以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。まず、本発明の実施例である照明装置の説明に先立って、該実施例の照明装置の前提となる技術を参考例として説明する。
(参考例1)
図1には、本発明の参考例1であるマクロ撮影用照明装置101と、該照明装置101を撮影レンズ201の先端部にその外周を囲むように装着(支持)された撮影装置(カメラ)200とを示している。照明装置101は、撮影レンズ201に対して取り外し可能に装着される。なお、撮影レンズ201は、カメラに一体に設けられたものであってもよいし、カメラに対して取り外し可能に装着される交換レンズであってもよい。また、照明装置101は、撮影レンズ201の外周を取り囲むように支持されることが可能であれば、撮影レンズ201に対してではなく、撮影装置200に対して取り外し可能に装着される構成であってもよい。照明装置101は、該照明装置101の発光を制御するマイクロコンピュータや、電源および発光エネルギを蓄えるメインコンデンサ等を内蔵し、カメラ200アクセサリーシュー(図示せず)に取り外し可能に装着される制御ユニット100を備えている。照明装置101と制御ユニット100は連結コード102によって接続されている。
照明装置101には、詳しくは後述するが、マクロ撮影用の照明光となる光源光を発する2つの光源と、これら2つの光源からの光を被写界(被写体)に向けて照射する照明光学系とが搭載されている。さらに、照明装置101に、カメラ200においてオートフォーカスが行われる際に暗い被写体に対して補助光を照射する補助光発光部を搭載してもよい。
照明装置101は、図1に示すように2つの光源(リング状部分からその径方向に突出した部分に内蔵されている)が左右対称に配置されるように撮影レンズ201に装着されてもよいし、この位置から撮影レンズ201の周方向に回転した位置で装着されてもよい。また、2つの光源のうちユーザが任意に選択した一方の光源のみを発光させて、影を意図的に作ったり影の出る方向を選んだりすることも可能である。
照明装置101における照明光の発光制御は、例えば以下のように行うことができる。まず、本撮影の直前に一定光量を所定時間の間継続して被写体に照射するプリ発光を行って被写体の輝度分布をカメラ200内に搭載された測光センサによって計測する。そして、計測された輝度分布を用いて所定のアルゴリズムから本撮影時に行うメイン発光での発光量を予め決定する。このような発光制御といわゆる多分割測光とを組み合わせることで、被写体の状態に応じたより綿密な調光が可能であり、特に、発光量の誤差の影響を受けやすいマクロ撮影に適した調光を行うことができる。
次に、照明装置の構成について詳しく説明する。以下の説明では、図1に示すように照明装置101が撮影レンズ201に装着されて撮影レンズ201の外周を囲むように支持されている使用状態において、撮影レンズ201を通して撮影される被写界に向かう方向を照明装置101の光照射方向Lまたは前方とする。光照射方向Lは、撮影レンズ201の光軸(以下、レンズ光軸という)AXに平行な方向だけでなく、レンズ光軸AXに対してある程度の角度を持った方向も含む。また、撮影レンズ201の径方向(レンズ光軸AXに直交する方向)に対応する方向を照明装置101の径方向Rとし、撮影レンズ201の外周を囲む方向を照明装置101の周方向CCとする。さらに、撮影レンズ201の外周(円)の接線が延びる方向を、周方向CCに対する接線方向Tという。また、撮影レンズ201の光軸AXに沿った方向を照明装置101の厚さ方向という。
図2(a),(b)にはそれぞれ、分解した照明装置101を斜め前方から見て示している。また、図3には、照明装置101を前側(正面)から見て示している。図4(a)には、図3中のA−A線で切断したときの照明装置101の断面を示しており、図4(b)には、図4(a)中に円で囲んだ部分を拡大して示している。また、図5(a)には、後述する光源1から射出された光線L1,L2,L3の光路を示しており、図5(b)には、図5(a)中の一部を拡大して示している。また、図6(a)には、照明光学系を構成する反射傘2、円弧反射部材3、プリズムパネル4(ただし、図6(a)中には現れていない)および拡散パネル5を前側から見て示している。図6(a)の左側半分では、プリズムパネル4および拡散パネル5を取り外している。図6(b)には、円弧反射部材3を拡大して斜め前方から見て示している。
また、図7(a)には、プリズムパネル4を裏面(入射面)側から見て示している。図7(b)は、図7(a)中のG−G線に沿った断面を示している。図8(a)には、拡散パネル5を裏面(入射面)側から見て示している。図8(b)には、図8(a)中のK−K線に沿った断面を示している。さらに、図9には、光源1から射出した光線を前側から見て示している。
なお、照明装置101は、その中心軸(使用状態でレンズ光軸AXに一致する軸)BXを含み、両側に2つの光源が配置される中心面について対称な構成を有する。このため、以下ではその対称な構成における一方(左側)の構成を中心に説明し、必要に応じて他方(右側)の構成についても説明する。
光源1として、本参考例では、キセノン管等の放電発光管や冷陰極管等の直管型の光源を用いている。光源1は、その長手方向が接線方向Tに一致するように配置されている。本参考例では、左側と右側にそれぞれ光源1が配置されており、それらの長手方向はいずれも接線方向Tに一致し、かつ互いに平行である。なお、光源1として、この直管型光源に代えて、複数のLEDを直線状に並べて構成した直線型光源を用いてもよいし、曲管型ではない単体の光源を用いてもよい。照明装置101の内部には、光源1の発光を開始させるためのトリガコイルや光源1からの発光量をモニタするための受光センサ等の電気部品が収容されている。
反射傘(集光部材)2は、光源1の外周全体から発散した光のうち後述する円弧反射部材3およびプリズムパネル4の方向以外の方向に向かう光を反射する反射面2aを有する。反射面2aは、厚さ方向における光源1の両側と光源1の長手方向の両側に設けられており、ここで反射した光を円弧反射部材3またはプリズムパネル4の方向に向かわせるよう反射して、これら反射面2aの先端部の間に形成された光射出開口から射出させる。また、反射傘2は、光源1から発散した光のうち円弧反射部材3およびプリズムパネル4の方向に向かう光を反射することなく光射出開口から射出させる。
反射傘2は、光を効率良く反射させることができるように、光輝アルミ等の高反射材料により反射面2aと一体成形されたり、樹脂製の本体の内側に高反射率の金属材料を蒸着して反射面2aを形成したりすることで製作されている。反射傘2の反射面2aは、光源1の長手方向(接線方向T)に直交する断面において、2つの焦点を有する楕円形状に形成されている。
ここで、反射傘2(反射面2a)の断面の楕円形状は、その一方の焦点が光源1の径方向中心(光源側)に位置し、もう1つの焦点が円弧反射部材3の後述する第1の反射面上(第1の反射面側)に位置するように設定することが望ましい。このような設定により、図5(a)に示すように、反射傘2で反射した光は集光されてより遠くまで光線を到達させることが可能になる。また、楕円形状を適宜最適化することで、反射傘2で反射した光の指向性を調整することができ、反射傘2が小さくても、反射した光を十分に遠くまで到達させることができ、周方向CCおよび径方向Rに広い領域(光射出部)から光を射出させることが可能になる。
なお、反射傘2の反射面2aの断面形状は、楕円以外の2次曲線であってもよい。
円弧反射部材3は、2つでリング形状を有するように半円弧状に形成された樹脂製の本体に、高反射率の金属材料を蒸着することで製作されている。この円弧反射部材3は、上記2つの光源1に対して1つずつ(計2つ)設けられ、それぞれの円弧反射部材3に以下に説明する反射面が形成されている。
円弧反射部材3は、図6(a),(b)に示すように、光源1よりも径方向Rの内側において周方向CCに延びるように形成された反射面であって、光源1からの光(反射傘2で反射した光を含む)を光照射方向Lに反射する第1の反射面3c,3dを有する。第1の反射面は、光源1の長手方向中央部に面した部分である光源側反射面(第1の領域)3cを有する。さらに、第1の反射面は、光源側反射面3cから周方向CCの両側に向かって、つまりは光源1から周方向CCに離れていくように円弧状に延びる2つの円弧反射面(第2の領域)3dを有する。以下の説明において、光源側および円弧反射面3c,3dとそれらよりも光射出方向Lに配置されるプリズムパネル4との間に形成される空間を、光路領域という。
また、円弧反射部材3は、光源側および円弧反射面3c,3dに加え、2つの第2の反射面3aも有する。第2の反射面3aは、図9に示すように、光源1から光源側反射面3cに向かう光の一部を、円弧反射面3dに沿って周方向CCのうち光源1から離れていく方向に延びる光路領域に向けて反射する。第2の反射面3aが設けられていない場合、光源側反射面3cには、円弧反射面3dに比べて光源1から射出された光が多く向かう。このままこの多くの量の光を光源側反射面3cで光射出方向Lに反射すると、後述する光射出部のうち光源1に近い部分とその部分から周方向CCに離れた部分とに大きな光量差が生じる。
このため、本参考例では、光源側反射面3cと2つの円弧反射面3dとの間にそれらを仕切る仕切り壁のように2つの第2の反射面3aを配置している。言い換えると、光源1の長手方向において互いに離れて、かつ該長手方向における光源1の中央を通って該長手方向に直交する中央断面について対称となるように2つの第2の反射面3aを配置している。2つの第2の反射面3aは、径方向Rにおいて光源1に近づくほど該2つの第2の反射面3a間の周方向CCでの間隔が狭くなるように配置されている。
光源1から光源側反射面3cに向かった光のうち、2つの第2の反射面3aにおける一方の面によって反射した光は、一方の円弧反射面3dに沿った光路領域に向かう。また、光源1から光源側反射面3cに向かった光のうち、2つの第2の反射面3aにおける他方の面によって反射した光は、他方の円弧反射面3dに沿った光路領域に向かう。そして、光源1から光源側反射面3cに向かった光のうち2つの第2の反射面3aで反射されなかった光は、光源側反射面3cに到達する。光源側反射面3cと2つの円弧反射面3dとの間に配置される2つの第2の反射面3aの位置や形状は、円弧状(リング状)の光射出部から射出される光量が均一になるように決定される。すなわち、適切な位置に適切な形状の第2の反射面3bが設けられることにより、光源1から光源側反射面3cに向かう光を、第1の反射面3c,3dの全体(第1および第2の領域)にほぼ均一に分配することができる。
そして、この均一に分配された光を第1の反射面3c,3dによって光射出方向Lに反射することで、第1の反射面3c,3dに面する円弧状の光射出部にも均一な光量の光が向かう。こうして、2つの光源1からの光は、光源1ごとに設けられた第1の反射面3c,3dと第2の反射面3aとによって、周方向CCに延びるリング状の光射出部に均一に分配され、光射出方向Lに射出される。円弧反射部材3については、後にさらに詳しく説明する。
プリズムパネル(第1の光学部材)4は、円弧反射部材3よりも光照射方向Lに形成される上記光射出部に配置される。プリズムパネル4は、アクリル樹脂等の透過率の高い透明樹脂材料により半円弧形状を有するように製作されており、2つのプリズムパネル4がリング状に組み合わされて用いられる。
ここで、光源1の長手方向に直交する断面においては、光源1から射出された光(反射傘2のうち光源1の近傍で反射して一旦光源1の内部に戻された後、再び光源1から射出した光線を含む)は、互いに異なる光路を辿る4種類の光線に分かれる。図5(a)には、これら光線のうち3種類の光線L1,L2,L3を示している。光線L1は、光源1から射出して円弧反射部材3の第1の反射面3c(3d)で反射せずにプリズムパネル4に到達する光線である。光線L2は、光源1から射出して反射傘2で反射せずに円弧反射部材3の第1の反射面3c(3d)で反射して、プリズムパネル4に到達する光線である。光線L3は、光源1から射出し、反射傘2で反射した後にさらに円弧反射部材3の第1の反射面3c(3d)で反射してプリズムパネル4に到達する光線である。図示はしないが、もう1種類の光線L4は、光源1から射出して反射傘2で反射した後に、円弧反射部材3の第1の反射面3c(3d)で反射せずにプリズムパネル4に到達する光線である。
プリズムパネル4の入射面には、微細な複数のプリズム部により構成されるプリズム列が形成されている。プリズム列の各プリズム部は、光源1の長手方向(接線方向T)に沿って延び、光源1からの光のうち円弧反射部材3の第1の反射面3c,3dで反射して到達した光を光照射方向Lに透過させる。また、各プリズム部は、少なくとも該第1の反射面3c,3dで反射せずに到達した光を光照射方向Lに反射する。具体的には、各プリズム部は、図5(a),(b)に示すように、光線L1が入射する第1の面4aと、光線L2,L3が入射する第2の面4bとを有する。第1の面4aには、図示しない光線L4も入射する。図5(b)中に一点鎖線で示すように径方向Rに沿った面を基準面とするとき、第1の面4aが基準面に対してなす角度(本参考例では90°)は、第2の面4bが基準面に対してなす角度θよりも大きい。
第2の面4bに入射した光線L2,L3は、そこで屈折してプリズムパネル4内を透過し、さらにその射出面(平面)4cで屈折して光照射方向L(拡散パネル5側)に射出する。この際、光線L2,L3が光源1に近い位置で第2の面4bに入射した場合には、図5(a),(b)に光線L2を例にして示すように、第2の面4bに対して小さい入射角で入射する。このため、該光線は第2の面4bで中心軸BXに対して径方向Rに離れる方向に傾くように屈折してプリズムパネル4から射出する。また、光線L2,L3が光源1から離れた位置で第2の面4bに入射した場合には、図5(a)に光線L3を例にして示すように、第2の面4bに対して大きい入射角で入射する。このため、該光線は第2の面4bで中心軸BXにほぼ平行に屈折されてプリズムパネル4から射出する。
一方、第1の面4aは、入射した光線L1(L4)を屈折させて第2の面4bに向かわせる。このときの第2の面4bは、光線L1(L4)に対して全反射条件を満たすように形成されている。このため、光線L1は、第2の面4bで内部全反射してプリズムパネル4内を透過し、射出面4cから光照射方向L(拡散パネル5側)に射出する。このように、プリズム部は、特に円弧反射部材3の第1の反射面で反射されずに到達した光線L1を光照射方向Lに向かわせて、光源1から射出される光の利用効率を高める。
なお、光線(L1,L4)のプリズムパネル4に入射する周方向CCでの位置によって、プリズムパネル4からの該光線の射出角が異なる。プリズム列全体で第1および第2の面4a,4bの傾斜角度を同じとした場合、光源1に近い第1の面4aへの光線の入射角は、光源1から離れた第1の面4aへの光線の入射角より大きくなる。このため、前者の光線の射出面4cからの射出角は後者の光線の射出角より大きくなる。このように、光線(L1,L4)のプリズムパネル4への入射位置と光源1との距離に応じて該光線の射出方向が変化する。しかし、該光線の束である光束全体としては、中心軸BXに平行な方向からやや径方向Rの内側に向かう方向までの範囲で均一な光量分布の光束に変換される。
本参考例では、図5(b)に示すように、プリズム列全体で第2の面4bが径方向Rに沿った基準面(図中に一点鎖線で示す)に対してなす傾斜角度θを42.5°と一定としている。この場合、のプリズムパネル4への光線(L1,L4)の入射角(基準面の法線に対してなす角度)を47.5°以上とすることで、該光線を第1の面4aからプリズム部に入射させ、第2の面4bで内部全反射させてプリズムパネル4から射出させることができる。一方、プリズムパネル4への光線(L2,L3)の入射角を47.5°より小さくすることで、この光線を第2の面4bからプリズム部内に入射させ、内部全反射させることなく屈折させてプリズムパネル4から射出させることができる。
なお、第2の傾斜角度θは42.5°に限られず、また前述した第1の面4aが基準面に対してなす角度である90°も例にすぎず、他の角度であってもよい。
また、光源1の長手方向に沿って延びるプリズム部により構成されるプリズム列は、必ずしもプリズムパネル4の入射面の全体に形成する必要はなく、少なくとも光源1に近い一部の領域に形成すればよい。
拡散パネル(第2の光学部材)5は、上記光射出部のうちプリズムパネル4よりも光照射方向Lに配置されている。拡散パネル5は、アクリル樹脂等の透過率の高い透明樹脂材料により製作されており、2つの拡散パネル5がリング状に組み合わされて用いられる。この拡散パネル5の入射面には、図5(a),(b)に示すように、周方向CCに円弧状に延びるシリンドリカルレンズ部(光拡散部)5aが複数、同心状に形成されている。各シリンドリカルレンズ部5aは、そこに入射した光線を径方向Rに屈折させて拡散する作用を有する。シリンドリカルレンズ部5aで屈折した光線は、拡散パネル5の射出面5bから射出して、被写界(被写体)に照射される。
このように拡散パネル5は、光源1から射出して周方向CCに進み、円弧反射部材3やプリズムパネル4により光照射方向Lに方向が変えられた光を径方向Rに拡散させる。これにより、プリズムパネル4から射出した光の周方向CCでの射出方向をほとんど変化させずに、照明光が照射される被写体側の範囲である光照射範囲の径方向Rの大きさをマクロ撮影に適した範囲に広げつつ、径方向Rにて光量分布を均一にすることができる。そして、この拡散パネル5とプリズムパネル4との組み合わせにより、マクロ撮影に適した光照射範囲に効率良く光源1からの光を導きつつ、該光照射範囲において均一な配光分布での照明を行うことができる。
6は光源1を反射傘2に対して固定するための弾性保持部材であり、7は照明光学系を構成する上記各部材や上述した電気部品が実装された実装基板9,10を保持する背面カバーである。8は照明装置101の前面のうち光源1および反射傘2の部分を覆うとともに、それぞれ2つのプリズムパネル4および拡散パネル5が配置された光射出部を露出させる円形の開口部を有する前面カバーである。前面カバー8の開口部の内周には、プリズムパネル4および拡散パネル5を保持するための係合部が形成されている。
前面カバー8により覆われた反射傘2およびその内側の光源1は、照明装置101の前側から拡散パネル5およびプリズムパネル4を通して見ることはできない位置に配置されている。
次に、円弧反射部材3の形状等について、図6(a),(b)を用いて詳しく説明する。円弧反射部材3は、反射傘2の光射出開口付近の外面が嵌まり込む入射開口部3fと、第1の反射面である光源側反射面3cおよび円弧反射面3dが表面に金属蒸着により形成された円弧状の底面部3gとを有する。光源側反射面3cは、前述した光源1の長手方向の中央を通る中央断面において、径方向Rに沿った基準面に対して45°の傾きを持った円錐面の一部として構成されている。
また、円弧反射面3dは、基本的には、周方向CCにおいて光源1(反射傘2)から離れるほど光射出方向Lに位置する(光射出方向Lの側への高さが高くなる)ように、径方向Rに沿った基準面に対して傾斜した面として形成される。ただし、本参考例では、図10中のA−A、B−B、C−C、D−D線での断面図である図11(a)〜(d)に示すように、円弧反射面3dの径方向Rでの内周側と外周側とで、光照射方向Lでの位置(高さ)が異なる(内周側の方が高い)。しかも、円弧反射面3dは、その内周側の高さは高いまま外周側の高さが反射傘2から周方向CCに離れるほど高くなる、ねじれらせん面として形成されている。これは、円弧反射面3dの外周側に光が集中し、内周側に向かう光が少なくなることを回避するためである。すなわち、反射傘2(光源1)に近い側から円弧反射面3dの内周側の領域の高さを高くしておき、この領域に到達した光を積極的に光射出部(プリズムパネル4)に導く。これにより、円弧状(リング状)の光射出部から均一な光量分布の光が光照射方向Lに射出される。
また、円弧反射部材3は、光源側反射面3cと2つの円弧反射面3dとの間に配置される2つの第2の反射面3aが金属蒸着により形成された2つの仕切り壁部3hも有する。
さらに、円弧反射部材3には、2つの円弧反射面3dの外周に沿って延び、その内周面に金属蒸着によって外周反射面3bが形成された外周壁部3iも有する。図9からも分かるように、第2の反射面3aで反射した光の一部は、外周反射面3bで反射した後に円弧反射面3dに沿った光路領域に向かう。これにより、光源1からより周方向CCに離れた光路領域まで光源1からの光を到達させることができる。また、光源1または反射傘2から直接、外周反射面3bに到達してここで反射する光もある。外周反射面3bは、この光を、プリズムパネル4のうち光源1からより周方向CCに離れた領域まで到達させることができる。
なお、外周反射面3bが設けられていることで、光源1から射出した光の円弧反射部材3の外側への漏れも防止される。
また、円弧反射部材3には、光源側反射面3cと2つの円弧反射面3dの内周に沿って延びる内周壁部3jも設けられている。この内周壁部3jの内面にも、金属蒸着によって反射面が形成されている。内周壁部3jと外周壁部3iとの間に形成される円弧状(リング状)の開口部である光射出部は、プリズムパネル4および拡散パネル5の円弧状の外形とほぼ同じ形状を有している。これにより、光源1から射出された光を効率良くプリズムパネル4および拡散パネル5に導くことができる。
外周壁部3bのうち反射傘2の光射出開口に近接した部分、すなわち光源1から円弧反射部材3に至るまでの部分は、円弧状のプリズムパネル4および拡散パネル5の外周の接線方向に延びている。これにより、光源1からの光を遮ることなく効率良く利用することができる。
次に、プリズムパネル4について説明を補足する。前述したように、プリズムパネル4の入射面(光源1側の面)には、光源1の長手方向に沿って延びる複数のプリズム部がプリズム列をなすように形成されている。そして、各プリズム部における光源1に近い側に透過面として機能する第1の面4aが形成され、その背後(光源1から遠い側)に透過面および内部全反射面として機能する第2の面4bが形成されている。
図12に示すように、円弧反射部材3の2つの第2の反射面3aにより周方向CCの両側に振り分けられて光源1から遠く離れた光路領域に向かった光(光線L5,L6)は、そのほとんどが第1の面4aからプリズム部に入射する。そして、第2の面4bで内部全反射して大きく方向が変えられて光照射方向Lに射出される。光線L5は、第2の反射面3aで反射して円弧反射面3dで反射せずに第1の面4aに到達した光線である。光線L6は、第2の反射面3aで反射し、さらに円弧反射面3dで反射して第1の面4aに到達した光線である。第1の面4aに到達した光が、再度、円弧反射部材3の側に戻ることはほとんどない。
このように、円弧反射部材3の第2の反射面3aで反射されて光源1から遠く離れた光路領域に導かれた光については、光源1に近い領域での光とは異なり、ほとんどすべてが第1の面4aからプリズムパネル4(プリズム部)に入射する。そして、この光は、第2の面4bにて方向変換が行われ、効率良く光照射方向Lに射出される。なお、プリズムパネル4から射出した光は拡散パネル5に周方向CCに延びるように形成されたシリンドリカルレンズ部5aに入射するが、プリズムパネル4における光源1から遠い領域から射出した光は、シリンドリカルレンズ部5aの屈折力の影響を受けにくい。このため、プリズムパネル4から射出した時点での進行方向が大きく変えられることなく、拡散パネル5から光照射方向Lに射出する。
したがって、プリズムパネル4の全体にわたってその入射面(第1の面4aおよび第2の面4b)に均一に光を入射させることができれば、円弧状(リング状)の光射出部の全体から均一な光量分布で光を射出させることができる。また、光源1側に形成された第1の面4aの基準面に対してなす角度を90°とすることにより、きわめて効率良く、光源1から射出した光を光照射方向Lに導くことが可能になる。
さらに、円弧反射部材3の円弧反射面3dの形状を適宜変化させることで、プリズムパネル4の各領域に入射する光の光量を調整することも可能である。これにより、光源1の発光特性や反射傘2の反射特性等に光量を不均一にする要素が存在していたとしても、光射出部の全体から均一な光量分布で光を射出させることができる。
なお、本参考例では、円弧状の光射出部が2つ組み合わされてリング状の光射出部が形成される構成となっている。しかし、2つの光射出部の境界部分においては互いに一方の光射出部からの光が他方の光射出部の光を補完することで、光照射領域に対して切れ目のない均一な照明を行うことができる。
以上説明したように、本参考例によれば、曲管型の光源を用いなくても、光源1からの光を円弧反射部材3の第1の反射面3c,3dで反射することによって周方向に延びる光射出部を形成することができる。しかも、光源からの光の一部を円弧反射部材3の第2の反射面3aによって周方向CCに導くことで、光射出部から均一に光を射出させることができる。これにより、光源1からの光を効率良く利用してマクロ撮影等に適した均一な照明を行うことができる照明装置を実現することができる。
なお、本参考例において、照明装置の光射出部はリング形状(円形)を有するが、これを矩形としたり多角形としたりしてもよい。この場合も、使用状態において撮影レンズの径方向に対応する方向(例えば、矩形や多角形の対角線が延びる方向)は照明装置の径方向ということができ、撮影レンズの外周を囲む方向は照明装置の周方向ということができる。
また、本参考例において、円弧反射部材3の円弧反射面3dはその光照射方向Lでの高さが周方向CCにおいて滑らかに変化しているが、該高さを段階的に変化させてもよいし、高さとともに径方向Rでの幅も変化させるようにしてもよい。また、本参考例において、円弧反射部材3の円弧反射面3dをねじれらせん面として形成したが、ねじれを有さないらせん面としてもよい。
さらに、本参考例では、周方向CCに2つの光源1が配置され、該2つの光源1に対して2つの照明光学系(反射傘2、第1の反射面3c,3d、第2の反射面3a、プリズムパネル4および拡散パネル5)が構成される場合について説明した。しかし、光源および照明光学系の数は2つに限らず、1つでもよいし、3つ以上の複数であってもよい。
また、円弧反射部材3、プリズムパネル4、拡散パネル5は、必ずしも光源1の数に合わせて構成する必要はなく、光源の数に係わらず一部品で構成してもよい。さらに、反射傘2と円弧反射部材3を一体化した構成であってもよい。
(参考例2)
次に、本発明の参考例2であるマクロ撮影用照明装置111について、図13を用いて説明する。本参考例は、参考例1に対して、参考例1でも触れた焦点調整用の補助光発光部を、照明光を射出する光射出部(14)が延びる円線上の一部(2箇所)に配置するとともに、照明光学系および照明装置111の全体を小型化した点が異なる。具体的には、光射出部(14)を、参考例1のような完全なリング形状から、補助光発光部21,22の配置領域を挟んで配置された2つの円弧形状としている。
図14(a),(b)にはそれぞれ、本参考例の照明装置111の断面であって、図13中に示したA−A線での断面を示している。また、図15(a)の上側には、参考例1にて説明した照明装置101に用いられる円弧反射部材3を前側(正面)から見て示しており、その下部には参考例1の円弧反射部材3を上側の図中のE―E線で切断したときの断面を拡大して示している。一方、図15(b)には、本参考例にて説明する照明装置111に用いられる円弧反射部材13を前側(正面)から見て示しており、その下部には本参考例の円弧反射部材13を上側の図中のF−F線で切断した断面を拡大して示している。また、図16(a)には、参考例1の円弧反射部材3の一部を拡大して示しており、図16(b)には本参考例の円弧反射部材13の一部を拡大して示している。さらに、図17(a),(b)および図18(a),(b)にはそれぞれ、本参考例の照明装置111を図13中のB−B、C−C、D−DおよびE−E線で切断したときの断面を示している。図19は、本参考例の照明装置における光線トレース図である。
本参考例の照明装置111も、図13に示すように、撮影レンズ201の先端部の外周に取り外し可能に装着される。また、照明装置111は、参考例1で説明した、連結ケーブル112により接続される制御部(図示せず)を備えている。本参考例でも、照明装置111が撮影レンズ201に装着されている使用状態において、図13に示すように、撮影レンズ201を通して撮影される被写界に向かう方向を照明装置111の光照射方向Lまたは前方とする。また、撮影レンズ201の径方向に対応する方向を照明装置111の径方向Rとし、撮影レンズ201の外周を囲む方向を照明装置111の周方向CCとする。さらに、撮影レンズ201の外周(円)の接線が延びる方向を、周方向CCに対する接線方向Tという。また、撮影レンズ201の光軸AXに沿った方向を照明装置111の厚さ方向という。
本参考例の照明装置111の照明光学系の構成は、参考例1の照明光学系と基本的には同じであるため、照明光学系についての詳細な説明は省略する。また、本参考例の構成要素のうち参考例1の構成要素と同じものには参考例1と同じ符号を付してその説明は省略する。本参考例の照明装置111も、その中心軸(使用状態でレンズ光軸に一致する軸)BXを含み、両側に2つの光源が配置される中心面について対称な構成を有する。このため、以下ではその対称な構成における一方(左側)の構成を中心に説明し、必要に応じて他方(右側)の構成についても説明する。
12は集光部材としての反射傘であり、直管型の光源1の外周全体から発散した光のうち後述する円弧反射部材13および後述するプリズムパネル14の方向以外の方向に向かう光を反射する反射面12aを有する。本参考例でも、光源1と反射傘12は、中心軸BXを挟んだ両側に配置されている。
反射傘12の反射面12aは、厚さ方向における光源1の両側と光源1の長手方向の両側に設けられ、反射した光を円弧反射部材13やプリズムパネル14の方向に向かわせるよう反射し、これら反射面12aの先端部の間に形成された光射出開口から射出させる。また、反射傘12は、光源1から発散した光のうち円弧反射部材13およびプリズムパネル14の方向に向かう光を反射することなく光射出開口から射出させる。
なお、本参考例の反射傘12は、参考例1の反射傘2と異なり、小型化を図るため、光源1の外周面のうち上記光射出開口とは反対側の半円筒面に沿った反射面を有する半円筒形状の部分(以下、半円筒部という)12bを有する。これにより、光源1から半円筒部12bに向かって射出した光は、該半円筒部12bで反射して再度光源1に戻され、その後、光射出開口に向かう。円筒部12bよりも光射出開口側の反射面12aは、光源1の長手方向(接線方向T)に直交する断面において、楕円等の2次曲線形状を有する。楕円断面を有する形状とする場合には、参考例1と同様に、光源1の径方向中心に一方の焦点を配置し、他方の焦点を円弧反射部材13の後述する第1の反射面上(第1の反射面側)に配置することが望ましい。反射傘12の製作方法は、参考例1の反射傘と同じである。
13は円弧反射部材である。円弧反射部材13は、参考例1の円弧反射部材3と同様に、2つの光源1に対して1つずつ(計2つ)設けられている。円弧反射部材13は、図15(b)に詳しく示すように、光源1よりも径方向Rの内側において周方向CCに延びるように形成された反射面であって、光源1からの光(反射傘12で反射した光を含む)を光照射方向Lに反射する第1の反射面13c,13dを有する。第1の反射面は、光源1の長手方向中央部に面した部分である光源側反射面(第1の領域)13cを有する。さらに、第1の反射面は、光源側反射面13cから周方向CCの両側に向かって、つまりは光源1から周方向CCに離れていくように円弧状に延びる2つの円弧反射面(第2の領域)13dを有する。光源側および円弧反射面13c,13dとそれらよりも光射出方向Lに配置される後述するプリズムパネル14との間には、光路領域(空間)が形成される。
本参考例では、2つの光源1に対して設けられる2つの円弧反射部材13の円弧反射面13d間(中心軸BXを挟む2箇所)に補助光発光部21,22が配置されるため、参考例1の円弧反射部材3に比べて、円弧反射面13dの周方向CCでの長さが短い。また、円弧反射面13d(つまりは光射出部)の径方向での幅も、参考例1に比べて狭い。これは、単に小型化だけでなく、円弧状の光射出部を構成した場合に、その外周側に光が集中して内周側に向かう光が少なくなるという傾向にならって外周側と内周側とで光量むらが発生することを解消できるという効果がある。
また、本参考例の円弧反射部材13も、参考例1の円弧反射部材3と同様に、2つの第2の反射面13aを有する。第2の反射面13aは、図19に示すように、光源1から光源側反射面13cに向かう光の一部を、円弧反射面13dに沿って周方向CCのうち光源1から離れていく方向に延びる光路領域に向けて反射する。2つの第2の反射面13aの役割および配置については参考例1と同様である。
本参考例では、反射傘12が参考例1に比べて小型化されたため、反射面12aの2つの焦点の位置が参考例1に比べて接近している。このため、全体の光路長を短縮することができる。さらに、図15(a),(b)にて比較するように、本参考例では、反射傘12の小型化に伴って円弧反射部材13の径方向Rでの幅を参考例1の円弧反射部材3の幅よりも狭くすることが可能になる。したがって、本参考例では、参考例1に比べて照明光学系の体積を小さくすることができ、この結果、照明装置111全体を小型化することができる。
14はプリズムパネル(第1の光学部材)であり、円弧反射部材13よりも光照射方向Lに形成される光射出部に配置される。プリズムパネル14は、光を拡散させる拡散性を有する乳白色の光学材料により半円弧形状を有するように製作されており、照明装置111には2つのプリズムパネル14が用いられる。
ここで、本参考例でも、光源1の長手方向に直交する断面において、光源1から射出された光が、互いに異なる光路を辿る4種類の光線に分かれる点は、参考例1と同じである。そして、本参考例のプリズムパネル14の入射面にも、参考例1で説明したのと同様に、微細の複数のプリズム部により構成されるプリズム列が形成されている。各プリズム部の上記4種類の光線に対する作用は、参考例1で説明した通りである。
なお、本参考例では、プリズムパネル14の拡散性によってプリズムパネル14を透過する光が径方向Rに拡散するため、参考例1で用いられた拡散パネル5は用いる必要はない。これにより、照明装置111の厚さ方向での小型化(薄型化)が可能である。
17は照明光学系を構成する上記各部材や後述する実装基板19を保持する背面カバーである。18は照明装置111の前面のうち光源1および反射傘12の部分を覆うとともに、2つのプリズムパネル14が配置された光射出部を露出させる円形の開口部を有する前面カバーである。前面カバー18の開口部の内周には、プリズムパネル14を保持するための係合部が形成されている。前面カバー18により覆われた反射傘12およびその内側の光源1は、照明装置111の前側からプリズムパネル14を通して見ることはできない位置に配置されている。
実装基板19には、光源1の発光を開始させるためのトリガコイルや光源1からの発光量をモニタするための受光センサ等の電気部品20が実装されている。
補助光発光部21,22は、光源となるLED24と、その前面に配置された集光レンズとを有し、LED24から射出した光を集光レンズにより集光して被写体に照射する。23は照明装置111に設けられた撮影レンズへの装着用のロック機構のロック状態を解除する際に操作されるロック解除ボタンである。
次に、円弧反射部材13の形状等について、図15(b)および図16を用いて詳しく説明する。円弧反射部材13は、反射傘12の光射出開口付近の外面が嵌まり込む入射開口部13fと、第1の反射面である光源側反射面13cおよび円弧反射面13dが表面に金属蒸着により形成された円弧状の底面部13gとを有する。参考例1と同様に、光源側反射面13cは、光源1の長手方向の中央を通る中央断面において、径方向Rに沿った基準面に対して45°の傾きを持った円錐面の一部として構成されている。
また、円弧反射面13dも、参考例1と同様に、基本的には、周方向CCにおいて光源1(反射傘12)から離れるほど光射出方向Lに位置する(光射出方向Lの側への高さが高くなる)ように、径方向Rに沿った基準面に対して傾斜した面として形成されている。また、本参考例でも、参考例1と同様に、図13中のA−A、B−B、C−C、D−D線での断面図である図14(a),図17(a),(b)および図18(a)に示すように、円弧反射面13dをねじれらせん面として形成している。
ただし、本参考例では、図15(b)の下図および図16(b)に示すように、円弧反射面13dを、径方向R(幅方向)における中央部分がその両側の部分に対して、光射出部(光照射方向L)に向かって凹となる曲面により形成している。図15(a)の下図および図16(a)には、これとの比較のために、参考例1での円弧反射面3dを示しており、該円弧反射面3dは平面として形成されている。
このように円弧反射面13dを凹曲面で構成するのは、以下の理由による。本参考例では、照明光学系の小型化に伴い、光源1が参考例1の円弧反射部材3に比べて円弧反射部材13の内周壁部13jに近づいたため、光源1からの光が光射出部における周方向CCの奥(光源1から遠い領域)まで回り込みにくくなっている。このため、円弧反射面13dを、その幅方向にて凹となる曲面として形成して光が通る空間を広げることで、光射出部の奥まで光源1からの光が回り込みやすくし、光射出部の全体で均一な光量分布が得られるようにしている。
なお、円弧反射面13dは、必ずしもその幅方向中央が最も凹んだ曲面として形成されなくてもよく、最も凹んだ部分が幅方向の一方に偏っていてもよい。また、円弧反射面13dの幅方向での形状が、周方向CCで変化してもよい。
また、円弧反射部材13は、光源側反射面13cと2つの円弧反射面13dとの間に配置される2つの第2の反射面13aが金属蒸着により形成された2つの仕切り壁部13hも有する。
さらに、円弧反射部材13には、2つの円弧反射面13dの外周に沿って延び、その内周面に金属蒸着によって外周反射面13bが形成された外周壁部13iも有する。図19からも分かるように、第2の反射面13aで反射した光の一部は、外周反射面13bで反射した後に円弧反射面13dに沿った光路領域に向かう。また、光源1または反射傘12から直接、外周反射面13bに到達してここで反射する光もあり、外周反射面13bは、この光をプリズムパネル14のうち光源1からより周方向CCに離れた領域まで到達させることができる。
内周壁部13jは、光源側反射面13cと2つの円弧反射面13dの内周に沿って延びる。この内周壁部13jの内面にも、金属蒸着によって内周反射面が形成されている。なお、本参考例では、この内周壁部13jと外周壁部13iとの間に形成される円弧状の開口部である光射出部の径方向Rの幅に対して、プリズムパネル14の幅を大きくしている。ただし、光射出部の径方向Rの幅とプリズムパネル14の幅とを対応させてもよい。
また、本参考例でも、外周壁部13bのうち反射傘12の光射出開口に近接した部分、すなわち光源1から円弧反射部材13に至るまでの部分は、円弧状のプリズムパネル14の外周の接線方向に延びている。これにより、光源1からの光を遮ることなく効率良く利用することができる。
以上説明したように、本参考例でも、参考例1と同様に、曲管型の光源を用いなくても、光源1からの光を円弧反射部材13の第1の反射面13c,13dで反射することによって周方向に延びる光射出部を形成することができる。しかも、光源からの光の一部を円弧反射部材13の第2の反射面13aによって周方向CCに導くことで、光射出部から均一に光を射出させることができる。これにより、光源1からの光を効率良く利用してマクロ撮影等に適した均一な照明を行うことができる照明装置を実現することができる。
本参考例の照明装置111では、反射傘12について、光源1の外周面に沿った半円筒部12bを形成し、また楕円形状の焦点距離を短くすることで、参考例1に比べて、径方向での小型化を実現している。また、参考例1に比べて、円弧反射部材13の径方向Rでの幅を狭めて中心軸BXと光源1との距離を短くする(光源1をレンズ光軸に寄せる)ことでも、照明装置111の径方向での小型化を実現している。
また、本参考例では、光源1からの照明光が射出される光射出部と補助光発光部21,22とを同一の円線上に効率良く配置することで、照明光学系および照明装置111の小型化を実現している。しかも、照明光学系の小型化に伴って、照明装置111内の照明光学系の背面側に新たな空間を形成できる。本参考例では、この背面空間に、電気部品20が実装された実装基板19を配置している。つまり、参考例1で光射出部の上側(径方向Rの外側)に配置されていた実装基板9と同様の実装基板19を、上記背面空間に配置することで、参考例1にて光射出部の上側にあった大きな突起形状の部分をなくし、照明装置111の小型化を実現している。
以下、上述した参考例2の変形例としての本発明の実施例1について説明する。以下の説明においては、参考例2で示した光照射方向L、径方向R、周方向CC、接線方向Tおよび中心軸BXを、図示は省略するものの、同じ意味で、かつ同じ符号を付して用いる。また、厚さ方向についても同じ意味で用いる。
本実施例の照明装置131も、その中心軸BXを含み、両側に2つの光源が配置される中心面について対称な構成を有するため、以下では、その対称な構成における一方の構成を中心に説明し、必要に応じて他方の構成についても説明する。
図20には、本実施例の照明装置を前方(正面)から見て示しており、図21には分解した照明装置131を示している。また、図22には、本実施例の照明装置131の内部構成を前方から見て示しており、図23には、本実施例の照明装置131の断面の一部(図25(a)において円で囲んだ部分)を拡大して示している。
図24には、本実施例の円弧反射部材33を斜めから見て示している。図25(a),(b)にはそれぞれ、本実施例の照明装置131の断面であって、図20中に示したAG−AG線およびAI−AI線での断面を示している。また、図26(a),(b)にはそれぞれ、本実施例の照明装置131の断面であって、図20中に示したAJ−AJ線およびAH−AH線での断面を示している。さらに、図27には本実施例の照明装置131の一部を、図22中に示したBD−BD線で切断して斜めから見て示している。
これらの図において、1は光源であり、32は集光部材としての反射傘であり、33は反射部材としての円弧反射部材である。34は光学部材(第1の光学部材)としてのプリズムパネルであり、35は光学部材(第2の光学部材)としての拡散パネルである。37は背面カバーであり、38は前面カバーである。これらの構成要素は、基本的に参考例2または参考例1に示した同じ名称の構成要素と同一の機能を有する。ただし、形状や配置が参考例2や参考例1とは異なるので、以下に説明する。21,22は参考例2で説明した補助光発光部であり、これについての説明は省略する。
反射傘32は、直管型の光源1の外周全体から発散した光のうち後述する円弧反射部材33および後述するプリズムパネル34の方向以外の方向に向かう光を反射する反射面を、厚さ方向における光源1の両側と光源1の長手方向の両側に有する。このうち、反射面32a,32bはそれぞれ、図23に示すように、厚さ方向における光源1より光照射方向Lの側およびその反対側に形成された2つの反射面である。反射面32a,32b(および光源1の長手方向の両側の反射面)の先端部の間には、光源1から射出して各反射面で反射した光および反射することなく進んできた光を円弧反射部材33またはプリズムパネル34の方向に射出する光射出開口32dが形成されている。
なお、本実施例の反射傘32にも、参考例2の反射傘12と同様に、小型化を図るため、光源1の外周面のうち光射出開口32dとは反対側の半円筒面に沿った反射面を有する半円筒部32cが形成されている。
反射傘32(反射面32a,32b)は、図23に示す厚さ方向に沿った断面において、光射出開口32dから射出される光の射出範囲の中心の方向(図中のSS)が、径方向Rの内側に向かって、光照射方向Lの側とは反対側(後方)に傾くように配置されている。図23中のRFは、径方向Rに沿った基準面を示す。射出範囲の中心の方向(SS)は、基準面RFに対して、傾き角αを有する。
さらに、反射傘32の反射面32a,32bは、光源1を通る対称面SSについて互いに対称な2つの面(仮想面)に沿った形状を有する。つまり、実際の反射面32a,32bの形状は後述するように互いに異なるが、そのベースとなる面形状は、対称面SSについて互いに対称である。本実施例の仮想面は、楕円等の2次曲線である。そして、反射傘32は、対称面SSが、径方向Rの内側に向かって、光照射方向Lの側とは反対側(後方)に傾くように配置されている。すなわち、対称面SSは、基準面RFに対して、傾き角αを有する。仮想面が楕円形状である場合、該楕円の一方の焦点は光源1の径方向の中心に位置し、他方の焦点は後述する円弧反射部材33の光源側反射面33c上にあることが望ましい。
これらのように、光の射出範囲の中心の方向や対称面SSが後方に傾くような反射傘32の配置を、以下の説明では後傾配置という。
図28(b)には、後傾配置された反射傘32の光射出開口32dから射出される光の射出範囲の例(実験例)を示す。図中のHDは光源1の長手方向(左右方向)での射出範囲(光量分布)を示している。また、図中のVDは厚さ方向(前後方向)での射出範囲(光量分布)を示している。厚さ方向については、図中の0(deg)が図23に示した基準面RFに相当し、射出範囲VDの中心の方向(SS)は、0(deg)に対して後方(図にはDOWNと示す)に20(deg)の傾きを有する。なお、光源1の長手方向については、射出範囲HDの中心の方向は0(deg)である。
図28(a)には、参考例2のように反射傘を厚さ方向に沿った断面において、光射出開口から射出される光の射出範囲VDの中心の方向(SS)が基準面RFに沿った方向0(deg)となるように配置した場合の該射出範囲の例(実験例)を比較例として示す。この場合、対称面SSは、基準面RFに対して傾きを持たない。なお、光源1の長手方向については、後傾配置の場合と同じく射出範囲HDの中心の方向は0(deg)である。
ここで、円弧反射部材33は、反射傘32における径方向Rの内側の先端部近くに、光源1の長手方向中央部に面した光源側反射面33cと、光源側反射面33cから周方向CCの両側に向かって円弧状に延びる2つの円弧反射面33dとを有する。反射傘32を上述したように後傾配置したことにより、図14(b)に示した参考例2の構成に比べて、光源1を反射傘32とともに円弧反射部材33の光源側反射面33cに近付けることができる。つまり、照明光学系、さらには照明装置131を径方向Rにて小型化することができる。また、反射傘32の後傾配置により、光源側反射面33cを径方向Rに沿った基準面に対して45°よりも小さい傾斜角度を有する反射面とすることができる。このため、参考例2のように光源側反射面を45°の傾斜角度を有する反射面とする場合に比べて、円弧反射部材33の厚みを薄くすることができる。これにより、後述するように、円弧反射部材33の裏面側に、体積がある程度大きな他の構成要素を配置することが可能になる。
ところで、反射傘32が円弧反射部材33の光源側反射面33cに近づいたことで、以下のような問題が生ずる。光射出方向Lの側とは反対側の反射面32bを参考例2と同様に光源1から長く延出させると、該反射面32bと光源側反射面33cとの干渉を避けるために、円弧反射部材33を後方に移動させる必要が生ずる。この結果、照明光学系の厚みが増加し、照明装置131の厚さ方向での大型化につながる。
このような厚みの増加を防ぐため、本実施例では、径方向Rにおいて、反射面32bの光源1からの長さLbを、光照射方向Lの側に設けられた反射面32aの光源1からの長さLaよりも短くしている。なお、図27に示すように、反射面32bのうち円弧反射面33dに向かって延びる部分が該円弧反射面33dと干渉しない場合は、該光源側反射面33cに向かって延びる部分の長さLbのみを短くしてもよい。この場合、反射面32bは、厚さ方向から見ると、その径方向Rにおける内側の先端部は、凹形状に形成されることになる。
一方、光照射方向Lの側に設けられた反射面32aの光源1からの長さまで、反射面32bの光源1からの長さと同じように短くしてしまうと、反射傘32として、光源1から発散する光の集光機能を十分に果たせなくなる。このため、反射面32aについては、図22に示すように、その径方向Rにおける内側の先端部をできるだけ径方向Rの内側に延ばす一方、光射出部の外周Pに沿うように円弧形状に形成している。ここにいう光射出部は、円弧反射部材33よりも光照射方向Lの側に形成され、被写界に向けて光を射出する円弧状またはリング状の領域であり、ここには後述するプリズムパネル34および拡散パネル35が配置される。ただし、本実施例での光射出領域の径方向Rでの幅は、参考例2と同様に、プリズムパネル34および拡散パネル35の径方向Rの幅よりも狭い。そして、円弧反射部材33の第1の反射面(円弧反射面)33dのうち光源1付近より周方向CCに離れた部分の幅とほぼ同じである。
円弧反射部材33は、2つの光源1に対して1つずつ(計2つ)設けられている。円弧反射部材33は、図24に詳しく示すように、光源1よりも径方向Rの内側において周方向CCに延びるように形成された反射面であって、光源1からの光(反射傘32で反射した光を含む)を光照射方向に反射する第1の反射面33c,33dを有する。第1の反射面は、光源1の長手方向中央部に面した部分である光源側反射面(第1の領域)33cを有する。さらに、第1の反射面は、光源側反射面33cから周方向CCの両側に向かって(光源1から周方向CCに離れていくように)円弧状に延びる2つの円弧反射面(第2の領域)33dを有する。光源側および円弧反射面33c,33dとそれらよりも光射出方向Lに配置される後述するプリズムパネル34との間には、光路領域(空間)が形成される。
光源側反射面33cは、光源1の長手方向の中央を通る中央断面において、径方向Rに沿った基準面に対して45°より小さい角度の傾きを持った円錐面の一部として構成されている。
また、円弧反射面33dは、基本的には、周方向において光源1(反射傘32)から離れるほど光射出方向Lに位置する(光射出方向Lの側への高さが高くなる)ように、径方向Rに沿った基準面に対して傾斜した面として形成されている。本実施例では、参考例2とは異なり、図25(a),(b)および図26(a),(b)にも示すように、円弧反射面33dを、ねじれがないらせん面(径方向Rに沿ったらせん面)として形成している。ただし、円弧反射面33dのうち後述する第2の反射面32aを挟んで光源側反射面33cに隣接する部分33d′については、光源側反射面33cと同様に、基準面に対して45°より小さい角度の傾きを持った円錐面の一部として構成されている。これは、円弧反射面33dのうち円錐面部分33d′よりも光源1から周方向CCに離れた光路領域に、光源1からの光を効率良く反射するためと、後述するロック機構を円弧反射部材33の円錐面部分33d′の裏面側に配置するスペースを形成するためである。ロック機構の配置スペースについては、後に詳しく説明する。
また、円弧反射面33dのうち円錐面部分33d′よりも外周側の部分33d″は、周方向CCに延びる光路領域のうち光源1から離れた部分まで光を行き渡らせるため、基準面に沿った平面として形成され、この部分33d″に面する空間を広げている。また、この部分33d″を平面とすることで、前述した反射傘32の反射面32bとの干渉を避けることもできる。
また、円弧反射部材33は、参考例2と同様に、光源側反射面33cを挟むように形成された2つの第2の反射面33aを有する。第2の反射面33aは、光源1から光源側反射面33cに向かう光の一部を、円弧反射面33dに沿って周方向CCのうち光源1から離れていく方向に延びる光路領域に向けて反射する。
その他、円弧反射部材33は、参考例2の円弧反射部材13と同様に、外周反射面や内周反射面を有する。
図21において、31は背面カバー37の中央の円筒部(撮影レンズの外周に装着される部分)の前端部に取り付けられる円筒カバーであり、該円筒カバー31の外周を囲むように2つの円弧反射部材33が配置される。39は実装基板であり、参考例2でも説明したように、光源1の発光を開始させるためのトリガコイルや光源1からの発光量をモニタするための受光センサ等の電気部品が実装されている。
また、42は背面カバー37の円筒部付近における周方向CCの4箇所に配置された係止フックである。以下、図29を併せ用いて、係止フック42を含むロック機構について説明する。ロック機構は、撮影レンズ201の先端部の外周に配置された照明装置131を撮影レンズ201によって保持された状態とする(ロックする)ための機構である。
各係止フック42は、背面カバー37の円筒部の内側に突出する方向(以下、ロック方向という)とそこから退避する方向(以下、ロック解除方向という)に、回動軸42aを中心として回動可能に背面カバー37に取り付けられている。図29(a)はロック方向に回動した係止フック42が背面カバー37の円筒部の内側に突出して撮影レンズ201の外周面に形成された不図示の係合溝部に係合したロック状態を示している。ロック状態では、係止フック42と撮影レンズ201の係合溝部との係合により、照明装置131が撮影レンズ201に対して固定される。また、図29(b)はロック解除方向に回動した係止フック42が背面カバー37の円筒部の内側から退避して撮影レンズ201の係合溝部から離脱したロック解除状態を示している。
45は係止フック42をロック方向に付勢する付勢部材としてのロックばねである。本実施例では、2つの係止フック42に対して1つのロックばね45が設けられている。各ロックばね45は、その円筒部が背面カバー37に取り付けられ、該円筒部から延びる2本のアーム部がそれぞれ別々の係止フック42に係合して、各係止フック42をロック方向に押している。
41はロック解除リングであり、円筒カバー31の外周回りにて回転可能に配置されている。ロック解除リング41には、図示を省略するが、係止フック42をロック解除方向に回動させるカム面が形成されている。係止フック42のうち、前述したように背面カバー37の円筒部の内側に対して突出したり退避したりする先端部とは回動軸42aを挟んで反対側に、不図示のカムフォロア部が形成されている。
43はロック解除ボタンであり、係止フック42のロック状態を解除する際に使用者に径方向Rに押し込まれるよう操作される。44は連結部材であり、ロック解除ボタン43の径方向Rへの押し込み操作による移動を、ロック解除リング41の回転に変換するための部材である。連結部材44は背面カバー37に回動可能に取り付けられており、一方の端部がロック解除ボタン43の内側に挿入され、他方の端部がロック解除リング41に回動可能に連結されている。
ロック状態においてロック解除ボタン43が押し込み操作されることで連結部材44が背面カバー37に対して回動すると、その連結部材44の回動がロック解除リング41に伝達されて、ロック解除リング41が背面カバー37に対して回転する。ロック解除リング41が回転すると、前述したカム面が係止フック42に設けられたカムフォロア部を径方向Rの内側に押して、ロックばね45の付勢力に抗して係止フック42をロック解除方向に回動させる。これにより、照明装置131を撮影レンズ201から取り外すことができる。
ここで、図23、図25(a)および図26(a),(b)を用いてロック機構と先に説明した円弧反射部材33との関係について説明する。これらの図に示すように、円弧反射部材33における円弧反射面33dのうち円錐面部分33d′の裏面側には、径方向Rにおける内周側の部分がその内周側の部分よりも外周側の部分に比べて光照射方向Lの側に位置する退避部33fが形成されている。言い換えれば、退避部33fを形成するために、径方向Rに沿ったらせん面である円弧反射面33dに円錐面部分33d′を設けている。そして、ロック機構のうちロック解除リング41、ロックばね45および係止フック42が、この退避部に面する領域(空間)に配置されている。
前述したように円弧反射部材33自体を薄型化できたことと、円弧反射部材33の裏面側に退避部33fを形成したことにより、ロック機構のような大型の構成要素を照明装置131の厚みを増加させることなく、円弧反射部材33の裏面側に配置することができる。そして、このようにロック機構を円弧反射部材33の裏面側に配置することで、照明装置131の径方向Rでの小型化も実現することができる。
プリズムパネル34は、円弧反射部材33よりも光照射方向Lに形成される光射出部に配置される。プリズムパネル34は、アクリル樹脂等の透過率の高い透明樹脂材料により半円弧形状を有するように製作されており、2つのプリズムパネル34がリング状に組み合わされて用いられる。図30(a)に示すように、プリズムパネル34の入射面(光源1側の面)には、参考例1で説明したプリズムパネル4と同様に、微細な複数のプリズム部により構成されるプリズム列34a,34bが形成されている。各プリズム部は、参考例1のプリズムパネル4のプリズム部と同じ機能を有する。すなわち、各プリズム部は、光源1(反射傘32)から射出した光のうち円弧反射部材33の円弧反射面33dで反射して到達した光を光照射方向Lに透過させ、少なくとも円弧反射面33dで反射せずに到達した光を光照射方向Lに内部全反射する。
ただし、本実施例でのプリズム列34aと、該プリズム列34aよりも周方向CCにおいて光源1から離れた位置に設けられたプリズム列34bとではそれを構成するプリズム部が延びる方向が異なる。プリズム列34aとプリズム列34bとの境界は、光源1の長手方向の中央に対応する位置から周方向CCに約45°の位置である。プリズム列34aを構成する各プリズム部(第1のプリズム部)は、図30(a)中のAO−AO線に沿った断面図である図30(c)にも示すように、光源1の長手方向に沿って延びるように形成されている。一方、プリズム列34bを構成する各プリズム部(第2のプリズム部)は、図30(a)中のAP−AP線に沿った断面図である図30(d)にも示すように、径方向Rに延びるように形成されている。プリズムパネル34には、これらのようなプリズム列34a,34bが、プリズムパネル34のうち円弧反射部材33の光源側反射面33cに対向する領域34cを挟んだ周方向CCの両側に設けられている。そして、光源側反射面33cに対向する領域34c、すなわちプリズム列34aよりも光源1の長手方向の中央に近い領域は、図30(a)中のAN−AN線に沿った断面図である図30(b)にも示すように、プリズム部が設けられていない領域である。なお、プリズムパネル34の射出面は平面である。
プリズム列34aが形成された光源1に近い領域では、光源1からの光線がまだ円弧状の光路領域の奥に回り込む前である。このため、プリズム列34aを構成するプリズム部は、該プリズム部が延びる方向における光線の入射角が小さくなるように光源1の長手方向に延びるように形成するのが好ましい。これにより、各プリズム部に向かった光線が反射されてしまうことを回避できる。言い換えれば、光源1からの光線に対してプリズム部の内部全反射による方向変換機能を有効に作用させることができる。
一方、プリズム列34bが形成された光源1から遠い領域では、光源1からの光線が円弧状の光路領域内に回り込んでいる。このため、プリズム列34bを構成するプリズム部は、プリズム列34aと同様の理由により、径方向Rに延びるように形成するのが好ましい。
本実施例では、反射傘32が後傾配置されているため、光源側反射面33cに対向する領域34cに入射する光線はほとんどが光源側反射面33cにて反射された光線である。このため、プリズム部による方向変換は不要である。したがって、この領域34cには、プリズム部を形成する必要がない。
拡散パネル35は、参考例1にて説明した拡散パネル5と同様に、その入射面に、周方向CCに同心状に延びる複数のシリンドリカルレンズ部35aが形成された光学部材である。拡散パネル35は、シリンドリカルレンズ部35aの作用により、プリズムパネル34から射出した光を、マクロ撮影に適した光照射範囲に均一に拡散させる。
本実施例によれば、参考例1,2と同様に、曲管型の光源を用いなくても、光源1からの光を円弧反射部材33の第1の反射面33c,33dで反射することによって周方向に延びる光射出部を形成することができる。しかも、光源1からの光の一部を円弧反射部材33の第2の反射面33aによって周方向CCに導くことで、光射出部から均一に光を射出させることができる。これにより、光源1からの光を効率良く利用してマクロ撮影等に適した均一な照明を行うことができる照明装置を実現することができる。
しかも、反射傘32を後傾配置したことにより、照明光学系の径方向Rでの小型化や薄型化が可能である。そして、照明光学系を薄型化したことで照明光学系の裏面側に新たに形成されたスペースにロック機構を配置することが可能となり、これらを径方向にてずらして配置する場合に比べて、さらなる照明装置の径方向での小型化が可能となる。
なお、本実施例でも、参考例1にて説明したように、照明装置の光射出部をリング形状ではなく、矩形としたり多角形としたりしてもよい。
図31(a)には、本発明の実施例2である照明装置に用いられる光学部材としてのプリズム拡散パネル74を示している。このプリズム拡散パネル74は、実施例1で説明した照明装置において、プリズムパネル34と拡散パネル35に代えて用いられる。
プリズム拡散パネル74の入射面(光源1側の面)には、図31(b)の下側の図(図31(a)中のB―B線での断面図)に示すように、実施例1にて説明したプリズム列34a,34bと同様なプリズム列74aが形成されている。また、プリズム拡散パネル74の入射面のうち実施例1で説明した光源側反射面33cに対向する領域74cは、図31(b)の上側の図(図31(a)中のA―A線での断面図)に示すように、プリズム部が設けられていない領域である。
一方、プリズム拡散パネル74の射出面には、その全体にわたって、周方向CCに同心状に延びる複数のシリンドリカルレンズ部74bが形成されている。各シリンドリカルレンズ部74bは、光射出方向Lに向かって凸形状を有する。シリンドリカルレンズ部74bは、プリズム拡散パネル74から射出して光照射方向Lに向かう光を、マクロ撮影に適した光照射範囲に均一に拡散させる。
なお、図31(c)に示すように、プリズム拡散パネル74の射出面に、光射出方向Lに向かって凹形状を有する複数のシリンドリカルレンズ部74dを周方向CCに同心状に延びるように形成してもよい。
このように、本実施例では、入射面に光線の方向変換のためのプリズム列74aを形成し、射出面に光線拡散のためのシリンドリカルレンズ部74b,74dを形成したプリズム拡散パネル74を用いる。これにより、実施例1のようにプリズムパネル34と拡散パネル35という2つの光学部材を厚さ方向に重ねて用いる場合に比べて、照明装置を薄型化することができる。
なお、本実施例のプリズム拡散パネル74に代えて、参考例2にて説明したように、拡散性を有する乳白色の光学材料により形成されたプリズムパネルを用いてもよい。
また、上記実施例1,2では、参考例2の照明装置をベースとした構成について説明したが、参考例1で説明した照明装置に実施例1,2で説明した構成を適用してもよい。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。