2磁極との間に前記真空ダクトが設置されている偏向電磁石と
を備え、
前記鉄心は、第1鉄心部材の側方鉄心部と第2鉄心部材の側方鉄心部とが接して構成され、前記第1鉄心部材の前記第1磁極と前記第2鉄心部材の前記第2磁極との間において第1磁極面と第2磁極面とが空間を形成して対面し、
前記真空ダクトは、前記第1磁極面と前記第2磁極面によって形成された空間に設置され、前記第1磁極面および前記第2磁極面に接着されていることを特徴とする、
荷電粒子偏向装置。 - 前記真空ダクトは、断面がレーストラック形状であって、一対の平面部が間を隔てて対面すると共に、前記一対の平面部の対面方向に対して直交する方向において一対の湾曲面部が間を隔てて対面しており、
前記一対の平面部が前記第1磁極面および前記第2磁極面に接していることを特徴とする、
請求項1に記載の荷電粒子偏向装置。 - 前記真空ダクトは、前記平面部よりも前記湾曲面部の方が厚いことを特徴とする、
請求項2に記載の荷電粒子偏向装置。 - 前記真空ダクトの前記湾曲面部を覆っている樹脂固定部
を有することを特徴とする、
請求項2または3に記載の荷電粒子偏向装置。 - 前記真空ダクトは、
前記第1磁極面に接する第1ダクト部材と、
前記第2磁極面に接する第2ダクト部材と
を含み、前記第1ダクト部材と前記第2ダクト部材との間が溶接されていることを特徴とする、
請求項1から4のいずれかに記載の荷電粒子偏向装置。 - 前記真空ダクトは、
前記第1磁極面に接する面に設置されている第1固定部と、
前記第2磁極面に接する面に設置されている第2固定部と
を有し、
前記第1鉄心部材は、前記第1磁極面を貫通する第1貫通口が形成されており、
前記第2鉄心部材は、前記第2磁極面を貫通する第2貫通口が形成されており、
前記第1固定部は、前記第1貫通口に挿入されると共に、前記第1貫通口に挿入された第1締結部材が取り付けられており、
前記第2固定部は、前記第2貫通口に挿入されると共に、前記第2貫通口に挿入された第2締結部材が取り付けられていることを特徴とする、
請求項1から4のいずれかに記載の荷電粒子偏向装置。 - 前記第1固定部及び前記第2固定部は、前記真空ダクトの軸方向に沿って、複数が等しい間隔で並んでいることを特徴とする、
請求項6に記載の荷電粒子偏向装置。 - 前記第1固定部及び前記第2固定部は、前記真空ダクトの軸方向において同じ位置に設置されていることを特徴とする、
請求項7に記載の荷電粒子偏向装置。 - 前記第1固定部及び前記第2固定部は、前記真空ダクトの軸方向において交互に並んでいることを特徴とする、
請求項7に記載の荷電粒子偏向装置。 - 前記第1鉄心部材は、前記真空ダクトの軸方向において前記第1貫通口と同じ位置にある部分が非磁性材料で形成されており、
前記第2鉄心部材は、前記真空ダクトの軸方向において前記第2貫通口と同じ位置にある部分が非磁性材料で形成されていることを特徴とする、
請求項6から9のいずれかに記載の荷電粒子偏向装置。 - 請求項1から10のいずれかに記載の荷電粒子偏向装置を備えることを特徴とする、
荷電粒子照射装置。 - 請求項1から10のいずれかに記載の荷電粒子偏向装置を備えることを特徴とする、
荷電粒子加速器。 - 偏向電磁石において鉄心に設けられた第1磁極と第2磁極との間に、荷電粒子ビームが内部を進行する真空ダクトが設けられている荷電粒子偏向装置の製造方法であって、
前記鉄心は、第1鉄心部材の側方鉄心部と第2鉄心部材の側方鉄心部とが接して構成され、前記第1鉄心部材の前記第1磁極と前記第2鉄心部材の前記第2磁極との間において第1磁極面と第2磁極面とが空間を形成して対面し、
熱硬化性接着樹脂を用いて前記第1磁極の第1磁極面と前記第2磁極の第2磁極面とのそれぞれを前記真空ダクトに接着することで、前記第1磁極面と前記第2磁極面によって形成された空間に前記真空ダクトを前記偏向電磁石に設置することを特徴とする、
荷電粒子偏向装置の製造方法。
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